説明

画像投影装置

【課題】投影した画像の歪みを抑制すること。
【解決手段】投影光12の出射方向に対して斜めに画像を投影する投影部と、前記画像の画像データを保持し、前記画像データをピクセルデータ毎にリード信号に同期させ出力するフレームメモリ30と、出力された前記ピクセルデータに応じレーザ光を出射するレーザ出射部25と、前記レーザ光を走査し投影光として出射するMEMSミラー20と、前記リード信号の間隔を前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より短くする制御部32と、を具備する画像投影装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関し、例えばMEMSミラーを用いた画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯型の画像投影装置が用いられている。例えば、プロジェクタ機能を有する携帯電話端末等が用いられている。このような画像投影装置においては、レーザ光を走査することにより投影光とし画像を投影する。また、投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置がある。例えば、特許文献1には、画像投影装置を設置した平面に画像を投影する画像投影装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−70135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する画像投影装置において、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーを用いレーザ光を走査し、投影光とすることを考える。この場合、MEMSミラーの揺動範囲を短時間で変更できない。このため、投影した画像が歪んでしまう。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、投影した画像の歪みを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する投影部と、前記画像の画像データを保持し、前記画像データをピクセルデータ毎にリード信号に同期させ出力するフレームメモリと、出力された前記ピクセルデータに応じレーザ光を出射するレーザ出射部と、前記レーザ光を走査し投影光として出射するMEMSミラーと、前記リード信号の間隔を前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より短くする制御部と、を具備することを特徴とする画像投影装置である。本発明によれば、投影した画像の歪みを抑制することができる。
【0007】
上記構成において、前記制御部は、前記MEMSミラーの水平方向の揺動のうち、折り返し付近では前記リード信号を出力せず、前記リード信号を出力しない期間を、前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より長くする構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記制御部は、前記リード信号の間隔を同じ水平走査線のうち中央を端より長くする構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、同じ水平走査線のうち中央と端との前記リード信号の間隔差を、前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より小さくする構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記制御部は、前記MEMSミラーの水平同期信号に基づき、前記リード信号を生成する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記制御部は、VCOを含み、前記リード信号を前記VCOを用い生成する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記制御部は、制御信号およびEN信号の波形のデータを記憶する記憶部と、前記MEMSミラーの水平同期信号に同期し、前記制御信号およびEN信号の波形のデータに基づき前記制御信号および前記EN信号を生成する波形生成部と、前記制御信号に基づき出力する発振信号の周波数を変化させるVCOと、前記EN信号が活性を示す場合、前記発振信号をリード信号として出力し、前記EN信号が非活性を示す場合、前記発振信号を出力しないミキサと、を備える構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記フレームメモリは、前記水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し、互い違いの方向で出力する構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記フレームメモリは、前記水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し直交方向で出力する構成とすることができる。
【0015】
前記構成において、前記画像投影装置は、平面上に設置され、前記平面に前記画像を投影する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、投影した画像の歪みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(a)は、実施例1に係る画像投影装置の側面図、図1(b)は、上面図である。
【図2】図2は、実施例1に係る画像投影装置の機能ブロック図である。
【図3】図3は、実施例1において画像を投影する走査線を示す模式図である。
【図4】図4は、範囲50内の角度に対する走査線を示す模式図である。
【図5】図5は、範囲50内の角度に対する走査角速度を示す模式図である。
【図6】図6は、時間に対する読み出されるピクセルデータを示す概念図である。
【図7】図7は、時間に対するリード信号を示す模式図である。
【図8】図8は、リード信号生成回路の模式図である。
【図9】図9(a)および図9(b)は、それぞれ時間に対する制御信号およびEN信号を示す図である。
【図10】図10(a)から図10(d)は、実施例1のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。
【図11】図11(a)から図11(d)は、実施例2のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。
【図12】図12(a)から図12(d)は、実施例3のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。
【図13】図13は、実施例3の時間に対する制御信号を示す図である。
【図14】図14は、実施例4の画像投影装置の平面図である。
【図15】図15(a)から図15(d)は、実施例4のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1(a)は、実施例1に係る画像投影装置の側面図、図1(b)は、上面図である。図1(a)および図1(b)に示すように、平面16上に画像投影装置10が置かれている。画像投影装置10は、例えば携帯電話端末、カメラ、携帯用ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機または単独の画像投影装置でもよい。画像投影装置10の前面に投影部18が設けられている。投影部18から投影光12が出射される。投影光12は平面16に照射され画像14が投影される。画像投影装置10が置かれた平面16に画像14を投影するスクリーンとして用いる。このように、投影部18は、投影光12の出射方向に対して斜めに画像14を投影する。例えば、平面16は壁であり、画像投影装置10を壁に設置してもよい。また、平面16は、ホワイトボード等でもよい。さらに、手首に画像投影装置10を載せ、掌に画像を投影することもできる。
【0020】
図2は、実施例1に係る画像投影装置の機能ブロック図である。図2に示すように、画像投影装置10は、主に、投影部18、MEMSミラー20、MEMS駆動部22、レーザ出射部25、フレームメモリ30、制御部32および画像処理部36を備えている。
【0021】
画像処理部36は、入力された画像データを画像処理する。画像データは、例えば動画データでもよく静止画データでよい。画像処理部36は、ホワイトバランス、色空間変換、γ変換部および色補正等を行なってもよい。また、画像処理部36は、圧縮された画像データを復号化してもよい。画像処理部36は、クロック信号に同期し、ピクセルデータ毎にフレームメモリ30に画像データを保持させる。画像データが動画の場合は、画像処理部36は、フレームメモリ30にフレーム毎に画像データを保持させる。フレームメモリ30は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)であり、画像データを一時保持する。フレームメモリ30は、画像データをピクセルデータ毎にリード信号に同期させレーザ出射部25のLD駆動部28に出力する。
【0022】
レーザ出射部25は、光学系24、レーザダイオード(LD)26a〜26c、LD駆動部28を備えており、フレームメモリ30から入力されたピクセルデータに応じレーザ光を出射する。LD駆動部28は、画像データをピクセルデータ毎にRGBの各アナログ信号にDA変換する。LD駆動部28は、RGBの各アナログ信号を、対応するLD26a〜26cに出力する。LD26a〜26cは、RGBの各アナログ信号に基づきそれぞれ赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光を出射する。赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光は、光学系24を介し光軸が合ったレーザ光としてMEMSミラー20に照射される。LD駆動部28は、次のピクセルデータが入力されるまで、LD26a〜26cに同じ強度のレーザ光を出射させる。LD駆動部28からLD26a〜26cに出力されるRGBの各アナログ変調信号は、強度変調であってもよく、PWM(Power Width Modulation)であってもよい。また、これらの組み合わせであってもよい。
【0023】
MEMS駆動部22は、発振器23の発振信号を水平同期信号として、MEMSミラー20を水平に揺動させる。これにより、MEMSミラー20は、レーザ光を走査し投影光12として出射する。MEMSミラー20の発振器23は、例えば水晶発振器またはPLL(Phase Locked Loop)である。MEMSミラー20は、水平方向の揺動より長い周期で垂直方向に揺動する。制御部32は、VCO(Voltage Controlled Oscillator)34を有し、水平同期信号Hsに基づきリード信号を生成し、フレームメモリ30に出力する。1フレームの画像データをフレームメモリ30から出力させると、制御部32は、MEMS駆動部22にリセット信号を出力する。MEMS駆動部22は、リセット信号を受信すると、垂直方向の揺動を折り返す。
【0024】
以上により、MEMSミラー20の水平方向の揺動周期の1/2が1本のMEMS走査線に対応する期間となる。MEMSミラー20の垂直方向の揺動周期の1/2が1フレームに対応する期間となる。なお、MEMSミラー20の水平方向の揺動は、画像14の水平走査線に対応した揺動であり、物理的に水平方向の揺動でなくともよい。同様に、垂直方向の揺動は画像の垂直方向に対応した揺動であり、物理的に垂直方向の揺動でなくともよい。
【0025】
画像処理部36、フレームメモリ30、制御部32等はFGPA(Field Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を用い実現することができる。
【0026】
図3は、実施例1において画像を投影する走査線を示す模式図である。図3は、上面から見た図に相当する。図3を参照して、範囲50は、画像投影装置10の投影部18から出射される投影光12の範囲を示している。MEMSミラー20の揺動範囲は高速に変更できないため、範囲50の角度は一定である。範囲50は、中心線から左右に角度θの範囲である。また、MEMSミラー20の揺動周期は、高速に変更できないため、揺動周期は一定である。MEMSミラー20が走査する走査線をMEMS走査線とする。MEMS走査線は、水平走査線52と仮走査線51とを含んでいる。水平走査線52は画像14内のMEMS走査線を示している。投影光12を構成するレーザ光は、MEMSミラー20により水平走査線52のように走査される。一方、MEMSミラー20は画像14外の範囲も揺動する。画像14外では、レーザ光は投影部18から出射されない。例えば、レーザ出射部25がレーザ光を出射しない。仮走査線51は、レーザ光は走査されていないもののMEMSミラー20が揺動していることを示している。
【0027】
範囲50内の左上から走査が始まるとして説明する。まず、画像14の最も上の走査領域H1のMEMS走査線においては、画像14外では投影部18からレーザ光は出射されず、仮走査線51のようにMEMSミラー20が走査される。画像14内ではレーザ光が投影部18から出射され、水平走査線52が走査される。画像14外では仮走査線51が走査される。範囲50の右端で折り返し、垂直に一行下に下がり画像14外では仮走査線51が走査される。このようにして、仮走査線51と水平走査線52とが走査される。
【0028】
図4は、範囲50内の角度に対する走査線を示す模式図である。図4においては、画像14の上の(投影部18から最も遠い)走査領域H1、中間の走査領域Hmおよび画像14の下の(投影部18に最も近い)走査領域Hnを示している。実線は、画像14内の水平走査線52を示し、破線は画像14外の仮走査線51を示している。図4に示すように、走査領域H1では、範囲50内の水平走査線52の範囲の割合が小さい。走査領域Hnでは、範囲50内の水平走査線52の割合が大きくなる(図4の例では100%)。MEMSミラー20の揺動周期は一定であり、水平走査線52当りのピクセル数は、走査領域H1〜Hnで一定である。このため、投影部18から遠い走査領域H1においては、近い走査領域Hnに比べ、フレームメモリ30からピクセルデータを読み出す時間間隔を短くすることになる。
【0029】
図5は、範囲50内の角度に対する走査角速度を示す模式図である。図5に示すように、MEMSミラー20は、範囲50の中心に比べ折り返し位置で走査角速度が遅くなる。MEMSミラー20の揺動周期が一定であること、および折り返し位置で角速度が遅くなることは、MEMSミラー20において、機械的にミラーを揺動させるという構造的な制約による。
【0030】
図6は、時間に対する読み出されるピクセルデータを示す概念図である。横軸は時間を示している。MEMSミラー20の揺動周期Tのとき、MEMS走査線1本の期間は1/2×Tに相当する。水平走査線52内の1区画の期間54は1ピクセルデータに対応する。なお、図6では、1水平走査線52あたりのピクセルデータ数を簡略化して10ピクセルデータとしている。時間0において、図3の範囲50の左端からMEMSミラー20の走査が開始されるとすると、MEMS走査線は、時間1/4×Tにおいて、範囲50の中心を通過し、時間1/2×Tにおいて、範囲50の右端に到達する。時間T1と時間T2との間において、ピクセルデータがフレームメモリ30から読み出される。
【0031】
一方、走査領域Hnにおいては、時間0から時間1/2×Tの間において、ピクセルデータがフレームメモリ30から読み出される。走査領域H1に対し走査領域Hnにおいては、1ピクセルデータ当りの読み出し時間間隔が長くなる。例えば、H1の水平走査線52の中心付近の時間間隔T1cよりHnの水平走査線52の中心付近の時間間隔Tncが長い。同様に、H1の水平走査線52の端付近の時間間隔T1eよりHnの水平走査線52の端付近の時間間隔Tneが長い。さらに、図5において説明したように、MEMSミラー20の角速度の変調に起因し、水平走査線52の中心付近に比べ端付近の1ピクセルデータ当りの読み出し時間間隔が長くなる。例えば、H1の水平走査線52の中心付近の時間間隔T1cより端付近の時間間隔T1eが長い。Hnの水平走査線52の中心付近の時間間隔Tncより端付近の時間間隔Tneが長い。
【0032】
図7は、時間に対するリード信号を示す模式図である。図7は、走査領域H1およびHnにおいて、図6に示すような時間間隔でピクセルデータをフレームメモリ30から読み出すためのタイミングをフレームメモリ30に与えるリード信号を示している。例えば、リード信号のピークにおいて、フレームメモリ30はピクセルデータの出力を開始する。走査領域H1においては、ピクセルデータを読み出さない期間(T1より前およびT2より後)において、リード信号は振動しておらずピークを有さない。この期間においては、レーザ出射部25は、レーザ光を出射しない。リード信号は、H1に対しHnの周期が長い。例えば、時間間隔T1cおよびT1eより時間間隔TncおよびTneがそれぞれ長い。また、リード信号は、水平走査線52の中心付近に対応する時間より端付近に対応する時間における周期が長い。例えば、時間間隔T1cおよびTncより時間間隔T1eおよびTneがそれぞれ長い。
【0033】
図8は、リード信号生成回路の模式図である。リード信号生成回路60は制御部32に含まれている。図8に示すように、リード信号生成回路60は、VCO34、ミキサ62、メモリ64(記憶部)および波形生成部66を備える。メモリ64は、例えば不揮発性メモリであり、制御信号およびEN信号の波形のデータを記憶している。波形生成部66は、メモリ64に記憶された制御信号およびEN信号の波形のデータに基づき、水平同期信号に同期し、それぞれ制御信号VcおよびEN信号を生成する。VCO34には制御信号Vcが入力する。VCO34は、制御信号Vcに基づき出力する発振信号の周波数を変化させる。ミキサ62により発振信号とEN信号とがミキシングされる。ミキサ62は、EN信号が活性を示す(例えばハイレベル)の場合、発振信号をリード信号として出力し、EN信号が非活性を示す場合(例えばローレベル)の場合、発振信号を出力しない。例えば、ミキサ62は、リード信号として一定信号を出力する。
【0034】
図9(a)および図9(b)は、それぞれ時間に対する制御信号およびEN信号を示す図である。時間0から時間1/2×nTの期間58は、1フレームの画像データをフレームメモリ30から読み出す期間に相当する。期間56a〜56nはそれぞれ1本のMEMS走査線のデータをフレームメモリ30から読み出す期間に相当する。期間56aは、走査領域H1のデータを読み出す期間であり、期間56nは、走査領域Hnのデータを読み出す期間である。なお、期間56aから56nは、MEMS駆動部22が出力するリセット信号に同期して決定される。すなわち、期間56aから56nは、それぞれMEMSミラー20が揺動する周期の1/2に同期する。
【0035】
図9(a)に示すように、制御信号Vcは、時間0から時間1/2×nTにかけて減少する。これにより、VCO34が出力する発振信号は、走査領域H1からHnにかけて発振周波数が低くなる(すなわち、周期が長くなる)。さらに、制御信号Vcは、期間56a〜56nのそれぞれの中心で高く、両端で低くなる。これにより、VCO34が出力する発振信号は、走査領域H1からHn内のそれぞれの中心付近で発振周波数が高くなり、両端付近で低くなる(すなわち、中心付近で周期が短くなり周期が長くなる)。
【0036】
図9(b)に示すように、EN信号は、期間56aにおいて、時間0から時間T1、および時間T1から1/2×TまでEN信号はローレベルである(時間T1およびT2については図7を参照)。時間T1から時間T2までEN信号はハイレベルである。EN信号のハイレベルの期間THは、時間とともに徐々に長くなり、期間56nにおいては、期間内全てがハイレベルである。制御信号とEN信号は、時間1/2×nTからnTの期間においては、時間0から1/2×nT期間を反転した信号となる。
【0037】
図8のリード信号生成回路33に図9(a)の制御信号Vcおよび図9(b)のEN信号を入力することにより、図7のようなリード信号が生成される。制御信号VcおよびEN信号の波形は、投影光12と投影される平面との角度によって異なる。そこで、メモリ64は、様々な角度に対応する制御信号VcおよびEN信号の波形を記憶している。
【0038】
図10(a)から図10(d)は、実施例1のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。図10(a)および図10(c)は、フレームメモリ30に画像データを書き込む場合であり、図10(b)および図10(d)は、フレームメモリ30から画像データを読み出す場合である。フレームメモリ30の左に示した数字は、画像データ内の水平データ(水平走査線に対応するデータ)を書き込みまたは読み出す順番を示している。矢印は水平データの書き込みまたは読み出しする方向を示している。
【0039】
図10(a)に示すように、画像処理部36が画像データをフレームメモリ30に書き込む際に、上から順に水平データを同じ左から右方向に書き込む。図10(b)に示すように、制御部32が画像データをフレームメモリ30から読み出させる際に、上から順に水平データを互い違いに読み出させている。画像データの1フレームの最初の水平走査線においてMEMSミラー20が左から右に動くときには、図10(b)の一番上の水平データのように、制御部32は左から右に画像データを1水平走査線分読み出させる。次の水平走査線では、MEMSミラー20は右から左に動く。このときには、2番目の水平データのように、制御部32は右から左に画像データを1水平走査線分読み出させる。このように、MEMSミラー20の水平方向の揺動に対応し、制御部32はフレームメモリ30から画像データを読み出させることができる。
【0040】
図10(c)を参照し、フレームメモリ30からの1フレームの画像データの読み出しが終了すると、図10(a)と同様に、画像処理部36はフレームメモリ30に画像データを書き込む。MEMSミラー20は垂直方向にも揺動しているため、図10(d)に示すように、次のフレームにおいて制御部32が画像データを読み出させるときは、下から上に水平走査線のデータを互い違いに読み出させる。
【0041】
MEMSミラー20を用い、レーザ光を投影光12として出射し、投影部18が投影光12の出射方向に対して斜めに画像14を投影する場合、図3のように、MEMSミラー20の揺動範囲50が一定なため、画像14が歪んでしまう。実施例1によれば、図7のように、制御部32は、リード信号の間隔を投影部18から遠いH1の水平走査線を近いHnの水平走査線より短くする。これにより、図3のように画像14を矩形に投影することができる。リード信号の間隔は、H1の水平走査線からHnの水平走査線に行くにしたがい徐々に短いことが好ましい。
【0042】
また、図7のように、制御部32は、MEMSミラー20の水平方向の揺動のうち、折り返し付近ではリード信号を出力せず、リード信号を出力しない期間を、投影部18から遠いH1水平走査線を近いHnの水平走査線より長くする。これにより、図3のように、画像14の範囲外において、画像が投影されない。リード信号を出力しない期間は、H1からHnに行くにしたがい徐々に長くすることが好ましい。
【0043】
さらに、図7のように、制御部32は、リード信号の間隔を同じ水平走査線のうち中央を端より長くする。これにより、図5のように、MEMSミラー20が揺動範囲50の中央より端において角速度が遅い場合も、画像14内のピクセルの間隔を一定にできる。リード信号の間隔は、同じ水平走査線のうち中央から端に行くにしたがい徐々に長くすることが好ましい。
【0044】
さらに、図6のように、H1の水平走査線は、MEMSミラー20の揺動範囲50の一部であるため、H1の水平走査線の中央と端との角速度の差はHnの水平走査線より小さい。よって、図7のように、制御部32は、同じ水平走査線のうち中央と端とのリード信号の間隔差を、投影部18から遠いH1の水平走査線を近いHnの水平走査線より小さくすることが好ましい。例えば、T1e−T1cをTne−Tncより小さくする。または、(T1e−T1c)/(T1e+T1c)を(Tne−Tnc)/(Tne+Tnc)より小さくする。また、同じ水平走査線のうち中央と端とのリード信号の間隔差は、H1からHnに行くにしたがい徐々に小さくすることが好ましい。
【0045】
図8のように、制御部32はMEMSミラー20の水平同期信号Hsに基づきリード信号を生成する。これにより、MEMSミラー20とフレームメモリ30からのピクセルデータの読み出しを同期させることができる。なお、リード信号をMEMSミラー20の水平同期信号Hsと同期させると、フレームメモリ30への画像データの読み出しと書き込みの同期がとれないことがある。例えば、実施例1においては、水平同期信号Hsとは独立したクロック信号を用いフレームメモリ30に画像データを書きこんでいる。フレームメモリ30への画像データの読み出しと書き込みのタイミングがずれた場合は、1フレーム分の画像データを飛ばしたり、1フレーム分の画像データを2回用いるなどして読み出しと書き込みのタイミングを補正することができる。
【0046】
さらに、図8のように、制御部32は、VCO34を含み、リード信号をVCO34を用い生成する。リード信号の波形をメモリに直接記憶させようとすると、膨大なデータ量となる。また、波形の生成を高速に行なうことになる。これに対し、制御信号Vcの波形をメモリ64に記憶させ、制御信号Vcを制御電圧としてVCO34に印加することによりリード信号を生成する。これにより、リード信号を簡単に生成することができる。
【0047】
さらに、図8のように、制御部32は、メモリ64、波形生成部66、VCO34およびミキサ62を用いてリード信号を生成する。これにより、これにより、リード信号を簡単に生成することができる。
【0048】
図1(a)に示すように、画像投影装置10が、平面16上に設置され、平面16に画像14を投影する場合、特に画像14が歪みやすい。よって、この場合に制御部32が上記説明したリード信号を生成することが好ましい。
【0049】
レーザ出射部25から出射されるレーザ光の光強度が同じであっても、1ピクセルデータを投影する期間が変わると、画像14内のピクセルの輝度が変化してしまう。そこで、リード信号の間隔が長い場合、レーザ出射部25は、レーザ光の強度を小さくし、リード信号の間隔が短い場合、レーザ出射部25は、レーザ光の強度を大きくすることができる。例えば、レーザ出射部25は、投影部18から遠いH1の水平走査線を近いHnの水平走査線よりレーザ光の強度を大きくすることができる。各水平走査線におけるレーザ光の強度は、例えば画像処理部36内のルックアップテーブル等の記憶部に予め設定しておくことができる。
【実施例2】
【0050】
実施例2は、フレームメモリ30への画像データの書き込み読み出し方法が異なる例である。図11(a)から図11(d)は、実施例2のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。図11(a)および図11(c)は、フレームメモリに画像データを書き込む場合であり、図11(b)および図11(d)は、フレームメモリから画像データを読み出す場合である。フレームメモリ30の左の数字および矢印は、図10(a)から10(d)と同じ意味であり説明を省略する。また、画像投影装置の構成等は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0051】
図11(a)に示すように、画像処理部36が画像データをフレームメモリ30に書き込む際に、上から順に水平データを互い違いに書き込む。図11(b)に示すように、制御部32が画像データをフレームメモリ30から読み出させる際に、上から順に水平データを左から右方向に同じ方向に読み出させる。図11(c)に示すように、画像処理部36が次のフレームにおいて画像データをフレームメモリ30に書き込む際は、図11(a)と同様に、画像データを書き込む。図11(d)に示すように、制御部32が次のフレームの画像データをフレームメモリ30から読み出させる際に、下から順に水平データを左から右方向に同じ方向に読み出させる。このように、画像処理部36がフレームメモリ30に画像データを書き込む際は、水平走査線毎に互い違いにデータを書き込む。制御部32がフレームメモリ30から画像データを読み出させる際には、水平走査線毎に同じ方向にデータを読み出させる。以上によっても、実施例1の画像投影装置と同様に画像を投影することができる。
【0052】
実施例1の図10(a)から図10(d)および実施例2の図11(a)から図11(d)のように、フレームメモリ30は、水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し、互い違いの方向で出力することができる。これにより、MEMSミラー20の水平方向の揺動に対応し、フレームメモリ30は水平データを出力することができる。
【実施例3】
【0053】
実施例3は、フレームメモリ30への画像データの書き込み読み出し方法が異なる例である。図12(a)から図12(d)は、実施例3のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。図12(a)および図12(c)は、フレームメモリに画像データを書き込む場合であり、図12(b)および図12(d)は、フレームメモリから画像データを読み出す場合である。フレームメモリ30の左の数字および矢印は、図10(a)から10(d)と同じ意味であり説明を省略する。また、画像投影装置の構成等は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0054】
図12(a)から図12(c)の処理は、実施例1の図10(a)から図10(c)と同じであり、説明を省略する。図12(d)に示すように、制御部32が次のフレームを読み出させる際において、一番上の水平データから下に向かい互い違いに画像データを読み出させる。
【0055】
図13は、実施例3の時間に対する制御信号を示す図である。図13のように、1フレームの処理終了後、MEMSミラー20を一番上の水平走査線位置まで移動させる。その後、前のフレームと同じ制御信号を用いる。実施例3のように、MEMSミラー20は上下に揺動させず、1フレーム終了後に一番上の水平走査線位置に移動させることもできる。これにより、図12(d)のように、次のフレームの画像データの読み出しを図12(b)と同様に行なうことができる。
【実施例4】
【0056】
実施例4は、画像投影装置を縦置きする場合の例である。図14は、実施例4の画像投影装置の平面図である。図14に示すように、画像投影装置10を立てて用いる場合がある。この場合、MEMSミラー20の動作が実施例1と同様にし、図1(b)の場合と同じ画像14を投影するためには、画像データの水平と垂直とを入れ替えることになる。
【0057】
図15(a)から図15(d)は、実施例4のフレームメモリ内の画像データの書き込みおよび読み出しを示す模式図である。図15(a)および図15(c)は、フレームメモリ30に画像データを書き込む場合であり、図15(b)および図15(d)は、フレームメモリ30から画像データを読み出す場合である。図15(a)および図15(c)において、フレームメモリ30の左に示した数字は、画像データ内のデータを書き込む順番を示している。図15(b)および図15(d)において、フレームメモリ30の下に示した数字は、画像データ内の水平走査線のデータを読み出す順番を示している。矢印はデータの書き込みまたは読み出しする方向を示している。画像投影装置の構成等は実施例1と同様であり説明を省略する。
【0058】
図15(a)および図15(c)に示すように、画像処理部36が画像データを書き込む処理は、実施例1の図10(a)および図10(c)と同じであり、説明を省略する。図15(b)に示すように、制御部32が画像データを読み出させる際は、水平データを垂直方向に左から右に互い違いに読み出させる。図15(d)に示すように、制御部32が次のフレームの画像データを読み出させる際は、水平データを垂直方向に右から左に互い違いに読み出させる。
【0059】
以上のように、フレームメモリ30は、水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し直交方向で出力することができる。これにより、図14のように、画像投影装置10を立てて画像14を投影することができる。同様に、画像投影装置10を斜めに配置した場合も、フレームメモリ30内の斜め方向のデータを水平走査線に対応するデータとして出力することにより画像14を投影することができる。
【0060】
以上、発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 画像投影装置
12 投影光
14 画像
20 MEMSミラー
25 レーザ出射部
30 フレームメモリ
32 制御部
34 VCO
60 リード信号生成回路
62 ミキサ
64 メモリ
66 波形生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投影光の出射方向に対して斜めに画像を投影する投影部と、
前記画像の画像データを保持し、前記画像データをピクセルデータ毎にリード信号に同期させ出力するフレームメモリと、
出力された前記ピクセルデータに応じレーザ光を出射するレーザ出射部と、
前記レーザ光を走査し投影光として出射するMEMSミラーと、
前記リード信号の間隔を前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より短くする制御部と、
を具備することを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記MEMSミラーの水平方向の揺動のうち、折り返し付近では前記リード信号を出力せず、前記リード信号を出力しない期間を、前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より長くすることを特徴とする請求項1記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記リード信号の間隔を同じ水平走査線のうち中央を端より長くすることを特徴とする請求項1または2記載の画像等投影装置。
【請求項4】
前記制御部は、同じ水平走査線のうち中央と端との前記リード信号の間隔差を、前記投影部から遠い水平走査線を近い水平走査線より小さくすることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の画像等投影装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記MEMSミラーの水平同期信号に基づき、前記リード信号を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記制御部は、VCOを含み、前記リード信号を前記VCOを用い生成することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記制御部は、
制御信号およびEN信号の波形のデータを記憶する記憶部と、
前記MEMSミラーの水平同期信号に同期し、前記制御信号およびEN信号の波形のデータに基づき前記制御信号および前記EN信号を生成する波形生成部と、
前記制御信号に基づき出力する発振信号の周波数を変化させるVCOと、
前記EN信号が活性を示す場合、前記発振信号をリード信号として出力し、前記EN信号が非活性を示す場合、前記発振信号を出力しないミキサと、
を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記フレームメモリは、前記水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し、互い違いの方向で出力することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の画像投影装置。
【請求項9】
前記フレームメモリは、前記水平走査線に対応するデータを書き込まれた方向に対し直交方向で出力することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の画像投影装置。
【請求項10】
前記画像投影装置は、平面上に設置され、前記平面に前記画像を投影することを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の画像投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−105108(P2013−105108A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250164(P2011−250164)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(506423051)株式会社QDレーザ (26)
【Fターム(参考)】