説明

画像提示装置、画像提示方法、およびプログラム

【課題】適切なタイミングで観察者に提示する画像を切り替えることができる画像提示装置を提供する。
【解決手段】画像を提示する画像提示装置であって、複数の画像を順次表示する表示部と、前記表示部が表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部と、前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを、前記生体信号取得部が取得した信号値に基づいて制御する表示制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像提示装置、画像提示方法、およびプログラムに関する。特に、本発明は、画像を提示して、画像を観察する観察者の精神をコントロールすべく画像を提示する画像提示装置、画像提示方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明において、精神のコントロールとは、苦手克服、リラックス、集中力の向上、及び脳の活性化等を意味する。このような精神のコントロールを実現する従来技術が提案されている。具体的には、患者をリラックス状態にするアルファ波の発生を促すリラクセーション装置と、恐怖対象の画像および音響を患者に提示するバーチャルリアリティ装置とを備える、恐怖症治療装置について提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の恐怖症治療装置は、リラクセーション装置とバーチャルリアリティ装置とを交互に作動させることにより、患者の恐怖症の治療をする。
【特許文献1】特開平11−155955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載の恐怖症治療装置では、患者の恐怖感が大きくなった場合、および患者が耐え難いほど不安感が大きくなった場合には、操作員がバーチャルリアリティ装置による患者への恐怖対象の画像および音響の提示を停止させる。続いて、操作員が、患者の脳波に含まれるアルファ波の発生を誘導すべくリラクセーション装置を作動させる。したがって、患者の心理状態および恐怖感に対応して、患者の恐怖症治療に適切な画像および音響の提示を自動的にできない場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、画像を提示する画像提示装置であって、複数の画像を順次表示する表示部と、表示部が表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部と、表示部が表示している画像の次の画像を表示部に表示させるタイミングを、生体信号取得部が取得した信号値に基づいて制御する表示制御部とを備える。
【0005】
また、画像提示装置は、予め定められた生体信号の比較値を格納する比較値格納部と、生体信号取得部が取得した信号値を、比較値と比較する生体信号値比較部とをさらに備えてもよく、表示制御部は、生体信号値比較部による比較結果に基づいて、次の画像を表示部に表示させるタイミングを制御してもよい。
【0006】
また、表示制御部は、生体信号取得部が取得した信号値が、比較値に達した場合に、次の画像を表示部に表示させてもよい。
【0007】
また、比較値格納部は、生体信号の第1比較値、及び第1比較値より大きい値である第2比較値を格納してもよい。また、表示制御部は、生体信号取得部が取得する信号値を、第1比較値と第2比較値との間に維持させるべく、次の画像を表示部に表示させるタイミングを制御してもよい。
【0008】
また、表示制御部は、生体信号取得部が取得した信号値が、第1比較値と第2比較値との間の範囲外にある場合に、次の画像を表示部に表示させてもよい。また、表示制御部は、生体信号取得部が取得した信号値が、第1比較値と第2比較値との間の範囲外に、予め定められた所定時間停滞した場合に、次の画像を表示部に表示させてもよい。
【0009】
また、比較値格納部は、表示部が画像の表示を開始してからの経過時間毎に比較値を格納してもよい。この場合、生体信号値比較部は、生体信号取得部が取得した信号値を、表示部が画像の表示を開始してからの経過時間に対応する比較値と比較してもよい。
【0010】
表示制御部は、画像の表示を終了させた後、次の画像の表示を開始させる前に、表示部に画像を表示しない、又は予め設定されたインターバル画像を表示する期間であるインターバル期間を設けてもよい。
【0011】
また、表示制御部は、表示部が表示している画像の次の画像を表示部に表示させるタイミングを、生体信号取得部がインターバル期間に取得した信号値に基づいて制御してもよい。
【0012】
表示制御部は、表示部が表示している画像の次の画像を表示部に表示させるタイミングを、表示部が画像を表示している表示期間に取得した信号値、及び生体信号取得部がインターバル期間に取得した信号値に基づいて制御してもよい。
【0013】
表示制御部は、表示部が画像を表示している表示期間に取得した信号値による制御より、生体信号取得部がインターバル期間に取得した信号値による制御の重みを大きくして、表示部が表示している画像の次の画像を表示部に表示させるタイミングを制御してもよい。
【0014】
画像提示装置は、画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を示す生体信号情報を、当該信号値が取得されたときに観察されていた画像に対応づけて格納する生体信号情報格納部と、生体信号取得部が取得した信号値、及び生体信号情報格納部が格納している生体信号情報に基づいて、次に表示部に表示させる画像を選択する画像選択部とをさらに備えてもよい。この場合、表示制御部は、画像選択部が選択した画像を表示部に表示させてもよい。
【0015】
画像提示装置は、画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値の変化を示す生体変化情報を、当該信号値が取得されたときに観察されていた画像に対応づけて格納する生体変化情報格納部と、生体信号取得部が取得した信号値、及び生体変化情報格納部が格納している生体変化情報に基づいて、次に表示部に表示させる画像を選択する画像選択部とをさらに備えてもよい。この場合、表示制御部は、画像選択部が選択した画像を表示部に表示させてもよい。
【0016】
また、本発明の第2の形態においては、画像を提示する画像提示方法であって、複数の画像を順次表示する表示段階と、表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得段階と、表示している画像の次の画像を表示させるタイミングを、生体信号取得段階において取得した信号値に基づいて制御する表示制御段階とを備える。
【0017】
また、本発明の第3の形態においては、画像を提示する画像提示装置用のプログラムであって、画像提示装置を、複数の画像を順次表示する表示部と、表示部が表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部と、表示部が表示している画像の次の画像を表示部に表示させるタイミングを、生体信号取得部が取得した信号値に基づいて制御する表示制御部と、として機能させる。
【0018】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、適切なタイミングで観察者に提示する画像を切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像提示装置10の概要を示す。画像提示装置10は、観察者200を撮像する撮像部100、観察者200の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部115、画像を表示する表示部160、および表示部160を制御して画像を表示させる表示制御部150を備える。画像提示装置10は、表示部160に観察者200に提示する画像を表示する。そして、画像提示装置10は、観察者200の生体信号の信号値に応じて、画像を順次変更させつつ表示部160に表示する。なお、本発明において、表示部160が表示する画像には、後に詳述する観察画像とインターバル画像とが含まれる。
【0022】
図2は、本実施形態に係る画像提示装置10の機能構成の一例を示す。画像提示装置10は、撮像部100、比較値格納部120、生体信号情報格納部121、画像選択部122、身体状況取得部110、刺激制御ユニット15、刺激提示ユニット16、刺激格納ユニット14、追従速度抽出部128、追従速度格納部138、電子カルテ格納部170、生体信号測定装置180、および観察者視線測定部195を備える。また、身体状況取得部110は、生体信号取得部115、身体状況解析部112および生体情報解析部114を有する。なお、生体信号測定装置180は、画像提示装置10に内蔵されず、種々の生体信号に対応すべく別途交換可能に提供されてもよい。
【0023】
刺激格納ユニット14は、観察画像格納部140、インターバル画像格納部142、圧力格納部143、振動格納部146、および音格納部145を有する。また、刺激制御ユニット15は、音制御部155、表示制御部150、振動制御部156、および圧力制御部153を有する。また、刺激提示ユニット16は、振動再生部166、圧力再生部163、表示部160、および音再生部165を有する。
【0024】
観察画像格納部140は、表示部160に順次表示する複数の観察画像を識別すべく観察画像毎に割り当てられた画像識別情報に対応付けて、複数の観察画像を格納する。ここで、観察画像とは、観察者の精神に影響を及ぼすべく表示される画像である。例えば、観察画像は、観察者200とかかわりの深い個人画像であってよい。個人画像は、例えば、観察者200が自ら撮影した画像、観察者200自身が写った画像等であってよい。個人画像は、観察者200に提示された場合に観察者200の精神に及ぼす影響が大きい傾向があるため、観察者200の精神を比較的容易にコントロールできる。
【0025】
また、観察画像格納部140は、観察者200がより強い刺激を感じると考えられる3次元の画像、および、観察者200が感じる刺激が3次元の画像を見たときよりも低いと考えられる2次元の画像を観察画像として格納してよい。また、観察画像格納部140は、3次元の画像を観察画像として格納する場合において、飛び出し具合の異なる複数の観察画像を格納してもよい。
【0026】
音格納部145は、画像識別情報に対応づけて、当該観察画像に対応する音を格納する。具体的には、音格納部145は、満員電車の画像を観察画像として観察画像格納部140に格納する場合には、満員電車内における音、すなわち、電車が走行音、乗客の話し声、および車掌のアナウンス等を格納する。観察画像格納部140は、表示制御部150の制御に基づいて表示部160に表示すべき観察画像を表示制御部150に供給する。また、音格納部145は、音制御部155の制御に基づいて、表示部160に表示すべき観察画像に対応づけられた音を音制御部155に供給する。また、音格納部145は、ドップラー効果、サラウンド効果、音量の変化等を利用して音源が移動しているように感じる音を格納してよい。
【0027】
振動格納部146は、画像識別情報に対応づけて、当該観察画像に対応する振動を格納する。具体的には、振動格納部146は、満員電車の画像を観察画像として観察画像格納部140に格納する場合には、その観察画像の画像識別情報に対応付けて電車の振動を格納する。振動格納部146は、振動制御部156の制御に基づいて、表示部160に表示すべき観察画像に対応づけられた振動を振動制御部156に供給する。
【0028】
圧力格納部143は、画像識別情報に対応づけて、当該観察画像に対応する圧力を格納する。具体的には、圧力格納部143は、満員電車の画像を観察画像として観察画像格納部140に格納する場合には、その観察画像の画像識別情報に対応付けて満員電車に乗っているときに周囲の乗客に押されたときの圧力を格納する。圧力格納部143は、圧力制御部153の制御に基づいて、表示部160に表示すべき観察画像に対応づけられた圧力を圧力制御部153に供給する。
【0029】
インターバル画像格納部142は、表示部160に観察画像を表示させることをやめてから、次の観察画像を表示させるまでの間(後述するインターバル期間)に表示部160に表示するインターバル画像を格納する。インターバル画像は、生体反応に影響を及ぼさない内容の画像であることが望ましい。例えば、インターバル画像格納部142は、インターバル画像として、グレー画像、十字マーク等の特定のパターンの画像を格納してもよい。
【0030】
撮像部100は、表示部160が表示している観察画像を見ている観察者200、および観察画像を見た後のインターバル期間における観察者200を撮像する。撮像部100は、観察者200の表情を識別できる解像度、観察者200の瞳孔の大きさの変化を識別できる解像度、および観察者200の動作を撮像できる解像度で観察者200を撮像する。また、画像提示装置10は、複数の撮像部100を備えていてもよい。更に、撮像部100は、3次元カメラ、および全方位カメラであってもよい。撮像部100は、撮像した観察者200の画像を身体状況取得部110が有する身体状況解析部112に供給する。
【0031】
身体状況取得部110は、表示部160が表示している観察画像を見ている観察者200の身体状況、および観察画像を見た後のインターバル期間における観察者200の身体状況を取得する。具体的には、身体状況取得部110が有する生体信号取得部115が、観察者200の生体反応を示す生体信号の信号値を生体信号測定装置180から観察者200の身体状況として取得する。本実施形態における生体信号取得部115は、脳血流量を示す信号を取得する。より具体的には、本実施形態の生体信号測定装置180は、近赤外血流測定を利用した脳内血流測定装置であり、生体信号取得部115は、脳血流量を示す生体信号として脳内酸素化ヘモグロビン量の値を示す信号値を、生体信号測定装置180から取得する。脳内酸素化ヘモグロビン量は、脳の活性化の度合いと密接に関連するので、観察者200の脳の活性度を所定の状態に制御する場合の指標として用いられてよい。
【0032】
他の生体信号として、生体信号取得部115は、観察者200の心拍数、血圧、呼吸量、体温、脳波、脳磁、発汗、唾液成分を示す信号をこれらの生体信号を測定する生体信号測定装置180から取得してもよい。これらの生体信号を測定する生体信号測定装置180としては、例えば、脈拍計、血圧計、呼吸量測定装置、体温計、脳波計、脳磁計、核磁気共鳴画像法(MRI)、発汗計、唾液成分分析装置等が挙げられる。
【0033】
また、生体信号取得部115が取得する生体信号は、1種類に限られず、複数種類の生体信号を取得してもよい。生体信号取得部115は、取得した生体信号の信号値表示制御部150に提供する。
【0034】
身体状況取得部110は、生体信号取得部115が取得する生体信号の変化量を観察者200の身体状況として取得してもよい。具体的には、身体状況取得部110が有する生体情報解析部114が、生体信号取得部115から観察者200の生体信号の信号値を取得する。例えば、画像提示装置10は、観察者200に刺激を与えにくい画像を表示部160に表示する。この場合において、生体情報解析部114は、生体信号取得部115から受け取った観察者200の生体信号の信号値を、安静時における観察者200の生体信号の信号値として取得する。
【0035】
次に、画像提示装置10は、観察画像を表示部160に表示する。生体情報解析部114は、この場合における観察者200の生体信号の信号値を、安静時における観察者200の生体信号の信号値と比較して、その差を観察者200の身体状況として取得する。
【0036】
また、身体状況取得部110は、有する身体状況解析部112が撮像部100から受け取った観察者200の撮像画像を解析することにより観察者200の身体状況を取得してもよい。例えば、身体状況解析部112は、予め定められた時間間隔で撮像部100が撮像した複数の撮像画像から観察者200の動作を検出する。続いて、身体状況解析部112は、検出した観察者200の動作が予め定められた動作のいずれに該当するか否かを判断する。
【0037】
予め定められた動作は、観察者200の表情の変化(笑顔から無表情への変化等)、瞬きの有無、瞬きの回数、瞳孔の大きさ、目をそらす動作、目をつぶる動作、体をのけぞる動作、顔を背ける動作、およびうつむく動作、震え等であってよい。例えば、観察者200の顔領域を肌色抽出で抽出して、抽出した顔領域の面積の変化に基づいて、顔を背ける動作を観察者200がしているか否かを判断してよい。身体状況解析部112は、検出した動作に基づき身体状況を算出してよい。
【0038】
更に、身体状況解析部112は、撮像部100から受け取った観察者200の撮像画像を解析することにより、観察者200の動作の単位時間当たりの変化量を取得してもよい。観察者200の動作の単位時間当たりの変化量は、例えば、観察者200の瞬きの回数の単位時間当たりの変化量、瞳孔の大きさの単位時間当たりの変化量、および視線の位置の単位時間あたりの変化量等であってよい。具体的には、身体状況解析部112は、撮像部100から予め定められた時刻ごとに観察者200の撮像画像を受け取る。そして、身体状況解析部112は、受け取った複数の撮像画像をそれぞれ解析して、観察者200の動作の単位時間当たりの変化量を身体状況として算出してよい。
【0039】
例えば、画像提示装置10は、まず観察者200に観察者200に刺激を与えにくい画像を表示部160に表示する。この場合において、身体状況解析部112は、撮像部100から受け取った撮像画像を解析して、安静時における単位時間当たりの観察者200の瞬きの回数を算出する。次に、画像提示装置10は、観察者200に観察画像を提示する。この場合において、身体状況解析部112は、予め定められた時刻ごとに撮像部100から受け取った撮像画像を解析して、観察者200の単位時間当たりの瞬きの回数を算出する。そして、身体状況解析部112は、安静時における観察者200の単位時間当たりの瞬きの回数と、観察者200が観察画像を観察している状態での単位時間当たりの瞬きの回数とを比較して、単位時間当たりの観察者200の瞬きの回数の変化量を算出する。身体状況解析部112は、取得した観察者200の動作、および単位時間当たりの観察者200の動作の変化量を観察者200の身体状況として表示制御部150に供給する。
【0040】
更に、身体状況取得部110は、身体状況解析部112が取得した観察者200の動作、および単位時間当たりの観察者200の動作の変化量を電子カルテ格納部170に供給する。また、身体状況取得部110は、生体情報解析部114が取得した観察者200の生体信号の信号値、および単位時間当たりの観察者200の生体信号の信号値の変化量を電子カルテ格納部170に供給する。電子カルテ格納部170は、時刻に対応づけて、観察者200の動作、および生体信号の信号値等を格納する。電子カルテ格納部170は、身体状況取得部110の制御に基づいて、過去の観察者200の動作、および生体信号の信号値等を身体状況解析部112および生体情報解析部114に供給してもよい。例えば、身体状況解析部112は、電子カルテ格納部170から受け取った過去の観察者200の動作と撮像部100から受け取った撮像画像を解析して取得した観察者200の動作とを比較して、観察者200の動作の変化を検出してもよい。また、生体情報解析部114は、電子カルテ格納部170から受け取った観察者200の過去の生体信号の信号値と、生体信号取得部115から受け取った観察者200の生体信号の信号値とを比較して、生体信号の信号値の変化量を検出してもよい。
【0041】
比較値格納部120は、表示部160に次の画像を表示するタイミングを決定するとき生体信号取得部115が取得する生体信号の信号値と対比する比較値を格納する。比較値格納部120が格納する比較値は、期待される観察者200の精神状態に対応した値が格納される。すなわち、比較値は、観察者200の精神をコントロールときの期待値となる。比較値は予めユーザによって設定されてよい。本実施形態の比較値格納部120は、比較値として、第1比較値と、第1比較値よりも大きな値の第2比較値とを格納する。
【0042】
比較値格納部120が格納する比較値は、一時点において一つの値であってもよい。また、比較値格納部120が格納する比較値は時間によらず一定の値でもよい。また、比較値格納部120が格納する比較値は時間とともに変化する値であってもよい。例えば、比較値格納部120が深い睡眠につく場合の生体信号値の変化を再現する比較値を格納してもよい。この場合、表示制御部150が生体信号の信号値をその比較値に追従させるように観察画像を提示するタイミングを制御することで、観察者200を深い睡眠に効果的に導入することができる。比較値格納部120はこのような比較値の変化パターンを複数格納してもよく、ユーザが目的に合わせて変化パターンを選択してもよい。
【0043】
表示制御部150は、生体信号取得部115から受け取った観察者200の生体信号の信号値に応じて、表示部160が表示している観察画像を次の観察画像へと変化させるタイミングを制御する。例えば、表示制御部150は、生体信号取得部115が取得した信号値が、比較値格納部120に格納された比較値と比較して、その比較結果に基づいて次の画像を表示部160に表示させるタイミングを示すタイミング信号を表示部160に供給してよい。より具体的には、表示制御部150は、生体信号取得部115が取得した信号値が比較値に達したときに次の観察画像を表示部160に表示させるタイミングを示すタイミング信号を表示部160に供給してよい。また、表示制御部150は、生体信号取得部115が取得した信号値が比較値から、所定の値だけ乖離したときに次の観察画像を表示部160に表示させるタイミングを示すタイミング信号を表示部160に供給してもよい。
【0044】
本実施形態の表示制御部150は、生体信号取得部115が取得した信号値が下降して比較値格納部120に格納された第1比較値に達した場合、又は生体信号取得部115が取得した信号値が上昇して比較値格納部120に格納された第2比較値に達した場合に、次の観察画像を表示部160に表示させる。これにより、表示制御部150は、生体信号の信号値が第1比較値と第2比較値の間の範囲から外れようとする場合に、生体信号の信号値を第1比較値と第2比較値の間の範囲に維持させるべく、次の観察画像を表示部160に表示させる。
【0045】
また、表示制御部150は、生体信号取得部115が取得した信号値が、予め定められた所定時間に渡って、第1比較値と第2比較値との間の範囲外にある場合に、次の観察画像を表示部160に表示させてもよい。これにより、生体信号の信号値を第1比較値と第2比較値との間の範囲に近づける効果の低い観察画像を表示し続けることを避けることができる。
【0046】
本実施形態の表示制御部150は、現在表示している観察画像の表示を終了してから次の観察画像を表示するまでの間に、観察者200に観察画像格納部140に格納された観察画像を提示しないインターバル期間を設ける。なお、他の実施形態においては、表示制御部150は、インターバル期間を設けずに現在表示している観察画像の表示を終了してから直ちに次の観察画像を表示してもよい。
【0047】
例えば、本実施形態の表示制御部150は、インターバル期間においてインターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示部160に表示させる。他の方法として、表示制御部150は、インターバル期間において表示部160に一切の画像を表示することを停止させてもよい。また、表示制御部150は、インターバル期間において観察者200が表示部160を見ることができないよう、表示部を遮蔽してもよい。
【0048】
本実施形態の表示制御部150は、観察画像を表示部160に表示し始めてから所定の時間が経過すると観察画像の表示を終了して、インターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示部160に表示する。なお、観察画像を表示部160に表示し始めてからインターバル期間に移行するまでの所定の時間は任意に設定することができる。なお、本実施形態ではこの時間を6秒とする。他の方法として、表示制御部150は、表示期間に生体信号取得部115が取得した生体信号に応じて、観察画像の表示を終了して、インターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示部160に表示してもよい。
【0049】
生体信号は、その種類によって応答速度、応答のタイミング等が異なる。例えば、脳内酸素化ヘモグロビン量は、観察者200が観察画像を見るのをやめた後でその信号値に変化が生じる傾向がある。また、脳波は、観察者200が観察画像を観察し始めてから6秒程度の短期間で応答する傾向がある。このような生体信号の種類によって異なる応答特性に対応して、生体信号取得部115は、表示部160に観察画像が表示されている表示期間における生体信号、および表示部160に観察画像が表示されていないインターバル期間における生体信号の少なくとも一方を取得する。
【0050】
本実施形態の生体信号取得部115は、観察者200が観察画像を見るのをやめた後で生体信号の信号値に変化が生じる傾向がある脳内酸素化ヘモグロビン量を生体信号としてその信号値を取得する。このため、本実施形態の表示制御部150は、インターバル期間に生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値に基づいて次の観察画像を表示部160に表示する。他の生体信号に基づいて次の観察画像を提示するタイミングを制御する場合には、表示制御部150は、表示期間に生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値に基づいて次の観察画像を表示部160に表示してもよい。
【0051】
また、表示制御部150は、インターバル期間の長さを、生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値によらず一定時間としてもよい。この場合、表示制御部150は表示期間からインターバル期間に移行するタイミングを制御する。
【0052】
また、表示制御部150は、表示期間に生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値とインターバル期間に生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値の両方に基づいて次の観察画像を表示部160に表示してもよい。この場合、表示制御部150は、表示部160が観察画像を表示している期間に生体信号取得部115が取得した生体信号の信号値、およびインターバル期間に生体信号取得部115が取得した信号値に重み付けをして、次の観察画像を表示するタイミングを制御してもよい。
【0053】
例えば、比較値格納部120が格納する第1比較値と第1比較値より大きな第2比較値の間の範囲に生体信号取得部115が取得する信号値を維持させるべく制御する場合において、インターバル期間における生体信号の信号値により大きな重みを持たせる場合には、表示制御部150は、比較値格納部120が格納する第1比較値に1より大きい第1の係数、第2比較値に第2の所定の係数をそれぞれ乗算して得られる値を、インターバル期間における第1比較値および第2比較値とみなして、次の観察画像を表示するタイミングを制御してもよい。すなわち、インターバル期間における第1比較値と第2比較値との間の範囲が、観察画像表示中の第1比較値と第2比較値との間の範囲よりも実質的に狭くなる。
【0054】
また、他の例としては、生体信号取得部115が取得した信号値が予め定められた所定時間に渡って第1比較値と第2比較値との間の範囲外にある場合に、次の観察画像を表示部160に表示させるよう制御する場合において、インターバル期間における生体信号の信号値により大きな重みを持たせる場合には、表示制御部150は、インターバル期間における所定の期間を観察画像表示中の所定の期間よりも短く設定してもよい。すなわち、インターバル期間中は観察画像を表示しているときよりも、生体信号取得部115が取得した信号値が第1比較値と第2比較値との間の範囲外にあることが許容されない。
【0055】
生体信号情報格納部121は、生体信号の信号値を取得した表示期間、又は生体信号の信号値を取得したインターバル期間の直前の表示期間に表示していた画像識別情報に対応付けて、取得した生体信号の信号値の特徴量を示す生体信号情報を格納する。例えば、生体信号情報格納部121は、生体信号情報として、表示期間における観察者200の生体反応を示す生体信号の信号値、およびインターバル期間における観察者200の生体反応を示す生体信号の信号値の少なくとも一方を格納してよい。また、生体信号情報格納部121は、画像識別情報に対応付けて、生体信号の信号値について単位時間当たりの変化量、最大又は最小の信号値、所定の信号値の範囲を維持した期間等を、生体信号情報として格納してもよい。
【0056】
生体信号情報格納部121は、複数の観察画像のそれぞれに対応する観察者200の生体信号の信号値の特徴量を予め測定して格納してもよい。また、生体信号情報格納部121は、複数の観察画像のそれぞれに対応する観察者200の生体信号の信号値の特徴量を、観察画像を表示部160に提示する都度更新して格納してもよい。
【0057】
画像選択部122は、生体信号取得部115が取得した信号値、及び生体信号情報格納部121が格納している生体信号情報に基づいて、次に表示部160に表示させる観察画像を選択する。例えば、画像選択部122は、生体信号取得部115が取得した信号値が第1比較値よりも小さな値の場合には、単位時間当たりの変化量が正の値である観察画像を選択してよい。また、画像選択部122は、観察者200の生体反応を示す生体信号の信号値が第1比較値と第2比較値の間の値である観察画像を選択してよい。
【0058】
画像選択部122が次に表示部160に表示させる観察画像を選択する実施形態においては、表示制御部150は画像選択部122が選択した観察画像を表示部160に表示させてよい。また、画像選択部122が次に表示部160に表示させる観察画像を選択しない実施形態においては、表示制御部150は、観察画像格納部140に格納された観察画像をランダムな順番で表示部160に表示させてよい。
【0059】
表示部160は、表示制御部150の制御に基づいて、画像を表示する。なお、モニタ、および立体テレビ等の表示装置は表示部160の一例である。音再生部165は、表示部160が表示している観察画像に対応する音を、音制御部155の制御に基づいて再生する。画像提示装置10は、複数の音再生部165を有していてもよい。画像提示装置10が複数の音再生部165を有している場合には、表示部160が観察画像を表示した場合における臨場感を、音再生部165が一つだけのときよりも高めることができる。
【0060】
振動再生部166は、表示部160が表示している観察画像に対応する振動を、振動制御部156の制御に基づいて再生して、観察者に与える。例えば、振動再生部166は、観察者200を支持する支持部材1660を振動させることによって、観察者200に振動を与えてよい。より具体的には、観察者200が座る椅子を支持部材1660として、椅子を振動させてもよい。また、観察者200を診察するときに用いる部屋の床を支持部材1660として、部屋自体を振動させてもよい。
【0061】
また、圧力再生部163は、表示部160が表示している観察画像に対応する圧力を、圧力制御部153の制御に基づいて再生して、観察者に与える。圧力再生部163は、観察者200が着用する、風船が内蔵された衣服であってもよい。また、圧力再生部163は、観察者200を診察するときに用いる部屋に配置された風船であってもよい。いずれの場合も風船を膨らませることにより、観察者200を圧迫して表示部160が表示している観察画像に対応する圧力をより高い臨場感で再現することができる。
【0062】
観察者視線測定部195は、撮像部100が撮像した観察者の画像から観察者の視線方向を検出する。表示制御部150は、表示部160における観察者視線測定部195が検出した視線方向の位置に、観察画像を表示してもよい。また、表示制御部150は、観察画像の表示位置を観察者の視線方向に追従させてもよい。
【0063】
追従速度格納部138は、観察者200の身体状況に対応づけて、表示部160が表示する画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を格納する。また、追従速度格納部138は、観察者200の身体状況である観察者200の動作、または観察者200の動作の単位時間当たりの変化量に対応づけて、表示部160に表示する観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を格納してもよい。
【0064】
また、追従速度格納部138は、観察者200が過度のストレスを感じていることを示す身体状況に対応付けて、表示追従速度として0(ゼロ、追従しないで停止する)を格納してもよい。観察者200が過度のストレスを感じていることを示す身体状況とは、例えば、所定の時間以上継続して目をつぶっていること、所定の時間以上継続して観察画像から目線を外していること、心拍数の変化量が所定の値を超えていること等である。観察者200が過度のストレスを感じていることを示す身体状況とは、例えば、心拍数の変化量が所定の値を超えていること等である。
【0065】
そして、追従速度格納部138は、観察者200の身体状況である観察者200の生体情報、または観察者200の生体情報の単位時間当たりの変化量に対応づけて、表示部160が表示する観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を格納してもよい。追従速度格納部138は、追従速度抽出部128の制御に基づいて、観察画像を観察者200の視線に追従させる速度を表示制御部150に供給する。
【0066】
追従速度抽出部128は、身体状況取得部110が取得した観察者200の身体状況に対応づけて追従速度格納部138が格納している、観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を抽出する。具体的には、追従速度抽出部128は、身体状況取得部110が有する身体状況解析部112が取得した観察者200の身体状況に対応づけて追従速度格納部138が格納している、観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を抽出する。
【0067】
更に、追従速度抽出部128は、身体状況解析部112が取得した観察者200の動作、または観察者200の動作の単位時間当たりの変化量に対応づけて追従速度格納部138が格納している、観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を抽出する。そして、追従速度抽出部128は、身体状況解析部112が取得した観察者200の生体情報、または観察者200の生体情報の単位時間当たりの変化量に対応づけて追従速度格納部138が格納している、観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を抽出してもよい。
【0068】
表示制御部150は、追従速度抽出部128が抽出した観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度に応じて、観察画像を観察者200の視線方向に追従させつつ表示部160に表示させる。例えば、追従速度格納部138は、観察者200の生体信号の信号値に対応付けて観察画像を観察者200の視線方向に追従させる速度を格納する。具体的には、追従速度格納部138は、観察者200の生体信号の信号値が比較値格納部120に格納された第1比較値未満の場合に対応付けて第1追従速度を格納してもよい。また、追従速度格納部138は、生体信号の信号値が第1比較値と第2比較値の間の範囲にある場合に対応付けて第1追従速度よりも遅い第2追従速度を格納してもよい。また、追従速度格納部138は、生体信号の信号値が第2比較値以上の場合に対応付けて表示追従速度として0(ゼロ、追従しないで停止する)を格納してもよい。
【0069】
そして、追従速度抽出部128は、生体信号取得部115の取得した生体信号の信号値に応じて観察画像を観察者200の視線の方向に追従させる速度を抽出して、表示制御部150に供給する。表示制御部150は、追従速度抽出部128から受け取った速度に応じて、観察画像を観察者200の視線の方向に追従させつつ表示部160に表示する。
【0070】
図3は本実施形態の画像提示装置10の動作を示す。表示制御部150は、表示部160に、観察画像格納部140が格納する観察画像のうちの一枚(すなわち1枚目の観察画像)を表示する。なお、1枚目の観察画像は、画像選択部122により、生体信号情報格納部121に格納された生体信号情報に基づいて、観察画像格納部140に格納された複数の観察画像の中から選択される。また、音制御部155は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音を音格納部145から取得して音再生部165に再生させる。また、振動制御部156は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動を振動格納部146から取得して振動再生部166に再生させる。また、圧力制御部153は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力を圧力格納部143から取得して圧力再生部163に再生させる。
【0071】
1枚目の観察画像を表示し始めてから6秒経過すると、表示制御部150は表示部160に観察画像を表示させるのを停止して、インターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示する。また、音制御部155は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音の再生を停止する。また、振動制御部156は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動再生を停止する。また、圧力制御部153は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力再生を停止する。
【0072】
生体情報取得部105は、1枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間において、脳内血流測定装置から脳内酸素化ヘモグロビン量の値を示す信号値を取得する。このとき取得される信号値は、1枚目の観察画像を観察した観察者200の脳の活性化の度合いを反映している。1枚目の観察画像を表示し始めた当初は第1比較値を下回っていた信号値は、インターバル期間において第1比較値と第2比較値の間の範囲まで上昇する。その後、時間が経過すると信号値が徐々に下降し始め、信号値は下降しつつ第1比較値に達する。
【0073】
表示制御部150は、信号値が下降しつつ第1比較値に達したことに応じて、次の(2枚目の)観察画像を表示部160に表示する。2枚目の観察画像は、画像選択部122により、生体信号情報格納部121に格納された生体信号情報に基づいて、観察画像格納部140に格納された複数の観察画像の中から選択される。
【0074】
また、生体信号情報格納部121は、1枚目の観察画像の画像識別情報に対応付けて、1枚目の観察画像を見た観察者200の生体信号に関する単位時間当たりの変化量、最大の信号値、所定の信号値の範囲を維持した期間を格納する。また、音制御部155は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音を音格納部145から取得して音再生部165に再生させる。また、振動制御部156は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動を振動格納部146から取得して振動再生部166に再生させる。また、圧力制御部153は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力を圧力格納部143から取得して圧力再生部163に再生させる。
【0075】
2枚目の観察画像を表示し始めてから6秒経過すると、表示制御部150は表示部160に観察画像を表示させるのを停止して、インターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示する。また、音制御部155は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音の再生を停止する。また、振動制御部156は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動再生を停止する。また、圧力制御部153は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力再生を停止する。
【0076】
生体情報取得部105は、2枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間における信号値を取得する。1枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間の終了後に第1比較値を下回った信号値は、2枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間においても第1比較値に達せず、第1比較値と第2比較値の間の範囲外に位置し続ける。2枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間が開始してから10秒経過した時点で信号値が第1比較値と第2比較値の間の範囲に入らない場合、表示制御部150は、次の(3枚目の)観察画像を表示部160に表示する。
【0077】
3枚目の観察画像は、画像選択部122により、生体信号情報格納部121に格納された生体信号情報に基づいて、観察画像格納部140に格納された複数の観察画像の中から選択される。また、生体信号情報格納部121は、2枚目の観察画像の画像識別情報に対応付けて、2枚目の観察画像を見た観察者200の生体信号に関する単位時間当たりの変化量、最大の信号値、所定の信号値の範囲を維持した期間を格納する。
【0078】
3枚目の観察画像を表示し始めてから6秒経過すると、表示制御部150は表示部160に観察画像を表示させるのを停止して、インターバル画像格納部142が格納するインターバル画像を表示する。また、音制御部155は、3枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音の再生を停止する。また、振動制御部156は、3枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動再生を停止する。また、圧力制御部153は、3枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力再生を停止する。
【0079】
生体情報取得部105は、3枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間において、脳内血流測定装置から脳内酸素化ヘモグロビン量の値を示す信号値を取得する。3枚目の観察画像を表示し始めた当初第1比較値を下回っていた信号値は、インターバル期間において第1比較値と第2比較値の間の範囲まで上昇する。その後、時間が経過すると信号値が徐々に下降し始め、信号値は下降しつつ第1比較値に達する。
【0080】
表示制御部150は、1枚目の観察画像を表示した後のインターバル期間と同様、信号値が下降しつつ第1比較値に達したことに応じて、次の(4枚目の)観察画像を表示部160に表示する。4枚目の観察画像は、画像選択部122により、生体信号情報格納部121に格納された生体信号情報に基づいて、観察画像格納部140に格納された複数の観察画像の中から選択される。
【0081】
また、生体信号情報格納部121は、3枚目の観察画像の画像識別情報に対応付けて、3枚目の観察画像を見た観察者200の生体信号に関する単位時間当たりの変化量、最大の信号値、所定の信号値の範囲を維持した期間を格納する。また、音制御部155は、4枚目の観察画像の画像識別情報に対応する音を音格納部145から取得して音再生部165に再生させる。また、振動制御部156は、4枚目の観察画像の画像識別情報に対応する振動を振動格納部146から取得して振動再生部166に再生させる。また、圧力制御部153は、4枚目の観察画像の画像識別情報に対応する圧力を圧力格納部143から取得して圧力再生部163に再生させる。
【0082】
本実施形態の画像提示装置10は、上述のような動作を繰り返すことにより、観察者200の生体信号の信号値が第1比較値と第2比較値の間の範囲に維持させるべく、観察画像とインターバル画像とを切り替えつつ表示する。その結果、観察者200の精神を期待される状態にコントロールすることができる。
【0083】
図4は、本実施形態に係る画像提示装置10のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係る画像提示装置10は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、および表示装置1580を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、およびCD−ROMドライブ1560を有する入出力部と、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、および入出力チップ1570を有するレガシー入出力部とを備える。
【0084】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505およびグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510およびRAM1520に格納されたプログラムに基づいて動作して、各部を制御する。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示装置1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0085】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、CD−ROMドライブ1560を接続する。通信インターフェイス1530は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ1540は、画像提示装置10内のCPU1505が使用するプログラムおよびデータを格納する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供する。
【0086】
また、入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、および入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、画像提示装置10が起動時に実行するブート・プログラム、画像提示装置10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0087】
RAM1520を介してハードディスクドライブ1540に提供される画像提示プログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。画像提示プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM1520を介して画像提示装置10内のハードディスクドライブ1540にインストールされ、CPU1505において実行される。画像提示装置10にインストールされて実行される画像提示プログラムは、CPU1505等に働きかけて、画像提示装置10を、図1から図3にかけて説明した、撮像部100、比較値格納部120、生体信号情報格納部121、画像選択部122、身体状況取得部110、追従速度抽出部128、追従速度格納部138、電子カルテ格納部170、生体信号測定装置180、観察者視線測定部195、生体信号取得部115、身体状況解析部112、生体情報解析部114、観察画像格納部140、インターバル画像格納部142、圧力格納部143、振動格納部146、音格納部145、音制御部155、表示制御部150、振動制御部156、圧力制御部153、振動再生部166、圧力再生部163、表示部160、および音再生部165として機能させる。
【0088】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の画像提示装置、画像提示方法、およびプログラムによれば、適切なタイミングで観察者に提示する画像を切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】画像提示装置10の概要図である。
【図2】画像提示装置10の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像提示装置10の動作を示す図である。
【図4】画像提示装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0091】
10 画像提示装置
14 刺激格納ユニット
15 刺激制御ユニット
16 刺激提示ユニット
100 撮像部
110 身体状況取得部
112 身体状況解析部
114 生体情報解析部
115 生体信号取得部
120 比較値格納部
121 生体信号情報格納部
122 画像選択部
128 追従速度抽出部
138 追従速度格納部
140 観察画像格納部
142 インターバル画像格納部
143 圧力格納部
145 音格納部
146 振動格納部
150 表示制御部
153 圧力制御部
155 音制御部
156 振動制御部
160 表示部
163 圧力再生部
165 音再生部
166 振動再生部
170 電子カルテ格納部
180 生体信号測定装置
195 観察者視線測定部
200 観察者
1505 CPU
1510 ROM
1520 RAM
1530 通信インターフェイス
1540 ハードディスクドライブ
1550 フレキシブルディスク・ドライブ
1560 CD−ROMドライブ
1570 入出力チップ
1575 グラフィック・コントローラ
1580 表示装置
1582 ホスト・コントローラ
1584 入出力コントローラ
1590 フレキシブルディスク
1595 CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を提示する画像提示装置であって、
複数の画像を順次表示する表示部と、
前記表示部が表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部と、
前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを、前記生体信号取得部が取得した信号値に基づいて制御する表示制御部と
を備える画像提示装置。
【請求項2】
予め定められた生体信号の比較値を格納する比較値格納部と、
前記生体信号取得部が取得した信号値を、前記比較値と比較する生体信号値比較部と
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記生体信号値比較部による比較結果に基づいて、次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを制御する請求項1に記載の画像提示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記生体信号取得部が取得した信号値が、前記比較値に達した場合に、次の画像を前記表示部に表示させる請求項2に記載の画像提示装置。
【請求項4】
前記比較値格納部は、生体信号の第1比較値、及び前記第1比較値より大きい値である第2比較値を格納しており、
前記表示制御部は、前記生体信号取得部が取得する信号値を、前記第1比較値と前記第2比較値との間に維持させるべく、次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを制御する請求項2に記載の画像提示装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記生体信号取得部が取得した信号値が、前記第1比較値と前記第2比較値との間の範囲外にある場合に、次の画像を前記表示部に表示させる請求項4に記載の画像提示装置。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記生体信号取得部が取得した信号値が、前記第1比較値と前記第2比較値との間の範囲外に、予め定められた所定時間停滞した場合に、次の画像を前記表示部に表示させる請求項5に記載の画像提示装置。
【請求項7】
前記比較値格納部は、前記表示部が画像の表示を開始してからの経過時間毎に比較値を格納しており、
前記生体信号値比較部は、前記生体信号取得部が取得した信号値を、前記表示部が画像の表示を開始してからの経過時間に対応する前記比較値と比較する請求項2に記載の画像提示装置。
【請求項8】
前記表示制御部は、画像の表示を終了させた後、次の画像の表示を開始させる前に、前記表示部に画像を表示しない、又は予め設定されたインターバル画像を表示する期間であるインターバル期間を設ける請求項1に記載の画像提示装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを、前記生体信号取得部が前記インターバル期間に取得した信号値に基づいて制御する請求項8に記載の画像提示装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを、前記表示部が画像を表示している表示期間に取得した信号値、及び前記生体信号取得部が前記インターバル期間に取得した信号値に基づいて制御する請求項8に記載の画像提示装置。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記表示部が画像を表示している表示期間に取得した信号値による制御より、前記生体信号取得部が前記インターバル期間に取得した信号値による制御の重みを大きくして、前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを制御する請求項10に記載の画像提示装置。
【請求項12】
画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を示す生体信号情報を、当該信号値が取得されたときに観察されていた画像に対応づけて格納する生体信号情報格納部と、
前記生体信号取得部が取得した信号値、及び前記生体信号情報格納部が格納している生体信号情報に基づいて、次に前記表示部に表示させる画像を選択する画像選択部と
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記画像選択部が選択した画像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像提示装置。
【請求項13】
画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値の変化を示す生体変化情報を、当該信号値が取得されたときに観察されていた画像に対応づけて格納する生体変化情報格納部と、
前記生体信号取得部が取得した信号値、及び前記生体変化情報格納部が格納している生体変化情報に基づいて、次に前記表示部に表示させる画像を選択する画像選択部と
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記画像選択部が選択した画像を前記表示部に表示させる請求項1に記載の画像提示装置。
【請求項14】
画像を提示する画像提示方法であって、
複数の画像を順次表示する表示段階と、
表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得段階と、
表示している画像の次の画像を表示させるタイミングを、前記生体信号取得段階において取得した信号値に基づいて制御する表示制御段階と
を備える画像提示方法。
【請求項15】
画像を提示する画像提示装置用のプログラムであって、前記画像提示装置を、
複数の画像を順次表示する表示部と、
前記表示部が表示している画像を観察している観察者の生体反応を示す生体信号の信号値を取得する生体信号取得部と、
前記表示部が表示している画像の次の画像を前記表示部に表示させるタイミングを、前記生体信号取得部が取得した信号値に基づいて制御する表示制御部と
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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