説明

画像検査機における照明装置の検査方法

【課題】画像検査機における照明装置の劣化や故障を安価に且つ確実に検査することが可能な検査方法を提供する。
【解決手段】照明装置10と、カメラ20と、コンピュータ30とを有する画像検査機1において照明装置10の検査を行う方法であって、照明装置10の照明照度を検査するための照明照度検査工程(S1)と、照明装置10の照明色を検査するための照明色検査工程(S2)とを備えている。照明照度検査工程(S1)と照明色検査工程(S2)とを任意のタイミングで実施することにより、照明装置10の劣化等による照明照度及び照明色の変化に起因した画像検査機1における被検査対象物の誤検査を防止して、検査品質の信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査対象物の外観等の検査に用いられる画像検査機における照明装置の検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被検査対象物の外観等を検査する装置として、検査対象物に向かって光を照射する照明装置と、検査対象物の画像を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて画像処理を行う画像処理装置とを備えた画像検査機が知られている。
【0003】
ここで、画像検査機における検査においては、検査対象物に照射する照明光の照度が非常に重要である。例えば、照明照度が定められた照度よりも低い場合には、光量が不足して明瞭な画像を得ることができない。また、発光光源は、各製品ごとに固体差を有していることから、規格通りに同じ値の印加電流を印加しても照度が固体ごとに異なる。このような問題に鑑みて、従来、照明装置の照度校正を行う照明装置の照度校正方法が提案されている(例えば、特許文献1等参照。)。また、家庭用の照度警報システムとして特許文献2に記載された従来技術が提案されている。
【特許文献1】特開2004−220834号公報
【特許文献2】特開2003−243191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等に記載された従来方法によって画像検査機の照明装置が適正に初期設定された場合でも、画像検査機を長期間に亘り使用することに起因する照明装置の劣化や光源の一部に球切れ等が発生した場合には、画像検査における検査品質を確保できなくなるおそれがあった。
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、画像検査機における照明装置の劣化や故障を安価に且つ確実に検査することが可能な検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき、必要に応じて作用効果等を付記しつつ説明する。
【0007】
1.検査位置に載置した被検査対象物へ光を照射する照明装置と、前記被検査対象物の画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を処理して前記被検査対象物の検査を行う画像処理装置とを有する画像検査機において前記照明装置の検査を行う方法であって、
前記照明装置の照明照度を検査するための照明照度検査工程と、
前記照明装置の照明色を検査するための照明色検査工程と
を備え、
前記照明照度検査工程は、
前記照明装置を点灯した状態で照度計を用いて前記検査位置における照度を計測する照度計測工程と、
前記照度計測工程で得られた照度計測値を予め決定された照度基準値と比較することにより前記照明装置の照明照度が正常か否かを判定する照明照度判定工程と
を含み、
前記照明色検査工程は、
前記照明装置を点灯した状態で前記撮像装置を用いて前記検査位置に載置した色マスタの画像を撮像する色マスタ撮像工程と、
前記画像処理装置を用いて、前記色マスタ撮像工程で得られた前記色マスタの画像の色成分を計測する色成分計測工程と、
前記色成分計測工程で得られた色成分計測値を予め決定された色成分基準値と比較することにより前記照明装置の照明色が正常か否かを判定する照明色判定工程と
を含むことを特徴とする画像検査機における照明装置の検査方法。
【0008】
手段1によれば、照明装置の照明照度を検査するための照明照度検査工程は、照度計測工程において照明装置を点灯した状態で照度計を用いて検査位置における照度を計測し、照明照度判定工程において照度計測工程で得られた照度計測値を予め決定された照度基準値と比較することにより照明装置の照明照度が正常か否かを判定する。よって、照明装置の劣化や球切れ等による照明照度の低下を、照度計を用いて簡単且つ確実に検査することができる。
【0009】
また、照明装置の照明色を検査するための照明色検査工程は、色マスタ撮像工程において照明装置を点灯した状態で撮像装置を用いて検査位置に載置した色マスタの画像を撮像し、色成分計測工程において画像処理装置を用いて色マスタ撮像工程で得られた色マスタの画像の色成分を計測し、照明色判定工程において色成分計測工程で得られた色成分計測値を予め決定された色成分基準値と比較することにより照明装置の照明色が正常か否かを判定する。よって、照明装置の劣化により照明色が黄味がかった色になる等の照明色の変化を、画像検査機自体に備わる撮像装置及び画像処理装置を用いた安価な手段で、簡単且つ確実に検査することができる。
【0010】
そして、照明照度検査工程と照明色検査工程とを任意のタイミング(例えば、1週間間隔)で実施することにより、照明装置の劣化等による照明照度及び照明色の変化に起因した画像検査機における被検査対象物の誤検査を防止して、検査品質の信頼性を向上させることができる。
【0011】
2.前記照度基準値は、前記照明装置の初期使用時に前記照明装置を点灯した状態で前記照度計を用いて前記検査位置における照度を計測して得られた初期照度計測値に基づいて決定され、
前記色成分基準値は、前記照明装置の初期使用時に前記照明装置を点灯した状態で前記撮像装置を用いて前記検査位置に載置した前記色マスタの画像を撮像し、前記画像処理装置を用いて前記色マスタの画像の色成分を計測して得られた初期色成分計測値に基づいて決定されたことを特徴とする手段1に記載の画像検査機における照明装置の検査方法。
【0012】
手段2によれば、照度基準値は、照明装置の初期使用時に照明装置を点灯した状態で照度計を用いて検査位置における照度を計測して得られた初期照度計測値に基づいて決定されているので、照明装置使用開始後の任意のタイミングで本手段の検査方法が実施されることによって、照明照度検査工程の照度計測工程において照度を計測し、得られた照度計測値を照度判定工程において照度基準値と比較することにより照明装置の照明照度が正常か否かを正確に判定することができる。
【0013】
また、色成分基準値は、照明装置の初期使用時に照明装置を点灯した状態で撮像装置を用いて検査位置に載置した色マスタの画像を撮像し、画像処理装置を用いて色マスタの画像の色成分を計測して得られた初期色成分計測値に基づいて決定されているので、照明装置使用開始後の任意のタイミングで本手段の検査方法が実施されることによって、照明色検査工程の色マスタ撮像工程において照明装置を点灯した状態で撮像装置を用いて検査位置に載置した色マスタの画像を撮像し、色成分計測工程において画像処理装置を用いて色マスタ撮像工程で得られた色マスタの画像の色成分を計測し、照明色判定工程において色成分計測工程で得られた色成分計測値を色成分基準値と比較することにより照明装置の照明色が正常か否かを正確に判定することができる。
【0014】
3.前記照明装置は、複数の照明ユニットからなり、
前記照明照度検査工程及び前記照明色検査工程を前記各照明ユニットに対して個別に行うことを特徴とする手段1又は2に記載の画像検査機における照明装置の検査方法。
【0015】
手段3によれば、照明照度検査工程及び照明色検査工程を各照明ユニットに対して個別に行うので、各照明ユニットの照明照度及び照明色を個別に検査し、異常が発見された場合は、その照明ユニットのみを交換等することができる。
【0016】
4.前記各工程を自動的に行うことを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の画像検査機における照明装置の検査方法。
【0017】
手段4によれば、各工程を自動的に行うことにより、作業者の負担軽減を図りつつ、照明装置の劣化等による照明照度及び照明色の変化に起因した画像検査機における被検査対象物の誤検査を防止して、検査品質の信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の画像検査機における照明装置の検査方法を具体化した一実施形態について図面を参照しつつ具体的に説明する。図1は、照明装置の検査が実施される画像検査機1の全体構成を示す図であり、照明装置10とカメラ20との配置を側面視して示している。図2は、照明装置10とカメラ20との配置を上面視して示す図である。
【0019】
画像検査機1は、被検査対象物Wの外観を画像処理によって検査するための装置であり、例えば、被検査対象物Wとしての回路基板における半田ボール(溶融半田が千切れて散在するボール状のもの)や半田ブリッジ(半田付ランド間の半田による橋架け)等の半田不良の発生を検査するために用いられる。画像検査機1は、図1に示すように、照明装置10と、カメラ20と、コンピュータ30とを主要部として構成されている。
【0020】
照明装置10は、パレットP上に載置された被検査対象物Wへ光を照射する公知の照明装置であって、図1,2に示すように、パレットP上方に設置されたカメラ20の周囲に配置された8個の第1照明ユニット11〜第8照明ユニット18によって構成されている。各照明ユニット11〜18は、発光ダイオード(LED)や電球等の光源を有し、ユニット単位で個別に点灯と消灯との切替が行えるように構成されている。
【0021】
カメラ20は、公知のCCD(電荷結合素子)カメラであって、パレットP上方の所定高さに設置されてパレットP上の被検査対象物Wの画像を撮像する。また、カメラ20は、コンピュータ30とケーブル21を介して接続され、撮像した画像データはケーブル21を介してコンピュータ30へ送信される。尚、カメラ20の設置高さは、例えば、被検査対象物W上面との間隔が40mm程度となるように設定される。
【0022】
コンピュータ30は、CPU31,ROM32,RAM33,ハードディスクドライブ(HDD)34、ディルプレイ35、キーボード36等を有する公知のパーソナルコンピュータである。HDD34には、被検査対象物Wである回路基板の画像検査に用いる画像検査プログラムや、画像の色成分を計測する色成分計測プログラムが記憶されている。尚、コンピュータ30が本発明の画像処理装置を構成するものである。
【0023】
次に、画像検査機1における照明装置10の検査方法について説明する。図3は、本発明の一実施形態の画像検査機における照明装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。図4は、照明照度検査工程の詳細を示すフローチャートである。図5は、照明照度検査工程においてパレットPに照度計40の検知部41を載置して照度を計測する様子を示す図である。図6は、照明色検査工程の詳細を示すフローチャートである。図7は、照明色検査工程においてパレットPに色マスタ50を載置して色成分の計測を行う様子を示す図である。図8は、照明照度検査工程で使用される検査記録用紙の記入例を示す図である。図9は、照明色検査工程で使用される検査記録用紙の記入例を示す図である。
【0024】
尚、照明装置10の検査には、上述した画像検査機1自体に備わるカメラ20及びコンピュータ30を使用するほか、照度計40と、色マスタ50とを使用する。
【0025】
照度計40は、照度を測定可能な公知の照度計であって、検知部41と、検知部41とケーブル42によって接続された本体部43とを備えている(図5参照。)。検知部41は、照度を検出して電気信号を出力する。本体部41は、ケーブル42を介して検知部41より入力された照度測定結果を示す電気信号に基づいて、液晶表示部43aに照度測定値を数値(単位:ルクス)で表示する。
【0026】
色マスタ50は、所定色に着色された板状部材であり、例えば、合成樹脂によって形成されている(図7参照。)。尚、所定色は、光の三原色、すなわち、赤(R)、緑(G)、青(B)の各成分をすべて含む任意の色である。
【0027】
次に、照明装置10の検査方法の流れについて説明する。本実施形態の検査方法では、図3に示すように、まず、照明装置10の照明照度を検査するための照明照度検査工程(ステップ1。以下、S1と略記する。他のステップも同様。)を実施し、次に、照明装置10の照明色を検査するための照明色検査工程(S2)を実施する。
【0028】
最初に、照明照度検査工程(S1)の詳細について、図4を参照しつつ説明する。照明照度検査工程(S1)では、まず、照度計測工程(S11)を実施する。照度計測工程(S11)では、照明装置10を構成する照明ユニット11〜18を順次個別に点灯させ、それぞれの状態で照度計40を用いて検査位置であるパレットPにおける照度を計測する。照度計40は、パレットP上に検知部41のみを載置し、検知部41とケーブル42を介して接続されてパレットP外に載置された本体43の液晶表示部43aに表示された照度測定値を作業者が目視で読取り、検査記録用紙に記録する(図8参照。)。
【0029】
続いて、照明照度判定工程(S12)を実施する。照明照度判定工程(S12)では、作業者が、照度計測工程(S11)で得られ且つ検査記録用紙等に記録された各照明ユニット11〜18の照度計測値を、予め決定された各照明ユニット11〜18の照度基準値と比較することにより、各照明ユニット11〜18の照明照度が正常か否かを判定し、判定結果(OK又はNG)を照明照度検査記録用紙に記録する(図8参照。)。
【0030】
ここで、照度基準値は、各照明ユニット11〜18の初期使用時に、各照明ユニット11〜18を個別に点灯した状態で照度計40を用いてパレットPにおける照度を計測して得られた初期照度計測値に基づいて決定されている。例えば、初期照度計測値に1未満の所定の係数(例えば、0.9)を乗じて得られた値を照度基準値としてもよい。
【0031】
そして、例えば、照度測定値が照度基準値以上である場合、当該照明ユニットの照明照度が正常であると判定する。一方、照度測定値が照度基準値未満である場合、当該照明ユニットの照明照度が異常である(照度不足)と判定する。この場合、当該照明ユニットの光源を新品と交換する等の作業を行う。
【0032】
次に、照明色検査工程(S2)の詳細について、図5を参照しつつ説明する。照明色検査工程(S2)では、まず、色マスタ撮像工程(S21)を実施する。色マスタ撮像工程(S21)では、パレットPに色マスタ50を載置し、照明ユニット11〜18を順次個別に点灯させ、それぞれの状態でカメラ20を用いてパレットP上の色マスタ50の画像を撮像する。続いて、色成分計測工程(S22)を実施する。色成分計測工程(S22)では、画像処理装置としてのコンピュータ30を用いて色マスタ撮像工程(S21)で得られた色マスタ50の画像の色成分を計測する。すなわち、コンピュータ30は、色検査プログラムを実行し、カメラ20から取り込んだ色マスタ50の画像についてRGBの各色成分の値をディスプレイに表示させる。各色成分の値は、最小値を0、最大値を255とする0〜255の整数で表され、例えば、R(赤):150、G(緑):120、B(青):100のように表示される。作業者は、コンピュータのディスプレイに表示された色成分計測値を読取り、検査記録用紙に記録する(図9参照。)。
【0033】
続いて、照明色判定工程(S23)を実施する。照明色判定工程(S23)では、作業者が、色成分計測工程(S22)で得られ且つ検査記録用紙等に記録された色成分計測値を予め決定された色成分基準値と比較することにより照明ユニット11〜18の照明色が正常か否かを判定し、判定結果(OK又はNG)を照明色検査記録用紙に記録する(図9参照。)。
【0034】
ここで、色成分基準値は、各照明ユニット11〜18の初期使用時に、各照明ユニット11〜18を個別に点灯した状態でカメラ20を用いてパレットPに載置した色マスタ50の画像を撮像し、コンピュータ30を用いて色マスタ50の画像の各色成分を計測して得られた初期色成分計測値に基づいて決定されている。
【0035】
そして、例えば、RGB各色成分の色成分計測値が、各色成分基準値に対して所定範囲内(例えば、±10ポイント以内)である場合、当該照明ユニットの照明色が正常であると判定する。一方、RGB各色成分の色成分計測値が、各色成分基準値に対して所定範囲外である場合、当該照明ユニットの照明色が異常であると判定する。これは、例えば、照明ユニットの劣化に起因して照明色が黄色がかる等の異常があった場合は、色マスタ50の画像、すなわち、照明ユニットの光による色マスタ50からの反射光が黄色がかった色になり、色成分計測値が色成分基準値からずれた値になるからである。照明ユニットの照明色が異常であると判定された場合、当該照明ユニットの光源を新品と交換する等の作業を行う。
【0036】
以上詳述したことから明らかなように、本実施形態の方法は、パレットPに載置した被検査対象物Wへ光を照射する照明装置10と、被検査対象物Wの画像を撮像する撮像装置としてのカメラ20と、カメラ20によって撮像された画像を処理して被検査対象物Wの検査を行う画像処理装置としてのコンピュータ30とを有する画像検査機1において照明装置10の検査を行う方法であって、照明装置10の照明照度を検査するための照明照度検査工程(S1)と、照明装置10の照明色を検査するための照明色検査工程(S2)とを備えている。
【0037】
そして、照明照度検査工程(S1)では、照度計測工程(S11)において照明装置10を点灯した状態で照度計40を用いてパレットPにおける照度を計測し、照明照度判定工程(S12)において照度計測工程(S11)で得られた照度計測値を予め決定された照度基準値と比較することにより照明装置10の照明照度が正常か否かを判定するので、照明装置10の劣化や球切れ等による照明照度の低下を、照度計40を用いて簡単且つ確実に検査することができる。
【0038】
また、照明色検査工程(S2)では、色マスタ撮像工程(S21)において照明装置10を点灯した状態でカメラ20を用いてパレットPに載置した色マスタ50の画像を撮像し、色成分計測工程(S22)においてコンピュータ30を用いて色マスタ撮像工程(S21)で得られた色マスタ50の画像の色成分を計測し、照明色判定工程(S23)において色成分計測工程(S22)で得られた色成分計測値を予め決定された色成分基準値と比較することにより照明装置10の照明色が正常か否かを判定するので、照明装置10の劣化により照明色が黄味がかった色になる等の照明色の変化を、画像検査機1自体に備わるカメラ20及びコンピュータ30を用いた安価な手段で、簡単且つ確実に検査することができる。
【0039】
そして、照明照度検査工程(S1)と照明色検査工程(S2)とを任意のタイミングで(例えば、1週間間隔で検査ラインの始業時に)実施することにより、照明装置10の劣化等による照明照度及び照明色の変化に起因した画像検査機1における被検査対象物Wの誤検査を防止して、検査品質の信頼性を向上させることができる。
【0040】
また、照度基準値は、照明装置10の初期使用時に照明装置10を点灯した状態で照度計40を用いてパレットPにおける照度を計測して得られた初期照度計測値に基づいて決定されているので、照明装置10使用開始後の任意のタイミングで本実施形態の検査方法が実施されることによって、照明照度検査工程(S1)の照度計測工程(S11)において照度を計測し、得られた照度計測値を照度判定工程(S12)において照度基準値と比較することにより照明装置10の照明照度が正常か否かを正確に判定することができる。
【0041】
また、色成分基準値は、照明装置10の初期使用時に照明装置10を点灯した状態でカメラ20を用いてパレットPに載置した色マスタ50の画像を撮像し、コンピュータを用いて色マスタ50の画像の色成分を計測して得られた初期色成分計測値に基づいて決定されているので、照明装置10使用開始後の任意のタイミングで本実施形態の検査方法が実施されることによって、照明色検査工程(S2)の色マスタ撮像工程(S21)において照明装置10を点灯した状態でカメラ20を用いてパレットPに載置した色マスタ50の画像を撮像し、色成分計測工程(S22)においてコンピュータ30を用いて色マスタ撮像工程(S21)で得られた色マスタの画像の色成分を計測し、照明色判定工程(S23)において色成分計測工程(S22)で得られた色成分計測値を色成分基準値と比較することにより照明装置10の照明色が正常か否かを正確に判定することができる。
【0042】
特に、上記実施形態では、照明照度検査工程(S1)及び照明色検査工程(S2)を、照明装置10を構成する各照明ユニット11〜18に対して個別に行うので、各照明ユニット11〜18の照明照度及び照明色を個別に検査し、異常が発見された場合は、その照明ユニットのみを交換等することができる。
【0043】
尚、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能であることは云うまでもない。
【0044】
例えば、前記実施形態では、照度計測工程(S11)における照度計40の載置及び照度計測値の読取り、照明照度判定工程(S12)における照度計測値と照度基準値との比較による照明照度が正常か否かの判定、色マスタ撮像工程(S21)における色マスタ50の載置及び撮像、色成分計測工程(S22)における色マスタ50の画像の色成分計測値の読取り、照明色判定工程(S23)における色成分計測値と色成分基準値との比較による照明色が正常か否かの判定を作業者が行うこととしたが、各工程を自動的に行うように構成してもよい。
【0045】
例えば、多関節ロボットにより照度計40及び色マスタ50のパレットへの載置及び取外しを行うようにしてもよい。また、コンピュータ30のHDD34に照度基準値を予め記憶すると共に、照度計40からコンピュータ30へ照度計測値を入力し、照度計測値の記録及び照度計測値と照度基準値との比較による照明照度が正常か否かの判定をコンピュータ30が行うように構成してもよい。同様に、コンピュータ30のHDD34に色成分基準値を予め記憶すると共に、色成分計測値の記録及び色成分計測値と色成分基準値との比較による照明色が正常か否かの判定をコンピュータ30が行うように構成してもよい。画像検査機1における照明装置10の検査方法の各工程を自動的に行うことにより、作業者の負担軽減を図りつつ、照明装置10の劣化等による照明照度及び照明色の変化に起因した画像検査機1における被検査対象物Wの誤検査を防止して、検査品質の信頼性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、画像検査機における照明装置の劣化や故障の検査が必要な場合に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】照明装置の検査方法が実施される画像検査機の全体構成を示す図である。
【図2】照明装置とカメラとの配置を上面視して示す図である。
【図3】本発明の一実施形態の画像検査機における照明装置の検査方法の流れを示すフローチャートである。
【図4】照明照度検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図5】照明照度検査工程においてパレットに照度計の検知部を載置して照度を計測する様子を示す図である。
【図6】照明色検査工程の詳細を示すフローチャートである。
【図7】照明色検査工程においてパレットに色マスタを載置して色成分の計測を行う様子を示す図である。
【図8】照明照度検査工程で使用される照明照度検査記録用紙の記入例を示す図である。
【図9】照明色検査工程で使用される照明色検査記録用紙の記入例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 画像検査機
10 照明装置
11〜18 第1照明ユニット〜第8照明ユニット
20 カメラ(撮像装置)
30 コンピュータ(画像処理装置)
40 照度計
50 色マスタ
W 被検査対象物
P パレット(検査位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査位置に載置した被検査対象物へ光を照射する照明装置と、前記被検査対象物の画像を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像を処理して前記被検査対象物の検査を行う画像処理装置とを有する画像検査機において前記照明装置の検査を行う方法であって、
前記照明装置の照明照度を検査するための照明照度検査工程と、
前記照明装置の照明色を検査するための照明色検査工程と
を備え、
前記照明照度検査工程は、
前記照明装置を点灯した状態で照度計を用いて前記検査位置における照度を計測する照度計測工程と、
前記照度計測工程で得られた照度計測値を予め決定された照度基準値と比較することにより前記照明装置の照明照度が正常か否かを判定する照明照度判定工程と
を含み、
前記照明色検査工程は、
前記照明装置を点灯した状態で前記撮像装置を用いて前記検査位置に載置した色マスタの画像を撮像する色マスタ撮像工程と、
前記画像処理装置を用いて、前記色マスタ撮像工程で得られた前記色マスタの画像の色成分を計測する色成分計測工程と、
前記色成分計測工程で得られた色成分計測値を予め決定された色成分基準値と比較することにより前記照明装置の照明色が正常か否かを判定する照明色判定工程と
を含むことを特徴とする画像検査機における照明装置の検査方法。
【請求項2】
前記照度基準値は、前記照明装置の初期使用時に前記照明装置を点灯した状態で前記照度計を用いて前記検査位置における照度を計測して得られた初期照度計測値に基づいて決定され、
前記色成分基準値は、前記照明装置の初期使用時に前記照明装置を点灯した状態で前記撮像装置を用いて前記検査位置に載置した前記色マスタの画像を撮像し、前記画像処理装置を用いて前記色マスタの画像の色成分を計測して得られた初期色成分計測値に基づいて決定されたことを特徴とする請求項1に記載の画像検査機における照明装置の検査方法。
【請求項3】
前記照明装置は、複数の照明ユニットからなり、
前記照明照度検査工程及び前記照明色検査工程を前記各照明ユニットに対して個別に行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像検査機における照明装置の検査方法。
【請求項4】
前記各工程を自動的に行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像検査機における照明装置の検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−293854(P2008−293854A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139542(P2007−139542)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】