説明

画像測定装置

【課題】簡単な構造で容易に対象エリア、又は測定対象の画像が取得できると共に対象エリアの測定が行える画像測定装置を提供する。
【解決手段】投光光軸26と照明光29を射出する光源27とを有し、前記投光光軸を経て前記照明光を投射する投光光学系5と、受光光軸15と撮像素子13とを有し、測定対象からの再帰反射光29′を前記受光光軸を経て撮像素子で受光する受光光学系6と、前記撮像素子で撮像されたデータを処理する制御演算装置7とを具備し、前記投光光学系は前記投光光軸を測定対象に向け前記照明光を投射する投光ユニット25と、該投光ユニットを高低方向、水平方向に回転し、前記照明光の投射角を変更する投射角変更手段23,33と、前記受光光軸に対する前記投光光軸の方向角を検出する方向検出手段24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインドアレイアウト測定や、構造物の構築等の分野での測定に用いられる画像測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
所定の対象エリア内の測定又は測定対象の測定と、対象エリアの画像の取得又は測定対象の画像の取得及び測定結果と画像との関連付けを行うものに、画像トータルステーション、3Dイメージスキャナがある。
【0003】
画像トータルステーションは専用の測距機能と測角機能を具備し、高い精度で撮像画像に測距、測角データの写込みが可能であるが、トータルステーションの構造が基本であり、鉛直回転軸や水平回転軸を有し、且つ鉛直回転軸及び水平回転軸の回転角を検出する角度検出器を必要とする等複雑であり、高価な装置となっていた。
【0004】
又、3Dイメージスキャナは、瞬時にポイントの距離を測定できるが、パルスレーザ光線を発光する等の特別な光源を必要とし、更にトータルステーションと同様、鉛直回転軸や水平回転軸を必要とし、構造が複雑であり、又メンテナンス、校正が複雑であるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2006−503275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は斯かる実情に鑑み、簡単な構造で容易に対象エリア、又は測定対象の画像が取得できると共に対象エリアの測定が行える画像測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、投光光軸と照明光を射出する光源とを有し、前記投光光軸を経て前記照明光を投射する投光光学系と、受光光軸と撮像素子とを有し、測定対象からの再帰反射光を前記受光光軸を経て撮像素子で受光する受光光学系と、前記撮像素子で撮像されたデータを処理する制御演算装置とを具備し、前記投光光学系は前記投光光軸を測定対象に向け前記照明光を投射する投光ユニットと、該投光ユニットを高低方向、水平方向に回転し、前記照明光の投射角を変更する投射角変更手段と、前記受光光軸に対する前記投光光軸の方向角を検出する方向検出手段とを有する画像測定装置に係るものである。
【0008】
又本発明は、前記制御演算装置は、撮像エリアの画像と共に測定対象に照射された照明光の画像として照射点を取得し、複数の撮像エリアの画像を前記照射点を基準として部分的に重合せ、繋ぎ合せる画像測定装置に係るものである。
【0009】
又本発明は、前記制御演算装置は、複数の撮像エリアの画像を部分的に重合せ、繋ぎ合せ、複数の撮像エリアの画像を重合せる基準が、撮像エリアの画像から抽出した特徴点である画像測定装置に係るものである。
【0010】
又本発明は、前記撮像素子が距離画像センサであり、前記測定対象の画像を取得すると共に前記測定対象を3次元で計測する画像測定装置に係るものである。
【0011】
又本発明は、前記撮像素子は画素の集合体であり、前記投射角変更手段は画素のピッチに合わせて投光光軸の向きを変更する画像測定装置に係るものである。
【0012】
又本発明は、前記光源は半導体レーザであり、該半導体レーザを閾値以下と閾値以上の駆動電流で発光させる様構成した画像測定装置に係るものである。
【0013】
又本発明は、前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光する4分割素子である画像測定装置に係るものである。
【0014】
又本発明は、前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光するプロファイルセンサである画像測定装置に係るものである。
【0015】
又本発明は、前記投光ユニットはフォーカス機能を有する画像測定装置に係るものである。
【0016】
又本発明は、前記投光ユニットは、前記照明光の光束を拡大する光束径拡大手段を有する画像測定装置に係るものである。
【0017】
又本発明は、前記光束径拡大手段は、前記投光光軸に挿脱可能に設けられたディフューザである画像測定装置に係るものである。
【0018】
又本発明は、前記受光光学系は受光倍率を拡大する変倍機能を有する画像測定装置に係るものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、投光光軸と照明光を射出する光源とを有し、前記投光光軸を経て前記照明光を投射する投光光学系と、受光光軸と撮像素子とを有し、測定対象からの再帰反射光を前記受光光軸を経て撮像素子で受光する受光光学系と、前記撮像素子で撮像されたデータを処理する制御演算装置とを具備し、前記投光光学系は前記投光光軸を測定対象に向け前記照明光を投射する投光ユニットと、該投光ユニットを高低方向、水平方向に回転し、前記照明光の投射角を変更する投射角変更手段と、前記受光光軸に対する前記投光光軸の方向角を検出する方向検出手段とを有するので、前記受光光学系で撮像する撮像エリア内の任意な点を照明光で照射でき、前記方向検出手段又は前記撮像素子上の照射点像の位置に基づき照射点の方向角を測定できる。
【0020】
又本発明によれば、前記制御演算装置は、撮像エリアの画像と共に測定対象に照射された照明光の画像として照射点を取得し、複数の撮像エリアの画像を前記照射点を基準として部分的に重合せ、繋ぎ合せるので、撮像エリアの画像より広範囲に亘る測定が可能となる。
【0021】
又本発明によれば、前記撮像素子が距離画像センサであり、前記測定対象の画像を取得すると共に前記測定対象を3次元で計測するので、3次元データ付画像を容易に取得することができる。
【0022】
又本発明によれば、前記撮像素子は画素の集合体であり、前記投射角変更手段は画素のピッチに合わせて投光光軸の向きを変更するので、角度分解能を向上させることができる。
【0023】
又本発明によれば、前記光源は半導体レーザであり、該半導体レーザを閾値以下と閾値以上の駆動電流で発光させる様構成したので、駆動電流を調整することで広範囲を照射する照明光として、又ピンポイントで照射する照明光として簡単に切替えが可能となる。
【0024】
又本発明によれば、前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光する4分割素子であり、又前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光するプロファイルセンサであるので、4分割素子又はプロファイルセンサの検出結果に基づき照射点の方向角を測定できる。
【0025】
又本発明によれば、前記投光ユニットはフォーカス機能を有するので、照射点をピンポイントで照射することができ、再帰反射光のS/Nを増大させることができる。
【0026】
又本発明によれば、前記投光ユニットは、前記照明光の光束を拡大する光束径拡大手段を有するので、広範囲で照明光による照明が可能であり、測定対象の捕捉が容易になる。
【0027】
又本発明によれば、前記光束径拡大手段は、前記投光光軸に挿脱可能に設けられたディフューザであるので、簡単に前記照明光の光束を拡大することができる。
【0028】
又本発明によれば、前記受光光学系は受光倍率を拡大する変倍機能を有するので、角度分解能を更に向上させることができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例に係る画像測定装置を示す概略構成図である。
【図2】該画像測定装置の投光光学系部分の背面図である。
【図3】(A)は前記画像測定装置の要部を示し、投光光学系の第1の変更例を示す概略構成図、(B)は該投光光学系のプロファイルセンサを示す説明図である。
【図4】前記投光光学系の第2の変更例を示す概略構成図である。
【図5】前記投光光学系の第3の変更例を示す概略構成図である。
【図6】前記投光光学系の第4の変更例を示す概略構成図である。
【図7】(A)は半導体レーザに通電した場合の電流値と発光状態を示すグラフ、(B)は半導体レーザに通電した場合の電流値が閾値以下と閾値を超える場合の発光強度、発光は径の関係を示すグラフである。
【図8】受光光学系に用いられる受光レンズで、変倍機能を有する構成の一例を示す説明図である。
【図9】受光光学系に於ける撮像素子と入射角との関係を示す説明図である。
【図10】投光ユニット射出角を変更した場合の、前記撮像素子上での再帰反射光の受光位置の変化を示す説明図である。
【図11】撮像エリアより広い範囲を測定する場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施例に係る画像測定装置1を示している。
【0032】
該画像測定装置1は、主に、測定装置本体2、整準部3、回動機構部4から構成される。前記整準部3上に前記回動機構部4が設けられ、該回動機構部4に回転軸9を介して前記測定装置本体2が設けられている。前記整準部3は、前記回動機構部4を介して前記測定装置本体2を水平姿勢に整準する整準機能を有し、前記回動機構部4は、前記測定装置本体2を水平方向に回動する機能を有する。
【0033】
前記測定装置本体2は投光光学系5、受光光学系6、制御演算装置7、筐体8を具備し、該筐体8には前記投光光学系5、前記受光光学系6、前記制御演算装置7が収納される。
【0034】
前記受光光学系6は鏡筒11を含み、該鏡筒11の内部に、受光レンズ12、該受光レンズ12の略焦点位置に設置された撮像素子13及び該撮像素子13が実装されたプリント基板14が収納されている。前記受光レンズ12は受光光軸15上に配設され、又該受光光軸15は水平に延出し、前記撮像素子13の中心を通過している。
【0035】
尚、前記受光レンズ12は、光学系を構成するレンズ群を模式的に表している。又、前記撮像素子13はCCD、CMOSセンサ等多数の画素で構成されたものであり、各画素は前記受光光軸15通過点を原点として座標位置が特定され、又個々に受光信号を発すると共に発せられる受光信号と座標位置とは関連付けられている。
【0036】
前記受光レンズ12には測定対象からの再帰反射光29′が入射し、該再帰反射光29′は前記撮像素子13上に結像する様になっている。
【0037】
前記投光光学系5について説明する。
【0038】
前記投光光学系5は前記鏡筒11と連結された2股フレーム16を有し、該2股フレーム16に水平回転軸17が回転自在に設けられ、該水平回転軸17に高低回転フレーム18が前記水平回転軸17と一体に回転する様に固着されている。該水平回転軸17は、水平であり、且つ前記受光光軸15と直角の方向に延出し、該受光光軸15と前記水平回転軸17の軸心との距離は既知となっている。
【0039】
図2に示される様に、前記水平回転軸17の一端には高低モータ19が設けられ、該高低モータ19には高低角検出器、例えば高低角エンコーダ21が設けられている。前記高低回転フレーム18は前記水平回転軸17を介して前記高低モータ19によって傾動され、又該高低モータ19の傾き角は前記高低角エンコーダ21によって検出される様になっている。
【0040】
又、前記高低角エンコーダ21による前記高低回転フレーム18の回転範囲、水平モータ23による投光ユニット25の回転範囲は、即ち照明光29の回転範囲が前記受光光学系6の画角と同等、或は画角以上となる様に設定される。
【0041】
尚、前記高低角エンコーダ21、水平角エンコーダ24(後述)は、それぞれ基準点としての0°を有しており、前記照明光29の再帰反射光29′が前記撮像素子13の中心で受光される位置が、前記高低角エンコーダ21、前記水平角エンコーダ24の0°となっている。又、前記高低角エンコーダ21、前記水平角エンコーダ24は、方向検出手段を構成している。該方向検出手段は前記照明光29の射出方向を検出すると共に前記受光光軸15と投光光軸26との関係を検出する。
【0042】
前記高低回転フレーム18は上端、下端にそれぞれ水平突出部を有するかすがい形状となっており、上下水平突出部を貫通する鉛直回転軸22が回転自在に設けられる。該鉛直回転軸22の上端には前記水平モータ23が設けられ、該水平モータ23には水平角検出器、例えば水平角エンコーダ24が設けられている。前記鉛直回転軸22は、基準位置(前記投光光軸26と前記受光光軸15とが平行な位置)で鉛直方向に延出し、且つ前記水平回転軸17とは直角となっている。
【0043】
前記鉛直回転軸22には前記投光ユニット25が固着され、該投光ユニット25は前記鉛直回転軸22と一体に回転し、前記投光ユニット25は前記鉛直回転軸22を介し、前記水平モータ23によって回転され、前記投光ユニット25の回転量、即ち水平角は前記水平角エンコーダ24によって検出される様になっている。
【0044】
前記投光ユニット25は、前記投光光軸26を有し、該投光光軸26上に光源27、投光レンズ28が配置されている。前記投光光軸26は、可視光、或は不可視光の照明光29を発する。又、前記投光レンズ28は、投光光学系を構成するレンズ群を模式的に表している。尚、投光光学系5に焦点合せ機構を設けてもよい。
【0045】
次に、前記制御演算装置7について説明する。
【0046】
該制御演算装置7は、主に、演算処理部(CPU)31、光源コントローラ32、モータコントローラ33、記憶部34、操作部35、表示部36を具備している。
【0047】
前記光源コントローラ32は前記光源27を所要のタイミングで発光させ、前記モータコントローラ33は前記高低モータ19、前記水平モータ23を所要のタイミングで駆動する。前記光源コントローラ32及び前記光源27は、発光手段を構成し、前記高低モータ19、前記水平モータ23、前記モータコントローラ33は投射角変更手段を構成する。
【0048】
前記記憶部34には、半導体記憶装置、各種メモリカード、HDD等の投光光学系5の記憶装置が用いられ、前記記憶部34はプログラム格納領域、データ格納領域を有する。
【0049】
前記プログラム格納領域には前記画像測定装置1の作動、測距に必要な各種プログラムが格納されている。
【0050】
該各種プログラムには、前記光源コントローラ32の発光タイミング、前記撮像素子13の受光タイミング等のタイミングを制御するタイミング制御プログラム、前記撮像素子13上での前記再帰反射光29′の受光位置を受光画素の位置から判断し、前記照明光29の発光タイミングと前記撮像素子13の前記再帰反射光29′を受光したタイミングとの時間の偏差で測定点迄の測距を行い、又前記撮像素子13の前記再帰反射光29′の受光位置を受光画素の位置から判断し、測定点の水平角、高低角を測定し、更に測距、測角の結果に基づき測定点の3D計測を行う測定プログラム、前記操作部35からの指令に基づき、又前記高低角エンコーダ21、水平角エンコーダ24の測距結果に基づき前記照明光29の照射方向を制御する投光制御プログラム、前記操作部35から入力された信号を指令信号に変換する信号変換プログラム、測定対象エリアの画像、測定状態、測定対象エリア内に於ける測定点等を前記表示部36に表示させる為の表示プログラム、測定対象エリアが前記受光光学系6で得られる撮像エリア(単一の画像)より広い場合は、前記受光光学系6で取得する複数の撮像画像を合成し、広範囲の撮像エリアを含む画像とする画像合成プログラム等が含まれる。
【0051】
又、前記データ格納領域には、前記撮像素子13で取得した撮像エリア(受光光学系が有する画角で決定されるエリア)の画像データが格納され、測定点の測距データ、測角データ、3Dデータが、座標位置に関連付けられて格納される。
【0052】
前記操作部35は、作業者が作業を実行するに必要な情報を入力し、又作業を実行させる為の指令を入力する。
【0053】
前記表示部36には、前記受光光学系6で取得された画像、該画像中で測定点を示すカーソル、或は測定条件等の各種情報が表示され、又前記表示部36をタッチパネルとし、該表示部36より測定点の指定、作業者が作業を実行するに必要な情報の入力、又作業を実行させる為の指令が入力できる様にしてもよい。
【0054】
以下、第1の実施例の作用について説明する。
【0055】
前記画像測定装置1を室内の所定位置、例えば、中央に設置する。前記整準部3により、前記測定装置本体2を整準し、該測定装置本体2を整準した状態で、前記回動機構部4により前記測定装置本体2を所定の向きに回転させ位置決めする。
【0056】
前記受光光学系6により対象エリアを撮像し、撮像された対象エリアは前記表示部36に表示される。表示された対象エリア内で測定点を決定し、前記操作部35により測定点を指定する。前記光源コントローラ32により前記光源27が駆動され、前記照明光29がパルス光として射出される。
【0057】
測定点が指定されることで、前記演算処理部31により、前記投光光学系5から発せられる前記照明光29が測定点に照射される様に、前記高低モータ19、前記水平モータ23が駆動制御される。又、測定点からの前記照明光29の反射光(再帰反射光29′)は、前記受光レンズ12を介して前記撮像素子13に受光され、該撮像素子13の受光信号は前記演算処理部31に入力され、信号処理されると共に受光位置が演算され、演算結果は画像として前記表示部36に表示される。従って、該表示部36には前記対象エリアの画像に前記照射点(照射点の画像)が重合して表示される。
【0058】
又、前記投光光学系5が焦点合せ機構を具備する場合は、前記照明光29が測定点で集光する様に、焦点合せ機構を作動させる。前記照明光29を測定点に集光させることで、測定点からの再帰反射光29′の光強度が向上し、S/Nが増大し、測定精度が向上する。更に、焦点合せの状態は、前記表示部36に表示された状態で確認する。又、前記照明光29が可視光の場合は、目視で焦点合せの状態を確認する様にしてもよい。
【0059】
測定点が設定され、該測定点に照明光29が射出されると、再帰反射光29′が検出され、前記照明光29の発光タイミングと前記再帰反射光29′の受光タイミングとの時間差で前記測定点迄の距離が測定される。又、前記再帰反射光29′の前記撮像素子13上での受光位置から、前記受光光軸15を基準とした高低角、水平角が求められる。更に、前記演算処理部31によって前記測定点の測距結果、高低角、水平角に基づき、前記撮像素子13の中心を原点とする3次元データが演算される。
【0060】
尚、測定点の設定は、前記表示部36上で設定してもよく、或は前記照明光29が可視光の場合は、作業者が前記照明光29の照射位置を視認して決定してもよい。
【0061】
上記測定作動に於いて、受光系は固定で、前記投光ユニット25(即ち、前記投光光軸26)のみ回転させればよく、回転部分は前記投光ユニット25のみであり、軽量で構造を簡単にすることができる。又、照射点の位置は、前記撮像素子13の受光結果から測定されるので、前記投光ユニット25の駆動は高精度を要求されない。
【0062】
而して、対象エリアの画像を取得できると共に対象エリア内の任意の点について、任意の箇所について簡単に3D測定を行うことができる。更に、測定点の画像を対象エリアの画像に重合させた画像を保存することで、測定の状況或は測定点の確認作業が容易となる。
【0063】
更に、前記照明光29をパルス発光させつつ、前記高低モータ19、前記水平モータ23を制御し、前記照明光29を水平方向、及び鉛直方向に所定の速度で走査することで、測定対象の全エリアについて3Dデータを取得することが可能となる。
【0064】
図3は、前記投光光学系5の第1の変更例を示している。
【0065】
上記第1の実施例では、方向検出手段が高低角エンコーダ21、水平角エンコーダ24によって構成されたが、第1の変更例ではプロファイルセンサ43によって方向検出手段が構成される。
【0066】
図3中、図1中で示したものと同等のものには同符号を付してある。
【0067】
前記投光光軸26上で、前記投光レンズ28より測定対象側の位置に光束分割部材としてのハーフミラー41が配設され、該ハーフミラー41によって分割された光軸上に偏向部材としてのミラー42が配設される。前記投光レンズ28を透過した照明光29が前記ハーフミラー41で分割され、分割された一部光29aが前記ミラー42で反射される。該ミラー42で反射された前記一部光29aは前記投光光軸26と平行となっている。
【0068】
2股フレーム16の前記ミラー42と対向した位置にプロファイルセンサ43が設けられる。又、前記投光光軸26の基準位置で、前記一部光29aは前記プロファイルセンサ43に垂直に入射する。
【0069】
該プロファイルセンサ43は、図3(B)に示される様に、受光面が直交する2直線で4分割された受光センサ(4分割素子)であり、且つ分割部の受光量を比較し、各分割部の受光量が等しくなった状態で、光束の中心と受光面の中心とが一致したと判断するものである。第1の変更例では、光束の中心と受光面の中心とが一致した状態が前記投光ユニット25の基準位置と判断される。
【0070】
前記投光光軸26の水平角、高低角は、前記プロファイルセンサ43の中心に対する前記一部光29aの変位量に1:1に対応し、前記プロファイルセンサ43で前記一部光29aの受光位置を検出することで前記投光光軸26の射出方向が検出できる。而して、前記ハーフミラー41、前記ミラー42、前記プロファイルセンサ43は、方向検出手段を構成する。尚、プロファイルセンサ43としては、2次元CCDプロファイルセンサ或は2次元CMOSプロファイルセンサ等が用いられる。
【0071】
図4は、前記投光光学系5の第2の変更例を示している。
【0072】
上記第1の変更例では、方向検出手段が前記ハーフミラー41、前記ミラー42、前記プロファイルセンサ43によって構成されたが、第2の変更例では、一部光29aの位置を検出するセンサとして、アブソリュートパターン44、受光素子45が用いられている。
【0073】
図4中、図3中で示されたものと同等のものには同符号を付してある。
【0074】
第1の変更例と同様に、前記ハーフミラー41、前記ミラー42によって照明光29の一部が分割され、分割された光は一部光29aとして受光素子45に垂直に入射される。
【0075】
前記ミラー42で反射された前記一部光29aの光路上に前記アブソリュートパターン44が設けられ、前記一部光29aは前記アブソリュートパターン44を透過して前記受光素子45に受光される。従って、該受光素子45は前記一部光29aが透過した部分の前記アブソリュートパターン44の像を検出し、前記一部光29aの位置を検出する。
【0076】
前記受光素子45は受光したパターンにより基準位置からの前記一部光29aの偏差を検出し、又偏差は前記投光光軸26の高低角、水平角と1:1に対応しているので、前記受光素子45の検出結果に基づき前記投光光軸26の高低角、水平角を検出することができる。
【0077】
図5は、前記投光光学系5の第3の変更例を示している。
【0078】
該第3の変更例では、前記投光ユニット25に光束径拡大手段を設けたものである。
【0079】
第3の変更例では、光束径拡大手段として前記投光レンズ28の位置を光軸方向に移動する位置可変機構を設けたものである。前記投光レンズ28の位置を変更することで前記照明光29の光束が拡大し、広範囲を照射することができる。尚、前記投光レンズ28を液体レンズとして該投光レンズ28の焦点距離を変更することで、照明光29の広がり角を変更する様にしてもよい。
【0080】
従って、前記照明光29の光束を拡げ、先ず照明範囲を広くした状態で測定対象の概要を捉え、次に測定点での照明光の輝度が増大する様に前記照明光29を集光させる。
【0081】
図6は、前記投光光学系5の第4の変更例を示している。
【0082】
第4の変更例では、光束径拡大手段としてディフューザ46を前記投光レンズ28の測定対象側に設けたものであり、又前記ディフューザ46を前記投光光軸26に対して挿脱可能としたものである。
【0083】
前記ディフューザ46を前記投光光軸26に挿入した状態で、前記照明光29を照射することで該照明光29の光束は前記ディフューザ46で拡大され、測定対象を広範囲で照射し、前記ディフューザ46を取除くことで、前記照明光29は集光された状態で測定対象を照射する。
【0084】
前記投光光学系5の第5の変更例として、前記光源27を半導体レーザとして、該光源27に通電する電流値を制御し、前記光源27から発せられる光の光束の拡縮を行う様にしたものである。
【0085】
図7(A)(B)に示される様に、半導体レーザは、該半導体レーザに通電する電流が閾値を超えるとレーザを発振することが知られている。従って、測定対象を広範囲で照射する場合は、前記光源27に閾値以下の電流を通電して光を自然放出させ、測定点を局部的に照射する場合、或は測定を実行する場合は、閾値以上の電流を前記光源27に通電してレーザ光を照射させる様にする。
【0086】
次に、前記受光光学系6の第1の変更例を説明する。
【0087】
第1の変更例では、受光レンズ12に変倍機能を付加したものである。
【0088】
図8は、変倍機能を有する受光レンズ12の一例を示している。図8中、48a,48bは前記受光光軸15に沿って一体に移動するフォーカシングレンズであり、49は前記フォーカシングレンズ48a,48bの間に固定的に設けられた凹レンズ、50は前記フォーカシングレンズ48bと撮像素子13との間に設けられたリレーレンズである。
【0089】
前記フォーカシングレンズ48a,48bを移動させることで前記撮像素子13に結像される像を拡大、縮小させることができる。
【0090】
前記受光光学系6に変倍機能を設けることで、測定対象像を拡大し、撮像の分解能を向上させることができる。
【0091】
前記投光光学系5による前記照明光29の水平及び鉛直の振り角は、前記撮像素子13の画素ピッチに対応する分解能となっている。即ち、前記高低モータ19による高低回転フレーム18の回転、前記水平モータ23による前記投光ユニット25の回転は、それぞれ前記投光光軸26の角度(水平角及び高低角)を前記撮像素子13の画素ピッチで回転させることができる角度分解能を有する構造となっている(図1参照)。
【0092】
従って、前記受光光学系6により倍率を増大させると、測定対象像に対する1画素ピッチの角度が相対的に小さくなり、前記投光光学系5の角度分解能が向上する。
【0093】
図9は、撮像素子13を受光レンズ12の焦点位置に配置した場合の、角度分解能を表している。対象物体に対する角度測定の分解能は、arcTAN(画素ピッチp/受光レンズ12の焦点距離f)で求められる。従って、撮像素子13の画素数(即ち画素ピッチ)と、受光レンズ12の焦点距離の組合わせを適宜選択することで、所望の角度分解能を得ることができる。
【0094】
尚、前記撮像素子13として、CCD或はCMOSセンサを用いることで、構成する画素13a単位で受光光強度を検出することができる。従って、前記撮像素子13に結像する光束の径が、画素ピッチより大きい場合でも、画素からの信号に基づき前記再帰反射光29′の受光像の重心位置を検出することで、画素単位の解像度で前記再帰反射光29′の受光位置を検出することができる。
【0095】
又、前記撮像素子13の前記再帰反射光29′の受光位置の検出結果を前記投光ユニット25の駆動部制御にフィードバックすることで、前記投光ユニット25の射出方向の分解能を画素単位迄向上させることができる。
【0096】
図10は、前記投光ユニット25の高低角又は水平角を変更し、前記照明光29の射出方向を変更した場合の、前記撮像素子13上での前記再帰反射光29′の受光位置の変化を説明する。尚、図10は高低角を変更した場合を示している。
【0097】
図10によれば、前記投光ユニット25の角度変位を制御することで、前記撮像素子13上での受光位置を画素ピッチ毎に変位させることができ、前記受光レンズ12の変倍機能を用いて受光倍率を増大することで、拡大した受光像上での位置変位を相対的に小さくすることができ、その結果角度分解能を向上させることができる。
【0098】
更に、図1に示す画像測定装置1に於いて、前記投光光学系5に図5で示される第3の変更例或は、図6で示される第4の変更例、或は図7で示される第5の変更例を適用し、前記照明光29の光束の拡縮を行い、更に図8で例示された変倍光学系を前記受光光学系6に適用し、受光倍率を増大、縮小することができる。
【0099】
前記投光光学系5の変更例の適用により、前記照明光29により広範囲を照明でき、容易に測定対象を捉えることができ、捉えた後は前記照明光29の光束を収縮させ、高輝度の照明光29で測定点を照射することができ、測定点からの再帰反射光29′のS/Nを向上させることができる。更に、前記受光光学系6の受光倍率を増大することで、角度分解能を向上させることができる。而して、作業の容易性、作業性の向上を図りつつ測定精度を向上させることができる。
【0100】
次に、上記実施例に於ける、撮像素子13に距離画像素子を用いた場合の第2の実施例を、図1、図5、図6及び図8を参照して説明する。
【0101】
ここで、距離画像素子は多数の画素によって構成され、測定対象を撮像可能であると共に測定対象に照射した光が反射して距離画像素子に受光される迄の時間を各画素毎に測定し、3次元距離画像をリアルタイムに取得することができるものである。
【0102】
第2の実施例では投光光学系5として、照明光29の光束を拡縮できる機能を有し(図5、図6参照)、又、受光光学系6として受光倍率を増大、縮小可能な機能を有する(図8参照)。
【0103】
先ず、前記投光光学系5の光束径拡大手段により照明光29の光束を拡大し、広範囲で照射し、測定対象をできるだけ容易に捕捉できる様にする。測定対象が捕捉できたら、前記照明光29の光束を絞り、測定対象の所要点に限定してピンポイントに照射する。
【0104】
前記所要点からの再帰反射光29′が距離画像素子である前記撮像素子13に入射し、該撮像素子13の各画素毎に測定対象の所要点迄の距離が測定される。又、前記撮像素子13上での画素の位置から、高低角、水平角が測定される。従って、前記所要点を3次元で計測することができる。
【0105】
本実施例に於いても、容易に測定対象の捕捉、測定点の選定が容易に行え、更にS/Nを高くして高精度での3次元計測を行うことができる。
【0106】
又、測定精度を高めた状態で、広範囲を測定する場合について説明する。
【0107】
受光倍率を増大することで、角度測定の分解能が高まり精度が向上するが、一方で画角が小さくなり、前記受光光学系6での撮像エリアが狭まり、測定範囲も狭まる。
【0108】
撮像エリアより広い対象エリアが設定された場合は、対象エリアに撮像エリアを、パッチワークの様にして嵌込むことで測定範囲を拡大する。
【0109】
図11は、隣接する撮像エリア画像51,51を位置合せしつつ、繋ぎ合せ、対象エリア52に嵌込む様子を示している。
【0110】
前記撮像エリア画像51を繋ぎ合せる方法の1つとして、隣接する撮像エリア画像51,51を水平方向で重合せ部51aだけ重合せて繋ぎ合せ、又上下方向で重合せ部51bだけ重合せて繋ぎ合せる。重合せ部51a,51bを利用して隣接する撮像エリア画像51,51の位置合せを行い、隣接する撮像エリア画像51の連続性を確保する。
【0111】
又、重合せ部51a,51bを利用して隣接する撮像エリア画像51,51の位置合せを行う場合、測定対象に照明光29をピンポイントで照射し、前記照明光29で照射された照射点53を基準点として用いることができる。例えば、前記照明光29の照射点の位置を変えない様に、前記受光光学系6の撮像エリアを移動することで(即ち、前記投光光軸26を前記受光光軸15の移動方向と逆方向に移動させることで)、照射点を隣接する撮像エリア画像51の共通点とすることができ、又、照射点の各撮像エリア画像51中の座標は前記撮像素子13からの受光信号で直ちに特定でき、得られる座標値に基づき隣接する画像を合成することで、画像処理をすることなく、隣接する撮像エリア画像51の繋ぎ合せを行うことができる。
【0112】
又、ピンポイントで複数点を照射し、照射した点を画像処理により特徴点として抽出し、抽出した特徴点に基づき隣接する撮像エリア画像51,51を重合せてもよい。この場合は各撮像エリア画像51,51に有効な特徴点が見つかった段階で照明光29の光束をフォーカスし、得られた照射点を基準点として設定することが有効である。
【符号の説明】
【0113】
1 画像測定装置
2 測定装置本体
3 整準部
4 回動機構部
5 投光光学系
6 受光光学系
7 制御演算装置
9 回転軸
12 受光レンズ
13 撮像素子
15 受光光軸
19 高低モータ
21 高低角エンコーダ
23 水平モータ
24 水平角エンコーダ
25 投光ユニット
26 投光光軸
27 光源
28 投光レンズ
29 照明光
29′ 再帰反射光
31 演算処理部
32 光源コントローラ
33 モータコントローラ
34 記憶部
35 操作部
36 表示部
41 ハーフミラー
42 ミラー
43 プロファイルセンサ
44 アブソリュートパターン
45 受光素子
46 ディフューザ
51 撮像エリア画像
52 対象エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投光光軸と照明光を射出する光源とを有し、前記投光光軸を経て前記照明光を投射する投光光学系と、受光光軸と撮像素子とを有し、測定対象からの再帰反射光を前記受光光軸を経て撮像素子で受光する受光光学系と、前記撮像素子で撮像されたデータを処理する制御演算装置とを具備し、前記投光光学系は前記投光光軸を測定対象に向け前記照明光を投射する投光ユニットと、該投光ユニットを高低方向、水平方向に回転し、前記照明光の投射角を変更する投射角変更手段と、前記受光光軸に対する前記投光光軸の方向角を検出する方向検出手段とを有することを特徴とする画像測定装置。
【請求項2】
前記制御演算装置は、撮像エリアの画像と共に測定対象に照射された照明光の画像として照射点を取得し、複数の撮像エリアの画像を前記照射点を基準として部分的に重合せ、繋ぎ合せる請求項1の画像測定装置。
【請求項3】
前記制御演算装置は、複数の撮像エリアの画像を部分的に重合せ、繋ぎ合せ、複数の撮像エリアの画像を重合せる基準が、撮像エリアの画像から抽出した特徴点である請求項1の画像測定装置。
【請求項4】
前記撮像素子が距離画像センサであり、前記測定対象の画像を取得すると共に前記測定対象を3次元で計測する請求項1から請求項3のいずれかの画像測定装置。
【請求項5】
前記撮像素子は画素の集合体であり、前記投射角変更手段は画素のピッチに合わせて投光光軸の向きを変更する請求項1から請求項4のいずれかの画像測定装置。
【請求項6】
前記光源は半導体レーザであり、該半導体レーザを閾値以下と閾値以上の駆動電流で発光させる様構成した請求項1から請求項5のいずれかの画像測定装置。
【請求項7】
前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光する4分割素子である請求項1から請求項6のいずれかの画像測定装置。
【請求項8】
前記方向検出手段は、前記照明光の一部を分割する光学部材と該光学部材に導かれた分割光を受光するプロファイルセンサである請求項1の画像測定装置。
【請求項9】
前記投光ユニットはフォーカス機能を有する請求項1の画像測定装置。
【請求項10】
前記投光ユニットは、前記照明光の光束を拡大する光束径拡大手段を有する請求項1又は請求項5の画像測定装置。
【請求項11】
前記光束径拡大手段は、前記投光光軸に挿脱可能に設けられたディフューザである請求項10の画像測定装置。
【請求項12】
前記受光光学系は受光倍率を拡大する変倍機能を有する請求項1の画像測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−92456(P2013−92456A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235041(P2011−235041)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000220343)株式会社トプコン (904)
【Fターム(参考)】