画像照合装置、患者位置決め装置及び画像照合方法
【課題】放射線治療の患者位置決めの際に、3次元現在画像の断層画像数が3次元基準画像よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチング(2段階照合)を実現することを目的にする。
【解決手段】3次元基準画像と3次元現在画像とを照合し、現在画像における患部の位置姿勢を基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備える。照合処理部22は、基準画像から現在画像に対して1次照合を行う1次照合部16と、基準画像又は現在画像の一方から1次照合の結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる基準画像又は現在画像の他方から1次照合の結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次照合を行う2次照合部17と、を有する。
【解決手段】3次元基準画像と3次元現在画像とを照合し、現在画像における患部の位置姿勢を基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備える。照合処理部22は、基準画像から現在画像に対して1次照合を行う1次照合部16と、基準画像又は現在画像の一方から1次照合の結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる基準画像又は現在画像の他方から1次照合の結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次照合を行う2次照合部17と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線、ガンマ線、粒子線等の放射線を患者の患部に照射してがん治療を行う放射線治療装置において、CT画像データ等を利用した画像照合装置、及びこの画像照合装置を用いて放射線を照射する放射線照射位置に患者を位置決めする患者位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療を目的とした放射線治療装置では、陽子や重イオン等の粒子線を用いたがん治療装置(特に、粒子線治療装置と呼ばれる)の開発や建設が進められている。周知のとおり、粒子線を用いた粒子線治療はX線、ガンマ線等の従来の放射線治療に比べて、がん患部に集中的に照射することができ、すなわち、患部の形状に合わせてピンポイントで粒子線を照射することができ、正常細胞に影響を与えずに治療することが可能である。
【0003】
粒子線治療では、粒子線をがんなどの患部に高精度に照射することが重要である。その為、患者は粒子線治療時には治療室(照射室)の治療台に対して位置がずれないように、固定具等を用いて固定される。がんなどの患部を放射線照射範囲に精度よく位置決めする為に、レーザポインタなどを利用した患者の粗据付けなどのセッティングを行い、次いで、X線画像等をもちいて患者の患部の精密な位置決めを行っている。
【0004】
特許文献1には、X線透視画像の基準画像及びX線受像器により撮影している現在画像のいずれの画像にも同じ複数のモニュメントの同じ位置を指定することなく、2段階パターンマッチングを行い、治療台を駆動する位置決め用情報を生成するベッド位置決め装置及びその位置決め方法が提案されている。1次パターンマッチングでは、2次元基準画像に対して設置されたアイソセンタ(ビーム照射中心)を含む第1設定領域と略同じ大きさの第2設定領域を2次元現在画像に対して設定し、2次元現在画像の領域内で第2設定領域を、順次、移動させて、第2設定領域のそれぞれの位置で、第1設定領域内の2次元基準画像と第2設定領域内の2次元現在画像とを比較し、第1設定領域の2次元基準画像と最も類似した2次元現在画像を持つ第2設定領域を抽出する。2次パターンマッチングでは、1次パターンマッチングで抽出した第2設定領域内の2次元現在画像を前記第1設定領域内の前記2次元基準画像と比較し、両画像が最も一致するようにパターンマッチングを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3748433号公報(0007〜0009段、0049段、図8、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患部の形状は3次元の立体形状であるので、治療計画時の患部位置に患部を位置決めするには3次元画像を用いる方が、2次元画像を用いるよりも高精度の位置決めが可能になる。一般的に、治療計画データ作成の際には、X線CT(Computed Tomography)画像を
用いて3次元的に患部形状を特定することが行われる。近年、治療室にX線CT装置を備え、治療の際にX線CT装置により撮影したX線CT現在画像と、治療計画の際のX線CT画像とを用いて、位置決めを行いたいという要求がある。X線透視画像では軟部組織である患部は良く映らないため骨を使った位置合わせが基本となるが、X線CT画像を用いた位置決めは、X線CT画像に映った患部同士での位置合わせができるからである。
【0007】
そこで、従来の2段階パターンマッチングにおいて、基準画像及び現在画像を3次元画像に拡張する場合を考える。3次元基準画像及び3次元現在画像は、X線CT装置で撮影された複数の断層画像(スライス画像)を含んでいる。3次元現在画像は、X線被ばくなどの観点から画像枚数が少ないことが想定されるため、密な画像情報を有する3次元基準画像と、3次元基準画像よりも粗い画像情報を有する3次元現在画像とを比較する必要がある。従来の2段階パターンマッチングでは、それぞれ同一密度の画像情報を有する2次元基準画像と2次元現在画像との比較はできるものの、画像情報の密度が異なる3次元基準画像と3次元現在画像との比較する際には、従来技術の画像次元を2次元から3次元に単純に高次元化するだけでは、2段階パターンマッチングを実現することはできない問題がある。すなわち、従来と同様に、設定される第1設定領域内の3次元基準画像から第2設定領域内の3次元現在画像への1次パターンマッチングを単純に行い、抽出された第2設定領域内の3次元現在画像を第1設定領域内の3次元基準画像第と単純に比較し、両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現することはできない問題がある。
【0008】
本発明は、放射線治療の患者位置決めの際に、3次元現在画像の断層画像数が3次元基準画像よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチング(2段階照合)を実現することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像照合装置は、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像を各々読み込む3次元画像入力部と、3次元基準画像と3次元現在画像とを照合し、3次元現在画像における患部の位置姿勢を3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部と、を備える。照合処理部は、3次元基準画像から3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部と、3次元基準画像又は3次元現在画像の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる3次元基準画像又は3次元現在画像の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像照合装置は、3次元基準画像から3次元現在画像に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、所定のテンプレート領域と所定の検索対象領域を生成して、検索対象領域とテンプレート領域との2次パターンマッチングを実行するので、3次元現在画像の断層画像数が3次元基準画像よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の画像照合装置及び患者位置決め装置に関する全体機器構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による3次元基準画像及び基準画像テンプレート領域を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1による3次元現在画像を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図6】図5の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法によって、抽出されたスライス画像の1次抽出領域を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1による2次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図9】図8の2次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態2による1次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図11】図10の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態2による姿勢変換後の3次元基準画像を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2による2次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態3による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図であり、図2は本発明の画像照合装置及び患者位置決め装置に関する全体機器構成を示す図である。図2において、1は放射線治療に先立って行われる治療計画を行うためのCTシミュレータ室であり、ここにはCTガントリー2、CT画像撮影用ベッドの天板3があり、天板3の上に患者4を横たえて、患部5を含むように治療計画用のCT画像データが撮影される。一方、6は放射線治療を行うための治療室であり、ここにはCTガントリー7、回転治療台8と、回転治療台8の上部には天板9があり、天板9の上に患者10を横たえて、治療時の患部11を含むように位置決め用のCT画像データが撮影される。
【0013】
ここで、位置決めとは、治療時の患者10と患部11の位置を、治療計画用のCT画像データから割り出し、治療計画に合うように体位補正量を計算し、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせを行うことである。位置合わせは患者10を天板9に載せたまま回転治療台8を駆動制御して天板9の位置を移動することで実現する。回転治療台8は並進・回転の6自由度の駆動補正が可能であるとともに、回転治療台8の天板9を180度回転することで、CT撮影ポジション(図2において実線にて示す)から放射線を照射する照射ヘッド13のある治療ポジション(図2において点線にて示す)へ移動することもできる。なお、図2では、CT撮影ポジションと治療ポジションが180度の対向位置関係にあるものが示されているが、この配置形態に限られず、両者の位置関係が90度等その他の角度をなすものであってもかまわない。
【0014】
治療計画用のCT画像データと位置決め用のCT画像データとは位置決め計算機14に転送される。治療計画用のCT画像データは3次元基準画像となり、位置決め用のCT画像データは3次元現在画像となる。本発明における画像照合装置29および患者位置決め装置30は、いずれもこの位置決め計算機14内に存在するコンピュータソフトウェアに関するものであり、画像照合装置29は前記体位補正量(並進量、回転量)を計算するとともに、患者位置決め装置30は画像照合装置29を包含しつつ、更にこの体位補正量に基づいて回転治療台8(適宜、単に治療台8と呼ぶ)の各駆動軸を制御するパラメータを算出する機能を有するものである。患者位置決め装置30は、画像照合装置29によるマッチング結果(照合結果)によって治療台8を制御することで、粒子線治療の対象患部が、治療装置のビーム照射中心12に位置するように導く。
【0015】
従来の放射線治療における位置決めでは、治療計画用CT画像データから生成したDRR(Digitally Reconstructed Radiography)画像やこれと同時に撮影したX線透視画像
と治療時の治療室で撮影したX線透視画像とを照合することで位置ずれ量を計算していた。X線透視画像では軟部組織である患部は良く映らないため骨を使った位置合わせが基本となる。本実施の形態で記述するCT画像データを用いた位置決めは、治療室6にCTガントリー7を設置し、治療直前のCT画像データと治療計画用CT画像データとで位置合わせをするため、患部を直接的に描出可能で、患部での位置合わせができるという特徴を有する。
【0016】
次に、本実施の形態における画像照合装置29および患者位置決め装置30での前記体位補正量の計算手順について説明する。図1は画像照合装置及び患者位置決め装置を構成する各データ処理部間の関係を示しており、ここで画像照合装置29は、CT画像データを読み込む3次元画像入力部21、照合処理部22、照合結果表示部23、照合結果出力部24を有する。画像照合装置29に治療台制御パラメータ算出部26を加えたものが患者位置決め装置患者位置決め装置30である。
【0017】
前述したように、3次元基準画像は治療計画時に治療計画用に撮影されたデータであり、粒子線治療の対象となる患部を示す患部情報(患部形状等)が人手により入力されていることを特徴とする。3次元現在画像は、治療時に患者位置決め用に撮影されたデータであり、X線被ばくを抑制する観点から、断層画像(スライス画像とも呼ぶ)枚数が少ないことを特徴とする。
【0018】
本発明では、3次元基準画像から3次元現在画像に1次パターンマッチングし、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、所定のテンプレート領域と所定の検索対象領域を生成して、この所定のテンプレート領域を用いて、同方向、もしくは、逆方向に2次パターンマッチングする2段階パターンマッチングの構成とする。2段階パターンマッチングでは、1次パターンマッチング時のマッチングパラメータと、2次パターンマッチング時のマッチングパラメータとを異なるものとすることで、処理の高速化や高精度化を図ることができる。例えば、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけたテンプレート領域又は検索対象領域を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で絞り込んだ範囲を対象に行うような方法がある。
【0019】
3次元画像入力部21について説明する。3次元画像入力部21は、X線CT装置により撮影され、複数の断層画像に構成された画像群をDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式の画像データ(スライス画像群)を、3次元のボリュームデータとして読み込むものである。治療計画用のCT画像データは、治療計画時の3次元ボリュームデータであり、すなわち3次元基準画像である。位置決め用のCT画像データは、治療時の3次元ボリュームデータであり、すなわち3次元現在画像である。なお、CT画像データはDICOM形式に限定されるものではなく、他の形式であっても構わない。
【0020】
照合処理部22は、3次元基準画像と3次元現在画像とを照合(パターンマッチング)し、3次元現在画像における患部の位置姿勢を前記3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する。照合結果表示部23は、照合処理部22により照合した結果(後述する体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等)を、位置決め計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像と3次元現在画像とを照合させた際の補正量、すなわち照合処理部22により計算された体位補正量(並進量、回転量)を出力する。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する。これにより、治療計画に合うように体位補正量を計算し、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせすることができる。
【0021】
照合処理部22は、位置姿勢変換部25、1次照合部16、2次照合部17、基準テンプレート領域生成部18を有する。位置姿勢変換部25は、1次パターンマッチングや2次パターンマッチングの際に、対象データの位置姿勢を変更するものである。1次照合部16は、3次元基準画像から3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う。2次照合部17は、3次元基準画像又は3次元現在画像の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる3次元基準画像又は3次元現在画像の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う。
【0022】
図3乃至図9を用いて、照合処理部22について、詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態1による3次元基準画像及び基準画像テンプレート領域を示す図である。図4は、本発明の実施の形態1による3次元現在画像を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法を説明する図である。図6は、図5の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。図7は、本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法によって、抽出されたスライス画像の1次抽出領域を示す図である。図8は、本発明の実施の形態1による2次パターンマッチング方法を説明する図である。図9は、図8の2次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【0023】
照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、治療計画時に入力されている患部形状(患部情報)を用いて、3次元基準画像31から、基準画像テンプレート領域33を生成する。3次元基準画像31は、複数のスライス画像32から構成される。図3では、複雑にならないように5枚のスライス画像32a、32b、32c、32d、32eからなる例を示した。患部形状はROI(Region of Interest)35として、スライス画像毎に患部を囲む閉輪郭として入力されている。前記閉輪郭を包含する領域を、例えば外接四角形34として、各外接四角形34を包含する直方体領域をテンプレート領域とすれば良い。このテンプレート領域を基準画像テンプレート領域33とする。照合処理部22の1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33を3次元現在画像36に1次パターンマッチングする。図4に示した3次元現在画像36は、3枚のスライス画像37a、37b、37cからなる例を示した。図5に示した現在画像領域38は、3枚のスライス画像37a、37b、37cを含む直方体として表現した。図5のように、現在画像領域38において基準画像テンプレート領域33(33a、33b、33c)をラスタースキャン状に動かして行き、3次元現在画像36との相関値を計算する。相関値としては、正規化相互相関値など、画像マッチング(画像照合)で利用されるあらゆる相関値を利用することができる。
【0024】
基準画像テンプレート領域33aは、スライス画像37aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、基準画像テンプレート領域33bはスライス画像37bをスキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、基準画像テンプレート領域33cはスライス画像37cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0025】
1次パターンマッチングの際には、図6に示すように、基準画像テンプレート領域33を構成するスライス画像53毎に、現在画像領域38を構成するスライス画像37との画像照合を行う。スライス画像53は、3次元基準画像31のスライス画像32において基準画像テンプレート領域33で区切られた画像である。基準画像テンプレート領域33は、3次元基準画像における5枚のスライス画像32a、32b、32c、32d、32eに対応した5枚のスライス画像53a、53b、53c、53d、53eから構成される。したがって、1次パターンマッチングの際には、3次元現在画像36のスライス画像37aに対して、基準画像テンプレート領域33における5枚のスライス画像53a、53b、53c、53d、53eそれぞれとで画像照合を行う。3次元現在画像36のスライス画像37b、37cに対して、同様に画像照合を行う。
【0026】
1次照合部16は、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値が最も高くなった領域を包含するように、3次元現在画像36の各スライス画像37から1次抽出領域43を抽出する。図7に示すように、3次元現在画像36のスライス画像37aから1次抽出領域43aが抽出される。同様に、3次元現在画像36のスライス画像37b、37cから1次抽出領域43b、43cが抽出される。1次抽出領域43a、43b、43cを含むように、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42は生成される。このように、1次照合部16は、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成する。
【0027】
ここで、位置決め前の状態においては、3次元基準画像31と3次元現在画像36の姿勢(回転3軸)が合っていないため、図5のような単純なラスタースキャンでは、3次元現在画像36のスライス枚数が少ない場合には、角度ずれまで検出する精度の高いマッチングが出来ないものの、2次パターンマッチングを行うための1次抽出領域43を抽出するには問題はない。そこで、1次パターンマッチングでは角度ずれまで検出せずに相関値を計算し、その後の2次パターンマッチングでは角度ずれまで検出する精度の高いマッチングを行う。
【0028】
2次パターンマッチングについて説明する。2次パターンマッチングでは、マッチング処理部22の位置姿勢変換部25により、3次元基準画像31から生成された基準画像テンプレート領域33の位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40を生成する。2次パターンマッチングでは、図8及び図9のように、マッチング時に、基準画像テンプレート領域33の姿勢変化量(回転3軸)をパラメータとして追加する。2次照合部17は、位置姿勢変換部25により位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40とスライス画像枚数が少ない3次元現在画像36の1次抽出現在画像領域42との間で、角度ずれまで含めた高精度なマッチングを行う。このようにすることで、角度ずれまで含めた高精度な2段階パターンマッチングが実現できる。2次パターンマッチングの探索範囲として、1次パターンマッチングで求まった領域を含んだ狭い範囲を対象とすることで、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけた1次抽出領域43を含む1次抽出現在画像領域42を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で行うことができ、パターンマッチングに要する時間を短縮することができる。
【0029】
図8に示した1次抽出現在画像領域42は、3つの1次抽出領域43a、43b、43cを含む直方体として表現した。位置姿勢が変換された基準画像テンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40aは、スライス画像37aの1次抽出領域43aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40bはスライス画像37bの1次抽出領域43bを
スキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40cはスライス画像37cの1次抽出領域43cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0030】
2次パターンマッチングの際には、2次照合部17により、図9に示すように、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と1次抽出現在画像領域42を構成するスライス画像37の1次抽出領域43との間で画像照合を行う。また、3次元現在画像36のスライス画像37において1次抽出現在画像領域42で区切られた画像であるスライス画像55と、断面41との間で画像照合を行ってもよい。位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、3次元基準画像31の複数のスライス画像32から生成する。例えば、断面41のデータは、3次元基準画像31を構成する複数のスライス画像32から切り出したものである。通常、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41のデータ密度と3次元現在画像36の1次抽出領域43のデータ密度は異なることになるが、断面41の画素毎の相関値を計算すればよい。また、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、そのデータ密度が3次元現在画像36の1次抽出領域43のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0031】
ここで、実施の形態1の2段階パターンマッチング方法についてまとめる。まず、照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、3次元基準画像31から基準画像テンプレート領域33を生成する(基準画像テンプレート領域生成手順)。1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する(1次パターンマッチング手順)。1次パターンマッチングは、基準画像テンプレート領域33を構成するスライス画像53毎に、現在画像領域38を構成するスライス画像37との画像照合を行う。1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33をスキャンする度に、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値を計算し(相関値計算手順)、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値が最も高くなった領域を包含するように1次抽出領域43を抽出する(1次抽出領域抽出手順)。1次照合部16は、現在画像領域38を構成するスライス画像37毎の1次抽出領域43を含むように、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成する(検索対象生成手順)。実施の形態1の2段階パターンマッチング方法は、基準画像テンプレート領域生成手順と、1次パターンマッチング手順と、後述する2次パターンマッチング手順を含む。1次パターンマッチング手順は、相関値計算手順と、1次抽出領域抽出手順と、検索対象生成手順を含む。
【0032】
次に、照合処理部22の2次照合部17は、位置姿勢変換部25により基準画像テンプレート領域33の位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40から、3次元現在画像36の1次抽出現在画像領域42に対して2次パターンマッチングを実行する(2次パターンマッチング手順)。2次パターンマッチングは、所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を複数生成し(断面生成手順)、断面41毎に、1次抽出現在画像領域42を構成するスライス画像37の1次抽出領域43やスライス画像55と、当該断面41との間で画像照合を行う。2次照合部17は、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、1次抽出現在画像領域42と位置姿勢変換テンプレート領域40の複数の断面41との相関値を計算する(相関値計算手順)。また、位置姿勢変換部25は、先の位置姿勢と異なる位置姿勢に変換し(位置姿勢変換手順)、2次照合部17は、当該位置姿勢における位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を複数生成し(断面生成手順)、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、1次抽出現在画像領域42と位置姿勢変換テンプレート領域40の複数の断面41との相関値を計算する(相関値計算手順)。照合処理部22の2次照合部17は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元基準画像と3次元現在画像との位置姿勢関係(位置姿勢情報)を、最適解として選定する(最適解選定手順)。このように、3次元基準画像と3次元現在画像との両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現する。2次パターンマッチング手順は、断面生成手順と、相関値計算手順と、位置姿勢変換手順と、最適解選定手順を含む。
【0033】
パターンマッチングが完了した後に、照合処理部22は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢から、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を計算する(体位補正量計算手順)。照合結果表示部23は、体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等を計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を出力する(体位補正量出力手順)。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する(治療台制御パラメータ算出手順)。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する(治療台駆動手順)。
【0034】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元基準画像31から所定の2次パターンマッチング用のテンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40を生成し、3次元現在画像36から1次抽出領域43を含むように、2次パターンマッチングに用いる所定の検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成するので、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0035】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができるので、位置合わせの際のX線CT装置による3次元現在画像36の断層画像数を少なくすることができ、位置合わせの際のX線CT装置による患者の被ばく量を低減することができる。
【0036】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを実行した結果に基づいて、1次抽出現在画像領域42を生成し、現在画像領域38よりも狭い領域である1次抽出現在画像領域42を検索対象とすることで、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけた1次抽出領域43を含む1次抽出現在画像領域42を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で行うことができ、パターンマッチングに要する時間を短縮することができる。
【0037】
実施の形態1による患者位置決め装置30は、画像照合装置29により計算された体位補正量に基づいて、治療計画の際の位置姿勢に合うようにすることができる。治療計画の際の位置姿勢に合うようにすることができるので、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせすることができる。
【0038】
実施の形態1による患者位置決め装置30は、位置姿勢変換部25によって、3次元基準画像31から得られる基準画像テンプレート領域33から、3次元基準画像31よりも断層画像数(スライス画像数)が少ない3次元現在画像36にマッチングするのに適切な位置姿勢変換テンプレート領域40が生成でき、角度ずれまで含めた精度の高い2段階パ
ターンマッチングが実現できる。
【0039】
実施の形態1による画像照合装置29によれば、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36を各々読み込む3次元画像入力部21と、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合し、3次元現在画像36における患部の位置姿勢を3次元基準画像31における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備え、照合処理部22は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部16と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部17と、を有するので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0040】
実施の形態1による患者位置決め装置30によれば、画像照合装置29と、画像照合装置29によって計算された体位補正量に基づいて、治療台8の各軸を制御するパラメータを算出する治療台制御パラメータ算出部26と、を備え、画像照合装置29は、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36を各々読み込む3次元画像入力部21と、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合し、3次元現在画像36における患部の位置姿勢を3次元基準画像31における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備える。照合処理部22は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部16と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部17と、を有するので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い位置決めを行うことができる。
【0041】
実施の形態1による画像照合方法によれば、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36とを照合する画像照合方法であって、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する1次パターンマッチング手順と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを実行する2次パターンマッチング手順と、を含むので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2の2段階パターンマッチングでは、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元現在画像36から所定の2次パターンマッチング用のテンプレート領域である
現在画像テンプレート領域44を生成し、3次元基準画像31の位置姿勢を変換した姿勢変換基準画像領域47を検索対象として、現在画像テンプレート領域44から姿勢変換基準画像領域47に対して2次パターンマッチングを行う。2次パターンマッチングは、1次パターンマッチングとは逆方向のパターンマッチングである。
【0043】
図10は本発明の実施の形態2による1次パターンマッチング方法を説明する図であり、図11は図10の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。実施の形態2では、1次パターンマッチングにて、1次照合部16は回転3軸まで含めた探索を行って姿勢変化量を求める。
【0044】
図10に示した現在画像領域38は、3枚のスライス画像37a、37b、37cを含む直方体として表現した。実施の形態2の基準画像テンプレート領域となる位置姿勢変換テンプレート領域40a、40b、40cは、位置姿勢変換部25により位置姿勢を変換したものである。ただし、初めの位置姿勢は、デフォルト状態、例えば、回転3軸のパラメータは0になっている。位置姿勢が変換された基準画像テンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40aは、スライス画像37aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40bはスライス画像37bをスキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40cはスライス画像37cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0045】
3次元現在画像36のスライス画像37a、37b、37cと位置姿勢変換テンプレート領域40との相関計算は、位置姿勢を変化させながら行う。例えば、回転3軸毎に所定の変化量や変化率で変化させて、相関計算を行い、次のスキャン位置に移動し、相関計算を行う。図11に示すように、1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と現在画像領域38を構成するスライス画像37との間で画像照合を行う。位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、位置姿勢変換テンプレート領域40を初めの位置姿勢である3次元基準画像31のスライス画像32に平行な面で切断した面であり、3次元基準画像31の複数のスライス画像32から生成する(断面生成手順)。例えば、実施の形態1で説明した方法を用いることができる。すなわち、断面41のデータは、3次元基準画像31を構成する複数のスライス画像32から切り出したものとすることができる。また、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、そのデータ密度が3次元現在画像36のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0046】
次に、1次照合部16は、2次パターンマッチングに用いる現在画像テンプレート領域44を生成する。1次照合部16は、例えば、各スライス画像37a、37b、37c毎に回転3軸まで含めた探索の結果から、最も相関値の高い位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41、その際の位置姿勢変換テンプレート領域40の姿勢変化量、及びその断面41に対応するスライス画像37の抽出領域を求める。1次照合部16は、求められたスライス画像毎の抽出領域のなかから、最も相関値の高い3次元現在画像の抽出領域を包含するように、現在画像テンプレート領域44を生成する。現在画像テンプレート領域44は2次元画像である。
【0047】
次に、図12のように照合処理部22の位置姿勢変換部25にて、現在画像テンプレート領域44を生成する際に求めた前記姿勢変化量で3次元基準画像31全体の姿勢を変化させて、姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成する。図12は、本発明の実施の形態2による姿勢変換後の3次元基準画像を示す図である。スライス画像46a、46b、46c、46d、46eは、それぞれスライス
画像32a、32b、32c、32d、32eを前記姿勢変化量で姿勢を変化されたスライス画像である。
【0048】
次に、図13のように、2次照合部17は、現在画像テンプレート領域44を姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45である姿勢変換基準画像領域47に対してスキャン経路49に沿って、ラスタースキャン状にマッチングさせることで、並進ずれのみを高速に検出することができる。図13は、本発明の実施の形態2による2次パターンマッチング方法を説明する図である。姿勢変換された姿勢変換基準画像領域47は、5枚のスライス画像46a、46b、46c、46d、46eを含む直方体として表現した。照合実行面48は、1次パターンマッチングにより3次元現在画像36のスライス画像37に対応した姿勢と最も相関値の高い姿勢に対応した画像面であり、すなわち姿勢変換基準画像領域47における3次元現在画像36のスライス画像37に対応した姿勢と同等の姿勢になる面である。2次照合部17は、姿勢変換基準画像領域47から所定の照合実行面48を、3次元姿勢変換基準画像45の複数のスライス画像46から生成する(照合実行面生成手順)。例えば、実施の形態1で説明した方法を用いることができる。すなわち、照合実行面48のデータは、3次元姿勢変換基準画像45を構成する複数のスライス画像から切り出したものとすることができる。また、照合実行面48は、そのデータ密度が現在画像テンプレート領域44のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0049】
実施の形態2の2段階パターンマッチング方法についてまとめる。まず、照合処理部22は、位置姿勢変換部25によって、3次元基準画像31から位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40を生成する(位置姿勢変換テンプレート領域生成手順)。照合処理部22の1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40を3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する(1次パターンマッチング手順)。1次パターンマッチングは、現在画像領域38を構成する各スライス画像37に対して、位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢を変化させる度(位置姿勢変換手順の実行する度)に、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を生成し(断面生成手順)、この位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と現在画像領域38を構成するスライス画像37との間で画像照合を行う。
【0050】
1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢を変化させる度に現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値を計算する(相関値計算手順)。また、1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値を計算し、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値が最も高くなった位置姿勢変換テンプレート領域40の抽出領域を包含するように、現在画像テンプレート領域44を生成する(現在画像テンプレート領域生成手順)。
【0051】
次に、照合処理部22は、位置姿勢変換部25にて、現在画像テンプレート領域44を生成する際に求めた前記姿勢変化量で3次元基準画像31全体の姿勢を変化させて、姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成する(姿勢変換基準画像領域生成手順)。2次照合部17は、現在画像テンプレート領域44を、姿勢変換基準画像領域47に対して2次パターンマッチングを実行する(2次パターンマッチング手順)。2次パターンマッチングは、照合実行面生成手順にて照合実行面48を生成し、照合実行面生成手順で生成した照合実行面48と現在画像テンプレート領域44との画像照合を行う。この画像照合の際に、現在画像テンプレート領域44を回転させずに並進させながら、照合実行面48と現在画像テンプレート領域44との相関値を計算する(相関値計算手順)。
【0052】
2次パターンマッチングにおいて、照合処理部22の2次照合部17は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元姿勢変換基準画像45と現在画像テンプレート領域44との位置姿勢関係(位置姿勢情報)を、最適解として選定する(最適解選定手順)。このように、2段階マッチングによって3次元基準画像31と3次元現在画像36との両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現する。実施の形態2の2段階パターンマッチング方法は、位置姿勢変換テンプレート領域生成手順と、1次パターンマッチング手順と、姿勢変換基準画像領域生成手順と、2次パターンマッチング手順を含む。1次パターンマッチング手順は、断面生成手順と、相関値計算手順と、位置姿勢変換手順と、現在画像テンプレート領域生成手順を含む。2次パターンマッチング手順は、照合実行面生成手順と、相関値計算手順と、最適解選定手順を含む。
【0053】
パターンマッチングが完了した後に、照合処理部22は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元姿勢変換基準画像45における高相関値領域の位置姿勢から、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を計算する(体位補正量計算手順)。照合結果表示部23は、体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等を計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を出力する(体位補正量出力手順)。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する(治療台制御パラメータ算出手順)。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する(治療台駆動手順)。
【0054】
実施の形態2による画像照合装置29は、3次元基準画像31の位置姿勢変換テンプレート領域40から3次元現在画像36に対して、回転3軸まで含めた画像照合である1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元現在画像36から2次パターンマッチング用のテンプレート領域である現在画像テンプレート領域44を生成するので、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0055】
実施の形態2による画像照合装置29は、3次元基準画像31から姿勢変換後の3次元基準画像である3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成することで、2次元の現在画像テンプレート領域44を用いて、姿勢変換基準画像領域47に対して回転移動を伴わない並進移動により直接パターンマッチングが実現できる。2次パターンマッチングにおいて、並進移動毎の相関値のみを計算するので、回転移動及び並進移動毎の相関値を計算する場合に比べて、2次パターンマッチングの高速化が図れる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1の1次パターンマッチング用の基準画像テンプレート領域33や、実施の形態2の位置姿勢変換テンプレート領域40の元となる基準画像テンプレート領域33を、人体データベース(アトラスモデル)を用いて生成する点で、実施の形態1及び2とは異なる。図14は、本発明の実施の形態3による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。実施の形態3による画像照合装置29は、実施の形態1及び2による画像照合装置29とは、人体データベース入力部50と、平均テンプレート領域生成部51を有する点で異なる。実施の形態3による患者位置決め装置30は、画像照合装置29と治療台制御パラメータ算出部26を有する。
【0057】
人体データベース入力部50は、データベース装置等の記憶装置から、人体データベース(アトラスモデル)を取得する。平均テンプレート領域生成部51は、患者4、10の患部5、11に対応する人体データベースの臓器部分から平均テンプレート領域54を切り出す。照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、この平均テンプレート領域54を、3次元基準画像31にパターンマッチングすることで、基準画像テンプレート領域33を自動生成する(基準画像テンプレート領域生成手順)。
【0058】
上記の基準画像テンプレート領域33を用いて、実施の形態1の2段階パターンマッチングや実施の形態2の2段階パターンマッチングを実行する。このようにすることで、3次元基準画像上にあらかじめ患部を示す情報(患部形状等)を準備してなくても、2段階パターンマッチングを実現できる。
【0059】
なお、平均テンプレート領域生成部51は、患者4、10の患部5、11に対応する人体データベースの臓器部分から2次元の平均テンプレート領域を切り出すことも考えられる。2次元の平均テンプレート領域54の場合は、2次元の平均テンプレート領域を複数切り出して、複数の2次元の平均テンプレート領域を束ねて、照合処理部22に出力してもよい。照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、この複数の2次元の平均テンプレート領域を、3次元基準画像31にパターンマッチングすることで、基準画像テンプレート領域33を自動生成する。
【符号の説明】
【0060】
16…1次照合部、17…2次照合部、18…基準テンプレート領域生成部、21…3次元画像入力部、22…照合処理部、25…位置姿勢変換部、26…治療台制御パラメータ算出部、29…画像照合装置、30…患者位置決め装置、31…3次元基準画像、33…基準画像テンプレート領域、36…3次元現在画像、40、40a、40b、40c…位置姿勢変換テンプレート領域、41…断面、42…1次抽出現在画像領域、44…現在画像テンプレート領域、45…3次元姿勢変換基準画像、48…照合実行面、50…人体データベース入力部、51…平均テンプレート領域生成部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線、ガンマ線、粒子線等の放射線を患者の患部に照射してがん治療を行う放射線治療装置において、CT画像データ等を利用した画像照合装置、及びこの画像照合装置を用いて放射線を照射する放射線照射位置に患者を位置決めする患者位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、がん治療を目的とした放射線治療装置では、陽子や重イオン等の粒子線を用いたがん治療装置(特に、粒子線治療装置と呼ばれる)の開発や建設が進められている。周知のとおり、粒子線を用いた粒子線治療はX線、ガンマ線等の従来の放射線治療に比べて、がん患部に集中的に照射することができ、すなわち、患部の形状に合わせてピンポイントで粒子線を照射することができ、正常細胞に影響を与えずに治療することが可能である。
【0003】
粒子線治療では、粒子線をがんなどの患部に高精度に照射することが重要である。その為、患者は粒子線治療時には治療室(照射室)の治療台に対して位置がずれないように、固定具等を用いて固定される。がんなどの患部を放射線照射範囲に精度よく位置決めする為に、レーザポインタなどを利用した患者の粗据付けなどのセッティングを行い、次いで、X線画像等をもちいて患者の患部の精密な位置決めを行っている。
【0004】
特許文献1には、X線透視画像の基準画像及びX線受像器により撮影している現在画像のいずれの画像にも同じ複数のモニュメントの同じ位置を指定することなく、2段階パターンマッチングを行い、治療台を駆動する位置決め用情報を生成するベッド位置決め装置及びその位置決め方法が提案されている。1次パターンマッチングでは、2次元基準画像に対して設置されたアイソセンタ(ビーム照射中心)を含む第1設定領域と略同じ大きさの第2設定領域を2次元現在画像に対して設定し、2次元現在画像の領域内で第2設定領域を、順次、移動させて、第2設定領域のそれぞれの位置で、第1設定領域内の2次元基準画像と第2設定領域内の2次元現在画像とを比較し、第1設定領域の2次元基準画像と最も類似した2次元現在画像を持つ第2設定領域を抽出する。2次パターンマッチングでは、1次パターンマッチングで抽出した第2設定領域内の2次元現在画像を前記第1設定領域内の前記2次元基準画像と比較し、両画像が最も一致するようにパターンマッチングを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3748433号公報(0007〜0009段、0049段、図8、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
患部の形状は3次元の立体形状であるので、治療計画時の患部位置に患部を位置決めするには3次元画像を用いる方が、2次元画像を用いるよりも高精度の位置決めが可能になる。一般的に、治療計画データ作成の際には、X線CT(Computed Tomography)画像を
用いて3次元的に患部形状を特定することが行われる。近年、治療室にX線CT装置を備え、治療の際にX線CT装置により撮影したX線CT現在画像と、治療計画の際のX線CT画像とを用いて、位置決めを行いたいという要求がある。X線透視画像では軟部組織である患部は良く映らないため骨を使った位置合わせが基本となるが、X線CT画像を用いた位置決めは、X線CT画像に映った患部同士での位置合わせができるからである。
【0007】
そこで、従来の2段階パターンマッチングにおいて、基準画像及び現在画像を3次元画像に拡張する場合を考える。3次元基準画像及び3次元現在画像は、X線CT装置で撮影された複数の断層画像(スライス画像)を含んでいる。3次元現在画像は、X線被ばくなどの観点から画像枚数が少ないことが想定されるため、密な画像情報を有する3次元基準画像と、3次元基準画像よりも粗い画像情報を有する3次元現在画像とを比較する必要がある。従来の2段階パターンマッチングでは、それぞれ同一密度の画像情報を有する2次元基準画像と2次元現在画像との比較はできるものの、画像情報の密度が異なる3次元基準画像と3次元現在画像との比較する際には、従来技術の画像次元を2次元から3次元に単純に高次元化するだけでは、2段階パターンマッチングを実現することはできない問題がある。すなわち、従来と同様に、設定される第1設定領域内の3次元基準画像から第2設定領域内の3次元現在画像への1次パターンマッチングを単純に行い、抽出された第2設定領域内の3次元現在画像を第1設定領域内の3次元基準画像第と単純に比較し、両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現することはできない問題がある。
【0008】
本発明は、放射線治療の患者位置決めの際に、3次元現在画像の断層画像数が3次元基準画像よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチング(2段階照合)を実現することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像照合装置は、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像を各々読み込む3次元画像入力部と、3次元基準画像と3次元現在画像とを照合し、3次元現在画像における患部の位置姿勢を3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部と、を備える。照合処理部は、3次元基準画像から3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部と、3次元基準画像又は3次元現在画像の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる3次元基準画像又は3次元現在画像の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像照合装置は、3次元基準画像から3次元現在画像に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、所定のテンプレート領域と所定の検索対象領域を生成して、検索対象領域とテンプレート領域との2次パターンマッチングを実行するので、3次元現在画像の断層画像数が3次元基準画像よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態1による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の画像照合装置及び患者位置決め装置に関する全体機器構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による3次元基準画像及び基準画像テンプレート領域を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1による3次元現在画像を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図6】図5の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法によって、抽出されたスライス画像の1次抽出領域を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1による2次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図9】図8の2次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態2による1次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図11】図10の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態2による姿勢変換後の3次元基準画像を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態2による2次パターンマッチング方法を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態3による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図であり、図2は本発明の画像照合装置及び患者位置決め装置に関する全体機器構成を示す図である。図2において、1は放射線治療に先立って行われる治療計画を行うためのCTシミュレータ室であり、ここにはCTガントリー2、CT画像撮影用ベッドの天板3があり、天板3の上に患者4を横たえて、患部5を含むように治療計画用のCT画像データが撮影される。一方、6は放射線治療を行うための治療室であり、ここにはCTガントリー7、回転治療台8と、回転治療台8の上部には天板9があり、天板9の上に患者10を横たえて、治療時の患部11を含むように位置決め用のCT画像データが撮影される。
【0013】
ここで、位置決めとは、治療時の患者10と患部11の位置を、治療計画用のCT画像データから割り出し、治療計画に合うように体位補正量を計算し、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせを行うことである。位置合わせは患者10を天板9に載せたまま回転治療台8を駆動制御して天板9の位置を移動することで実現する。回転治療台8は並進・回転の6自由度の駆動補正が可能であるとともに、回転治療台8の天板9を180度回転することで、CT撮影ポジション(図2において実線にて示す)から放射線を照射する照射ヘッド13のある治療ポジション(図2において点線にて示す)へ移動することもできる。なお、図2では、CT撮影ポジションと治療ポジションが180度の対向位置関係にあるものが示されているが、この配置形態に限られず、両者の位置関係が90度等その他の角度をなすものであってもかまわない。
【0014】
治療計画用のCT画像データと位置決め用のCT画像データとは位置決め計算機14に転送される。治療計画用のCT画像データは3次元基準画像となり、位置決め用のCT画像データは3次元現在画像となる。本発明における画像照合装置29および患者位置決め装置30は、いずれもこの位置決め計算機14内に存在するコンピュータソフトウェアに関するものであり、画像照合装置29は前記体位補正量(並進量、回転量)を計算するとともに、患者位置決め装置30は画像照合装置29を包含しつつ、更にこの体位補正量に基づいて回転治療台8(適宜、単に治療台8と呼ぶ)の各駆動軸を制御するパラメータを算出する機能を有するものである。患者位置決め装置30は、画像照合装置29によるマッチング結果(照合結果)によって治療台8を制御することで、粒子線治療の対象患部が、治療装置のビーム照射中心12に位置するように導く。
【0015】
従来の放射線治療における位置決めでは、治療計画用CT画像データから生成したDRR(Digitally Reconstructed Radiography)画像やこれと同時に撮影したX線透視画像
と治療時の治療室で撮影したX線透視画像とを照合することで位置ずれ量を計算していた。X線透視画像では軟部組織である患部は良く映らないため骨を使った位置合わせが基本となる。本実施の形態で記述するCT画像データを用いた位置決めは、治療室6にCTガントリー7を設置し、治療直前のCT画像データと治療計画用CT画像データとで位置合わせをするため、患部を直接的に描出可能で、患部での位置合わせができるという特徴を有する。
【0016】
次に、本実施の形態における画像照合装置29および患者位置決め装置30での前記体位補正量の計算手順について説明する。図1は画像照合装置及び患者位置決め装置を構成する各データ処理部間の関係を示しており、ここで画像照合装置29は、CT画像データを読み込む3次元画像入力部21、照合処理部22、照合結果表示部23、照合結果出力部24を有する。画像照合装置29に治療台制御パラメータ算出部26を加えたものが患者位置決め装置患者位置決め装置30である。
【0017】
前述したように、3次元基準画像は治療計画時に治療計画用に撮影されたデータであり、粒子線治療の対象となる患部を示す患部情報(患部形状等)が人手により入力されていることを特徴とする。3次元現在画像は、治療時に患者位置決め用に撮影されたデータであり、X線被ばくを抑制する観点から、断層画像(スライス画像とも呼ぶ)枚数が少ないことを特徴とする。
【0018】
本発明では、3次元基準画像から3次元現在画像に1次パターンマッチングし、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、所定のテンプレート領域と所定の検索対象領域を生成して、この所定のテンプレート領域を用いて、同方向、もしくは、逆方向に2次パターンマッチングする2段階パターンマッチングの構成とする。2段階パターンマッチングでは、1次パターンマッチング時のマッチングパラメータと、2次パターンマッチング時のマッチングパラメータとを異なるものとすることで、処理の高速化や高精度化を図ることができる。例えば、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけたテンプレート領域又は検索対象領域を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で絞り込んだ範囲を対象に行うような方法がある。
【0019】
3次元画像入力部21について説明する。3次元画像入力部21は、X線CT装置により撮影され、複数の断層画像に構成された画像群をDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)形式の画像データ(スライス画像群)を、3次元のボリュームデータとして読み込むものである。治療計画用のCT画像データは、治療計画時の3次元ボリュームデータであり、すなわち3次元基準画像である。位置決め用のCT画像データは、治療時の3次元ボリュームデータであり、すなわち3次元現在画像である。なお、CT画像データはDICOM形式に限定されるものではなく、他の形式であっても構わない。
【0020】
照合処理部22は、3次元基準画像と3次元現在画像とを照合(パターンマッチング)し、3次元現在画像における患部の位置姿勢を前記3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する。照合結果表示部23は、照合処理部22により照合した結果(後述する体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等)を、位置決め計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像と3次元現在画像とを照合させた際の補正量、すなわち照合処理部22により計算された体位補正量(並進量、回転量)を出力する。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する。これにより、治療計画に合うように体位補正量を計算し、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせすることができる。
【0021】
照合処理部22は、位置姿勢変換部25、1次照合部16、2次照合部17、基準テンプレート領域生成部18を有する。位置姿勢変換部25は、1次パターンマッチングや2次パターンマッチングの際に、対象データの位置姿勢を変更するものである。1次照合部16は、3次元基準画像から3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う。2次照合部17は、3次元基準画像又は3次元現在画像の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、所定のテンプレート領域の生成元とは異なる3次元基準画像又は3次元現在画像の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う。
【0022】
図3乃至図9を用いて、照合処理部22について、詳しく説明する。図3は、本発明の実施の形態1による3次元基準画像及び基準画像テンプレート領域を示す図である。図4は、本発明の実施の形態1による3次元現在画像を示す図である。図5は、本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法を説明する図である。図6は、図5の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。図7は、本発明の実施の形態1による1次パターンマッチング方法によって、抽出されたスライス画像の1次抽出領域を示す図である。図8は、本発明の実施の形態1による2次パターンマッチング方法を説明する図である。図9は、図8の2次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。
【0023】
照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、治療計画時に入力されている患部形状(患部情報)を用いて、3次元基準画像31から、基準画像テンプレート領域33を生成する。3次元基準画像31は、複数のスライス画像32から構成される。図3では、複雑にならないように5枚のスライス画像32a、32b、32c、32d、32eからなる例を示した。患部形状はROI(Region of Interest)35として、スライス画像毎に患部を囲む閉輪郭として入力されている。前記閉輪郭を包含する領域を、例えば外接四角形34として、各外接四角形34を包含する直方体領域をテンプレート領域とすれば良い。このテンプレート領域を基準画像テンプレート領域33とする。照合処理部22の1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33を3次元現在画像36に1次パターンマッチングする。図4に示した3次元現在画像36は、3枚のスライス画像37a、37b、37cからなる例を示した。図5に示した現在画像領域38は、3枚のスライス画像37a、37b、37cを含む直方体として表現した。図5のように、現在画像領域38において基準画像テンプレート領域33(33a、33b、33c)をラスタースキャン状に動かして行き、3次元現在画像36との相関値を計算する。相関値としては、正規化相互相関値など、画像マッチング(画像照合)で利用されるあらゆる相関値を利用することができる。
【0024】
基準画像テンプレート領域33aは、スライス画像37aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、基準画像テンプレート領域33bはスライス画像37bをスキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、基準画像テンプレート領域33cはスライス画像37cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0025】
1次パターンマッチングの際には、図6に示すように、基準画像テンプレート領域33を構成するスライス画像53毎に、現在画像領域38を構成するスライス画像37との画像照合を行う。スライス画像53は、3次元基準画像31のスライス画像32において基準画像テンプレート領域33で区切られた画像である。基準画像テンプレート領域33は、3次元基準画像における5枚のスライス画像32a、32b、32c、32d、32eに対応した5枚のスライス画像53a、53b、53c、53d、53eから構成される。したがって、1次パターンマッチングの際には、3次元現在画像36のスライス画像37aに対して、基準画像テンプレート領域33における5枚のスライス画像53a、53b、53c、53d、53eそれぞれとで画像照合を行う。3次元現在画像36のスライス画像37b、37cに対して、同様に画像照合を行う。
【0026】
1次照合部16は、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値が最も高くなった領域を包含するように、3次元現在画像36の各スライス画像37から1次抽出領域43を抽出する。図7に示すように、3次元現在画像36のスライス画像37aから1次抽出領域43aが抽出される。同様に、3次元現在画像36のスライス画像37b、37cから1次抽出領域43b、43cが抽出される。1次抽出領域43a、43b、43cを含むように、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42は生成される。このように、1次照合部16は、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成する。
【0027】
ここで、位置決め前の状態においては、3次元基準画像31と3次元現在画像36の姿勢(回転3軸)が合っていないため、図5のような単純なラスタースキャンでは、3次元現在画像36のスライス枚数が少ない場合には、角度ずれまで検出する精度の高いマッチングが出来ないものの、2次パターンマッチングを行うための1次抽出領域43を抽出するには問題はない。そこで、1次パターンマッチングでは角度ずれまで検出せずに相関値を計算し、その後の2次パターンマッチングでは角度ずれまで検出する精度の高いマッチングを行う。
【0028】
2次パターンマッチングについて説明する。2次パターンマッチングでは、マッチング処理部22の位置姿勢変換部25により、3次元基準画像31から生成された基準画像テンプレート領域33の位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40を生成する。2次パターンマッチングでは、図8及び図9のように、マッチング時に、基準画像テンプレート領域33の姿勢変化量(回転3軸)をパラメータとして追加する。2次照合部17は、位置姿勢変換部25により位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40とスライス画像枚数が少ない3次元現在画像36の1次抽出現在画像領域42との間で、角度ずれまで含めた高精度なマッチングを行う。このようにすることで、角度ずれまで含めた高精度な2段階パターンマッチングが実現できる。2次パターンマッチングの探索範囲として、1次パターンマッチングで求まった領域を含んだ狭い範囲を対象とすることで、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけた1次抽出領域43を含む1次抽出現在画像領域42を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で行うことができ、パターンマッチングに要する時間を短縮することができる。
【0029】
図8に示した1次抽出現在画像領域42は、3つの1次抽出領域43a、43b、43cを含む直方体として表現した。位置姿勢が変換された基準画像テンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40aは、スライス画像37aの1次抽出領域43aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40bはスライス画像37bの1次抽出領域43bを
スキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40cはスライス画像37cの1次抽出領域43cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0030】
2次パターンマッチングの際には、2次照合部17により、図9に示すように、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と1次抽出現在画像領域42を構成するスライス画像37の1次抽出領域43との間で画像照合を行う。また、3次元現在画像36のスライス画像37において1次抽出現在画像領域42で区切られた画像であるスライス画像55と、断面41との間で画像照合を行ってもよい。位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、3次元基準画像31の複数のスライス画像32から生成する。例えば、断面41のデータは、3次元基準画像31を構成する複数のスライス画像32から切り出したものである。通常、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41のデータ密度と3次元現在画像36の1次抽出領域43のデータ密度は異なることになるが、断面41の画素毎の相関値を計算すればよい。また、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、そのデータ密度が3次元現在画像36の1次抽出領域43のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0031】
ここで、実施の形態1の2段階パターンマッチング方法についてまとめる。まず、照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、3次元基準画像31から基準画像テンプレート領域33を生成する(基準画像テンプレート領域生成手順)。1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する(1次パターンマッチング手順)。1次パターンマッチングは、基準画像テンプレート領域33を構成するスライス画像53毎に、現在画像領域38を構成するスライス画像37との画像照合を行う。1次照合部16は、基準画像テンプレート領域33をスキャンする度に、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値を計算し(相関値計算手順)、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と基準画像テンプレート領域33との相関値が最も高くなった領域を包含するように1次抽出領域43を抽出する(1次抽出領域抽出手順)。1次照合部16は、現在画像領域38を構成するスライス画像37毎の1次抽出領域43を含むように、2次パターンマッチングに用いる検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成する(検索対象生成手順)。実施の形態1の2段階パターンマッチング方法は、基準画像テンプレート領域生成手順と、1次パターンマッチング手順と、後述する2次パターンマッチング手順を含む。1次パターンマッチング手順は、相関値計算手順と、1次抽出領域抽出手順と、検索対象生成手順を含む。
【0032】
次に、照合処理部22の2次照合部17は、位置姿勢変換部25により基準画像テンプレート領域33の位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40から、3次元現在画像36の1次抽出現在画像領域42に対して2次パターンマッチングを実行する(2次パターンマッチング手順)。2次パターンマッチングは、所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を複数生成し(断面生成手順)、断面41毎に、1次抽出現在画像領域42を構成するスライス画像37の1次抽出領域43やスライス画像55と、当該断面41との間で画像照合を行う。2次照合部17は、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、1次抽出現在画像領域42と位置姿勢変換テンプレート領域40の複数の断面41との相関値を計算する(相関値計算手順)。また、位置姿勢変換部25は、先の位置姿勢と異なる位置姿勢に変換し(位置姿勢変換手順)、2次照合部17は、当該位置姿勢における位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を複数生成し(断面生成手順)、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、1次抽出現在画像領域42と位置姿勢変換テンプレート領域40の複数の断面41との相関値を計算する(相関値計算手順)。照合処理部22の2次照合部17は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元基準画像と3次元現在画像との位置姿勢関係(位置姿勢情報)を、最適解として選定する(最適解選定手順)。このように、3次元基準画像と3次元現在画像との両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現する。2次パターンマッチング手順は、断面生成手順と、相関値計算手順と、位置姿勢変換手順と、最適解選定手順を含む。
【0033】
パターンマッチングが完了した後に、照合処理部22は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢から、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を計算する(体位補正量計算手順)。照合結果表示部23は、体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等を計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を出力する(体位補正量出力手順)。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する(治療台制御パラメータ算出手順)。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する(治療台駆動手順)。
【0034】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元基準画像31から所定の2次パターンマッチング用のテンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40を生成し、3次元現在画像36から1次抽出領域43を含むように、2次パターンマッチングに用いる所定の検索対象領域である1次抽出現在画像領域42を生成するので、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0035】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができるので、位置合わせの際のX線CT装置による3次元現在画像36の断層画像数を少なくすることができ、位置合わせの際のX線CT装置による患者の被ばく量を低減することができる。
【0036】
実施の形態1による画像照合装置29は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを実行した結果に基づいて、1次抽出現在画像領域42を生成し、現在画像領域38よりも狭い領域である1次抽出現在画像領域42を検索対象とすることで、1次パターンマッチングを粗い解像度で広範囲を対象に行って、見つけた1次抽出領域43を含む1次抽出現在画像領域42を用いて、2次パターンマッチングを密な解像度で行うことができ、パターンマッチングに要する時間を短縮することができる。
【0037】
実施の形態1による患者位置決め装置30は、画像照合装置29により計算された体位補正量に基づいて、治療計画の際の位置姿勢に合うようにすることができる。治療計画の際の位置姿勢に合うようにすることができるので、治療時の患部11が放射線治療のビーム照射中心12にくるように位置合わせすることができる。
【0038】
実施の形態1による患者位置決め装置30は、位置姿勢変換部25によって、3次元基準画像31から得られる基準画像テンプレート領域33から、3次元基準画像31よりも断層画像数(スライス画像数)が少ない3次元現在画像36にマッチングするのに適切な位置姿勢変換テンプレート領域40が生成でき、角度ずれまで含めた精度の高い2段階パ
ターンマッチングが実現できる。
【0039】
実施の形態1による画像照合装置29によれば、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36を各々読み込む3次元画像入力部21と、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合し、3次元現在画像36における患部の位置姿勢を3次元基準画像31における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備え、照合処理部22は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部16と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部17と、を有するので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0040】
実施の形態1による患者位置決め装置30によれば、画像照合装置29と、画像照合装置29によって計算された体位補正量に基づいて、治療台8の各軸を制御するパラメータを算出する治療台制御パラメータ算出部26と、を備え、画像照合装置29は、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36を各々読み込む3次元画像入力部21と、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合し、3次元現在画像36における患部の位置姿勢を3次元基準画像31における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部22と、を備える。照合処理部22は、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部16と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部17と、を有するので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い位置決めを行うことができる。
【0041】
実施の形態1による画像照合方法によれば、放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像31と治療の際に撮影される3次元現在画像36とを照合する画像照合方法であって、3次元基準画像31から3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する1次パターンマッチング手順と、3次元基準画像31又は3次元現在画像36の一方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)から、所定のテンプレート領域(位置姿勢変換テンプレート領域40)の生成元とは異なる3次元基準画像31又は3次元現在画像36の他方から1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域42に対して、2次パターンマッチングを実行する2次パターンマッチング手順と、を含むので、3次元現在画像36の断層画像数が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2の2段階パターンマッチングでは、3次元基準画像31から3次元現在画像36に1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元現在画像36から所定の2次パターンマッチング用のテンプレート領域である
現在画像テンプレート領域44を生成し、3次元基準画像31の位置姿勢を変換した姿勢変換基準画像領域47を検索対象として、現在画像テンプレート領域44から姿勢変換基準画像領域47に対して2次パターンマッチングを行う。2次パターンマッチングは、1次パターンマッチングとは逆方向のパターンマッチングである。
【0043】
図10は本発明の実施の形態2による1次パターンマッチング方法を説明する図であり、図11は図10の1次パターンマッチング方法における基準画像テンプレート領域とスライス画像の関係を説明する図である。実施の形態2では、1次パターンマッチングにて、1次照合部16は回転3軸まで含めた探索を行って姿勢変化量を求める。
【0044】
図10に示した現在画像領域38は、3枚のスライス画像37a、37b、37cを含む直方体として表現した。実施の形態2の基準画像テンプレート領域となる位置姿勢変換テンプレート領域40a、40b、40cは、位置姿勢変換部25により位置姿勢を変換したものである。ただし、初めの位置姿勢は、デフォルト状態、例えば、回転3軸のパラメータは0になっている。位置姿勢が変換された基準画像テンプレート領域である位置姿勢変換テンプレート領域40aは、スライス画像37aをスキャン経路39aに沿ってラスタースキャン状に動かされる。同様に、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40bはスライス画像37bをスキャン経路39bに沿ってラスタースキャン状に動かされ、位置姿勢が変換された位置姿勢変換テンプレート領域40cはスライス画像37cをスキャン経路39cに沿ってラスタースキャン状に動かされる。スキャン経路39b、39cは図が複雑にならないように簡略化して示した。
【0045】
3次元現在画像36のスライス画像37a、37b、37cと位置姿勢変換テンプレート領域40との相関計算は、位置姿勢を変化させながら行う。例えば、回転3軸毎に所定の変化量や変化率で変化させて、相関計算を行い、次のスキャン位置に移動し、相関計算を行う。図11に示すように、1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と現在画像領域38を構成するスライス画像37との間で画像照合を行う。位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、位置姿勢変換テンプレート領域40を初めの位置姿勢である3次元基準画像31のスライス画像32に平行な面で切断した面であり、3次元基準画像31の複数のスライス画像32から生成する(断面生成手順)。例えば、実施の形態1で説明した方法を用いることができる。すなわち、断面41のデータは、3次元基準画像31を構成する複数のスライス画像32から切り出したものとすることができる。また、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41は、そのデータ密度が3次元現在画像36のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0046】
次に、1次照合部16は、2次パターンマッチングに用いる現在画像テンプレート領域44を生成する。1次照合部16は、例えば、各スライス画像37a、37b、37c毎に回転3軸まで含めた探索の結果から、最も相関値の高い位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41、その際の位置姿勢変換テンプレート領域40の姿勢変化量、及びその断面41に対応するスライス画像37の抽出領域を求める。1次照合部16は、求められたスライス画像毎の抽出領域のなかから、最も相関値の高い3次元現在画像の抽出領域を包含するように、現在画像テンプレート領域44を生成する。現在画像テンプレート領域44は2次元画像である。
【0047】
次に、図12のように照合処理部22の位置姿勢変換部25にて、現在画像テンプレート領域44を生成する際に求めた前記姿勢変化量で3次元基準画像31全体の姿勢を変化させて、姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成する。図12は、本発明の実施の形態2による姿勢変換後の3次元基準画像を示す図である。スライス画像46a、46b、46c、46d、46eは、それぞれスライス
画像32a、32b、32c、32d、32eを前記姿勢変化量で姿勢を変化されたスライス画像である。
【0048】
次に、図13のように、2次照合部17は、現在画像テンプレート領域44を姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45である姿勢変換基準画像領域47に対してスキャン経路49に沿って、ラスタースキャン状にマッチングさせることで、並進ずれのみを高速に検出することができる。図13は、本発明の実施の形態2による2次パターンマッチング方法を説明する図である。姿勢変換された姿勢変換基準画像領域47は、5枚のスライス画像46a、46b、46c、46d、46eを含む直方体として表現した。照合実行面48は、1次パターンマッチングにより3次元現在画像36のスライス画像37に対応した姿勢と最も相関値の高い姿勢に対応した画像面であり、すなわち姿勢変換基準画像領域47における3次元現在画像36のスライス画像37に対応した姿勢と同等の姿勢になる面である。2次照合部17は、姿勢変換基準画像領域47から所定の照合実行面48を、3次元姿勢変換基準画像45の複数のスライス画像46から生成する(照合実行面生成手順)。例えば、実施の形態1で説明した方法を用いることができる。すなわち、照合実行面48のデータは、3次元姿勢変換基準画像45を構成する複数のスライス画像から切り出したものとすることができる。また、照合実行面48は、そのデータ密度が現在画像テンプレート領域44のデータ密度と同様になるように補完したデータを含むものであってもよい。
【0049】
実施の形態2の2段階パターンマッチング方法についてまとめる。まず、照合処理部22は、位置姿勢変換部25によって、3次元基準画像31から位置姿勢を変換した位置姿勢変換テンプレート領域40を生成する(位置姿勢変換テンプレート領域生成手順)。照合処理部22の1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40を3次元現在画像36に対して1次パターンマッチングを実行する(1次パターンマッチング手順)。1次パターンマッチングは、現在画像領域38を構成する各スライス画像37に対して、位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢を変化させる度(位置姿勢変換手順の実行する度)に、位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41を生成し(断面生成手順)、この位置姿勢変換テンプレート領域40の断面41と現在画像領域38を構成するスライス画像37との間で画像照合を行う。
【0050】
1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40の位置姿勢を変化させる度に現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値を計算する(相関値計算手順)。また、1次照合部16は、位置姿勢変換テンプレート領域40をスキャンする度に、現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値を計算し、1次パターンマッチングによって、現在画像領域38と位置姿勢変換テンプレート領域40との相関値が最も高くなった位置姿勢変換テンプレート領域40の抽出領域を包含するように、現在画像テンプレート領域44を生成する(現在画像テンプレート領域生成手順)。
【0051】
次に、照合処理部22は、位置姿勢変換部25にて、現在画像テンプレート領域44を生成する際に求めた前記姿勢変化量で3次元基準画像31全体の姿勢を変化させて、姿勢変換後の3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成する(姿勢変換基準画像領域生成手順)。2次照合部17は、現在画像テンプレート領域44を、姿勢変換基準画像領域47に対して2次パターンマッチングを実行する(2次パターンマッチング手順)。2次パターンマッチングは、照合実行面生成手順にて照合実行面48を生成し、照合実行面生成手順で生成した照合実行面48と現在画像テンプレート領域44との画像照合を行う。この画像照合の際に、現在画像テンプレート領域44を回転させずに並進させながら、照合実行面48と現在画像テンプレート領域44との相関値を計算する(相関値計算手順)。
【0052】
2次パターンマッチングにおいて、照合処理部22の2次照合部17は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元姿勢変換基準画像45と現在画像テンプレート領域44との位置姿勢関係(位置姿勢情報)を、最適解として選定する(最適解選定手順)。このように、2段階マッチングによって3次元基準画像31と3次元現在画像36との両3次元画像が最も一致するようにパターンマッチングを実現する。実施の形態2の2段階パターンマッチング方法は、位置姿勢変換テンプレート領域生成手順と、1次パターンマッチング手順と、姿勢変換基準画像領域生成手順と、2次パターンマッチング手順を含む。1次パターンマッチング手順は、断面生成手順と、相関値計算手順と、位置姿勢変換手順と、現在画像テンプレート領域生成手順を含む。2次パターンマッチング手順は、照合実行面生成手順と、相関値計算手順と、最適解選定手順を含む。
【0053】
パターンマッチングが完了した後に、照合処理部22は、計算した相関値のうち最も高い相関値となった3次元姿勢変換基準画像45における高相関値領域の位置姿勢から、3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を計算する(体位補正量計算手順)。照合結果表示部23は、体位補正量や、この体位補正量で移動させた3次元現在画像を3次元基準画像に重ねて表示した画像等を計算機14のモニター画面に表示する。照合結果出力部24は、照合処理部22により3次元基準画像31と3次元現在画像36とを照合させた際の体位補正量(並進量、回転量)を出力する(体位補正量出力手順)。治療台制御パラメータ算出部26は、照合結果出力部24の出力値(並進3軸[ΔX、ΔY、ΔZ]、回転3軸[ΔA、ΔB、ΔC]の計6自由度)を、治療台8の各軸を制御するパラメータに変換し、すなわちパラメータを算出する(治療台制御パラメータ算出手順)。治療台8は、治療台制御パラメータ算出部26により計算された治療台制御パラメータに基づいて治療台8の各軸の駆動装置を駆動する(治療台駆動手順)。
【0054】
実施の形態2による画像照合装置29は、3次元基準画像31の位置姿勢変換テンプレート領域40から3次元現在画像36に対して、回転3軸まで含めた画像照合である1次パターンマッチングを行い、次に、1次パターンマッチングの結果に基づいて、3次元現在画像36から2次パターンマッチング用のテンプレート領域である現在画像テンプレート領域44を生成するので、3次元現在画像36の断層画像数(スライス画像数)が3次元基準画像31よりも少ない場合であっても、精度の高い2段階パターンマッチングを実現することができる。
【0055】
実施の形態2による画像照合装置29は、3次元基準画像31から姿勢変換後の3次元基準画像である3次元姿勢変換基準画像45、すなわち姿勢変換基準画像領域47を生成することで、2次元の現在画像テンプレート領域44を用いて、姿勢変換基準画像領域47に対して回転移動を伴わない並進移動により直接パターンマッチングが実現できる。2次パターンマッチングにおいて、並進移動毎の相関値のみを計算するので、回転移動及び並進移動毎の相関値を計算する場合に比べて、2次パターンマッチングの高速化が図れる。
【0056】
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1の1次パターンマッチング用の基準画像テンプレート領域33や、実施の形態2の位置姿勢変換テンプレート領域40の元となる基準画像テンプレート領域33を、人体データベース(アトラスモデル)を用いて生成する点で、実施の形態1及び2とは異なる。図14は、本発明の実施の形態3による画像照合装置及び患者位置決め装置の構成を示す図である。実施の形態3による画像照合装置29は、実施の形態1及び2による画像照合装置29とは、人体データベース入力部50と、平均テンプレート領域生成部51を有する点で異なる。実施の形態3による患者位置決め装置30は、画像照合装置29と治療台制御パラメータ算出部26を有する。
【0057】
人体データベース入力部50は、データベース装置等の記憶装置から、人体データベース(アトラスモデル)を取得する。平均テンプレート領域生成部51は、患者4、10の患部5、11に対応する人体データベースの臓器部分から平均テンプレート領域54を切り出す。照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、この平均テンプレート領域54を、3次元基準画像31にパターンマッチングすることで、基準画像テンプレート領域33を自動生成する(基準画像テンプレート領域生成手順)。
【0058】
上記の基準画像テンプレート領域33を用いて、実施の形態1の2段階パターンマッチングや実施の形態2の2段階パターンマッチングを実行する。このようにすることで、3次元基準画像上にあらかじめ患部を示す情報(患部形状等)を準備してなくても、2段階パターンマッチングを実現できる。
【0059】
なお、平均テンプレート領域生成部51は、患者4、10の患部5、11に対応する人体データベースの臓器部分から2次元の平均テンプレート領域を切り出すことも考えられる。2次元の平均テンプレート領域54の場合は、2次元の平均テンプレート領域を複数切り出して、複数の2次元の平均テンプレート領域を束ねて、照合処理部22に出力してもよい。照合処理部22の基準テンプレート領域生成部18は、この複数の2次元の平均テンプレート領域を、3次元基準画像31にパターンマッチングすることで、基準画像テンプレート領域33を自動生成する。
【符号の説明】
【0060】
16…1次照合部、17…2次照合部、18…基準テンプレート領域生成部、21…3次元画像入力部、22…照合処理部、25…位置姿勢変換部、26…治療台制御パラメータ算出部、29…画像照合装置、30…患者位置決め装置、31…3次元基準画像、33…基準画像テンプレート領域、36…3次元現在画像、40、40a、40b、40c…位置姿勢変換テンプレート領域、41…断面、42…1次抽出現在画像領域、44…現在画像テンプレート領域、45…3次元姿勢変換基準画像、48…照合実行面、50…人体データベース入力部、51…平均テンプレート領域生成部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像を各々読み込む3次元画像入力部と、
前記3次元基準画像と前記3次元現在画像とを照合し、前記3次元現在画像における患部の位置姿勢を前記3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部と、を備え、
前記照合処理部は、前記3次元基準画像から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部と、
前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の一方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、前記所定のテンプレート領域の生成元とは異なる前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の他方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部と、を有することを特徴とする画像照合装置。
【請求項2】
前記照合処理部は、前記3次元基準画像に準備された患部情報に基づいて、前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準テンプレート領域生成部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像照合装置。
【請求項3】
データベース装置から人体データベースを取得する人体データベース入力部と、
前記人体データベースにおける患者の患部に対応する臓器部分から平均テンプレート領域を生成する平均テンプレート領域生成部と、を備え、
前記照合処理部は、前記平均テンプレート領域から前記3次元基準画像に対してパターンマッチングを行い、前記パターンマッチングの結果に基づいて前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準テンプレート領域生成部を有することを特徴とする請求項1記載の画像照合装置。
【請求項4】
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に、前記基準画像テンプレート領域から前記3次元現在画像に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像照合装置。
【請求項5】
前記1次照合部は、前記3次元現在画像から前記基準画像テンプレート領域との相関値が最も高くなった領域を包含するように前記検索対象領域である1次抽出現在画像領域を生成することを特徴とする請求項4記載の画像照合装置。
【請求項6】
前記照合処理部は、3次元画像の位置姿勢を変換する位置姿勢変換部を備え、
前記位置姿勢変換部は、前記基準画像テンプレート領域の位置姿勢を所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域を生成し、
前記2次照合部は、前記2次パターンマッチングの際に、前記所定のテンプレート領域である前記位置姿勢変換テンプレート領域から前記1次抽出現在画像領域に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項5記載の画像照合装置。
【請求項7】
前記2次照合部は、前記位置姿勢変換テンプレート領域の断面を生成し、前記1次抽出現在画像領域と、前記断面との間でパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項6記載の画像照合装置。
【請求項8】
前記照合処理部は、3次元画像の位置姿勢を変換する位置姿勢変換部を備え、
前記位置姿勢変換部は、前記基準画像テンプレート領域の位置姿勢を所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域を生成し、
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に、前記位置姿勢変換テンプレート
領域から前記3次元現在画像に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像照合装置。
【請求項9】
前記1次照合部は、前記位置姿勢変換テンプレート領域の断面を生成し、前記3次元現在画像と前記断面との間でパターンマッチングを行い、前記断面の複数のなかから最も相関値の高い断面である高相関断面の決定、前記位置姿勢変換テンプレート領域における姿勢変化量の演算、及び前記3次元現在画像における前記高相関断面に対応する抽出領域の抽出を実行することを特徴とする請求項8記載の画像照合装置。
【請求項10】
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に抽出された前記抽出領域を包含するように前記所定のテンプレート領域である現在画像テンプレート領域を生成し、
前記位置姿勢変換部は、前記3次元基準画像の位置姿勢を、前記現在画像テンプレート領域に対応する前記抽出領域の姿勢変化量だけ変換した3次元姿勢変換基準画像領域を生成し、
前記2次照合部は、前記2次パターンマッチングの際に、前記現在画像テンプレート領域から前記検索対象領域である前記3次元姿勢変換基準画像領域に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項9記載の画像照合装置。
【請求項11】
前記2次照合部は、前記姿勢変換基準画像領域の断面である照合実行面を生成し、前記現在画像テンプレート領域と、前記照合実行面との間でパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項10記載の画像照合装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像照合装置と、
前記画像照合装置によって計算された体位補正量に基づいて、治療台の各軸を制御するパラメータを算出する治療台制御パラメータ算出部と、を備えたことを特徴とする患者位置決め装置。
【請求項13】
放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像とを照合する画像照合方法であって、
前記3次元基準画像から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを実行する1次パターンマッチング手順と、
前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の一方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、前記所定のテンプレート領域の生成元とは異なる前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の他方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを実行する2次パターンマッチング手順と、を含むことを特徴とする画像照合方法。
【請求項14】
前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準画像テンプレート領域生成手順とを含み、
前記1次パターンマッチング手順は、前記基準画像テンプレート領域から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを実行することを特徴とする請求項13記載の画像照合方法。
【請求項1】
放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像を各々読み込む3次元画像入力部と、
前記3次元基準画像と前記3次元現在画像とを照合し、前記3次元現在画像における患部の位置姿勢を前記3次元基準画像における患部の位置姿勢に合うように体位補正量を計算する照合処理部と、を備え、
前記照合処理部は、前記3次元基準画像から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを行う1次照合部と、
前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の一方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、前記所定のテンプレート領域の生成元とは異なる前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の他方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを行う2次照合部と、を有することを特徴とする画像照合装置。
【請求項2】
前記照合処理部は、前記3次元基準画像に準備された患部情報に基づいて、前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準テンプレート領域生成部を備えることを特徴とする請求項1記載の画像照合装置。
【請求項3】
データベース装置から人体データベースを取得する人体データベース入力部と、
前記人体データベースにおける患者の患部に対応する臓器部分から平均テンプレート領域を生成する平均テンプレート領域生成部と、を備え、
前記照合処理部は、前記平均テンプレート領域から前記3次元基準画像に対してパターンマッチングを行い、前記パターンマッチングの結果に基づいて前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準テンプレート領域生成部を有することを特徴とする請求項1記載の画像照合装置。
【請求項4】
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に、前記基準画像テンプレート領域から前記3次元現在画像に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像照合装置。
【請求項5】
前記1次照合部は、前記3次元現在画像から前記基準画像テンプレート領域との相関値が最も高くなった領域を包含するように前記検索対象領域である1次抽出現在画像領域を生成することを特徴とする請求項4記載の画像照合装置。
【請求項6】
前記照合処理部は、3次元画像の位置姿勢を変換する位置姿勢変換部を備え、
前記位置姿勢変換部は、前記基準画像テンプレート領域の位置姿勢を所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域を生成し、
前記2次照合部は、前記2次パターンマッチングの際に、前記所定のテンプレート領域である前記位置姿勢変換テンプレート領域から前記1次抽出現在画像領域に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項5記載の画像照合装置。
【請求項7】
前記2次照合部は、前記位置姿勢変換テンプレート領域の断面を生成し、前記1次抽出現在画像領域と、前記断面との間でパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項6記載の画像照合装置。
【請求項8】
前記照合処理部は、3次元画像の位置姿勢を変換する位置姿勢変換部を備え、
前記位置姿勢変換部は、前記基準画像テンプレート領域の位置姿勢を所定の位置姿勢に変換した位置姿勢変換テンプレート領域を生成し、
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に、前記位置姿勢変換テンプレート
領域から前記3次元現在画像に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項2または3に記載の画像照合装置。
【請求項9】
前記1次照合部は、前記位置姿勢変換テンプレート領域の断面を生成し、前記3次元現在画像と前記断面との間でパターンマッチングを行い、前記断面の複数のなかから最も相関値の高い断面である高相関断面の決定、前記位置姿勢変換テンプレート領域における姿勢変化量の演算、及び前記3次元現在画像における前記高相関断面に対応する抽出領域の抽出を実行することを特徴とする請求項8記載の画像照合装置。
【請求項10】
前記1次照合部は、前記1次パターンマッチングの際に抽出された前記抽出領域を包含するように前記所定のテンプレート領域である現在画像テンプレート領域を生成し、
前記位置姿勢変換部は、前記3次元基準画像の位置姿勢を、前記現在画像テンプレート領域に対応する前記抽出領域の姿勢変化量だけ変換した3次元姿勢変換基準画像領域を生成し、
前記2次照合部は、前記2次パターンマッチングの際に、前記現在画像テンプレート領域から前記検索対象領域である前記3次元姿勢変換基準画像領域に対してパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項9記載の画像照合装置。
【請求項11】
前記2次照合部は、前記姿勢変換基準画像領域の断面である照合実行面を生成し、前記現在画像テンプレート領域と、前記照合実行面との間でパターンマッチングを行うことを特徴とする請求項10記載の画像照合装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像照合装置と、
前記画像照合装置によって計算された体位補正量に基づいて、治療台の各軸を制御するパラメータを算出する治療台制御パラメータ算出部と、を備えたことを特徴とする患者位置決め装置。
【請求項13】
放射線治療の治療計画の際に撮影された3次元基準画像と治療の際に撮影される3次元現在画像とを照合する画像照合方法であって、
前記3次元基準画像から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを実行する1次パターンマッチング手順と、
前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の一方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定のテンプレート領域から、前記所定のテンプレート領域の生成元とは異なる前記3次元基準画像又は前記3次元現在画像の他方から前記1次パターンマッチングの結果に基づいて生成された所定の検索対象領域に対して、2次パターンマッチングを実行する2次パターンマッチング手順と、を含むことを特徴とする画像照合方法。
【請求項14】
前記3次元基準画像から3次元領域の基準画像テンプレート領域を生成する基準画像テンプレート領域生成手順とを含み、
前記1次パターンマッチング手順は、前記基準画像テンプレート領域から前記3次元現在画像に対して1次パターンマッチングを実行することを特徴とする請求項13記載の画像照合方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−254243(P2012−254243A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130074(P2011−130074)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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