説明

画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】光のにじみを仮想カメラの動きに追従させてリアルに表現することができる画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供する。
【解決手段】フレーム毎にオブジェクト空間を仮想カメラから見た画像を生成するための画像生成システムであって、所定の制御情報に基づいて、仮想カメラをオブジェクト空間内で移動させる制御を行う仮想カメラ制御部114と、仮想カメラから見たオブジェクト空間を描画した原画像に対してフィルタ画像を合成するフィルタ処理を行うフィルタ処理部122と、を含み、フィルタ処理部122が、第Nのフレームにおいてフィルタ画像を生成する際に、第Nのフレームで描画した原画像に対して、所与の基準色より明るい色のピクセルを抽出する抽出処理と、ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化するぼかし処理とを施してワーク画像を生成するとともに、生成されたワーク画像と、第N−1のフレームにおいて生成されたフィルタ画像とを合成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像を生成する画像生成システム(ゲームシステム)が知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。レースゲームを楽しむことができる画像生成システムを例に取れば、プレーヤは、操作部(ゲームコントローラ等)を用いて移動体(車、船、飛行機等)に関する操作(ステアリング操作、シフト操作、アクセル操作、ブレーキ操作等)を行い、他のプレーヤ(コンピュータプレーヤも含まれる)の移動体と順位やタイムを競争することでレースゲームを楽しむ。
【0003】
ところで、上述した画像生成システムに関して、一度描画した画像(原画像)に対して、さらなる処理を施して、原画像とは異なる雰囲気の画像を作成することができるフィルタ手法が開発されている。例えば、フレームバッファに描画した画像中から所定の色情報を抽出して中間画像を生成してから、中間画像の色情報を平滑化して平滑化像を生成し、平滑化画像をフレームバッファに描画した原画像に合成することで、視線方向に入射する強い光のにじみを表現するフィルタ手法などが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−85578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来から提案されているフィルタ手法では、仮想カメラの動きが考慮されていなかったため、人間の視覚特性に基づく光のにじみの見え方が十分に表現されていなかった。
【0005】
本出願は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光のにじみを仮想カメラの動きに追従させてリアルに表現することができる画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。また本発明の他の目的は、フィルタ処理を高速に実行することができるようにした画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、フレーム毎にオブジェクト空間を仮想カメラから見た画像を生成するための画像生成システムであって、所定の制御情報に基づいて、前記仮想カメラを前記オブジェクト空間内で移動させる制御を行う仮想カメラ制御部と、前記仮想カメラから見た前記オブジェクト空間を描画した原画像に対してフィルタ画像を合成するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、を含み、前記フィルタ処理部が、第Nのフレームにおいて前記フィルタ画像を生成する際に、第Nのフレームで描画した原画像に対して、所与の基準色より明るい色のピクセルを抽出する抽出処理と、ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化するぼかし処理とを施してワーク画像を生成するとともに、当該ワーク画像と、第N−1のフレームにおいて生成された前記フィルタ画像とを合成する画像生成システムに関するものである。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム及びそのようなプログラムを記憶するコンピュータに読み取り可能な情報記憶媒体に関するものである。
【0007】
本発明によれば、原画像に対して抽出処理とぼかし処理とを施してワーク画像を生成し、現在のフレームで生成したワーク画像と前回のフレームで生成したフィルタ画像とを合成することによって現在のフレームで描画した原画像にフィルタ処理を施すためのフィルタ画像を生成している。このため本発明によれば、フレーム間で仮想カメラが動いた場合には、原画像によって描かれるオブジェクト空間のシーンが変化することを利用して、フィルタ画像において光のにじみを仮想カメラの動きに追従させることができるようになる。
【0008】
(2)本発明の画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記フィルタ処理部が、前記第Nのフレームにおいて生成された前記ワーク画像と、前記第N−1のフレームにおいて生成された前記フィルタ画像との合成率を、フレーム間での前記仮想カメラの移動量に応じて設定するようにしてもよい。
【0009】
「仮想カメラの移動量に応じて」とは、仮想カメラが移動した場合にはワーク画像とフィルタ画像との合成率が変化することを意味し、例えば、仮想カメラ自体の移動量を監視して合成率を設定してもよいし、また例えば、仮想カメラの向きを決定する注視点に追従するように仮想カメラの向きだけではなく仮想カメラの位置も制御される場合には、注視点の移動量を監視して合成率を設定してもよい。
【0010】
このようにすれば、例えば、仮想カメラの移動量が大きいほど前回のフレームで生成されたフィルタ画像の合成率が高くなるようにするなど、フレーム間で仮想カメラが動く速度に応じて適切な合成率を設定することができるので、よりリアルな表現をすることができるようになる。
【0011】
(3)また本発明の画像生成システムでは、前記コンピュータが、第1の内部バスを介してビデオメモリにアクセス可能であるとともに、第2の内部バスを介してメインメモリにアクセス可能である描画プロセッサを含む場合に、前記描画プロセッサを構成する前記フィルタ処理部が、前記原画像が生成された前記ビデオメモリ又は前記メインメモリの一方のメモリとは異なる他方のメモリに前記フィルタ画像を生成し、前記他方のメモリに生成された前記フィルタ画像を前記一方のメモリに生成された前記原画像に加算合成するようにしてもよい。また本発明のプログラム及び情報記憶媒体では、上記フィルタ処理部としてコンピュータの描画プロセッサを機能させるようにしてもよい。
【0012】
このようにすれば、描画プロセッサが画像データをメモリに書き込んだり、描画プロセッサが画像データをメモリから読み出したりする際における内部バスに対する負荷を分散することができるため、内部バスの帯域の利用効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0014】
1.構成
図1に本実施形態の画像生成システム(ゲームシステム)の機能ブロック図の例を示す。なお本実施形態の画像生成システムは図1の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。
【0015】
操作部160は、プレーヤがプレーヤオブジェクト(移動体オブジェクトの一例、プレーヤが操作するプレーヤ車両など)の操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、ステアリング、マイク、タッチパネル型ディスプレイ、或いは筺体などにより実現できる。記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAM(メインメモリ172)、VRAM(ビデオメモリ174)などにより実現できる。
【0016】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などにより実現できる。処理部100は、情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0017】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などにより実現できる。音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカ、或いはヘッドフォンなどにより実現できる。
【0018】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などがある。通信部196は外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0019】
なお本実施形態の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180(あるいは記憶部170のメインメモリ172)に配信してもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含めることができる。
【0020】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの処理を行う。ここでゲーム処理としては、ゲーム開始条件が満たされた場合にゲームを開始する処理、ゲームを進行させる処理、キャラクタやマップなどのオブジェクトを配置する処理、オブジェクトを表示する処理、ゲーム結果を演算する処理、或いはゲーム終了条件が満たされた場合にゲームを終了する処理などがある。この処理部100は記憶部170内のメインメモリ172をワーク領域として各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU(メインプロセッサ)、GPU(描画プロセッサ)、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。
【0021】
処理部100は、オブジェクト空間設定部110、移動・動作処理部112、仮想カメラ制御部114、描画部120、音生成部130を含む。なおこれらの一部を省略する構成としてもよい。
【0022】
オブジェクト空間設定部110は、オブジェクトデータ記憶部172に記憶されているオブジェクトデータに基づいて、車、キャラクタ、建物、球場、樹木、柱、壁、コース(道路)、マップ(地形)などの表示物を表す各種オブジェクト(ポリゴン、自由曲面又はサブディビジョンサーフェスなどのプリミティブで構成されるオブジェクト)をオブジェクト空間に配置設定する処理を行う。即ちワールド座標系でのオブジェクトの位置や回転角度(向き、方向と同義)を決定し、決定された位置(X、Y、Z)に決定された回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)でオブジェクトを配置する。
【0023】
移動・動作処理部112は、オブジェクト(車、キャラクタ、又は飛行機等)の移動・動作演算(移動・動作シミュレーション)を行う。すなわち操作部160によりプレーヤが入力した操作データや、プログラム(移動・動作アルゴリズム)や、各種データ(モーションデータ)などに基づいて、オブジェクトをオブジェクト空間内で移動させたり、オブジェクトを動作(モーション、アニメーション)させる処理を行う。具体的には、オブジェクトの移動情報(位置、回転角度、速度、或いは加速度)や動作情報(オブジェクトを構成する各パーツの位置、或いは回転角度)を、1フレーム(1/60秒)毎に順次求めるシミュレーション処理を行う。なおフレームは、オブジェクトの移動・動作処理(シミュレーション処理)や画像生成処理を行う時間の単位である。
【0024】
仮想カメラ制御部114は、オブジェクト空間内の所与(任意)の視点から見える画像を生成するための仮想カメラ(視点)の制御処理を行う。具体的には、仮想カメラの位置(X、Y、Z)又は回転角度(X、Y、Z軸回りでの回転角度)を制御する処理(視点位置、視線方向あるいは画角を制御する処理)を行う。
【0025】
例えば仮想カメラによりオブジェクト(例えば車、キャラクタ、ボール)を後方から撮影する場合には、オブジェクトの位置又は回転の変化に仮想カメラが追従するように、仮想カメラの位置又は回転角度(仮想カメラの向き)を制御する。この場合には、移動・動作処理部112で得られたオブジェクトの位置、回転角度又は速度などの情報(所定の制御情報の一例)に基づいて、仮想カメラを制御できる。或いは、仮想カメラを、予め決められた回転角度で回転させたり、予め決められた移動経路で移動させたりする制御を行ってもよい。この場合には、仮想カメラの位置(移動経路)又は回転角度を特定するための仮想カメラデータ(所定の制御情報の一例)に基づいて仮想カメラを制御する。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラについて上記の制御処理が行われる。
【0026】
描画部120は、処理部100で行われる種々の処理(ゲーム処理)の結果に基づいて描画処理を行い、これにより画像を生成し、表示部190に出力する。いわゆる3次元ゲーム画像を生成する場合には、まずオブジェクト(モデル)の各頂点の頂点データ(頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ、法線ベクトル或いはα値等)を含むオブジェクトデータ(モデルデータ)がオブジェクトデータ記憶部172Bから入力され、入力されたオブジェクトデータに含まれる頂点データに基づいて、頂点処理(頂点シェーダによるシェーディング)が行われる。なお頂点処理を行うに際して、必要に応じてポリゴンを再分割するための頂点生成処理(テッセレーション、曲面分割、ポリゴン分割)を行うようにしてもよい。頂点処理では、頂点処理プログラム(頂点シェーダプログラム、第1のシェーダプログラム)に従って、頂点の移動処理や、座標変換(ワールド座標変換、カメラ座標変換)、クリッピング処理、あるいは透視変換等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、オブジェクトを構成する頂点群について与えられた頂点データを変更(更新、調整)する。そして、頂点処理後の頂点データに基づいてラスタライズ(走査変換)が行われ、ポリゴン(プリミティブ)の面とピクセルとが対応づけられる。そしてラスタライズに続いて、画像を構成するピクセル(表示画面を構成するフラグメント)を描画するピクセル処理(ピクセルシェーダによるシェーディング、フラグメント処理)が行われる。ピクセル処理では、ピクセル処理プログラム(ピクセルシェーダプログラム、第2のシェーダプログラム)に従って、テクスチャの読出し(テクスチャマッピング)、色データの設定/変更、半透明合成、アンチエイリアス等の各種処理を行って、画像を構成するピクセルの最終的な描画色を決定し、透視変換されたオブジェクトの描画色をレンダリングターゲット(ピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ。メインメモリ172のフレームバッファ172B、ビデオメモリ174の縮小バッファ174Cやフレームバッファ174D)に出力(描画)する。すなわち、ピクセル処理では、画像情報(色、法線、輝度、α値等)をピクセル単位で設定あるいは変更するパーピクセル処理を行う。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成される。なお、仮想カメラ(視点)が複数存在する場合には、それぞれの仮想カメラから見える画像を分割画像として1画面に表示できるように画像を生成することができる。
【0027】
なお頂点処理やピクセル処理は、シェーディング言語によって記述されたシェーダプログラムによって、ポリゴン(プリミティブ)の描画処理をプログラム可能にするハードウェア、いわゆるプログラマブルシェーダ(頂点シェーダやピクセルシェーダ)により実現される。プログラマブルシェーダでは、頂点単位の処理やピクセル単位の処理がプログラム可能になることで描画処理内容の自由度が高く、従来のハードウェアによる固定的な描画処理に比べて表現力を大幅に向上させることができる。
【0028】
そして描画部120は、オブジェクトを描画する際に、ジオメトリ処理、テクスチャマッピング、隠面消去処理、αブレンディング等を行う。
【0029】
ジオメトリ処理では、オブジェクトに対して、座標変換、クリッピング処理、透視投影変換、或いは光源計算等の処理が行われる。そして、ジオメトリ処理後(透視投影変換後)のオブジェクトデータ(オブジェクトの頂点の位置座標、テクスチャ座標、色データ(輝度データ)、法線ベクトル、或いはα値等)は、メインメモリ172のオブジェクトデータ記憶部172Aに保存される。
【0030】
テクスチャマッピングは、ビデオメモリ174のデカールテクスチャ記憶部174Aに記憶されるデカールテクスチャ(テクセル値)をオブジェクトにマッピングするための処理である。具体的には、オブジェクトの頂点に設定(付与)されるテクスチャ座標等を用いてビデオメモリ174のデカールテクスチャ記憶部174Aからテクスチャ(色(RGB)、α値などの表面プロパティ)を読み出す。そして、2次元の画像であるテクスチャをオブジェクトにマッピングする。この場合に、ピクセルとテクセルとを対応づける処理や、テクセルの補間としてバイリニア補間、トライリニア補間などを行う。
【0031】
隠面消去処理としては、描画ピクセルのZ値(奥行き情報)が格納されるZバッファ174B(奥行きバッファ)を用いたZバッファ法(奥行き比較法、Zテスト)による隠面消去処理を行うことができる。すなわちオブジェクトのプリミティブに対応する描画ピクセルを描画する際に、Zバッファ174Bに格納されるZ値を参照する。そして参照されたZバッファのZ値と、プリミティブの描画ピクセルでのZ値とを比較し、描画ピクセルでのZ値が、仮想カメラから見て手前側となるZ値(例えば小さなZ値)である場合には、その描画ピクセルの描画処理を行うとともにZバッファ174BのZ値を新たなZ値に更新する。
【0032】
αブレンディングとしては、α値(A値)に基づく半透明合成処理(通常αブレンディング、加算αブレンディング又は減算αブレンディング等)を行う。例えば通常αブレンディングの場合には下式(1)〜(3)の処理を行う。
【0033】
=(1−α)×R+α×R (1)
=(1−α)×G+α×G (2)
=(1−α)×B+α×B (3)
また、加算αブレンディングの場合には下式(4)〜(6)の処理を行う。なお単純加算の場合はα=1として下式(4)〜(6)の処理を行う。
【0034】
=R+α×R (4)
=G+α×G (5)
=B+α×B (6)
また、減算αブレンディングの場合には下式(7)〜(9)の処理を行う。なお単純減算の場合はα=1として下式(7)〜(9)の処理を行う。
【0035】
=R−α×R (7)
=G−α×G (8)
=B−α×B (9)
ここで、R、G、Bは、フレームバッファ172Bあるいはフレームバッファ174Dに既に描画されている画像(原画像)のRGB成分であり、R、G、Bは、フレームバッファ172Bあるいはフレームバッファ174Dに描画すべき画像のRGB成分である。また、R、G、Bは、αブレンディングにより得られる画像のRGB成分である。なお、α値は、各ピクセル(テクセル、ドット)に関連づけて記憶できる情報であり、例えば色情報以外のプラスアルファの情報である。α値は、マスク情報、半透明度(透明度、不透明度と等価)、バンプ情報などとして使用できる。
【0036】
さらに本実施形態では描画部120が、フィルタ処理部122を含む。
【0037】
フィルタ処理部122は、仮想カメラから見たオブジェクト空間を描画した原画像に対してフィルタ画像を生成して、原画像とフィルタ画像とを合成するフィルタ処理を行う。
【0038】
具体的には、現在のフレーム(第Nのフレーム)においてフィルタ画像を生成する際に、現在のフレーム(第Nのフレーム)で描画した原画像に対して、各ピクセルの色の輝度値から所与の基準色の輝度値を減算することによって、所与の基準色より明るい色のピクセルを抽出する輝度抽出処理と、ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化するバイリニア補間を利用したぼかし処理とを施してワーク画像を縮小バッファ174C(広義には、ワークバッファ)に生成する。本実施形態では、縮小バッファ174Cがダブルバッファ構造を有しており、現在のフレームで描画した原画像に基づいてワーク画像を生成するバッファとは異なるバッファに、前回のフレームで使用したフィルタ画像を保存しておくことができるようになっている。なお縮小バッファ174Cは、少なくとも2つ設けられていればよく、トリプルバッファ構造など3つ以上のバッファが設けられていてもよい。また縮小バッファ174Cは、メインメモリ172とビデオメモリ174とに分散して設けられていてもよい。
【0039】
そして本実施形態では、フィルタ処理部122は、ダブルバッファ構造である縮小バッファ174Cにおいて別々のバッファに格納されている現在のフレームで描画した原画像に基づいて生成されたワーク画像と前回のフレーム(第N−1のフレーム)において生成されたフィルタ画像とを所与の合成率で合成することによって現在のフレームで描画した原画像に合成されるフィルタ画像を生成する。このとき、現在のフレーム(第Nのフレーム)において生成されたワーク画像と、前回のフレーム(第N−1のフレーム)において生成されたフィルタ画像との合成率を、フレーム間での仮想カメラの移動量に応じて設定するようにしてもよい。
【0040】
なお、フィルタ処理を行う際には、フィルタ処理の対象となるオブジェクトを予め特定しておいて、原画像においてフィルタ処理の対象となるオブジェクトを他のオブジェクトとは異なるα値で描画するようにしてもよい。この場合には、フィルタ処理部122に、原画像のαプレーンに設定されたα値をマスク情報として用いたフィルタ処理を行わせることができる。これにより原画像の所与の描画領域にのみフィルタ処理の効果が付加された画像を生成することができる。例えば、原画像のうちフィルタ処理の対象となるオブジェクトの描画領域のみを、原画像のαプレーンに設定されたα値をマスク情報として縮小バッファ174Cにコピーしたワーク画像を生成し、そのワーク画像に基づいて現在のフレームにおけるフィルタ画像を生成することができる。
【0041】
また、上述した原画像のαプレーンに設定されるα値をマスク情報となるように描画する手法としては、フィルタ処理の対象となるオブジェクトの頂点色のα成分をα≧α1に設定し、他のオブジェクトの頂点色のα成分をα<α1に設定しておく手法、フィルタ処理の対象となるオブジェクトにマッピングされるデカールテクスチャのαプレーンにα≧α1を設定し、他のオブジェクトにマッピングされるデカールテクスチャのαプレーンにα<α1を設定しておく手法、あるいはフィルタ処理の対象となるオブジェクトの頂点色のα成分とそのオブジェクト用のデカールテクスチャのαプレーンに設定されたα値を乗算した値αがα≧α1となるように設定し、他のオブジェクトの頂点色のα成分とそのオブジェクト用のデカールテクスチャのαプレーンに設定されたα値を乗算した値がα<α1となるように設定しておく手法等がある。オブジェクトの頂点色のα成分にマスク情報を設定した場合、そのオブジェクトデータは、オブジェクトデータ記憶部172Aに記憶させておくことができる。またデカールテクスチャのαプレーンにマスク情報を設定した場合、オブジェクトにマッピングされるデカールテクスチャは、デカールテクスチャ記憶部174Aに記憶させておくことができる。
【0042】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0043】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて分散処理により生成してもよい。
【0044】
2.本実施形態の手法
次に本実施形態の手法について図面を用いて説明する。なお以下では、グレアを表現するためのフィルタ処理に関して本実施形態の手法を採用した場合について主に説明するが、本実施形態の手法は、このようなフィルタ処理のみならず、種々のフィルタ処理に適用できる。
【0045】
まず本実施形態では、現在のフレームで描画した原画像から生成したワーク画像に前回のフレームで使用したフィルタ画像を合成して現在のフレームで使用するフィルタ画像を生成して、生成したフィルタ画像を原画像に合成することによってグレアフィルタ処理を施す手法を採用している。
【0046】
具体的には、図2のA1に示すように、オブジェクト空間内に配置された仮想カメラから見えるシーン(ビューボリューム内)に存在するオブジェクトをスクリーンに透視投影して、透視投影されたオブジェクトをフレームバッファに描画して原画像を生成する。
【0047】
そしてグレアフィルタをフレームバッファに描画された原画像に対して施す場合には、図2のA2に示すように、原画像をフレームバッファよりサイズの小さい第1ワークバッファに縮小コピーする。このときワークバッファの画像情報は前もってクリアしておく(黒く塗りつぶしておく)。
【0048】
次に、図2のA3に示すように、第1ワークバッファに縮小コピーして生成されたワーク画像1に対して輝度抽出処理を行って、ワーク画像1中の輝度が高い色成分のみが抽出されたワーク画像2を生成する。
【0049】
ここで、輝度抽出処理としては、ワーク画像1の各ピクセルから基準色より明るい色を抽出して、その差分の色情報を得る処理を行う。例えば、基準色C1で塗りつぶされた単色画像を用意して、第1ワークバッファのワーク画像1の色情報から単色画像の色情報を減算する描画処理を行う。これによってワーク画像1の各ピクセルの色をC2とすると、単色画像を減算して描画した後の第1ワークバッファに作成される輝度抽出画像のピクセルの色は、C2−C1となる。すなわち、輝度抽出画像では、基準色より暗い色は、黒にクランプされ、基準色より明るい色については、その差分の色となる。このようにある基準色より明るい色だけを求めることで、グレア表現が必要な領域を特定することができる。
【0050】
なお輝度抽出処理をピクセルシェーダによって実行する場合には、フレームバッファに描画された原画像を第1ワークバッファに縮小コピーする際に、ピクセルシェーダに取得させた原画像の色C0からパラメータ色として用意された基準色C1をピクセル毎に減算する処理(C0−C1)を実行した結果を第1ワークバッファに出力するようにしてもよい。
【0051】
次に、図2のA4に示すように、輝度抽出処理を行って生成されたワーク画像2に対してバイリニアフィルタ方式を利用してワーク画像2の各ピクセルの色を平滑化するぼかし処理を行って第1ワークバッファにワーク画像3を生成する。
【0052】
ぼかし処理としては、画像の縮小・拡大を繰り返すことによりバイリニアフィルタ方式で各ピクセルの色が周辺ピクセルの色を取り込んで平滑化(補間)されることにより画像をぼかす手法や、テクスチャ座標をずらしながらバイリニアフィルタ方式で描画を行うことで各ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化させて画像をぼかす手法などがある。ぼかし処理の手法は、上記のものには限られず、種々の手法を採用することができる。例えば、バイリニアフィルタ方式での描画により画像をぼかす手法は、図3に示すように第1ワークバッファのワーク画像2をテクスチャとして設定して、ワーク画像2を第1ワークバッファにテクスチャ座標をずらしながら描画することで実現することができる。例えば、図3のB1に示すように、テクスチャ座標をX方向(横方向)にシフトさせてワーク画像2を描画して横ずらし画像を生成し、その後図3のB2に示すように、横ずらし画像をテクスチャとして、テクスチャ座標をY方向(縦方向)にシフトさせて横ずらし画像を第1ワークバッファに描画する。このようにすることによって、第1ワークバッファに生成されたワーク画像2の各ピクセルの色がバイリニアフィルタ方式で補間されて画像がぼけるようになる。このとき図3のB1に示す処理及びB2に示す処理を繰返し行うことで、画像のぼかし具合をより強くすることができる。なお図3のB1に示す処理とB2に示す処理とは順序が逆であってもよい。
【0053】
次に本実施形態のグレアフィルタ手法では、図2のA5に示すように、第1ワークバッファに生成されたワーク画像3と、第1ワークバッファと同じサイズの縮小バッファである第2ワークバッファに前回のフレームで生成したフィルタ画像とを合成して第1ワークバッファにフィルタ画像を生成する。このように過去のフレームで生成したフィルタ画像を合成してグレアフィルタ用のフィルタ画像を生成することによって、第1のワークバッファに生成されたフィルタ画像には、複数フレーム間における仮想カメラの動きによって目に映る光のにじみの軌跡と同等の情報が重畳される。従って本実施形態のグレアフィルタ手法によれば、フレーム間で仮想カメラが動いた場合には、原画像によって描かれるオブジェクト空間のシーンが変化することを利用して、現在のフレームで使用されるフィルタ画像において光のにじみを仮想カメラの動きに追従させることができるようになる。
【0054】
なお、第1ワークバッファに生成されたワーク画像3と、第2ワークバッファに生成された前回のフレームで用いたフィルタ画像との合成率は、ワーク画像3の色と前回のフレーム用のフィルタ画像の色とが、1:1の割合で補間されるように設定してもよいし、フレーム間での仮想カメラの移動量に応じて設定するようにしてもよい。仮想カメラの移動量に応じて合成率を設定するようにすれば、例えば、仮想カメラの移動量が大きいほど前回のフレームで生成されたフィルタ画像の合成率が高くなるようにするなど、フレーム間で仮想カメラが動く速度に応じて適切な合成率を設定することができるので、よりリアルな表現をすることができるようになる。例えば、図4(A)に示すように、仮想カメラVCが移動体OB内に配置設定されて、移動体OBの移動に追従するように仮想カメラVCが移動制御され、移動体OBの向きに追従して注視点VPが回転して視線方向が制御される場合(いわゆる1人称視点の場合)には、図4(C)に示すように、仮想カメラVCの移動量L1に応じて合成率を設定することができる。また例えば、図4(B)に示すように、移動体OB内に注視点VPが配置設定されて、移動体OBの移動によって注視点VPが移動することに追従するように仮想カメラVCの位置及び向きが制御される場合(いわゆる3人称視点の場合)には、図4(C)に示すように、注視点VPの移動量L2を仮想カメラVCの移動量L1と同等に捉えて注視点VPの移動量L2に応じて合成率を設定することができる。
【0055】
また、第1ワークバッファに生成されたワーク画像3と、第2ワークバッファに保存されている前回のフレームで生成したフィルタ画像との合成をピクセルシェーダによって実行する場合には、ワーク画像3と前回のフレームで生成したフィルタ画像とを、いずれもテクスチャとしてピクセルシェーダに読み込ませて、ピクセルシェーダに取得されたワーク画像3の色C3と、前回のフレームで生成したフィルタ画像の色C4とを、ピクセル毎に単純加算する処理(C3+C4)や、ピクセル毎に所与の合成率mで補間する処理(C3×(1−m)+C4×m)を実行した結果を第1ワークバッファに出力するようにしてもよい。
【0056】
そして本実施形態のグレアフィルタ手法では、図2のA6に示すように、第1ワークバッファに作成したフィルタ画像をフレームバッファの原画像に加算合成することで、原画像に対して光のにじみが仮想カメラの動きに追従して見えるグレア処理が施された完成画像をフレームバッファに生成することができる。
【0057】
なお原画像とフィルタ画像との合成は、フィルタ画像の色に所与の係数を乗算して原画像の色に乗算結果を加算する加算合成により行うことができる。また本実施形態のグレアフィルタ手法において、原画像の奥行き情報(Zバッファに格納されるピクセル毎のZ値)を参照しながら合成率を決定して原画像とフィルタ画像との合成を行えば、被写界深度を表現する手法に適用することができる。
【0058】
また、原画像とフィルタ画像との合成をピクセルシェーダによって実行する場合には、フレームバッファに生成された原画像と第1ワークバッファに生成されたフィルタ画像とを、いずれもテクスチャとしてピクセルシェーダに読み込ませて、ピクセルシェーダに取得された原画像の色C0とフィルタ画像の色C5とを、ピクセル毎に単純加算する処理(C0+C5)や、ピクセル毎に所与の係数nを乗算して加算する処理(C0+C5×n)を実行した結果をフレームバッファに出力するようにしてもよい。
【0059】
3.本実施形態の処理
次に、本実施形態の詳細な処理例について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0060】
まず、フレーム更新タイミング(例えば、1/60秒が経過した時点)が到来すると(ステップS10でY)、仮想カメラから見たオブジェクト空間内のシーンをフレームバッファに描画して原画像を生成する(ステップS11)。
【0061】
次に、フレームバッファの1/4のサイズの第1のワークバッファをクリアする。すなわち第1ワークバッファの各ピクセルを黒色(R,G,B)=(0,0,0)に塗りつぶしておく(ステップS12)。
【0062】
次に、第1ワークバッファにフレームバッファの原画像を縮小コピーする(ステップS13)。そして、第1ワークバッファに縮小コピーして生成された画像と、基準色で塗りつぶされた単色画像を減算合成する(ステップS14)。すなわち図2で説明した輝度抽出処理により色の強さの低い成分が落とされる。
【0063】
なおピクセルシェーダによって輝度抽出処理を実行する場合には、フレームバッファから読み出した原画像の各ピクセルの色から基準色を減算した結果を第1ワークバッファに出力して、輝度抽出画像が縮小コピーされるようにしてもよい。
【0064】
次に、図3のB1において説明した手法を利用して、第1ワークバッファの画像を横にずらした画像を第1ワークバッファに加算合成して、横方向(X方向)に画像をぼかす処理を行う(ステップS15)。さらに、図3のB2において説明した手法を利用して、第1ワークバッファの画像を縦にずらした画像を第1ワークバッファに加算合成して、縦方向(Y方向)に画像をぼかす処理を行う(ステップS16)。
【0065】
次に、第1ワークバッファと同様にフレームバッファの1/4のサイズの第2ワークバッファに保存されている前回のフレームで作成したフィルタ画像を第1ワークバッファの画像に半透明合成する(ステップS17)。次回のフレームでは、現在のフレームにおいて第1のワークバッファに生成されたフィルタ画像が、次回のフレームにおいて第2のワークバッファに生成されたワーク画像に半透明合成されて次回のフレーム用のフィルタ画像が生成される。
【0066】
次に、第1ワークバッファに生成されたフィルタ画像をフレームバッファのサイズに拡大して、その拡大された画像を適当な係数(所与の加算合成係数)を掛けてフレームバッファの原画像に加算することにより原画像とフィルタ画像とを合成する(ステップS18)。
【0067】
4.ハードウェア構成例
本実施形態の画像生成システムを実現するハードウェアの構成の一例について図6を用いて説明する。なお図6では、主要な構成のみを図示しており、図6に示されていないハードウェア(メモリコントローラやスピーカなど)を必要に応じて設けることができる。
【0068】
メインプロセッサ10は、光ディスク72(CD、DVD、ブルーレイディスク等の情報記憶媒体)に格納されたプログラム、通信インターフェース80を介して転送されたプログラム、或いはハードディスク60に格納されたプログラムなどに基づき動作し、内部バスb4を介してアクセス可能なメインメモリ40を作業領域(ワーク領域)としてゲーム処理、画像処理、音処理などの種々の処理を実行する。
【0069】
メインプロセッサ10は、1基のプロセッサ12と複数のベクトルプロセッサ14で構成される。プロセッサ12は、OSの実行、ハードウェアリソースの管理、ゲーム処理、ベクトルプロセッサ14の動作管理などの種々の処理を実行する。またベクトルプロセッサ14は、ベクトル演算に特化したプロセッサであり、主にジオメトリ処理、画像データや音データのコーデック処理などの処理を実行する。
【0070】
描画プロセッサ20は、内部バスb1(第1の内部バス)を介してビデオメモリ30にアクセス可能に形成されている。また描画プロセッサ20は、描画プロセッサ20とメインプロセッサ10を接続する内部バスb2(第2の内部バス)と、メインプロセッサ10内部のバスb3と、メインプロセッサ10とメインメモリ40を接続する内部バスb4を介してメインメモリ40にアクセス可能に形成されている。すなわち描画プロセッサ20はビデオメモリ30と、メインメモリ40とをレンダリングターゲットとして利用することができる。
【0071】
描画プロセッサ20は、座標変換、透視変換、光源計算、曲面生成などのジオメトリ処理を行うものであり、高速並列演算が可能な積和算器や除算器を有し、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えば、座標変換、透視変換、光源計算などの処理を行う場合には、メインプロセッサ10で動作するプログラムが、その処理を描画プロセッサ20に指示する。
【0072】
また描画プロセッサ20は、ジオメトリ処理後のオブジェクト(ポリゴンや曲面などのプリミティブ面で構成されるオブジェクト)の画像のレンダリング処理を高速に実行するものである。マルチパスレンダリング処理の際には、描画プロセッサ20は、描画データ(頂点データや他のパラメータ)等に基づいて、Zバッファ34などを利用した陰面消去を行いながら、画像をビデオメモリ30又はメインメモリ40の一方のメモリにレンダリングする。そしてビデオメモリ30又はメインメモリ40の一方のメモリに記憶された画像に基づき他方のメモリに新たな画像をレンダリングする処理を必要なレンダリングパスの回数だけ行う。描画プロセッサ20は、上記マルチパスレンダリング処理として、グレアフィルタ処理、モーションブラー処理、被写界深度処理、フォグ処理等のフィルタ処理を行うことができる。
【0073】
そして、最後のレンダリングパスで画像がビデオメモリ30に設けられたフレームバッファ32にレンダリングされると、その画像をディスプレイ50に出力する。また最後のレンダリングパスで画像がメインメモリ40にレンダリングされた場合には当該画像をフレームバッファ32にコピー(書き込み)した上でディスプレイ50に出力する。
【0074】
ハードディスク60にはシステムプログラム、セーブデータ、個人データなどが格納される。
【0075】
光学ドライブ70は、プログラム、画像データ、或いは音データなどが格納される光ディスク72(情報記憶媒体)を駆動し、これらのプログラム、データへのアクセスを可能にする。
【0076】
通信インターフェース80は、ネットワークを介して外部との間でデータ転送を行うためのインターフェースである。この場合に、通信インターフェース170に接続されるネットワークとしては、通信回線(アナログ電話回線、ISDN)、高速シリアルバスなどを考えることができる。そして、通信回線を利用することでインターネットを介したデータ転送が可能になる。また、高速シリアルバスを利用することで、他の画像生成システムとの間でのデータ転送が可能になる。
【0077】
上述したように本実施形態の画像生成システム(コンピュータ)は、内部バスb1(第1の内部バス)を介してビデオメモリ30にアクセス可能であるとともに、内部バスb2(第2の内部バス)を介してメインメモリ40にアクセス可能である描画プロセッサ20を含んで構成されており、描画プロセッサ20をフィルタ処理部122として機能させるシェーダプログラムが光ディスク72(情報記憶媒体の一例)あるいはハードディスク60(情報記憶媒体の一例)に格納されている。
【0078】
そして本実施形態の画像生成システムでは、上記シェーダプログラムによってフィルタ処理部122として機能する描画プロセッサ20が、原画像が生成されたビデオメモリ30又はメインメモリ40の一方のメモリとは異なる他方のメモリにフィルタ画像を生成し、他方のメモリに生成されたフィルタ画像を一方のメモリに生成された原画像に加算合成する処理を行う。
【0079】
このようにすれば、描画プロセッサ20が画像データをメモリ(ビデオメモリ30又はメインメモリ40)に書き込んだり、描画プロセッサ20が画像データをメモリ(ビデオメモリ30又はメインメモリ40)から読み出したりする際における内部バスb1,b2に対する負荷を分散することができるため、内部バスb1,b2の帯域の利用効率を高めることができる。特に本実施形態の画像生成システムでは、描画プロセッサ20が、Zバッファ34を用いた隠面消去処理において、膨大なデータを格納するZバッファ34からZ値を読み込んだり、Z値の書き込んだりすることによってビデオメモリ30にアクセスする内部バスb1を頻繁に使用するため、原画像を生成するバッファとフィルタ画像を生成するバッファとを分散することによって内部バスb1の帯域使用率の高さがボトルネックとなって処理が遅延することを防止することができる。
【0080】
なお、本実施形態の各部(各手段)は、その全てを、ハードウェアのみにより実現してもよいし、情報記憶媒体に格納されるプログラムや通信インターフェースを介して配信されるプログラムのみにより実現してもよい。或いは、ハードウェアとプログラムの両方により実現してもよい。
【0081】
そして、本実施形態の各部をハードウェアとプログラムの両方により実現する場合には、情報記憶媒体には、ハードウェア(コンピュータ)を本実施形態の各部として機能させるためのプログラムが格納されることになる。より具体的には、上記プログラムが、ハードウェアである各プロセッサ10、20等に処理を指示すると共に、必要であればデータを渡す。そして、各プロセッサ10、20等は、その指示と渡されたデータとに基づいて、本発明の各部を実現することになる。
【0082】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。またグレアフィルタの手法は、本実施形態で説明したものに限定されず、これらと均等な手法も本発明の範囲に含まれる。
【0083】
また本発明は種々のゲーム(格闘ゲーム、シューティングゲーム、ロボット対戦ゲーム、スポーツゲーム、競争ゲーム、ロールプレイングゲーム、音楽演奏ゲーム、ダンスゲーム等)に適用できる。また本発明は、業務用ゲームシステム、家庭用ゲームシステム、多数のプレーヤが参加する大型アトラクションシステム、シミュレータ、マルチメディア端末、ゲーム画像を生成するシステムボード、携帯電話等の種々の画像生成システムに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図。
【図2】本実施形態のグレアフィルタ手法の説明図。
【図3】本実施形態のぼかし処理手法の説明図。
【図4】本実施形態の仮想カメラの移動量に応じた合成率の設定手法の説明図。
【図5】本実施形態の具体的な処理例を示すフローチャート。
【図6】ハードウェア構成例。
【符号の説明】
【0085】
100 処理部、
110 オブジェクト空間設定部、112 移動・動作処理部、
114 仮想カメラ制御部、
120 描画部、122 フィルタ処理部、130 音生成部、
160 操作部、170 記憶部、
172 メインメモリ、
172A オブジェクトデータ記憶部、172B フレームバッファ、
174 ビデオメモリ、
174A デカールテクスチャ記憶部、174B Zバッファ、
174C 縮小バッファ、174D フレームバッファ、
180 情報記憶媒体、190 表示部、192 音出力部、
194 携帯型情報記憶装置、196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム毎にオブジェクト空間を仮想カメラから見た画像を生成するためのプログラムであって、
所定の制御情報に基づいて、前記仮想カメラを前記オブジェクト空間内で移動させる制御を行う仮想カメラ制御部と、
前記仮想カメラから見た前記オブジェクト空間を描画した原画像に対してフィルタ画像を合成するフィルタ処理を行うフィルタ処理部として、
コンピュータを機能させ、
前記フィルタ処理部が、
第Nのフレームにおいて前記フィルタ画像を生成する際に、第Nのフレームで描画した原画像に対して、所与の基準色より明るい色のピクセルを抽出する抽出処理と、ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化するぼかし処理とを施してワーク画像を生成するとともに、当該ワーク画像と、第N−1のフレームにおいて生成された前記フィルタ画像とを合成することを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1において、
前記フィルタ処理部が、
前記第Nのフレームにおいて生成された前記ワーク画像と、前記第N−1のフレームにおいて生成された前記フィルタ画像との合成率を、フレーム間での前記仮想カメラの移動量に応じて設定することを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記コンピュータが、第1の内部バスを介してビデオメモリにアクセス可能であるとともに、第2の内部バスを介してメインメモリにアクセス可能である描画プロセッサを含む場合に、前記描画プロセッサを前記フィルタ処理部として機能させ、
前記フィルタ処理部が、
前記原画像が生成された前記ビデオメモリ又は前記メインメモリの一方のメモリとは異なる他方のメモリに前記フィルタ画像を生成し、前記他方のメモリに生成された前記フィルタ画像を前記一方のメモリに生成された前記原画像に加算合成することを特徴とするプログラム。
【請求項4】
コンピュータにより読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項1〜3のいずれかに記載のプログラムを記憶していることを特徴とする情報記憶媒体。
【請求項5】
フレーム毎にオブジェクト空間を仮想カメラから見た画像を生成するための画像生成システムであって、
所定の制御情報に基づいて、前記仮想カメラを前記オブジェクト空間内で移動させる制御を行う仮想カメラ制御部と、
前記仮想カメラから見た前記オブジェクト空間を描画した原画像に対してフィルタ画像を合成するフィルタ処理を行うフィルタ処理部と、
を含み、
前記フィルタ処理部が、
第Nのフレームにおいて前記フィルタ画像を生成する際に、第Nのフレームで描画した原画像に対して、所与の基準色より明るい色のピクセルを抽出する抽出処理と、ピクセルの色を周辺ピクセルの色と平滑化するぼかし処理とを施してワーク画像を生成するとともに、当該ワーク画像と、第N−1のフレームにおいて生成された前記フィルタ画像とを合成することを特徴とする画像生成システム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−77406(P2008−77406A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256026(P2006−256026)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】