説明

画像生成装置、情報読取り装置、印刷媒体、画像生成方法、及びプログラム

【課題】情報を符号化した画像を媒体に印刷する場合に、媒体間におけるトナー面積の変動や、媒体内でのトナーの偏りの発生を防止する。
【解決手段】媒体上に印刷される文書データ又は媒体自体の識別情報を符号化する識別情報符号化部31と、媒体上の位置情報を符号化して位置符号を生成する位置符号生成部32と、位置符号が所定の間隔で2次元配置されると共に、識別符号が位置符号に隣接して2次元配置され、かつ、位置符号又は識別符号がその配置位置に応じて変換された符号平面を生成する符号平面生成部33と、その符号平面を画像化して符号画像を生成する符号画像生成部34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ等の画像形成装置で印刷する画像を生成する画像生成装置等に関し、より詳しくは、所定の情報を表す符号画像を生成する画像生成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、細かなドットが印刷された特殊な用紙に文字や絵を描き、ユーザがこの用紙上に書いた文字等のデータをパソコンや携帯電話等に転送し、この内容の保存や、メール送信を可能とする技術が注目されている。この技術では、この特殊な用紙に例えば0.3mm程度の間隔にて小さなドットが印刷され、これが例えば所定の大きさのグリッドごとに、全て異なるパターンを描くように構成されている。これを、例えばカメラを内蔵した専用のペンを用いて読み込むことで、この特殊な用紙上に書かれた文字等の位置を特定することができ、このような文字等を電子情報として利用することが可能となる。
【0003】
また、このような文字等の位置の特定に用いられる座標情報に加え、用紙に印刷された文書の情報をコード化して印刷する技術も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
このうち、特許文献1では、コードシンボルを媒体上にマトリクス状に並べ、コードシンボルには、その座標情報や、その媒体に印刷された文書の情報をエンコードしている。
また、特許文献2でも、2次元コードパターンをマトリクス状に配置しており、紙面上のコード位置を表す座標情報と、2次元コードパターンとともに印刷される文書ページの識別情報とを、2次元コード内にドットを使って符号化している。
【0004】
【特許文献1】特開2000−293303号公報
【特許文献2】特開2004−094907号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の技術には、次のような問題点があった。
まず、特許文献1の技術では、コードシンボルが媒体上に周期的に印刷されている。従って、可視の色材を使用してコードシンボルを印刷すると、コードシンボルの構造が目に付き、非常に違和感がある印刷文書となってしまうという問題点があった。
【0006】
これに対し、特許文献2の技術では、2次元コードパターンをドットで構成することで、紙面に印刷される2次元コードパターンの面積を低減している。従って、コードの構造が目に付くという前述の問題点は幾分緩和される。しかしながら、ドットの有無によって情報を埋め込んでいるため、埋め込む情報(座標情報や識別情報)に依存して、印刷されるドットの個数が変化し、紙面上のトナー面積(トナーカバレッジ)が変動してしまっていた。これにより、例えば、ある印刷文書では背景に印刷された2次元コードパターンが濃く見えるが、別の印刷文書では2次元コードパターンが薄く見える、といった状況が生じ、ユーザが使い難い画像となってしまうという問題点があった。
【0007】
また、特許文献2の技術では、埋め込む情報によって2次元コードパターンの見え方も変わってしまう。即ち、埋め込む情報によっては、2次元コードの内部でドットが印刷される場所が集中する場合がある。例えば、識別情報を埋め込む領域は、紙面に印刷する複数の2次元コード間で共通である。そのため、識別情報を埋め込む領域にドットの集中が発生すると、2次元コードの大きさに等しい間隔で、周期的な画像濃度の変動が発生する。画像濃度の変動は、人間の目にはムラとなって見え、ユーザに不快感を与えてしまうという問題があった。
【0008】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的は、情報を符号化した画像を媒体に印刷する場合に、媒体間におけるトナー面積の変動を防止することにある。
また、本発明の他の目的は、情報を符号化した画像を媒体に印刷する場合に、媒体内でのトナーの偏りの発生を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的のもと、本発明では、符号画像を生成するに当たり、その元となる位置符号又は識別情報をその配置位置に応じて変換するようにした。即ち、本発明の画像生成装置は、異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得する位置符号取得手段と、媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得する識別符号取得手段と、位置符号が所定の間隔で2方向に沿って2次元配置されると共に、識別符号が位置符号に隣接して2次元配置され、かつ、位置符号又は識別符号がその配置位置に応じて変換された符号平面を生成する符号平面生成手段と、符号平面を画像化して符号画像を生成する符号画像生成手段とを備えている。
【0010】
この画像生成装置は、例えば、識別符号の配置領域に含まれるビット値を、X方向及びY方向での位置に応じて所定の規則により変換する。そして、識別符号の配置領域におけるビット値「0」とビット値「1」との出現確率がほぼ同等になるようにする。即ち、印刷画像における符号画像の見え方を均質にするのである。ここで、所定の規則のうち、変換方法(変換処理)としては、ビット値反転、所定の係数との排他的論理和(EXOR)等が考えられる。また、変換周期(変換条件)としては、同期コードで画されるブロックの単位、位置情報の単位等が考えられる。
【0011】
また、本発明は、媒体に印刷された符号画像から情報を読み取る情報読取り装置として捉えることもできる。その場合、本発明の情報読取り装置は、符号画像が印刷された媒体からその符号画像を読み取る画像読取り手段と、この画像読取り手段が読み取った符号画像から、その符号画像が表す符号を取得する符号取得手段と、この符号取得手段が取得した符号を、その符号の元となる符号画像の媒体上の印刷位置に応じて変換する符号変換手段と、この符号変換手段による変換後の符号から所定の情報を取得する情報取得手段とを備えている。
【0012】
更に、本発明は、印刷媒体として捉えることもできる。その場合、本発明の印刷媒体は、異なる2方向に拡がりを持ち、かつ、その2方向に沿って2次元配置される複数の領域の各々に所定の符号を画像化した符号画像が印刷されたものであり、その複数の領域が、所定の符号をそのまま画像化した符号画像が印刷された第1の領域と、所定の符号を構成する符号値を反転して得られる符号を画像化した符号画像が印刷された第2の領域とを含むものである。
【0013】
更にまた、本発明は、画像を生成する方法として捉えることもできる。その場合、本発明の画像生成方法は、異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得するステップと、媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得するステップと、位置符号が所定の間隔で2方向に沿って2次元配置されると共に、識別符号が位置符号に隣接し、かつ、位置符号に応じて変換された状態で2次元配置された符号平面を生成するステップと、符号平面を画像化して符号画像を生成するステップとを含んでいる。
【0014】
一方、本発明は、所定の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとして捉えることもできる。その場合、本発明のプログラムは、コンピュータに、異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得する機能と、媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得する機能と、位置符号が所定の間隔で2方向に沿って2次元配置されると共に、識別符号が位置符号に隣接し、かつ、位置符号に応じて変換された状態で2次元配置された符号平面を生成する機能とを実現させるためのものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、情報を符号化した画像を媒体に印刷する場合に、媒体間におけるトナー面積の変動を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施の形態」という)について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用されるシステムの構成を示したものである。このシステムは、端末装置10と、文書リポジトリ20と、識別情報管理サーバ30と、画像形成装置40とがネットワーク90に接続されることにより構成されている。また、このシステムは、印刷文書50と、スキャナ付きペン60とを含む。
【0017】
端末装置10は、ユーザが電子文書の印刷を指示するために用いるコンピュータ装置である。例えば、PC(Personal Computer)が例示される。
文書リポジトリ20は、電子文書を保存するサーバである。ユーザが端末装置10を用いて行った要求に応じて電子文書を提供する。
識別情報管理サーバ30は、印刷文書50に埋め込む2次元コード画像における識別情報を管理するサーバである。また、このような2次元コード画像を生成する機能も備える。
画像形成装置40は、2次元コード画像が重畳された電子文書の画像を印刷する。
印刷文書50は、画像形成装置40によって画像が印刷された紙等の媒体である。画像としては、2次元コード画像が重畳された電子文書の画像が印刷されている。
スキャナ付きペン60は、印刷文書50に文字又は図形を記録する際の筆跡情報を読み取るペンデバイスである。
【0018】
以下、本システムの動作の概略を説明する。
まず、ユーザが、端末装置10に対し、文書リポジトリ20にアクセスしてその管理する電子文書の情報を取得するよう指示する。これにより、端末装置10は、例えば、表示装置上に電子文書の情報を表示する。そして、ユーザは、表示された電子文書のうち印刷を希望するものを選択する。文書リポジトリ20は、この選択を受けると、選択された電子文書を識別情報管理サーバ30に送信する。このとき、ユーザは、端末装置10上で印刷に対する各種パラメータ(印刷パラメータ)を指定し、これを識別情報管理サーバ30へ送信するよう指示してもよい。ここで、印刷パラメータには、用紙サイズ、印刷部数、印刷方向(縦/横)等がある。
【0019】
次に、識別情報管理サーバ30は、電子文書を受け取ると、識別情報の付与単位ごとに識別情報を生成する。ここで、識別情報の付与単位としては、例えば、媒体のページ、電子文書の印刷に必要な媒体の全体、電子文書のページ、電子文書全体が考えられる。識別情報の付与単位としていずれを採用するかは、システムで予め定めておいてもよいし、電子文書を印刷するユーザが指定してもよい。また、識別情報の生成方法としては、例えば、図示しない識別情報データベースから未使用の識別情報を取得する方法や、電子文書のハッシュ値を用いて識別情報を生成する方法が考えられる。
【0020】
また、識別情報管理サーバ30は、生成した識別情報と電子文書の属性情報との対応を識別情報データベースに登録する。ここで、電子文書の属性情報には、例えば、電子文書の格納場所(URL等)、印刷を指示したユーザの情報(ユーザID等)、この電子文書を印刷する画像形成装置の識別情報がある。識別情報の付与単位が電子文書全体よりも小さい場合は、電子文書中のその付与単位の識別情報も属性情報の1つとして登録することが好適である。例えば、識別情報の付与単位がページである場合のページ番号がこれに該当する。或いは、属性情報だけでなく、電子文書のデータそのものを識別情報データベースに登録するようにしてもよい。
更に、識別情報管理サーバ30は、各ページに印刷すべき位置情報群を生成し、これら位置情報と識別情報とを表す2次元コード画像を生成する。そして、2次元コード画像と電子文書とを画像形成装置40に送信する。
【0021】
これにより、画像形成装置40は、電子文書の画像と2次元コード画像とを重畳して印刷し、印刷文書50を出力する。即ち、ユーザが既存の文書リポジトリ20から選択した電子文書に対して、識別情報と位置情報とを含んだ2次元コード画像を重畳して印刷出力することが可能となる。
【0022】
ここで、画像形成装置40は、2次元コード画像を、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が例えば7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が例えば30%以上の不可視トナーによって形成する。また、この不可視トナーは、画像の機械読取りのために必要な近赤外光吸収能力を高めるために、平均分散径は100nm〜600nmの範囲のものが採用される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。媒体に形成された画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。
尚、本明細書では、赤外光を照射することにより2次元コード画像から情報を読み取るようにしているが、その他の特定波長光、例えば、紫外光を照射することにより情報を読み取るようにしてもよい。
また、不可視トナーを用いない構成として、黒トナーを用いることもできる。通常のプリンタや複写機で使用されている黒トナーは、赤外光を吸収するカーボンが含まれているため、赤外吸収剤として黒トナーを利用することができる。黒トナーを利用した場合、2次元コード画像が不可視トナーに比べ、より視認されやすくなるため、本発明の効果がより有効に作用する。また、2次元コード画像の形成に黒トナーを使用した場合は、電子文書画像の形成は、黒トナーに比べて赤外吸収率が低いトナー(イエロー、マゼンタ、シアン)で形成することが好ましい。また、赤外光を吸収しない黒トナーを用いて電子文書画像を形成する構成としてもよい。電子文書画像上での軌跡再現が不要な場合は、電子文書画像の形成にも黒トナーを用いることができる。
【0023】
その後、印刷文書50を取得したユーザが、スキャナ付きペン60でその印刷文書50に書込みを行ったとする。すると、スキャナ付きペン60は、書込みの際にスキャナが読み取った2次元コード画像中の位置情報から書込みの軌跡を求める。また、スキャナが読み取った2次元コード画像中の識別情報を識別情報管理サーバ30に送信する。
これにより、スキャナ付きペン60は、その識別情報に対応する電子文書を特定し、例えば、端末装置10に表示することができる。また、識別情報の付与単位がページの場合は、その識別情報に対応する電子文書中のページを特定することもできる。この場合は、その電子文書における識別情報が示すページに対し、書込みの軌跡のデータを、例えばオーバーレイのプレーンの画像として追加することができる。また、電子文書そのものではなく、その識別情報に対応する電子文書の属性情報を取得することもできる。この場合は、その属性情報に含まれる格納場所から電子文書のデータを取得し、そのデータに書込みの軌跡データを追加することができる。
【0024】
また、識別情報に対応づけて管理された電子文書の属性情報を用いることで、印刷文書50に印刷された情報の漏洩に対処することもできる。例えば、印刷文書50から読み取った識別情報に対応する属性情報として、その印刷文書50の出力を指示したユーザの情報を識別情報管理サーバ30から得ることができる。従って、この印刷文書50が仮に漏洩したものであった場合、印刷を指示したユーザに事情を聞くなどして漏洩の経路等を突き止める手がかりとすることができる。また、属性情報に含まれる画像形成装置の識別情報に基づいて、その印刷文書50がどの画像形成装置から出力されたものかを調べることもできる。従って、これも漏洩の経路等を特定するのに有益な情報となる。
【0025】
また、印刷文書50上の2次元コード画像から読み取った識別情報に基づいて、その印刷文書50の元になった電子文書(オリジナルの電子文書)を取得することができる。従って、例えば、印刷文書50を複写する代わりにオリジナルの電子文書を印刷することで、より鮮明な複写物を得ることも可能である。
【0026】
更に、識別情報に対応付けられた電子文書の属性情報を用いることで、印刷文書50に対するユーザの利用形態を管理することもできる。電子文書の属性情報には、例えば、印刷を指示したユーザの情報が登録されるが、そのような情報の1つとして、印刷文書50に関しそのユーザに対して許可された操作の情報を登録しておく。ここで、操作の情報とは、ユーザがその印刷文書50を利用する際の利用条件に関する情報である。例えば、印刷文書50の複写の可否や、印刷文書50に対する書込みの可否の設定がある。これにより、読み取った情報を利用するアプリケーションは、印刷文書50から読み取られた識別情報に応じて、ユーザが要求する操作を実行してよいかどうかを判定することができる。尚、各電子文書又は印刷文書50に対するユーザの利用権限を管理するサーバを別途用意し、アプリケーションが、識別情報をキーとして、そのサーバからユーザの権限を取得するようにしてもよい。
【0027】
尚、以上では、識別情報が、印刷を指示したユーザ、印刷出力した画像形成装置、その文書に対するユーザの利用条件等に識別情報管理サーバ30で関連づけられるものとして説明したが、これには限らない。即ち、ユーザ、画像形成装置、利用条件等を、識別情報に含め、2次元コード画像に埋め込むようにしてもよい。
また、図1のシステムは、文書リポジトリ20と識別情報管理サーバ30と画像形成装置40とを別々の装置として含む構成としたが、これもあくまで一例である。文書リポジトリ20と識別情報管理サーバ30とを1つのサーバにまとめた構成や、識別情報管理サーバ30と画像形成装置40とを1つの装置にまとめた構成等、この他にも様々なシステム構成を採ることができる。
【0028】
本実施の形態は、このようなシステムにおいて、識別情報管理サーバ30が、トナー面積率の変動が少ない2次元コード画像を生成するものである。そのために、2次元コード画像に含める識別符号を、その配置位置に応じて変換している。その場合、変換条件及び変換処理(以下、「変換規則」という)が決められている場合と、変換規則として任意のものを採用できる場合とが考えられる。
そこで、以下では、前者を第1の実施の形態、後者を第2の実施の形態として、詳細に説明する。
【0029】
[第1の実施の形態]
図2は、第1の実施の形態における識別情報管理サーバ30内の画像生成部の構成を示した図である。
識別情報符号化部31は、入力された識別情報を符号化して識別符号を出力する。この識別情報符号化部31は、識別符号を取得するという観点から、識別符号取得手段としての機能を有していると考えることができる。
ここで、識別情報としては、その識別情報を含む2次元コード画像が印刷される媒体を識別するための情報が考えられる。また、その2次元コード画像と共に印刷される文書画像の元となる電子文書又は電子文書のページを識別する情報とすることもできる。
【0030】
ここで、このような識別情報の符号化には、既知のCRC(Cyclic Redundancy Check)符号等の誤り検出符号や、RS符号やBCH符号等の誤り訂正符号を利用することができる。例えば、ブロック長5ビットのRS(16,10)符号(符号ブロック長=16ブロック、情報ブロック長=10ブロック)を用いて識別情報を符号化する場合を考える。この場合、3ブロック(15ビット)にノイズ等による誤りが発生しても、その誤りを訂正することができる。符号ブロックの80ビット(=5ビット×16ブロック)のうち、50ビット(=5ビット×10ブロック)に情報を埋め込むことができる。そして、50ビットのうち、8ビットを誤り検出に使用したとすると、残りの42ビットを識別情報に使用することができる。即ち、約4.4兆(242)通りの識別情報を埋め込むことができる。
【0031】
位置符号生成部32は、媒体面の部分領域の位置情報(座標)、又は、位置情報と共に印刷される電子文書の部分領域を示す位置情報を符号化し、位置符号を出力する。尚、この位置符号生成部32は、位置符号を取得するという観点から、位置符号取得手段としての機能を有していると考えることができる。
ここで、このような位置情報の符号化には、前述した誤り検出符号や、誤り訂正符号を使用することもできるが、本実施の形態では、位置情報をM系列符号により符号化するものとする。
M系列符号は、以下に示すp次の漸化式から生成される系列のうちで周期が最大(2p−1)のものをいう(疑似ランダム系列とも呼ばれる)。
【0032】
【数1】

【0033】
例えば、p=5、C1=1、C2=1、C3=1、C4=0、C5=1とすると、M系列「0111000101011010000110010011111」(長さ2−1=31)が生成される。このM系列の異なる位置から取り出した長さpの部分系列は、決して一致しない。この性質を利用して、位置情報を符号化することができる。
例えば、M系列の1ビットを0.3mmの画像パターンで表現したとする。この場合、用紙サイズA4の長手方向の297mmを表現するためには、以下に示すように、10次のM系列で符号化できる。
(210−1)×0.3mm=1023×0.3mm=306.9mm
このM系列を、X方向とY方向に埋め込むことで、平面の位置を符号化することができる。
【0034】
符号平面生成部33は、識別符号と位置符号とを配置した符号平面を生成する。この符号平面生成部33は、符号配置部33aと、位置取得部33bと、符号変換部33cと、同期符号配置部33dとを含む。
符号配置部33aは、識別符号と位置符号とを符号平面に配置する。ここで、符号平面とは、2次元配列で表現される平面であり、2次元配列の各要素には、識別符号と位置符号の符号値が格納される。
位置取得部33bは、符号平面上での識別符号の配置位置を取得し、その配置位置が変換条件に合致するかどうかを判定する。ここで、変換条件とは、例えば、「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」といった条件であり、システムにおいて予め決めておく。
【0035】
符号変換部33cは、位置取得部33bが取得した配置位置が変換条件に合致する場合に、符号平面上に配置される識別符号の符号値を変換する。ここで、符号値の変換方法(変換処理)としては、識別符号を画像化した際に、識別符号の各ビット位置における画像パターンの有無が反転するような方法が考えられる。
同期符号配置部33dは、符号平面の回転を検出するために、回転検出用の同期符号を配置する。尚、同期符号を配置しなくても識別符号及び位置符号の読取りに支障がない場合は、同期符号配置部33dは必ずしも設けなくてよい。
【0036】
符号画像生成部34は、符号平面を構成する符号値を画像化して2次元コード画像を生成する。この符号画像生成部34は、符号参照部34aと、パターン格納部34bと、パターン選択部34cと、画像変換部34dとを含む。
符号参照部34aは、符号平面生成部33が生成した符号平面を構成する符号値を取得する。
パターン格納部34bは、符号値を画像で表すための画像パターンを複数種類格納する。
パターン選択部34cは、符号参照部34aが取得した符号値を参照して、符号値に対応する画像パターンをパターン格納部34bから取り出す。
画像変換部34dは、パターン選択部34cが選択した画像パターンを用いて、画像平面に画像パターンを配置する。
【0037】
尚、これらの機能部分は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、識別情報管理サーバ30の図示しないCPUが、識別情報符号化部31、位置符号生成部32、符号平面生成部33(内部の機能を含む)、符号画像生成部34(内部の機能を含む)の各機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0038】
次に、本実施の形態における符号平面上の符号値の変換の一例を説明する。
図3は、符号平面の一部を模式的に示したものである。尚、図では、横方向をX方向とし、縦方向をY方向としている。
まず、図3(a)は、符号変換部33cによる変換前の符号平面を示したものである。
このうち、左側の図は、符号平面における識別符号、位置符号、同期符号の配置の様子を示している。即ち、符号平面においては、同期符号3aが、X方向、Y方向に所定の間隔で配置される。そして、X方向に配置された同期符号3aに挟まれた領域に、X方向用位置符号3bが配置される。また、Y方向に配置された同期符号3aに挟まれた領域に、Y方向用位置符号3cが配置される。更に、同期符号3aの右下の領域に、識別符号3dが配置される。
【0039】
また、右側の図は、左側の図における太線で囲んだブロック内の符号値を具体的に示したものである。この例では、1つのブロックは、10ビット×10ビットで構成されている。ブロック中、左上の2ビット×2ビットの領域3pにおける符号が、同期符号3aに相当する。同期符号は、ここでは、特別な情報である4個の「2」で表している。また、右上の縦2ビット×横8ビットの領域3qにおける符号が、X方向用位置符号3bに相当する。そして、左下の縦8ビット×横2ビットの領域3rにおける符号が、Y方向用位置符号3cに相当する。更に、右下の8ビット×8ビットの領域3sにおける符号が、識別符号3dに相当する。尚、この例では、識別符号3dに含まれるビット値は、「0」が「1」よりも圧倒的に多くなっている。従って、左側の図における識別符号3dの配置領域は、薄い網掛けで表してある。
【0040】
一方、図3(b)は、符号変換部33cによる変換後の符号平面を示したものである。尚、ここでは、変換条件が「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」であるとし、変換処理が「符号値の反転処理」であるとする。
このうち、左側の図は、図3(a)と同様、符号平面における識別符号、位置符号、同期符号の配置の様子を示している。
【0041】
また、右側の図は、左側の図における太線で囲んだブロック内の符号値を具体的に示したものである。図3(a)と同様、1つのブロックは、10ビット×10ビットで構成されている。ブロック中、左上の2ビット×2ビットの領域における同期符号3a、右上の縦2ビット×横8ビットの領域におけるX方向用位置符号3b、左下の縦8ビット×横2ビットの領域におけるY方向用位置符号3cは、図3(a)と同じ値であり、変換されていない。一方、右下の8ビット×8ビットの領域における識別符号3dに対しては、符号値の反転処理が施されている。これにより、識別符号3dに含まれるビット値は、「1」が「0」よりも圧倒的に多くなっている。従って、左側の図における識別符号3dの配置領域の一部は、濃い網掛けで表してある。尚、ここでは、前述の通り、変換条件として「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」が指定されているので、濃い網掛けのブロックは、図のような分布となっている。
【0042】
次に、本実施の形態における位置取得部33b及び符号変換部33cの動作について述べる。但し、ここでは、変換規則については特定のものに限定しない。
図4は、位置取得部33b及び符号変換部33cの動作を示したフローチャートである。尚、以下では、図3におけるブロックのX方向の順番を表すインデックスをXとし、Y方向の順番を表すインデックスをYとする。
【0043】
まず、Yに「1」を設定し(ステップ301)、Xに「1」を設定する(ステップ302)。そして、位置取得部33bは、(X,Y)が所定の変換条件を満足するかどうかを判定する(ステップ303)。
その結果、(X,Y)が変換条件を満足すると判定された場合は、符号変換部33cに対し、識別符号の変換を指示する。これにより、符号変換部33cは、(X,Y)のブロックにおける識別符号に対し、所定の変換処理を施す(ステップ304)。そして、位置取得部33bは、Xに1を加算する(ステップ305)。
一方、(X,Y)が所定の条件を満足しないと判定された場合、位置取得部33bは、符号変換部33cに対し、識別符号の変換を指示せず、Xに1を加算する(ステップ305)。
【0044】
そして、位置取得部33bは、XがMを超えたかどうかを判定する(ステップ306)。ここで、XがMを超えていなければ、ステップ303〜305の処理を繰り返す。その後、XがMを超えると、Yに1を加算する(ステップ307)。
また、位置取得部33bは、YがNを超えたかどうかを判定する(ステップ308)。ここで、YがNを超えていなければ、ステップ302〜307の処理を繰り返す。その後、YがNを超えると、処理を終了する。
【0045】
次に、このようにして変換処理が施された符号を画像化した2次元コード画像が印刷された印刷文書50からの情報の読取りについて説明する。
図5は、情報読取りデバイスの1つであるスキャナ付きペン60の構成を示したものである。
図示するように、スキャナ付きペン60は、ペン全体の動作を制御する制御回路61を備える。また、制御回路61は、入力画像から2次元コード画像を検出する画像処理部61aと、2次元コード画像を復号して筆記情報を取得するデータ処理部61bとを含む。
そして、制御回路61には、スキャナ付きペン60による筆記動作をペンチップ69に加わる圧力によって検出する圧力センサ62が接続されている。また、媒体上に赤外光を照射する赤外LED63と、画像を入力する赤外CMOS64も接続されている。更に、筆記情報を記憶するための筆記情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、ペンを駆動するためのバッテリ67と、ペンの識別情報(ペンID)を記憶するペンIDメモリ68も接続されている。
【0046】
尚、このうち、赤外CMOS64又は画像処理部61a(画像の入力に係る部分)は、画像読取り手段としての機能を有していると考えることができる。また、画像処理部61a又はデータ処理部61b(2次元コード画像からの符号値の検出に係る部分)は、符号取得手段としての機能を有していると考えることができる。更に、データ処理部61b(符号値の変換に係る部分)は、符号変換手段としての機能を有していると考えることができる。更にまた、データ処理部61b(変換後の符号値からの情報の検出に係る部分)は、情報取得手段としての機能を有していると考えることができる。
【0047】
ここで、このスキャナ付きペン60の動作の概略を説明する。
スキャナ付きペン60による筆記が行われると、ペンチップ69に接続された圧力センサ62が、筆記動作を検出する。これにより、赤外LED63が点灯し、赤外CMOS64がCMOSセンサによって媒体上の画像を撮像する。
尚、赤外LED63は、消費電力を抑制するために、CMOSセンサのシャッタタイミングに同期させてパルス点灯する。
また、赤外CMOS64は、撮像した画像を同時に転送できるグローバルシャッタ方式のCMOSセンサを使用する。そして、赤外領域に感度があるCMOSセンサを使用する。また、外乱の影響を低減するために、CMOSセンサ全面に可視光カットフィルタを配置している。CMOSセンサは、70fps〜100fps(frame per second)程度の周期で、画像を撮像する。尚、撮像素子はCMOSセンサに限定するものではなく、CCD等、他の撮像素子を使用してもよい。
【0048】
このように撮像した画像が制御回路61に入力されると、制御回路61は、撮像した画像から2次元コード画像を取得する。そして、それを復号し、2次元コード画像に埋め込まれている筆記情報(座標情報と識別情報)を取得する。
以下、このときの制御回路61の動作について詳細に説明する。
図6は、制御回路61の動作を示したフローチャートである。
まず、画像処理部61aは、画像を入力し(ステップ601)、画像に含まれるノイズを除去するための処理を行う(ステップ602)。ここで、ノイズとしては、CMOS感度のばらつきや電子回路により発生するノイズ等がある。このノイズ除去の処理の種類は、スキャナ付きペン60の撮像系の特性に合わせるべきだが、ぼかし処理やアンシャープマスキング等の先鋭化処理を適用することができる。
【0049】
次に、画像処理部61aは、画像からドットパターンを検出する(ステップ603)。例えば、2値化処理によりドットパターン部と背景部とを切り分け、2値化された個々の画像位置からドットパターンを検出することができる。2値化画像にノイズ成分が多数含まれる場合は、例えば、2値画像の面積や形状によりドットパターンの判定を行うフィルタ処理を組み合わせる必要がある。
【0050】
また、データ処理部61bは、画像処理部61aが検出したドットパターンを受け取り、符号値に変換する(ステップ604)。具体的には、ドットが有る位置が「1」で、ドットが無い位置が「0」である符号値からなる符号平面を生成する。
更に、データ処理部61bは、この符号平面上で同期符号を検出する(ステップ605)。そして、この同期符号により、識別符号と位置符号の位置を特定し、それらを取得する(ステップ606)。また、この取得した位置符号と、画像生成に使用したM系列とを照合することにより、位置情報を取得する(ステップ607)。
【0051】
そして、データ処理部61bは、この位置情報が所定の変換条件を満足するかどうかを判定する(ステップ608)。ここで、所定の変換条件とは、図4のステップ303で用いたのと同じ条件である。
【0052】
その結果、変換条件を満足しないと判定された場合は、その識別符号に対してRS復号処理を施し、識別情報を取得する(ステップ610)。
一方、変換条件を満足すると判定された場合は、識別符号に対して逆変換処理を施す(ステップ609)。ここで、逆変換処理とは、図4のステップ304で用いた変換処理とは逆の変換を行う処理である。そして、逆変換後の識別符号に対してRS復号処理を施し、識別情報を取得する(ステップ610)。
そして、最後に、データ処理部61bは、識別情報と位置情報とからなる筆記情報を、筆記情報メモリ65に格納する(ステップ611)。
これにより、通信回路66は、筆記情報メモリ65に格納された筆記情報を外部装置に送信する。
【0053】
ところで、図4及び図6のフローチャートにおいては変換規則を明示しなかったが、変換規則としては、種々のものを用いることができる。一例としては、図3に示した変換規則がある。この場合、図4のステップ303及び図6のステップ608における「変換条件」とは、「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」という条件である。また、図4のステップ304における「変換処理」及び図6のステップ609における「逆変換処理」とは、「符号値の反転処理」である。
【0054】
また、変換規則としては、この他に次のようなものも考えられる。
例えば、符号値の列と所定の係数との排他的論理和を求め、これを新たな符号値の列とする、というものである。その場合、図4のステップ303及び図6のステップ608における「変換条件」としては、上記と同様の条件を採用することができる。また、図4のステップ304における「変換処理」及び図6のステップ609における「逆変換処理」としては、「符号値の列と所定の係数との排他的論理和の算出処理」を採用することができる。
【0055】
また、全ての配置位置における識別符号に対し、位置符号から得られる(X,Y)の値を用いた演算を施し、結果として得られる符号を新たな識別符号とすることも考えられる。この場合、図4のステップ303及び図6のステップ608では全ての(X,Y)について判定結果を「Yes」とする。また、図4のステップ304における「変換処理」としては、「(X,Y)を用いた演算処理」を採用し、図6のステップ609における「逆変換処理」としては、「その演算処理の逆の演算処理」を採用することができる。
【0056】
このように、本実施の形態では、識別符号をその配置位置に応じて変換し、変換後の識別符号を画像化して2次元コード画像を生成するようにした。これにより、この画像を媒体に印刷する場合に、媒体間におけるトナー面積の変動を防止することができるようになった。また、媒体内でのトナーの偏りの発生を防止することもできるようになった。
【0057】
ここで、このような本実施の形態による効果を具体的に説明する。
図7は、符号変換部33cにより符号値を反転しない場合に生成される2次元コード画像の例を示したものである。
図7(a)は、図3(a)の右側に示した各ビット値を、ドットのON/OFFで表したものである。この図7(a)では、識別符号の符号値が反転されていないため、識別符号配置領域におけるドットのON/OFFは、全て同じパターンとなっている。
また、図7(b)は、図7(a)のドットパターンが実際に媒体に印刷された場合におけるコードパターンの見え方を示した図である。特に、識別符号配置領域に対応する部分において、同じドットパターンが周期的に印刷されているため、ユーザに不快感を与える画像となっている。
【0058】
一方、図8は、符号変換部33cにより符号値を反転した場合に生成される2次元コード画像の例を示したものである。
図8(a)は、図7(a)におけるドットのON/OFFを、太線で囲んだビット反転識別符号配置領域についてのみ反転させたものである。
また、図8(b)は、図8(a)のドットパターンが実際に媒体に印刷された場合におけるコードパターンの見え方を示した図である。特に、識別符号配置領域に対応する部分において、同じドットパターンが周期的に印刷されなくなっているため、ユーザに与える不快感を軽減させる画像となっている。
【0059】
ところで、図7及び図8では、符号値を画像化するのにドットのON/OFFを用いていていた。つまり、パターン格納部34bに「ドット有り」及び「ドット無し」を画像パターンとして格納しておき、パターン選択部34cが、ビット「1」に対しては「ドット有り」を、ビット「0」に対しては「ドット無し」を選択するようにしていた。しかしながら、符号値の画像化に用いる画像パターンはこれに限ったものではない。
【0060】
第一に、所定形状の1つの画像要素(例えば、ドット)を基準位置から同じ量だけ異なる方向にずらした画像パターンを用いるようにしてもよい。例えば、基準位置から同じ量だけ、右にずれている場合と、上にずれている場合と、左にずれている場合と、下にずれている場合とで、4通りの情報を表現可能とするものである。
第二に、所定形状の複数の画像要素(例えば、ドット)を異なる位置に配置した画像パターンを用いるようにしてもよい。例えば、情報埋め込みの最小単位において、9箇所に画像要素を配置可能とする。そして、その9箇所のうち2箇所を選択して画像要素を配置することにより、36通り(=)の情報を表現可能とするものである。
【0061】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態における識別情報管理サーバ30内の画像生成部の構成を示した図である。
この画像生成部においては、符号平面生成部33が変換符号配置部33eを含む点で、第1の実施の形態における画像生成部の構成と異なる。この変換符号配置部33eは、符号平面に変換符号を配置する。ここで、変換符号とは、識別符号の変換に用いる変換規則を識別する情報を符号化したものである。
尚、変換符号配置部33eについても、識別情報管理サーバ30の図示しないCPUが、その機能を実現するプログラムを外部記憶装置から主記憶装置に読み込んで処理を行う。
【0062】
次に、本実施の形態における符号平面上の符号値の変換の一例を説明する。
図10は、符号平面の一部を模式的に示したものである。尚、図では、横方向をX方向とし、縦方向をY方向としている。
まず、図10(a)は、符号変換部33cによる変換前の符号平面を示したものである。
このうち、左側の図は、符号平面における識別符号、位置符号、同期符号、変換符号の配置の様子を示している。即ち、符号平面においては、同期符号3aが、X方向、Y方向に所定の間隔で配置される。そして、X方向に配置された同期符号3aに挟まれた領域に、X方向用位置符号3bが配置される。また、Y方向に配置された同期符号3aに挟まれた領域に、Y方向用位置符号3cが配置される。更に、同期符号3aの右下の領域に、識別符号3dが配置される。そして、本実施の形態では、これらの符号に加え、識別符号3dの右下の領域に、変換符号3eが配置される。
【0063】
また、右側の図は、左側の図における太線で囲んだブロック内の符号値を具体的に示したものである。この例では、1つのブロックは、10ビット×10ビットで構成されている。ブロック中、左上の2ビット×2ビットの領域3pにおける符号が、同期符号3aに相当する。同期符号は、ここでは、特別な情報である4個の「2」で表している。また、右上の縦2ビット×横8ビットの領域3qにおける符号が、X方向用位置符号3bに相当する。そして、左下の縦8ビット×横2ビットの領域3rにおける符号が、Y方向用位置符号3cに相当する。更に、右下の2ビット×2ビットの領域3uにおける符号が、変換符号3eに相当する。更にまた、それらの領域を除いた領域3tにおける符号が、識別符号3dに相当する。尚、この例では、識別符号3dに含まれるビット値は、「0」が「1」よりも圧倒的に多くなっている。従って、左側の図における識別符号3dの配置領域は、薄い網掛けで表してある。
【0064】
一方、図10(b)は、符号変換部33cによる変換後の符号平面を示したものである。尚、ここでは、変換条件が「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」であるとし、変換処理が「符号値の反転処理」であるとする。
このうち、左側の図は、図10(a)と同様、符号平面における識別符号、位置符号、同期符号、変換符号の配置の様子を示している。
【0065】
また、右側の図は、左側の図における太線で囲んだブロック内の符号値を具体的に示したものである。図10(a)と同様、1つのブロックは、10ビット×10ビットで構成されている。ブロック中、左上の2ビット×2ビットの領域における同期符号3a、右上の縦2ビット×横8ビットの領域におけるX方向用位置符号3b、左下の縦8ビット×横2ビットの領域におけるY方向用位置符号3c、右下の2ビット×2ビットの領域における変換符号3eは、図10(a)と同じ値であり、変換されていない。一方、それらの領域を除いた領域における識別符号3dに対しては、符号値の反転処理が施されている。これにより、識別符号3dに含まれるビット値は、「1」が「0」よりも圧倒的に多くなっている。従って、左側の図における識別符号3dの配置領域の一部は、濃い網掛けで表してある。尚、ここでは、前述の通り、変換条件として「X方向に偶数番目でY方向に奇数番目、又は、X方向に奇数番目でY方向に偶数番目」が指定されているので、濃い網掛けのブロックは、図のような分布となっている。
【0066】
次に、本実施の形態における位置取得部33b、符号変換部33c、及び、変換符号配置部33eの動作について述べる。但し、ここでは、変換規則については特定のものに限定しない。
図11は、位置取得部33b、符号変換部33c、及び、変換符号配置部33eの動作を示したフローチャートである。
まず、位置取得部33b及び符号平面は、ステップ321〜324の処理を行う。但し、これらの処理は、図4のステップ301〜304と同じであるので、説明を省略する。
【0067】
ステップ323での判定結果が「No」の場合、又は、ステップ324での処理後に、本実施の形態では、変換符号配置部33eが、変換規則を示す変換符号を符号平面に配置する(ステップ325)。ここで、変換符号は、ステップ323で用いた変換条件及びステップ324で用いた変換処理とからなる変換規則の情報を符号化したものである。尚、ステップ323で用いる変換条件及びステップ324で用いる変換処理は、第1の実施の形態で例示した複数の変換規則の中から選択することができる。
その後、位置取得部33bは、ステップ326〜329の処理を行うが、これらは、図4のステップ305〜308と同じであるので、説明を省略する。
【0068】
次に、このようにして変換処理が施された符号を画像化した2次元コード画像が印刷された印刷文書50からの情報の読取りについて説明する。尚、情報読取りデバイスとしては、第1の実施の形態と同じスキャナ付きペン60を用いることができるので、その構成についての説明は省略する。
【0069】
ここで、このスキャナ付きペン60の動作の概略を説明する。
スキャナ付きペン60による筆記が行われると、ペンチップ69に接続された圧力センサ62が、筆記動作を検出する。これにより、赤外LED63が点灯し、赤外CMOS64がCMOSセンサによって媒体上の画像を撮像する。
このように撮像した画像が制御回路61に入力されると、制御回路61は、撮像した画像から2次元コード画像を取得する。そして、それを復号し、2次元コード画像に埋め込まれている筆記情報(座標情報と識別情報)を取得する。
【0070】
以下、このときの制御回路61の動作について説明する。
図12は、制御回路61の動作を示したフローチャートである。
まず、画像処理部61a及びデータ処理部61bは、ステップ621〜625の処理を行う。但し、これらの処理は、図6のステップ601〜605と同じであるので、説明を省略する。
次に、データ処理部61bは、ステップ625で検出した同期符号により、識別符号、位置符号、変換符号の位置を特定し、それらを取得する(ステップ626)。また、この取得した位置符号と、画像生成に使用したM系列とを照合することにより、位置情報を取得する。更に、変換符号に基づいて変換規則を求める(ステップ627)。
【0071】
そして、データ処理部61bは、この位置情報が、ステップ627で求めた変換規則における変換条件を満足するかどうかを判定する(ステップ628)。
その結果、変換条件を満足しないと判定された場合は、その識別符号に対してRS復号処理を施し、識別情報を取得する(ステップ630)。
一方、変換条件を満足すると判定された場合は、識別符号に対し、ステップ627で求めた変換規則における変換処理に対する逆変換処理を施す(ステップ629)。そして、逆変換後の識別符号に対してRS復号処理を施し、識別情報を取得する(ステップ630)。
そして、最後に、データ処理部61bは、識別情報と位置情報とからなる筆記情報を、筆記情報メモリ65に格納する(ステップ631)。
これにより、通信回路66は、筆記情報メモリ65に格納された筆記情報を外部装置に送信する。
【0072】
このように、本実施の形態では、識別符号をその配置位置に応じて変換する際に、変換規則を示す変換符号を配置するようにした。これにより、媒体間におけるトナー面積の変動や、媒体内でのトナーの偏りの発生を防止するための識別符号を変換する際の変換規則として、状況に応じて任意のものを選択することができるようになった。
【0073】
尚、本実施の形態では、変換符号を、変換条件及び変換処理を含む変換規則を示すものとしたが、変換条件、変換処理のいずれか一方を示すものとしてもよい。
また、本実施の形態においても、変換後の符号値を画像化する際には、第1の実施の形態と同様、種々の画像パターンを用いることができる。
【0074】
更に、これまで述べた第1及び第2の実施の形態では、識別符号をその配置位置に応じて変換することを述べたが、変換対象の符号はこれに限らない。例えば、位置符号を配置位置に応じて変換してもよい。位置符号は、識別符号のように媒体上の全ての位置に同じ情報を埋め込むものではない。しかしながら、位置符号の生成方法によっては、例えば、X方向に配置される位置符号の一部が同じであったり、Y方向に配置される位置符号の一部が同じであったりすることも考えられる。このような場合に、位置符号を配置位置に応じて変換することで、同じパターンが周期的に現れることを極力少なくすることができる。尚、この場合は、例えば、位置符号についての変換規則を、変換符号等を用いて媒体に埋め込んでおくことにより、情報の読み取りも問題なく行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるシステムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における画像生成部の機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における符号平面の例を示した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における画像生成部の動作を示したフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態におけるスキャナ付きペンの構成を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるスキャナ付きペンの動作を示したフローチャートである。
【図7】符号変換部による変換を行わない場合の2次元コード画像の例を示した図である。
【図8】符号変換部による変換を行った場合の2次元コード画像の例を示した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における画像生成部の機能構成を示したブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における符号平面の例を示した図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における画像生成部の動作を示したフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施の形態におけるスキャナ付きペンの動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
10…端末装置、20…文書リポジトリ、30…識別情報管理サーバ、40…画像形成装置、50…印刷文書、60…スキャナ付きペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得する位置符号取得手段と、
前記媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、当該媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得する識別符号取得手段と、
前記位置符号が所定の間隔で前記2方向に沿って2次元配置されると共に、前記識別符号が当該位置符号に隣接して2次元配置され、かつ、当該位置符号又は当該識別符号がその配置位置に応じて変換された符号平面を生成する符号平面生成手段と、
前記符号平面を画像化して符号画像を生成する符号画像生成手段と
を備えたことを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記符号平面生成手段は、前記位置符号又は前記識別符号を構成する符号値が変換された前記符号平面を生成することを特徴とする請求項1記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記符号画像生成手段は、複数の画像パターンの中から前記符号値に対応する画像パターンを選択し、当該画像パターンを用いて当該符号値を画像化することを特徴とする請求項2記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記複数の画像パターンは、画素を配置しない画像パターンを含むことを特徴とする請求項3記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記複数の画像パターンは、所定形状の1つの画像要素を基準位置から同じ量だけ異なる方向にずらした位置に配置した画像パターンを含むことを特徴とする請求項3記載の画像生成装置。
【請求項6】
前記複数の画像パターンは、所定形状の複数の画像要素を異なる位置に配置した画像パターンを含むことを特徴とする請求項3記載の画像生成装置。
【請求項7】
前記画像要素は、ドット形状を有していることを特徴とする請求項6記載の画像生成装置。
【請求項8】
前記符号平面生成手段は、前記識別符号に隣接する前記位置符号に基づいて特定された前記配置位置に応じて当該識別符号が変換された前記符号平面を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項9】
前記符号平面生成手段は、前記位置符号又は前記識別符号の変換規則を識別する情報を符号化した変換符号が更に配置された前記符号平面を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項10】
符号画像が印刷された媒体から当該符号画像を読み取る画像読取り手段と、
前記画像読取り手段が読み取った前記符号画像から、当該符号画像が表す符号を取得する符号取得手段と、
前記符号取得手段が取得した前記符号を、当該符号の元となる前記符号画像の前記媒体上の印刷位置に応じて変換する符号変換手段と、
前記符号変換手段による変換後の符号から所定の情報を取得する情報取得手段と
を備えたことを特徴とする情報読取り装置。
【請求項11】
前記符号変換手段は、前記符号取得手段が取得した前記符号の一部を、当該符号の他の一部により特定された変換規則に基づいて変換することを特徴とする請求項10記載の情報読取り装置。
【請求項12】
異なる2方向に拡がりを持ち、かつ、当該2方向に沿って2次元配置される複数の領域の各々に所定の符号を画像化した符号画像が印刷された印刷媒体であって、
前記複数の領域は、
前記所定の符号をそのまま画像化した符号画像が印刷された第1の領域と、
前記所定の符号を構成する符号値を反転して得られる符号を画像化した符号画像が印刷された第2の領域と
を含むことを特徴とする印刷媒体。
【請求項13】
異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得するステップと、
前記媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、当該媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得するステップと、
前記位置符号が所定の間隔で前記2方向に沿って2次元配置されると共に、前記識別符号が当該位置符号に隣接し、かつ、当該位置符号に応じて変換された状態で2次元配置された符号平面を生成するステップと、
前記符号平面を画像化して符号画像を生成するステップと
を含むことを特徴とする画像生成方法。
【請求項14】
前記符号平面を生成するステップでは、前記識別符号の変換規則を識別する情報を符号化した変換符号が更に配置された前記符号平面を生成することを特徴とする請求項13記載の画像生成方法。
【請求項15】
コンピュータに、
異なる2方向に拡がりを持つ媒体上の各位置を示す情報を符号化した位置符号を取得する機能と、
前記媒体上に印刷される文書データを識別する情報、又は、当該媒体を識別する情報を符号化した識別符号を取得する機能と、
前記位置符号が所定の間隔で前記2方向に沿って2次元配置されると共に、前記識別符号が当該位置符号に隣接し、かつ、当該位置符号に応じて変換された状態で2次元配置された符号平面を生成する機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項16】
前記符号平面を生成する機能では、前記識別符号の変換規則を識別する情報を符号化した変換符号が更に配置された前記符号平面を生成することを特徴とする請求項15記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−280162(P2007−280162A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107251(P2006−107251)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】