説明

画像生成装置、画像生成プログラム、画像生成プログラム記録媒体及び画像生成方法

【課題】プレイヤキャラクタが壁等の障害物に近づいた場合であっても、単一の仮想カメラを用いて広範囲に渡るプレイヤキャラクタ周辺の三次元画像を表示する。
【解決手段】仮想カメラの方向であって、水平方向に障害物が存在しない場合には、PC座標(プレイヤキャラクタの上端部の座標)を注視点として設定する。ループS1→S2→S3→S4→S5→S1を繰り返している状態において、プレイヤキャラクタが高い壁の近傍に位置する状態になると、第1仮想直線が障害物である壁と交差する。これにより、ステップS4の判断がYESとなり、ステップS4からステップS6に進む。ステップS6においては、第1仮想直線の障害物(壁)の面との交差点から逆方向に3mの第2仮想直線を設定する。次に、この第2仮想直線が壁等の障害物と交差したか否かを判断し(ステップS7)、交差しない場合には、第2仮想直線の先端の座標を注視点とする(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上に仮想的な三次元空間からなる画像を表示させる画像生成装置、画像生成プログラム、画像生成プログラム記録媒体及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想的な三次元空間を表示するとともに、この仮想的な三次元空間内にプレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタと他のオブジェクトとを表示させるビデオゲーム装置が知られている。このビデオゲーム装置においては、前記仮想的な三次元空間内に仮想カメラを配置し、この仮想カメラを視点として見える範囲の画像を生成するとともに、所定角度からなる仮想カメラの視軸と、三次元空間内における物体との交点を注視点とする。そして、この注視点をプレイヤキャラクタに合致させながら、仮想カメラをプレイヤキャラクタに追従させて移動させる。これにより、仮想的な三次元空間内にプレイヤキャラクタを常時表示させながらゲームを進行することができる。
【0003】
このとき、ゲーム展開によっては、前記視軸上であってプレイヤキャラクタとの間に壁等の障害物が存在し、壁等の近傍にプレイヤキャラクタが存在する場合が生ずる。この場合、図5(A−1)に示すように、仮想カメラ62を壁66よりもプレイヤキャラクタ65側に移動させるとともに、その視軸Lを通常時よりも垂直方向に角度変化させて、注視点Aをプレイヤキャラクタ65に合致させる。これにより、同図(A−2)に示すように、壁66を回避して、プレイヤキャラクタ65を表示画面61上に表示させることができる。
【0004】
しかし、このように仮想カメラ62の視軸Lを通常時よりも垂直方向に角度変化させると、(A−1)に示すように、これに伴って仮想カメラ62の視界Vも垂直方向に変位してしまい、敵キャラクタ67が視界V外の存在となる。その結果、(A−2)に示すように、表示画面61内に敵キャラクタ67が表示されない状態となってしまう。
【0005】
そこで、特許文献1記載の発明においては、通常時の仮想カメラと他の仮想カメラとを用い、通常時の仮想カメラから他の仮想カメラに切り替えた画面を生成することにより、障害物を回避した画像を表示させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−341572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1記載の発明のように通常時の仮想カメラから他の仮想カメラに切り替えた画面を生成して表示すると、複数の仮想カメラを用いることにより、画像処理が複雑化してしまう。
【0007】
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、プレイヤキャラクタが壁等の障害物に近づいた場合であっても、単一の仮想カメラを用いて広範囲に渡るプレイヤキャラクタ周辺の三次元画像を表示することのできる画像生成装置、画像生成プログラム、画像生成プログラム記録媒体及び画像生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明に係る画像生成装置にあっては、仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置において、前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る画像生成装置にあっては、前記第2の仮想直線が前記物体と交差するか否かを判断する第2の判断手段を更に備え、前記制御手段は、前記第2の判断手段により、前記第2の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合、その交差点が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3記載の発明に係る画像生成装置にあっては、前記交差点とは、前記物体の最初の面との交差点であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4記載の発明に係る画像生成装置にあっては、前記制御手段は、前記第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差しない判断された通常時においては、前記プレイヤキャラクタの上端が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明に係る画像生成装置にあっては、前記物体とは、前記プレイヤキャラクタを除く障害物であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6記載の発明に係る画像生成プログラムにあっては、仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置が有するコンピュータを、前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段として機能させることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7記載の発明に係る画像生成プログラム記録媒体にあっては、仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置が有するコンピュータが読み取り可能な記録媒体であって、前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段として機能させるプログラムを記録してなることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8記載の発明に係る画像生成方法にあっては、仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成方法において、前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定ステップと、この第1の仮想直線設定ステップにより設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断ステップと、この第1の判断ステップにより、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定ステップと、この第2の仮想直線設定ステップにより設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御ステップと含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プレイヤキャラクタが障害物に近づいた場合であっても、従来のように通常時の仮想カメラと他の仮想カメラを切り替える制御を行う必要がない。
【0017】
よって、複数の仮想カメラを用いることに起因する画像処理の複雑化を伴うことなく、プレイヤキャラクタが障害物に近づいた場合であっても、その周囲を充分に表示することができ、これにより、ユーザはプレイヤキャラクタと他のオブジェクトの配置や動きを把握することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に従って説明する。なお、以下の説明では、一例として本発明を家庭用ゲーム機に適用した場合について説明する。
図1は、本実施の形態にかかるゲーム装置の構成を示すブロック図である。図示のように、このゲーム装置1は、例えば、ゲーム機本体2と、入力装置3と、メモリカード5と、CD−ROM4と、出力装置6とを含む。
【0019】
ゲーム機本体2は、例えば、バス18を介して互いに接続された制御部11、RAM(Random Access Memory)12、インタフェース部13、サウンド処理部14、グラフィック処理部15,CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブ16、着脱自在なCD−ROM4及び通信インタフェース17から構成されている。
【0020】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ブートプログラムやOS(Operating System)等の基本プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)等を含み、RAM12に記憶されたプログラムを順次実行して、ゲームを進行するための処理を行う。制御部11は、また、ゲーム機本体2内の各部12〜17の動作を制御する。
【0021】
RAM12は、ゲーム機本体2のメインメモリとして使用されるもので、CD−ROM4から転送された、ゲーム進行のために必要となるプログラムやデータを記憶する。RAM12は、また、プログラム実行時におけるワークエリアとしても使用される。RAM12に割り付けられる領域及び各領域に記憶されたデータについては後述する。
【0022】
インタフェース部13には、着脱自在な入力装置3とメモリカード5とが接続される。このインタフェース部13では、入力装置3及びメモリカード5と制御部11やRAM12との間のデータの授受を制御する。なお、入力装置3は、方向キーや各種のボタンを備えている。これらのキーやボタンをプレイヤが操作することで、プレイヤキャラクタへの移動の指示や動作の指示などのゲームの進行のための必要となる入力が行われる。また、メモリカード5は、ゲームの進行状態を示すデータをセーブしておくものである。
【0023】
サウンド処理部14は、制御部11からの指示に従って、ゲームの進行状態に応じたBGM(Back Ground Music)や効果音などのサウンドデータを再生するための処理を行い、音声信号として出力装置6に出力する。
【0024】
グラフィック処理部15は、制御部11からの指示に従って3次元グラフィック処理を行い、ゲームの進行状態に応じて画像データを生成する。グラフィック処理部15は、生成した画像データに所定の同期信号を付加して、ビデオ信号として出力装置6に出力する。
【0025】
CD−ROMドライブ16は、制御部11からの指示に従って、ゲーム機本体2にセットされたCD−ROM4を駆動し、CD−ROM4に格納されているプログラムやデータをバス18を介してRAM12に転送する。
【0026】
通信インタフェース17は、通信回線19を介して外部のネットワーク20に接続されており、制御部11からの指示に従って、外部のネットワーク20との間でプログラムやデータを授受するための処理を行う。
【0027】
CD−ROM4は、ゲームの進行に必要となるプログラムやデータを格納している。CD−ROM4は、CD−ROMドライブ16によって駆動されて、格納しているプログラムやデータが読み出される。CD−ROM4から読み出されたプログラムやデータは、CD−ROMドライブ16からバス18を介してRAM12に転送される。
【0028】
出力装置6は、グラフィック処理部15からのビデオ信号に対応する画像を表示するCRT(Cathode Ray Tube)等からなる表示画面61と、サウンド処理部14からの音声信号に対応する音声を出力するスピーカ(図示せず)とを備えている。通常は、出力装置6としてテレビジョン受信器が用いられる。
【0029】
次に、図1のRAM12に割り付けられる領域及び各領域に記憶されるデータについて、詳細に説明する。
【0030】
図2は、RAM12に割り付けられる領域を示す図である。図示のように、RAM12には、プログラム記憶領域121、関連データ記憶領域122、画像データ記憶領域123、及びサウンドデータ記憶領域124が割り付けられる。関連データ記憶領域122以外の各領域121〜124に記憶されるプログラム、データは、制御部11の制御に従ってCD−ROMドライブ16がCD−ROM4から読み出し、RAM12に転送するものである。一方、関連データ記憶領域122内のデータは、ゲーム進行中に制御部11で算出され、RAM12に転送されたものである。
【0031】
プログラム記憶領域121には、後述するフローチャートに示すプログラムなどの、ゲームの実行に必要となるプログラムが記憶される。関連データ記憶領域122は、視点位置座標格納部122a、PC座標格納部122b、第1仮想直線格納部122c、及び第2仮想直線格納部122dが形成される。
【0032】
視点位置座標格納部122aには、表示画面61に画像を表示させる際の視点の位置情報、つまり図4に示す仮想カメラ62の三次元空間における位置座標(X1,Y1,Z1)が格納される。PC座標格納部122bには、表示画面61に表示させるプレイヤキャラクタ65の上端の座標(X2,Y2,Z2)が格納される。第1仮想直線格納部122cには、第1仮想直線63の基端63aの座標(X3,Y3,Z3)と先端63bの座標(X4,Y4,Z4)とが格納され、第2仮想直線格納部122dには、第2仮想直線64の基端64aの座標(X5,Y5,Z5)と先端64bの座標(X6,Y6,Z6)とが格納される。
【0033】
なお、図示のように仮想カメラ62は、プレイヤキャラクタ65の斜め上方に位置している。
【0034】
以上の構成にかかる本実施の形態において、ゲームが開始されると制御部11は、RAM12に情報を格納する領域を確保し、これにより図2に示したように、RAM12にプログラム記憶領域121、関連データ記憶領域122、画像データ記憶領域123、及びサウンドデータ記憶領域124等が確保されることとなる。そして、ゲーム開始要求があると、開始するゲームに必要な情報をCD−ROM4からRAM12に読み込み、制御部11は、この読み込まれたゲームプログラムに基づき、画像を表示画面61に表示させる。プレイヤは、表示画面61に画像を基にして入力装置3のキー及びボタンを操作してプレイヤキャラクタ65を動作させて、ゲームを進行させていく。なお、ゲーム進行中は視点(仮想カメラ62)から見える仮想的な三次元空間からなる画像が常に表示画面61に表示され続けている。
【0035】
この表示画面61に、仮想三次元空間からなる画像が表示されている状態において、制御部11は前記RAM12に記憶されたゲームプログラムに基づき、図3に示すフローチャートに従って処理を実行する。すなわち、仮想三次元空間においてプレイヤキャラクタ65が移動したか否かを常時監視する(ステップS1)。プレイヤキャラクタ65が移動したならば(ステップS1;YES)、移動したプレイヤキャラクタ65のPC座標(X2,Y2,Z2)を検出してPC座標格納部122bに格納する(ステップS1)。
【0036】
次に、この検出したPC座標(X2,Y2,Z2)から、仮想カメラ62の位置(X1,Y1,Z1)方向であって水平方向に「3m」の第1仮想直線63を設定する(ステップS3)。
【0037】
すなわち、視点位置座標格納部122aには、仮想カメラ62の位置座標(X1,Y1,Z1)が格納されており、また、PC座標格納部122bにはプレイヤキャラクタ65の位置座標(X1,Y1,Z1)が格納されていることから、プレイヤキャラクタ65から仮想カメラ62の位置方向を検出することができるとともに、仮想カメラ62の位置方向であって水平方向を特定することもできる。また、「3m」は当該仮想三次元空間における値であって、例えばプレイヤキャラクタ65の当該仮想三次元空間に内における身長(高さ)を基準値「2m」と規定し、この基準値「2m」に基づき、その長さ「3m」を設定することができる。つまり、当該仮想三次元空間内における定義に基づき、長さを設定する。
【0038】
また、壁からの最大距離dとすると、
壁からの最大距離d=h・tan(θ/2) ・・・(1)
により、壁からの最大距離dに対応する第1仮想直線63の長さ(3m)を求めることができる。
上記式(1)において、「h」は仮想カメラ62とプレイヤキャラクタ65の頂点間の垂直方向における距離(高さ)であり、基準値「2m」に対応する値である。また、θは仮想カメラ62の視野角である。
【0039】
したがって、このステップS3での処理により、図4(a)に示すように、基端63aの座標を(X3,Y3,Z3)とし、先端63bの座標を(X4,Y4,Z4)とする第1仮想直線63(X3,Y3,Z3)(X4,Y4,Z4)が設定されることとなる。無論、この第1仮想直線63は、仮想的な直線であって、表示画面61に表示されることはない。なお、(X3,Y3,Z3)=(X2,Y2,Z2)である。
【0040】
次に、この第1仮想直線63が壁等の障害物と交差したか否かを判断する(ステップS4)。このとき、(X3,Y3,Z3)=(X2,Y2,Z2)であって、第1仮想直線63は、プレイヤキャラクタ65の身長と同一高さで水平方向の直線であるから、仮想カメラ62方向であって水平方向に、プレイヤキャラクタ65と同一高さ以上の障害物(物体)が存在しない場合にはステップS4の判断はNOとなる。
【0041】
したがって、ステップS4からステップS5に進み、PC座標(X2,Y2,Z2)を注視点として設定する。ここで注視点とは、図5(A−1)にも示したように、仮想カメラの視軸Lが最初にオブジェクトと交差する点Aである。したがって、ステップS5での処理により、仮想カメラ62の注視点Aは、プレイヤキャラクタ65の上端に設定され、このプレイヤキャラクタ65の上端に仮想カメラ62の注視点Aが設定された仮想三次元画像が表示画面61に表示され続けられる。
【0042】
また、ステップS4の判断がNOである間は、S1→S2→S3→S4→S5→S1のループが繰り返される。したがって、通常時においては、プレイヤキャラクタ65のPC座標(X2,Y2,Z2)を注視点Aとする仮想三次元画像が表示画面61に表示され続けられている。
【0043】
しかし、前記ループS1→S2→S3→S4→S5→S1を繰り返している状態において、図4(a)に示すように、プレイヤキャラクタ65が該プレイヤキャラクタ65よりも高い壁66の近傍に位置する状態になると、第1仮想直線63が障害物である壁66と交差する。これにより、ステップS4の判断がYESとなり、ステップS4からステップS6に進む。
【0044】
そして、ステップS6においては、第1仮想直線63の障害物(壁66)の面との交差点から逆方向に3mの第2仮想直線を設定する。すなわち、第1仮想直線格納部122cには、第1仮想直線63の基端63aの座標(X3,Y3,Z3)と先端63bの座標(X4,Y4,Z4)とが格納されていることから、第1仮想直線63が交差した障害物の面との交差点の座標を検出することができる。また、「3m」に関しては、前述と同様に基準値に基づき、その長さを設定することができ、前記式(1)により算出することができる。
【0045】
したがって、このステップS6での処理により、図4(b)に示すように、第1仮想直線63の壁66の面との交差点である基端64aの座標を(X5,Y5,Z5)とし、先端64bの座標を(X6,Y6,Z6)とする第2仮想直線64(X5,Y5,Z5)(X6,Y6,Z6)が設定されることとなる。無論、この第2仮想直線64も、仮想的な直線であって、表示画面61に表示されることはない。
【0046】
次に、この第2仮想直線64が壁等の障害物と交差したか否かを判断する(ステップS7)。このとき、図4(b)の状態においては、第2仮想直線64が障害物と交差していないことから、ステップS7の判断はNOとなる。したがって、ステップS7からステップS8に進み、第2仮想直線64の先端64bの座標(X6,Y6,Z6)を注視点とする。このステップS8での処理により、図4(c)に示すように、仮想カメラ62は座標(X6,Y6,Z6)が注視点Aとなるように角度制御される。
【0047】
そして、このように仮想カメラ62の角度が制御されると、図5(B−1)に示すように、その視軸Lの傾き角度が通常時よりも大きくなる。また、このように仮想カメラ62の視軸Lの傾き角度が通常時よりも大きくなると、これに伴って仮想カメラ62の視界Vも傾き角度が大きくなって、敵キャラクタ67が視界V内の存在となる。これにより、同図(B−2)に示すように表示画面61上に、プレイヤキャラクタ65と敵キャラクタ67とを表示させることができる。
【0048】
したがって、プレイヤキャラクタが障害物に近づいた場合であっても、従来のように通常時の仮想カメラと他の仮想カメラとを切り替える制御を行う必要がない。よって、複数の仮想カメラを用いることにより、画像処理が複雑化してしまうこともない。
【0049】
他方、図4(d)に示すように、プレイヤキャラクタ65が一方の壁66と他方の壁68との間に存在する状態においては、第2仮想直線64が障害物である他方の壁68と交差する。これにより、ステップS7の判断がYESとなり、ステップS7からステップS9に進む。
【0050】
そして、ステップS9においては、第2仮想直線64の障害物(壁68)の面との交差点の座標を注視点として設定する。すなわち、第2仮想直線格納部122dには、第2仮想直線64の基端64aの座標(X5,Y5,Z5)と先端64bの座標(X6,Y6,Z6)とが格納されていることから、第2仮想直線64が交差した障害物の面との交差点の座標を検出することができる。
【0051】
したがって、このステップS9での処理により、図4(e)に示すように、第2仮想直線64の他方の壁68の面との交差点の座標である(X7,Y7,Z7)が注視点Aとなるように仮想カメラ62は角度制御される。したがって、この場合には、図4(c)に示した場合よりも仮想カメラ62傾き角度は小さいことから、他方の壁68が過剰に視界V内に入ってしまうようなことがない。
【0052】
なお、本実施の形態においては、ステップS3及びステップS6において、仮想直線の長さを「3m」としたが、この値は一例であって、適宜値の長さからなる仮想直線とすればよく、前記式(1)を用いて算出すればよい。また、本実施の形態においては、PC座標をプレイヤキャラクタ65の上端の座標(X2,Y2,Z2)としたが、プレイヤキャラクタ65の中心位置等他の位置の座標を用いたり、プレイヤキャラクタ65に関連する他の位置座標を用いるようにしてもよい。
【0053】
また、本実施の形態においては、ステップS7の判断がYESとなった場合には、ステップS9の処理を実行するようにしたが、ステップS9の処理を実行することなく、ステップS5に進み、PC座標を注視点として設定するようにしてもよい。
【0054】
さらに、本実施の形態では、本発明を実現するためのプログラムやデータをCD−ROMに格納し、このCD−ROMを記録媒体として用いた。しかしながら、記録媒体はCD−ROMに限定されるものではなく、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータが読み取り可能なその他の磁気的、光学的記録媒体あるいは半導体メモリであってもよい。さらには、ゲーム機やコンピュータの記憶装置に予めプリインストールしておく形態で本発明を実現するためのプログラムやデータを提供するものとしてもよい。
【0055】
また、本発明を実現するためのプログラムやデータは、図1に示す通信インタフェース17により、通信回線19を介して接続されたネットワーク20上の他の機器からダウンロードして使用する形態であってもよい。また、通信回線19上の他の機器側のメモリに前記プログラムやデータを記録し、このプログラムやデータを通信回線19を介して必要に応じて順次RAM12に格納して使用する形態であってもよい。
【0056】
また、本発明を実現するためのプログラムやデータの提供形態は、ネットワーク20上の他の機器から搬送波に重畳されたコンピュータデータ信号として提供されるものであってもよい。この場合、通信インタフェース17から通信回線19を介してネットワーク20上の他の機器にコンピュータデータ信号の送信を要求し、送信されたコンピュータデータ信号を受信してRAM12に格納させる。このようにしてRAM12に格納したプログラムやデータを使用してゲーム装置1で本発明を実現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施の形態を適用したゲーム装置の全体構成を示すハードウェアブロック図である。
【図2】図1のRAMに割り付けられる領域を示すメモリマップである。
【図3】本実施の形態における処理手順を示すフローチャートである。
【図4】同実施の形態の動作説明図である。
【図5】(A−1)(A−2)は従来技術の課題を示す図であり、(B−1)(B−2)は本実施の形態の作用効果を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ゲーム装置
2 ゲーム機本体
3 入力装置
4 CD−ROM
5 メモリカード
6 出力装置
11 制御部
12 RAM
17 通信インタフェース
61 表示画面
62 仮想カメラ
63 第1仮想直線
63a 基端
63b 先端
64 第2仮想直線
64a 基端
64b 先端
65 プレイヤキャラクタ
66 壁
67 敵キャラクタ
68 壁
121 プログラム記憶領域
122 関連データ記憶領域
122a 視点位置座標格納部
122b PC座標格納部
122c 第1仮想直線格納部
122d 第2仮想直線格納部
123 画像データ記憶領域
124 サウンドデータ記憶領域
A 注視点
L 視軸
V 視界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置において、
前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、
この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、
この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段と
を備えることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記第2の仮想直線が前記物体と交差するか否かを判断する第2の判断手段を更に備え、
前記制御手段は、前記第2の判断手段により、前記第2の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合、その交差点が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御することを特徴とする請求項1記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記交差点とは、前記物体の最初の面との交差点であることを特徴とする請求項1記載の画像生成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差しない判断された通常時においては、前記プレイヤキャラクタの上端が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御することを特徴とする請求項1、2又は3記載の画像生成装置。
【請求項5】
前記物体とは、前記プレイヤキャラクタを除く障害物であることを特徴とする請求項1から4にいずれか記載の画像生成装置。
【請求項6】
仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置が有するコンピュータを、
前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、
この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、
この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段と
して機能させることを特徴とする画像生成プログラム。
【請求項7】
仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成装置が有するコンピュータが読み取り可能な記録媒体であって、
前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定手段と、
この第1の仮想直線設定手段により設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定手段と、
この第2の仮想直線設定手段により設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御手段と
して機能させるプログラムを記録してなることを特徴とする画像生成プログラム記録媒体。
【請求項8】
仮想カメラの注視点を、プレイヤの操作入力に応じて移動するプレイヤキャラクタに追従させながら、前記仮想カメラの視界からなり仮想的な三次元空間からなる画像を生成する画像生成方法において、
前記注視点から仮想カメラの位置方向であって水平方向に、所定長さからなる第1の仮想直線を設定する第1の仮想直線設定ステップと、
この第1の仮想直線設定ステップにより設定された第1の仮想直線が、前記仮想的な三次元空間における前記プレイヤキャラクタ以外の物体と交差するか否かを判断する第1の判断ステップと、
この第1の判断ステップにより、前記第1の仮想直線が前記物体と交差すると判断された場合に、前記第1の仮想直線と前記物体との交差点から該第1の仮想直線とは逆方向に、所定長さからなる第2の仮想直線を設定する第2の仮想直線設定ステップと、
この第2の仮想直線設定ステップにより設定された前記第2の仮想直線の先端座標が前記注視点となるように前記仮想カメラの向きを制御する制御ステップと
含むことを特徴とする画像生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−87277(P2009−87277A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−259316(P2007−259316)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【出願人】(592044813)株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス (115)
【Fターム(参考)】