説明

画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラム

【課題】揺れの動きを伴う演出を簡単に行う。
【解決手段】画像生成装置200において、記憶部201は画像データを記憶する。抽出部202は選択部203によって選択された位置に基づいて画像データのうちの第1領域を決定して第1抽出データを抽出する。また抽出部202は第1領域に含まれる第2領域を決定して第2抽出データを抽出する。合成部204は第1抽出データを第1移動量だけずらして、また第2抽出データを第1移動量より大きい第2移動量だけずらして、元の画像データと合成する。出力部205は合成部204によって合成された画像を出力する。各部はこれらの処理を繰り返し行って揺れの動きを表現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺れの動きを伴う演出を行うために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間内で様々なゲームをプレイできる家庭用のゲーム装置や携帯電話機等の移動端末が広く普及している。一例としてこれらのゲーム装置等を使ってサッカーゲームを行うとすると、ゲーム装置はプレイヤーによるサッカーゲームの進行に応じてゴールシーンなどの様々な画像を生成して出力する。例えば、シュートが決まると、ゴールネットにボールが当たる画像を生成して出力し、ゲームの臨場感を高める演出を行う。ゲームの臨場感を高める演出を行う手法の1つが特許文献1に開示されている。これによれば、ゲーム装置は、ゲーム画面の特定部分に対してソフトフォーカス効果を生じさせて画像を生成することができる。
【特許文献1】特許第3623422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1によれば、ゲーム画面の特定部分の明度を調節してソフトフォーカス効果を生じさせることによって部分的にゲーム画面を明るく強調することはできても、ゲーム画面の動きに臨場感を与える演出を行うためには不十分である。また、従来、上述のようにボールが当たったときにゴールネットが揺れたり、風で芝生がなびいたりするなど、揺れの動きを伴う演出を行うためには、リアルタイムで揺れの方向・大きさなどを計算して画像を生成することが行われているが、この手法では計算量が多くなってしまい、処理能力が限られているゲーム機や携帯端末でこれらの演出を行うことは難しかった。
【0004】
本発明はこのような課題を解決するものであり、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
【0006】
本発明の第1の観点に係る画像生成装置は、記憶部、抽出部、合成部、出力部を備える。
記憶部は、画像データを記憶する。
抽出部は、当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する。
合成部は、当該記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する。
出力部は、合成部が合成して得たデータを出力する。
これにより、画像生成装置は、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うことができる。
【0007】
画像生成装置は、ユーザからの指示入力に基づいて、当該記憶された画像データ内の位置を選択する選択部を更に備えてもよい。
そして、抽出部は、当該第1領域の中心位置と当該第2領域の中心位置を、当該選択された位置に一致させて抽出してもよい。
これにより、画像生成装置は、画像データの中から揺れを伴う演出を行うべき場所を選ぶことができる。
【0008】
合成部は、当該第1移動量と当該第2移動量とを所定の周期で変化させて合成してもよい。
これにより、画像生成装置は、画像を振動させることで揺れの動きをより強調した演出を行うことができる。
【0009】
抽出部は、当該画像データから、透明な部分を含む領域の画像データを抽出してもよい。
すなわち、当該画像生成装置が扱う画像データには、透明な部分が含まれていることが望ましい。
【0010】
抽出部は、当該画像データから、模様の繰り返しパターンを含む領域の画像データを抽出してもよい。
すなわち、当該画像生成装置が扱う画像データには、模様の繰り返しパターンが含まれていることが望ましい。
【0011】
当該第2移動量は、当該画像データの模様の繰り返しパターンの単位長さよりも小さくすることができる。
これにより、画像生成装置は、画像の揺れをより自然に表現することができる。
【0012】
合成部は、当該画像生成装置が行う所定の処理の処理状況に応じて振動させる周期を変化させ、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させて合成してもよい。
これにより、画像生成装置は、処理状況に応じて演出を変えることができる。
【0013】
合成部は、当該画像生成装置が行う所定の処理の処理状況に応じて振動の継続時間を変化させ、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させて合成してもよい。
これにより、画像生成装置は、処理状況に応じて演出を変えることができる。
【0014】
合成部は、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させ、時間の経過に伴って振幅を変化させてもよい。
これにより、画像生成装置は、時間経過に応じて演出を変えることができる。
【0015】
記憶部は、当該画像データに含まれるキャラクタオブジェクトごとに当該キャラクタオブジェクトの性質を示す性質パラメータを更に記憶し、
合成部は、当該記憶された性質パラメータに基づいて当該第1移動量と当該第2移動量を変化させてもよい。
これにより、画像生成装置は、キャラクタオブジェクトの性質によって演出を変えることができる。
【0016】
本発明のその他の観点に係る画像生成方法は、記憶部、抽出部、合成部、出力部を有する画像生成装置にて実行される画像生成方法であって、抽出ステップ、合成ステップ、出力ステップを備える。
記憶部は、画像データを記憶する。
抽出ステップは、抽出部が、当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する。
合成ステップは、合成部が、当該記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する。
出力ステップは、出力部が、合成ステップにより合成されて得られたデータを出力する。
これにより、この画像生成方法を用いた画像生成装置は、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うことができる。
【0017】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを、記憶部、抽出部、合成部、出力部として機能させる。
記憶部は、画像データを記憶する。
抽出部は、当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する。
合成部は、当該記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する。
出力部は、合成部が合成して得たデータを出力する。
これにより、コンピュータは、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うことができる画像生成装置として機能させることができる。
【0018】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施例を説明する。以下では、理解を容易にするため、ゲーム用の情報処理装置を利用して本発明が実現される実施例を説明するが、以下に説明する実施例は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0021】
図1は、プログラムを実行することにより、本発明の画像生成装置の機能を果たす典型的な情報処理装置100の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0022】
情報処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)ドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、音声処理部110と、を備える。
【0023】
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施例の画像生成装置が実現される。
【0024】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0025】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0026】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0027】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、ユーザがサッカーゲームやトランプゲームなどのゲーム実行の際に行う操作入力を受け付ける。
【0028】
インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、サッカーゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、ネットワーク対戦の場合のチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0029】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0030】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)に記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。
【0031】
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やアルファブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0032】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
【0033】
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。
【0034】
また、サッカーゲームの画像やトランプゲームのカードの画像などの情報をDVD−ROMに用意しておき、これをフレームメモリに展開することによって、試合の様子や手札などを画面に表示することができるようになる。
【0035】
NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0036】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
【0037】
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM(Adaptive Differential Pulse Code Modulation)形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0038】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0039】
次に、本実施例の画像生成装置200が行う処理について図面を用いて説明する。
図2は、本実施例の画像生成装置200の構成を示す図である。画像生成装置200は、記憶部201、抽出部202、選択部203、合成部204、出力部205を備える。
図3は、これら各部が扱う画像データ300の構成を説明するための図である。
【0040】
以下の説明では、本発明をより理解しやすくするために、画像データ300はサッカーゲームのゴールネットオブジェクトを示す画像のデータとし、画像生成装置200がこのゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトなどが当たってゴールネットオブジェクトが揺れるシーンの演出を行う場合を例にとって説明する。ただし、これは一例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、他の画像も同様にして生成できることは言うまでもない。
【0041】
記憶部201は、仮想空間内のゲームの画像などの画像データ300を記憶する。記憶部201は、あらかじめ作成された画像データ300を記憶していてもよいし、数値データとして表現されたキャラクタオブジェクトに関する情報からCPU 101が計算して画像化して得た(レンダリングした)画像データ300を記憶していてもよい。画像データ300はモニターに出力する画像のデータである。
なお、CPU 101、RAM 103、DVD−ROMドライブ108が協働して動作することにより、記憶部201として機能する。
【0042】
抽出部202は、記憶部201に記憶された画像データ300から、この画像データ300のうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データ301として抽出する。また、抽出部202は、この画像データ300のうち第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データ302として抽出する。第1領域は画像データ300に含まれる任意の画像領域であり、第1抽出データ301は画像データ300の一部あるいは全部である。第2領域は第1領域に含まれる画像データ内の任意の画像領域であり、第2抽出データ302は第1領域の画像データの一部あるいは全部である。すなわち、第2領域(第2抽出データ)は第1領域(第1抽出データ)に含まれる。
なお、CPU 101と画像処理部107が協働して動作することにより、抽出部202として機能する。
【0043】
ここで、第1領域と第2領域を同一にすることもできるが、本発明によって得られる効果を大きくするためには第2領域は第1領域の一部分とすることが望ましい。
【0044】
選択部203は、典型的にはコントローラ105を用いたユーザからの指示入力に基づいて、記憶部201に記憶された画像データ300内の位置を選択する。そして、抽出部202は、選択部203によって選択された位置に基づいて第1領域と第2領域の位置を決めて、画像データ300から第1抽出データ301と第2抽出データ302を抽出する。第1領域と第2領域の形状や大きさは任意である。
例えば、ゴールネットオブジェクトの中央部分にボールオブジェクトが当たって(シュートが決まって)ゴールネットオブジェクトが揺れる演出を行うとする。選択部203は、ボールオブジェクトが当たった部分とその周辺に相当する領域(ゴールネットオブジェクトを揺らす領域)を第1領域とする。さらに選択部203は、第1領域のうちボールオブジェクトが当たった部分とその近傍(ゴールネットオブジェクトをより多く揺らす領域)を第2領域とする。
なお、CPU 101、画像処理部107、コントローラ105が協働して動作することにより、選択部203として機能する。
【0045】
より具体的な例を用いて説明する。まずユーザは、コントローラ105を使ってプレーヤオブジェクトを動かしてボールオブジェクトを蹴る指示を行い、ゴールオブジェクトに向かってシュートを放つ。CPU 101は、ボールオブジェクトの動く速度、ボールオブジェクトの軌道などを計算する。もし相手プレーヤオブジェクト(相手のゴールキーパーなど)によってセーブされたりシュートがはずれたりしなければ、シュートが決まってボールオブジェクトがゴールネットオブジェクトに当たることになる。
すなわち、選択部203は、ユーザによるシュートの指示入力に基づいて、ボールオブジェクトの速度や軌道を計算した結果得られるボールが当たる位置を求める。そして、抽出部202は、求めた位置を含む第1領域を設定し、第1抽出データ301を抽出する。本実施例では、第1領域の形状は円形であるが、形状はこれに限られず任意の図形でよい。さらに、抽出部202は、第1領域内に第2領域を設定し、第2抽出データ302を抽出する。本実施例では、第2領域の形状も円形であるが、形状はこれに限られず任意の図形でよい。画像生成装置200は、ゴールネットオブジェクトのうちシュートが決まった位置(ボールが当たった位置)とその周辺を揺らして、その位置にシュートが決まったことをより臨場感をもって見えるような演出を行う。抽出した画像を用いてどのような演出を行うかについては、合成部204の説明部分で述べる。
【0046】
なお、抽出部202は、第1領域の中心位置と第2領域の中心位置を、選択部203により選択された位置と一致させて、第1抽出データと第2抽出データを抽出することが望ましい。また、これらの中心位置は、例えばゴールネットオブジェクトのうちボールオブジェクトが当たった位置とも一致させることが望ましい。中心位置は典型的には各領域を示す図形の重心であるが任意に変更してよい。
【0047】
また、抽出部202は、抽出する第1領域と第2領域の形状(すなわち、第1抽出データ301と第2抽出データ302の形状)を同じにして、かつ、大きさを異なるようにして、第1抽出データ301と第2抽出データ302を抽出することが望ましいが、形状は異なっていてもよい。本実施例では、第1・第2領域の形状は共に円形であり、第1・第2領域の中心位置(円の中心)が同じであり、第1・第2領域の大きさ(円の半径)が異なるものとする。
【0048】
図3には第1抽出データ301の縁(境界線)を点線で示しているが、この点線は領域の境界を分かり易くするために補助的に記載しただけであり、第1抽出データ301には含まれない。第2抽出データ302についても同様である。また、第1・第2領域の中心位置を十字マークで示しているが、これは位置を分かり易くするために補助的に記載しただけであり、この十字マークは第1抽出データ301と第2抽出データ302には含まれない。
【0049】
また、選択部203は、コントローラ105を用いたユーザからの指示入力だけでなく、ゲームの進行に合わせてCPU 101によって計算された位置に基づいて、第1抽出データ301と第2抽出データ302を抽出する位置を選択してもよい。例えば、選択部203は、ユーザによる指示入力に関わらず、ゲーム内で風が吹いたりキャラクタオブジェクト同士が接触したりしたときに、風が当たった位置や接触した位置を選択してもよい。
【0050】
合成部204は、記憶部201に記憶された画像データ300に、第1抽出データ301を、抽出した位置から所定方向に第1移動量D1だけ位置をずらして(移動して)合成する。さらに、合成部204は、画像データ300に、第2抽出データ302を、抽出した位置からこの所定方向と同じ方向に第1移動量D1より大きい第2移動量D2だけ位置をずらして(移動して)合成する。すなわち、合成部204は、画像データ300と、位置をずらした第1抽出データ301と、位置をずらした第2抽出データ302とを合成して、1つの画像データを生成する。第1抽出データ301と第2抽出データをずらす方向は任意であるが、共に同じ方向であることが望ましい。本実施例では、モニターに出力される画面に対して水平方向(左右方向)とするが、これに限定されない。
なお、CPU 101と画像処理部107が協働して動作することにより、合成部204として機能する。
【0051】
図4(a)〜(d)は、合成部204が行う処理を説明するための図である。図4(a)は、抽出部202が画像データ300から抽出した第1抽出データ301と第2抽出データ302とを示す。図4(b)は、図4(a)に示す状況をより理解しやすいように、画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302との位置関係を真横から(画像データ300を含む平面上から)見た模式図である。
合成部204は、第1抽出データ301を抽出した位置から所定方向(図中では右方向)に第1移動量D1だけ位置を移動する。また、合成部204は、第2抽出データ302を抽出した位置から同じ方向に第2移動量D2だけ位置を移動する。第2移動量D2は第1移動量D1より大きい。図4(a)のように第1移動量D1と第2移動量D2が一致することがあってもよい。そして、合成部204は、画像データ300、第1抽出データ301、第2抽出データ302を合成して、図4(c)に示すような画像データを得る。図4(d)は、合成後の画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302との位置関係を真横から見た模式図である。
なお、図4(b)と図4(d)では画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302とが上下に離れているが、これは説明の都合上位置関係を分かり易くするために離して記載しただけであり、3次元のデータを意味するものではない。合成部204が合成するデータは2次元の画像データである。
【0052】
本実施例では、合成部204が第1抽出データ301を移動させる方向と、第2抽出データ302を移動させる方向は同じであるとしているが、これらが正確に同じである場合を含むのはもちろんのこと、ユーザから見て実質的に同じ方向に見える程度に異なる方向である場合をも含む。
【0053】
また、合成部204は、図5(a)〜(e)に示すように、第1移動量D1と第2移動量D2を所定の周期で変化させて、画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データとを合成する。この例では、変化とは振動のことであるが、他の変化のさせ方でもよい。
【0054】
図5(a)は、第1抽出データ301と第2抽出データ302を共に移動させない状態の位置関係を真横から見た模式図である。本図においても、画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302とが上下に離れているが、これは説明の都合上位置関係を分かり易くするために離して記載しただけであり、3次元のデータを意味するものではない。本図では、移動させる所定方向は図の左右方向とする。図5(b)は、図5(a)の状態から第1抽出データ301と第2抽出データ302をこの所定方向に移動した、時刻T1経過後の位置関係を示す図である。第2抽出データ302の移動量は第1抽出データ301の移動量以上である。図5(c)は、図5(b)の状態から第1抽出データ301と第2抽出データ302を所定方向にさらに移動した、時刻T2経過後の位置関係を示す図である。図5(c)に示すように、合成部204が第1抽出データ301と第2抽出データをこの所定方向に移動できる最大量は、それぞれLA1、LA2である。LA2はLA1以上であることが望ましい。
【0055】
移動量がそれぞれ最大量LA1、LA2に達すると、合成部204は、今まで移動させた方向と逆方向を所定方向として、第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動させる。すなわち、時刻T2より大きい時刻T3経過後に図5(b)に示す位置関係となるように、そして、時刻T3より大きい時刻T4経過後に図5(a)に示す位置関係になるように、合成部204は第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動する。
【0056】
さらに、合成部204は、第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動させ、時刻T4より大きい時刻T5経過後に図5(d)に示す位置関係になるように、そして、時刻T5より大きい時刻T6経過後に図5(e)に示す位置関係になるように、第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動する。図5(e)に示すように、合成部204が第1抽出データ301と第2抽出データ302をこの所定方向に移動できる最大量は、それぞれLB1、LB2である。LB2はLB1以上であることが望ましい。
【0057】
移動量がそれぞれ最大量LB1、LB2に達すると、合成部204は、今まで移動させた方向と逆方向(すなわち当初移動させていた方向)を所定方向として、第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動させる。すなわち、時刻T6より大きい時刻T7経過後に図5(d)に示す位置関係となるように、そして、時刻T7より大きい時刻T8経過後に図5(a)に示す位置関係になるように、合成部204は第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動する。
【0058】
このような移動を繰り返すことにより、合成部204は第1抽出データ301と第2抽出データ302を振動させる。本実施例では、最大移動量をそれぞれLA1=LB1、LA2=LB2としている。言い換えれば、第1領域(第2領域でもよい)の中心位置を振動の中心とし、LA1(=LA2)とLB1(=LB2)を振幅として往復運動させる。なお、LA1とLB1、あるいはLA2とLB2を、それぞれ異なる大きさにして、振動させてもよい。また、本実施例では、移動方向を、所定方向とその逆方向としているが、これに限定されない。すなわち、第1の所定方向と、第1の所定方向と逆方向ではない第2の所定方向とに、第1抽出データ301と第2抽出データを移動させてもよい。
【0059】
第1抽出データ301、第2抽出データ302を移動させる速度V1、V2は任意である。例えば、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるとすると、ボールオブジェクトの速度が大きいほど、速度V1、V2を大きくする。これにより、より強くボールオブジェクトが当たるほど、ゴールネットオブジェクトがより速く振動するので、ゲームの状況に適した臨場感のある演出を行うことができる。速度V2は速度V1より大きいことが望ましい。
【0060】
第1抽出データ301の最大移動量LA1、LB1と、第2抽出データ302の最大移動量LA2、LB2の大きさは任意である。例えば、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるとすると、ボールオブジェクトの動く速度が大きいほど、最大移動量LA1、LB1、LA2、LB2をそれぞれ大きくする。これにより、より強くボールオブジェクトが当たるほど、ゴールネットオブジェクトがより大きく振動するので、ゲームの状況に適した臨場感のある演出を行うことができる。ただし、LA2とLB2はLA1とLB1より大きいことが望ましい。
【0061】
また、合成部204は、時間の経過に伴って振動幅を変化させてもよい。すなわち、合成部204は、第1抽出データ301の最大移動量D1と第2抽出データ302の最大移動量D2を時間の経過と共に増減させることによって、第1抽出データ301と第2抽出データ302の振動の振幅を大きくしたり小さくしたりしてもよい。例えば、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるとすると、合成部204は、当たった直後は大きく振動させ、時間が経過するとだんだんと小さく振動させることができる。この結果、よりリアリティのある演出ができる。振幅の変化の仕方は自由である。
【0062】
本実施例では、第1抽出データ301の中心位置と第2抽出データ302の中心位置を同じにしているが、ユーザから見て実質的に同じ位置に見える程度に異なっていてもよい。典型的には、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるとすると、当たった位置を第1抽出データ301の中心位置と第2抽出データ302の中心位置にする。これにより、ボールオブジェクトが当たった位置を中心にゴールネットオブジェクトが振動するので、ゲームの状況に適した臨場感のある演出を自然に行うことができる。
【0063】
第1抽出データ301と第2抽出データ302の形状(あるいは第1領域と第2領域の形状)は円形に限らず任意に変更できる。例えば、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるとすると、当たった場所がゴールネットオブジェクトの中央付近ではなく端付近ならば、円形ではなく半円形などゴールネットオブジェクトの形状に合わせた任意の形状にすることもできる。円形に限らず矩形などの任意の図形でもよい。
【0064】
ボールオブジェクトの移動する方向に基づいて、第1抽出データ301と第2抽出データ302の形状を変化させてもよい。例えば、ボールオブジェクトの移動方向ベクトルの向きと、第1領域あるいは第2領域を含む面の法線ベクトルの向きが近ければ近いほど、円形に近い形状にする。言い換えれば、これら2つのベクトルのなす角が大きければ大きいほど、歪んだ円形(楕円形等)にする。これにより、ボールオブジェクトが当たる向きによってゴールネットオブジェクトの揺れる部分が変わるので、ゲームの状況に適した臨場感のある演出を行うことができる。かつ、ボールオブジェクトが移動してきた方向もユーザに知らしめることもできる。
【0065】
出力部205は、合成部204が合成して得たデータを、画像処理部107に接続されたモニター等に出力する。すなわち、ユーザは、合成部204により画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302とが合成された画像データを見ることができる。
なお、画像処理部107とCPU 101が協働して動作することにより出力部205として機能する。
【0066】
画像生成装置200の上述した各部が扱う画像データ300には特定の模様の繰り返しパターンが存在し、抽出部202はこの繰り返しパターンを含む第1抽出データ301と第2抽出データ302を抽出することが望ましい。合成部204が上述したように第1抽出データ301と第2抽出データ302を振動させる場合、繰り返しパターンがあるデータのほうが、振動する様子がより強調されて見えるからである。例えば、ゴールネットオブジェクトの網目模様や、均一的に生え揃っている芝生の模様などをずらして振動させると、本発明によって得られる効果がより大きくなる。
【0067】
また、合成部204が第1抽出データ301を移動させる第1移動量D1と、第2抽出データ302を移動させる第2移動量D2は、画像データ300の模様の繰り返しパターンの単位長さよりも小さくすることが望ましい。もし第1移動量D1と第2移動量D2が繰り返しパターンの単位長さ以上であると、振動の振幅が繰り返しパターンの単位長さより大きくなるため、画像の重なり方が不自然になってしまうからである。例えば、第1抽出データ301と第2抽出データ302をずらす量を、ゴールネットオブジェクトの網目模様のうち1個分の網目模様に相当する量より小さくするとよい。合成部204は、合成する画像の数に基づいて、第1抽出データ301・第2抽出データ302などをずらす量を求めることもできる。例えば、繰り返しパターンの単位長さを、合成する画像の数で割り、ずらす量を求めてもよい。
【0068】
画像生成装置200の上述した各部が扱う画像データ300は透明な部分を含むことが望ましい。もし透明な部分がないと、画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302とを重ね合わせても、データが上書きされてしまい、互いに位置がずれている(振動している)様子を表現することができないからである。例えば、ゴールネットオブジェクトの網は不透明にし、網と網の間の部分は透明にすると、データを重ね合わせたときに網がずれている(振動している)様子が分かり易いので、本発明によって得られる効果がより大きくなる。
【0069】
次に、画像生成装置200の各部が行う処理(以下、「画像生成処理」と呼ぶ)について図6のフローチャートと図7を用いて説明する。以下の説明においても、本発明をより理解しやすくするために、画像生成装置200が仮想空間内でサッカーゲームを実行するものとする。また、画像データ300はサッカーゲームのゴールネットオブジェクトを示す画像のデータとし、このゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトなどが当たってゴールネットオブジェクトが揺れるシーンの演出を行う場合を例にとって説明する。ただし、これは一例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、他の画像も同様にして生成できることは言うまでもない。
【0070】
本実施例では、この画像生成処理は垂直同期のタイミングなど定期的な時間間隔で行われる。ただし、画像生成処理を行うタイミングはこれに限られず任意に変更してよい。
【0071】
まず、合成部204は、記憶部201に記憶された画像データ300を部分的に(あるいは全体的に)揺らす演出を行うか否か、すなわち、画像をずらすか否かを判別する(ステップS601)。例えば、画像生成装置200が実行するサッカーゲーム中にシュートが決まるなどしてゴールネットオブジェクトを揺らす演出をすべきシーンに至った場合、合成部204はゴールネットオブジェクトを部分的に(あるいは全体的に)ずらす処理を行うと判別する。
【0072】
画像をずらさないと判別した場合(ステップS601;NO)、合成部204は画像生成処理を終了する。
【0073】
画像をずらすと判別した場合(ステップS601;YES)、抽出部202は、選択部203が選択した位置に基づいて、図7(a)に示すように、画像データ300のうち第1領域と第2領域を求める(ステップS602)。
【0074】
より具体的には、選択部203は、ユーザからコントローラ105を用いて入力された指示入力(シュートの指示入力など)に基づいてボールオブジェクトの軌道を計算する。さらに、選択部203は、ゴールネットオブジェクトのうちボールオブジェクトが当たる位置を計算する。軌道の計算方法や、オブジェクト同士の当たり判定方法は、本発明によって限定されない。そして、抽出部202は、選択部203によって選択された位置に基づいて、画像データ300のうち第1領域と第2領域とを求める。例えば、抽出部202は、選択部203によって選択された位置を中心位置として、任意の形状・大きさの第1領域を求める。また、抽出部202は、同じく選択部203によって選択された位置を中心位置として、第1領域に含まれる第2領域を求める。第2領域は第1領域の一部あるいは全部である。
【0075】
例えば、抽出部202は、選択部203によって選択された位置を中心とし所定の長さの半径をもつ円形で示される第1領域を求める。また、抽出部202は、選択部203によって選択された位置を中心とし第1領域の円形よりも半径が小さい円形で示される第2領域を求める。それぞれの円形の半径は任意であるが、オブジェクト同士が強く当たるほど大きくしてもよい。すなわち、ゴールネットオブジェクトにボールオブジェクトが当たるときのボールオブジェクトの速度が大きければ大きいほど、第1・第2領域を大きく(広く)してもよい。ただし、これは一例に過ぎない。第1・第2領域の形状や大きさは任意である。
【0076】
次に、抽出部202は、画像データ300から第1抽出データ301と第2抽出データ302を抽出する(ステップS603)。すなわち、抽出部202は、記憶部201に記憶された画像データ300から、図7(b)に示すように、画像データ300のうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データ301として抽出し、図7(d)に示すように画像データ300のうち第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データ302として抽出する。
【0077】
合成部204は、第1抽出データ301をずらす量である第1移動量D1を求める(ステップS604)。第1移動量D1は、予め設定された値でもよいし、ゲームのプレイ状況によって可変な値でもよい。
【0078】
合成部204は、図7(c)に示すように、第1抽出データ301をステップS604で求めた第1移動量D1だけずらして画像データ300と合成する(ステップS605)。
【0079】
同様に、合成部204は、第2抽出データ302をずらす量である第2移動量D2を求める(ステップS606)。第2移動量D2は、予め設定された値でもよいし、ゲームのプレイ状況によって可変な値でもよい。ただし、D2>D1とする。
【0080】
合成部204は、図7(e)に示すように、第2抽出データ302をステップS606で求めた第2移動量D2だけずらして、ステップS605で得られた画像データと合成する(ステップS607)。
【0081】
そして、出力部205は、ステップS607で合成されて得られた画像データを出力する(ステップS608)。例えば出力部205は画像処理部107に接続されたモニターに合成後の画像データを出力する。これにより、ユーザは合成後の画像を見ることができる。
【0082】
画像生成装置200の各部は、以上のような画像生成処理を、垂直同期の割り込みタイミングなど定期的なタイミングで繰り返し実行する。例えば、ゴールネットオブジェクトを揺らす演出を所定時間(例えば1秒間等)継続して行うとすると、各部はこの所定時間中に発生する各割り込みタイミングごとにこの画像生成処理を繰り返し実行する。そして、時間の経過に応じて第1移動量D1と第2移動量D2を変化させる。これにより、第1抽出データ301や第2抽出データ302を時間の経過に応じて振動させたり揺らしたりすることができる。また、第2抽出データ302のほうが第1抽出データ301よりも大きく動くため、言い換えれば、中心位置に近いほど揺れが大きいため、画像生成装置200は、揺れの中心を強調した、より臨場感のある演出を行うことができる。例えば、ゴールネットオブジェクトのうちボールオブジェクトが当たった所を大きく振動させ、その当たった所の周辺を小さく振動させることにより、ボールオブジェクトが当たってゴールネットオブジェクトの一部が揺れる様子を、複雑な計算をすることなく容易に、かつ、よりリアリティをもって、表現することができる。
【0083】
本発明は、上述した実施例に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。また、上述した実施例の各構成要素を自由に組み合わせることも可能である。
【0084】
上述した実施例では、画像生成装置200は選択部203を備えているが、これを省略した構成を採用することも可能である。例えば、画像データ300のうち、ずらす(振動させる)べき領域が予め分かっている場合や、ユーザによる指示入力によらずにずらすべき領域を決定できる場合などでは、選択部203を省くことができる。
【0085】
上述した実施例と図面では、画像データ300の繰り返しパターンの繰り返しの方向と、画像をずらす(振動させる)方向とが異なっているが、これは本発明の理解を容易にするためにしたものであり、用途に応じて適宜変更した実施形態を採用することができる。例えば、ゴールネットオブジェクトの網目模様の繰り返しの方向は上下・左右・斜めのいずれの方向でもよいし、このゴールネットオブジェクトの一部又は全部をずらす方向も上下・左右・斜めのいずれの方向でもよい。繰り返しパターンの模様は任意であり、網目模様に限られないことは言うまでもない。
【0086】
画像をずらす方向、すなわち第1抽出データ301と第2抽出データ302を移動させる方向は任意であり、ボールオブジェクトなどの移動オブジェクトがゴールネットオブジェクトなどの被衝突オブジェクトと衝突するときの衝突方向と一致させることもできる。これにより、移動オブジェクトが移動してきた方向、あるいは衝突する方向をユーザに分かり易く知らしめることができる。また、よりリアリティのある演出をすることができる。
【0087】
例えば、仮想空間内で全面ガラス張りの建物にヘリコプターが衝突し建物が振動する画像を生成するとする。ヘリコプターが移動オブジェクトに相当し、建物が被衝突オブジェクトに相当する。通常、建物の窓等のガラスは長方形の形状をして上下左右方向に並んでいる。繰り返しパターンはガラスが並んでいるパターンであり、この繰り返しの方向は上下左右方向である。抽出部202は繰り返しパターンを含む画像部分を抽出し、合成部204は抽出した画像部分をヘリコプターが飛んできた方向(ぶつかる方向)に振動させることで建物が揺れるように画像を合成することができる。このように、本発明によれば、何か(移動オブジェクト)が別の何か(被衝突オブジェクト)にぶつかって一部が振動する状況を簡単に且つ臨場感をもって表現することが可能となる。
【0088】
応用例の1つとして、揺らす対象のオブジェクトの性質によって揺らし方を変えることもできる。オブジェクトの性質として、オブジェクトの材質、形状、大きさなどを採用することができる。例えば、揺らすオブジェクトがゴールネットのような繊維状・網状のものであれば大きく揺らし、建物のような固いものであれば小さく揺らす。具体的には、オブジェクトごとに物体の性質を示す所定のパラメータを予め対応づけて記憶部201などに記憶しておく。このパラメータを予め備えたプログラムを実行することによって実現してもよい。合成部204は、抽出部202が抽出した第1抽出データ301及び/又は第2抽出データ302に含まれる、揺らす対象となるオブジェクトの性質を示すこの所定のパラメータを取得する。そして、合成部204は、この所定のパラメータに基づいて第1移動量D1及び/又は第2移動量D2を設定し、第1抽出データ301及び/又は第2抽出データ302を移動させる。このように、オブジェクトの性質に応じて演出を変えることにより更に凝った演出ができる。また、オブジェクトごとに演出を変えることで、外見上の画像だけでは表現しづらいオブジェクトの性質(例えば、材質、厚さなど)をユーザに知らしめる手法として本発明を用いることもできる。
【0089】
応用例の1つとして、抽出部202は、第1・第2領域に加えて、画像データ300のうち第1又は第2領域に含まれる第3領域をさらに求めて、この第3領域の画像データを第3抽出データとして抽出してもよい。そして、上述した処理と同様にして、合成部204が画像データ300と第1抽出データ301と第2抽出データ302と第3抽出データとを合成し、出力部205がこの合成された画像を出力するように構成してもよい。合成部204が合成する対象となるデータの数(あるいは抽出部202が抽出するデータの数)を任意に変更した実施例を採用することが可能である。
【0090】
応用例の1つとして、第1抽出データ301、第2抽出データ302をずらす(振動させる)処理を開始してから終了するまでの時間を予め設定しておき、合成部204は、この設定時間内であればステップS601で画像をずらす(ステップS601;YES)と判断し、それ以外の場合であれば画像をずらさない(ステップS601;NO)と判断するようにしてもよい。この場合、画像をずらす処理を開始してから終了するまでの設定時間を示す情報は、予め決められて記憶部201に記憶されていてもよいし、CPU 101が所定の処理(例えば仮想空間内のサッカーゲームなど)の処理状況に応じて(例えばサッカーゲームのプレイ状況に応じて)この設定時間を求めるようにしてもよい。
例えば、対戦ゲームのスコアが僅差や同点だったり残り時間が少なかったりするなど緊迫したゲーム展開の場合や、対戦ゲームでプレーヤ同士の実力が拮抗している場合に、合成部204は、この設定時間を長くすることによって、得点シーンの演出を際立たせるようにすることができる。合成部204は、ゲームのスコア、プレイ時間、プレイヤーの強さ、ゲーム中に発生するゲームイベントのゲームに与えるインパクトの大きさなどに基づいて、この設定時間を変えることができる。例えば、サッカーゲームであれば、通常のシュートによる得点かペナルティキックによる得点かに基づいて設定時間を変えたり、前半・後半・ロスタイム(アデッドタイム、インジュリータイム)等によって設定時間を変えて違う演出をすることもできる。
また、例えば、あるオブジェクト(例えばゴールネットオブジェクト)に向かって他のオブジェクト(例えばボールオブジェクト)が衝突・接触・接近するとき、合成部204は、そのオブジェクトの移動速度や相対速度が大きければ大きいほど、この設定時間を長くして演出を際立たせるようにすることもできる。
【0091】
応用例の1つとして、合成部204は、第1抽出データ301をずらす第1移動量D1や第2抽出データ302をずらす第2移動量D2を、CPU 101が所定の処理(例えば仮想空間内のサッカーゲームなど)の進行状況に応じて(例えばサッカーゲームのプレイ状況に応じて)適宜変化させるようにしてもよい。例えば、対戦ゲームのスコアが僅差や同点だったり残り時間が少なかったりするなど緊迫したゲーム展開の場合、合成部204は、第1移動量D1や第2移動量D2を大きくして演出を際立たせるようにすることができる。
また、第1抽出データ301と第2抽出データ302を振動させる周期を変化させるようにしてもよい。例えば、合成部204は、同じく緊迫したゲーム展開の場合に振動の周期を短くすることによって、より激しく揺れて見えるように画像を合成してもよい。
【0092】
応用例の1つとして、合成部204が画像を振動させたり揺らしたりするのに合わせて、コントローラ105を振動させることもできる。また、本発明をバイブレータ機能付きの携帯電話機などの携帯端末に適用し、合成部204が画像を振動させたり揺らしたりするのに合わせて、携帯端末自体を振動させることもできる。この場合、画像生成装置200は、合成部204が画像データ300の一部あるいは全部をずらした画像を生成し出力部205がこの画像を出力するタイミングで、コントローラ105や画像生成装置200を振動させる振動部をさらに備えていればよい。また、第1移動量D1と第2移動量D2の大きさや、振動・揺れを継続させる設定時間の長さに応じて、振動部がコントローラ105や画像生成装置200を振動させる強さや振動時間を変えてもよい。これによって更に臨場感のある演出を行うことができる。
【0093】
上述した画像生成処理は複雑な計算を伴わず容易に行えるため、ハードウェアの性能・機能の制限がより厳しい携帯端末、携帯電話機などに本発明を用いると効果的である。
【0094】
例えば、画像生成装置200を装置の全部又は一部として動作させるためのプログラムを、メモリカード、CD−ROM、DVD、MO(Magneto Optical disk)などのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、これを別のコンピュータにインストールし、上述の手段として動作させ、あるいは、上述の工程を実行させてもよい。
【0095】
さらに、インターネット上のサーバ装置が有するディスク装置等にプログラムを格納しておき、例えば、搬送波に重畳させて、コンピュータにダウンロード等するものとしてもよい。
【0096】
以上説明したように、本発明によれば、揺れの動きを伴う演出を簡単に行うために好適な画像生成装置、画像生成方法、ならびに、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す図である。
【図2】本実施例の画像生成装置の構成を説明するための図である。
【図3】画像生成装置が扱う画像データを説明するための図である。
【図4】(a)移動前の画像データと第1抽出データと第2抽出データを示す図である。(b)移動前の画像データと第1抽出データと第2抽出データの位置関係を模式的に示す図である。(c)移動後の画像データと第1抽出データと第2抽出データを示す図である。(d)移動後の画像データと第1抽出データと第2抽出データの位置関係を模式的に示す図である。
【図5】(a)〜(e)は、第1抽出データと第2抽出データの位置を振動させたときの位置関係を模式的に示す図である。
【図6】画像生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】(a)画像データ内の第1領域と第2領域を示す図である。(b)第1抽出データを示す図である。(c)画像データと第1抽出データとを合成したデータを示す図である。(d)第2抽出データを示す図である。(e)画像データと第1抽出データと第2抽出データとを合成したデータを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
200 画像生成装置
201 記憶部
202 抽出部
203 選択部
204 合成部
205 出力部
300 画像データ
301 第1抽出データ
302 第2抽出データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを記憶する記憶部と、
当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する抽出部と、
前記記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する合成部と、
前記合成部が合成して得たデータを出力する出力部と、
を備えることを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像生成装置であって、
ユーザからの指示入力に基づいて、当該記憶された画像データ内の位置を選択する選択部を更に備え、
前記抽出部は、当該第1領域の中心位置と当該第2領域の中心位置を、当該選択された位置に一致させて抽出する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像生成装置であって、
前記合成部は、当該第1移動量と当該第2移動量とを所定の周期で変化させて合成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の画像生成装置であって、
前記抽出部は、当該画像データから、透明な部分を含む領域の画像データを抽出する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の画像生成装置であって、
前記抽出部は、当該画像データから、模様の繰り返しパターンを含む領域の画像データを抽出する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像生成装置であって、
当該第2移動量は、当該画像データの模様の繰り返しパターンの単位長さよりも小さい
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項7】
請求項3に記載の画像生成装置であって、
前記合成部は、当該画像生成装置が行う所定の処理の処理状況に応じて振動させる周期を変化させ、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させて合成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項8】
請求項3に記載の画像生成装置であって、
前記合成部は、当該画像生成装置が行う所定の処理の処理状況に応じて振動の継続時間を変化させ、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させて合成する
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項9】
請求項3に記載の画像生成装置であって、
前記合成部は、当該第1移動量と当該第2移動量とを振動させ、時間の経過に伴って振幅を変化させる
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像生成装置であって、
前記記憶部は、当該画像データに含まれるキャラクタオブジェクトごとに当該キャラクタオブジェクトの性質を示す性質パラメータを更に記憶し、
前記合成部は、当該記憶された性質パラメータに基づいて当該第1移動量と当該第2移動量を変化させる
ことを特徴とする画像生成装置。
【請求項11】
記憶部、抽出部、合成部、出力部を有する画像生成装置にて実行される画像生成方法であって、
前記記憶部は、画像データを記憶し、
前記抽出部が、当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する抽出ステップと、
前記合成部が、前記記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する合成ステップと、
前記出力部が、前記合成ステップにより合成されて得られたデータを出力する出力ステップと、
を備えることを特徴とする画像生成方法。
【請求項12】
コンピュータを、
画像データを記憶する記憶部、
当該記憶された画像データから、当該画像データのうち部分的な第1領域の画像データを第1抽出データとして抽出し、当該画像データのうち当該第1領域に含まれる第2領域の画像データを第2抽出データとして抽出する抽出部、
前記記憶された画像データに、当該第1抽出データを抽出した位置から所定方向に第1移動量だけ位置をずらして当該第1抽出データを合成し、当該第2抽出データを抽出した位置から当該所定方向に当該第1移動量より大きい第2移動量だけ位置をずらして当該第2抽出データを合成する合成部、
前記合成部が合成して得たデータを出力する出力部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−40577(P2008−40577A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210497(P2006−210497)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(506113602)株式会社コナミデジタルエンタテインメント (1,441)
【Fターム(参考)】