説明

画像生成装置

【課題】視認性に優れたシームレスな視野角画像を出力すること。
【解決手段】画像生成装置は、移動体の進行方向に対して直交する方位に配置された複数のカメラ10a,10b,10cを備える視野カメラ部10と、上記移動体に搭載されたセンサの視軸方位を設定する視軸設定部40と、視軸方位を示すレティクルシンボルを生成するレティクルシンボル生成部30と、撮像画像を連結した画像の両端に模擬画像を付加し、レティクルシンボルを重畳した合成画像を生成し、合成画像のうち視軸方位を中心とする画像を表示装置50に出力する画像合成処理部20とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、移動体に搭載され、複数のカメラで撮像した画像により広角の視野角画像を表示させるための画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、180°の視野角画像に視軸方位を表示させる方法として、例えば、3つのカメラ画像の視野角上に視軸シンボルを移動表示させ、視軸方位がカメラ画角の境界点を越える時点で順次カメラ画像を切り替えて表示させていた。
【0003】
なお、本願に関連する公知文献として次のようなものがある(例えば、特許文献1又は2を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−344597公報
【特許文献2】特開2007−74031公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、カメラ画像の切替点の周辺画像は、画角周辺に近づくにつれて視軸方位の周辺の画像情報が少なくなり、画角縁部では、手動で任意の視軸を設定することが困難であった。また、視軸方向がカメラの画角の切替点で視軸表示の飛び越しが発生し、画像表示と視軸の相対情報が変化するという欠点があった。
【0006】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、視認性に優れたシームレスな視野角画像を出力可能な画像生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するためにこの発明の一態様は、移動体の進行方向に対して直交する方位に配置される複数の撮像装置と、前記移動体に搭載されたセンサの視軸方位を設定する手段と、前記視軸方位を示すシンボルを生成する手段と、前記複数の撮像装置の撮像画像を連結した画像の両端に模擬画像を付加し、前記シンボルを重畳した合成画像を生成する手段と、前記合成画像のうち前記視軸方位を中心とする画像を出力する手段とを具備する画像生成装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
したがってこの発明によれば、視認性に優れたシームレスな視野角画像を出力可能な画像生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像生成装置を示す構成図。
【図2】画像合成処理部のカメラ画像連結処理を示す図。
【図3】出力画像の表示例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像生成装置を示す構成図である。画像生成装置は、視野カメラ部10と、画像合成処理部20と、レティクルシンボル生成部30と、視軸設定部40と、表示装置50とを有する。この画像生成装置は、主センサ(姿勢制御装置)が搭載された移動体(航空機等)に設けられ、主センサを地上や海上の任意の目標に指向させるための視軸制御を補助する視野角画像を生成する。
【0011】
視野カメラ部10は、例えば、左カメラ10a、中央カメラ10b、及び右カメラ10cの3台の視野カメラで構成され、同一の画角を有する。
【0012】
視軸設定部40は、操作員から任意の視軸方位の入力を受け付けると、主センサの視軸方位を設定する。また、視軸設定部40は、入力された視軸方位を示す情報を、レティクルシンボル生成部30と、画像合成処理部20とに送る。
【0013】
レティクルシンボル生成部30は、視軸設定部40からの視軸方位情報をもとに主センサの視軸方位を示すシンボル(レティクル)を生成して画像合成処理部20に送る。
【0014】
画像合成処理部20は、視野カメラ部10の撮像画像を連結した画像の両端に模擬画像を付加し、上記生成されたレティクルを重畳した合成画像を生成する。画像合成処理部20は、合成画像のうち視軸方位を中心とする画像を表示装置50に出力する。
【0015】
図2は、画像合成処理部20のカメラ画像の連結処理を示したものである。視野カメラ部10を構成する視野カメラは、移動体の進行方向と直交する方位に配置することによって、移動体と直交する視野角180°を撮像することが出来る。また、左カメラ10aと右カメラ10cは、中央カメラ10bの画角と縁部が重なるように設置される。
【0016】
3台の視野カメラの撮像画像は画像合成処理部20に送られ、画像合成処理部20は、左カメラ10aと右カメラ10cの撮像画像と、中央カメラ10bの撮像画像との同一画像部分をマッチング処理させ連結画像を生成する。図2において、左カメラ10aの撮像画像と中央カメラ10bの撮像画像との重畳部分はLa−Lb、中央カメラ10bの撮像画像と右カメラ10cの撮像画像との重畳部分はRa−Rbで示される。所定幅の重畳部分を設けることにより、視認性をさらに向上させることができる。
【0017】
画像合成処理部20は、左右のカメラ画像の外縁端に補助的な黒画像(模擬画像)をデジタルメモリ上で付加する。さらに、画像合成処理部20は、レティクルシンボル生成部30で生成されたレティクルを重畳した合成画像を生成する。そして、画像合成処理部20は、合成画像のうち視軸方位を中心とする画像を表示装置50に出力する。模擬画像の幅は、例えば、カメラ画角の半値に設定される。画像合成処理部20は、合成画像のうち視軸方位を中心とする一定範囲の画像を切り出して表示装置50に出力する。
【0018】
図3に表示装置50に出力される画像の表示例を示す。図3において、縦方向が移動体進行方向を示し、横方向が視野角合成方位を示す。レティクルは、表示装置50の画面の中央部に常に位置するように表示される。また、180°の視野角内で、特定の方位に固定的な特定表示が必要な場合は、画像合成処理部20において、メモリでの画像の貼り付けや、指定色の重畳を行うことが出来る。図3では、特定視軸角として、例えば、主センサで検知できない範囲を帯状の固定表示で示したものである。
【0019】
したがって、上記実施形態によれば、180°視野角表示が、常に視軸方向のシンボルを中心に表示されるシームレスな視野画像を表示させることが可能となる。すなわち、上記実施形態に記載した構成により、視軸を表すレティクルは常に画像出力の中心に位置し、視軸周辺画像は常に両側に表示され続けて視認することが出来る。レティクルの表示が移動し飛び越しが発生しないため、常に表示装置の中央を基準とした情報収集が可能となり、視軸目標の手動設定が容易となる。また、180°の視野角の外側に模擬画像があることから、180°の縁部においてもレティクル表示は表示装置の中心に表示させる事が出来、視野角の範囲外であることを操作員が視認する事が可能である。また、主センサの特定視軸角に注意すべき部分がある場合も、視軸目標を変化させて近づく前に認識して対応が可能である。
【0020】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0021】
10…視野カメラ部、10a…左カメラ、10b…中央カメラ、10c…右カメラ、20…画像合成処理部、30…レティクルシンボル生成部、40…視軸設定部、50…表示装置、60…主センサ、70…操作入力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の進行方向に対して直交する方位に配置される複数の撮像装置と、
前記移動体に搭載されたセンサの視軸方位を設定する手段と、
前記視軸方位を示すシンボルを生成する手段と、
前記複数の撮像装置の撮像画像を連結し、連結画像の両端に模擬画像を付加し、前記シンボルを重畳した合成画像を生成する手段と、
前記合成画像のうち前記視軸方位を中心とする画像を出力する手段と
を具備することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記複数の撮像装置は、隣り合う撮像装置の撮像画像と縁部が重なるように配置され、
前記生成する手段は、隣り合う撮像装置の撮像画像をマッチング処理により同一部分で連結することを特徴とする請求項1記載の画像生成装置。
【請求項3】
前記生成する手段は、前記合成画像に特定の方位を示す表示を重畳することをさらに特徴とする請求項1又は2記載の画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−155403(P2011−155403A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14709(P2010−14709)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】