説明

画像監視装置およびプログラム

【課題】 重複問合せを防止し、カメラなどの画像出力装置の状態情報を効率的に取得することのできる画像監視装置を提供する。
【解決手段】 画像監視装置4は、複数のカメラ2と通信可能な通信部7と、複数のカメラ2に対する状態情報の要求信号の送信順を示す巡回情報を生成する巡回情報生成部16と、巡回情報を記憶する記憶部11を備えている。また、画像監視装置4は、巡回情報に基づいてカメラ2に状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う問合せ制御部18と、カメラ2から画像データを受信するときに、又は、状態要求信号に対する応答としてカメラ2から状態情報が送信されたときに、当該カメラ2から状態情報を受信する制御を行う通信制御部13を備えている。問合せ制御部18は、問合せ制御を開始した後に状態情報を受信したカメラ2に対して状態要求信号の送信をスキップするスキップ制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置と通信して、その画像出力装置の状態情報を取得する画像監視装置に関し、特に、多数の画像出力装置に対して効率的に状態の問合せを行う機能を備えた画像監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像監視装置として、カメラや画像記録装置(レコーダ)などの画像出力装置が正常に稼動しているか否かを確認するために、予め画像データを受信中でない画像出力装置を抽出し、当該画像出力装置に対してのみ状態の問合せを行うものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
そのような従来の画像監視装置では、画像データを送信中の画像出力装置について画像データと併せて状態情報を受信し、その一方で、画像データを送信中でない画像出力装置について余剰セッションを用いて順次に画像監視装置から状態の問合せを行うことによって状態情報を受信する。このようにして、画像データを送信中でない画像出力装置からも状態情報を効率よく取得し、画像監視装置が起動している間にカメラ等の画像出力装置の状態情報を効率的に取得するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−056814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、画像監視装置は、ユーザ操作等によって画像データの送信対象となっているカメラ(いわゆるライブ表示中カメラ)を切り替える機能を有する。そのため、従来の画像監視装置のように、予めライブ表示中でないカメラを抽出するといった手法の場合、ライブ表示の切り替え操作等によって既に状態取得している画像出力装置に対しても、再度、状態の問合せを行うことになる(以下、これを「重複問合せ」という)。このような重複問合せは、カメラの状態情報の取得を非効率化する要因となる。また、状態の問合せ対象のカメラ数が増大するほど、画像監視装置の起動中において状態の問合せできないカメラが生じる要因となるため好ましくない。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、ライブ表示等によって既に状態情報を取得したカメラ等の画像出力装置については、状態の問合せを省略する(スキップする)ことによって、重複問合せを防止し、画像出力装置の状態情報を効率的に取得することのできる画像監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像監視装置は、複数の画像出力装置と通信可能な通信部と、前記複数の画像出力装置に対して当該画像出力装置の状態を示す状態情報の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す巡回情報を生成する巡回情報生成部と、前記巡回情報生成部により生成された前記巡回情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記巡回情報に基づいて、前記画像出力装置に対して前記状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う問合せ制御部と、前記画像出力装置から画像データを受信するときに、又は、前記状態要求信号に対する応答として前記画像出力装置から状態情報が送信されたときに、当該画像出力装置から状態情報を受信する制御を行う通信制御部と、を備え、前記問合せ制御部は、前記問合せ制御を開始した後に前記状態情報を受信した画像出力装置に対して前記状態要求信号の送信をスキップするスキップ制御を行うものである。
【0008】
これにより、画像監視装置で生成した巡回情報に基づいて、複数の画像出力装置(カメラやレコーダなど)に対して状態要求信号を順次送信する問合せ制御が行われる。画像監視装置は、画像出力装置から画像データを受信するときに、又は、状態要求信号に対する応答として画像出力装置から状態情報が送信されたときに、画像出力装置から状態情報を受信することができる。状態情報とは、その画像出力装置の状態(例えば、正常、記録異常、通信異常、残り容量低下など)を示す情報である。本発明の画像監視装置では、問合せ制御を開始した後に、例えば画像データの受信に伴って状態情報を受信した画像出力装置に対して、状態要求信号を送信せずにスキップするスキップ制御が行われる。これにより、例えばライブ表示等によって、既に状態情報を受信している画像出力装置に対して重複して状態要求信号を送信する「重複問合せ」を防止することができ、多数の画像出力装置に対して効率的に状態の問合せを行うことができる。
【0009】
また、本発明の画像監視装置では、前記記憶部は、前記状態情報を受信した時刻である状態受信時刻を記憶し、前記巡回情報生成部は、前記状態受信時刻の古い画像出力装置から順に並び替えた前記巡回情報を生成し、前記問合せ制御部は、前記巡回情報に基づいて、前記状態受信時刻の古い画像出力装置から順に前記状態要求信号を送信してもよい。
【0010】
これにより、状態情報を受信した時刻(状態受信時刻)が一番古い画像出力装置を最優先に問合せすることができる。したがって、長期間、状態の問合せがされない画像出力装置を減らすことができる。特に、常時監視を行わない画像監視装置(例えば、電源をオフにするタイプの監視端末)では、巡回情報のリスト末番の画像出力装置である程、状態の問合せ(巡回)がされないままの状態が継続することになることが多いが、本発明によれば、そのような画像出力装置(長期間、状態の問合せがされない画像出力装置)を効率良く減らすことことができる。したがって、本発明は、常時監視を行わない画像監視装置に、特に有効である。
【0011】
また、本発明の画像監視装置では、前記記憶部は、前記問合せ制御を開始してから前記巡回情報に含まれる全ての前記画像出力装置への問合せ制御が終了するまでの時間を示す最大巡回時間を更に記憶し、前記問合せ制御部は、前記最大巡回時間と前記画像出力装置の総数とに基づいて算出される問合せ時間間隔で前記状態要求信号の送信を行ってもよい。
【0012】
これにより、最大巡回時間(例えば、24時間)を定めることによって、その最大巡回時間内に全ての画像出力装置に対する状態の問合せを完了させるよう、問合せ時間間隔を調節することができる。仮に、問合せ時間間隔を固定時間(例えば、60秒)とすると、画像出力装置の台数が多くなる程(例えば、30000台)、全ての画像出力装置への問合せが完了するまでの時間(最大巡回時間)が長くなり、管理者等が希望する時間(例えば、24時間)内に全ての画像出力装置に対して状態の問合せを行うことができない事態も生じかねない。これに対し、本発明によれば、画像出力装置の台数が多くなったとしても、最大巡回時間内に全ての画像出力装置に対する状態の問合せを完了させるよう、問合せ時間間隔を調節することができる。最大巡回時間は、例えば、管理者等が予め設定することができる。
【0013】
また、本発明の画像監視装置では、前記記憶部は、所定の基準問合せ時間間隔を更に記憶し、前記問合せ制御部は、前記問合せ時間間隔が前記基準問合せ時間間隔以上である場合には、当該基準問合せ時間間隔で前記状態要求信号の送信を行ってもよい。
【0014】
これにより、状態の問合せを行う画像出力装置の台数が少ない場合には、予め定めた問合せ時間間隔(基準問合せ時間間隔)にて問合せを行うことにより、短い時間内に全ての画像出力装置に対する状態の問合せを完了させることができる。仮に、状態の問合せを行う画像出力装置の台数が少ない場合(例えば、30台)、前述のように、最大巡回時間と画像出力装置の総数とに基づいて問合せ時間間隔を算出すると、問合せ時間間隔が長時間に調整されてしまうため、画像監視装置の起動時間が短いと、画像監視装置の起動中に巡回されない画像出力装置が生じる可能性が高くなるおそれがある。これに対し、本発明によれば、画像出力装置の台数が少ない場合には、適切な時間間隔(基準問合せ時間間隔)にて問合せを行うことにより、画像監視装置の起動時間が短い場合でも、画像監視装置の起動中に全ての画像出力装置に対する状態の問合せを完了させることが可能になる。基準問合せ時間間隔は、例えば、管理者等が予め設定することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、複数の画像出力装置と通信可能な画像監視装置で実行されるプログラムであって、前記プログラムは、コンピュータに、前記複数の画像出力装置に対して当該画像出力装置の状態を示す状態情報の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す巡回情報を生成する処理と、前記巡回情報生成部により生成された前記巡回情報を記憶部に記憶する処理と、前記記憶部に記憶された前記巡回情報に基づいて、前記画像出力装置に対して前記状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う処理と、前記画像出力装置から画像データを受信するときに、又は、前記状態要求信号に対する応答として前記画像出力装置から状態情報が送信されたときに、当該画像出力装置から状態情報を受信する制御を行う処理と、を実行させるものであり、前記プログラムは、前記問合せ制御を開始した後に前記状態情報を受信した画像出力装置に対して前記状態要求信号の送信をスキップするスキップ制御を行う。
【0016】
このプログラムによっても、上記の装置と同様に、既に状態情報を受信している画像出力装置に対して重複して状態要求信号を送信する「重複問合せ」を防止することができ、多数の画像出力装置に対して効率的に状態の問合せを行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ライブ表示等によって既に状態を取得したカメラ等の画像出力装置については、状態の問合せを省略する(スキップする)ことによって、重複問合せを防止し、画像出力装置の状態情報を効率的に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態における画像監視装置が適用されるシステム(画像監視システム)の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像監視装置の構成を示すブロック図である。
【図3】画像監視装置の表示画面の一例を示す図である。
【図4】対応情報の一例を示す図である。
【図5】状態管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】巡回情報および早期巡回情報の一例を示す図である。
【図7】巡回情報の再生成の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態における画像監視装置の動作の流れ(メインフロー)を示すフロー図である。
【図9】巡回情報の生成処理の流れ(サブフロー)を示すフロー図である。
【図10】状態情報の受信処理の流れ(サブフロー)を示すフロー図である。
【図11】画像監視装置で行われる定期調時処理の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態の画像監視装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、監視区域に設置されたカメラやレコーダなどの画像出力装置から画像データを、遠隔の監視センタに設置された画像監視装置で受信して表示する画像監視システムに適用される場合を例示する。この画像監視装置は、画像出力装置(カメラやレコーダ)から状態情報を効率的に取得する機能を有しており、この機能は、画像監視装置のHDDなどに格納されるプログラムによって実現される。
【0020】
(画像監視システム)
まず、本発明の実施の形態の画像監視装置が適用されるシステム(画像監視システム)の全体の構成について、図面を参照して説明する。図1は、画像監視システムの構成を示す図である。図1に示すように、画像監視システム1は、商店街の店舗(例えばコンビニエンスストア)や金融機関(例えば銀行)などの監視区域に設置されるカメラ2や画像記録装置(レコーダ)3と、監視区域から離れた場所の監視センタに設置される画像監視装置4を備えている。
【0021】
カメラ2は、監視区域の画像を撮影し、取得した画像データをネットワーク網5を介して画像監視装置4に出力する。カメラ2は、一つの監視区域に複数台設置されてもよく(図1の例では3台設置されている)、一つの監視区域に一台だけ設置されてもよい。画像記録装置3は、例えば各監視区域に一台ずつ設定されている。カメラ2と画像記録装置3とは互いにローカルエリアネットワーク(LAN)6で接続されており、カメラ2で取得した画像データは、画像記録装置3に送られる。画像記録装置3は、カメラ2から送られた画像データを記録する。また、画像記録装置3は、記録した画像データをネットワーク網5を介して画像監視装置4に出力する。なお、監視区画には、必ずしも画像記録装置3が設けられていなくても良い。カメラ2は、取得した画像データや状態情報などを、画像監視装置4へ直接送信することができる。監視センタは、複数の監視区域を統括的に監視する管理本部などである。画像監視装置4を用いることにより、遠隔の監視センタから複数の監視区域を監視することができる。
【0022】
ネットワーク網5は、例えば、インターネット網で構成されるが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、公衆電話網、携帯電話網など適宜利用可能なものを選択してよい。なお、ここでは、通信プロトコル、交換設備、インターネットサービスプロバイダの設備などは、一般的な技術を使用するので詳細に説明するのを省略する。
【0023】
カメラ2は、監視区域内の任意の設置場所に設置されており、監視区域内の画像を撮影する機能を備えている。また、カメラ2は、画像データの画像監視装置4への出力や自己の装置(カメラ2)への記録などの処理を行う機能を備えている。さらに、カメラ2は、自己の装置(カメラ2)に異常が発生しているか否か(カメラ2に異常が生じているか否か、カメラ2の撮影が妨害されているか否かなど)を検知する機能を備えている。そして、このカメラ2は、自己の装置の異常(例えば、画像の撮影や記録にかかる異常)の発生を検知すると、その検知した異常状態を状態情報として記録する機能を備えている。
【0024】
このカメラ2には、予め、各カメラ2を識別するためのカメラ番号(識別子)が設定されている。カメラ番号は、カメラ2に内蔵されたメモリ(図示せず)に記憶されている。このカメラ番号は、カメラ2で撮影した画像データとカメラ2の設置場所との関連付けに用いられる。そして、カメラ2は、各設置場所にて撮影した画像データをデジタル符号化し、ネットワーク網5を介して画像記録装置3あるいは画像監視装置4にその画像データとカメラ番号とを送信する機能を備えている。また、カメラ2は、自己の装置の状態情報をカメラ番号とともに、ネットワーク網5を介して画像記録装置3あるいは画像監視装置4に送信する機能を備えている。
【0025】
画像記録装置3は、監視区域ごとに設置されており、その監視区域内に設置されたカメラ2から入力される画像データを受け付けて、その画像データの画像監視装置4への出力や自己の装置(画像記録装置3)への記録などの処理を行う機能を備えている。また、画像記録装置3は、カメラ2や自己の装置に異常が発生しているか否か(カメラ2又は自己の設定や制御処理に異常が生じているか否か、カメラ2の撮影が妨害されているか否かなど)を検知する機能を備えている。そして、この画像記録装置3は、カメラ2や自己の装置の異常(例えば、画像の撮影や記録にかかる異常)の発生を検知すると、その検知した異常状態を状態情報として記録する機能を備えている。
【0026】
この画像記録装置3にも、予め、画像記録装置3を識別するためのレコーダ番号(識別子)が設定されている。レコーダ番号は、画像記録装置3に内蔵されたメモリ(図示せず)に記憶されている。このレコーダ番号は、カメラ2とそのカメラ2の画像データを記録する画像記録装置3との対応付けに用いられる。そして、画像記録装置3は、記録された画像データをデジタル符号化し、ネットワーク網5を介して画像記録装置3にその画像データをカメラ番号とレコーダ番号とともに送信する機能を備えている。また、画像記録装置3は、自己の装置の状態情報をレコーダ番号とともに、ネットワーク網5を介して画像記録装置3に送信する機能を備えている。
【0027】
画像監視装置4は、監視センタに設置されており、各監視区域のカメラ2や画像記録装置3の状態を集中管理する機能を備えている。この画像監視装置4は、例えば、専用の端末装置や、汎用のパソコン(専用のプログラムがインストールされる)などで構成される。また、画像監視装置4は、例えば、監視センタの監視員が監視区域のモニタリングを行うときに起動され、モニタリングが終わると終了される。本実施の形態の画像監視装置4は、画像監視装置4を常時起動させないシステム、すなわち、監視区域の画像を遠隔から確認するときだけ画像監視装置4を起動させるシステムに、特に適している。しかし、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、この画像監視装置4は、画像監視装置4を常時起動させるシステムに適用することもできる。なお、起動と終了とは、画像監視装置4のハードウェアの起動とシャットダウンに限らず、画像監視装置4が汎用のパソコンで構成される場合には、専用プログラムの起動と終了であってよい。
【0028】
この画像監視装置4は、監視員の操作により、カメラ2や画像記録装置3に画像データの要求信号(画像要求信号)を送信し、これに対する応答としてカメラ2や画像記録装置3から画像データを受信し、受信した画像データを表示出力する機能を備えている。また、画像監視装置4は、カメラ2や画像記録装置3から状態情報を受信して、受信した状態情報を記録するとともに表示出力する機能を備えている。
【0029】
監視員は、表示出力される画像データを参照することにより監視区域を監視するとともに、表示出力される状態情報を参照して各カメラ2や各画像記録装置3が正常に動作しているか否かを確認する。そして、監視員は、表示出力された画像データからある監視区域に異常事態が発生したと判断すると、あるいは、表示出力された状態情報からある監視区域のカメラ2や画像記録装置3に異常が発生したと判断すると、例えば、その監視区域の画像データの記録や、その監視区域の管理者に対する確認処理、その監視区域の警備員への対処指示などの必要な措置をとる。
【0030】
(画像監視装置)
つぎに、画像監視装置4の構成について、図面を参照して説明する。図2は、画像監視装置4の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像監視装置4は、画像記録装置3と通信を行うための通信部7と、画像データや状態情報を表示するための表示部8と、監視員が各種の入力操作などを行うための操作部9と、画像データを記録するための画像記録部10と、カメラ2や画像記録装置3の状態情報等を記憶する記憶部11と、画像監視装置4の種々の制御を行う制御部12とを備えている。制御部12は、通信制御部13と、表示制御部14と、記録処理部15と、巡回情報生成部16と、早期巡回情報生成部17と、問合せ制御部18を含んでいる。
【0031】
通信部7は、インターネット網に接続するためのインターフェース(通信I/F)である。画像監視装置4は、この通信部7を介して各監視区域に設置されたカメラ2と画像記録装置3と通信可能に接続される。この場合、画像監視装置4は、この通信部7を介して、1つ以上のカメラ2や画像記録装置3と同時に通信可能に接続される。
【0032】
表示部8は、カメラ2や画像記録装置3から受信する画像データや状態情報をモニタリングするための装置であり、ディスプレイ(LCD等)やスピーカなどで構成される。図3は、この表示部8に表示される画面(表示画面)の一例を示す図である。図3に示すように、この表示画面の例では、複数の監視区域(例えば、監視区域1〜3)のカメラ2(例えば、カメラC1〜3)の一覧表示フレーム19と、カメラ2の画像(画像1〜16)を表示する画像表示フレーム20と、画像記録装置3やカメラ2の状態情報を表示する状態表示フレーム21が設けられている。監視者等により、一覧表示フレーム19で監視区域やカメラ2の指定操作が行われると、指定された監視区域やカメラ2の画像データ(受信中の画像データ)が画像表示フレーム20に表示される。また、状態表示フレーム21には、画像記録装置3から受信した状態情報(異常等を示す状態情報)が表示される。
【0033】
操作部9は、キーボードやポインティグデバイスなどで構成される。この操作部9は、カメラ2や画像記録装置3に対する画像受信要求または画像受信の停止要求などを入力するときに、監視員によって操作される。例えば、画像記録装置3の指定(監視区域内のすべてのカメラ2の指定)やカメラ2の指定をする操作をすると、指定された画像記録装置3やカメラ2に対する現在の画像データの受信要求が入力される。また、画像記録装置3やカメラ2の指定とあわせて、撮影時刻の指定をする操作をすると、画像記録装置3に記録された過去の画像データの受信要求が入力される。なお、このような入力操作は、GUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)などにより実現できる。
【0034】
画像記録部10は、例えば、画像監視装置4に着脱自在な記憶媒体(例えばDVD−RやHDDなど)である。この画像記録部10には、記録処理部15が書込み制御を行うことにより、カメラ2や画像記録装置3から受信される画像データが時刻情報(画像が撮影された時刻の情報)とともに記録される。
【0035】
記憶部11は、ROM/RAMや、HDDなどで構成される。この記憶部11には、予め設定される設定情報、カメラ2とそのカメラ2の画像データを記録する画像記録装置3との対応付けを示す対応情報(図4参照)、カメラ2や画像記録装置3から受信した状態情報をまとめた状態管理テーブル(図5参照)が記憶される。また、この記憶部11には、複数の画像出力装置に対して状態情報(当該画像出力装置の状態を示す情報)の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す巡回情報(図6参照)、画像データを受信中(ライブ表示中)の画像出力装置に対応付けられた他の画像出力装置を示す早期巡回情報(図6参照)が記憶される。さらに、この記憶部11には、後述する問合せ制御に用いられる最大巡回時間、問合せ時間間隔、基準問合せ時間間隔などの情報や、各種プログラムなどが記憶される。なお、この記憶部11は、画像記録部10と同じ記憶媒体であってもよい。
【0036】
設定情報は、画像監視装置4から通信接続が可能なカメラ2や画像記録装置3の識別情報とIPアドレス、あるいは、その画像記録装置3に接続されているカメラ2のカメラ番号と各カメラ2の設置位置などの情報である。この場合、複数のカメラ2や画像記録装置3の設定情報が監視区域ごとに予め記憶部11に記憶されている。
【0037】
対応情報は、カメラ2とそのカメラ2の画像データを記録する画像記録装置3との対応関係を示す情報である。図4は、対応情報の一例を示す図である。図4の例では、「カメラC1〜C3」の画像データが「画像記録装置R1」に記録され、「カメラC4〜C6」の画像データが「画像記録装置R2」に記録され、「カメラC7〜C9」の画像データが「画像記録装置R3」に記録され、「カメラC298〜C300」の画像データが「画像記録装置R100」に記録される。ここで、「C1、C2、…」は、カメラ2の識別番号であり、「R1、R2、…」は、画像記録装置3の識別番号である。なお、対応情報は、カメラ2と、そのカメラ2と同じLAN(ローカルエリアネットワーク)6内に設置される他のカメラ2との対応関係を示す情報でもよい。例えば、「カメラC1」が「カメラC2、C3」と対応付けられ、「カメラC2」が「カメラC1、C3」と対応付けられ、「カメラC3」が「カメラC1、C2」と対応付けられてもよい。
【0038】
状態管理テーブルは、画像記録装置3ごとに受信した状態情報をまとめたテーブルであり、後述する問合せ制御部18による書込み制御によって作成される。また、状態管理テーブルには、ライブ表示が行われているカメラ2の情報が含まれる。さらに、状態管理テーブルには、状態情報を受信した時刻(状態受信時刻)の情報が含まれる。図5は、状態管理テーブルの一例を示す図である。図5の例では、「カメラC4〜C6、C298〜C300」でライブ表示が行われている。「カメラC4、C6、C298〜C300」の状態は「正常」であり、「カメラC5」の状態は「容量低下」である。なお、この場合、「カメラC4〜C6、C298〜C300」の画像が、表示部8の画像表示フレーム20の「画面1〜6」に表示される(図3参照)。図5の例では、状態管理テーブルの「ライブ表示」に、画像が表示(ライブ表示)される「画面の番号」が示されている。
【0039】
巡回情報は、複数の画像出力装置に対して状態情報の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す情報である。図6には、巡回情報の一例が示される。図6の例では、状態の問合せ用セッション(巡回セッション)として3セッションが割り当てられている(巡回セッション数が3セッションである)。なお、ここでは、巡回セッション数が、3セッションである場合について説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、巡回セッション数は、2セッション以下でもよく、4セッション以上でもよい。
【0040】
図6では、まず「画像記録装置R1、カメラC1、C2」に対して状態要求信号が順次送信され、つぎに「カメラC3、画像記録装置R2、R3」に対して状態要求信号が順次送信される。この場合、「カメラC4〜C6」は、すでに状態情報を受信済みであるため、状態要求信号は送信されない、つまり、「カメラC4〜C6」をスキップする制御(スキップ制御)が行われる。なお、巡回情報の「状態取得済み」のフラグは、ある機器の状態情報が取得されたときに、その機器についての「状態取得済み」のフラグがONにされる。このとき、状態管理テーブルに「状態」と「状態受信時刻」の情報が記録される。また、巡回情報の「状態取得済み」のフラグは、巡回情報が生成(または再生成)されるタイミングで、すべてOFFにされる。
【0041】
早期巡回情報は、画像データを受信中(ライブ表示中)の画像出力装置に対応付けられた他の画像出力装置を示す情報である。図6の例では、「カメラC4〜C6、C298〜C300」がライブ表示中であり、その「カメラC4〜C6、C298〜C300」に対応付けられた「画像記録装置R2、R100」が早期巡回情報としてリストアップされている。
【0042】
巡回情報は、状態管理テーブルに基づいて、状態受信時刻の古いカメラ2や画像記録装置3から順に並び替えることにより「再生成」されてもよい。図7は、巡回情報の再生成の説明図である。図7の例では、状態受信時刻の古い順に、状態要求信号の送信順が並べ替えられている。なお、図7の巡回情報では、「送信順」の図示が省略されているが、この場合も、図6と同様、リストの上から順に状態要求信号が送信される。つまり、「画像記録装置R1、カメラC1〜C3、画像記録装置R3、カメラC7〜C9・・・」の順に状態要求信号が送信される。
【0043】
制御部12は、CPU、ROM、RAM等を備えるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成される。また、この制御部12は、マイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、通信制御部13と、表示制御部14と、記録処理部15と、巡回情報生成部16と、早期巡回情報生成部17と、問合せ制御部18などを備えている。
【0044】
通信制御部13は、カメラ2や画像記録装置3との間の通信を制御する機能を備えている。通信制御部13は、画像データと状態情報をあわせて受信する通信制御を行う第1セッション部22と、状態要求信号に対する応答として状態情報を受信する通信制御を行う第2セッション部23を備えている。この場合、第1セッション部22によるカメラ2や画像記録装置3との通信(画像受信中のカメラ2や画像記録装置3との通信)と、第2セッション部23によるカメラ2や画像記録装置3との通信(画像受信中でないカメラ2や画像記録装置3との通信)とは、同時に確立可能に構成される。もちろん、第1セッション部22が複数のカメラ2や画像記録装置3との通信を同時に確立可能であってもよく、また、第2セッション部23が複数のカメラ2や画像記録装置3との通信を同時に確立可能であってもよい。
【0045】
第1セッション部22は、カメラ2や画像記録装置3から画像データを受信するときに、HTTP等のプロトコルを用いてカメラ2や画像記録装置3との間の通信を確立し、画像データの受信が終了するときに、そのカメラ2や画像記録装置3との通信を終了する。また、第2セッション部23は、問合せ制御部18から状態要求信号の送信要求を受け付けると、カメラ2や画像記録装置3に対してHTTP等のプロトコルを用いてカメラ2や画像記録装置3との間の通信を確立する。そして、第2セッション部23は、そのカメラ2や画像記録装置3から状態情報を受信すると、そのカメラ2や画像記録装置3との通信を終了する。
【0046】
通信制御部13は、操作部9から画像データの受信要求が入力されると、第1セッション部22の管理下において、該当するカメラ2や画像記録装置3に対して画像要求信号を送信して、そのカメラ2や画像記録装置3との間の通信を確立し、これに応答してカメラ2や画像記録装置3から送信される画像データ及び状態情報を受信する。また、通信制御部13は、操作部9から画像受信の停止要求が入力されると、該当するカメラ2や画像記録装置3に対して通信終了要求信号を送信して、そのカメラ2や画像記録装置3との通信を終了する。
【0047】
また、通信制御部13は、画像監視装置4が起動すると、以前に(例えば前回)画像監視装置4が終了したときに画像データの受信中であったカメラ2や画像記録装置3の情報を読み出す。そして、第1セッション部22の管理下において、該当するカメラ2や画像記録装置3に対して画像要求信号を送信し、これに対する応答としてカメラ2や画像記録装置3から送信される画像データ及び状態情報を受信する。
【0048】
さらに、通信制御部13は、問合せ制御部18から状態要求信号の送信要求を受け付けると、第2セッション部23の管理下において、該当するカメラ2や画像記録装置3に対して、状態要求信号を送信し、これに対する応答としてカメラ2や画像記録装置3から送信される状態情報を受信する。
【0049】
表示制御部14は、画像データや状態情報を表示部8に表示出力する制御を行う。例えば、表示制御部14は、カメラ2や画像記録装置3から画像データを受信すると、受信した画像データに順次伸張処理を施して表示部8に表示出力する。この場合、表示画面を複数に分割することにより、複数の画像を同時に表示してもよい(図3参照)。また、表示制御部14は、操作部9から画像記録部10に記録された画像の検索要求や表示要求の入力を受け付けると、画像記録部10から該当する画像データを抽出し、伸張処理を施して表示部8に表示出力する。また、表示制御部14は、状態管理テーブルに記録されるカメラ2や画像記録装置3の状態情報が異常を示していれば、これを表示部8に表示出力する。
【0050】
記録処理部15は、操作部9から画像の記録要求が入力されると、カメラ2や画像記録装置3から受信する画像データを、そのカメラ2や画像記録装置3の識別情報及び時刻情報に対応させて、画像記録部10に記録する処理を行う。なお、カメラ2や画像記録装置3から受信する画像データを記録する場合には、表示制御部14がその画像データを表示部8に表示出力しないよう構成してもよい。
【0051】
巡回情報生成部16は、状態管理テーブルに基づいて巡回情報を生成(または再生成)する機能を備えている。この際、巡回情報生成部16は、状態管理テーブルの状態受信時刻を参照し、状態受信時刻の古い順に並び替えて巡回情報を生成する。なお、巡回情報生成部16は、初回起動時などのように、まだ状態受信時刻が記録されていない段階では、所定の順番(例えば状態管理テーブルの識別子の並び順など)に基づいて、巡回情報を生成する。また、巡回情報生成部16は、巡回情報を生成(または再生成)するときに、巡回情報の「状態取得済み」のフラグをOFFにする制御を行う。
【0052】
早期巡回情報生成部17は、巡回情報からライブ表示中の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の抽出を行い、対応情報に基づいて、その画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対応付けられた他の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)を示す早期巡回情報を生成する。例えば、早期巡回情報生成部17は、図6に示す状態管理テーブルからライブ表示中の「カメラC4〜C6、C298〜C300」を抽出し、図4に示す対応情報に基づいて、「カメラC4〜C6、C298〜C300」に対応付けられた「画像記録装置R2、R200」を示す早期巡回情報を生成する。
【0053】
問合せ制御部18は、巡回情報生成部16により巡回情報が生成されると、巡回情報を参照し、リストの上から「巡回セッション数」の分だけ、複数の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対して状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う。例えば、問合せ制御部18は、巡回情報のリストの上から3つのカメラ2や画像記録装置3(例えば「画像記録装置R1、カメラC1、C2」)に対して状態要求信号を送信し、その状態要求信号の応答としてカメラ2や画像記録装置3から状態情報を受信すると、受信した状態情報を記憶部11の状態管理テーブルに記憶する書込み制御を行う。また、問合せ制御部18は、カメラ2や画像記録装置3への画像要求信号の応答として、カメラ2や画像記録装置3から画像データとともに状態情報を受信すると、受信した状態情報を記憶部11の状態管理テーブルに記憶する書込み制御を行うとともに、巡回情報の「状態取得済み」のフラグをONにする制御を行う。このとき、状態情報が異常の状態を示すものであれば、その状態情報(異常の状態)が表示制御部14により表示部8に出力される。
【0054】
そして、問合せ制御部18は、後述するように所定の時間間隔が経過すると、次の3つのカメラ2や画像記録装置3(例えば「カメラC3、画像記録装置R2、R3」)に状態要求信号を送信する。この場合、問合せ制御部18は、ライブ表示中の「カメラC4〜C6」は、すでに状態情報を受信済みであるため、「カメラC4〜C6」をスキップする制御(スキップ制御)を行う。つまり、「カメラC4〜C6」に状態要求信号は送信されない。このように、巡回情報に含まれる全てのカメラ2や画像記録装置3に対する問合せ(状態要求信号の送信)が終了するまで、上記と同様の処理が繰り返される。なお、問合せ制御部18は、巡回情報が再生成されると、再生成された巡回情報に基づいて、状態受信時刻の古いカメラ2や画像記録装置3から順に問合せ(状態要求信号の送信)を行う。
【0055】
問合せ制御部18は、最大巡回時間と画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の総数に基づいて算出される問合せ時間間隔で、状態要求信号の送信を行う。最大巡回時間は、問合せ制御を開始してから巡回情報に含まれる全てのカメラ2や画像記録装置3に対する問合せが終了するまでの時間(例えば、24時間)であり、例えば、管理者等が予め設定することができる。問合せ時間間隔は、例えば、下記の式により算出される。
問合せ時間間隔=最大巡回時間/(画像出力装置の総数/巡回セッション数)
【0056】
また、問合せ制御部18は、上記のようにして算出された問合せ時間間隔が、所定の基準問合せ時間間隔(例えば、60秒)以上である場合には、基準問合せ時間間隔で状態要求信号の送信を行う。この基準問合せ時間間隔も、管理者等が予め設定することができる。これらの最大巡回時間、問合せ時間間隔、基準問合せ時間間隔は、記憶部11に記憶される(図2参照)。
【0057】
以上のように構成された画像監視装置4について、図8〜図10のフロー図を用いてその動作を説明する。
【0058】
ここでは、まず、図8を参照して、画像監視装置4の起動から終了までの全体の動作の流れについて説明する。図8に示すように、画像監視装置4が起動すると、まず、巡回情報の生成処理が実行される(S1)。そして、操作部9から画像受信の要求入力があると(S2)、該当するカメラ2の画像データと状態情報の受信および記録が行われ(S3)、早期巡回情報が生成される(S4)。その後、問合せ時間間隔が経過すると(S5)、状態情報の受信処理が行われ(S6)、全てのカメラ2や画像記録装置3に対する問合せが終了すると(S7)、巡回情報の生成処理が行われる(S1)。そして、操作部9で終了操作が行われると、画像監視装置4が終了(例えばシャットダウン)の動作を行う。
【0059】
次に、図9を参照して、巡回情報の生成処理について詳しく説明する。図9に示すように、巡回情報の生成処理が開始されると、まず、状態受信時刻をキーにして状態管理テーブルの識別子を昇順にソートして、巡回情報を生成し、生成した巡回情報を記憶部11に記憶する(S11)。なお、初回起動時など、まだ状態受信時刻が記録されていないときには、所定の順番(例えば状態管理テーブルの識別子の並び順など)に基づいて、巡回情報を生成する。次に、問合せ時間間隔を算出し、算出した問合せ時間間隔を記憶部11に記憶する(S12)。算出した問合せ時間間隔が基準問合せ時間間隔より長い場合には(S13)、記憶部11に記憶されている問合せ時間間隔を、基準問合せ時間間隔の値に更新し(S14)、巡回情報の生成処理が終了する。
【0060】
続いて、図10を参照して、状態情報の受信処理について詳しく説明する。図10に示すように、状態情報の受信処理が開始されると、まず、状態の問合せを行う対象(問合せ対象)をゼロクリアし(S61)、巡回情報から問合せ対象の候補となる画像出力装置(カメラ2または画像記録装置3)の識別子を一台分だけ読み出す(S62)。巡回情報を参照して読み出した画像出力装置が、まだ状態情報を取得していない画像出力装置であれば(S63)、その画像出力装置を問合せ対象に追加する(S64)。このような処理を、問合せ対象の数が巡回セッション数と同じになるまで繰り返す(S65)。
【0061】
問合せ対象の数が巡回セッション数と同じになると(S65)、次に、早期巡回セッション数(例えば3セッション)の分だけ、早期巡回情報から画像出力装置を読み出して、問合せ対象に追加する(S66)。そして、問合せ対象の画像出力装置に状態要求信号を送信し(S67)、その応答として画像出力装置から状態情報を受信すると(S68)、巡回情報の「状態取得済」のフラグをONにするとともに、受信した状態情報を状態管理テーブルに記録し(S69)、状態情報の受信処理が終了する。
【0062】
最後に、図11を参照しながら、画像監視装置4で行われる定期調時処理について説明する。画像監視装置4の制御部12は、カメラ2や画像記録装置3の時間を画像監視装置4の時間に合わせる「調時」を「定期的」に行う、すなわち「定期調時」を行う機能を備えている。さらに、この制御部12では、最長でも1日に1回という調時間隔を満たしつつ、短い間隔で調時を繰り返すことを避けるために、「調時」をするか否かの判定(調時判定)が行われる。
【0063】
調時判定は、カメラ2や画像記録装置3に状態の問合せをするタイミング(巡回のタイミング)で行われる。この調時判定では、まず、今回の巡回における状態の問合せから次回の巡回における状態問合せが行われるまでの時間間隔を、全ての機器(カメラ2および画像記録装置3)に対する状態問合せが一巡するのに要する時間間隔(全機器巡回間隔)であると仮定する。そして、次回の巡回における状態問合せが行われるのが前回調時した時刻から「24時間」以降になる場合には、今回の巡回のときに「調時する」と判定される。一方、次回の巡回における状態問合せが行われるのが前回調時した時刻から「24時間」以内になる場合には、今回の巡回で「調時しない」と判定される。
【0064】
なお、上記の「24時間」といった調時判定の基準となる時間間隔(以下、「最長定期調時間隔」という)は、管理者等が予め任意の値として設定することができる。例えば、管理者等が最長でも12時間に1回という調時間隔を満たしたい場合、最長定期調時間隔を12時間と設定すればよい。
【0065】
この調時判定について、図11の例を用いて具体的に説明する。図11の例では、時刻t0に画像監視装置4へのログインが行われ、全ての機器(カメラ2や画像記録装置3)への巡回(巡回1回目)が開始される。図11では、例えば、ある一つの機器(カメラ2または画像記録装置3)について、時刻t1に「初回の巡回」が行われる。「初回の巡回」では、調時が行われる(調時判定は行われない)。
【0066】
時刻t2に、全ての機器(カメラ2や画像記録装置3)への巡回(巡回2回目)が開始され、ある機器には、時刻t3に「2回目の巡回」が行われる。この時刻t3での調時判定では、次回の巡回が行われる予定の時刻(時刻t5)が、前回調時した時刻(時刻t1)から「24時間」以内になるため、「調時しない」と判定される。
【0067】
つぎに、時刻t4に、全ての機器(カメラ2や画像記録装置3)への巡回(巡回3回目)が開始され、ある機器には、時刻t5に「3回目の巡回」が行われる。時刻t5での調時判定では、次回の巡回が行われる予定の時刻(時刻t7)が、前回調時した時刻(時刻t1)から「24時間」後になるため、「調時する」と判定される。
【0068】
より具体的には、この場合、まず、ある機器について今回の巡回(巡回3回目)における状態問合せ時刻(t5)から次回の巡回(巡回4回目)における状態問合せ時刻(t7)までの時間間隔(T4+T5)を、全機器巡回間隔(T2=T3+T4)と等しいと仮定して求める。ここで、全機器巡回間隔T2は、下記の式により算出される。
全機器巡回間隔T2=問合せ時間間隔×(画像出力装置の総数/巡回セッション数)
【0069】
そして、ある機器について、前回調時した時刻(t1)からの経過時間T1と全機器巡回間隔T2との合計(T1+T2)と、最長定期調時間隔(24時間)とが比較される。この場合、前回調時した時刻からの経過時間T1と全機器巡回間隔T2との合計(T1+T2)が、最長定期調時間隔(24時間)より長いため、「調時する」と判定される。
【0070】
時刻t6に、全ての機器(カメラ2や画像記録装置3)への巡回(巡回4回目)が開始され、ある機器には、時刻t7に「4回目の巡回」が行われる。この時刻t7での調時判定では、次回の巡回が行われる予定の時刻(時刻t9)が、前回調時した時刻(時刻t5)から「24時間」以内になるため、「調時しない」と判定される。
【0071】
そして、時刻t8に、全ての機器(カメラ2や画像記録装置3)への巡回(巡回5回目)が開始され、ある機器には、時刻t9に「5回目の巡回」が行われる。時刻t9での調時判定では、時刻t5のときと同様に、次回の巡回が行われる予定の時刻(時刻t11)が、前回調時した時刻(時刻t5)から「24時間」後になるため、「調時する」と判定される。
【0072】
このような本実施の形態の画像監視装置4によれば、ライブ表示等によって既に状態を取得した画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)については、状態の問合せを省略する(スキップする)ことによって、重複問合せを防止し、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の状態情報を効率的に取得することができる。
【0073】
すなわち、本実施の形態では、画像監視装置4で生成した巡回情報に基づいて、複数の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3など)に対して状態要求信号を順次送信する問合せ制御が行われる。画像監視装置4は、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)から画像データを受信するときに、又は、状態要求信号に対する応答として画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)から状態情報が送信されたときに、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)から状態情報を受信することができる。状態情報とは、その画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の状態(例えば、正常、記録異常、通信異常、残り容量低下など)を示す情報である。本実施の形態の画像監視装置4では、問合せ制御を開始した後に状態情報を受信した画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対して、状態要求信号を送信せずにスキップするスキップ制御が行われる。これにより、既に状態情報を受信している画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対して重複して状態要求信号を送信する「重複問合せ」を防止することができ、多数の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対して効率的に状態の問合せを行うことができる。
【0074】
また、本実施の形態では、状態情報を受信した時刻(状態受信時刻)が一番古い画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)を最優先に問合せすることができる。したがって、長期間、状態の問合せがされない画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)を減らすことができる。特に、常時監視を行わない画像監視装置4(例えば、電源をオフにするタイプの監視端末)では、巡回情報のリスト末番の画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)である程、状態の問合せ(巡回)がされないままの状態が継続することになることが多いが、本実施の形態によれば、そのようなカメラ2や画像記録装置3(長期間、状態の問合せがされないカメラ2や画像記録装置3)を効率良く減らすことことができる。したがって、本実施の形態の画像監視装置4は、常時監視を行わない画像監視システムに、特に有効である。
【0075】
また、本実施の形態では、最大巡回時間(例えば、24時間)を定めることによって、その最大巡回時間内に全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対する状態の問合せを完了させるよう、問合せ時間間隔を調節することができる。仮に、問合せ時間間隔を固定時間(例えば、60秒)とすると、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の台数が多くなる程(例えば、30000台)、全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)への問合せが完了するまでの時間(最大巡回時間)が長くなり、管理者等が希望する時間(例えば、24時間)内に全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対して状態の問合せを行うことができない事態も生じかねない。これに対し、本実施の形態の画像監視装置4によれば、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の台数が多くなったとしても、最大巡回時間内に全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対する状態の問合せを完了させるよう、問合せ時間間隔を調節することができる。最大巡回時間は、例えば、管理者等が予め設定することができる。
【0076】
また、本実施の形態では、状態の問合せを行う画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の台数が少ない場合には、予め定めた問合せ時間間隔(基準問合せ時間間隔)にて問合せを行うことにより、短い時間内に全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対する状態の問合せを完了させることができる。仮に、状態の問合せを行う画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の台数が少ない場合(例えば、30台)、問合せ時間間隔が長時間に調整されてしまうため、画像監視装置4の起動時間が短いと、画像監視装置4の起動中に巡回されない画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)が生じる可能性が高くなるおそれがある。これに対し、本実施の形態の画像監視装置4によれば、画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)の台数が少ない場合には、適切な時間間隔(基準問合せ時間間隔)にて問合せを行うことにより、画像監視装置4の起動時間が短い場合でも、画像監視装置4の起動中に全ての画像出力装置(カメラ2や画像記録装置3)に対する状態の問合せを完了させることが可能になる。基準問合せ時間間隔は、例えば、管理者等が予め設定することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、調時判定を行うことにより、カメラ2や画像記録装置3などの機器の数が増加または減少しても、最長でも1日に1回という調時間隔を満たしつつ、短い間隔で調時を繰り返すことを避けることが可能になる。
【0078】
このように、短い間隔で調時を繰り返すことを避け、予め設定した適切な間隔で調時できることにより、調時によって時間が前後することによる不都合を合理的に解消することができる。具体的には、機器に対して短い間隔で調時を繰り返した場合、記録画像における時間の連続性が途切れる(記録画像における記録時間が前後する)時点が増えることになるため、証拠記録画像としての信頼性が落ちたり、利用者の閲覧上の不自然さ生じたりするといった問題があったが、これらの悪影響を低減することができる。
【0079】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上のように、本発明にかかる画像監視装置は、重複問合せを防止し、画像出力装置の状態情報を効率的に取得することができるという効果を有し、監視区域の監視カメラの画像を遠隔の監視センタで監視する画像監視システム等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0081】
1 画像監視システム
2 カメラ
3 画像記録装置
4 画像監視装置
5 ネットワーク網
6 ローカルエリアネットワーク(LAN)
7 通信部
8 表示部
9 操作部
10 画像記録部
11 記憶部
12 制御部
13 通信制御部
14 表示制御部
15 記録処理部
16 巡回情報生成部
17 早期巡回情報生成部
18 問合せ制御部
19 一覧表示フレーム
20 画像表示フレーム
21 状態表示フレーム
22 第1セッション部
23 第2セッション部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像出力装置と通信可能な通信部と、
前記複数の画像出力装置に対して当該画像出力装置の状態を示す状態情報の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す巡回情報を生成する巡回情報生成部と、
前記巡回情報生成部により生成された前記巡回情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記巡回情報に基づいて、前記画像出力装置に対して前記状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う問合せ制御部と、
前記画像出力装置から画像データを受信するときに、又は、前記状態要求信号に対する応答として前記画像出力装置から状態情報が送信されたときに、当該画像出力装置から状態情報を受信する制御を行う通信制御部と、
を備え、
前記問合せ制御部は、前記問合せ制御を開始した後に前記状態情報を受信した画像出力装置に対して前記状態要求信号の送信をスキップするスキップ制御を行うことを特徴とする画像監視装置。
【請求項2】
前記記憶部は、前記状態情報を受信した時刻である状態受信時刻を記憶し、
前記巡回情報生成部は、前記状態受信時刻の古い画像出力装置から順に並び替えた前記巡回情報を生成し、
前記問合せ制御部は、前記巡回情報に基づいて、前記状態受信時刻の古い画像出力装置から順に前記状態要求信号を送信する、請求項1に記載の画像監視装置。
【請求項3】
前記記憶部は、前記問合せ制御を開始してから前記巡回情報に含まれる全ての前記画像出力装置への問合せ制御が終了するまでの時間を示す最大巡回時間を更に記憶し、
前記問合せ制御部は、前記最大巡回時間と前記画像出力装置の総数とに基づいて算出される問合せ時間間隔で前記状態要求信号の送信を行う、請求項1又は請求項2に記載の画像監視装置。
【請求項4】
前記記憶部は、所定の基準問合せ時間間隔を更に記憶し、
前記問合せ制御部は、前記問合せ時間間隔が前記基準問合せ時間間隔以上である場合には、当該基準問合せ時間間隔で前記状態要求信号の送信を行う、請求項3に記載の画像監視装置。
【請求項5】
複数の画像出力装置と通信可能な画像監視装置で実行されるプログラムであって、
前記プログラムは、コンピュータに、
前記複数の画像出力装置に対して当該画像出力装置の状態を示す状態情報の送信を要求する状態要求信号の送信順を示す巡回情報を生成する処理と、
前記巡回情報生成部により生成された前記巡回情報を記憶部に記憶する処理と、
前記記憶部に記憶された前記巡回情報に基づいて、前記画像出力装置に対して前記状態要求信号を順次送信する問合せ制御を行う処理と、
前記画像出力装置から画像データを受信するときに、又は、前記状態要求信号に対する応答として前記画像出力装置から状態情報が送信されたときに、当該画像出力装置から状態情報を受信する制御を行う処理と、
を実行させるものであり、
前記プログラムは、前記問合せ制御を開始した後に前記状態情報を受信した画像出力装置に対して前記状態要求信号の送信をスキップするスキップ制御を行うことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−73602(P2013−73602A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214716(P2011−214716)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】