説明

画像監視装置および監視システム

【課題】 物理的なパーティションを用いる必要がなく、監視者による常時監視の負担を軽減することができ、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を容易に実現する。
【解決手段】 画像監視装置5は、監視カメラ6で制限区域を撮影した制限区域画像を用いて制限区域内の利用者を監視する。記憶部24には、制限区域画像中に設定される個別監視領域と利用者の識別情報とを対応させたユーザ領域情報が予め記憶されている。監視領域設定部28は、制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域を、制限区域画像中における監視領域として設定する。そして、設定された監視領域を示す案内表示が、制限区域の床面に投影表示装置によって表示される。異常判定部29は、制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づいて、制限区域内における異常の有無を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制限区域内の利用者を監視する機能を備えた画像監視装置に関し、特に、監視カメラで制限区域を撮影した画像を用いて適切に監視を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、重要物や制限区域への利用者のアクセスを管理するために、IDカードや生体情報による認証を用いて利用者の出入を管理する技術が広く利用されている。そして、このような技術に関連して、認証を行なって利用者が管理区画に入室した際には、その管理区画内を撮影するカメラシステムを用いて、管理区画内での利用者の不正行為をカメラ画像で監視する入退室管理システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の入退室管理システムでは、管理対象となる区画の単位(例えば、部屋単位)で、その区画への出入の可否(例えば、ある部屋への入室可否)が判定される。したがって、一つの部屋の中で様々な場所に各種の重要物や保管物が保管されている場合に、その重要物や保管物への利用者のアクセスを管理するには十分でない。
【0005】
例えば、複数の部門(財務部門と経理部門など)が同居するオフィス空間や、複数のロッカーが配置されたロッカー室など、利用者ごとにアクセス権限を有する範囲だけアクセスを許容することが必要とされる状況が存在する。このような場合、部門ごとやロッカーごとにパーティションなどで物理的に区切って利用者の出入制限を行えば、適切にアクセスを制限することが可能となる。しかし、その場合には、部門の移転や部屋のレイアウト変更の都度工事が発生するという問題があり、また、部屋の間取りによってはパーティションの設置自体が困難なこともある。
【0006】
このように、一つの部屋(管理区画)の中で様々な場所に各種の重要物や保管物が保管されている場合、従来の入退室管理システムでは、カメラシステムでその部屋の中の利用者の行動を撮影することで、利用者の不正な行為を監視することになるが、そのためには、監視員がカメラ画像を常時監視する必要があり、監視負担の増大を招いてしまう。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、物理的なパーティションを用いることなく、監視者による常時監視の負担を軽減して、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を実現できる画像監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像監視装置は、監視カメラで制限区域を撮影した制限区域画像を用いて前記制限区域内の利用者を監視する画像監視装置であって、前記制限区域に入場している利用者の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記制限区域画像の画像データを取得する画像取得部と、前記制限区域画像中に設定される個別監視領域と前記利用者の識別情報とを対応させて、利用者別の領域情報として予め記憶する記憶部と、前記制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域を、前記制限区域画像中における監視領域として設定する監視領域設定部と、前記制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づき、前記制限区域内における異常の有無を判定する異常判定部と、前記制限区域画像中に設定された監視領域を示す案内表示を前記制限区域に入場している利用者に対して表示装置で表示するよう制御する表示制御部と、を備えている。
【0009】
これにより、制限区域に利用者が出入(入場または退出)すると、識別情報取得部によってその利用者の識別情報が取得される。監視カメラで制限区域を撮影した画像(制限区域画像)中には、利用者ごとに監視を行うべき領域(その利用者のアクセスが禁止された領域)が設定されており、制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域が、制限区域画像中における監視領域として設定され、その案内表示が表示装置で表示される。例えば、制限区域に入場している利用者が1人である場合には、その利用者の個別監視領域が監視領域として設定され、制限区域に入場している利用者が複数人である場合には、それら複数の利用者の個別監視領域を結合した領域が監視領域として設定される。そして、このように設定された監視領域の案内表示が表示装置で表示され、制限区域内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限区域内の何処が監視領域であるか)が報知される。そして、制限区域画像中の監視領域に変動が生じると、制限区域内において異常があったと判定される。このように、本発明によれば、制限区域を撮影した画像中に利用者別の監視領域を設定することによって、制限区域内における利用者の行動を監視することができる。すなわち、制限区域内に物理的なパーティションを設けるのではなく、制限区域を撮影した画像中に仮想的なパーティションを設けることによって、制限区域(全体の領域)を利用者ごとに監視を行うべき領域(部分的な領域)に分割して、その領域(監視領域)の利用者の行動を監視することができる。したがって、制限区域内の利用者を監視するときに、監視員がモニタで常時監視をする負担が軽減される。しかも、この監視領域は、制限区域に入場している利用者に応じて動的にレイアウトを変更することができる。すなわち、仮想的なパーティションは、物理的なパーティションと異なり、設置のための工事が不要であり、また、制限区域の間取りなどの制限も受けないため、制限区域に入場している利用者に応じて容易に設置しなおすことができる。このように、本発明によれば、物理的なパーティションを用いることなく、監視者による常時監視の負担を軽減して、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を実現することができる。このような監視領域は、上記のように仮想的なパーティションとも呼べるものであって、物理的なパーティションと異なり、制限区域内の利用者が自分の目で確認することはできない。本発明では、監視領域の案内表示が表示装置で表示され、制限区域内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限区域内の何処が監視領域であるか)が報知されるので、制限区域内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0010】
また、本発明の画像監視装置では、前記表示制御部は、前記案内表示の画像を前記制限区域の床面に前記表示装置で表示してもよい。
【0011】
これにより、監視領域の案内表示の画像が制限区域の床面に表示される。したがって、制限区域内の利用者は、物理的なパーティションと同じ様に、監視領域を自分の目で確認することができる。このように、制限区域内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限区域内の何処が監視領域であるか)が分かりやすく報知されるので、制限区域内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0012】
また、本発明の画像監視装置では、前記監視領域設定部は、前記制限区域に複数の利用者が入場している場合には、各々の利用者の識別情報に対応した個別監視領域をアンド結合して得られる領域を、前記監視領域として設定してもよい。
【0013】
これにより、制限区域に入場している利用者が複数人である場合には、それら複数の利用者の個別監視領域(各利用者のアクセスが禁止された領域)をアンド結合(論理積)して、それぞれの個別監視領域間で重複する部分を抽出することによって得られる領域を、監視領域として設定する。この監視領域は、換言すれば、各利用者のアクセスが許可された領域をオア結合(論理和)することによって得られる領域であるともいえる。このようにして、制限区域に入場している利用者が複数人である場合に、監視領域の設定を好適に行うことができる。
【0014】
また、本発明の画像監視装置では、前記監視領域設定部は、前記制限区域から前記利用者が退出する場合には、前記利用者の退出から所定時間後に、現在入場している利用者に対応する個別監視領域に基づき新たな監視領域を再設定し、前記表示制御部は、前記新たな監視領域を示す案内表示を前記表示装置で表示するよう制御してもよい。
【0015】
これにより、制限区域から利用者が退出すると、その利用者の個別監視領域を除いた設定条件により監視領域(新たな監視領域)が再設定され、その案内表示(新たな監視領域の案内表示)が表示装置で表示される。このようにして、制限区域内の利用者(制限区域内に残っている利用者)に、監視領域の再設定が行われたことが報知される。この新たな監視領域の再設定は、利用者の退出から所定時間後(例えば30秒後)に行われるので、制限区域に他の利用者が残っている場合には、その利用者(残っている利用者)に監視領域の再設定が行われたことを報知するための時間的な余裕を確保できる。したがって、制限区域に残っている利用者が監視領域が再設定されたことを知らずに監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0016】
本発明の監視システムは、制限区域への利用者の出入を管理する出入管理装置と、監視カメラで制限区域を撮影した制限区域画像を用いて前記制限区域内の利用者を監視する画像監視装置とを備えた監視システムであって、前記出入管理装置は、前記制限区域に出入可能な利用者の識別情報を記憶する認証情報記憶部と、前記制限区域に入場する利用者および前記制限区域から退出する利用者が入力した識別情報を受け付ける識別情報受付部と、前記利用者が入力した識別情報を照合して前記利用者の出入可否を判定する判定部と、出入可と判定された利用者の識別情報を、前記画像監視装置に出力する出力部とを備え、前記画像監視装置は、前記出入管理装置から、前記出入可と判定された利用者の識別情報を取得する識別情報取得部と、前記制限区域画像の画像データを取得する画像取得部と、前記制限区域画像中に設定される個別監視領域と前記利用者の識別情報とを対応させて、前記利用者別の領域情報として予め記憶する記憶部と、前記制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域を、前記制限区域画像中における監視領域として設定する監視領域設定部と、前記制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づき、前記制限区域内における異常の有無を判定する異常判定部と、前記制限区域画像中に設定された監視領域を示す案内表示を前記制限区域に入場している利用者に対して表示装置で表示するよう制御する表示制御部と、を備えている。
【0017】
このシステムによっても、上記の装置と同様、物理的なパーティションを用いることなく、監視者による常時監視の負担を軽減して、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を実現することができ、そのうえ、制限区域内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、制限区域に入場している利用者に応じて適切に監視領域を設定することにより、物理的なパーティションを用いる必要がなく、監視者による常時監視の負担を軽減することができ、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を容易に実現することが可能となる。さらに、設定された監視領域の案内表示を表示することにより、制限区域内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態における監視システムの概要図である。
【図2】本発明の実施の形態における出入管理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像監視装置の構成を示すブロック図である。
【図4】(a)管理テーブルの一例を示した図である。 (b)エリアテーブルの一例を示した図である。
【図5】(a)ユーザ領域情報の一例を示した図である。 (b)在室者情報の一例を示した図である。 (c)監視設定情報の一例を示した図である。
【図6】制限区域画像の一例を示した図である。
【図7】(a)ロッカーAの利用者Aの個別監視領域の例を示した図である。 (b)ロッカーBの利用者Bの個別監視領域の例を示した図である。 (c)ロッカーCの利用者Cの個別監視領域の例を示した図である。
【図8】利用者Aと利用者Bが入室している場合に設定される監視領域の例を示した図である。
【図9】案内表示の一例を示した図である。
【図10】本発明の実施の形態における監視システムの動作を説明するためのフロー図である。
【図11】監視設定処理の流れを説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の監視システムについて、図面を用いて説明する。本実施の形態では、複数のロッカーが配置されたロッカー室の画像監視に用いられる監視システムの場合を例示するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0021】
(監視システム)
図1は、本実施の形態の監視システムの概略図である。図1に示すように、監視システム1では、制限区域(制限エリア、単にエリアともいう)の境界には、エリア間の移動を規制する電気錠付きのドア2が設置されており、このドア2の近傍には、各エリアに出入りする利用者が所持するIDカード(図示せず)から利用者の識別コード(個人識別情報)を読み取るカードリーダ3が設置されている。図1の例では、二つのエリア(エリアAの「廊下」とエリアBの「ロッカー室」)が示されており、ロッカー室の室内側(エリアB側)と室外側(エリアA側)に、それぞれ一つずつカードリーダ3が設定されている。この場合、一つの電気錠付きドア2と、二つのカードリーダ3が一組となって設置されているともいえる。
【0022】
そして、この電気錠付きドア2とカードリーダ3には、ドア2の電気錠の制御を行う電気錠制御装置4が接続されている。この電気錠制御装置4は、各電気錠付きドア2に設けられて利用者の出入をドア2ごとに個別管理できるように構成されていてもよく、また、複数の電気錠付きドア2にまとめて一つ設けられて利用者の出入を集中管理できるように構成されていてもよい。
【0023】
また、図1に示すように、電気錠制御装置4は、エリア内の利用者を監視する画像監視装置5に接続されており、画像監視装置5は、ロッカー室(エリアB)を撮影する監視カメラ6に接続されている。また、この画像監視装置5は、ロッカー室(エリアB)の天井または壁に設置された投影表示装置7にも接続されている。さらに、この画像監視装置5は、監視センター8の監視卓に設置された監視用端末9にも接続されており、監視センター8の監視員は、監視用端末9のモニタでロッカー室内での利用者の行動を画像で監視することができる。
【0024】
これらの電気錠付きドア2とカードリーダ3と電気錠制御装置4は、制限区域であるロッカー室への利用者の出入を管理する出入管理装置10を構成している。つまり、本実施の形態の監視システム1は、出入管理装置10と画像監視装置5を備えているともいえる。以下、図2および図3を参照しながら、出入管理装置10と画像監視装置5の構成について詳しく説明する。
【0025】
(出入管理装置)
ここでは、まず、出入管理装置10の構成について説明する。図2は、出入管理装置10の構成を示すブロック図である。上述のように、出入管理装置10は、電気錠付きのドア2と、二つのカードリーダ3と、電気錠制御装置4で構成されている。図2に示すように、ドア2は、電気錠11を備えている。この電気錠11は、通常時は施錠状態に維持されており、電気錠制御装置4からの解錠信号を受けた場合に所定時間だけ解錠される。これによって、利用者は、所持しているIDカードに記憶されている識別コードをカードリーダ3に読み込ませないと、エリア間を移動できないようになっている。利用者が、カードリーダ3に識別コードを読み込ませると、カードリーダ3は読み取った識別コードを電気錠制御装置4に送信して認証要求し、電気錠制御装置4は受信した識別コードを照合して認証OKであれば電気錠11を解錠する。
【0026】
力―ドリーダは、MPUやマイコンなどで構成される制御部12と、IDカードから利用者の識別コードを読み取る読取部13と、読み取った識別コードや自己のアドレス情報などを記憶する記憶部14と、読み取った識別コードの認証結果などを表示する表示部15と、電気錠制御装置4との通信を行う通信インターフェース16(通信I/F)を備えている。カードリーダ3は、IDカードに記憶されている利用者の識別コードを読み取ると、読取った識別コードを自己アドレス情報とともに電気錠制御装置4へと送信する。
【0027】
なお、ID力―ドは、磁気力―ド、IC力―ドまたは無線力―ド(無線送信機)等の何れでもよいが、システムを利用する上では、非接触式の力―ドであることが好ましい。また、読取部13は、ID力―ドの代わりに、個人の指紋、掌紋、声紋、虹彩等のバイオメトリクス情報を読み取ることも可能であり、読み取った情報を個人を識別する識別コードとして用いてもよい。
【0028】
また更に、読取部13は、IDカードの代わりに利用者が所持するRFIDタグの識別情報を読み取るRFIDタグリーダとすることも可能であり、特にこの場合には、RFIDタグリーダの検出範囲を制限エリア内とすることで、制限エリア内に設置される1台のタグリーダでエリア内への入室者とエリアからの退出者の双方を検出できる。
【0029】
電気錠制御装置4は、MPUやマイコンなどで構成される制御部17と、HDDやメモリなどで構成される記憶部18と、カードリーダ3や画像監視装置5との通信を行う通信インターフェース19(通信I/F)と、電気錠付きドア2の電気錠11を制御する電気錠制御部20を備えている。制御部17は、機能モジュールとして、利用者が読み込ませた識別コードをカードリーダ3から受け付ける識別情報受付部21と、この識別コード(利用者が読み込ませた識別コード)を照合して利用者の入退室の可否を判定する判定部22を備えている。また、記憶部18には、管理テーブルやエリアテーブルなどの管理情報や、各種の処理プログラムやパラメータやデータなどが記憶されている。
【0030】
図4(a)は、管理テーブルの一例を示した図である。管理テーブルは、カードリーダ3や区域毎に対応して用意される資格情報を示すテーブルであり、この例では、制限区域(ロッカー室)に出入可能な利用者の識別コードが記録されたテーブルである。図4(a)の例では、3人の利用者(利用者A、B、C)の識別情報(XXXXX、YYYYY、ZZZZZ)が、管理テーブルとして記憶部18に記憶されている。この記憶部18は、本発明の認証情報記憶部に相当する。
【0031】
図4(b)は、エリアテーブルの一例を示した図である。エリアテーブルは、カードリーダ3のアドレスコードと、そのカードリーダ3を管理する電気錠制御装置4(または、カードリーダ3に対応する電気錠11)のアドレスコードと、そのカードリーダ3が設置されているエリア(所在エリア)と、そのカードリーダ3を操作した後の移動先エリア(そのカードリーダ3に対応する電気錠付き扉により通行規制されるエリア)を、予め対応付けたテーブルである。図4(b)の例では、廊下側のカードリーダ3のアドレスコード「CR1」と、電気錠制御装置4のアドレスコード「D1」と、所在エリア「エリアA(廊下)」と、移動先エリア「エリアB(ロッカー室)」が対応付けられている。
【0032】
電気錠制御装置4は、カードリーダ3から受信した利用者の識別コードを、管理テーブルと照合する。照合の結果、その利用者の識別コードが、管理テーブルに登録された識別コードと一致しない場合には、認証NGと判定して、電気錠11を解錠せず、認証結果をカードリーダ3に送信して処理を終了する。そして、カードリーダ3は、認証NGの認証結果を表示部15より出力する。
【0033】
一方、照合の結果、その利用者の識別コードが、管理テーブルに登録された識別コードと一致した場合には、認証OKと判定し、対応する電気錠11に解錠信号を出力するとともに、認証結果をカードリーダ3に送信する。そして、カードリーダ3は、認証OKの認証結果を表示部15より出力する。また、受信した識別コードが認証OKと判定されると、電気錠制御装置4は、通信インターフェース19を介して、画像監視装置5にその利用者の識別コードを送信する。この通信インターフェース19は、本発明の出力部に相当する。
【0034】
(画像監視装置)
つぎに、画像監視装置5の構成について説明する。図3は、画像監視装置5の構成を示すブロック図である。図3に示すように、画像監視装置5は、MPUやマイコンなどで構成される制御部23と、HDDやメモリなどで構成される記憶部24と、監視カメラ6から制限区域画像の画像データを取得する画像取得部25と、出入管理装置10から認証OKと判定された利用者の識別コードを取得する識別情報取得部26と、投影表示装置7や監視センター8との通信を行う外部機器インターフェース27(外部機器I/F)を備えている。
【0035】
画像取得部25は、監視カメラ6から画像データを受信する機能を備えている。監視カメラ6から入力された画像データは、制御部23へと出力される。なお、本実施の形態では、監視カメラ6と画像監視装置5が別装置である場合を例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、画像監視装置5は、監視カメラ6を内蔵していてもよい。
【0036】
識別情報取得部26は、出入管理装置10と接続されており、画像監視装置5が設置された制限エリアに入室した利用者の識別コードや、退室した利用者の識別コードを受信する機能を備えている。出入管理装置10から受信した識別情報は、制御部23に出力される。
【0037】
外部機器インターフェース27は、制限エリアに設置された投影表示装置7と接続される。投影表示装置7は、例えば制限エリアの天井や壁に設置されたプロジェクタ装置であり、制御部23で設定された監視領域を示す案内表示を、LEDなどの光源を用いて制限エリア内の所定の表示場所に投影する機能を備えている。この表示場所は、制限エリアに入室してきた利用者に視認可能な場所であればよく、例えば、制限エリアの床面である。この場合、制限エリアの床面の一部(例えば、ドア2の近傍の床面)に案内表示を投影してもよく、制限エリアの床面全体に実寸と対応するように案内表示を投影してもよい。また、制限エリアの壁面(例えば、ドア2の近傍の壁面)に案内表示を投影してもよい。なお、本実施の形態では、投影表示装置7と画像監視装置5が別装置である場合を例示したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、画像監視装置5は、投影表示装置7を内蔵していてもよい。
【0038】
記憶部24には、ユーザ領域情報と、在室者情報と、監視設定情報と、投影表示情報などの情報が記憶されている。ユーザ領域情報は、制限区域画像中に設定される個別監視領域と利用者の識別コードとを対応付けたものであり、本発明の利用者別の領域情報に相当する。個別監視領域は、制限区域画像においてその利用者の進入が許可されない範囲であり、制限エリアにおける利用者のアクセス権限や必要行動範囲などを考慮して設定される(図7参照)。
【0039】
ユーザ領域情報には、制限エリアに入室する可能性のある全ての利用者について、個別監視領域が設定されて記憶される。図5(a)は、ユーザ領域情報の一例を示した図であるが、この例では、利用者Aの識別コード「XXXXX」と利用者Aの個別監視領域「領域A」とが対応付けられており、利用者Bの識別コード「YYYYY」と利用者Bの個別監視領域「領域B(領域B1、領域B2)」とが対応付けられており、利用者Cの識別コード「ZZZZZ」と利用者Cの個別監視領域「領域C(領域C1、領域C2)」とが対応付けられている。
【0040】
なお、これとは逆に、進入が許可される範囲(例えば、図7の斜線部分の範囲)を記憶しておくことによって、進入が許可されない範囲(例えば、図7の太線で囲んだ範囲)を識別できるようにしてもよい。また、この個別監視領域の指定は、画像データを複数の小領域に分割した上で該当する小領域を指定することで実現することも可能であり、また、予め画像データに設定された複数のパターンから該当するパターンを選択することによって実現することも可能である。
【0041】
在室者情報には、出入管理装置10から受信される入室した利用者の識別コードおよび退室した利用者の識別コードから、現在制限エリアに在室している利用者(在室者)の識別コードが記憶される。図5(b)は、在室者情報の一例を示した図であるが、この例では、利用者A、B、Cが入室し、利用者Cが退室しているので、利用者A、Bの識別コード「XXXXX、YYYYY」が在室者情報として記憶されている。
【0042】
監視設定情報には、制御部23にて設定された現在の制限区域画像における監視領域の情報が記憶される。監視領域の設定については、図面を参照しながら後述する。図5(c)は、監視設定情報の一例を示した図であるが、この例では、利用者A、Bが在室している場合に設定された監視領域の情報として「領域B2」が記憶されている。
【0043】
投影表示情報は、投影表示装置7によって表示される案内表示の情報であり、具体的には、制限エリアの中で在室者の進入が許可される範囲と許可されない監視領域とを識別可能なガイダンス用の画像データ(表示データ)である。例えば、投影表示情報として、制限エリアの室内レイアウト図と現在の監視領域とを合成表示したものを利用することができる。また、進入が許可される範囲と許可されない監視領域を文字情報にて表示したものや、制限エリアの入口から見て進入が許可される方向を矢印にて指し示すものなどを利用してもよい。この場合、投影表示情報は、制限エリアに設定される監視領域のパターンごとに対応した形で記憶されている。
【0044】
制御部23は、機能モジュールとして、制限エリアに入室している利用者に応じて制限区域画像中における監視領域の設定を行う監視領域設定部28と、制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づいて制限区域における異常の有無を判定する異常判定部29と、制限区域画像中に設定された監視領域に対応した案内表示を投影表示装置7に投影表示させる制御を行う投影表示制御部30を備えている。
【0045】
監視領域設定部28は、識別情報取得部26から、制限エリアに入室した利用者の識別コードや退室した利用者の識別コードを受信する度に、受信した識別コードに基づいて、記憶部24の在室者情報を更新する。そして、現在の在室者情報に記憶された識別情報に対応する個別監視領域をユーザ領域情報から読み出して、制限区域画像中に監視領域を設定する。例えば、在室者が1人である場合にはこの利用者の個別監視領域が画像データの監視領域として設定される。また、複数人の在室者が存在する場合には、これら複数の利用者の個別監視領域を結合することで、制限区域画像中に監視領域を設定する。より具体的には、複数人の在室者が存在する場合、監視領域設定部28は、各在室者の個別監視領域の論理積を求めてアンド結合して各個別監視領域間で重複する部分を抽出し、得られた領域を制限区域画像中の監視領域として設定する。換言すれば、監視領域は、各在室者の進入が許可される範囲の論理和を求めてオア結合することによって得られる領域であるともいえる。このようにして設定された監視領域の情報は、記憶部24の監視設定情報に記憶される。
【0046】
また、監視領域設定部28は、制限エリアから利用者が退室する場合には、利用者の退室から所定時間後に、退室時に設定されていた現在の監視領域の設定条件から退室した利用者に対応する個別監視領域を除いた条件で設定される監視領域を、新たな監視領域として再設定する。つまり、制限エリアに残って在室している者の個別監視領域をアンド結合して監視領域が再設定される。例えば、この新たな監視領域の再設定は、利用者の退室から30秒後に行われる。これにより、利用者(残っている利用者)に監視領域の再設定が行われることを事前に報知するための時間的な余裕が確保される。この再設定の報知は、新たな監視領域を示す案内表示を投影表示装置7で投影表示することによって行われる。なお、再設定の報知は、スピーカーからの音声などで行ってもよい。
【0047】
異常判定部29は、監視設定情報に記憶された監視領域の情報を参照し、画像取得部25から入力された制限区域画像に設定される監視領域の変動から異常有無を判定する。例えば、制限区域画像に設定される監視領域を過去の画像データと比較して、輝度値の変動が所定以上であった変動画素からなる変動領域を抽出し、この変動領域が所定面積以上である場合に異常発生と判定する。変動領域の抽出方法は、直前の画像データとの差分によるフレーム間差分方式や、予め取得した画像データとの差分による背景差分方式など種々の方式が知られるところであり、ここでは詳しい説明を省略する。
【0048】
投影表示制御部30は、記憶部24の在室者情報が更新されて監視設定情報に監視領域の情報が記憶されると、設定された現在の監視領域に対応する投影表示情報を記憶部24から読み出して、その案内表示(設定された現在の監視領域を示す案内表示)を制限エリアの床面などに投影表示するように投影表示装置7を制御する。なお、上述のように、制限エリアから利用者が退室して新たな監視領域が再設定される場合には、新たな監視領域を示す案内表示を投影表示装置7で投影表示するように投影表示装置7を制御する。
【0049】
ここで、監視カメラ6で撮影される制限区域画像と、利用者ごとの個別監視領域と、在室している利用者に応じて設定される監視領域と、設定された監視領域に対応する案内表示とを、図面を参照しながら説明する。以下では、ロッカー室に入室可能な3人の利用者(利用者A、B、C)のうち、2人の利用者(利用者A、B)がロッカー室に在室している場合を例として説明する。
【0050】
図6は、制限区域画像の一例を示した図である。図6では、制限区域であるロッカー室を監視カメラ6で撮影した画像(制限区域画像)が例示されている。この画像には表れないが、図の左下部分には、制限区域(ロッカー室)に入室するためのドアが存在している。なお、図6の例では、利用者はロッカー室にだれも在室していない。
【0051】
図7は、このような制限区域画像中に設定される個別監視領域の例を示す図である。図7(a)には、ロッカーA(左のロッカー)の利用者Aの個別監視領域の例が示されている。この例では、ロッカーB(中央のロッカー)から右側の範囲(太線で囲んだ領域A)が、利用者Aの個別監視領域として設定されている。
【0052】
また、図7(b)には、ロッカーB(中央のロッカー)の利用者Bの個別監視領域の例が示されている。この例では、ロッカーA(左のロッカー)から左側の範囲(太線で囲んだ領域B1)とロッカーC(右のロッカー)から右側の範囲(太線で囲んだ領域B2)が、利用者Bの個別監視領域として設定されている。
【0053】
また、図7(c)には、ロッカーC(右のロッカー)の利用者Cの個別監視領域の例が示されている。この例では、ロッカーB(中央のロッカー)から左側の範囲(太線で囲んだ領域C1)とロッカーC(右のロッカー)から離れた右側の範囲(太線で囲んだ領域C2)が、利用者Cの個別監視領域として設定されている。
【0054】
図8は、2人の利用者(利用者A、B)がロッカー室に在室している場合に設定される監視領域の例を示した図である。図8に示すように、この場合には、利用者Aの個別監視領域「領域A」と利用者Bの個別監視領域「領域B」をアンド結合することによって、得られる領域「領域B2」が監視領域として設定される。なお、監視領域以外の領域(図8における斜線部分)は、監視センター8のモニタで暗く表示されるようにマスク処理されていてもよい。
【0055】
図9は、2人の利用者(利用者A、B)がロッカー室に在室している場合に設定される監視領域の案内表示の例を示した図である。図9の例では、制限エリアの室内レイアウト図と現在の監視領域とを合成表示したものが表示されており、制限エリアの中で在室者(利用者A、B)の進入が許可されない監視領域が強調表示されている。なお、これとは逆に、制限エリアの中で在室者の進入が許可される範囲を表示することによって、進入が許可されない範囲を識別できるようにしてもよい。また、ここでは、図示しないが、進入が許可される範囲と許可されない監視領域を文字情報にて表示したものや、制限エリアの入口から見て進入が許可される方向を矢印で表示したものなどを利用してもよい。
【0056】
以上のように構成された監視システム1について、図面を参照してその動作を説明する。
【0057】
図10は、本発明の実施の形態における監視システム1の動作を説明するためのフロー図である。図10に示すように、監視システム1を用いて制限エリアの利用者を監視するときには、まず、画像監視装置5は、出入管理装置10から識別コードを受信したか否かを判断し(S1)、制限エリアに入室可と判定された利用者の識別コードまたは制限エリアから退室する利用者の識別コードを受信している場合には、制限区域画像中に監視領域を設定または変更する処理(監視設定処理)を行なう(S2)。そして、監視設定処理を行なった結果、制限区域画像中に監視領域が設定されている場合には(S3)、その監視領域に変動があるか否かを判定し(S4)、監視領域に変動があった場合には、制限区域内で異常が発生したとして監視センター8へ異常出力を行う(S5)。
【0058】
図11は、上記の監視設定処理の流れを説明するためのフロー図である。監視設定処理では、出入管理装置10から識別コードを受信すると、まず、画像監視装置5は、記憶部24の在室者情報を更新する(S20)。そして、在室者の有無を判定し(S21)、在室者が無の場合には、制限区域画像の全体を監視領域に設定する(S22)。一方、在室者が有の場合には、その在室者が監視対象者であるか否かの判定を行う(S23)。そして、在室者が監視対象者でなければ監視領域の設定を解除する(S24)。監視対象者でない在室者とは、例えば清掃業者や管理者などである。一方、在室者が監視対象者であった場合には、その在室者に対応する個別監視領域を読み出して(S25)、在室者が1人である場合には(S26)、その在室者の個別監視領域を監視領域として設定する(S27)。一方、在室者が複数人である場合には、それらの在室者の個別監視領域をアンド結合することによって得られた領域を監視領域として設定する(S28)。
【0059】
このように個別監視領域を利用して監視領域が設定された場合には(S27、S28)、設定された監視領域を示す案内表示を投影表示するための処理が実行される。具体的には、設定された監視領域に対応する投影表示情報(表示データ)が記憶部24から読み出され(S29)、読み出した投影表示情報が現在の投影表示情報(表示データ)と異なると判定された場合には(S30)、新たな投影表示情報(表示データ)が表示出力される(S31)。
【0060】
例えば、ロッカー室に利用者が誰もいないときに、1人目の利用者(例えば、利用者A)がロッカー室に入室してきた場合には、現在の監視領域(ロッカー室全体)が解除されて、その利用者Aの個別監視領域(領域A)が監視領域として設定され、その監視領域(領域A)に対応する投影表示情報が読み出される。この場合、読み出された投影表示情報は、現在の投影表示情報(ロッカー室に利用者が誰もいなかったときの投影表示情報)とは異なるので、この新たな投影表示情報に基づいて、新たな監視領域(領域A)を示す案内情報が投影表示される。なお、この場合、監視領域の設定は、所定時間後(例えば30秒後)に行なわれる。すなわち、この新たな監視領域の設定は、いわゆる仮設定であり、この仮設定から所定時間後に本設定され、監視領域の設定が有効にされる。仮設定の間は、案内情報の点滅やカウントダウンにより、まもなく監視領域が本設定されることを報知する投影表示としてもよい。
【0061】
つぎに、ロッカー室に利用者Aがいるときに、2人目の利用者(例えば、利用者B)がロッカー室に入室してきた場合には、利用者Aと利用者Bの個別監視領域をアンド結合して得られる領域(領域B2)が監視領域として設定され、その監視領域(領域B2)に対応する投影表示情報が読み出される。この場合、読み出された投影表示情報は、現在の投影表示情報(ロッカー室に利用者Aがいたときの投影表示情報)とは異なるので、この新たな投影表示情報に基づいて、新たな監視領域(領域B2)を示す案内情報が投影表示される。なお、この場合、監視領域の設定は、必ずしも所定時間後(例えば30秒後)に行なわれなくてもよい。すなわち、この新たな監視領域の設定は、本設定であってもよい。
【0062】
つぎに、ロッカー室に利用者Aと利用者Bがいるときに、1人目の利用者(例えば、利用者A)がロッカー室を退室した場合には、ロッカー室に残っている利用者Bの個別監視領域(領域B)が監視領域として設定され、その監視領域(領域B)に対応する投影表示情報が読み出される。この場合、読み出された投影表示情報は、現在の投影表示情報(ロッカー室に利用者Aと利用者Bがいたときの投影表示情報)とは異なるので、この新たな投影表示情報に基づいて、新たな監視領域(領域B)を示す案内情報が投影表示される。なお、この場合、監視領域の設定は、所定時間後(例えば30秒後)に行なわれる。すなわち、この新たな監視領域の設定(ステップ27の監視領域の設定)は、いわゆる仮設定であり、この仮設定から所定時間後に本設定され、監視領域の設定が有効にされる。仮設定の間は、案内情報の点滅やカウントダウンにより、まもなく監視領域が本設定されることを報知する投影表示としてもよい。
【0063】
最後に、ロッカー室に利用者Bがいるときに、その利用者Bがロッカー室を退室した場合には、ロッカー室の全体が監視領域として設定されるが、この場合には、ロッカー室に利用者が誰もいない(在室者がいない)ので、案内情報の投影表示は行われない。なお、この場合も、監視領域の設定は、所定時間後(例えば30秒後)に行なわれる。
【0064】
このような本実施の形態の監視システム1によれば、制限エリア(ロッカー室)に入室している利用者に応じて適切に監視領域を設定することにより、物理的なパーティションを用いる必要がなく、監視者による常時監視の負担を軽減することができ、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を容易に実現することが可能となる。さらに、設定された監視領域の案内表示を表示することにより、制限エリア内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0065】
すなわち、本実施の形態では、制限エリアに利用者が出入(入室または退室)すると、識別情報取得部26によってその利用者の識別コードが取得される。監視カメラ6で制限エリアを撮影した画像(制限区域画像)中には、利用者ごとに監視を行うべき領域(その利用者のアクセスが禁止された領域)が設定されており、制限エリアに入室している利用者の識別コードに対応する個別監視領域が、制限区域画像中における監視領域として設定され、その案内表示が投影表示装置7で表示される。例えば、制限エリアに入室している利用者が1人である場合には、その利用者の個別監視領域が監視領域として設定され、制限エリアに入室している利用者が複数人である場合には、それら複数の利用者の個別監視領域を結合した領域が監視領域として設定される。そして、このように設定された監視領域の案内表示が投影表示装置7で表示され、制限エリア内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限エリア内の何処が監視領域であるか)が報知される。そして、制限区域画像中の監視領域に変動が生じると、制限エリア内において異常があったと判定される。
【0066】
このように、本実施の形態では、制限エリアを撮影した画像中に利用者別の監視領域を設定することによって、制限エリア内における利用者の行動を監視することができる。すなわち、制限エリア内に物理的なパーティションを設けるのではなく、制限エリアを撮影した画像中に仮想的なパーティションを設けることによって、制限エリア(全体の領域)を利用者ごとに監視を行うべき領域(部分的な領域)に分割して、その領域(監視領域)の利用者の行動を監視することができる。したがって、制限エリア内の利用者を監視するときに、監視員がモニタで常時監視をする負担が軽減される。しかも、この監視領域は、制限エリアに入室している利用者に応じて動的にレイアウトを変更することができる。すなわち、仮想的なパーティションは、物理的なパーティションと異なり、設置のための工事が不要であり、また、制限エリアの間取りなどの制限も受けないため、制限エリアに入室している利用者に応じて容易に設置しなおすことができる。このように、本実施の形態では、物理的なパーティションを用いることなく、監視者による常時監視の負担を軽減して、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を実現することができる。
【0067】
このような監視領域は、上記のように仮想的なパーティションとも呼べるものであって、物理的なパーティションと異なり、制限エリア内の利用者が自分の目で確認することはできない。本実施の形態では、監視領域の案内表示が投影表示装置7で表示され、制限エリア内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限エリア内の何処が監視領域であるか)が報知されるので、制限エリア内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、監視領域の案内表示の画像が制限エリアの床面に表示される。したがって、制限エリア内の利用者は、物理的なパーティションと同じ様に、監視領域を自分の目で確認することができる。このように、制限エリア内の利用者に監視領域の設定が行われたこと(制限エリア内の何処が監視領域であるか)が分かりやすく報知されるので、制限エリア内の利用者が誤って監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、制限エリアに入室している利用者が複数人である場合には、それら複数の利用者の個別監視領域(各利用者のアクセスが禁止された領域)をアンド結合して、それぞれの個別監視領域間で重複する部分を抽出することによって得られる領域を、監視領域として設定する。この監視領域は、換言すれば、各利用者のアクセスが許可された領域をオア結合することによって得られる領域であるともいえる。このようにして、制限エリアに入室している利用者が複数人である場合に、監視領域の設定を好適に行うことができる。
【0070】
また、本実施の形態では、制限エリアから利用者が退室すると、その利用者の個別監視領域を除いた条件で、すなわち現在の在室者の個別監視領域から監視領域(新たな監視領域)が再設定され、その案内表示(新たな監視領域の案内表示)が投影表示装置7で表示される。このようにして、制限エリア内の利用者(制限エリア内に残っている利用者)に、監視領域の再設定が行われたことが報知される。この新たな監視領域の再設定は、利用者の退室から所定時間後(例えば30秒後)に行われるので、制限エリアに他の利用者が残っている場合には、その利用者(残っている利用者)に監視領域の再設定が行われたことを報知するための時間的な余裕を確保できる。したがって、制限エリアに残っている利用者が監視領域が再設定されたことを知らずに監視領域に入ってしまい、異常発生として誤検出・誤発報されるのを低減することができる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上のように、本発明にかかる画像監視装置は、物理的なパーティションを用いる必要がなく、監視者による常時監視の負担を軽減することができ、利用者ごとのアクセス権限に応じた監視を容易に実現することができるという効果を有し、制限区域内の利用者を画像で監視する監視システム等に適用することができ、有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 監視システム
2 ドア
3 カードリーダ
4 電気錠制御装置
5 画像監視装置
6 監視カメラ
7 投影表示装置
8 監視センター
9 監視用端末
10 出入管理装置
11 電気錠
12 制御部
13 読取部
14 記憶部
15 表示部
16 通信インターフェース
17 制御部
18 記憶部
19 通信インターフェース
20 電気錠制御部
21 識別情報受付部
22 判定部
23 制御部
24 記憶部
25 画像取得部
26 識別情報取得部
27 外部機器インターフェース
28 監視領域設定部
29 異常判定部
30 投影表示制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視カメラで制限区域を撮影した制限区域画像を用いて前記制限区域内の利用者を監視する画像監視装置であって、
前記制限区域に入場している利用者の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記制限区域画像の画像データを取得する画像取得部と、
前記制限区域画像中に設定される個別監視領域と前記利用者の識別情報とを対応させて、利用者別の領域情報として予め記憶する記憶部と、
前記制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域を、前記制限区域画像中における監視領域として設定する監視領域設定部と、
前記制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づき、前記制限区域内における異常の有無を判定する異常判定部と、
前記制限区域画像中に設定された監視領域を示す案内表示を前記制限区域に入場している利用者に対して表示装置で表示するよう制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とした画像監視装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記案内表示の画像を前記制限区域の床面に前記表示装置で表示するよう制御する請求項1に記載の画像監視装置。
【請求項3】
前記監視領域設定部は、
前記制限区域に複数の利用者が入場している場合には、各々の利用者の識別情報に対応した個別監視領域をアンド結合して得られる領域を、前記監視領域として設定する請求項1または2に記載の画像監視装置。
【請求項4】
前記監視領域設定部は、
前記制限区域から前記利用者が退出する場合には、前記利用者の退出から所定時間後に、現在入場している利用者に対応する個別監視領域に基づき新たな監視領域を再設定し、
前記表示制御部は、
前記新たな監視領域を示す案内表示を前記表示装置で表示するよう制御する請求項3に記載の画像監視装置。
【請求項5】
制限区域への利用者の出入を管理する出入管理装置と、監視カメラで制限区域を撮影した制限区域画像を用いて前記制限区域内の利用者を監視する画像監視装置とを備えた監視システムであって、
前記出入管理装置は、
前記制限区域に出入可能な利用者の識別情報を記憶する認証情報記憶部と、
前記制限区域に入場する利用者および前記制限区域から退出する利用者が入力した識別情報を受け付ける識別情報受付部と、
前記利用者が入力した識別情報を照合して前記利用者の出入可否を判定する判定部と、
出入可と判定された利用者の識別情報を、前記画像監視装置に出力する出力部とを備え、
前記画像監視装置は、
前記出入管理装置から、前記出入可と判定された利用者の識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記制限区域画像の画像データを取得する画像取得部と、
前記制限区域画像中に設定される個別監視領域と前記利用者の識別情報とを対応させて、前記利用者別の領域情報として予め記憶する記憶部と、
前記制限区域に入場している利用者の識別情報に対応する個別監視領域を、前記制限区域画像中における監視領域として設定する監視領域設定部と、
前記制限区域画像中に設定された監視領域に生じる変動に基づき、前記制限区域内における異常の有無を判定する異常判定部と、
前記制限区域画像中に設定された監視領域を示す案内表示を前記制限区域に入場している利用者に対して表示装置で表示するよう制御する表示制御部と、
を備えることを特徴とした監視システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2011−164945(P2011−164945A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27099(P2010−27099)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】