説明

画像符号化装置及び画像伝送システム

【課題】複数の画像データから一つの圧縮データを生成する際に生じる遅延を小さくすることができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】画像符号化装置2には、カメラ1a,1bが生成した非圧縮画像データ31a,31bが同期して入力される。画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31aのマクロブロックを区分単位に基づいてMBグループに区分する。同様に、非圧縮画像データ31bのマクロブロックが区分単位に基づいてMBグループに区分される。非圧縮画像データ31a,31bのMBグループが交互に繰り返されるように、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックの符号化順序が決定される。画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックを、符号化順序に基づいてMBグループごとに符号化する。符号化マクロブロックが符号化された順に配列されることにより、多重化圧縮データ33が生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像データを符号化して一つの圧縮画像データを出力する画像符号化装置、及びこの画像符号化装置を用いた画像伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の店舗に設けられるATM(automated teller machine)コーナーなどを監視する際に、複数のカメラが設置されることがある。複数のカメラを用いて異なる角度から監視することにより、死角の発生を防ぐことができる。
【0003】
各カメラが生成した映像信号は、伝送路の帯域などが制限されているため、符号化された上で伝送される。各カメラの映像を同時に表示させて監視する必要があるため、各カメラに対応する複数の映像信号を多重化して伝送する必要がある。
【0004】
下記特許文献1には、各カメラから入力される複数のフレーム映像を1系統の圧縮データに変換する映像信号符号化装置が開示されている。
【0005】
特許文献1に係る映像信号符号化装置は、各カメラから入力されるフレーム映像から符号化しないフレーム映像を間引き、符号化対象のフレーム映像を抽出する。抽出されたフレーム映像は、カメラごとに配列されて、GOP(Group of Pictures)単位で符号化される。これにより、各カメラから入力される複数のフレーム映像が、1系統の圧縮データに変換される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−184419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、各映像信号を記録媒体に長時間記録することを目的としており、各カメラの映像をリアルタイムに伝送することを想定していない。
【0008】
上述したように、上記特許文献1に係る映像信号符号化装置は、符号化対象のフレーム映像を抽出する。映像信号符号化装置は、GOPを生成できる数の符号化対象のフレーム映像を抽出するまで、圧縮データを生成することができない。この結果、フレーム映像が映像信号符号化装置に入力されてから圧縮データとして出力されるまでの時間(遅延)が長くなるため、各カメラの映像をリアルタイムに伝送することが困難である。
【0009】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、複数の画像データから圧縮データを生成する際に生じる遅延を小さくすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、第1画像データと第2画像データとを圧縮する画像符号化装置であって、設定された区分単位に基づいて、前記第1画像データの第1マクロブロックを区分して第1符号化グループを生成し、前記第2画像データの第2マクロブロックを区分して第2符号化グループを生成するグループ生成部と、第1符号化グループと第2符号化グループとが交互に繰り返されるように、前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを符号化する符号化順序を決定する符号化順序決定部と、前記符号化順序に基づいて、第1符号化グループごとに前記第1マクロブロックを符号化し、前記第2符号化グループごとに前記第2マクロブロックを符号化する符号化部と、符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを、符号化された順に配列して多重化圧縮データを生成する多重化部と、を備える。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像符号化装置において、前記符号化順序決定部は、前記第1マクロブロックの数が前記第2マクロブロックの数よりも多い場合、前記第1符号化グループが連続するように符号化順序を決定することを許可する。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項2に記載の画像符号化装置において、前記符号化順序決定部は、前記第1マクロブロックの数と前記第2マクロブロックの数との比率に基づいて、前記符号化順序を決定する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項1に記載の画像符号化装置において、前記第1画像データと前記第2画像データとは、フレームレートが互いに異なり、前記符号化順序決定部は、前記第1画像データの第1フレームと前記第2画像データの第2フレームとが同期して入力された場合、前記第1フレームに対応する第1符号化グループと前記第2フレームに対応する第2符号化グループとが交互に繰り返されるように、前記符号化順序を決定する。
【0014】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像符号化装置において、前記グループ生成部は、前記第1画像データの特性及び前記第2画像データの特性に応じて、前記区分単位を変更する。
【0015】
請求項6記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、前記区分単位が、フレーム単位で前記グループ生成部に設定されている。
【0016】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、前記区分単位が、水平方向に一列に配列されたマクロブロックのライン単位で前記グループ生成部に設定されている。
【0017】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、前記区分単位が、マクロブロック単位で前記グループ生成部に設定されている。
【0018】
請求項9記載の発明は、画像伝送システムであって、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像符号化装置と、画像復号化装置と、を備え、前記画像符号化装置は、さらに、前記多重化圧縮データを前記画像復号化装置に送信する送信部、を備え、前記画像復号化装置は、前記多重化圧縮データを受信する受信部と、符号化された前記第1マクロブロックを、受信した前記多重化圧縮データの先頭から順に抽出する逆多重化部と、符号化された前記第1マクロブロックを抽出された順に復号化する復号化部と、前記第1マクロブロックの復号化画像データと、前記第2マクロブロックの復号化画像データとを表示可能となったタイミングに、前記第1マクロブロックの復号化画像データを第1表示装置に出力する出力制御部と、を備える。
【0019】
請求項10記載の発明は、請求項9に記載の画像伝送システムにおいて、前記逆多重化部は、符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを、前記多重化圧縮データの先頭から順に抽出し、前記復号化部は、符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを抽出された順に復号化する。
【0020】
請求項11記載の発明は、請求項10に記載の画像伝送システムにおいて、前記出力制御部は、前記第1マクロブロックの復号化画像データを前記第1表示装置へ出力し、前記第2マクロブロックの復号化画像データを第2表示装置へ出力する。
【0021】
請求項12記載の発明は、第1〜第N画像データを圧縮する画像符号化装置であって、kを1からNまでの自然数とした場合において、設定された区分単位に基づいて第k画像データの第kマクロブロックを区分して、第k符号化グループを生成するグループ生成部と、第1符号化グループから第n符号化グループまでが交互に繰り返されるように、第1マクロブロックから第nマクロブロックを符号化する符号化順序を決定する符号化順序決定部と、前記符号化順序に基づいて、前記第k符号化グループごとに前記第kマクロブロックを符号化する符号化部と、符号化された前記第kマクロブロックを、符号化された順に配列して多重化圧縮データを生成する多重化部と、を備える。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る画像符号化装置は、第1画像データのうち第1符号化グループに対応するデータと、第2画像データのうち第2符号化グループに対応するデータとが入力されていれば、第1画像データ及び第2画像データの符号化を開始できる。したがって、第1画像データ及び第2画像データの符号化に伴う遅延を短くすることができる。
【0023】
本発明に係る画像伝送システムにおいて、画像復号化装置は、符号化された第1マクロブロックを多重化圧縮データから抽出された順に復号化する。第1符号化グループの符号化された第1マクロブロックを全て受信することなく復号化を開始できるため、画像復号化装置は、復号化に伴う遅延を短縮することができる。画像復号化装置は、第1マクロブロック及び第2マクロブロックの両方の復号画像データを表示可能となったときに、第1マクロブロックの復号画像データを表示装置に出力する。これにより、第1画像データ及び第2画像データを同期表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像伝送システムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像符号化装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】画像符号化装置に入力される非圧縮画像データのマクロブロックの構成を示す図である。
【図4】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図5】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図6】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図7】多重化圧縮データの構成を模式的に示す図である。
【図8】監視装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図9】符号化データの復号化に要する時間をマクロブロックの区分単位ごとに示す図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る非圧縮画像データのマクロブロックの構成を示す図である。
【図11】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態における非圧縮画像データのマクロブロックの構成の変形例を示す図である。
【図13】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態において非圧縮画像データが画像符号化装置に入力されるタイミングを示す図である。
【図15】マクロブロックグループの符号化順序を示す図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係るモニタ管理装置の機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
[第1の実施の形態]
{1.画像伝送システムの全体構成}
図1は、本発明の実施の形態に係る画像伝送システムの構成を示す図である。図1に示す画像伝送システム100は、カメラ1a,1bと、画像符号化装置2と、監視装置4a,4bとを備える。画像伝送システム100は、金融機関の店舗に設けられたATMコーナーをリアルタイムに監視するシステムである。
【0027】
カメラ1a,1bは、ATMコーナーを異なる角度から撮影できるように取り付けられる。カメラ1a,1bは、ATMコーナーの様子を撮影して、非圧縮画像データ31a,31bを生成する。画像符号化装置2は、カメラ1a,1bとともに、ATMコーナーに設置される。画像符号化装置2には、非圧縮画像データ31a,31bのフレームが同期して入力される。画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bの符号化及び多重化を行って、多重化圧縮データ33を生成する。多重化圧縮データ33は、無線通信網などを介して、ATMコーナーを監視するモニタ室へ送信される。
【0028】
監視装置4a,4bは、モニタ室に設置され、多重化圧縮データ33を受信する。監視装置4a,4bは、多重化圧縮データ33に対して逆多重化及び復号化処理を行って、カメラ1a,1bに対応する映像を表示する。カメラ1a,1bは、同じ場所(ATMコーナー)を異なる角度から撮影している。このため、カメラ1a,1bの映像を表示するタイミングがずれないように、監視装置4a,4bは、カメラ1a,1bの映像を同期して表示させる。モニタ室に常駐する監視員は、監視装置4a,4bに表示される映像をモニタして、ATMコーナーを監視する。
【0029】
本実施の形態では、カメラ1a,1bの両者の映像を監視装置4aのモニタに表示させる例を中心に説明する。カメラ1aの映像を監視装置4aに表示させ、カメラ1bの映像を監視装置4bに表示させる例については、後述する。
【0030】
画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31aのマクロブロックを設定された区分単位に基づいて区分して、一つ以上のマクロブロックで構成されるマクロブロックグループ(以下、「MBグループ」と呼ぶ。)を生成する。画像符号化装置2は、区分単位に基づいて非圧縮画像データ31bのマクロブロックを区分して、MBグループを生成する。画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bのMBグループを符号化する符号化順序を決定する。画像符号化装置2は、符号化順序に従って、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックをMBグループごとに符号化する。符号化されたマクロブロックがMBグループごとに配列されることにより、多重化圧縮データ33が生成される。
【0031】
画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bのうち、MBグループに対応する画像が入力されれば、非圧縮画像データ31a,31bの符号化を開始することができる。非圧縮画像データ31a,31bの符号化が開始されるまでの時間が短縮されるため、監視装置4a、4bにカメラ1a,1bの映像が表示されるまでの遅延を短縮することができる。
【0032】
{2.画像符号化装置2の詳細}
以下、画像符号化装置2の構成及び動作について詳しく説明する。
【0033】
{2.1.画像符号化装置2の構成}
図2は、画像符号化装置2の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像符号化装置2は、符号化制御部21と、符号化部22と、多重化部23と、通信部24とを備える。
【0034】
符号化制御部21は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックを符号化する順序を決定する。符号化制御部21は、グループ生成部211と、符号化順序決定部212とを備える。
【0035】
グループ生成部211は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックを、設定された区分単位に基づいて区分して、MBグループを生成する。
【0036】
符号化順序決定部212は、非圧縮画像データ31a,31bの各マクロブロックを符号化する符号化順序を、MBグループごとに決定する。このとき、非圧縮画像データ31aのMBグループ(第1MBグループ)と、非圧縮画像データ31bのMBグループ(第2MBグループ)とが、交互に繰り返されるように符号化順序が決定される。
【0037】
符号化部22は、非圧縮画像データ31a,31bを、決定された符号化順序に基づいてMBグループごとに符号化する。非圧縮画像データ31a,31bの符号化には、例えば、H.264あるいはMPEG2などの符号化方式が用いられる。
【0038】
多重化部23は、符号化された非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックを符号化された順に配列することにより、多重化圧縮データ33を生成する。
【0039】
通信部24は、多重化圧縮データ33に対して誤り訂正信号の付加、及びデジタル変調などを行う。通信部24は、デジタル変調された多重化圧縮データ33を、無線通信を利用して監視装置4a,4bに送信する。
【0040】
{2.2.グループ生成部211の処理内容}
グループ生成部211の処理内容について説明する。図3は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックの構成を示す図である。図3に示すように、非圧縮画像データ31a,31bが、24個のマクロブロックで構成されている。非圧縮画像データ31a,31bのフレームレートは、同一であるとする。
【0041】
非圧縮画像データ31a,31bは、横6個×縦4個のマクロブロックで構成されている。非圧縮画像データ31aのマクロブロックには、左上から右下に向かってMa0〜Ma23の番号が付与されている。非圧縮画像データ31bのマクロブロックには、左上から右下に向かってMb0〜Mb23の番号が付与されている。
【0042】
グループ生成部211には、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックの区分に用いられる区分単位が設定されている。非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックが区分単位に基づいて区分されることにより、MBグループが生成される。
【0043】
区分単位として、フレーム、マクロブロックライン、及びマクロブロックのいずれかを設定することができる。マクロブロックライン(以下、「MBライン」と呼ぶ。)は、非圧縮画像データ31a,31bの横方向に一列に並ぶ複数のマクロブロックにより構成される。後述するように、区分単位は、フレーム、MBライン、及びマクロブロックに限定されない。
【0044】
区分単位としてフレームが設定されていた場合、非圧縮画像データ31aのマクロブロックMa0〜Ma23が、第1MBグループとして区分される。非圧縮画像データ31bのマクロブロックMb0〜Mb23が、第2MBグループとして区分される。
【0045】
区分単位としてMBラインが設定されていた場合、マクロブロックMa0〜Ma23は、第1MBグループとしてMBラインLa1,La2,La3,La4のいずれかに区分される。マクロブロックMb0〜Mb23は、第2MBグループとしてMBラインLb1,Lb2,Lb3,Lb4のいずれかに区分される。
【0046】
区分単位としてマクロブロックが設定されていた場合、マクロブロックMa0〜Ma23のそれぞれが第1MBグループとして区分される。マクロブロックMb0〜Mb23のそれぞれが第2MBグループとして区分される。
【0047】
区分単位は、一つ以上のマクロブロックによりMBグループが構成されるように設定されていればよい。たとえば、区分単位として4個のマクロブロックが設定されている場合、非圧縮画像データ31aのマクロブロックMa0〜Ma3,Ma4〜Ma7などが、第1MBグループとして区分される。
【0048】
{2.3.符号化順序決定部212の処理内容}
符号化順序決定部212の処理内容について説明する。上述したように、符号化順序決定部212は、マクロブロックの符号化順序を決定する。
【0049】
非圧縮画像データ31a,31bのフレームは、同期がとれた状態で画像符号化装置2に入力される。同期して入力された非圧縮画像データ31a,31bのフレームが、決定された符号化順序に従ってMBグループごとに符号化される。
【0050】
以下、第1MBグループ及び第2MBグループが、フレーム単位、MBライン単位及びマクロブロック単位で生成された場合における、MBグループの符号化順序について説明する。
【0051】
図4は、フレーム単位でMBグループが生成された場合における符号化順序を示す図である。この場合、非圧縮画像データ31aのマクロブロックMa0〜Ma23が第1MBグループとして区分される。非圧縮画像データ31bのマクロブロックMb0〜Mb23が第2MBグループとして区分される。
【0052】
符号化順序決定部212は、マクロブロックMa0〜Ma23(第1MBグループ)を最初に符号化した後に、マクロブロックMb0〜Mb23(第2MBグループ)を符号化するように符号化順序を決定する。つまり、同期して入力された非圧縮画像データ31aのフレームFaと、非圧縮画像データ31bのフレームFbとが交互に符号化される。
【0053】
図5は、MBライン単位でMBグループが生成された場合における符号化順序を示す図である。この場合、符号化順序決定部212は、MBラインLa1,Lb1,La2,Lb2,・・・,La4,Lb4の順に符号化されるように、符号化順序を決定する。つまり、非圧縮画像データ31aのMBラインと非圧縮画像データ31bのMBラインとが交互に符号化されるように、符号化順序が決定される。
【0054】
図6は、マクロブロック単位でMBグループが生成された場合における符号化順序を示す図である。この場合、符号化順序決定部212は、マクロブロックMa0,Mb0,Ma1,Mb1,Ma2,Mb2,・・・,Mb22,Ma23,Mb23の順に符号化されるように、符号化順序を決定する。つまり、非圧縮画像データ31aのマクロブロックと非圧縮画像データ31bのマクロブロックとが交互に符号化されるように、符号化順序が決定される。
【0055】
このように、符号化順序決定部212は、第1MBグループ及び第2MBグループが交互に符号化されるように、MBグループの符号化順序を決定する。
【0056】
{2.4.符号化部22及び多重化部23の処理内容}
符号化部22及び多重化部23の処理内容について詳しく説明する。以下、MBライン単位でMBグループが生成された場合を例にして、図5を参照しながら説明する。
【0057】
符号化制御部21は、MBグループ情報51及び順序情報52を符号化部22に出力する。MBグループ情報51は、第1MBグループ及び第2MBグループを構成するマクロブロックを特定する情報である。順序情報52は、第1MBグループ及び第2MBグループの符号化順序を示す情報である。
【0058】
符号化部22は、順序情報52に基づいて、最初に符号化するMBラインLa1を特定する。符号化部22は、MBラインLa1を構成するマクロブロックMa0〜Ma5をMBグループ情報51に基づいて特定して符号化する。符号化されたマクロブロックMa0〜Ma5は、非圧縮画像データ31aの符号化データ32aとして多重化部23へ出力される。
【0059】
符号化部22は、順序情報52に基づいて、MBラインLa1の次に符号化するMBラインLb1を特定する。符号化部22は、MBラインLb1を構成するマクロブロックMb0〜Mb5をMBグループ情報51に基づいて特定して符号化する。符号化されたマクロブロックMb0〜Mb5は、非圧縮画像データ31bの符号化データ32bとして多重化部23へ出力される。以下、図5に示す順序に従って、MBラインLa2,Lb2,Lb3・・・を構成するマクロブロックが符号化される。
【0060】
多重化部23は、MBグループ情報51を入力する。MBラインLa1に対応する符号化データ32aが、多重化部23に最初に入力される。次に、MBラインLb1に対応する符号化データ32bが、多重化部23に入力される。多重化部23は、入力された順に符号化データ32a,32bを配列して、多重化圧縮データ33を生成する。
【0061】
図7は、多重化圧縮データ33の構成を示す模式図である。多重化圧縮データ33は、ストリームヘッダ34と、ストリームデータSa1,Sb1,Sa2,・・・とを備える。ストリームヘッダ34は、多重化圧縮データ33の再生時に使用する制御情報などを含む。
【0062】
ストリームデータSa1,Sb1,Sa2,・・・は、MBラインLa1,Lb1,La2,・・・に対応する。ストリームデータSa1において、符号化データ32aは、MBラインLa1のマクロブロックMa0〜Ma5が符号化されたデータである。ストリームデータSa1のグループヘッダ35は、MBグループ情報51に基づいて生成され、非圧縮画像データ31aの識別情報と、MBラインLa1を特定する情報とを含む。
【0063】
ストリームデータSb1において、符号化データ32bは、MBラインLb1のマクロブロックMb0〜Mb5が符号化されたデータである。グループヘッダ35は、非圧縮画像データ31bの識別情報と、MBラインLb1を特定する情報とを含む。
【0064】
このように、MBグループごと符号化されたマクロブロックが符号化順に配列されることにより、多重化圧縮データ33が生成される。多重化部23は、符号化データ32a,32bが入力されるたびにストリームデータを生成する。生成されたストリームデータは、多重化圧縮データ33として監視装置4a,4bへ順次送信される。画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bのうちMBグループに対応するデータが入力されていれば、非圧縮画像データ31a,31bの符号化を開始することができる。したがって、非圧縮画像データ31a,31bの符号化に伴って発生する遅延を短縮することができる。
【0065】
MBグループがフレーム単位で構成された場合、及びマクロブロック単位で構成された場合における符号化部22及び多重化部23の処理は、符号化データ32a,32bがフレーム単位またはマクロブロック単位で生成される点を除いて上記と同様である。
【0066】
{3.監視装置4aの詳細}
監視装置4a,4bは、多重化圧縮データ33を受信する。監視装置4a,4bは、受信した多重化圧縮データ33の逆多重化及び復号化を行って、カメラ1a,1bに対応する復号化データを生成する。これにより、カメラ1a,1bの映像が、監視装置4aに表示される。監視装置4aは、カメラ1a,1bの映像が同期して表示されるように、カメラ1a,1bに対応する復号化データの表示タイミングを制御する。
【0067】
上述したように、監視装置4aがカメラ1a,1bが撮影した映像を同期して表示するケースを例として、監視装置4aの詳細を説明する。監視装置4bの構成及び動作は、監視装置4aと同様であるため、その詳細な説明を省略する。
【0068】
{3.1.監視装置4aの構成}
図8は、監視装置4aの機能的構成を示すブロック図である。監視装置4aは、通信部41と、逆多重化部42と、復号化部43と、表示制御部44と、表示部45とを備える。
【0069】
通信部41は、無線通信を利用して、多重化圧縮データ33を受信する。逆多重化部42は、多重化圧縮データ33を逆多重化する。カメラ1a,1bに対応する符号化データ32a,32bと、グループヘッダ35とが、多重化圧縮データ33から抽出される。
【0070】
復号化部43は、符号化データ32a,32bを復号化して復号化データ36a,36bを生成する。復号化データ36aは、非圧縮画像データ31aの第1MBグループを構成するマクロブロックの復号画像に対応する。復号化データ36bは、非圧縮画像データ31bの第2MBグループを構成するマクロブロックの復号画像に対応する。
【0071】
表示制御部44は、多重化圧縮データ33に含まれるグループヘッダ35に基づいて、復号化データ36a、36bを表示部45に表示するタイミングを制御する。
【0072】
{3.2.表示タイミングの制御}
監視装置4aにおいて、復号化部43の数は一つであるため、符号化データ32a,32bは、同時に復号化されない。復号化部43は、符号化データ32a、32bを交互に符号化する。
【0073】
具体的には、通信部41は、多重化圧縮データ33を継続的に受信している。監視装置4aは、ストリームデータSa1,Sb1,・・・(図7参照)を受信するたびに、符号化データ32a,32bを抽出して復号化する。図7に示すように、多重化圧縮データ33において、符号化データ32a,32bは、生成された順に交互に配列されている。したがって、符号化データ32a,32bは、画像符号化装置2により符号化された順に復号化される。
【0074】
上述したように、カメラ1a,1bが生成した非圧縮画像データ31a,31bのフレームは、同期して画像符号化装置2に入力される。監視装置4a,4bでカメラ1a,1bの映像をリアルタイムに表示する場合、復号化データ36a,36bを同期して表示部45に表示する必要がある。
【0075】
しかし、復号化部43が符号化データ32a,32bを交互に復号化して復号化データ36a,36bを生成するため、復号化データ36a,36bを表示部45に表示可能となるタイミングにずれが生じる。このため、表示制御部44は、復号化データ36a,36bが同期して表示部45に表示されるように、復号化データ36a,36bを復号化部43から出力するタイミングを制御する。
【0076】
以下、復号化データ36a,36bの表示タイミングを、図9を用いて、MBグループの区分単位ごとに詳しく説明する。
【0077】
図9は、符号化データ32a,32bが復号化される期間を、MBグループを生成した区分単位ごとに示した図である。図9において、上から順に、フレーム単位、MBライン単位、及び一つのマクロブロック単位のMBグループを示している。太い実線は、符号化データ32a,32bが復号化される期間を示す。図9において、マクロブロックの符号の表示を一部省略している。
【0078】
符号化データ32a,32bの復号化に要する時間(MB復号化時間)は、全てのマクロブロックで同じであると仮定する。MB復号化時間は、1マクロブロックの復号画像を表示部45に表示するために必要な時間(MB表示時間)よりも短いと仮定する。
【0079】
(フレーム単位でMBグループが生成された場合)
フレーム単位でMBグループが生成された場合、非圧縮画像データ31aのフレームFa、非圧縮画像データ31bのフレームFbの順に符号化される(図4参照)。このため、フレームFaに対応する符号化データ32aは、時刻T0〜T7の期間に最初に復号化される。符号化データ32aの復号化が終了した時刻T7の時点で、フレームFaは、表示部45に表示されない。これは、フレームFa,Fbを同期して監視装置4aの表示部45に表示させるためである。
【0080】
フレームFbに対応する符号化データ32bの復号化は、時刻T7から開始される。フレームFbの先頭マクロブロック(マクロブロックMb0)の復号化が終了する時刻T8において、表示制御部44は、復号化データ36a,36bの出力を復号化部43に指示する。この理由は、MB復号化時間がMB表示時間よりも短いため、マクロブロックMb0の復号化が終了した後に、符号化データ32bの復号化と、マクロブロックMb1〜Mb23の復号画像の表示とを並行して行うことが可能となるためである。
【0081】
したがって、カメラ1a,1bの映像の同期表示は、時刻T8から開始される。フレーム単位でMBグループが生成された場合、多重化圧縮データ33の復号化に伴って発生する遅延時間は、T8−T0(ミリ秒)となる。
【0082】
(MBライン単位でMBグループが生成された場合)
上述したように、非圧縮画像データ31aのMBラインLa1〜La4と、非圧縮画像データ31bのMBラインLb1〜Lb4は、MBラインLa1,Lb1,La2,Lb2,・・・の順に符号化される(図5参照)。このため、MBラインLa1に対応する符号化データ32aが最初に復号化される。次に、MBラインLb1に対応する符号化データ32bが復号化される。
【0083】
図9に示すように、MBラインLa1に対応する符号化データ32aは、時刻T0〜T3の期間に復号化される。MBラインLa1,Lb1を同期表示するため、表示制御部44は、時刻T3の時点で、MBラインLa1を表示部45に表示されない。
【0084】
MBラインLb1に対応する符号化データ32bの復号化は、時刻T3から開始される。MBラインLb1の先頭マクロブロック(マクロブロックMb0)の復号化が終了する時刻T4に、表示制御部44は、MBラインLa1,Lb1に対応する復号化データ36a,36bの出力を復号化部43に指示する。この理由は、時刻T8にフレームFa,Fbの表示を開始する理由と同じである。カメラ1a,1bの映像の同期表示は、時刻T4に開始される。以下、他のMBラインの同期表示が、同様に実行される。MBライン単位でMBグループが生成された場合、多重化圧縮データ33の復号化に伴って発生する遅延時間は、T4−T0(ミリ秒)となる。
【0085】
(マクロブロック単位でMBグループが構成された場合)
上述したように、非圧縮画像データ31aのマクロブロックMa0,Ma1,・・・と、非圧縮画像データ31bのマクロブロックMb0,Mb1,・・・とが交互に符号化される(図6参照)。このため、マクロブロックMa0に対応する符号化データ32aが最初に復号化される。次に、マクロブロックMb0に対応する符号化データ32bが復号化される。
【0086】
図9に示すように、マクロブロックMa1に対応する符号化データ32aは、時刻T0〜T1の期間に復号化される。マクロブロックMa0,Mb0を同期表示するため、表示制御部44は、時刻T1の時点で、マクロブロックMa0を表示部45に表示させない。
【0087】
マクロブロックMb0に対応する符号化データ32bの復号化は、時刻T1から開始される。表示制御部44は、マクロブロックMb0の復号化が終了する時刻T2に、マクロブロックMa0,Mb0に対応する復号化データ36a,36bの出力を復号化部43に指示する。したがって、カメラ1a,1bの映像の同期表示は、時刻T2に開始される。以下、他のマクロブロックの同期表示が、同様に実行される。この結果、多重化圧縮データ33の復号化に伴って発生する遅延時間は、T2−T0(ミリ秒)となる。
【0088】
図9に示すように、MBグループの区分単位が細かくなるにつれて、同期表示が開始されるまでの時間が短くなる。つまり、区分単位を細かくすることにより、カメラ1a,1bの映像が表示部45に表示されるまでの遅延時間を短くすることができる。区分単位を細かく設定した場合、多重化圧縮データ33から符号化データ32a,32bを抽出する回数が増加する。このように、区分単位を細かく設定した場合、逆多重化処理などでオーバーヘッドが増加するため、監視装置4aの負荷が増加する。
【0089】
このため、画像符号化装置2は、非圧縮画像データ31a,31bの特性に応じて区分単位を設定することが望ましい。グループ生成部211が、非圧縮画像データ31a,31bの動きの大きさを検出し、検出した動きの大きさに基づいて区分単位を変更してもよい。非圧縮画像データ31a,31bが動きの大きい画像であれば、画像符号化装置2は、リアルタイム性を重視して、区分単位としてマクロブロックを設定する。非圧縮画像データ31a,31bが動きの少ない画像であれば、監視装置4aの負荷を小さくするために、区分単位としてフレームを設定する。非圧縮画像データ31a,31bの動きが中間程度であれば、区分単位としてMBラインを設定すればよい。また、カメラ1a,1bが非圧縮画像データ31a,31bとともに、区分単位を指定する情報を画像符号化装置2に出力してもよい。
【0090】
本実施の形態では、監視装置4aがカメラ1a,1bの両者の映像を表示する例を説明した。しかし、監視装置4aにカメラ1aの映像のみを表示させ、監視装置4bにカメラ1bの映像のみを表示させることも可能である。この場合であっても、上述の表示タイミングの制御が実行されることにより、監視装置4a,4bにおいて、カメラ1a,カメラ1bの映像を同期表示することが可能となる。
【0091】
たとえば、MBライン単位で非圧縮画像データ31a,31bが符号化されていた場合、監視装置4aの表示部45には、時刻T4からMBラインLa1の表示が開始される。監視装置4bの表示部45には、時刻T4からMBラインLb1の表示が開始される。監視装置4a,4bで符号化データ32a,32bの復号化をそれぞれ行うことにより、カメラ1a,1bの映像を同期表示することができる。したがって、同期表示のために監視装置4a,4bの間で通信等を行わなくてもよい。
【0092】
監視装置4aは、表示対象のカメラに対応する符号化データの復号化のみを行ってもよい。監視装置4aは、符号化データの復号化が終了し、かつ1個のマクロブロックの復号化が終了した時間が経過した後に、復号化データを表示部45に表示させればよい。
【0093】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロック数が同じであるときの処理を説明した。本実施の形態では、非圧縮画像データ31a,31bのフレームレートが同じであるが、マクロブロック数が異なる場合を説明する。以下、上記実施の形態と共通の点についてはその説明を省略する。
【0094】
図10は、本実施の形態に係る非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックの構成を示す図である。非圧縮画像データ31aのマクロブロックの構成は、図3と同様である。非圧縮画像データ31bは、横4個×縦3個の12個のマクロブロックMb0〜Mb12で構成されている。つまり、非圧縮画像データ31aのマクロブロック数が、非圧縮画像データ31bのマクロブロック数の2倍(整数倍)となっている。
【0095】
{MBグループの構成}
フレーム単位及びマクロブロック単位でMBグループが生成される場合、MBグループの生成処理は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0096】
MBライン単位でMBグループが生成される場合、MBグループは、画像サイズが小さい非圧縮画像データ31bのMBラインに合わせて生成される。非圧縮画像データ31bのMBラインにおいて、マクロブロックの数は4個である。図10において、実線は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックがMBライン単位で区分された状態を示す。非圧縮画像データ31aのMBグループ(第1MBグループ)と、非圧縮画像データ31bのMBグループ(第2MBグループ)とは、4個のマクロブロックにより構成されていることがわかる。
【0097】
{MBグループの符号化順序の決定}
図10に示す非圧縮画像データ31a,31bのMBグループの符号化順序について、区分単位ごとに説明する。
【0098】
MBグループがフレーム単位で生成された場合、上記実施の形態と同様に、フレームFa,Fbが交互に符号化されるように符号化順序が決定される。
【0099】
MBグループがマクロブロック単位またはMBライン単位で生成された場合、符号化順序決定部212は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロック数の比率に基づいて、符号化順序を決定する。以下、MBグループがマクロブロック単位で生成されたケースを例にして符号化順序について説明する。
【0100】
図11は、図10に示す非圧縮画像データ31a,31bのMBグループをマクロブロック単位で生成した場合における符号化順序を示す図である。図11に示すように、符号化順序決定部212は、マクロブロックMa0,Ma1,Mb0,Ma2,Ma3,Mb1,・・・の順に符号化されるように、符号化順序を決定する。つまり、2個の第1MBグループが符号化された後に、1個の第2MBグループが符号化される。
【0101】
非圧縮画像データ31aと非圧縮画像データ31bとのマクロブロックの比率が2:1である(図10参照)。このため、符号化順序決定部212は、第1MBグループと第2MBグループとが2:1の比率で符号化されるように、符号化順序を決定する。ただし、マクロブロック数の少ない非圧縮画像データ31bの第2MBグループは、連続して符号化されないことが条件となる。
【0102】
監視装置4aでは、マクロブロックMa0,Ma1に対応する符号化データ32aが最初に復号化される。次に、マクロブロックMb0に対応する符号化データ32bが復号化される。マクロブロックMb0(第2MBグループの先頭マクロブロック)の復号化が終了したときに、復号化されたマクロブロックMa0,Ma1,Mb0が表示部45に表示される。これにより、監視装置4aでカメラ1a,1bの映像を同期表示させる場合に、カメラ1a,1bの映像フレームの表示が開始される時間と、映像フレームの表示が完了する時間とを揃えることができる。
【0103】
{マクロブロックの比率が整数倍でない場合}
本実施の形態では、非圧縮画像データ31aのマクロブロック数が、非圧縮画像データ31bのマクロブロック数の整数倍である場合を説明した。しかし、非圧縮画像データ31aのマクロブロック数が、非圧縮画像データ31bのマクロブロック数の整数倍でなくてもよい。
【0104】
図12は、非圧縮画像データ31a,31bのマクロブロックの構成を示す図である。非圧縮画像データ31aのマクロブロックの構成は、図3と同様である。非圧縮画像データ31bは、横5個×縦3個の15個のマクロブロックMb0〜Mb14で構成されている。非圧縮画像データ31aのマクロブロックの数は、非圧縮画像データ31bのマクロブロック数の整数倍となっていない。
【0105】
図13は、図12に示す非圧縮画像データ31a,31bのMBグループをマクロブロック単位で生成した場合における、符号化順序を示す図である。図13に示すように、符号化順序は、マクロブロックMa0,Ma1,Mb0,Ma2,Mb1,Ma3,・・・の順となっている。つまり、マクロブロック数の少ない非圧縮画像データ31bのMBグループが連続して符号化されることのないように、符号化順序が決定される。
【0106】
[第3の実施の形態]
以下、本発明の第3の実施の形態について説明する。上記第1の実施の形態では、非圧縮画像データ31a,31bのフレームレートが同じであるケースを説明した。本実施の形態では、非圧縮画像データ31a,31bのフレームレートが異なる場合における、MBグループの符号化順序の決定について説明する。符号化順序の決定以外の処理については、上記実施の形態と同様である。
【0107】
図14は、非圧縮画像データ31a,31bの各フレームが画像符号化装置2に入力されるタイミングを示す図である。非圧縮画像データ31aのフレームレートを60fps、非圧縮画像データ31bのフレームレートを30fpsとする。
【0108】
図14に示すように、時刻T0,Tf,2Tfにおいて、非圧縮画像データ31aのフレームFaと、非圧縮画像データ31bのフレームFbとが同期して画像符号化装置2に入力される。時刻0.5Tf,1.5Tf,2.5Tfに、フレームFaのみが画像符号化装置2に入力される。ここで、フレームFbに同期しているフレームFaを、フレームFa0とする。フレームFbと同期しないフレームFaを、フレームFa1とする。
【0109】
図15は、非圧縮画像データ31a,31bのフレームレートが異なる場合における、符号化順序の一例を示す図である。図15は、MBライン単位でMBグループが生成された場合における符号化順序を示している。
【0110】
まず、符号化順序決定部212は、同期して入力されたフレームFa0,FbがMBラインごとに交互に符号化されるように、MBラインの符号化順序を決定する。具体的には、フレームFa0に対応するMBラインLa1が最初に符号化される。次に、フレームFbに対応するMBラインLb1が符号化される。以下、フレームFa0,FbのMBラインが交互に符号化される。
【0111】
フレームFbのMBラインMb4の符号化が終了した後に、フレームFa1のMBラインLa1〜La4が符号化される。この結果、同期して画像符号化装置2に入力されたフレームFa0,Fbを、監視装置4a,4bで同期して表示させることができる。
【0112】
[第4の実施の形態]
以下、本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態において、画像伝送システム100は、監視装置4a,4bに代えて、モニタ管理装置6を用いる。
【0113】
図16は、モニタ管理装置6の機能的構成を示すブロック図である。モニタ管理装置6及びモニタ61a,61bは、カメラ1a,1bが設置されたATMコーナーを遠隔監視するモニタ室に設置される。モニタ管理装置6と、モニタ61a,61bとは、映像伝送用のケーブルで接続されている。
【0114】
モニタ管理装置6は、通信部41と、逆多重化部42と、復号化部43と、出力制御部62とを備える。モニタ管理装置6は、多重化圧縮データ33を受信し、多重化圧縮データ31の逆多重化及び復号化を行う。多重化圧縮データ33の逆多重化及び復号化は、上記実施の形態と同様に行われる。
【0115】
出力制御部62は、カメラ1aに対応する復号化データ36aをモニタ61aに出力し、カメラ1bに対応する復号化データ36bをモニタ61bに出力する。このとき、出力制御部42は、監視装置4a,4bと同様に、カメラ1a,1bに表示される映像が同期するように、復号化データ36a,36bを出力するタイミングを制御する。このように、モニタ管理装置6を用いることによって、カメラ1a,1bの映像を複数のモニタに同期して表示させることができる。
【0116】
上記実施の形態では、二つの画像データ(非圧縮画像データ31a,31b)が画像符号化装置2に入力される例を説明した。しかし、画像符号化装置2に入力される非圧縮画像データの数は、三つ以上でもよい。この場合、入力された非圧縮画像データごとにMBグループが生成される。画像符号化装置は、各非圧縮画像データのMBグループが順番に符号化されるように符号化順序を決定する。
【0117】
上記実施の形態では、フレームが同期した非圧縮画像データ31a,31bがカメラ1a,1bから画像符号化装置2に入力される例を説明した。しかし、画像符号化装置2が、自装置の内部で、フレームが同期した非圧縮画像データ31a,31bを生成してもよい。
【符号の説明】
【0118】
1a,1b カメラ
2 画像符号化装置
4a,4b 監視装置
6 モニタ管理装置
21 符号化制御部
22 符号化部
23 多重化部
24,41 通信部
42 逆多重化部
43 復号化部
44 表示制御部
45 表示部
61a,61b モニタ
62 出力制御部
211 グループ生成部
212 符号化順序決定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像データと第2画像データとを圧縮する画像符号化装置であって、
設定された区分単位に基づいて、前記第1画像データの第1マクロブロックを区分して第1符号化グループを生成し、前記第2画像データの第2マクロブロックを区分して第2符号化グループを生成するグループ生成部と、
第1符号化グループと第2符号化グループとが交互に繰り返されるように、前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを符号化する符号化順序を決定する符号化順序決定部と、
前記符号化順序に基づいて、第1符号化グループごとに前記第1マクロブロックを符号化し、前記第2符号化グループごとに前記第2マクロブロックを符号化する符号化部と、
符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを、符号化された順に配列して多重化圧縮データを生成する多重化部と、
を備える画像符号化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像符号化装置において、
前記符号化順序決定部は、前記第1マクロブロックの数が前記第2マクロブロックの数よりも多い場合、前記第1符号化グループが連続するように符号化順序を決定することを許可する画像符号化装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像符号化装置において、
前記符号化順序決定部は、前記第1マクロブロックの数と前記第2マクロブロックの数との比率に基づいて、前記符号化順序を決定する画像符号化装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像符号化装置において、
前記第1画像データと前記第2画像データとは、フレームレートが互いに異なり、
前記符号化順序決定部は、前記第1画像データの第1フレームと前記第2画像データの第2フレームとが同期して入力された場合、前記第1フレームに対応する第1符号化グループと前記第2フレームに対応する第2符号化グループとが交互に繰り返されるように、前記符号化順序を決定する画像符号化装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像符号化装置において、
前記グループ生成部は、前記第1画像データの特性及び前記第2画像データの特性に応じて、前記区分単位を変更する画像符号化装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、
前記区分単位が、フレーム単位で前記グループ生成部に設定されている画像符号化装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、
前記区分単位が、水平方向に一列に配列されたマクロブロックのライン単位で前記グループ生成部に設定されている画像符号化装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像符号化装置において、
前記区分単位が、マクロブロック単位で前記グループ生成部に設定されている画像符号化装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の画像符号化装置と、
画像復号化装置と、
を備え、
前記画像符号化装置は、さらに、
前記多重化圧縮データを前記画像復号化装置に送信する送信部、
を備え、
前記画像復号化装置は、
前記多重化圧縮データを受信する受信部と、
符号化された前記第1マクロブロックを、受信した前記多重化圧縮データの先頭から順に抽出する逆多重化部と、
符号化された前記第1マクロブロックを抽出された順に復号化する復号化部と、
前記第1マクロブロックの復号化画像データと、前記第2マクロブロックの復号化画像データとを表示可能となったタイミングに、前記第1マクロブロックの復号化画像データを第1表示装置に出力する出力制御部と、
を備える画像伝送システム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像伝送システムにおいて、
前記逆多重化部は、符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを、前記多重化圧縮データの先頭から順に抽出し、
前記復号化部は、符号化された前記第1マクロブロック及び前記第2マクロブロックを抽出された順に復号化する画像伝送システム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像伝送システムにおいて、
前記出力制御部は、前記第1マクロブロックの復号化画像データを前記第1表示装置へ出力し、前記第2マクロブロックの復号化画像データを第2表示装置へ出力する画像伝送システム。
【請求項12】
第1〜第N画像データを圧縮する画像符号化装置であって、
kを1からNまでの自然数とした場合において、設定された区分単位に基づいて第k画像データの第kマクロブロックを区分して、第k符号化グループを生成するグループ生成部と、
第1符号化グループから第n符号化グループまでが交互に繰り返されるように、第1マクロブロックから第nマクロブロックを符号化する符号化順序を決定する符号化順序決定部と、
前記符号化順序に基づいて、前記第k符号化グループごとに前記第kマクロブロックを符号化する符号化部と、
符号化された前記第kマクロブロックを、符号化された順に配列して多重化圧縮データを生成する多重化部と、
を備える画像符号化装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−176709(P2011−176709A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40314(P2010−40314)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】