説明

画像表示を伴う車両のヘッドライト

【課題】光を放射するように構成される光源と、二次元配列の画素セルを含んだ空間光変調器とを含むヘッドライトを備えた車両を提供すること。
【解決手段】車両は、光を放射するように構成された光源と、車両の前の表示画像の中に画像画素を生成するデバイスとを備えているヘッドライトを含む。ヘッドライトによって投影された画像は、ドライバに、例えば車両が移動している道路の上に向けて情報を提供し得る。車両であって、光を放射するように構成される光源と、空間光変調器(SLM)であって、二次元配列の画素セルを含み、それぞれの該画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、空間光変調器とを備えているヘッドライトを備えている、車両。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
図1および図2を参照すると、車両100は、正面に通常は1つ以上のヘッドライト110および111を有し、暗闇の中、および雨または吹雪の中の路面を照らす。ヘッドライト110は、ライトバルブ120およびミラー121を含み得る。ライトバルブ120は、例えばハロゲンバルブまたはキセノンバルブであり得る。ライトバルブは、さまざまな色、例えばアークティックホワイト、ハイパーホワイト、ピュアブルー、紫または黄色などの光を放射し得る。ミラー121は、ライトバルブ120によって放射された光131〜133を、外に向けて車両の前方に導き得る。ライトバルブ120に印加される電力は、車両の運転手の制御の下で、電気スイッチによってオンまたはオフされ得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一般的な局面において、本発明は、車両に関し、該車両は、光を放射するように構成される光源と、二次元配列の画素セルを含んだ空間光変調器(SLM)とを含むヘッドライトを備え、それぞれの画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される。
【0004】
別の一般的な局面において、本発明は、車両に関し、該車両は、ヘッドライトであって、該ヘッドライトは、光を放射するように構成される光源と、二次元配列の画素セルを含む空間光変調器(SLM)とを含み、それぞれの画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、ヘッドライトと、該車両および運転状況についての第1のデータを格納するように構成されたコンピュータデバイスと、無線信号を受信するように構成されたアンテナと、該無線信号から第2のデータを抽出するように構成される、該アンテナに連結された受信器と、該第1のデータまたは該第2のデータのうちの少なくとも1つに応答して、該二次元配列の画素セルを制御するように構成される表示ドライバとを備えている。
【0005】
該システムの実装は、以下に列挙されるもののうちの1つ以上を含み得る。SLMの中の複数の画素セルのうちの1つは、光源から放射される光を反射することによって、表示画像の中に画像画素を形成するように構成される。SLMの中の複数の画素セルのうちの少なくとも1つは、基板によって支えられた傾斜可能ミラーを含み得、該傾斜可能ミラーは、「オン」位置に傾けられて光源から放射された光を反射することによって、表示画像の中に画像画素を形成し得、「オフ」位置に傾けられることによって、該光源から放射された該光を該表示画像から離して反射し得る。SLMの中の複数の画素セルのうちの1つは、光源から放射された光を透過させることによって、表示画像の中に画像画素を形成し得る。SLMは、透過型液晶デバイスを含み得る。ヘッドライトは、光源から放射された光をSLMの方向に反射するように構成されたミラーをさらに含み得る。ヘッドライトは、SLMからの光を投影することによって、車両の前の表示画像の中に画像画素を形成するように構成された投影システムをさらに含み得る。表示画像は、車両の前の路面に形成され得る。車両は、二次元配列の画素セルを制御することによって車両の前に表示画像を生成するように構成された、表示ドライバをさらに含み得る。車両は、アンテナ、受信器および表示ドライバをさらに含み、該アンテナは無線信号を受信するように構成され、該受信器は該アンテナと連結され、該無線信号からデータを抽出するように構成され、該表示ドライバは、該無線信号から抽出された該データに従って、二次元配列の画素セルを制御するように構成される。車両は、車両および運転状況についてのデータを格納するように構成されるコンピュータデバイスと、該コンピュータデバイスに格納された該データに応答して前記二次元配列の画素セルを制御するように構成された表示ドライバとをさらに備え得る。光源は、キセノンランプ、ハロゲンランプ、または発光ダイオードであり得る。
【0006】
実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を含み得る。開示されるヘッドライトの潜在的な利点は、該ヘッドライトは、車両の運転手にとって有用な情報を表示し得るということである。開示されるヘッドライトの別の潜在的な利点は、有用な情報は、車両の前方かつ外側、すなわち運転中に運転手が見ている位置に表示されるということである。従って、運転手は、道路の状況を注視しながら情報を見得る。情報が安全に関するものである場合には、運転の安全性が、それ故に向上される。本明細書において記述されるヘッドライトを含む開示される車両の潜在的な利点は、外部ソースから受信した情報が時宜を得て表示され、運転手によって見られることによって、運転手は、より良好な運転の判断を下すことが可能となり得ることである。
【0007】
本発明は、特に複数の実施形態を参照して表示および記述されてきたが、形状および詳細においてさまざまな変更が、本発明の精神および範囲から逸脱することなくなされ得ることを、当業者は理解されたい。
【0008】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
【0009】
(項目1)
車両であって、
光を放射するように構成される光源と、空間光変調器(SLM)であって、二次元配列の画素セルを含み、それぞれの該画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、空間光変調器とを備えているヘッドライトを備えている、車両。
【0010】
(項目2)
上記SLMの中の複数の上記画素セルのうちの1つの画素セルは、上記光源から放射された上記光を反射することによって、上記表示画像の中に上記画像画素を形成するように構成される、項目1に記載の車両。
【0011】
(項目3)
上記SLMの中の上記複数の画素セルのうちの少なくとも1つは、基板によって支えられた傾斜可能ミラーを含み、該傾斜可能ミラーは、「オン」位置に傾けられて上記光源から放射された上記光を反射することによって、上記表示画像の中に画像画素を形成し、「オフ」位置に傾けられることによって、該光源から放射された該光を該表示画像から離れて反射するように構成された、項目2に記載の車両。
【0012】
(項目4)
上記SLMの中の上記複数の画素セルのうちの1つは、上記光源から放射された上記光を透過させることによって、上記表示画像の中に上記画像画素を形成するように構成される、項目1に記載の車両。
【0013】
(項目5)
上記SLMは、透過型液晶デバイスを含む、項目4に記載の車両。
【0014】
(項目6)
上記ヘッドライトは、上記光源から放射された上記光を上記SLMの方向に反射するように構成されたミラーをさらに含む、項目1に記載の車両。
【0015】
(項目7)
上記ヘッドライトは、上記SLMからの光を投影することによって、上記車両の前の上記表示画像の中に画像画素を形成するように構成された投影システムをさらに含む、項目1に記載の車両。
【0016】
(項目8)
上記表示画像は、上記車両の前の路面に形成される、項目1に記載の車両。
【0017】
(項目9)
上記二次元配列の画素セルを制御することによって、上記車両の前に上記表示画像を生成するように構成された表示ドライバをさらに含む、項目1に記載の車両。
【0018】
(項目10)
アンテナ、受信器および表示ドライバをさらに含み、該アンテナは無線信号を受信するように構成され、該受信器は該アンテナと連結され、該無線信号からデータを抽出するように構成され、該表示ドライバは、該無線信号から抽出された該データに従って、二次元配列の画素セルを制御するように構成される、項目1に記載の車両。
【0019】
(項目11)
上記車両および運転状況についてのデータを格納するように構成されるコンピュータデバイスと、
該コンピュータデバイスに格納された該データに応答して上記二次元配列の画素セルを制御するように構成された表示ドライバとをさらに備えている、項目1に記載の車両。
【0020】
(項目12)
上記光源は、キセノンランプ、ハロゲンランプ、または発光ダイオードを含む、項目1に記載の車両。
【0021】
(項目13)
車両であって、
ヘッドライトであって、該ヘッドライトは、光を放射するように構成される光源と、二次元配列の画素セルを含む空間光変調器(SLM)とを含み、それぞれの画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、ヘッドライトと、
該車両および運転状況についての第1のデータを格納するように構成されたコンピュータデバイスと、
無線信号を受信するように構成されたアンテナと、
該無線信号から第2のデータを抽出するように構成される、該アンテナに連結された受信器と、
該第1のデータまたは該第2のデータのうちの少なくとも1つに応答して、該二次元配列の画素セルを制御するように構成される表示ドライバと
を備えている、車両。
【0022】
(項目14)
上記SLMの中の複数の上記画素セルのうちの1つは、上記光源から放射される上記光を反射することによって、上記表示画像の中に上記画像画素を形成するように構成される、項目13に記載の車両。
【0023】
(項目15)
上記SLMの中の上記複数の画素セルのうちの少なくとも1つは、基板によって支えられた傾斜可能ミラーを含み、該傾斜可能ミラーは、「オン」位置に傾けられて上記光源から放射された上記光を反射することによって、上記表示画像の中に画像画素を形成し、「オフ」位置に傾けられることによって、該光源から放射された該光を該表示画像から離して反射するように構成された、項目14に記載の車両。
【0024】
(項目16)
上記SLMの中の上記複数の画素セルのうちの1つは、上記光源から放射された上記光を透過させることによって、上記表示画像の中に上記画像画素を形成するように構成される、項目13に記載の車両。
【0025】
(項目17)
上記SLMは、透過型液晶デバイスを含む、項目16に記載の車両。
【0026】
(項目18)
上記ヘッドライトは、上記光源から放射された上記光を上記SLMの方向に反射するように構成されたミラーをさらに含む、項目13に記載の車両。
【0027】
(項目19)
上記光源は、キセノンランプ、ハロゲンランプ、または発光ダイオードを含む、項目13に記載の車両。
【0028】
(項目20)
上記ヘッドライトは、上記SLMからの光を投影することによって、上記車両の前の上記表示画像の中に画像画素を形成するように構成された投影システムをさらに含む、項目13に記載の車両。
【0029】
(項目21)
上記表示画像は、上記車両の前の路面に形成される、項目13に記載の車両。
【0030】
(摘要)
車両は、光を放射するように構成された光源と、車両の前の表示画像の中に画像画素を生成するデバイスとを備えているヘッドライトを含む。ヘッドライトによって投影された画像は、ドライバに、例えば車両が移動している道路の上に向けて情報を提供し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
添付の図面は、明細書の一部の中に組み入れられ、かつ明細書の一部から取り入れられており、本発明の実施形態を図示し、記述とともに本発明の原理を説明するために役立つ。
【0032】
図3Aを参照すると、車両のヘッドライト310は、本明細書に従って、ライトバルブ120、ミラー121、および透過型空間光変調器(SLM)320を含み得る。光源120によって放射された光131〜133は、ミラー121によって透過型空間光変調器320に向けられる。光源120は、キセノンランプまたはハロゲンランプ、発光ダイオード、または他の発光デバイスであり得る。透過型SLM320は、表示ドライバによって制御され得る、二次元配列の画素セル(328、図3Bに示される)を含む。それぞれの画素において照明される光(すなわち、131〜133)の強度は、表示ドライバ340の制御の下で個別に変調されることによって、空間変調光331〜333を生成し得る。空間変調光331〜333は、投影システム330によって投影されることによって、車両100の前に表示領域335を形成し得る。表示領域335は、車両の前の路面上であり得る。
【0033】
透過性SLM320の実施例は、透過性液晶デバイス(LCD)である。透過性LCDは、二次元配列の液晶画素セルを含む。図3Bに示されるように、透過性LCDの中の画素セル328は、一組の偏光子321および322、一組の電極323および324、ならびに電極323と324との間の液晶材料を含む。偏光子321および322の偏光方向は、通常は、互いに直交するように並べられる。電極323と324との間の電圧は、表示ドライバ340によって制御され得る。画素セル328での電圧値は、電極323と324との間の液晶材料の配向を決定し得、それは、透過性LCDの中の画素セルを介して透過し得る光131の一部を修正し、光331を生成し得る。「オフ」の状態では、ほぼ全ての光131は、画素セル328によって塞がれる。「オン」の状態では、最大限の光131が、画素セル328を介して透過し得る。
【0034】
車両が動いている間に、表示ドライバ340は、SLM320の中の全ての画素セルを制御することによって、最大限の光の透過を可能にし得る。光331〜333は、故に、画像パターンを形成することなく、従来のヘッドライト(例えばヘッドライト110)と同様に表示領域335を照らし得る。
【0035】
表示ドライバ340はまた、受信器350から情報を受信し得る。受信器350は、アンテナ360と連結され得、該アンテナは、車両位置、地図と方角、気象情報、ニュース、宣伝などの情報を搬送する無線信号を受信し得る。無線信号は、全地球測位システム(GPS)、あるいはWIFI、WI−Max、セルラー、または他の無線規格に基づいた無線システムから受信され得る。データは、無線信号から抽出され、関連情報は、表示領域335において画像パターン337として表示され得る。表示ドライバ340はまた、車両のコンピュータデバイス345からデータを受信し得る。データは、時刻、走行距離および車両速度などの運転状況、ならびに車両が動いている方向などの情報を搬送し得る。運転および制御の情報は、画像パターン337の中に表示され得る。運転手が点滅器を点けて車両が向きを変える意思を示すときに、矢印が画像パターン337に表示されることによって、車両が向きを変える方向を示し得る。
【0036】
光源120に印加される電力は、光源120をオンまたはオフし得る電力制御370によって制御される。通常は、車両の運転手または電子機器が、電力制御370にオンまたはオフの指示を送る。電力制御370はまた、表示ドライバ340に電力を供給することによって、光源120がオンになった後に、光131〜133の空間光変調を可能にする。電力制御370はまた、車両の外の光のレベルおよび/または湿度の状態によって制御され得る。例えば、電力制御370は、暗いときまたは雨天時に自動的にヘッドライトをオンにして、明るいときまたは雨が止んだときにはヘッドライト310をオフにし得る。
【0037】
図4を参照すると、本明細書に従ったヘッドライト410は、反射型SLM420を含み得る。SLM420は、マイクロミラーアレイを含み得る。各マイクロミラーは、傾斜可能ミラープレートを含み、該ミラープレートは、基板に接続されたヒンジ支柱によって支えられ得るヒンジの周りを傾き得る。傾斜可能ミラープレートの傾きは、受信器350またはコンピュータデバイス345から受信したデータに応答して、表示ドライバ340によって制御され得る。傾斜可能ミラープレートは、「オン」位置に傾けられ、光源310から放射された光131〜133を反射することによって、光331〜333を生成し得、該光331〜333は、表示領域335に画像パターン337を形成し得る。傾斜可能ミラープレートはまた、「オフ」位置に傾けられ、光源310から放射された光131〜133を反射することによって、表示領域335から離れて伝わる光336〜338を生成し得る。機械的停止部が、ミラープレートの傾斜運動を停止させるために基板に提供され、「オン」および「オフ」位置でのミラープレートの配向を画定し得る。マイクロミラーの構造および操作についての詳細は、例えば「High contrast spatial light modulator and method」と題する、同一人に譲渡された米国特許第7,167,298号、「High contrast spatial light modulator」と題する、2004年10月26日に出願された米国特許出願第10/974,461号、および「Non−contact micro mirrors」と題する、2006年10月27日に出願された米国特許出願第11/553,886号に開示され、それらの内容は、本明細書において参考として援用される。
【0038】
図5を参照すると、画像を投影することが可能なヘッドライトを装備した車両500は、多くの位置のうちの1つ以上において画像を投影し得る。車両は、2つのヘッドライト310Lおよび310Rを有する。図5におけるヘッドライト310Lおよび310Rは、ロービームのヘッドライトであるが、ヘッドライトの記述は、車両500の他の光、例えばハイビーム、フォグライト、補助ライトまたは他のライトに当てはめられ得る。光が、領域505に投影されることによって、運転手は、光が少ない状況の間に、道路を見ることができる。ヘッドライト310Lおよび310Rは、領域510において、ヘッドライトから約350フィートの範囲内の位置の運転面に、最も遠い光を投影する。領域510は、車両の前の約10〜350フィートの間であり、例えば車両から約10〜100フィートの間、車両から約10〜60フィートの間、または車両から約20〜60フィートの間などであり得る。領域520は車両500により近い領域であり、該領域は、ヘッドライト310Lおよび310Rは道路を照らすが、運転中に運転手の視線が向けられる道路よりも、通常は車両により近い。領域520は、車両から約5〜40フィートの間であり、例えば、車両から約5〜25フィートの間、または車両から約5〜20フィートの間であり得る。2つのヘッドライト310Lおよび310Rの間を車両の長手方向に走る中央線の左右は、右領域530Rおよび左領域530Lである。
【0039】
一部の実施形態において、画像、例えばシンボル、パターン、ロゴまたはメッセージが、一度に1つの領域510、520、530L、または530Rだけに投影される。これは、画像によって引き起こされる、運転中の運転手に対するあらゆる気を散らすものを低減させ得る。あるいは、複数の画像が、同一または異なる領域510、520、530L、または530Rに同時に投影され得る。一部の実施形態において、投影された画像は、領域510の中にある。領域510の中の運転面は、車両により近い領域ほどは明るく照らされていないので、画像は、周囲のヘッドライトの照明よりも明るく作られ得る。あるいは、画像は、さまざまな色、例えば赤色、青色、緑色または黄色であり得、あるいは周囲のヘッドライトよりも薄暗くあり得る。さまざまな色は、ヘッドライト310Lおよび310R内の彩色された光源によって達成され得るか、または白色の光源から彩色された光を提供する構成要素、例えばビームスプリッターを用いて達成され得る。
【0040】
一部の実施形態において、車両500は、例えば対向車両からの光を検知することによって対向車両が近づいていることを感知するセンサを含む。対向車両が検知された場合には、ヘッドライトによって表示される画像は、下に傾けられるか、または暗くなるかオフにされ、その結果として、対向車両は、車両500からの画像を見ることがない。一部の実施形態において、画像を形成する構成要素は、画像を形成するデバイスの位置を調節することによって、画像を下方向に調節する。SLMが画像を形成するときに、それまでに画像を形成していたミラーは、運転のための光を生成するように位置を変えられ得、運転のための光を形成するようにそれまでに用いられたミラーは、画像を形成するように位置を変えられ得る。
【0041】
画像が領域530Lまたは530Rの中にある場合には、画像は、運転手に方向を変えるように指示するか、または車両のその側に注意を集中させるように指示し得る。例えば、図6で示されるように、領域530Rの中の右矢印540の画像は、運転手に右に曲がるように指示し得るか、または運転手に所望の目的地、例えばレストランまたは駐車場が車両の右側にあるということを知らせ得る。数字が矢印とともに示され得、曲がり角または目的地までの距離が示される。
【0042】
一部の実施形態において、ヘッドライトは方向性を有し、車が向きを変える際に、ヘッドライトも向きを変える。画像は、ヘッドライト310Rまたは310Lによって投影されるので、画像は、方向性を有するヘッドライトとともに向きを変え得る。
【0043】
本明細書において記述された光に加えて、光源は、レーザー光であり得る。レーザー光は、運転中に夜でも運転手が見えるように提供される光に、より良好なコントラストを提供することが可能であり得る。または、レーザー光は、運転手が日中に画像を見るために十分な光を提供し得る。レーザー光が画像を形成するために用いられるときには、対向車両の方向に向けられ得るあらゆる光は、車両が近づいているときには遮断され得る。
【0044】
上記のように、画像を見るための運転手の能力を高めるために、画像は、ヘッドライトによって提供される残りの光に対してコントラストをつけられる。異なる色から画像を形成することによって、暗いスペースを用いるか光を用いずに画像の輪郭を描くか、あるいは周囲の光よりも明るい画像を形成することによって、コントラストが提供される。これらの技術は、画像領域510、520、530L、または530Rのうちのいずれにおいてもコントラストを増加させるように用いられ得る。
【0045】
画像を見るための運転手の能力を高める別の技術は、シンボルなどの単純で大きな画像、例えば矢印、数字またはロゴなどを提供することである。単純で大きな画像はまた、画像が投影される平坦でない路面のために起こり得る、キーストーン効果(keystoning)の好ましくない効果を低減させる。一部の実施形態において、FORD、SONYまたは他の企業名またはロゴなどの企業名が、ヘッドライトによって投影される。従って、車両は、宣伝目的で用いられ得る。
【0046】
開示されるヘッドライトの潜在的な利点は、該ヘッドライトは、車両の運転手にとって有用な情報を表示し得るということである。開示されるヘッドライトの別の潜在的な利点は、有用な情報は、車両の前方かつ外側、すなわち運転中に運転手が見ている位置に表示されるということである。従って、運転手は、道路の状況を注視しながら情報を見得る。情報が安全に関するものである場合には、運転の安全性が、それ故に向上される。本明細書において記述されるヘッドライトを含む開示される車両の潜在的な利点は、外部ソースから受信した情報が時宜を得て表示され、運転手によって見られることによって、運転手は、より良好な運転の判断を下すことが可能となり得ることである。
【0047】
開示されるシステムおよび方法は、上述の空間光変調器に限定されないことを理解されたい。他の種類のSLMデバイスおよび他の構成が、開示される車両のヘッドライトにおいて用いられ得る。開示されるヘッドライトによって放射される光は、さまざまな色、例えば白色、赤色、緑色、青色、黄色、マジェンタ、およびシアンを含み得る。開示されるヘッドライトによって生成される表示は、カラー画像を含み得る。カラー画像は、例えば二次元配列において緑色、赤色および青色の画素を並んで生成し得るカラーフィルタアレイによって形成され得る。カラー画像はまた、一連の単一色の画像(赤色、緑色および青色)を生成し得、かつ互いの色を重ね合わせることによってカラー画像を形成し得る、カラーホイールによって生成され得る。開示されるヘッドライトは、ライトバルブ、発光ダイオード、および他の発光デバイスを含み得るような、光源を一般的に含み得る。開示される車両はまた、一次的なヘッドライトおよび二次的なヘッドライトを含み得る。例えば、開示される車両は、SLMを含む一次的なヘッドライト、およびSLMなしの従来のヘッドライトに類似した二次的なヘッドライトを含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、例示的な車両を図示する。
【図2】図2は、従来のヘッドライトの模式図である。
【図3A】図3Aは、本明細書に従った、透過型空間光変調器を有する、例証のヘッドライトの模式図である。
【図3B】図3Bは、図3Aの透過型空間光変調器の中の画素セルの模式図である。
【図4】図4は、本明細書に従った、反射型空間光変調器を有する、別の例証のヘッドライトの模式図である。
【図5】図5は、ヘッドライトを有する車両の模式図である。
【図6】図6は、画像を投影しているヘッドライトを有する車両の模式図である。
【符号の説明】
【0049】
120 光源
121 ミラー
131〜133 光
310 ヘッドライト
320 透過型空間光変調器(SLM)
330 投影システム
331〜333 空間変調光
335 表示領域
340 表示ドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両であって、
光を放射するように構成される光源と、空間光変調器(SLM)であって、二次元配列の画素セルを含み、それぞれの該画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、空間光変調器とを備えているヘッドライトを備えている、車両。
【請求項2】
前記SLMの中の複数の前記画素セルのうちの1つの画素セルは、前記光源から放射された前記光を反射することによって、前記表示画像の中に前記画像画素を形成するように構成される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記SLMの中の前記複数の画素セルのうちの少なくとも1つは、基板によって支えられた傾斜可能ミラーを含み、該傾斜可能ミラーは、「オン」位置に傾けられて前記光源から放射された前記光を反射することによって、前記表示画像の中に画像画素を形成し、「オフ」位置に傾けられることによって、該光源から放射された該光を該表示画像から離れて反射するように構成された、請求項2に記載の車両。
【請求項4】
前記SLMの中の前記複数の画素セルのうちの1つは、前記光源から放射された前記光を透過させることによって、前記表示画像の中に前記画像画素を形成するように構成される、請求項1に記載の車両。
【請求項5】
前記SLMは、透過型液晶デバイスを含む、請求項4に記載の車両。
【請求項6】
前記ヘッドライトは、前記光源から放射された前記光を前記SLMの方向に反射するように構成されたミラーをさらに含む、請求項1に記載の車両。
【請求項7】
前記ヘッドライトは、前記SLMからの光を投影することによって、前記車両の前の前記表示画像の中に画像画素を形成するように構成された投影システムをさらに含む、請求項1に記載の車両。
【請求項8】
前記表示画像は、前記車両の前の路面に形成される、請求項1に記載の車両。
【請求項9】
前記二次元配列の画素セルを制御することによって、前記車両の前に前記表示画像を生成するように構成された表示ドライバをさらに含む、請求項1に記載の車両。
【請求項10】
アンテナ、受信器および表示ドライバをさらに含み、該アンテナは無線信号を受信するように構成され、該受信器は該アンテナと連結され、該無線信号からデータを抽出するように構成され、該表示ドライバは、該無線信号から抽出された該データに従って、二次元配列の画素セルを制御するように構成される、請求項1に記載の車両。
【請求項11】
前記車両および運転状況についてのデータを格納するように構成されるコンピュータデバイスと、
該コンピュータデバイスに格納された該データに応答して前記二次元配列の画素セルを制御するように構成された表示ドライバとをさらに備えている、請求項1に記載の車両。
【請求項12】
前記光源は、キセノンランプ、ハロゲンランプ、または発光ダイオードを含む、請求項1に記載の車両。
【請求項13】
車両であって、
ヘッドライトであって、該ヘッドライトは、光を放射するように構成される光源と、二次元配列の画素セルを含む空間光変調器(SLM)とを含み、それぞれの画素セルは、該車両の前の表示画像に画像画素を生成するように構成される、ヘッドライトと、
該車両および運転状況についての第1のデータを格納するように構成されたコンピュータデバイスと、
無線信号を受信するように構成されたアンテナと、
該無線信号から第2のデータを抽出するように構成される、該アンテナに連結された受信器と、
該第1のデータまたは該第2のデータのうちの少なくとも1つに応答して、該二次元配列の画素セルを制御するように構成される表示ドライバと
を備えている、車両。
【請求項14】
前記SLMの中の複数の前記画素セルのうちの1つは、前記光源から放射される前記光を反射することによって、前記表示画像の中に前記画像画素を形成するように構成される、請求項13に記載の車両。
【請求項15】
前記SLMの中の前記複数の画素セルのうちの少なくとも1つは、基板によって支えられた傾斜可能ミラーを含み、該傾斜可能ミラーは、「オン」位置に傾けられて前記光源から放射された前記光を反射することによって、前記表示画像の中に画像画素を形成し、「オフ」位置に傾けられることによって、該光源から放射された該光を該表示画像から離して反射するように構成された、請求項14に記載の車両。
【請求項16】
前記SLMの中の前記複数の画素セルのうちの1つは、前記光源から放射された前記光を透過させることによって、前記表示画像の中に前記画像画素を形成するように構成される、請求項13に記載の車両。
【請求項17】
前記SLMは、透過型液晶デバイスを含む、請求項16に記載の車両。
【請求項18】
前記ヘッドライトは、前記光源から放射された前記光を前記SLMの方向に反射するように構成されたミラーをさらに含む、請求項13に記載の車両。
【請求項19】
前記光源は、キセノンランプ、ハロゲンランプ、または発光ダイオードを含む、請求項13に記載の車両。
【請求項20】
前記ヘッドライトは、前記SLMからの光を投影することによって、前記車両の前の前記表示画像の中に画像画素を形成するように構成された投影システムをさらに含む、請求項13に記載の車両。
【請求項21】
前記表示画像は、前記車両の前の路面に形成される、請求項13に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−201407(P2008−201407A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−33822(P2008−33822)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(506141557)スペイシャル フォトニックス, インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】