説明

画像表示システム、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法

【課題】複数の画像表示装置に表示される色を合わせることが可能な画像表示システム、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法を提供する。
【解決手段】サーバーは、2つの画像表示装置のプロファイルに基づいて、xy色度図上における各画像表示装置の色域Ga,Gbを特定し、特定した2つの色域Ga,Gbが交わる領域を、双方の画像表示装置で共通に表示可能な共通色域Gwとして決定する。そして、サーバーは、クライアントシステムから入力される画像情報が表す色を、共通色域Gw内の色に変換するための変換テーブルを生成する。クライアントシステムからサーバーに画像情報が入力されると、サーバーは、生成した変換テーブルに基づいて、色を変換する処理(色変換処理)を行う。この色変換により、サーバーに入力された画像情報は、共通色域Gw内の色によって表される画像情報に変換され、カラーマッチングがなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の画像表示装置に画像を表示する画像表示システム、画像処理装置及び画像処理装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遠隔地間で会議を行うテレビ会議システムのように、異なる場所(拠点)に設置された複数の画像表示装置に共通の画像を表示するシステムにおいて、各拠点の画像表示装置の種類等が異なると、表示される画像の色(表示色)が異なってしまうため、複数の画像表示装置の表示色を合わせる技術が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、複数の画像表示装置(映像出力装置)の中の1つをマスターとして定め、各拠点において、画像表示装置の表示色をマスターに合わせるための色変換データを生成し、この色変換データに基づいて表示色を調整する技術が記載されている。マスターには、例えば、複数の画像表示装置の中で最も色再現範囲が狭い画像表示装置が選定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−268065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、各画像表示装置において、その色再現範囲とマスターの色再現範囲とのずれが大きい場合に、マスターの色再現範囲内の色を再現できないことが生じうるため、表示色を合わせることが困難であった。また、表示色を調整する色調整装置を各拠点に備える必要があるため、システムが複雑になりやすく、コストが上昇してしまうという問題も有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る画像表示システムは、第1の画像表示装置が接続された第1のクライアントと、第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントと、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行うサーバーと、を備えた画像表示システムであって、前記サーバーは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理部を有し、前記第1のクライアントは、前記処理後の画像情報に基づく画像を前記第1の画像表示装置に表示させ、前記第2のクライアントは、前記処理後の画像情報に基づく画像を前記第2の画像表示装置に表示させることを特徴とする。
【0007】
この画像表示システムによれば、サーバーが、入力された画像情報に対して、第1の画像表示装置で表示可能な色域と、第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように色変換を行うため、第1の画像表示装置に表示される色と、第2の画像表示装置に表示される色を容易に合わせることが可能となる。また、色変換をサーバーが行うため、各クライアントは、サーバーから入力される処理後の画像情報に基づいて画像を表示させればよく、クライアント側の処理が重くならずに済む。
【0008】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記サーバーは、前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルを記憶する記憶部と、前記第1のプロファイル及び前記第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、をさらに備え、前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うようにしてもよい。
【0009】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換部と、前記第1の色空間変換部で色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換部と、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換部と、を備えることが望ましい。
【0010】
[適用例4]上記適用例に係る画像表示システムにおいて、前記サーバーは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別部をさらに備えることが望ましい。
【0011】
[適用例5]本適用例に係る画像処理装置は、第1の画像表示装置が接続された第1のクライアント、及び第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行う画像処理装置であって、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理部を有することを特徴とする。
【0012】
この画像処理装置によれば、入力された画像情報に対して、第1の画像表示装置で表示可能な色域と、第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように色変換を行うため、第1の画像表示装置に表示される色と、第2の画像表示装置に表示される色を容易に合わせることが可能となる。また、画像処理装置が色変換を行うため、各クライアントは、画像処理装置から入力される処理後の画像情報に基づいて画像を表示させればよく、クライアント側の処理が重くならずに済む。
【0013】
[適用例6]上記適用例に係る画像処理装置において、前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルを記憶する記憶部と、前記第1のプロファイル及び前記第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、をさらに備え、前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うことが望ましい。
【0014】
[適用例7]上記適用例に係る画像処理装置において、前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換部と、前記第1の色空間変換部で色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換部と、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換部と、を備えることが望ましい。
【0015】
[適用例8]上記適用例に係る画像処理装置において、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別部をさらに備えることが望ましい。
【0016】
[適用例9]本適用例に係る画像処理装置の制御方法は、第1の画像表示装置が接続された第1のクライアント、及び第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行う画像処理装置の制御方法であって、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理ステップを有することを特徴とする。
【0017】
この画像処理装置の制御方法によれば、入力された画像情報に対して、第1の画像表示装置で表示可能な色域と、第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように色変換を行うため、第1の画像表示装置に表示される色と、第2の画像表示装置に表示される色を容易に合わせることが可能となる。また、画像処理装置が色変換を行うため、各クライアントは、画像処理装置から入力される処理後の画像情報に基づいて画像を表示させればよく、クライアント側の処理が重くならずに済む。
【0018】
[適用例10]上記適用例に係る画像処理装置の制御方法において、前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成ステップをさらに備え、前記処理ステップでは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うことが望ましい。
【0019】
[適用例11]上記適用例に係る画像処理装置の制御方法において、前記処理ステップは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換ステップと、前記第1の色空間変換ステップで色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換ステップと、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換ステップと、を備えることが望ましい。
【0020】
[適用例12]上記適用例に係る画像処理装置の制御方法において、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別ステップをさらに備えることが望ましい。
【0021】
また、上述した画像処理装置及びその制御方法がコンピューターを用いて構築されている場合には、上記形態及び上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、或いは当該プログラムを前記コンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやハードディスク、CDやDVD等の光ディスク、光磁気ディスク、不揮発性の半導体メモリーを搭載したメモリーカードやUSBメモリー、画像処理装置の内部記憶装置(RAMやROM等の半導体メモリー)等、前記コンピューターが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像表示システムの概略構成を示す構成図。
【図2】サーバーの概略構成を示すブロック図。
【図3】クライアントシステムの概略構成を示すブロック図。
【図4】クライアント用会議プログラムの実行時に画像表示装置に表示される画像を示す説明図。
【図5】変換テーブルを生成する際のサーバーの動作を説明するためのフローチャート。
【図6】変換テーブルの生成を説明するためのxy色度図であり、(a)は、それぞれの画像表示装置で表示可能な色域を示す図、(b)は、双方の画像表示装置で共通に表示可能な共通色域を示す図、(c)は、クライアントシステムからサーバーに入力される画像情報の色域と共通色域とを示す図。
【図7】クライアントシステムから画像情報が入力された場合のサーバー処理部の機能を示す機能ブロック図。
【図8】クライアントシステムから画像情報が入力された場合のサーバーの動作を説明するためのフローチャート。
【図9】プロファイルを生成する場合のクライアントシステムの構成を示すブロック図。
【図10】プロファイルを生成する場合のサーバーの構成を示すブロック図。
【図11】カラーチャートを示す図。
【図12】プロファイルの生成を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本実施形態の画像表示システムについて、図面を参照して説明する。
本実施形態の画像表示システムは、遠隔地間で会議を行うためのシステムであり、離れた場所に位置している複数の画像表示装置に共通の画像(資料等)を表示することができるようになっている。
【0024】
図1は、画像表示システムの概略構成を示す構成図である。
図1に示すように、画像表示システム100は、ネットワークNWを介して互いに接続されたサーバー1及び複数のクライアントシステム2を備えて構成されている。複数のクライアントシステム2は、それぞれ画像表示装置22を含んでおり、互いに離れた場所(拠点T)に配置されている。なお、本実施形態では、2つの拠点Tにそれぞれ配置された2つのクライアントシステム2を含む例を説明するが、クライアントシステム2の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。また、これ以降、2つの拠点Tを、第1の拠点Ta及び第2の拠点Tbとも表記し、第1の拠点Ta及び第2の拠点Tbにそれぞれ配置されたクライアントシステム2を、第1のクライアントシステム2a及び第2のクライアントシステム2bとも表記し、第1のクライアントシステム2a及び第2のクライアントシステム2bに含まれる画像表示装置22を、それぞれ第1の画像表示装置22a及び第2の画像表示装置22bとも表記する。
【0025】
図2は、サーバー1の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態のサーバー1は、画像処理装置に相当するものであり、コンピューターによって構成される。図2に示すように、サーバー1は、サーバー処理部11(単に「処理部11」とも表記する。)と、サーバー記憶部12(単に「記憶部12」とも表記する。)と、入出力インターフェイス(I/F)13と、を有している。
【0026】
サーバー処理部11は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等によって構成される。サーバー処理部11は、サーバー記憶部12に記憶されているOS(Operating System)やアプリケーションプログラムを読み出し、これらのプログラムに従って様々な処理を行うことによってサーバー1の動作を制御する。
【0027】
サーバー記憶部12は、例えば、ハードディスクドライブであり、OSやアプリケーションプログラム、各種データ等を記憶している。本実施形態のサーバー記憶部12には、ネットワークNWを介した通信によって遠隔地間で会議を行うためのサーバー用会議プログラムMS等が記憶されている。
【0028】
入出力インターフェイス13は、ネットワークNWに接続されており、クライアントシステム2との間でデータの入出力を行う。
【0029】
図3は、クライアントシステム2の概略構成を示すブロック図である。
図3に示すように、クライアントシステム2は、制御装置21と、画像表示装置22と、撮像装置23と、マイク24と、スピーカー25と、入力装置26とを備えて構成されている。クライアントシステム2は、他のクライアントシステム2及びサーバー1とネットワークNWを介して接続されており、クライアントシステム2同士がサーバー1を介して通信を行うことによって遠隔地間での会議が可能になっている。
【0030】
制御装置21は、サーバー1に対するクライアントに相当するものであり、例えば、コンピューターによって構成される。制御装置21は、クライアント処理部31(単に「処理部31」とも表記する。)と、クライアント記憶部32(単に「記憶部32」とも表記する。)と、入出力インターフェイス(I/F)33とを有している。
【0031】
クライアント処理部31は、CPUやRAM等によって構成される。クライアント処理部31は、クライアント記憶部32に記憶されているOSやアプリケーションプログラムを読み出し、これらのプログラムに従って様々な処理を行うことによってクライアントシステム2の動作を制御する。
【0032】
クライアント記憶部32は、例えば、ハードディスクドライブであり、OSやアプリケーションプログラム、各種データ等を記憶している。本実施形態のクライアント記憶部32には、ネットワークNWを介した通信によって遠隔地間で会議を行うためのクライアント用会議プログラムMC等が記憶されている。
【0033】
入出力インターフェイス33は、画像表示装置22、撮像装置23、マイク24、スピーカー25及び入力装置26に接続されており、これらの装置との間でデータの入出力を行う。また、入出力インターフェイス33は、ネットワークNWに接続されており、サーバー1との間でデータの入出力を行う。
【0034】
画像表示装置22は、例えば、液晶表示装置等によって構成され、制御装置21から入力される画像情報に基づく画像を表示する。
【0035】
撮像装置23は、CCD(Charge Coupled Device)センサー、或いはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサー等からなる撮像素子等(図示せず)を備えており、会議参加者を動画で撮像する。そして、撮像した画像(撮像画像)の画像情報を生成して制御装置21に出力する。
【0036】
マイク24は、会議参加者が発した音声等を集音して音声信号を生成し、制御装置21に出力する。スピーカー25は、制御装置21から入力される音声信号に基づく音声を出力するものであり、他の拠点Tの会議参加者が発した音声等を出力する。
【0037】
入力装置26は、キーボードやマウス等によって構成され、ユーザーの入力操作を受け付けて、制御装置21に伝達する。
【0038】
図4は、クライアント用会議プログラムMCの実行時に画像表示装置22に表示される画像(表示画面)を示す説明図である。ユーザーが入力装置26によってクライアント用会議プログラムMCの起動を指示すると、クライアント処理部31は、このプログラムをクライアント記憶部32から読み出して実行し、画像表示装置22に図4に示す表示画面Wmを表示させる。
【0039】
図4に示すように、表示画面Wmは、第1の参加者表示領域A1、第2の参加者表示領域A2、資料表示領域A3及び操作領域A4等を含んでいる。
【0040】
第1の参加者表示領域A1は、いずれか1つの拠点Tの撮像画像(会議参加者)を表示する領域であり、本実施形態のように2つの拠点T間で会議を行う場合には、相手側の拠点Tの撮像画像が表示される。なお、3つ以上の拠点T間で会議を行う場合には、マイク24で集音された音声等によって発言者を特定して、発言者のいる拠点Tの撮像画像を表示するようにしてもよいし、ユーザー(会議参加者自身又はオペレーター)が指定した拠点Tの撮像画像を表示するようにしてもよい。第2の参加者表示領域A2は、他の拠点Tの撮像画像、即ち第1の参加者表示領域A1に撮像画像が表示される拠点T以外の撮像画像を表示する領域であり、2つの拠点T間で会議を行う場合には、自らの拠点Tの撮像画像が表示される。また、3つ以上の拠点T間で会議を行う場合には、複数の拠点Tの撮像画像が横一列に表示される。
【0041】
資料表示領域A3は、会議中に参照する資料等の画像(以降、「参照画像Rp」と呼ぶ。)を表示する領域であり、いずれかの拠点Tのユーザーによって指定された画像が表示される。この資料表示領域A3に表示される参照画像Rpは、すべての拠点Tで共通に表示される画像であり、各拠点Tの画像表示装置22間で色合わせ(カラーマッチング)がなされた状態で表示される。なお、参照画像Rpは、クライアント記憶部32にファイルとして記憶されているものでもよいし、撮像装置23以外の図示しない各種撮像手段(ビデオカメラや書画カメラ等)で撮像している画像であってもよい。
【0042】
操作領域A4は、ユーザーが各種操作を行うための複数のアイコンやメニュー等を含んでいる。ユーザーは、操作領域A4に対して操作を行うことにより、会議の開始や終了を指示したり、資料表示領域A3に表示させる参照画像Rpを指定したりすることができる。
【0043】
各拠点Tのクライアントシステム2において、画像表示装置22に表示画面Wmが表示されると、制御装置21は、自らの拠点Tの撮像装置23で生成される画像情報をサーバー1に順次出力する。また、ユーザーが資料表示領域A3に表示すべき参照画像Rpを指定した場合には、制御装置21は、この参照画像Rpの画像情報をサーバー1に出力するとともに、この画像情報がカラーマッチングすべき画像情報であることをサーバー1に通知する。サーバー1は、各拠点Tのクライアントシステム2(制御装置21)から画像情報が入力されると、この画像情報に必要に応じて画像処理を行って、処理後の画像情報を双方のクライアントシステム2に供給する。なお、制御装置21とサーバー1との間で入出力される画像情報は、RGB色空間で表された画像情報である。
【0044】
クライアントシステム2の制御装置21は、サーバー1から供給される画像情報に基づいて、表示画面Wmの第1の参加者表示領域A1及び第2の参加者表示領域A2に撮像画像を表示するとともに、資料表示領域A3に参照画像Rpを表示する。このように、表示画面Wm内に表示される撮像画像や参照画像Rpは、自らの拠点Tの撮像装置23で撮像された撮像画像や、自らの拠点Tで指定した参照画像Rpであっても、サーバー1から供給される画像情報に基づいて表示がなされる。
【0045】
次に、サーバー1の動作について説明する。
図2に戻って、サーバー記憶部12には、各拠点Tの画像表示装置22のプロファイルPa,Pb、即ち第1の画像表示装置22aのプロファイルPa(以降、「第1のプロファイルPa」とも表記する。)及び第2の画像表示装置22bのプロファイルPb(以降、「第2のプロファイルPb」とも表記する。)が記憶されている。プロファイルとは、異なる装置間で色の表示を合わせるために用いられるデータ群であり、装置に依存する色空間(例えば、RGB色空間)と、装置に依存しない色空間(例えば、XYZ色空間)とを相互に変換可能な変換テーブル等を含んでいる。プロファイルのフォーマットとしては、ICC(International Color Consortium)が仕様を公開しているICCプロファイルが一般に知られており、画像表示装置22等のモニターデバイスのICCプロファイルは、モニタープロファイルとも呼ばれる。これらのプロファイルは、画像表示装置22の製造業者が生成してユーザーに提供する場合もあるし、ユーザーが測色計等を利用して独自に生成することも可能である。サーバー1は、ネットワークNWや外部の記憶媒体等を介して第1のプロファイルPa、及び第2のプロファイルPbを取得して、サーバー記憶部12に記憶する。そして、サーバー1は、これらのプロファイルPa,Pbに基づいて、各拠点Tの画像表示装置22間でカラーマッチングを行うための変換テーブルTwを生成する。
【0046】
図5は、変換テーブルTwを生成する際のサーバー1の動作を説明するためのフローチャートである。また、図6は、変換テーブルTwの生成を説明するためのxy色度図であり、(a)は、それぞれの画像表示装置22で表示可能な色域を示す図、(b)は、双方の画像表示装置22で共通に表示可能な共通色域を示す図、(c)は、クライアントシステム2からサーバー1に入力される画像情報の色域と共通色域とを示す図である。
【0047】
まず、サーバー処理部11は、プロファイルPa,Pbを取得すると、図6(a)に示すように、これらのプロファイルPa,Pbに基づいて、xy色度図上における各画像表示装置22の色域Ga,Gbを特定する(ステップS101)。具体的には、第1のプロファイルPaに基づいて、第1の画像表示装置22aで表示可能な色域Gaを特定し、第2のプロファイルPbに基づいて、第2の画像表示装置22bで表示可能な色域Gbを特定する。図示するように、特定された色域Ga,Gbは、画像表示装置22の機種の違い、個体差、経時変化等に応じて異なった範囲になる。そして、図6(b)に示すように、サーバー処理部11は、特定した2つの色域Ga,Gbが交わる領域を、すべて(双方)の画像表示装置22で共通に表示可能な共通色域Gwとして決定する(ステップS102)。
【0048】
次に、サーバー処理部11は、クライアントシステム2からサーバー1に入力される画像情報が表す色を、共通色域Gw内の色に変換するための変換テーブルTw(図2参照)を生成する(ステップS103)。なお、本実施形態のサーバー1には、sRGBに対応する画像情報が入力されるものとする。
【0049】
図6(c)に示すように、sRGBの色域Gsが、少なくとも一部において共通色域Gwよりも外側にある場合には、サーバー処理部11は、共通色域Gwの外側の色を共通色域Gw内の色に変換可能な変換テーブルTwを生成する。例えば、共通色域Gwの外側の色をすべて共通色域Gwの境界上の色に変換するようにしてもよいし、sRGBの色域Gsの境界上の色を共通色域Gwの境界上の色に変換するとともに色域Gsの境界の内側の色についても、適宜補間しながら共通色域Gw内の色に変換するようにしてもよい。なお、sRGBの色域Gsよりも共通色域Gwのほうが外側にある部分においては共通色域Gwまで色域を拡大するようにしてもよいし、色の変換を行わないようにしてもよい。サーバー処理部11は、生成した変換テーブルTwをサーバー記憶部12に記憶する。
【0050】
次に、クライアントシステム2から画像情報が入力された場合のサーバー1の動作について説明する。
【0051】
図7は、クライアントシステム2から画像情報が入力された場合のサーバー処理部11の機能を示す機能ブロック図であり、各機能は、サーバー用会議プログラムMSよって実現される。また、図8は、クライアントシステム2から画像情報が入力された場合のサーバー1の動作を説明するためのフローチャートである。
【0052】
図7に示すように、サーバー処理部11は、画像判別部15、色空間変換部16、色変換部17、色空間変換部18、画像情報出力部19を含んで構成される。サーバー1の入出力インターフェイス13には、各クライアントシステム2からRGBで表される画像情報が入力され、この画像情報は、画像判別部15に入力される。
【0053】
画像判別部15は、クライアントシステム2からの通知に基づいて、入力された画像情報が、カラーマッチングが必要な画像情報であるか否か、即ち参照画像Rpを表す画像情報であるか否かを判別する(ステップS201)。そして、参照画像Rpを表す画像情報については、色空間変換部16に出力し、他の画像情報については、画像情報出力部19に出力する。なお、本実施形態では、カラーマッチングが必要な画像情報であるか否かをクライアントシステム2からの通知に基づいて判別しているが、この態様に限定されず、例えば、画像判別部15が画像情報の種別を検出して、種別に応じて判別するようにしてもよい。画像情報の種別としては、例えば、静止画か動画かを検出するようにしてもよいし、画像情報のファイル形式を検出してもよい。
【0054】
色空間変換部16は、サーバー記憶部12に記憶されているプロファイルPa,Pbに基づいて、画像判別部15から入力された画像情報に対して色空間の変換を行う(ステップS202)。具体的には、画像情報が第1のクライアントシステム2aから入力された場合には、色空間変換部16は、第1のプロファイルPaに基づいて、RGB色空間の画像情報をXYZ色空間の画像情報に変換する。また、画像情報が第2のクライアントシステム2bから入力された場合には、色空間変換部16は、第2のプロファイルPbに基づいて、RGB色空間の画像情報をXYZ色空間の画像情報に変換する。色空間変換部16は、変換後の画像情報を色変換部17に出力する。
【0055】
色変換部17は、サーバー記憶部12に記憶されている変換テーブルTwに基づいて、色空間変換部16から入力されるXYZ色空間の画像情報に対して、色を変換する処理(色変換処理)を行う(ステップS203)。この色変換により、サーバー1に入力された画像情報は、共通色域Gw内の色によって表される画像情報に変換され、カラーマッチングがなされる。色変換部17は、変換後の画像情報を色空間変換部18に出力する。
【0056】
色空間変換部18は、サーバー記憶部12に記憶されているプロファイルPa,Pbに基づいて、色変換部17から入力される色変換処理後の画像情報に対して色空間の変換を行い、クライアントシステム2別に画像情報を生成する(ステップS204)。具体的には、色空間変換部18は、XYZ色空間の画像情報を、第1のプロファイルPaに基づいてRGB色空間の画像情報に変換することにより、第1のクライアントシステム2a用の画像情報を生成する。また、色空間変換部18は、XYZ色空間の画像情報を、第2のプロファイルPbに基づいてRGB色空間の画像情報に変換することにより、第2のクライアントシステム2b用の画像情報を生成する。色空間変換部18は、変換後の画像情報を画像情報出力部19に出力する。
【0057】
画像情報出力部19は、色空間変換部18でクライアントシステム2別に生成された画像情報を、入出力インターフェイス13及びネットワークNWを介してそれぞれ対応するクライアントシステム2に出力する(ステップS205)。具体的には、第1のクライアントシステム2a用の画像情報を第1のクライアントシステム2aに出力し、第2のクライアントシステム2b用の画像情報を第2のクライアントシステム2bに出力する。一方、画像判別部15から画像情報出力部19に画像情報が入力された場合には、画像情報出力部19は、すべて(双方)のクライアントシステム2にこの画像情報を出力する(ステップS206)。
【0058】
各クライアントシステム2は、サーバー1から入力される画像情報に基づく画像を、画像表示装置22に表示する。具体的には、第1のクライアントシステム2aの制御装置21は、サーバー1から入力される画像情報に基づく画像のうち、会議参加者を撮像した撮像画像を表示画面Wmの第1の参加者表示領域A1及び第2の参加者表示領域A2内に表示するとともに、第1のクライアントシステム2a用の画像情報に基づく参照画像Rpを資料表示領域A3内に表示する。同様に、第2のクライアントシステム2bの制御装置21は、サーバー1から入力される画像情報に基づく画像のうち、会議参加者を撮像した撮像画像を表示画面Wmの第1の参加者表示領域A1及び第2の参加者表示領域A2内に表示するとともに、第2のクライアントシステム2b用の画像情報に基づく参照画像Rpを資料表示領域A3内に表示する。そして、資料表示領域A3内に表示された参照画像Rpは、共通色域Gw内の色に変換されており、すべて(双方)の画像表示装置22において同一の色で表示される。なお、共通色域GwがsRGBの色域Gsに比べて小さい場合には、本来の色が再現できないことも生じ得るが、その場合であっても、表示される色は、すべての画像表示装置22で同一である。
【0059】
次に、画像表示装置22のプロファイルPa,Pbの生成について説明する。
画像表示装置22のプロファイルPa,Pbが製造業者から提供される場合には、プロファイルPa,Pbをユーザーが生成する必要はなく、提供されたプロファイルPa,Pbを用いて画像表示装置22間のカラーマッチングを行えばよい。ただし、プロファイルPa,Pbが製造業者から提供されない場合や、より正確なカラーマッチングを行いたい場合等には、ユーザーが自らプロファイルPa,Pbを生成するようにしてもよい。一般に、モニターデバイスのプロファイル(モニタープロファイル)を生成するためには、測色計等の計測装置が必要となるが、本実施形態では、測色計の代わりに、プロファイルが既知の撮像装置(デジタルカメラ等)を利用することによって画像表示装置22のプロファイルPa,Pbを生成する。なお、撮像装置等、画像を入力する装置のICCプロファイルは、入力プロファイルとも呼ばれる。
【0060】
図9は、プロファイルPa,Pbを生成する場合のクライアントシステム2の構成を示すブロック図であり、図10は、プロファイルPa,Pbを生成する場合のサーバー1の構成を示すブロック図である。また、図11は、カラーチャートを示す図である。
【0061】
図9に示すように、クライアントシステム2は、会議参加者を撮像する撮像装置23とは別に、プロファイルPa,Pbを生成するための撮像装置として、デジタルカメラ27を備えている。デジタルカメラ27は、CCDセンサー、或いはCMOSセンサー等からなる撮像素子等(図示せず)を備えており、被写体を静止画で撮像し、撮像画像をRGB色空間で表す画像情報(撮像画像情報)を生成する。なお、第1のクライアントシステム2aに含まれるデジタルカメラ27を、第1のデジタルカメラ27aとも表記し、第2のクライアントシステム2bに含まれるデジタルカメラ27を、第2のデジタルカメラ27bとも表記する。
【0062】
図10に示すように、サーバー記憶部12には、カラーチャートCC(図11参照)を表すカラーチャート画像情報Vcが記憶されている。カラーチャートCCは、複数色の色見本を含む画像であり、カラーチャート画像情報Vcは、このカラーチャートCCをRGB色空間で表した画像情報である。図11に示すように、本実施形態において、カラーチャートCCには、色の種類や明るさが異なる24の色見本が含まれており、サーバー1は、このカラーチャートCCを各拠点Tの画像表示装置22に表示させてデジタルカメラ27で撮像させ、この撮像結果に基づいてプロファイルPa,Pbを生成する。なお、画像表示装置22の色むら、即ち表示位置による色の変化を考慮して、各色見本の配置を変えた複数のカラーチャートCCを撮像するようにしてもよい。
【0063】
さらに、サーバー記憶部12には、各デジタルカメラ27の入力プロファイルPia,Pib、即ち第1のデジタルカメラ27aの入力プロファイルPia(以降、「第1の入力プロファイルPia」とも表記する。)及び第2のデジタルカメラ27bの入力プロファイルPib(以降、「第2の入力プロファイルPib」とも表記する。)が記憶されている。これらの入力プロファイルPia,Pibは、デジタルカメラ27の製造業者が生成してユーザーに提供する場合もあるし、ユーザーが独自に生成することも可能である。サーバー1は、ネットワークNWや外部の記憶媒体等を介して各拠点Tのデジタルカメラ27の入力プロファイルPia,Pibを取得して、サーバー記憶部12に記憶する。
【0064】
図12は、プロファイルPa,Pbの生成を説明するためのフローチャートである。
図12に示すように、まず、サーバー1は、プロファイルPa,Pbの生成が指示されると、カラーチャート画像情報Vcを各クライアントシステム2に出力する(ステップS301)。
【0065】
各クライアントシステム2の制御装置21は、入力されるカラーチャート画像情報Vcに基づいて画像表示装置22にカラーチャートCCを表示させる(ステップS302)。そして、各クライアントシステム2は、画像表示装置22に表示されたカラーチャートCCをデジタルカメラ27で撮像し(ステップS303)、デジタルカメラ27が生成した撮像画像情報を制御装置21からサーバー1に出力する(ステップS304)。つまり、カラーチャートCCを撮像して生成された撮像画像情報がサーバー1に入力される。なお、カラーチャートCCが複数ある場合には、複数のカラーチャートCCを順次撮像して、複数の撮像画像情報をサーバー1に出力する。ここで、デジタルカメラ27が生成した撮像画像情報をサーバー1に出力する際には、デジタルカメラ27を制御装置21に有線又は無線で接続するようにしてもよいし、撮像画像情報が記録されたメモリーカード等の記憶媒体をデジタルカメラ27から取り外して制御装置21に接続するようにしてもよい。また、上述した入力プロファイルPia,Pibを各クライアントシステム2からサーバー1に送信する場合には、撮像画像情報と一緒に送信するようにしてもよいし、撮像画像情報内に入力プロファイルPia,Pibを含めるようにすることも可能である。
【0066】
サーバー1は、各拠点Tのクライアントシステム2から撮像画像情報が入力されると、それぞれの撮像画像情報に基づいて、RGB色空間上における各色見本の色データ(RGBそれぞれの明度を表す数値)を、クライアントシステム2毎、即ち画像表示装置22毎に導出する(ステップS305)。例えば、各色見本の中心位置の色データを抽出するようにしてもよいし、各色見本について複数の位置の色データを抽出してこれらの平均値を用いるようにしてもよい。また、各色見本の配置を変えた複数のカラーチャートCCを用いる場合のように、同一色の色見本が複数ある場合には、それぞれの色データをさらに平均すればよい。
【0067】
その後、サーバー1は、サーバー記憶部12に記憶されている入力プロファイルPia,Pibに基づいて、導出した各色見本の色データに対して色空間の変換を行う(ステップS306)。具体的には、撮像画像情報が第1のクライアントシステム2aから入力された場合には、サーバー1は、第1の入力プロファイルPiaに基づいて、RGB色空間における色データをXYZ色空間における物理データ(XYZそれぞれの数値)に変換する。また、撮像画像情報が第2のクライアントシステム2bから入力された場合には、サーバー1は、第2の入力プロファイルPibに基づいて、RGB色空間における色データをXYZ色空間における物理データに変換する。このように、サーバー1は、各拠点Tのクライアントシステム2毎、即ち画像表示装置22毎に各色見本の物理データを導出する。
【0068】
次に、サーバー1は、導出した各色見本の物理データと、サーバー記憶部12に記憶されているカラーチャート画像情報Vcとに基づいて、各拠点Tの画像表示装置22におけるRGB色空間と、XYZ色空間との相関を導く。そして、この相関に基づいてプロファイルPa,Pbを生成し(ステップS307)、サーバー記憶部12に記憶する。
【0069】
以上のようにしてプロファイルPa,Pbが生成されると、サーバー1は、上述したようなカラーマッチングを実施する。即ち、生成されたプロファイルPa,Pbに基づいて共通色域Gwを導出し、入力される画像情報が表す色を共通色域Gw内の色に変換するための変換テーブルTwを生成する。そして、クライアントシステム2から入力された画像情報に対して、変換テーブルTwを用いた色変換処理等を行って、処理後の画像情報をクライアントシステム2に送信する。この結果、表示画面Wm内の参照画像Rpは、すべての画像表示装置22において同一の色で表示される。
【0070】
以上説明したように、本実施形態の画像表示システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0071】
(1)本実施形態の画像表示システム100によれば、サーバー1は、第1の画像表示装置22aのプロファイルPa(第1のプロファイルPa)、及び第2の画像表示装置22bのプロファイルPb(第2のプロファイルPb)に基づいて、入力される画像情報が表す色を、第1の画像表示装置22aが表示可能な色域Gaと、第2の画像表示装置22bが表示可能な色域Gbとが交わる共通色域Gw内に収まるように変換するための変換テーブルTwを生成する。そして、サーバー1は、クライアントシステム2から入力された画像情報に対して、生成した変換テーブルTwに基づいた色変換処理を行うため、第1の画像表示装置22aに表示される色と、第2の画像表示装置22bに表示される色を合わせることが可能となる。また、色変換処理をサーバー1が行うため、各クライアントシステム2は、サーバー1から入力される処理後の画像情報に基づいて画像を表示させればよく、クライアントシステム2側の処理が重くならずに済む。
【0072】
(2)本実施形態の画像表示システム100によれば、サーバー1は、各クライアントシステム2にカラーチャート画像情報Vcを出力して、第1の画像表示装置22a及び第2の画像表示装置22bにカラーチャートCCを表示させる。そして、サーバー1は、表示されたカラーチャートCCをデジタルカメラ27で撮像して生成された撮像画像情報に基づいて、各画像表示装置22のプロファイルPa,Pbを生成する。このため、プロファイルが未知の画像表示装置22を利用する場合であっても、各画像表示装置22に表示される色を合わせることが可能となる。
【0073】
なお、本実施形態において、ステップS101〜S103は、変換テーブル生成ステップに相当し、ステップS101〜S103を実行して変換テーブルTwを生成する際のサーバー処理部11が変換テーブル生成部に相当する。また、ステップS202〜S205は、処理ステップに相当し、このうち、ステップS202が第1の色空間変換ステップ、ステップS203が色変換ステップ、ステップS204が第2の色空間変換ステップに相当する。また、ステップS301は、カラーチャート出力ステップに相当し、ステップS301を実行して画像表示装置22にカラーチャートCCを表示させる際のサーバー処理部11及び入出力インターフェイス13がカラーチャート出力部に相当する。また、ステップS304は、撮像画像出力ステップに相当し、各クライアントシステム2から撮像画像情報が入力される際のサーバー処理部11及び入出力インターフェイス13が撮像画像入力部に相当する。また、ステップS305〜S307は、モニタープロファイル生成ステップに相当し、ステップS305〜S307を実行してプロファイルPa,Pbを生成する際のサーバー処理部11がモニタープロファイル生成部に相当する。
【0074】
(変形例)
また、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0075】
上記実施形態において、画像表示装置22は、液晶表示装置に限定されない。例えば、光源から射出された光を画像情報に応じて変調してスクリーン等の投写面に投写するプロジェクターを用いることも可能である。また、プラズマディスプレイや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等を用いてもよい。
【0076】
上記実施形態において、クライアントシステム2の制御装置21として、画像表示装置22等を一体的に備えたノート型のパーソナルコンピューターを用いてもよい。
【0077】
上記実施形態において、ネットワークNWとしては、インターネット等の公衆ネットワークを利用してもよいし、LAN(Local Area Network)や専用回線を利用してもよい。
【0078】
上記実施形態では、クライアントシステム2の制御装置21がクライアント用会議プログラムMCを実行することによって画像表示装置22に表示画面Wmを表示させるようにしているが、この態様に限定されない。例えば、制御装置21が汎用の閲覧プログラム(ブラウザー)によってサーバー1から表示画面Wmの供給を受けるようにしてもよい。
【0079】
上記実施形態では、サーバー1とクライアントシステム2との間で、RGB色空間で表される画像情報を入出力するようにしているが、他の色空間(例えば、YCbCr色空間やYPbPr色空間等)で表される画像情報を用いるようにしてもよい。また、上記実施形態では、装置に依存しない色空間としてXYZ色空間を用いているが、他の色空間(例えば、L***色空間等)を用いるようにしてもよい。
【0080】
上記実施形態では、サーバー1は、各画像表示装置22のプロファイルPa,Pbを生成する際に、クライアントシステム2から入力された撮像画像情報に基づいて、カラーチャートCCの各色見本の色データを導き、この色データをXYZ色空間における物理データに変換しているが、この態様に限定されない。例えば、各色見本の色データを導かずに、入力された撮像画像情報の色空間をXYZ色空間に変換し、変換後の撮像画像情報から各色見本の物理データを導くようにしてもよい。
【0081】
上記実施形態では、撮像すべき色見本のすべて(上記実施形態では、24色)が1つのカラーチャートCCに含まれているが、複数のカラーチャートCCに分散させて、複数回の撮像を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1…サーバー、2…クライアントシステム、2a…第1のクライアントシステム、2b…第2のクライアントシステム、11…サーバー処理部、12…サーバー記憶部、13…入出力インターフェイス、15…画像判別部、16…色空間変換部、17…色変換部、18…色空間変換部、19…画像情報出力部、21…制御装置、22…画像表示装置、22a…第1の画像表示装置、22b…第2の画像表示装置、23…撮像装置、24…マイク、25…スピーカー、26…入力装置、27…デジタルカメラ、27a…第1のデジタルカメラ、27b…第2のデジタルカメラ、31…クライアント処理部、32…クライアント記憶部、33…入出力インターフェイス、100…画像表示システム、NW…ネットワーク、T…拠点、Ta…第1の拠点、Tb…第2の拠点、Wm…表示画面、A1…第1の参加者表示領域、A2…第2の参加者表示領域、A3…資料表示領域、A4…操作領域、Rp…参照画像、CC…カラーチャート、Vc…カラーチャート画像情報、Ga,Gb,Gs…色域、Gw…共通色域、Tw…変換テーブル、MS…サーバー用会議プログラム、MC…クライアント用会議プログラム、Pa…第1のプロファイル、Pb…第2のプロファイル、Pia…第1の入力プロファイル、Pib…第2の入力プロファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像表示装置が接続された第1のクライアントと、
第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントと、
前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行うサーバーと、
を備えた画像表示システムであって、
前記サーバーは、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理部を有し、
前記第1のクライアントは、前記処理後の画像情報に基づく画像を前記第1の画像表示装置に表示させ、
前記第2のクライアントは、前記処理後の画像情報に基づく画像を前記第2の画像表示装置に表示させることを特徴とする画像表示システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示システムであって、
前記サーバーは、
前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルを記憶する記憶部と、
前記第1のプロファイル及び前記第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、
をさらに備え、
前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うことを特徴とする画像表示システム。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示システムであって、
前記処理部は、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換部と、
前記第1の色空間変換部で色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換部と、
前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換部と、
を備えたことを特徴とする画像表示システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像表示システムであって、
前記サーバーは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別部をさらに備えたことを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
第1の画像表示装置が接続された第1のクライアント、及び第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行う画像処理装置であって、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理部を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の画像処理装置であって、
前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルを記憶する記憶部と、
前記第1のプロファイル及び前記第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成部と、
をさらに備え、
前記処理部は、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理装置であって、
前記処理部は、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換部と、
前記第1の色空間変換部で色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換部と、
前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換部と、
を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか一項に記載の画像処理装置であって、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別部をさらに備えたことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
第1の画像表示装置が接続された第1のクライアント、及び第2の画像表示装置が接続された第2のクライアントにネットワークを介して接続され、前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントとの間で画像情報の入出力を行う画像処理装置の制御方法であって、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報が表す色を、前記第1の画像表示装置で表示可能な色域と、前記第2の画像表示装置で表示可能な色域とが交わる共通色域内に収まるように変換する色変換処理を行って、処理後の画像情報を前記第1のクライアント及び前記第2のクライアントに出力する処理ステップを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理装置の制御方法であって、
前記第1の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第1のプロファイル、及び前記第2の画像表示装置に関して色空間の変換を行う第2のプロファイルに基づいて前記共通色域を導出し、前記画像情報が表す色を前記共通色域内の色に変換する変換テーブルを生成する変換テーブル生成ステップをさらに備え、
前記処理ステップでは、前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された前記画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行うことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理装置の制御方法であって、
前記処理ステップは、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報に対して、前記第1のプロファイル又は前記第2のプロファイルに基づいて色空間を変換する第1の色空間変換ステップと、
前記第1の色空間変換ステップで色空間が変換された画像情報に対して、前記変換テーブルに基づいて前記色変換処理を行う色変換ステップと、
前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第1のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第1のクライアント用の画像情報を生成するとともに、前記色変換処理後の画像情報に対して、前記第2のプロファイルに基づいて色空間を元に戻して前記第2のクライアント用の画像情報を生成する第2の色空間変換ステップと、
を備えたことを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項12】
請求項9〜11のいずれか一項に記載の画像処理装置の制御方法であって、
前記第1のクライアント又は前記第2のクライアントから入力された画像情報の種別を検出して、前記色変換処理の実施の有無を判別する画像判別ステップをさらに備えたことを特徴とする画像処理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−97648(P2013−97648A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240922(P2011−240922)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】