説明

画像表示パネルの活性化方法及び画像表示パネルの活性化装置

【課題】 表示媒体の移動性をさらに向上することを可能とする画像表示パネルの活性化方法及び画像表示パネルの活性化装置を提供する。
【解決手段】 画像表示パネルの活性化方法は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される。画像表示パネルの活性化方法は、情報表示装置の駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を画像表示パネルの1対の電極に印加する工程Aを備える。工程Aにおいて、サイン波を基準波として、基準波よりも高い周波数の信号波で基準波を変調して、変調された波形で活性化電圧を画像表示パネルの1対の電極に印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される活性化方法及び活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1対の電極及び表示媒体を備える情報表示装置が知られている。表示媒体は、例えば、帯電性を有しており、1対の電極に電圧を印加することによって、1対の電極間を移動する粒子である。例えば、1対の電極間には、少なくとも2種類以上の表示媒体が封入される。
【0003】
ここで、表示媒体として用いる粒子の移動性を向上することを目的として、情報表示装置の製造時において、情報表示装置において表示媒体を駆動させて情報を表示させるために1対の電極に印加する電圧である駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を1対の電極に印加する技術が提案されている。活性化電圧の印加によって、表示媒体として用いる粒子の凝集が分離されたり、表示媒体として用いる粒子の帯電量が調整されたりすると考えられる。これによって、表示媒体として用いる粒子の移動特性が向上し、その結果、情報表示装置が表示する画像のコントラスト比も向上する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−3410187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した技術では、表示媒体(例えば、粒子)の移動性の向上が不十分であり、表示媒体の移動性のさらなる向上が望まれている。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、画像表示パネルが備える表示媒体の移動性をさらに向上することを可能とする画像表示パネルの活性化方法及び画像表示パネルの活性化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴に係る画像表示パネルの活性化方法は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される。画像表示パネルの活性化方法は、前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する工程Aを備える。前記工程Aにおいて、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を印加する。
【0008】
第1の特徴において、前記活性化電圧は、前記駆動電圧の1.25倍以上であり、前記駆動電圧の5倍以下である。
【0009】
第2の特徴に係る画像表示パネルの活性化装置は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される。画像表示パネルの活性化装置は、前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する電圧印加部を備える。前記電圧印加部は、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、画像表示パネルが備える表示媒体の移動性をさらに向上することを可能とする画像表示パネルの活性化方法及び画像表示パネルの活性化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、第1実施形態に係る情報表示装置10を示す図である。
【図2】図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る画像表示パネル100を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る画像表示パネル100の活性化装置300を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る活性化電圧の波形例を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る活性化電圧の他の波形例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る活性化電圧のさらに他の波形例を示す図である。
【図7】図7は、評価結果1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の実施形態に係る画像表示パネルの活性化方法及び画像表示パネルの活性化装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[実施形態の概要]
実施形態に係る画像表示パネルの活性化方法は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される。画像表示パネルの活性化方法は、前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する工程Aを備える。前記工程Aにおいて、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を印加する。
【0015】
実施形態に係る画像表示パネルの活性化装置は、少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される。活性化装置は、前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する電圧印加部を備える。前記電圧印加部は、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する。
【0016】
なお、駆動電圧は、情報表示装置において表示媒体を駆動させて情報を表示するために、画像表示パネルの1対の電極に印加される電圧である。
【0017】
実施形態では、基準波よりも高い周波数の信号波で変調された基準波の波形で活性化電圧が画像表示パネルの1対の電極に印加される。従って、矩形波で活性化電圧を印加するケースに比べて、1対の電極間において、表示媒体の移動が緩やかである。これによって、凝集した粒子が分離されることや粒子の帯電量が調整されることが要因となって、表示媒体の移動性が向上する。ひいては、情報表示装置において画像表示パネルが表示する画像のコントラスト比が向上する。
【0018】
なお、画像表示パネルの活性化方法は、情報表示装置の製造時において、画像表示パネルに用いている表示媒体の移動性を高めるために適用される。画像表示パネルの活性化方法によって表示媒体の移動特性が高まる理由は解明されていないが、凝集した粒子が分離されることや粒子の帯電量が調整されることが要因になっていると推察される。
【0019】
[第1実施形態]
(情報表示装置)
以下において、第1実施形態に係る情報表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る情報表示装置10を示す斜視図である。
【0020】
図1に示すように、情報表示装置10は、画像表示パネル100と筐体200とを有する。画像表示パネル100には、情報表示装置10が取得した画像データに基づいて画像が表示される。筐体200は、画像表示パネル100及び画像表示パネル100を制御して駆動する制御装置、グラフィックコントローラ、メモリ、電源、プリント回路基板(PCB)などの電子デバイスを収容する。筐体200の側部には、メモリカードのスロット及びUSBインタフェース(不図示)などが設けられてもよい。
【0021】
画像表示パネル100は、表示媒体移動型であり、具体的には、帯電性粒子を含んだ粒子群(例えば、電子粉流体(登録商標))などの表示媒体が用いられる。例えば、表示媒体として、2種類の表示媒体が用いられる。画像表示パネル100のサイズは、特に限定されないが、本実施形態では、対角長が6インチ〜15インチ程度であるものとして以下説明する。
【0022】
(画像表示パネルの構造)
以下において、第1実施形態に係る画像表示パネルについて、図面を参照しながら説明する。図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る画像表示パネル100の一例の断面を示す図である。詳細には、図2(a)及び図2(b)は、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)及び画像表示パネル100の高さ方向(Z方向)に沿った断面を示す図である。具体的には、図2(a)は、白色表示媒体90W(負帯電性白色粒子の粒子群)が情報表示面側(図中の「目」のマーク側)に位置している状態を示している。一方で、図2(b)は、黒色表示媒体90B(正帯電性黒色粒子の粒子群)が情報表示面側(図中の「目」のマーク側)に位置している状態を示す。
【0023】
図2(a)及び図2(b)に示すように、画像表示パネル100は、1対の基板20(表面基板20a、裏面基板20b)と、1対の電極40(表面電極40a、裏面電極40b)と、隔壁50とを有する。
【0024】
なお、情報表示装置10は、薄いパネル型であり、例えば、電子ペーパーとして用いられる。図1に示すように、情報表示装置10は、筐体200内に制御装置を備えた構成を有していてもよく、筐体200内に制御装置を備えずに、本体と別体として設けられる制御装置に接続される構成であってもよい。
【0025】
基板20は、画像表示パネル100の外形を構成する。表面基板20aは、表示情報(画像)が視認される側に設けられた基板である。表面基板20aは、少なくとも表示画像領域が透明な部材によって形成される。裏面基板20bは、表面基板20aの反対側に設けられる基板である。裏面基板20bは、透明な部材によって形成されてもよく、非透明な部材によって形成されてもよい。
【0026】
表面基板20a及び裏面基板20bは、一対の電極40(表面電極40a及び裏面電極40b)に対応して設けられる。具体的には、表面基板20aは、表面電極40aよりも外側に設けられており、裏面基板20bは、裏面電極40bよりも外側に設けられている。
【0027】
基板20の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリル樹脂などの高分子材料が用いられる。或いは、基板20の材料としては、ガラス、石英、硬質プラスチックなどが用いられる。基板20の厚みは、25μm〜2,000μmであることが好ましい。
【0028】
基板20の材料として高分子材料を用いる場合の基板20の厚みは、基板20の製造時にハンドリングしやすい25μm以上であることが好ましい。基板20の材料としてガラスを用いて、画像表示パネル100に可撓性を持たせる場合の基板20の厚みは、200μm以下であることが好ましい。
【0029】
裏面基板20bは、必ずしも透明な部材によって形成される必要がないため、上述した高分子材料のうち、不透明なものを用いて形成されてもよい。例えば、裏面基板20bの一部又は全部は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼などの金属材料によって形成されてもよい。裏面基板20bが金属材料によって形成される場合には、電極40と裏面基板20bとの間に絶縁膜が形成される。
【0030】
電極40は、導電性部材によって形成される。表面電極40aは、表面基板20aの内側に設けられており、表示情報(画像)が視認される側に設けられる。表面電極40aは、透明な部材によって形成される。裏面電極40bは、裏面基板20bの内側に設けられており、表面基板20aの反対側に設けられる。裏面電極40bは、透明な部材によって形成されてもよく、非透明な部材によって形成されてもよい。
【0031】
表面電極40a及び裏面電極40bは、細長い帯状の電極であり、互いに交差するように配置されている。すなわち、表面電極40a及び裏面電極40bが互いに対向交差して形成する1対の電極は、マトリックス状に配置されている。このような構成を有する画像表示パネル100では、パッシブマトリックス表示方式が用いられる。
【0032】
電極40の材料としては、(i)酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、アンチモン錫酸化物(ATO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛などの導電金属酸化物類、(ii)ポリアニリン、ポリビロール、ポリチオフェン(例えば、PEDOT:PSS)などの導電性高分子類、(iii)金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属、(iv)これらの金属を主成分とする合金などが用いられる。
【0033】
電極40の厚みは、0.01μm〜10μmであることが好ましい。電極40の厚みは、0.005μm〜5μmであることがさらに好ましい。
【0034】
電極40の主材料としてITOを用いる場合には、電極40の断線を防止するために、電極40は、可撓性に優れる銅、アルミニウム、ニッケル、これらの合金によって形成される金属細線を含むことが好ましい。
【0035】
具体的には、複数本の帯状の表面電極40aは、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に沿って伸びており、長さ方向(X方向)に沿って並んでいる。一方、複数本の帯状の裏面電極40bは、長さ方向(X方向)に沿って伸びており、画像表示パネル100の幅方向(Y方向)に沿って並んでいる。表面電極40aと裏面電極40bとが交差する点のそれぞれが画素に対応する。
【0036】
隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとに接合される。隔壁50は、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bが封入される空間Sを仕切る。隔壁50は、表面基板20aと裏面基板20bとの間の空間を確保するために設けられる。空間Sには、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bの他に、気体(例えば、空気)が封入されていてもよい。なお、空間Sは真空であってもよい。また、空間Sには、気体ではなくて、絶縁性液体が封入されてもよい。隔壁50は、表面基板20a側からの視点において格子状に形成される。格子状とは、所定の空間が形成されるように、周期的に配置されていればよい。また、隔壁50は、格子状に配置されるのではなくて、ハニカム状に配置されてもよい。
【0037】
隔壁50の材料としては、ドライフィルムレジスト材を用いる。ドライフィルムレジスト材は、例えば、アルフォNIT2(ニチゴーモートン社製)やPDF300(新日鐵化学社製)である。例えば、隔壁50は、フォトリソグラフィー技術を用いて形成される。例えば、一方の基板上に形成した隔壁50の頂上ともう一方の基板との間に接着剤160を配置して2枚の基板を貼り合せる。図2に示す例では、表面基板20aに格子状隔壁を形成し、この格子状隔壁と裏面基板20bとを接着剤160で接合している。
【0038】
また、画像表示パネル100は、有色層70及び散乱層80を有する。有色層70は、裏面基板20bの外側に形成される。裏面基板20bの外側とは、表面基板20a側とは反対側をいう。有色層70は、裏面基板20bの外側の表面上に形成されている。なお、有色層70は、表面基板20a側からの視点において、隔壁50と対応する部分に形成されていてもよい。有色層70を、隔壁50と対応する部分にだけ形成した場合には、有色層の上を被覆するとともに裏面基板20bの全面を被覆する弾性体フィルム(不図示)を形成することが好ましい。有色層70も弾性体フィルムであってよい。有色層70は、例えば、顔料が配合されたPETフィルムで構成される。弾性体フィルムは、例えば、PET、ポリウレタン、シリコーン、ゴムなどの弾性を有する材料で形成される。また、弾性体フィルムの替わりに、シリコーンゲルなどのゲル状材料をシートにして形成してもよい。このゲル状材料シートは、緩衝材として機能し、外部から画像表示パネルに加わる衝撃をやわらげる効果を得られる。
【0039】
表面基板20a、表面電極40aを透明に構成することに加えて、裏面基板20b、裏面電極40b及び隔壁50を透明に構成することによって、裏面基板20bの外側に形成した有色層70を、観察者は表面基板20a側から視認することができる。
【0040】
散乱層80は、表面基板20aの外側に形成されている。表面基板20aの外側とは、裏面基板20b側とは反対側をいう。散乱層80は、表面基板20a上に形成されている。散乱層80は、光を散乱する。散乱層80は、光を散乱すれば、散乱方法は問わない。例えば、散乱層80の表面に凹凸を有することにより、光を散乱させる。
【0041】
表示媒体90は、1対の電極40の間に封入される。表示媒体90は、帯電性を有する粒子を含んで構成される粒子群である。第1実施形態では、1対の電極40の間に、2種類以上の表示媒体90(ここでは、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90B)が封入される。白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90Bは、互いに異なる極性に帯電するように構成される。また、2種類の表示媒体90(ここでは、白色表示媒体90W及び黒色表示媒体90B)は、互いに異なる反射特性、すなわち、互いに異なる色を有する。
【0042】
一方の表示媒体(白色表示媒体90W)は、例えば、反射率が高い粒子であり、白を表現するために用いられる。すなわち、白色表示媒体90Wが表面電極40a側に移動している場合に、白が視認される。もう一方の表示媒体(黒色表示媒体90B)は、例えば、反射率が低い粒子であり、黒を表現するために用いられる。すなわち、黒色表示媒体90Bが表面電極40a側に移動している場合に、黒が視認される。
【0043】
第1実施形態では、表面電極40aが高電位になり、裏面電極40bが低電位になるように、1対の電極に電圧を印加すると、負帯性粒子で構成される白色表示媒体90Wが表面電極40a側に移動し、正帯性粒子で構成される黒色表示媒体90Bが裏面電極40b側に移動する。一方、表面電極40aが低電位になり、裏面電極40bが高電位となるように、1対の電極に電圧を印加すると、正帯性粒子で構成される黒色表示媒体90Bが表面電極40a側に移動し、負帯性粒子で構成される白色表示媒体90Wが裏面電極40b側に移動する。
【0044】
詳細には、白色表示媒体90Wを構成する白色粒子群は、次のように製造することができる。(i)ポリメチルペンテンポリマー(TPX−R18:三井化学社製)100質量部と、着色剤として二酸化チタン(タイペークCR−90:石原産業社製)100質量部と、負帯電の荷電制御剤としてフェノール系縮合物(ポントロンE89:オリエント化学製)5質量部とを、二軸混練機により溶融混練する。(ii)ジェットミル(ラボジェットミルIDS−LJ型:日本ニューマチック工業製)で(i)の生成物を細かく粉砕し、分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業製)を用いて分級する。(iii)溶融球状化装置(MR−10:日本ニューマチック工業製)を用いて(ii)の生成物を溶融球状化し、平均粒子径が9.5μmの負帯電性の白色粒子を得る。この白色粒子にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3004)を外添して付着させることによって、白色粒子群(白色表示媒体3W)とする。
【0045】
黒色表示媒体90Bを構成する黒色粒子群は、次のように製造することができる。(i)メチルメタクリレートモノマー(関東化学試薬)60質量部、及び1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマーとしてエチレングリコールジメタクリレート(和光純薬試薬)40質量部(約25mol%)に、正帯電の荷電制御剤としてニグロシン化合物(ポントロンNo7:オリエント化学製)3質量部、及び黒色顔料として、カーボンブラック(スペシャルブラック:デグッサ製)5質量部をサンドミルにより分散させ、(アクリル系及びメタクリル系樹脂)−炭化水素系樹脂ブロックコポリマー(モディバーF600:日本油脂製)5質量部を溶解させる。(ii)2重量部のラウリルパーオキサイド(パーロイルL:日本油脂製)を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(ラテムルE−118B:花王製)を0.5重量%添加した精製水に(i)の生成物を懸濁、重合させ、濾過、乾燥させる。(iii)分級機(MDS−2:日本ニューマチック工業性)を用いて(ii)の生成物を分類して平均粒子径9.2μmの正帯電性の黒色粒子を得る。この黒色粒子にシリカ微小粒子(Wacker社製 H3050VP)を外添して付着させることによって、黒色粒子群(黒色表示媒体90B)とする。
【0046】
(画像表示パネルの活性化装置)
以下において、第1実施形態に係る画像表示パネルの活性化装置について、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る活性化装置300を示す図である。
【0047】
図3に示すように、画像表示パネル100の活性化装置300は、電源部310と、電圧印加部320とを有する。ここでは、画像表示パネル100を、その構成要素である一つの表示素子として示している。
【0048】
電源部310は、電圧印加部320に電力を供給する。
【0049】
電圧印加部320は、表示媒体90の凝集を分離したり、表示媒体90の帯電量を調整したりするための活性化電圧を生成して、画像表示パネル100の1対の電極40に活性化電圧を印加する。活性化電圧は、表示媒体90を駆動させて情報を表示させる駆動電圧よりも高い電圧である。具体的には、電圧印加部320は、サイン波を基準波とする波形で活性化電圧を生成し、画像表示パネル100の1対の電極40に活性化電圧を印加する。
【0050】
ここで、画像表示パネル100の駆動電圧は、例えば、40Vである。或いは、画像表示パネル100の駆動電圧は、70V〜80Vである。また、活性化電圧は、100V〜200Vである。言い換えると、活性化電圧は、駆動電圧の1.25倍以上であり、駆動電圧の5倍以下である。
【0051】
ここで、活性化電圧を印加する波形は、基準波(サイン波)を基準波よりも高い周波数の信号波で変調された波形を用いることが可能である。或いは、活性化電圧を印加する波形は、基準波(サイン波)を掃引した波形(Sweep波形)であってもよい。
【0052】
(1)AM変調
活性化電圧を印加する波形は、図4に示すように、基準波(サイン波)を振幅変調した波形(Vam)であってもよい。このような波形は、例えば、以下の式によって表される。
【0053】
Vam=(Vc+Vs sin(2πfs t))*sin(2πfc t)
但し、Vc+Vs=1、変調度=Vc/Vm
上式において、Vsは基準波であり、Vcは信号波であり、演算記号(*)は乗算を示す。
【0054】
なお、基準波Vsの周波数fsは、信号波Vcの周波数fcよりも高いことに留意すべきである。
【0055】
図4において、横軸は時間(sec)であり、縦軸は電圧(単位なし:大きさだけを模式的に示す)である。
【0056】
(2)FM変調
活性化電圧を印加する波形は、図5に示すように、基準波(サイン波)を周波数変調した波形(Vfm)であってもよい。このような波形は、例えば、以下の式によって表される。
【0057】
Vfm=Vc*sin(2πfs+mf*sin2πfst)
但し、Vc+Vs=1、変調度=Vc/Vm
上式において、Vsは基準波であり、Vcは信号波であり、演算記号(*)は乗算を示す。
【0058】
なお、基準波Vsの周波数fsは、信号波Vcの周波数fcよりも高いことに留意すべきである。
【0059】
図5において、横軸は時間(sec)であり、縦軸は電圧(単位なし:大きさだけを模式的に示す)である。
【0060】
(3)掃引(Seep)波形
活性化電圧を印加する波形は、図6に示すように、基準波(サイン波)を掃引した波形(Vsweep)であってもよい。このような波形は、例えば、以下の式によって表される。
【0061】
Vsweep=Vc*sin(φn)
但し、Δφ=2πf(t)Δt,φn+1=φn+Δφ、f(t)=fmin+(fmax−fmin)t/T、exp(1n(fmax/fmin)t/T)
上式において、演算記号(*)は乗算を示す。
【0062】
なお、図6では、活性化電圧を印加する波形として、時間軸において低周波数から高周波数に掃引された波形が例示されている。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。すなわち、活性化電圧を印加する波形として、時間軸において高周波数から高周波数に掃引された波形を用いてもよい。
【0063】
図6において、横軸は時間(sec)であり、縦軸は電圧(単位なし:大きさだけを模式的に示す)である。
【0064】
(画像表示パネルの活性化方法)
以下において、第1実施形態に係る画像表示パネルの活性化方法について説明する。画像表示パネルの活性化方法は、表示媒体90の凝集を分離したり、表示媒体90の帯電量を調整したりするための活性化電圧を生成して、画像表示パネル100の1対の電極40に活性化電圧を印加する工程Aを含む。具体的には、工程Aにおいては、サイン波を基準波とする波形で活性化電圧を生成して、画像表示パネル100の1対の電極40に印加する。なお、画像表示パネル100の1対の電極40に印加する活性化電圧の波形としては、上述した図4〜図6に示す波形を用いることが可能である。
【0065】
ここで、画像表示パネル100の活性化方法は、情報表示装置10の製造時において、画像表示パネル100が備える表示媒体90の凝集を分離したり、表示媒体90の帯電量を調整したりするのに適用することが可能である。例えば、情報表示装置10の製造時において、この活性化方法を適用して活性化処理が行われる。活性化処理は、例えば、10回〜10万回の範囲で行われる。
【0066】
上述したように、1回の活性化処理において、活性化電圧が複数の周波数で印加され、活性化が行われる。1回の活性化処理とは、基準波の1周期において活性化電圧を異なる周波数で複数回印加する処理である。
【0067】
(作用及び効果)
第1実施形態では、基準波よりも高い周波数の信号波で基準波が変調された波形で活性化電圧が画像表示パネル100の1対の電極40に印加される。従って、矩形波で活性化電圧を印加するケースに比べて、1対の電極間において、表示媒体90の移動が緩やかである。これによって、表示媒体90の凝集が分離されたり、表示媒体90の帯電量が調整されたりするため、表示媒体90の移動特性が向上する。ひいては、情報表示装置が表示する画像のコントラスト比が向上する。
【0068】
[評価結果1]
以下において、実施例及び従来例の評価結果1について、図7を参照しながら説明する。評価結果1では、情報表示装置の製造時において活性化処理を行った場合においてコントラスト比を評価した。実施例及び従来例では、活性化処理を20000回行った。実施例では、サイン波を基準波とする図4に示す波形の活性化電圧を150で生成し、生成された活性化電圧を印加した。従来例では、矩形波の活性化電圧を150で生成し、生成された活性化電圧を印加した。
【0069】
なお、図7において、縦軸は、コントラスト比を示しており、横軸は、活性化処理で印加する電圧の波形の周波数、すなわち、実施例では、図4に示す基準波の周波数、従来例では、矩形波の周波数をそれぞれ示している。
【0070】
コントラスト比は、白色反射率と黒色反射率との比、すなわち、白色反射率/黒色反射率であり、白色画像を表示したときの光学濃度(白色濃度)と黒色画像を表示したときの光学濃度(黒色濃度)とから算出され、コントラスト比が大きいほど表示コントラストが優れていると評価できる。実施例では、画像表示パネルの画面に表示させた白色画像の光学濃度および黒色画像の光学濃度をそれぞれ、光学濃度計SpectroEye(グレタグマクベス社製)で測定し、白色反射率、黒色反射率をそれぞれ算出して求めた。
【0071】
図7に示すように、実施例の画像表示パネルの活性化方法を実行した画像表示パネルで表示した画像のコントラスト比は、いずれの周波数においても、従来例の画像表示パネルの活性化方法を実行した画像表示パネルで表示した画像のコントラスト比よりも大きくなっており、本発明の画像表示パネルの活性化方法を実行することにより、情報表示装置の駆動電圧で表示させた画像表示パネルの表示画像のコントラスト比が大きくなり、画像表示パネルの表示コントラストが向上することが確認された。また、活性化電圧の基準波の周波数が高いほど情報表示装置の駆動電圧で表示させた画像表示パネルの表示画像のコントラスト比が大きくなり、画像表示パネルの表示コントラストが向上することが確認された。
【0072】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0073】
上述した実施形態では特に触れていないが、隔壁50は、観察者から見た場合に、画素を区分けするように構成される。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。隔壁50は、観察者から見た場合に、複数の画素を1つのブロックとして、ブロックを区分けするように構成さていてもよい。
【0074】
情報表示装置10が備える画像表示パネル100は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いないパッシブ駆動型であってもよく、薄膜トランジスタ(TFT)を用いるアクティブ駆動型であってもよい。
【0075】
上述した実施形態では、白及び黒を表示する画像表示パネル100を備えた情報表示装置10について例示したが、実施形態は、これに限定されるものではない。情報表示装置10が備える画像表示パネル100は、カラー(RGB:赤、緑及び青、或いは、YCM:黄、シアン及びマゼンタ)を表示してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…情報表示装置、10…基板、40…電極、50…隔壁、90…表示媒体、100…画像表示パネル、160…接着剤、300…活性化装置、310…電源部、320…電圧印加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される画像表示パネルの活性化方法であって、
前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する工程Aを備え、
前記工程Aにおいて、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を印加することを特徴とする画像表示パネルの活性化方法。
【請求項2】
前記活性化電圧は、前記駆動電圧の1.25倍以上であり、前記駆動電圧の5倍以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示パネルの活性化方法。
【請求項3】
少なくとも2種類以上の表示媒体が1対の電極間に封入される画像表示パネルを備えた情報表示装置に適用される画像表示パネルの活性化装置であって、
前記情報表示装置の駆動電圧よりも高い電圧である活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加する電圧印加部を備え、
前記電圧印加部は、サイン波を基準波として、前記基準波よりも高い周波数の信号波で前記基準波を変調して、変調された波形で前記活性化電圧を前記画像表示パネルの前記1対の電極に印加することを特徴とする画像表示パネルの活性化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−61601(P2013−61601A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201668(P2011−201668)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】