説明

画像表示制御システム、画像表示制御方法および画像表示制御プログラム

【課題】鳥瞰図を視認可能な状態において、鳥瞰図に表示された領域以外の領域についても利用者に把握させることができるようにする技術の提供。
【解決手段】地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得し、前記地物情報に基づいて、ナビゲーション端末の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつ前記ナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成し、前記地物情報に基づいて、前記現在位置において前記ナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、前記進行方向を示すアイコンが重畳された前記パノラマ図の画像データを生成し、前記鳥瞰図の画像データおよび前記パノラマ図の画像データに基づいて、前記ナビゲーション端末が備える表示部に前記鳥瞰図および前記パノラマ図を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示制御システム、画像表示制御方法および画像表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション端末等において現在位置周辺の様子を案内する際に、ナビゲーション端末の現在位置周辺の様子が直感的に分かりやすくなるように表示を行う技術が知られている。例えば、特許文献1,2においては、ナビゲーション端末の前方の景色を鳥瞰図によって示す構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−225391号公報
【特許文献2】特開2009−250714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術のような鳥瞰図は、ナビゲーション端末の現在位置周辺の様子が直感的に分かりやすくなると言う利点があるものの、鳥瞰図に表示された領域以外の領域について利用者が把握することはできない。
【0005】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、鳥瞰図を視認可能な状態において、鳥瞰図に表示された領域以外の領域についても利用者に把握させることができるようにする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するため、本発明においては、鳥瞰図とともにナビゲーション端末の進行方向を示すアイコンが重畳されたパノラマ図を表示部に表示する。すなわち、パノラマ図は、現在位置においてナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示している。一方、鳥瞰図は、ナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示している。従って、鳥瞰図とともにパノラマ図を表示することにより、鳥瞰図を視認可能な状態において、鳥瞰図に表示された領域以外の領域についても利用者に把握させることができる。
【0007】
さらに、パノラマ図においては、一見して広い範囲に存在する地物を視認することができるため、比較的狭い範囲を直感的に把握するための鳥瞰図とともにパノラマ図が表示される構成とすることにより、表示部を視認するのみで狭い範囲と広い範囲との双方に存在する地物を一度に認識することが可能になる。さらに、パノラマ図は広い範囲に存在する地物が一枚の図で示されるため、人間の視野における地物の見え方と異なる図になることが多い。しかし、本発明にかかるパノラマ図にはナビゲーション端末の進行方向を示すアイコンが重畳されるため、利用者は広い範囲が示されたパノラマ図の各地物と自身との関係を即座に把握することができる。
【0008】
ここで、地物情報取得手段は、地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得することができればよい。すなわち、地物の位置毎に当該地物の三次元形状を表示部上で再現可能な地物情報を予め用意しておくことにより、当該地物情報に基づいて鳥瞰図とパノラマ図とを描画可能な状態が構築されていればよい。なお、地物は、地面、道路、施設、山岳、河川など、視点位置から視認され得る全ての物を含んでいて良く、処理負荷の低減のために視認され得る物の中のいずれかの物を省略しても良い。
【0009】
鳥瞰図データ生成手段は、地物情報に基づいて、ナビゲーション端末の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成することができればよい。すなわち、ナビゲーション端末の移動平面より上方の位置に仮想的に視点位置を想定し、当該視点位置から下方かつ進行方向を見た場合の景色を2次元の表示部上に表示するための鳥瞰図を描画する。表示部上においては、地物の三次元形状を再現していればよく、地物情報に基づいて視点位置から各地物を見た場合の外周の位置を特定して表示部上で当該外周を線で表現すればよい。むろん、鳥瞰図上の地物の表面が実際の地物の表面に類似した模様で着色されていても良い。
【0010】
パノラマ図データ生成手段は、地物情報に基づいて、現在位置においてナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、進行方向を示すアイコンが重畳されたパノラマ図の画像データを生成することができればよい。すなわち、ナビゲーション端末の利用者が現在位置において鉛直方向に平行な軸を回転軸として回転しながら視線が向いている方位を変化させた場合に見える景色をパノラマ図として描画する。ここで、当該視線が向いている方位を変化させる範囲が所定の方位範囲となる。さらに、本発明においては、当該パノラマ図にナビゲーション端末の進行方向を示すアイコンを重畳するが、当該アイコンは、利用者がナビゲーション端末の進行方向であることを認識できるような態様で表示されればよく、形状や色等は限定されない。
【0011】
画像表示制御手段は、鳥瞰図の画像データおよびパノラマ図の画像データに基づいて、ナビゲーション端末が備える表示部に鳥瞰図およびパノラマ図を表示することができればよい。すなわち、表示部上に鳥瞰図とパノラマ図とを同時に表示すればよい。両者の位置は特に限定されないが、鳥瞰図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とパノラマ図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とが一致するように両者の位置が調整されることが好ましい。
【0012】
また、パノラマ図には、ナビゲーション端末の進行方向以外の補助的な情報を重畳しても良い。例えば、パノラマ図に、方角とナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示すアイコンが重畳されるように構成されていてもよい。ここで、方角は、地表に対して相対的に固定された固定座標系における特定の方向であればよく、例えば、東西南北や東南等の情報が方角に相当する。ナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向は、前方と比較し得る方向であればよく、例えば、左方、右方、後方等の情報がナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向に相当する。以上の構成により、利用者は、パノラマ図における地物の位置と実際の地物の位置との関係をより直感的に把握することが可能になる。
【0013】
さらに、パノラマ図による表示内容をよりわかりやすくするために、パノラマ図の左右の範囲を規定する上述の所定の方位範囲を、進行方向の真後ろの所定範囲が分断されることなくパノラマ図に含まれるように決定する構成を採用しても良い。この構成によれば、進行方向の真後ろの所定範囲が分断されることなく表示されるため、利用者が直感的に把握しやすい真後ろに存在する地物をパノラマ図上で容易に確認することが可能である。
【0014】
さらに、方角とナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物をパノラマ図上での表示対象とし、パノラマ図上で他の位置に存在する地物は表示対象としない構成としても良い。すなわち、パノラマ図は広い範囲の景色を示すため、視認し得る地物の全てを表示すると、表示される地物の数が過度に多くなってパノラマ図が非常に見づらくなってしまう。
【0015】
そこで、方角とナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物を表示対象とすれば、地物の視認性を低下させることなくパノラマ図を表示することができる。なお、ここでは、方角とナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物を表示対象とするため、利用者が直感的に把握しやすい方角あるいは方向に存在する地物をパノラマ図上に表示することができ、地物の数を限定しつつも利用者にとってわかりやすいパノラマ図を表示することが可能である。なお、予め決められた範囲は、当該範囲内の地物が、パノラマ図上でアイコンによって示された方角や方向(ナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向)に存在すると見なされるように、例えば、±10°の範囲などと予め決められていればよい。
【0016】
なお、本発明のように、鳥瞰図とパノラマ図とを同時に表示しつつパノラマ図にナビゲーション端末の進行方向を重畳する手法は、この処理を行う方法やプログラムとしても適用可能である。また、以上のような画像表示制御システム、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、複数の装置として実現される場合もある。また、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあれば、車両に搭載されない各部と連携して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、画像表示制御システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】画像表示制御システムを含むナビゲーション端末を示すブロック図である。
【図2】画像表示制御処理を示すフローチャートである。
【図3】パノラマ図データ生成処理を示すフローチャートである。
【図4】鳥瞰図とパノラマ図とを同時に表示した場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)ナビゲーション端末の構成:
(2)画像表示制御処理:
(2−1)パノラマ図データ生成処理:
(3)他の実施形態:
【0019】
(1)ナビゲーション端末の構成:
図1は、車両に搭載された画像表示制御システムの構成を示すブロック図である。本実施形態において画像表示制御システムは、ナビゲーション端末10によって実現される。ナビゲーション端末10は、CPU、RAM、ROM等を備える制御部20を備えており、ROMに記憶されたプログラムを制御部20で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとしてナビゲーションプログラムを実行可能である。当該ナビゲーションプログラムは、ナビゲーション端末の表示部に各種の地図を表示して利用者を目的地まで案内する機能を制御部20に実現させるプログラムであり、表示部に鳥瞰図とパノラマ図とを表示させる画像表示制御プログラム21が含まれている。
【0020】
本実施形態にかかる車両は、GPS受信部41と車速センサ42とジャイロセンサ43とユーザI/F部44とを備えている。GPS受信部41は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を示す信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ42は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ43は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ42およびジャイロセンサ43等は、GPS受信部41の出力信号から特定される車両の現在位置を補正するなどのために利用される。また、車両の現在位置は、当該車両の走行軌跡に基づいて適宜補正される。
【0021】
ユーザI/F部44は、運転者の指示を入力し、また運転者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネルディスプレイからなる表示部やスイッチ等の入力部、スピーカ等の音声出力部を備えている。ユーザI/F部44は信号を制御部20から受信し、各種案内を行うための画像をタッチパネルディスプレイに表示する。
【0022】
記録媒体30には地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、車両が走行する道路の端点に対応するノードを示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ等を含んでいる。また、地図情報30aは、道路あるいは道路の周辺に存在する複数の地物を示す地物情報30bを含んでいる。本実施形態において、地物情報30bは、地物毎に地物の属性、位置、高度、三次元形状を示す情報である。また、三次元形状を示す情報には、地物の外形の頂点の座標(各地物の位置を基準とした相対座標)および地物の外周の模様を示す情報が含まれる。また、周知度の高い地物については、当該地物の三次元形状を模した画像を示す画像データおよび当該地物の位置を示す情報とが定義され、地物情報30bに含まれている。
【0023】
本実施形態において、地物の属性は地物が何であるのかを示す情報であり、例えば、施設、背景(山岳や地表等)などの情報によって構成される。位置は2次元の座標系での位置を示す情報であり、高度は当該座標系に垂直な方向の位置を示す情報である。むろん、ノードデータとリンクデータとは属性が道路である地物を示す地物情報30bを構成するため、本実施形態においてはノードの位置のみならず高度も地物情報30bとして記録されていることになる。
【0024】
すなわち、本実施形態においては、上述の座標を示す情報に基づいて地物の外周に類似した形状のポリゴンを仮想的な三次元空間上に構築し、模様を示す情報によって当該ポリゴンを着色することによって仮想的な三次元空間上で地物を三次元的に描画することができる。さらに、周知度が高い地物については画像データが示す画像を表示することによって地物に類似した形状および色の物体を三次元的に描画することが可能である。
【0025】
なお、周知度は、施設の規模や一般大衆の認知度等によって決定すればよい。また、地物情報30bの属性が行政事務を行う施設(県庁や市役所等)である場合、管轄する行政区画内の人口および行政区画の名称を示す情報が対応付けられている。さらに、地図情報30aおよび地物情報30bは、予め決められたメッシュ毎に規定されている。すなわち、各ノードやリンク、地物はメッシュ毎に規定され、ノードやリンク、地物がいずれのメッシュに含まれるのか特定することが可能である。
【0026】
制御部20は、ナビゲーションプログラムに含まれる画像表示制御プログラム21を実行することにより、ユーザI/F部44の表示部に鳥瞰図およびパノラマ図を表示する処理を実行する。この処理を実行するため、画像表示制御プログラム21は、地物情報取得部21aと鳥瞰図データ生成部21bとパノラマ図データ生成部21cと画像表示制御部21dとを備えている。
【0027】
地物情報取得部21aは、地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、本実施形態において制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいてナビゲーション端末の現在位置を特定し、当該現在位置に基づいて、鳥瞰図およびパノラマ図を描画する際に参照すべきメッシュを特定する。さらに、制御部20は、参照すべきメッシュに含まれる地物情報30bを記録媒体30から取得する。
【0028】
鳥瞰図データ生成部21bは、地物情報30bに基づいて、ナビゲーション端末10の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつナビゲーション端末10の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において制御部20は、GPS受信部41,車速センサ42,ジャイロセンサ43の出力信号に基づいてナビゲーション端末の現在位置および進行方向を特定する。なお、本実施形態においてナビゲーション端末の進行方向と車両の進行方向とは同一である。
【0029】
さらに、制御部20は、ナビゲーション端末10の現在位置を通る鉛直方向に平行な線を想定し、当該線上において現在位置より上方に視点位置を設定する。さらに、当該視点位置から下方かつ進行方向を見た視線方向を想定し、視線上で視点位置から所定距離離れた位置に視線に対して垂直な方向に仮想的な投影面を想定し、当該投影面の所定範囲を表示部の表示エリアとして設定する。さらに、地物情報取得部21aの処理によって取得された地物情報30bを参照し、現在位置よりも前方における地物の座標に基づいて地物のポリゴンを構成する。そして、当該ポリゴンの頂点と視点位置とを結ぶ線と上述の投影面との交点の座標を特定し、各座標間を線で結ぶことによって投影面上に地物の外周を描画する。そして、制御部20は、地物の像に相当する部分を地物の模様で着色することによって鳥瞰図を描画する。描画された鳥瞰図を示す鳥瞰図データは図示しないRAMに記録される。
【0030】
パノラマ図データ生成部21cは、地物情報30bに基づいて、ナビゲーション端末10の現在位置においてナビゲーション端末10の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、ナビゲーション端末10の進行方向を示すアイコンが重畳されたパノラマ図の画像データを生成する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、上述のようにして想定した視点位置から下方かつ進行方向を見た視線方向であって鳥瞰図を描画する際の視線方向よりも俯角が小さい(遠方まで見渡せる)視線方向を想定する。さらに、制御部20は、ナビゲーション端末10の現在位置を通る鉛直方向に平行な上述の線を視線方向の回転軸として設定する。そして、上述の視点位置からナビゲーション端末10の進行方向を中心に所定の方位範囲で視線方向を回転させた場合に視認される景色をパノラマ図として描画する。描画されたパノラマ図はパノラマ図データとして図示しないRAMに記録される。なお、パノラマ図を描画するための詳細な処理は後述する。
【0031】
本実施形態において、制御部20は、さらに、パノラマ図にナビゲーション端末の進行方向を示すアイコンを重畳する。すなわち、上述のようにパノラマ図を描画することにより、本実施形態においては、左右に延びるパノラマ図の左右方向における中心の方位がナビゲーション端末10の進行方向となる。そこで、制御部20は、パノラマ図の中心にナビゲーション端末10の進行方向であることを示すアイコンが重畳された状態となるようにパノラマ図データを修正する。当該アイコンの形状や色等は任意であるが、本実施形態においては黒い三角形を当該アイコンとする。
【0032】
画像表示制御部21dは、鳥瞰図の画像データおよびパノラマ図の画像データに基づいて、ユーザI/F部44の表示部に鳥瞰図およびパノラマ図を表示する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、上述のようにして生成された鳥瞰図データとパノラマ図データとを取得し、表示部における表示位置を示す情報とともにユーザI/F部44に対して出力する。この結果、ユーザI/F部44においては、表示部上において指示された表示位置に鳥瞰図とパノラマ図とを表示する。ここでは、表示部上に鳥瞰図とパノラマ図とが同時に表示されればよく、両者の位置は特に限定されないが、本実施形態においては、鳥瞰図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とパノラマ図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とが一致するように設定されている。
【0033】
図4Aに示す矩形Tは、表示部上での表示例を示している。当該図4Aの矩形Tにおいては、上部にパノラマ図P、下部に鳥瞰図Aが表示されている。そして、当該図4Aの矩形Tにおいては、パノラマ図Pの左右方向の中心にナビゲーション端末10の進行方向を示す黒い三角形のアイコンIが示されている。また、鳥瞰図Aにおいては位置Dが進行方向であり、当該位置Dは鳥瞰図Aの左右方向の中心に存在する。従って、この例において、鳥瞰図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とパノラマ図にてナビゲーション端末の進行方向に相当する方向とは、矩形T内で縦方向において同じ位置に存在しており、この意味で両方向は一致している。
【0034】
以上の構成により、ユーザI/F部44の表示部には、鳥瞰図とともにナビゲーション端末10の進行方向を示すアイコンが重畳されたパノラマ図が表示される。従って、利用者がパノラマ図を視認すれば、ナビゲーション端末10の進行方向を含む所定の方位範囲の景色に含まれる地物を認識することができ、ナビゲーション端末10の現在位置周辺の広い範囲の地物と現在位置との関係を把握することができる。一方、利用者が鳥瞰図を視認すれば、ナビゲーション端末10の進行方向周辺の比較的狭い範囲に含まれる地物を認識することができ、ナビゲーション端末10の現在位置より前方の狭い範囲の地物と現在位置との関係を直感的に把握することができる。このため、鳥瞰図とともにパノラマ図が表示される本実施形態において、利用者は、表示部を視認するのみで狭い範囲と広い範囲との双方に存在する地物を一度に認識することが可能になる。
【0035】
なお、パノラマ図は広い範囲に存在する地物が一枚の図で示されるため、人間の視野における地物の見え方と異なる図になることが多いが、本実施形態にかかるパノラマ図にはナビゲーション端末の進行方向を示すアイコンが重畳されるため、利用者は広い範囲が示されたパノラマ図の各地物と自身との関係を即座に把握することができる。さらに、鳥瞰図とパノラマ図とにおいて、ナビゲーション端末10の進行方向は表示部の左右方向に同じ位置になるように各図が表示されるため、利用者は、鳥瞰図とパノラマ図との関係を容易に把握することが可能である。
【0036】
(2)画像表示制御処理:
次に、画像表示制御処理について詳細に説明する。図2は、画像表示制御処理のフローチャートであり、本実施形態において当該画像表示制御処理は、(例えば、100ms)毎に実行される。本実施形態において、ナビゲーションプログラムは、通常、2次元の地図をユーザI/F部44の表示部に表示した状態で利用者に目的地等の案内を行うが、ナビゲーション端末10の現在位置の前方の所定距離以内に予め決められた特定の位置(特定の交差点等)が存在する場合や、利用者がユーザI/F部44によって指示した場合等に鳥瞰図を表示部に表示する構成となっている。
【0037】
そして、当該鳥瞰図を表示している状態において、利用者がユーザI/F部44によって指示した場合にパノラマ図を鳥瞰図と同時に表示する構成となっている。なお、本実施形態において、鳥瞰図を表示部に表示する条件が成立した場合、制御部20は、地物情報取得部21aおよび鳥瞰図データ生成部21bの処理により、上述のようにしてナビゲーション端末10の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつ進行方向を見た場合の景色を鳥瞰図として描画して鳥瞰図データを生成する。鳥瞰図データが生成されると、制御部20は、画像表示制御部21dの処理により、鳥瞰図データを鳥瞰図の表示位置を示す情報とともにユーザI/F部44に出力し、表示部に鳥瞰図を表示させる。
【0038】
画像表示制御処理において、まず、制御部20は、画像表示制御部21dの処理により、鳥瞰図を表示中であるか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、鳥瞰図を表示部に表示する条件が成立し、鳥瞰図を描画して表示部に表示した状態となっているか否かを判定する。ステップS100において、鳥瞰図を表示中であると判定されない場合、制御部20は、ステップS105〜ステップS130をスキップする。すなわち、鳥瞰図を表示中であると判定されない場合、鳥瞰図を表示部に表示する条件が成立していないため、鳥瞰図を描画することなく処理を終了する。
【0039】
一方、ステップS100において、鳥瞰図を表示中であると判定された場合、制御部20は、画像表示制御部21dの処理により、パノラマ図を表示中であるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、鳥瞰図を表示部に表示する条件が成立している期間において、画像表示制御処理によって既にパノラマ図が描画され、表示された状態となっているか否かを判定する。
【0040】
ステップS105において、パノラマ図を表示中であると判定されない場合、制御部20は、利用者がパノラマ図をユーザI/F部44の表示部に表示させる指示を行ったか否かを判定する(ステップS110)。ステップS110にて、パノラマ図の表示指示があったと判定されない場合、制御部20は、画像表示制御処理を終了する。一方、パノラマ図の表示指示があった場合、制御部20は、パノラマ図データ生成部21cの処理により、パノラマ図データ生成処理を実行する(ステップS115)。
【0041】
(2−1)パノラマ図データ生成処理:
図3はパノラマ図データ生成処理を示すフローチャートである。当該パノラマ図データ生成処理において、制御部20は、まず、パノラマ図の表示範囲を特定する(ステップS200)。すなわち、本実施形態において、パノラマ図は鳥瞰図と同じ視点位置から鳥瞰図よりも遠方まで見渡せる視線方向を想定することによって描画されるが、このとき、当該視線方向を見ることによって視認できる距離(視野において地平線(奥に海がある場合は水平線)として視認される位置までの距離)が予め決められている。そこで、制御部20は、ナビゲーション端末10の現在位置から当該距離以内にある領域をパノラマ図の表示範囲とし、当該領域を含む全てのメッシュを特定する。
【0042】
次に、制御部20は、パノラマ図の表示範囲の地物情報から背景・道路の位置および高度を取得する(ステップS205)。すなわち、制御部20は、ステップS200で特定されたメッシュの地図情報30aを参照し、表示範囲に含まれる地物を示す地物情報30bを参照して、属性が背景の地物と属性が道路の地物を抽出する。そして、各地物の位置と高度とを示す情報を取得する。
【0043】
次に、制御部20は、パノラマ図の空を描画する(ステップS210)。すなわち、パノラマ図において予め決められた地平線(あるいは水平線)より上方の部分に予め決められた空のパターンを描画するためのパノラマ図データを生成する。次に、制御部20は、視線方向の回転角を演算するための変数Nを0とする(ステップS215)。
【0044】
次に、制御部20は、N(°)〜N+n(°)の範囲の背景・道路の鳥瞰図を描画する(ステップS220)。すなわち、本実施形態においては、ナビゲーション端末10の現在位置において、当該現在位置を通る鉛直方向に平行な線を回転軸とした360°のパノラマ図を描画することとしており、角度n°分の鳥瞰図を描画する処理を360/n回繰り返し、作成された鳥瞰図を横に並べるようにして結合することによってパノラマ図を生成する。
【0045】
このため、ステップS220において、制御部20は、ステップS205にて取得した背景・道路の情報から、さらに、N(°)〜N+n(°)の範囲の背景・道路の情報を抽出する。そして、上述の視点位置と上述のパノラマ図用の視線方向とを想定し、視線上で視点位置から所定距離離れた位置に視線に対して垂直な方向に仮想的な投影面を設定する。さらに、制御部20は、N(°)〜N+n(°)の範囲の背景・道路の情報を参照し、背景・道路の位置および高度に基づいて背景および道路のポリゴンを構成する。そして、当該ポリゴンの頂点と視点位置とを結ぶ線と上述の投影面との交点の座標を特定し、各座標間を線で結ぶことによって背景・道路の外周を投影面上に描画する。そして、制御部20は、背景・道路の像に相当する部分を背景・道路の模様で着色する(例えば、山岳は緑色、地表は茶色、道路は灰色で着色する)ことによってn°分の鳥瞰図を描画する。描画されたn°分の鳥瞰図を示すデータは図示しないRAMに記録される。
【0046】
次に、制御部20は、N+n(°)が360°と等しいか否かを判定し(ステップS225)、N+n(°)が360°と等しいと判定されない場合には変数Nの値をN+nに更新し(ステップS230)、ステップS220以降の処理を繰り返す。すなわち、n°分の鳥瞰図の描画を行うたびに変数Nをn°分増加させて再度n°分の鳥瞰図の描画を行う処理を、360°分の鳥瞰図が作成されるまで繰り返す。
【0047】
ステップS225にて、N+n(°)が360°と等しいと判定された場合、制御部20は、360/n個の鳥瞰図を結合する(ステップS235)。すなわち、n°毎に生成された鳥瞰図のうちナビゲーション端末10の進行方向を見た場合の鳥瞰図のデータを中央に配置し、視線を右側に回転させた場合に視認される鳥瞰図のデータを順に右側に結合し、視線を左側に回転させた場合に視認される鳥瞰図のデータを順に左側に結合する。そして、生成されたデータとステップS210で生成済のパノラマ図データとをマージすることによってパノラマ図データを修正する。パノラマ図データが修正されると、空と背景と道路とを示すパノラマ図データとなる。図4Aのパノラマ図Pは以上のようにして描画されたパノラマ図の例である。ステップS220〜S235においては、小さな範囲であるn°毎に背景と道路を描画しているが、最終的には、図4Aに示すように左右方向に延びるパノラマ図Pが描画されることになる。
【0048】
なお、本実施形態においては、ナビゲーション端末10の進行方向から左右に視線方向を180°よりも大きな角度だけ回転させた場合に見える景色をパノラマ図として生成する構成となっている。すなわち、ナビゲーション端末10の進行方向の真後ろの所定範囲が分断されることなくパノラマ図に含まれるように、制御部20は、ナビゲーション端末10の進行方向から左右に視線方向を180°+αだけ回転させた場合に見える景色となるように上述の結合を行う。なお、ここでαは、真後ろの地物が分断されないように設定されればよく、例えば、10°等である。この構成によれば、進行方向の真後ろの所定範囲が分断されることなく表示されるため、利用者が直感的に把握しやすい真後ろに存在する地物をパノラマ図上で容易に確認することが可能である。
【0049】
図4Aに示すパノラマ図Pにおいては、表示部における表示画面を示す矩形Tの上方に、パノラマ図Pにおける視線方向の角度を付記している。すなわち、ナビゲーション端末10の進行方向を0°とし、視線を右側に回転させた場合に正の角度、左側に回転させた場合に負の角度となるように定義した角度を付記してある。当該定義によると進行方向に対する真後ろは180°(あるいは−180°)であるが、図4Aに示す例においては、パノラマ図Pの右端部は180°よりも大きな角度まで達しており、パノラマ図Pの左端部は−180°よりも小さな角度まで達している。この結果、真後ろに存在する山の像が分断されておらず、利用者は容易に当該山の像と実空間での山とを比較することが可能である。
【0050】
次に、制御部20は、周知度が高い地物の位置および画像データと人口が多い行政区画(例えば、市町村等)の名称とを取得する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、地物情報30bを参照して上述の表示範囲内に存在する周知度の高い地物を検索する。当該表示範囲内に周知度の高い地物が存在した場合、当該周知度の高い地物の位置および画像データを取得する。また、制御部20は、地物情報30bを参照して上述の表示範囲内に存在する行政事務を行う施設を検索する。さらに、当該表示範囲内に行政事務を行う施設が存在した場合、当該施設に対応付けられている行政区画の人口を示す情報を取得する。そして、人口が所定の閾値以上である場合、当該行政事務を行う施設に対応付けられている行政区画の名称を示す情報を、人口が多い行政区画の名称として取得する。
【0051】
次に、制御部20は、周知度が高い地物と人口が多い行政区画の名称とを描画する(ステップS245)。すなわち、制御部20は、地物情報30bが示す周知度の高い地物と行政事務を行う施設との位置に基づいて、パノラマ図上で周知度の高い地物と行政事務を行う施設との位置とを特定し、当該位置に、周知度が高い地物の画像データが示す画像が描画され、人口が多い行政区画の名称が描画されるようにステップS235にて修正されたパノラマ図データに対し、さらに修正を行う。図4Aに示すパノラマ図Pにおいては、矩形あるいは三角形によって周知度の高い地物が示されており、「A市」等の文字によって人口が多い行政区画の名称が示されている。
【0052】
なお、以上のように、予め用意された画像データが用意された周知度の高い地物をパノラマ図に表示することにより、容易にパノラマ図を描画することが可能である。すなわち、パノラマ図の表示範囲内に存在する地物の数は極めて多数であり、各地物の外周の座標に基づいて各地物を描画すると、極めて処理負荷が大きくなる。また、パノラマ図内に多数の小さな地物が描画されることによって各地物が著しく見にくくなってしまう。しかし、本実施形態においては、周知度の高い地物をパノラマ図に重畳する構成となっているため、地物の視認性を低下させることはない。また、表示対象となる地物の画像データは予め用意されているため、座標に基づくポリゴンの描画等を行う必要がなく、極めて小さい処理負荷でパノラマ図を描画することが可能である。同様に、人口の多い行政区画に限定して行政区画の名称を表示しているため、名称の表示対象が過度に多くなることはなく、視認性を低下させることなく行政区画の名称をパノラマ図に重畳することができる。
【0053】
次に、制御部20は、進行方向、方角、左右後方を示すアイコンを描画する(ステップS250)。すなわち、制御部20は、ナビゲーション端末10の進行方向がパノラマ図の左右方向の中心である場合に当該進行方向と方角(東西南北)との角度を特定する。また、当該進行方向と左右後方との角度を特定する。そして、パノラマ図上の中心から各角度に相当する距離だけ左右方向に離れた位置に方角と左右後方とを示すアイコンが描画され、進行方向を示すアイコンがパノラマ図の左右方向の中心に描画されるように、ステップS245にて修正されたパノラマ図データを修正する。
【0054】
図4においては、進行方向を示すアイコンが黒い三角形、方角を示すアイコンがN,E,W,S(それぞれ、北、東、西、南を示す)の文字、左右後方を示すアイコンがR,L,B(それぞれ、右、左、後を示す)の文字である例を示している。このようなアイコンにより、利用者は、パノラマ図における地物の位置と実際の地物の位置との関係をより直感的に把握することが可能になる。なお、方角は、地表に対して相対的に固定された固定座標系における特定の方向であればよく、東南等の情報であっても良い。また、左右後方以外の方向について、ナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向を示してもよく、例えば、右斜め前等を示す表示を行っても良い。
【0055】
次に、制御部20は、パノラマ図を表示する(ステップS255)。すなわち、制御部20は、以上の処理によって生成されたパノラマ図データとパノラマ図の表示位置を示す情報とをユーザI/F部44に対して出力する(ステップS255)。この結果、ユーザI/F部44の表示部においては、鳥瞰図が描画された位置の上方に図4Aに示すようにパノラマ図が表示される。以上のようにしてパノラマ図データ生成処理によってパノラマ図が表示されると、制御部20は、図2に示す処理に復帰して処理を終了する。
【0056】
一方、図2に示す画像表示制御処理において、ステップS105にて、パノラマ図を表示中であると判定された場合、制御部20は、異なるメッシュに移動したか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部20は、ナビゲーション端末10の現在位置がメッシュの境界を越えて変化したか否かを判定する。ステップS120において、異なるメッシュに移動したと判定された場合、制御部20は、ステップS115におけるパノラマ図データ生成処理を実行する。すなわち、本実施形態においては、メッシュの境界を越えた移動がなされた場合に鳥瞰図の描画を伴うパノラマ図の再描画が行われる構成となっている。
【0057】
一方、ステップS120において、異なるメッシュに移動したと判定されない場合、制御部20は、ナビゲーション端末10の進行方向が変化したか否かを判定する(ステップS125)。すなわち、制御部20は、ジャイロセンサ43の出力信号に基づいて、ナビゲーション端末10の進行方向(車両の進行方向)が変化したか否を判定する。
【0058】
ステップS125において、ナビゲーション端末10の進行方向が変化したと判定された場合、制御部20は,パノラマ図をスライドさせる(ステップS130)。すなわち、ナビゲーション端末10の進行方向が変化した場合、ナビゲーション端末10の周辺で視認可能な景色は図4Aに示すようなパノラマ図と同様であるが、パノラマ図の中心となるべき位置が変化したことになる。そこで、進行方向が水平面内で回転した角度に相当する角度だけパノラマ図を左右に移動させ、移動によって元の角度範囲を超えた端部を削除するととも逆側の端部に結合させる。また、ナビゲーション端末10の進行方向を示すアイコンの位置を修正する。例えば、図4Aに示す例において、ナビゲーション端末10の進行方向が右方向に変化した場合、パノラマ図の左に移動され、左側の端部が元の角度範囲を超えるため左側の端部が削除され、右側に結合されることになる。
【0059】
一方、ステップS125において、ナビゲーション端末10の進行方向が変化したと判定されない場合、ステップS130をスキップする。以上のように、本実施形態においては、一旦パノラマ図データが生成されると、異なるメッシュに移動するまで鳥瞰図の描画を伴うパノラマ図データの再描画が行われることはなく、ナビゲーション端末10の進行方向の変化に応じてパノラマ図をスライドさせる修正のみが行われる。この構成により、鳥瞰図の描画を伴うパノラマ図の再描画が頻繁に行われることを防止することができ、軽微な修正のみでパノラマ図を違和感なく表示し続けることが可能になる。
【0060】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、鳥瞰図とパノラマ図とを同時に表示しつつパノラマ図にナビゲーション端末の進行方向を重畳する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、ナビゲーション端末10が車両に搭載されて利用される実施形態以外にも、歩行者がナビゲーション端末10を利用する実施形態であっても良い。むろん、ナビゲーション端末10は、車両に固定的に搭載されていても良いし、持ち運び可能なナビゲーション端末10が車両内に持ち込まれて利用する態様であっても良い。
【0061】
また、周知度の高い地物をパノラマ図上で表示する際、地物の像が重なる、あるいは像の位置間の距離が所定距離以下である場合には、より有名な地物を表示し、有名でない地物は表示しないように構成してもよい。同様に、人口が多い行政区画の名称をパノラマ図上で表示する際、名称が重なる、あるいは名称の表示位置間の距離が所定距離以下である場合には、より人口の多い行政区画の名称を表示し、人口が少ない行政区画の名称は表示しないように構成してもよい。
【0062】
さらに、パノラマ図に表示する地物のアイコンの数が過度に多くなることを防止するため、種々の指標に基づいて取捨選択しても良い。例えば、パノラマ図に重畳する方角を示すアイコンやナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物をパノラマ図上での表示対象とし、パノラマ図上で他の位置(予め決められた範囲外)に存在する地物は表示対象としない構成としても良い。この構成によれば、地物の視認性を低下させることなくパノラマ図を表示することができる。
【0063】
図4Bは、ナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向である前,右、左、後(それぞれ三角形のアイコン,R,L,Bの文字によって示されている)から予め決められた範囲S内に存在する地物の像や地物の名称を表示する構成の例である。以上の構成によれば、ナビゲーション端末の進行方向を前方とした場合の相対的な方向を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物が表示されるため、利用者が直感的に把握しやすい方角あるいは方向に存在する地物をパノラマ図上に表示することができ、地物の数を限定しつつも利用者にとってわかりやすいパノラマ図を表示することが可能である。なお、範囲Sは、当該範囲S内の地物が、パノラマ図上でアイコンによって示された方向(R,L等の方向)に存在すると見なされるように、例えば、±10°の範囲などと予め決められていればよい。なお、図4Bにおいては、パノラマ図に方角(N,E,W,S等)が表示されていないが、むろん、方角を表示し、方角を示すアイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物が表示されるように構成してもよい。
【0064】
さらに、パノラマ図に他の付加的な情報を重畳するように構成してもよい。例えば、ナビゲーション端末10において出発地から目的地に向かうための経路案内を行っている場合、当該目的地や目的地までの経路を示す情報を重畳するように構成しても良い。この構成によれば、パノラマ図によって容易に目的地や経路を把握することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10…ナビゲーション端末、20…制御部、21…画像表示制御プログラム、21a…地物情報取得部、21b…鳥瞰図データ生成部、21c…パノラマ図データ生成部、21d…画像表示制御部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…地物情報、41…GPS受信部、42…車速センサ、43…ジャイロセンサ、44…ユーザI/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得する地物情報取得手段と、
前記地物情報に基づいて、ナビゲーション端末の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつ前記ナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成する鳥瞰図データ生成手段と、
前記地物情報に基づいて、前記現在位置において前記ナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、前記進行方向を示すアイコンが重畳された前記パノラマ図の画像データを生成するパノラマ図データ生成手段と、
前記鳥瞰図の画像データおよび前記パノラマ図の画像データに基づいて、前記ナビゲーション端末が備える表示部に前記鳥瞰図および前記パノラマ図を表示する画像表示制御手段と、
を備える画像表示制御システム。
【請求項2】
前記パノラマ図データ生成手段は、方角と前記進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示すアイコンが重畳された前記パノラマ図の画像データを生成する、
請求項1に記載の画像表示制御システム。
【請求項3】
前記パノラマ図データ生成手段は、前記進行方向の真後ろの所定範囲が分断されることなく前記パノラマ図に含まれるように決定された前記所定の方位範囲を前記ナビゲーション端末の前記現在位置において見た場合の景色を示す前記パノラマ図の画像データを生成する、
請求項2に記載の画像表示制御システム。
【請求項4】
前記パノラマ図データ生成手段は、前記方角と前記進行方向を前方とした場合の相対的な方向とのいずれかまたは双方を示す前記アイコンから予め決められた範囲内の方位に存在する地物を示すアイコンと文字とのいずれかまたは双方が重畳された前記パノラマ図の画像データを生成する、
請求項2または請求項3のいずれかに記載の画像表示制御システム。
【請求項5】
地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得する地物情報取得工程と、
前記地物情報に基づいて、ナビゲーション端末の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつ前記ナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成する鳥瞰図データ生成工程と、
前記地物情報に基づいて、前記現在位置において前記ナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、前記進行方向を示すアイコンが重畳された前記パノラマ図の画像データを生成するパノラマ図データ生成工程と、
前記鳥瞰図の画像データおよび前記パノラマ図の画像データに基づいて、前記ナビゲーション端末が備える表示部に前記鳥瞰図および前記パノラマ図を表示する画像表示制御工程と、
を含む画像表示制御方法。
【請求項6】
地物の三次元形状および位置を示す地物情報を取得する地物情報取得機能と、
前記地物情報に基づいて、ナビゲーション端末の現在位置の上方に設定された視点位置から下方かつ前記ナビゲーション端末の進行方向を見た場合の景色を示す鳥瞰図の画像データを生成する鳥瞰図データ生成機能と、
前記地物情報に基づいて、前記現在位置において前記ナビゲーション端末の進行方向を含む所定の方位範囲を見た場合の景色を示すパノラマ図であるとともに、前記進行方向を示すアイコンが重畳された前記パノラマ図の画像データを生成するパノラマ図データ生成機能と、
前記鳥瞰図の画像データおよび前記パノラマ図の画像データに基づいて、前記ナビゲーション端末が備える表示部に前記鳥瞰図および前記パノラマ図を表示する画像表示制御機能と、
をコンピュータに実行させる画像表示制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−61178(P2013−61178A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198465(P2011−198465)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】