説明

画像表示方法および装置

【課題】蛍光画像などの特殊画像を表示する画像表示装置において、特殊画像における発光部分の被観察部における位置を正確に把握でき、かつ発光部分の階調などの情報を正確に表した画像を表示する。
【解決手段】可視光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく可視画像と可視光とは異なる波長帯域の特殊光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく特殊画像とを取得し、可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成し、その生成した抽出画像を特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成し、その生成した重ね合せ画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊光の被観察部への照射によって取得された特殊画像を表示する画像表示方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、体腔内の組織を観察する内視鏡システムが広く知られており、白色光の照射によって体腔内の被観察部を撮像して通常画像を得、この通常画像をモニタ画面上に表示する電子式内視鏡システムが広く実用化されている。
【0003】
また、上記のような内視鏡システムとして、たとえば、通常画像とともに、励起光の照射によって被観察部から発せられた自家蛍光像を撮像して自家蛍光画像を得、これらの画像をモニタ画面上に表示する蛍光内視鏡システムが提案されている。
【0004】
また、蛍光内視鏡システムとしては、たとえば、ICG(インドシアニングリーン)を予め体内に投入し、励起光を被観察部に照射して血管内のICGの蛍光を検出することによって蛍光画像を取得するものも提案されている。
【0005】
ここで、上記のような内視鏡システムにおいて取得される蛍光画像は、内臓などの被観察部全体を表すものではなく、被観察部の一部の発光部分のみを表すものであるため、蛍光画像のみを観察した場合、その発光部分のみが観察できるだけであり、発光部分の周辺を観察することができないため、発光部分が被観察部のどの辺に位置しているのかを把握することができない。
【0006】
したがって、たとえば通常画像と蛍光画像とを同時に表示することも考えられるが、これらの画像は別個に表示されるため、やはり蛍光画像における発光部分が通常画像上のどの部分に位置するのかを正確に把握することはできない。
【0007】
そこで、たとえば特許文献1〜特許文献5においては、通常画像を表す通常画像信号と蛍光画像を表す蛍光画像信号とのそれぞれを合成することによって新たな合成画像信号を生成し、これを用いて合成画像を表示することによって蛍光画像の発光部分の位置を把握することが提案されている。
【0008】
また、特許文献6においては、蛍光画像における発光部分の位置を把握するためのその他の方法として、被観察部に対して励起光を照射するとともに、蛍光の波長帯域を含む照明光を被観察部に照射することによって、蛍光画像の発光部分とその背景画像とを観察する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−154812号公報
【特許文献2】特開2002−10968号公報
【特許文献3】特開2005−349007号公報
【特許文献4】特開2006−175052号公報
【特許文献5】特開2007−075198号公報
【特許文献6】特開2008−259591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜特許文献5のように通常画像と蛍光画像とを合成して合成画像を生成するようにしたのでは、その合成によって蛍光画像の発光部分の階調などが見難くなり、必要な情報が得られなくなる可能性がある。
【0011】
また、特許文献6のように蛍光の波長帯域を含む照明光を被観察部に照射するためには、新たな光学フィルタや光源などを設ける必要があり、コストアップになるとともに装置が大型化する問題がある。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑み、蛍光画像における発光部分の被観察部における位置を正確に把握することができ、かつ発光部分の階調などの情報を正確に表した画像を表示することができる画像表示方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の画像表示装置は、可視光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく可視画像と可視光とは異なる波長帯域の特殊光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく特殊画像とを取得とする画像取得部と、可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成する抽出画像生成部と、抽出画像生成部によって生成された抽出画像を特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成する重ね合せ処理部と、重ね合せ処理部によって生成された重ね合せ画像を表示する表示部とを備えたものであることを特徴とする。
【0014】
また、上記本発明の画像表示装置においては、抽出画像生成部を、可視画像に含まれる輪郭を抽出して抽出画像を生成するものとできる。
【0015】
また、抽出画像生成部を、可視画像の含まれる所定の大きさ以上の閉領域を抽出して抽出画像を生成するものとできる。
【0016】
また、表示部を、特殊光画像内において特殊光の照射によって光を発している部分の大きさが所定の閾値以上になった場合には、抽出画像を表示しないものとできる。
【0017】
また、可視画像に対して輪郭強調処理を施す輪郭強調処理部を設け、表示部を、輪郭強調処理の施された可視画像を表示するものとできる。
【0018】
また、特殊光として励起光を用いることができる。
【0019】
また、励起光として近赤外光を用いることができる。
【0020】
また、可視光として白色光を用いることができる。
【0021】
本発明の画像表示方法は、可視光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく可視画像と可視光とは異なる波長帯域の特殊光の被観察部への照射によってその被観察部から発せられた光に基づく特殊画像とを取得し、可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成し、その生成した抽出画像を特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成し、その生成した重ね合せ画像を表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の画像表示方法および装置によれば、可視光の被観察部への照射による可視画像と可視光とは異なる波長帯域の特殊光の被観察部への照射による特殊画像とを取得し、可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成し、その生成した抽出画像を特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成し、その生成した重ね合せ画像を表示するようにしたので、この重ね合せ画像を観察することによって、特殊画像における発光部分の可視画像における位置を正確に把握することができ、かつ発光部分の階調などの情報を正確に表した画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の画像表示装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムの概略構成図
【図2】体腔挿入部の概略構成図
【図3】撮像ユニットの概略構成図
【図4】画像処理装置および光源装置の概略構成を示すブロック図
【図5】画像処理部の概略構成を示すブロック図
【図6】通常画像と蛍光画像の一例を示す図
【図7】通常画像と重ね合せ画像の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の画像表示装置の一実施形態を用いた硬性鏡システムについて詳細に説明する。図1は、本実施形態の硬性鏡システム1の概略構成を示す外観図である。
【0025】
本実施形態の硬性鏡システム1は、図1に示すように、白色の通常光および励起光を射出する光源装置2と、光源装置2から射出された通常光および励起光を導光して被観察部に照射するとともに、通常光の照射により被観察部から反射された反射光に基づく通常像と励起光の照射により被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像とを撮像する硬性鏡撮像装置10と、硬性鏡撮像装置10によって撮像された画像信号に所定の処理を施すプロセッサ3と、プロセッサ3において生成された表示制御信号に基づいて被観察部の通常画像、蛍光画像および後述する重ね合せ画像を表示するモニタ4とを備えている。
【0026】
硬性鏡撮像装置10は、図1に示すように、体腔内に挿入される体腔挿入部30と、体腔挿入部30によって導光された被観察部の通常像および蛍光像を撮像する撮像ユニット20とを備えている。
【0027】
そして、硬性鏡撮像装置10は、図2に示すように、体腔挿入部30と撮像ユニット20とが着脱可能に接続されている。体腔挿入部30は、接続部材30a、挿入部材30b、ケーブル接続口30c、照射窓30dおよび撮像窓30eを備えている。
【0028】
接続部材30aは、体腔挿入部30(挿入部材30b)の一端側30Xに設けられており、たとえば撮像ユニット20側に形成された開口20aに嵌め合わされることにより、撮像ユニット20と体腔挿入部30とが着脱可能に接続される。
【0029】
挿入部材30bは、体腔内の撮影を行う際に体腔内に挿入されるものであって、硬質な材料から形成され、たとえば、直径略5mmの円柱形状を有している。挿入部材30bの内部には、被観察部の像を結像するためのレンズ群が収容されており、他端側30Yから撮像窓30eを介して入射された被観察部の通常像および蛍光像はレンズ群を介して一端側30Xの撮像ユニット20側に射出される。
【0030】
挿入部材30bの側面にはケーブル接続口30cが設けられており、このケーブル接続口30cに光ケーブルLCが機械的に接続される。これにより、光源装置2と挿入部材30bとが光ケーブルLCを介して光学的に接続されることになる。光ケーブルLCは、通常光および励起光を導光するバンドルファイバから形成されるものである。
【0031】
照射窓30dは、体腔挿入部30の他端側30Yに設けられており、光ケーブルLCによって導光された通常光および励起光を被観察部に対し照射するものである。なお、挿入部材30b内にはケーブル接続口30cから照射窓30dまで通常光および励起光を導光するバンドルファイバが収容されており(図示せず)、このバンドルファイバの先端が研磨されることによって照射窓30dが形成されている。
【0032】
図3は、撮像ユニット20の概略構成を示す図である。撮像ユニット20は、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の蛍光像を撮像して被観察部の蛍光画像信号を生成する第1の撮像系と、体腔挿入部30内のレンズ群により結像された被観察部の通常像を撮像して通常画像信号を生成する第2の撮像系とを備えている。これらの撮像系は、通常像を反射するとともに、蛍光像および混合像を透過する分光特性を有するダイクロイックプリズム21によって、互いに直交する2つの光軸に分けられている。
【0033】
第1の撮像系は、被観察部において反射し、ダイクロイックプリズム21を透過した励起光の波長以下の光をカットするとともに、後述する蛍光波長域照明光を透過する励起光カットフィルタ22と、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を透過した蛍光像L4を結像する第1結像光学系23と、第1結像光学系23により結像された蛍光像L4を撮像する高感度撮像素子24とを備えている。
【0034】
第2の撮像系は、体腔挿入部30から射出され、ダイクロイックプリズム21を反射した通常像L3を結像する第2結像光学系25と、第2結像光学系25により結像された通常像L3を撮像する撮像素子26を備えている。
【0035】
高感度撮像素子24は、蛍光像L4の波長帯域の光を高感度に検出し、蛍光画像信号に変換して出力するものである。本実施形態においては、高感度撮像素子24としてモノクロ画像を撮像する撮像素子を用いるものとする。
【0036】
撮像素子26は、通常像の波長帯域の光を検出し、通常画像信号に変換して出力するものである。撮像素子26の撮像面には、3原色の赤(R)、緑(G)および青(B)、またはシアン(C)、マゼンダ(M)およびイエロー(Y)のカラーフィルタがベイヤー配列またはハニカム配列で設けられている。
【0037】
また、撮像ユニット20は、撮像制御ユニット27を備えている。撮像制御ユニット27は、高感度撮像素子24から出力された蛍光画像信号と撮像素子26から出力された通常画像信号とに対し、CDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理を施し、ケーブル5(図1参照)を介してプロセッサ3に出力するものである。
【0038】
プロセッサ3は、図4に示すように、通常画像入力コントローラ31、蛍光画像入力コントローラ32、画像処理部33、メモリ34、ビデオ出力部35、操作部36、TG(タイミングジェネレータ)37およびCPU38を備えている。
【0039】
通常画像入力コントローラ31および蛍光画像入力コントローラ32は、所定容量のラインバッファを備えており、通常画像入力コントローラ31は、撮像ユニット20の撮像制御ユニット27から出力された1フレーム毎の通常画像信号を一時的に記憶するものであり、蛍光画像入力コントローラ32は、蛍光画像信号および混合画像信号をそれぞれ一時的に記憶するものである。そして、通常画像入力コントローラ31に記憶された通常画像信号および蛍光画像入力コントローラ32に記憶された蛍光画像信号はバスを介してメモリ34に格納される。
【0040】
画像処理部33は、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号および蛍光画像信号が入力され、これらの画像信号に所定の画像処理を施し、バスに出力するものである。画像処理部33のより具体的な構成を図5に示す。
【0041】
画像処理部33は、図5に示すように、蛍光画像処理部51、通常画像処理部52、ノイズ除去処理部53、エッジ抽出部54および重ね合せ処理部55を備えている。
【0042】
蛍光画像処理部51は、入力された蛍光画像信号に対し、蛍光画像に適した所定の画像処理を施して出力するものである。本実施形態においては、輪郭が比較的ぼやけるICGの蛍光像を撮像するので、蛍光画像処理部51においては、階調補正処理やシャープネス処理が施される。
【0043】
通常画像処理部52は、入力された通常画像信号に対し、通常画像に適した所定の画像処理を施して出力するものである。
【0044】
ノイズ除去処理部53は、入力された通常画像信号に対してノイズ除去処理を施すものであるが、本実施形態においては、具体的には通常画像信号に含まれる高周波成分のノイズを除去する処理を施すものとする。このような高周波成分のノイズを除去する処理としては公知な手法を採用することができ、たとえばメジアンフィルタを用いた処理を用いることができる。
【0045】
エッジ抽出部54は、ノイズ除去処理の施された通常画像信号に対してエッジ抽出処理を施すものであり、これにより通常画像信号に含まれる内臓や血管などの輪郭を抽出して輪郭抽出画像信号を生成するものである。エッジ抽出処理としては公知な手法を採用することができ、たとえばラプラシアンフィルタを用いた処理や、キャニー法を用いた処理などを用いることができる。
【0046】
重ね合せ処理部55は、蛍光画像処理部51において画像処理の施された蛍光画像信号上に、エッジ抽出部54において生成された輪郭抽出画像信号を重ね合せることによって重ね合せ画像信号を生成するものである。
【0047】
図4に戻り、ビデオ出力部35は、画像処理部33から出力された通常画像信号、蛍光画像信号および重ね合せ画像信号がバスを介して入力され、所定の処理を施して表示制御信号を生成し、その表示制御信号をモニタ4に出力するものである。
【0048】
操作部36は、種々の操作指示や制御パラメータなどの操作者による入力を受け付けるものである。また、TG37は、撮像ユニット20の高感度撮像素子24、撮像素子26および後述する光源装置2のLDドライバ45を駆動するための駆動パルス信号を出力するものである。また、CPU38は装置全体を制御するものである。
【0049】
光源装置2は、約400〜700nmの広帯域の波長からなる通常光(白色光)L1を射出する通常光源40と、通常光源40から射出された通常光L1を集光する集光レンズ42と、集光レンズ42によって集光された通常光L1を透過するとともに、後述する励起光L2を反射し、通常光L1および励起光L2とを光ケーブルLCの入射端に入射させるダイクロイックミラー43とを備えている。なお、通常光源40としては、たとえばキセノンランプが用いられる。また、通常光源40と集光レンズ42との間には、絞り41が設けられており、ALC(Automatic light control)48からの制御信号に基づいてその絞り量が制御される。
【0050】
また、光源装置2は、750〜830nmの近赤外光を励起光L2として射出する近赤外LD光源44と、近赤外LD光源44を駆動するLDドライバ45と、近赤外LD光源44から射出された励起光L2を集光する集光レンズ46と、集光レンズ46によって集光された励起光L2をダイクロイックミラー43に向けて反射するミラー47とを備えている。
【0051】
なお、励起光L2としては、広帯域の波長からなる通常光よりも狭帯域の波長が用いられる。そして、励起光L2としては上記波長域の光に限定されず、蛍光色素の種類もしくは自家蛍光させる生体組織の種類によって適宜決定される。
【0052】
次に、本実施形態の硬性鏡システムの作用について説明する。
【0053】
本実施形態の硬性鏡システムは、励起光の照射によるICGの蛍光の蛍光画像と、白色光の照射による通常画像と、上述した重ね合せ画像信号に基づく重ね合せ画像を表示するものあるが、まずは、通常画像と蛍光画像とを表示する作用について説明する。
【0054】
まず、操作者により体腔挿入部30が体腔内に挿入され、体腔挿入部30の先端が被観察部の近傍に設置される。
【0055】
そして、光源装置2の通常光源40から射出された通常光L1が、集光レンズ42、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから被観察部に照射される。一方、光源装置2の近赤外LD光源44から射出された励起光L2が、集光レンズ46、ミラー47、ダイクロイックミラー43および光ケーブルLCを介して体腔挿入部30に入射され、体腔挿入部30の照射窓30dから通常光L1と同時に被観察部に照射される。
【0056】
そして、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像が撮像されるとともに、励起光L2の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像が撮像される。なお、被観察部には、予めICGが投与されており、このICGから発せられる蛍光を撮像するものとする。
【0057】
具体的には、通常像の撮像の際には、通常光L1の照射によって被観察部から反射された反射光に基づく通常像L3が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0058】
撮像ユニット20に入射された通常像L3は、ダイクロイックプリズム21により撮像素子26に向けて直角方向に反射され、第2結像光学系25により撮像素子26の撮像面上に結像され、撮像素子26によって所定のフレームレートで順次撮像される。
【0059】
撮像素子26から順次出力された通常画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0060】
そして、プロセッサ3に入力された通常画像信号は、通常画像入力コントローラ31において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の通常画像信号は、画像処理部33の通常画像処理部52において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力される。
【0061】
そして、ビデオ出力部35は、入力された通常画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて通常画像を表示する。
【0062】
一方、蛍光像の撮像の際には、励起光の照射によって被観察部から発せられた蛍光に基づく蛍光像L4が挿入部材30bの先端30Yから入射し、挿入部材30b内のレンズ群により導光されて撮像ユニット20に向けて射出される。
【0063】
撮像ユニット20に入射された蛍光像L4は、ダイクロイックプリズム21および励起光カットフィルタ22を通過した後、第1結像光学系23により高感度撮像素子24の撮像面上に結像され、高感度撮像素子24によって所定のフレームレートで撮像される。
【0064】
高感度撮像素子24から順次出力された蛍光画像信号は、撮像制御ユニット27においてCDS/AGC(相関二重サンプリング/自動利得制御)処理やA/D変換処理が施された後、ケーブル5を介してプロセッサ3に順次出力される。
【0065】
そして、プロセッサ3に入力された蛍光画像信号は、蛍光画像入力コントローラ32において一時的に記憶された後、メモリ34に格納される。そして、メモリ34から読み出された1フレーム毎の蛍光画像信号は、画像処理部33の蛍光画像処理部51において所定の画像処理が施された後、ビデオ出力部35に順次出力される。
【0066】
そして、ビデオ出力部35は、入力された蛍光画像信号に所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて蛍光画像を表示する。
【0067】
図6は、上述したような作用によってモニタ4に表示された通常画像と蛍光画像の一例を示すものである。なお、図6においては、通常画像を線画像として表しているが、実際にはカラー画像であるものとする。
【0068】
そして、図6に示すような通常画像および蛍光画像が表示されている状態において、観察者が、蛍光画像における発光部分が通常画像上のどの辺りに存在するのかを知りたい場合がある。そのような場合には、観察者によって操作部36を用いて重ね合せ画像の表示指示が行われ、この指示に応じて重ね合せ画像の表示が行われる。以下、その重ね合せ画像の表示の作用について説明する。
【0069】
合成画像を表示する際には、具体的には、画像処理部33に入力された通常画像信号がノイズ除去処理部53に入力される。そして、ノイズ除去処理部53において通常画像信号に対してノイズ除去処理が施された後、エッジ抽出部54に入力され、エッジ抽出部54においてさらにエッジ抽出処理が施されて輪郭抽出画像信号が生成される。
【0070】
そして、上述したように通常画像信号に基づいて生成された輪郭抽出画像信号と、蛍光画像処理部51から出力された蛍光画像信号とが重ね合せ処理部55に入力され、重ね合せ処理部55は、入力された蛍光画像信号上に輪郭抽出画像信号を重ね合せることによって重ね合せ画像信号を生成する。
【0071】
重ね合せ処理部55において生成された重ね合せ画像信号はビデオ出力部35に出力され、ビデオ出力部35は、入力された重ね合せ画像信号に対して所定の処理を施して表示制御信号を生成し、1フレーム毎の表示制御信号をモニタ4に順次出力する。そして、モニタ4は、入力された表示制御信号に基づいて重ね合せ画像を表示する。図7は、上述したような作用によってモニタ4に表示された重ね合せ画像の一例を示すものである。なお、図7においては輪郭抽出画像信号に基づいて表示される輪郭抽出画像を白色で示している。ただし、実際には白色に限らず、その他の黒色以外の色を付けて表示するようにしてもよい。
【0072】
重ね合せ画像においては、通常画像に基づいて生成された輪郭抽出画像が蛍光画像上に重ねて表示されるので、蛍光画像における発光部分が通常画像上のどの辺りに存在するのかを即座に把握することができる。
【0073】
なお、上記のようにして重ね合せ画像を表示する際、同時に表示されている通常画像の輪郭を強調して表示するようにしてもよい。具体的には、通常画像信号に対してエッジ強調処理などの輪郭強調処理を施す輪郭強調処理部をさらに設け、通常画像信号に対して輪郭強調処理を施すことによって通常画像における輪郭を強調して表示するようにしてもよい。これにより通常画像と蛍光画像上に重ねて表示された輪郭抽出画像との対応関係を即座に把握することができる。
【0074】
また、上記実施形態の硬性鏡システムにおいては、通常画像における全ての輪郭を抽出した輪郭抽出画像を蛍光画像上に重ねるようにしたが、これに限らず、たとえば、通常画像内における内臓などの領域の輪郭のみを抽出し、その輪郭抽出画像を蛍光画像上に重ねるようにしてもよい。具体的には、通常画像上における輪郭のうち所定の大きさ以上の閉領域を形成する輪郭のみを抽出して輪郭抽出画像を生成し、その輪郭抽出画像を蛍光画像上に重ねるようにしてもよい。このような輪郭抽出画像を蛍光画像に重ね合わせることによって、短い線分の輪郭や小さな閉領域を形成する輪郭など余計な輪郭を削除することができるので、蛍光画像の発光部分の位置を把握できるだけでなく、その発光部分をより明確に観察することができる。なお、上記閉領域は、通常画像内の内臓や血管などの輪郭だけでなく、通常画像全体の輪郭(図6および図7に示す円)も用いて形成されるものとする。また、この場合においても、通常画像における上記輪郭抽出画像に対応する輪郭を強調表示するようにしてもよい。また、上述した全ての輪郭の輪郭抽出画像を蛍光画像上に重ねて表示する表示モードや、内臓などの一部の輪郭のみの輪郭抽出画像を蛍光画像上に重ねて表示する表示モードや、輪郭抽出画像を重ねていない蛍光画像を表示する表示モードなどをそれぞれ設定し、これらの少なくとも2つを切り替え可能にするようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態の硬性鏡システムのようにICGの蛍光画像を観察する場合、IGCを被観察部に投入して短い期間はその発光部分の面積が少ないためその位置を把握しづらいが、ICGを投入後しばらく時間が経過すると、ICGの発光部分の面積が増加してくるので比較的その発光部分の位置が分かりやすくなり、上述したように蛍光画像上に輪郭抽出画像を重ね合せて表示する必要がなくなる場合がある。
【0076】
そこで、上記実施形態の硬性鏡システムにおいて、蛍光画像内における発光部分の面積を算出し、その面積が所定の閾値以上になった場合には、輪郭抽出画像を表示しないようにしてもよい。これにより蛍光画像の発光部分をより明確に観察することができる。なお、輪郭抽出画像を表示しないようにする方法としては、輪郭抽出画像を生成しない、すなわちノイズ除去処理、エッジ抽出処理および重ね合せ処理を行わないようにしてもよいし、輪郭抽出画像の生成までは行うが輪郭抽出画像の表示を行わないようにしてもよい。
【0077】
なお、上記実施形態においては、通常光と励起光とを同時に被観察部に照射して通常画像と蛍光画像とを同時に撮像する構成としたが、これに限らず、たとえば、通常光と励起光とを交互に時分割に被観察部に照射し、通常画像と蛍光画像とを時分割に撮像する構成としてもよい。
【0078】
また、上記実施形態においては、第1の撮像系により蛍光画像を撮像するようにしたが、これに限らず、被観察部への特殊光の照射による被観察部の吸光特性に基づく画像を撮像するようにしてもよい。
【0079】
また、上記実施形態は、本発明の画像取得装置を硬性鏡システムに適用したものであるが、これに限らず、たとえば、軟性内視鏡装置を有するその他の内視鏡システムに適用してもよい。また、内視鏡システムに限らず、体内に挿入される挿入部を備えていない、いわゆるビデオカメラ型の医用画像撮像装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 硬性鏡システム
2 光源装置
3 プロセッサ
4 モニタ
10 硬性鏡撮像装置
20 撮像ユニット
24 高感度撮像素子
26 撮像素子
30 体腔挿入部
33 画像処理部
40 通常光源
44 近赤外LD光源
51 蛍光画像処理部
52 通常画像処理部
53 ノイズ除去処理部
54 エッジ抽出部
55 重ね合せ処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく可視画像と前記可視光とは異なる波長帯域の特殊光の前記被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく特殊画像とを取得とする画像取得部と、
前記可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成する抽出画像生成部と、
該抽出画像生成部によって生成された抽出画像を前記特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成する重ね合せ処理部と、
該重ね合せ処理部によって生成された重ね合せ画像を表示する表示部とを備えたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記抽出画像生成部が、前記可視画像に含まれる輪郭を抽出して前記抽出画像を生成するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記抽出画像生成部が、前記可視画像の含まれる所定の大きさ以上の閉領域を抽出して前記抽出画像を生成するものであることを特徴とする請求項1または2記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部が、前記特殊光画像内において前記特殊光の照射によって光を発している部分の大きさが所定の閾値以上になった場合には、前記抽出画像を表示しないものであることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記可視画像に対して輪郭強調処理を施す輪郭強調処理部を備え、
前記表示部が、前記輪郭強調処理の施された可視画像を表示するものであることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記特殊光が励起光であることを特徴とする請求項1から5いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記励起光が近赤外光であることを特徴とする請求項6記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記可視光が白色光であることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載の画像表示装置。
【請求項9】
可視光の被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく可視画像と前記可視光とは異なる波長帯域の特殊光の前記被観察部への照射によって該被観察部から発せられた光に基づく特殊画像とを取得し、
前記可視画像が有する画像情報のうちの一部の情報を抽出して抽出画像を生成し、
該生成した抽出画像を前記特殊画像上に重ね合わせた重ね合せ画像を生成し、
該生成した重ね合せ画像を表示することを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−39223(P2013−39223A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−177843(P2011−177843)
【出願日】平成23年8月16日(2011.8.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】