説明

画像表示用パネル及び画像表示装置

【課題】粒子または粉流体の色による表示性能の劣化がなく、高いコントラストを維持することができる画像表示用パネル及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】互いに対向するとともに一方が透明な2枚の基板1、2間の、仕切り壁4によって設けられた複数のセル内に、互いに帯電特性の異なる白色粒子3Aと白以外の濃い有色の粒子3Bとを含む、少なくとも2種類以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極5、6から粒子群に電界を与えて、粒子群を移動させて画像を表示する画像表示用パネルにおいて、仕切り壁4の表面の色を白色ないし白色に近い淡有白色とする。粒子群の代わりに粉流体を使用しても、同様の構成で本発明を達成することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像表示用パネルに関し、特に、クーロン力等による粒子の飛翔移動または粉流体の移動を利用することで画像表示を繰り返し行うことができる可逆性画像表示装置に用いられる画像表示用パネル及び画像表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ペーパーレス化といった環境意識の高揚に伴い、電気的な力を利用して表示基板に所望の画像を表示でき、さらには書き換えも可能であるような電子ペーパーディスプレイに関する研究がなされてきている。この電子ペーパー技術において特に有名なのは、電気泳動型、サーマルリライタブル型等といった液相型のものであるが、液相型では液中を粒子が泳動するので、液の粘性抵抗により応答速度が遅くなるという問題があるため、最近では、対向する基板間に絶縁性着色粒子または粉流体が封入された構成の乾式の画像表示用パネルが着目されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
趙 国来、外3名、“新しいトナーディスプレイデバイス(I)”、1999年7月21日、日本画像学会年次大会(通算83回)“Japan Hardcopy’99”論文集、p.249−252
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような乾式の画像表示用パネルにおいては、透明な一方の基板側から基板内部の粒子または粉流体の色を視認する方式のため、表示を行った際に実際に視覚に入ってくるのは粒子または粉流体の色だけでなく、粒子群または粉流体の隙間から見える対向背面基板の色、及び、基板間の所定の場所に粒子または粉流体を封入するために設けられたセルを構成する隔壁(仕切り壁)の色が含まれる。そして、これら粒子または粉流体以外のものの色が目立ってしまい、粒子または粉流体の色による表示性能が損なわれてしまう、という問題があった。
【0005】
本発明の目的は上述した課題を解決して、粒子または粉流体の色による表示性能の劣化がなく、高いコントラストを維持することができる画像表示用パネル及び画像表示装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像表示用パネルの第1発明は、互いに対向するとともに一方が透明な2枚の基板間の、仕切り壁によって設けられた複数のセル内に、互いに帯電特性の異なる白色粒子と白以外の濃い有色の粒子とを含む、少なくとも2種類以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から粒子群に電界を与えて、粒子群を移動させて画像を表示する画像表示用パネルにおいて、前記仕切り壁の表面の色が白色ないし白色に近い淡有白色であることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の画像表示用パネルの第2発明は、互いに対向するとともに一方が透明な2枚の基板間の、仕切り壁によって設けられた複数のセル内に、互いに帯電特性の異なる白色粉流体と白以外の濃い有色の粉流体とを含む、少なくとも2種類以上の粉流体を封入し、電位の異なる2種類の電極から粉流体に電界を与えて、粉流体を移動させて画像を表示する画像表示用パネルにおいて、前記仕切り壁の表面の色が、白色ないし白色に近い淡有白色であることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の第1発明及び第2発明のように、表示用粒子または粉流体として、白色粒子または白色粉流体と濃い有色粒子または有色粉流体とを用いることによるコントラストを利用する表示では、白色粒子または白色粉流体によって「より明るく」することと、濃い有色粒子または有色粉流体によって「より暗く」することが重要であるが、これらの粒子または粉流体の発揮すべき機能において、白色粒子または白色粉流体による「より明るく」という機能は白色粒子または白色粉流体の周囲に存在する様々な因子によって阻害されやすいことが分かった。すなわち、白色粒子または白色粉流体の周囲に少しでも「暗い」ものがあると、「より明るく」するという白色粒子または白色粉流体の機能が損なわれてしまう結果、コントラストが不明瞭になり、好ましい画像表示が行われなくなることが分かった。
【0009】
そして鋭意研究を重ねた結果、画像表示側から見える粒子または粉流体以外のもの、具体的にはセルを形成する隔壁と、好ましくは対向する基板のうち背面基板となる基板の粒子または粉流体と接する側の表面を白色粒子または白色粉流体と同様の明るいものにすることによって、コントラストが著しく改善されることを見出し、本発明に到った。
【0010】
本発明の第1発明及び第2発明における好ましい態様には以下のようなものがある。すなわち、白以外の濃い有色の粒子または粉流体が黒色粒子または粉流体であること、互いに対向する2枚の基板のうち透明な基板側にカラーフィルターを配置することによってカラー表示を行うこと、仕切り壁の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものであること、互いに対向する2枚の基板のうち透明でない背面基板において、粒子群または粉流体と接する側の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものであること、粒子の平均粒子径が0.1〜50μmであり、粉流体を構成する粒子物質の平均粒子径が0.1〜20μmであること、セル内に充填される粒子または粉流体の体積占有率が10〜80vol%の範囲であること、である。いずれの例においても、本発明の第1発明及び第2発明をより好適に実施することができる。
【0011】
また、本発明の画像表示装置は、上述した第1発明及び第2発明に係る画像表示用パネルを搭載してなることを特徴とするものである。
【0012】
なお、上述した本発明の第1発明(粒子群を使用)および第2発明(粉流体を使用)とも、従来の粒子または粉流体の色による表示性能の劣化によるコントラスト低下の問題を解消することができる。これに加えて、第2発明は第1発明と比較して、液体の特徴である流動性と固体の特徴である一定の外形保持性とを兼ね備えた粉流体を用いることにより、第1発明における駆動電圧の上昇を抑えることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の画像表示用パネルは、図1に示すように、白色粒子3Aと白以外の濃い有色の粒子3Bとを含む、少なくとも2種以上の粒子(ここでは2種類)を基板1、2と垂直方向に移動させることによる表示方式に用いる画像表示用パネルと、図4に示すように、白色粉流体11Aと白以外の濃い有色の粉流体11Bとを含む、少なくとも2種以上の粉流体(ここれは2種類)を基板1、2と垂直方向に移動させることによる表示方式に用いる画像表示用パネルとのいずれへも適用できる。
【0014】
本発明の表示のためのパネル構造の一例を図2、図3、図5、図6に示す。図2は、白色粒子3Aと白以外の濃い有色の粒子3Bとを用いて、それぞれの粒子の色にて画像表示を行うモノクロ(モノトーン)画像表示用パネルであり、図3は、白色粒子3Aと黒色粒子3Bとを用いて、透明基板2側に配置したカラーフィルター12(赤色領域12R、緑色領域12G、青色領域12Bから構成されている)を介して画像表示を行うカラー画像表示用パネルである。図5、図6の例も、粒子3A、3Bの代わりに粉流体11A、11Bを使用した以外は、図2、図3の例と同様である。それぞれ、対向する不透明の背面基板1と透明基板2、粒子群3A、3Bまたは粉流体11A、11B、隔壁(仕切り壁)4及びカラーフィルター12により形成されている。いずれの例でも、電界を与えるために、基板上に電極5、6を設けることもできる。
【0015】
本発明の特徴は、上述した構成の画像表示用パネルにおいて、隔壁4の表面4aの色を白色ないし白色に近い淡有白色にした点である。ここで、淡有白色とは、大量の白色材に、ごく少量の他の色材が混入した時に呈する色合いであり、白色と同等の明るさを有する色のことをいう。また、好ましい態様では、隔壁4の表面4aを白色ないし白色に近い淡有白色にすることに加えて、不透明の背面基板1において、粒子群3A、3Bまたは粉流体11A、11Bと接する側の表面1aの色を、白色ないし白色に近い淡有白色にする。これらの色は、好ましくは、隔壁4の表面4aまたは基板1の表面1aに、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングすることで得ることができる。ここで、背面基板1上に電極を設けた場合、粒子群3A、3Bまたは粉流体11A、11Bと接する側の表面1aは、電極表面を含むことになる。
【0016】
以下、本発明の画像表示用パネルの各構成部分について、粒子(第1発明)、粉流体(第2発明)、第1発明と第2発明に共通の構成部分の順に、詳細に説明する。
【0017】
先ず、本発明の第1発明に用いる粒子について述べる。
本発明の第1発明に用いる粒子は、互いに帯電特性の異なる白色粒子及び濃い有色(例えば黒色)の粒子である。粒子の作製は、必要な樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を混練り粉砕しても、あるいはモノマーから重合しても、あるいは既存の粒子を樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤でコーティングしても良い。
以下に、樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0018】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、基板との付着力を制御する上から、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0019】
帯電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0020】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0021】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、グラフト処理カーボンブラック等がある。白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。
【0022】
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
【0023】
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
【0024】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの着色剤及び無機系添加剤は、単独或いは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0025】
また、粒子は球形であることが好ましい。
本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に納めることにより、各粒子のサイズが揃い、均一な粒子移動が可能となる。
【0026】
さらに、ペースト中の各粒子の平均粒子径d(0.5)を、0.1〜50μmとすることが好ましい。この範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きすぎるために粒子の移動に支障をきたすようになる。
さらにまた、各粒子の相関について、使用した粒子の内、最大径を有する粒子のd(0.5)に対する最小径を有する粒子のd(0.5)の比を50以下、好ましくは10以下とすることが肝要である。
たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに極性の異なる粒子が互いに反対方向に動くので、互いの粒子サイズが近く、互いの粒子が等量づつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
【0027】
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。
本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0028】
次に、本発明の第2発明で用いる粉流体について説明する。
本発明における「粉流体」は、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。例えば、液晶は液体と固体の中間的な相と定義され、液体の特徴である流動性と固体の特徴である異方性(光学的性質)を有するものである(平凡社:大百科事典)。一方、粒子の定義は、無視できるほどの大きさであっても有限の質量をもった物体であり、重力の影響を受けるとされている(丸善:物理学事典)。ここで、粒子でも、気固流動層体、液固流動体という特殊状態があり、粒子に底板から気体を流すと、粒子には気体の速度に対応して上向きの力が作用し、この力が重力とつりあう際に、流体のように容易に流動できる状態になるものを気固流動層体と呼び、同じく、流体により流動化させた状態を液固流動体と呼ぶとされている(平凡社:大百科事典)。このように気固流動層体や液固流動体は、気体や液体の流れを利用した状態である。本発明では、このような気体の力も、液体の力も借りずに、自ら流動性を示す状態の物質を、特異的に作り出せることが判明し、これを粉流体と定義した。
【0029】
すなわち、本発明における粉流体は、液晶(液体と固体の中間相)の定義と同様に、粒子と液体の両特性を兼ね備えた中間的な状態で、先に述べた粒子の特徴である重力の影響を極めて受け難く、高流動性を示す特異な状態を示す物質である。このような物質はエアロゾル状態、すなわち気体中に固体状もしくは液体状の物質が分散質として安定に浮遊する分散系で得ることができ、本発明の画像表示装置で固体状物質を分散質とするものである。
【0030】
本発明の対象となる画像表示装置は、少なくとも一方が透明な、対向する基板間に、気体中に固体粒子が分散質として安定に浮遊するエアロゾル状態で高流動性を示す粉流体を封入するものであり、このような粉流体は、低電圧の印加でクーロン力などにより容易に安定して移動させることができる。
【0031】
本発明に用いる粉流体は、互いに帯電特性の異なる白色粉流体及び濃い有色の粉流体である。粉流体とは、先に述べたように、気体の力も液体の力も借りずに、自ら流動性を示す、流体と粒子の特性を兼ね備えた両者の中間状態の物質である。この粉流体は、特にエアロゾル状態とすることができ、本発明の画像表示装置では、気体中に固体状の物質が分散質として比較的安定に浮遊する状態で用いられる。
【0032】
エアロゾル状態の範囲は、粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍以上であることが好ましく、更に好ましくは2.5倍以上、特に好ましくは3倍以上である。上限は特に限定されないが、12倍以下であることが好ましい。
粉流体の最大浮遊時の見かけ体積が未浮遊時の2倍より小さいと表示上の制御が難しくなり、また、12倍より大きいと粉流体を装置内に封入する際に舞い過ぎてしまうなどの取扱い上の不便さが生じる。なお、最大浮遊時の見かけ体積は次のようにして測定される。すなわち、粉流体が透過して見える密閉容器に粉流体を入れ、容器自体を振動或いは落下させて、最大浮遊状態を作り、その時の見かけ体積を容器外側から測定する。具体的には、直径(内径)6cm、高さ10cmのポリプロピレン製の蓋付き容器(商品名アイボーイ:アズワン(株)製)に、未浮遊時の粉流体として1/5の体積相当の粉流体を入れ、振とう機に容器をセットし、6cmの距離を3往復/secで3時間振とうさせる。振とう停止直後の見かけ体積を最大浮遊時の見かけ体積とする。
【0033】
また、本発明の画像表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化が次式を満たすものが好ましい。
10/V>0.8
ここで、Vは最大浮遊時から5分後の見かけ体積(cm)、V10は最大浮遊時から10分後の見かけ体積(cm)を示す。なお、本発明の画像表示装置は、粉流体の見かけ体積の時間変化V10/Vが0.85よりも大きいものが好ましく、0.9よりも大きいものが特に好ましい。V10/Vが0.8以下の場合は、通常のいわゆる粒子を用いた場合と同様となり、本発明のような高速応答、耐久性の効果が確保できなくなる。
【0034】
また、粉流体を構成する粒子物質の平均子粒径(d(0.5))は、好ましくは0.1〜20μm、更に好ましくは0.5〜15μm、特に好ましくは0.9〜8μmである。0.1μmより小さいと表示上の制御が難しくなり、20μmより大きいと、表示はできるものの隠蔽率が下がり装置の薄型化が困難となる。なお、粉流体を構成する粒子物質の平均粒子径(d(0.5))は、次の粒子径分布Spanにおけるd(0.5)と同様である。
【0035】
粉流体を構成する粒子物質は、下記式に示される粒子径分布Spanが5未満であることが好ましく、更に好ましくは3未満である。
粒子径分布Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
ここで、d(0.5)は粉流体を構成する粒子物質の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粉流体を構成する粒子物質の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粉流体を構成する粒子物質が90%である粒子径をμmで表した数値である。粉流体を構成する粒子物質の粒子径分布Spanを5以下とすることにより、サイズが揃い、均一な粉流体移動が可能となる。
【0036】
なお、以上の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粉流体にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。この粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られる。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粉流体を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、測定を行うことができる。
【0037】
粉流体の作製は、必要な樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を混練り粉砕しても、モノマーから重合しても、既存の粒子を樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤でコーティングしても良い。以下、粉流体を構成する樹脂、帯電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
【0038】
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、基板との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0039】
帯電制御剤の例としては、正電荷付与の場合には、4級アンモニウム塩系化合物、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、イミダゾール誘導体などが挙げられ、負電荷付与の場合には、含金属アゾ染料、サリチル酸金属錯体、ニトロイミダゾール誘導体などが挙げられる。
【0040】
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
【0041】
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭、グラフト処理カーボンブラック等がある。白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファストスカイブルー、インダスレンブルーBC等がある。
【0042】
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
【0043】
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
【0044】
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの着色剤及び無機系添加剤は、単独或いは複数組み合わせて用いることができる。特に黒色着色剤としてカーボンブラックが、白色着色剤として酸化チタンが好ましい。
【0045】
しかしながら、このような材料を工夫無く混練り、コーティングなどを施しても、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することはできない。エアロゾル状態を示す粉流体の決まった製法は定かではないが、例示すると次のようになる。
【0046】
まず、粉流体を構成する物質の表面に、平均粒径が20〜100nm、好ましくは20〜80nmの無機微粒子を固着させることが適当である。更に、その無機微粒子がシリコーンオイルで処理されていることが適当である。ここで、無機微粒子としては、二酸化珪素(シリカ)、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化セリウム、酸化鉄、酸化銅等が挙げられる。この無機微粒子を固着させる方法が重要であり、例えば、ハイブリダイザー(奈良機械製作所(株)製)やメカノフュージョン(ホソカワミクロン(株)製)などを用いて、ある限定された条件下(例えば処理時間)で、エアロゾル状態を示す粉流体を作製することができる。
【0047】
次に、第1発明と第2発明に共通の構成部分を説明する。
先ず、基板について説明する。
基板2は装置外側から粒子または粉流体の色が確認できる透明基板であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。可とう性の有無は用途により適宜選択され、例えば、電子ペーパー等の用途には可とう性のある材料、携帯電話、PDA、ノートパソコン類の携帯機器表示等の用途には可とう性のない材料が用いられる。
【0048】
基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネートなどのポリマーシートや、ガラス、石英などの無機シートが挙げられる。
基板厚みは、2〜5000μm、好ましくは5〜1000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、厚すぎると、表示機能としての鮮明さ、コントラストの低下が発生し、特に、電子ペーパー用途の場合には可とう性に欠ける。
【0049】
不透明の背面基板1は透明な基板2に対向して配置される背面基板で、粒子または粉流体と接触する側の表面1aを白色ないし白色に近い淡有白色としたものであればよく、透明な基板2と同じ材料を白く着色したり、透明な基板2と同じ材料で作製した表面を研磨したりしてミクロな凹凸を設けることによる光散乱を利用して白く見えるようにしたり、白色コート剤をコーティングしたりすることもできる。
【0050】
基板には、必要に応じて電極を設けても良い。
基板に電極を設けない場合は、基板外部表面に静電潜像を与え、その静電潜像に応じて発生する電界にて、所定の特性に帯電した色のついた粒子群あるいは粉流体を基板に引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子群あるいは粉流体を透明な基板を通して表示装置外側から視認する。なお、この静電潜像の形成は、電子写真感光体を用い通常の電子写真システムで行われる静電潜像を本発明の画像表示装置の基板上に転写形成する、あるいは、イオンフローにより静電潜像を基板上に直接形成する等の方法で行うことができる。
【0051】
基板に電極を設ける場合は、電極部位への外部電圧入力により、基板上の各電極位置に生じた電界により、所定の特性に帯電した色の粒子群あるいは粉流体が引き寄せあるいは反発させることにより、静電潜像に対応して配列した粒子群あるいは粉流体を透明な基板を通して表示装置外側から視認する方法である。
透明基板側に設ける電極は、透明かつパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウムなどの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。
背面基板側に設ける電極は、透明である必要はなくパターン形成可能である導電性材料で形成され、例示すると、酸化インジウム、アルミニウム、金、銀、銅などの金属類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が挙げられ、真空蒸着、塗布などの形成手法が例示できる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障なければ良く、3〜1000nm、好ましくは5〜400nmが好適である。
この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
【0052】
本発明の隔壁の色は、白色ないし白色に近い淡有色とする。
隔壁の色を白色ないし白色に近い淡有色とする方法としては、隔壁を形成する際に用いる樹脂に白色系顔料を混ぜたものを用いることができる。白色系顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉などが挙げられる。
【0053】
本発明の隔壁の形状は、表示にかかわる粒子のサイズあるいは粉流体のサイズにより適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は10〜1000μm、好ましくは10〜500μmに、隔壁の高さは10〜5000μm、好ましくは10〜500μmに調整される。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板の各々にリブ(隔壁)を形成した後に接合する両リブ法による隔壁形成を用いても、対向する両基板の一方にリブを形成した後に接合する片リブ法による隔壁形成を用いてもよい。
これらリブからなる隔壁により形成される表示セルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状が例示される。
表示側から見える隔壁断面部分に相当する部分(表示セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、画像表示の鮮明さが増す。
【0054】
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、感光体ペースト法、アディティブ法が挙げられる。
【0055】
まず、スクリーン印刷法について述べる。
具体的プロセスは、図8に例示するように、
(1) 隔壁材料となるペーストを作製する、
(2) 隔壁パターンを印刷できるステンレスメッシュ、ポリエステルメッシュなどからなる製版を準備する、
(3) 片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、製版を介して、ペーストを塗布転写する、
(4) 加熱などにより硬化させる、
(5) (3)〜(4)を、所定の厚み(隔壁の高さに相当)になるまで繰り返し、所望とする隔壁形状を作製する、
から成る。
【0056】
ここで、製版は、所定の隔壁パターンを印刷できればいずれでも良いが、例えば、高テンションを確保するためにメッキ処理したメッシュ、高張力材料メッシュなどの金属メッシュ、ポリエステルメッシュ、テトロンメッシュなどの化学繊維メッシュ、あるいは、版枠と印刷エリアの間にポリエステルメッシュを接合したコンビネーションタイプメッシュなどを用いることができる。
スクリーン印刷には、通常のスクリーン印刷機を用いることができ、前述製版を介して、ペーストをスキージ、スクレーバーを使い、基板上に転写させる。
この場合、スキージのアタック角度は10〜30度、好ましくは15〜25度、スキージ速度は5〜500mm/sec、好ましくは20〜100mm/sec、スキージ印圧は0.1〜10kg/cm 、好ましくは0.5〜3kg/cm とすることが好ましい。
【0057】
次に、サンドブラスト法について述べる。
具体的プロセスとしては、図9に例示するように、
(1) 隔壁材料となるペーストを作製する、
(2) 片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、ペーストを塗布し、乾燥硬化させる、
(3) その上に、ドライフィルムフォトレジストを貼り付ける、
(4) 露光、エッチングで隔壁となるパターン部分のみを残す、
(5) レジストが除去されたパターン部分を、サンドブラストにより、所定のリブ形状となるまでエッチングする、
から成る。
【0058】
なお、サンドブラストする場合、留意すべきことは、研磨材に加えるエアー圧力と研磨材の噴射量のバランスを調整して、サンドブラスト装置のノズルから噴射される研磨材の直進性をできるだけ確保する事であり、これにより、研磨材の余分な拡散が少なくなるために、形成される隔壁の最終形状がきれいになる(特に隔壁のサイドエッジが少なくなる)。また、サンドブラストに用いる研磨材は、ガラスビーズ、タルク、炭酸カルシウム、金属粉体などをも用いることができる。
【0059】
次に、感光体ペースト法について述べる。
具体的プロセスとしては、図10に例示するように、
(1) 感光性樹脂を含む感光性ペーストを作製する、
(2) 片側の基板(必要に応じて、前述した電極パターンを形成した基板)の上に、感光性ペーストを塗布する、
(3) フォトマスクを用いて、隔壁に相当する部位にのみ露光し、感光ペーストを硬化させる(必要に応じて、所望の隔壁高さになるまで(2)、(3)を繰り返す)、
(4) 現像して、非硬化部分を取り除く、
(5) 必要に応じて、硬化部分を焼成する、
から成る。
【0060】
なお、感光性ペーストは、少なくとも無機粉体、感光性樹脂、光開始剤を含み、その他として溶剤、樹脂、添加剤から成る。
【0061】
次に、アディティブ法について述べる。
具体的プロセスとしては、図11に例示するように、
(1) 基板上にフォトレジストフィルムを貼り付ける、
(2) 露光エッチングにより、形成させたい隔壁と隔壁との間になる部分のみにフォトレジストフィルムを残す、
(3) 隔壁材料となるペーストを作製し、硬化させる、
(4) フォトレジストフィルムを取り除き、所定の隔壁形状を形成する、
から成る。
【0062】
次に、本発明で用いる隔壁用のペーストについて述べる。
隔壁用のペーストは、少なくとも無機粉体および樹脂を含み、その他として溶剤、添加剤等からなる。無機粉体とは、セラミック粉体やガラス粉体であり、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用する。
セラミック粉体を例示すると、ZrO 、Al 、CuO、MgO、TiO 、ZnO などの酸化物系セラミック、SiC、AlN、Si などの非酸化物系セラミックが挙げられる。これらのうち、白色ないし白色に近い淡有白色を呈するものが特に好適に用いられる。
ガラス粉体を例示すると、原料となるSiO 、Al 、B 、Bi、ZnOを溶融、冷却、粉砕したものが挙げられる。なお、ガラス粉体のガラス転移点Tgは、300〜500℃にあることが好ましく、この範囲では焼成プロセスでの低温化が図られるので、樹脂へのダメージが少ないメリットがある。これらのうち、白色ないし白色に近い淡有白色を呈するものが特に好適に用いられる。
【0063】
ここで、下記式で示される無機粉体の粒子径分布Spanを8以下、好ましくは5以下とすることが好ましい。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを8以下の範囲とすることにより、ペースト中の無機粉体のサイズが揃い、先に述べたペーストを塗布〜硬化するプロセスを繰り返し積層しても、精度良い隔壁形成を行うことができる。
【0064】
また、ペースト中の無機粉体の平均粒子径d(0.5)を、0.1〜20μm、好ましくは0.3〜10μmとすることが良い。このような範囲にすることにより、同様に、繰り返し積層時に精度良い隔壁形成を行うことができる。
なお、上記の粒子径分布及び粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径及び粒子径分布が測定できる。
【0065】
ここで、本発明で記述している粒子径及び粒子径分布は、体積基準分布から得られたものとする。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mail理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径及び粒子径分布の測定を行なうことができる。
【0066】
次に、隔壁用のペーストに用いる樹脂について述べる。
隔壁用のペーストに含まれる樹脂は、前述した無機粉体を含有でき、所定の隔壁形状を形成できればいずれでも良く、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応性樹脂が挙げられるが、要求される隔壁物性を考慮し、分子量が大きく、ガラス転移点Tgができるだけ高い方が良い。例示すると、アクリル系、スチレン系、エポキシ系、フェノール系、ウレタン系、ポリエステル系、尿素系などが挙げられ、特に、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、ポリエステル系が好適である。また、硬化後に白色ないし白色に近い淡有白色を呈する樹脂が好適に用いられる。
【0067】
次に、隔壁用ペーストに用いる溶媒について述べる。
隔壁用のペーストに添加される溶剤は、前述した無機粉体および樹脂を相溶すればいずれでも良いが、例示すると、フタル酸エステル、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族溶剤、オキシアルコール、ヘキサノール、オクタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エステルなどのエステル系溶剤が挙げられ、通常、無機粉体に対して0.1〜50重量部が添加される。
このペーストには、その他、必要に応じて、染料、重合禁止剤、可塑剤、増粘剤、分散剤、酸化防止剤、硬化剤、硬化促進剤、沈降防止剤を加えても良い。
これらから成るペースト材料は、所望の組成にて、混練機、攪拌機、3本ローラなどにて分散調合される。作業性を加味すると、粘度を500〜300000cpsとすることが好ましい。
【0068】
次に、本発明に用いる隔壁表面および背面基板表面のコーティング材について述べる。
本発明に用いるコーティング材は、樹脂に酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉などの白色系充填剤を混合させて、適当な溶剤を用いて希釈したものを隔壁表面および背面基板表面に塗布して作製される。
コーティングに用いる樹脂を例示すると、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ナイロン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂などが挙げられ、2種以上混合することもでき、特に、硬化後に白色を呈することおよび粒子との付着力を制御する上から、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂が好適である。
【0069】
更に、本発明においては基板間の粒子または粉流体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下、更に好ましくは35%RH以下とすることが重要である。
この空隙部分とは、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、粒子(3A、3B)または粉流体(11A、11B)の占有部分、隔壁4の占有部分、装置シール部分を除いた、いわゆる粒子または粉流体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。
この気体は、その湿度が保持されるように装置に封入することが必要であり、例えば、粒子または粉流体の充填、基板の組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、更に、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
【0070】
本発明の画像表示用パネルにおける基板と基板の間隔は、粒子または粉流体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、通常10〜5000μm、好ましくは10〜500μmに調整される。対向する基板間の空間における粒子または粉流体の体積占有率は、10〜80vol%の範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜60vol%である。80vol%を超える場合には粒子または粉流体の移動の支障をきたし、10vol%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
【0071】
本発明の画像表示用パネルにおいてモノクロ(モノトーン)表示を行う場合は、白色粒子と白色以外の濃い有色の粒子または白色粉流体と白色以外の濃い有色の粉流体を組み合わせて用い、フルカラー表示を行う場合は、白色粒子と黒色粒子または白色粉流体と黒色粉流体を組み合わせて用い、さらに各セルに対応した色の領域を複数有する、例えば、R(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3原色カラーの組みを複数持つカラーフィルターを用いる。
【0072】
なお、本発明の画像表示装置は、ノートパソコン、PDA、携帯電話などのモバイル機器の表示部、電子ブック、電子新聞などの電子ペーパー、看板、ポスター、黒板などの掲示板、コピー機、プリンター用紙代替のリライタブルペーパー、電卓、家電製品の表示部、ポイントカードなどのカード表示部などに用いられる。
【0073】
【実施例】
次に実施例、比較例を示して、本発明を更に具体的に説明する。但し本発明は以下の実施例により限定されるものではない。
【0074】
<実施例1(第1発明)>
画像表示用パネルを以下のように作製した。
まず、電極付きの白色背面基板を準備し、白色背面基板上に、高さ400μmのリブを作り、ストライプ状の隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行なった。先ずペーストは、無機粉体としてSiO 、Al 、B 、BiおよびZnOの混合物を、溶融、冷却、粉砕したガラス粉体を、樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を準備して、溶剤にて粘度12000cpsになるように調製したペーストを作製した。次に、ペーストを準備した白色背面基板の全面上に塗布し、150℃で加熱硬化させ、この塗布〜硬化を繰り返す事により、厚み(隔壁の高さに相当)400μmになるように調整した。次に、ドライフォトレジストを貼り付けて、露光〜エッチングにより、ライン50μm、スペース400μm、ピッチ250μmの隔壁パターンが形成されるようなマスクを作製した。次に、サンドブラストにより、所定の隔壁形状になるように余分な部分を除去し、所望とするストライプ状隔壁を形成した。出来上がったストライプ状隔壁の表面は白色であった。また、透明基板として約500Å厚みの酸化インジウム電極を設けたガラス基板を準備した。
【0075】
次に、2種類の粒子群(粒子群A、粒子群B)を準備した。
粒子群Aは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)に、CB4phr、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して作製した。作製された粒子群Aは、平均粒子径が9.1μm、表面電荷密度が+25μC/mの黒色粒子群であった。
粒子群Bは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)に、酸化チタン10phr、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学(株)製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して作製した。作製された粒子群Bは、平均粒子径が7.0μm、表面電荷密度が−60μC/mの白色粒子群であった。
【0076】
粒子群Aと粒子群Bの充填配置量は同重量ずつとし、2枚の基板を貼り合わせてできる基板間に対する双方の粒子群の合わさった体積占有率が24vol%となるように調整した。次に、粒子群がセル内に充填配置された基板にもう一方の基板を重ね合わせ、基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着すると共に、粒子群を封入し、画像表示用パネルを作製した。ここで、空隙を埋める気体は、相対湿度40%RHの空気とした。
【0077】
<実施例2(第1発明)>
最初に準備する背面基板用の基板に黒色基板を用いた以外は、実施例1と同様にして画像表示用パネルを作製した。
【0078】
<実施例3(第1発明)>
粒子群Aを以下のようにした以外は、実施例1と同様にして画像表示用パネルを作製した。
ここで用いた粒子群Aは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)に、銅−フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3、大日本インキ(株)製)4phr、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して作製した。作製された粒子群Aは、平均粒子径が8.7μm、表面電荷密度が+27μC/mの青色粒子群であった。
【0079】
<実施例4(第1発明)>
最初に準備する背面基板用の基板に黒色基板を用い、リブ形成に用いるペースト作製において、エポキシ樹脂にカーボンブラックを2phr配合して表面が黒色のストライプ状隔壁を形成後、このストライプ状隔壁付きの黒色基板の内表面に白色顔料として二酸化チタンを含有したアクリルウレタン樹脂を塗布コーティングしたものとした以外は、実施例1と同様にして画像表示用パネルを作製した。ここで形成したストライプ状隔壁の表面も背面基板の粒子と接する表面も白色に近い淡灰色であった。
【0080】
<比較例1(第1発明)>
最初に準備する背面基板用の基板に黒色基板を用い、リブ形成に用いるペースト作製において、エポキシ樹脂にカーボンブラックを2phr配合して、ストライプ状隔壁を形成した以外は、実施例1と同様にして画像表示用パネルを作製した。ここで形成したストライプ状隔壁の表面は黒色であった。
【0081】
<比較例2(第1発明)>
粒子群Aを以下のようにした以外は、比較例1と同様にした画像表示用パネルを作製した。
ここで用いた粒子群Aは、アクリルウレタン樹脂EAU53B(亜細亜工業(株)製)/IPDI系架橋剤エクセルハードナーHX(亜細亜工業(株)製)に、銅−フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3、大日本インキ(株)製)4phr、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製)2phrを添加し、混練り後、ジェットミルにて粉砕分級して作製した。作製された粒子群Aは、平均粒子径が8.7μm、表面電荷密度が+27μC/mの青色粒子群であった。
【0082】
用いた粒子の特性及び画像表示用パネルを組み込んだ表示装置について、下記の基準に従い評価を行った。これらの結果を以下の表1にまとめて示す。
【0083】
『粒子の特性の測定』
・「粒子の粒子径分布及び粒子径の測定」
Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機に各粒子を投入し、付属のソフト(体積基準分布を元に粒子径分布、粒子径を算出するソフト)を用いて、下記値を求めた。
粒子径分布:Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
ここで、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値となる。
【0084】
・「表面電荷密度の測定」
ブローオフ法によって、粒子とキャリヤ粒子とを十分に接触させ、その飽和帯電量を測定することにより粒子の単位重量あたりの帯電量を測定できる。そして、この粒子の粒径と比重を別途求めることにより、この粒子の表面電荷密度を算出した。
<ブローオフ測定原理及び方法>
ブローオフ法においては、両端に網を張った円筒容器中に粉体とキャリヤの混合体を入れ、一端から高圧ガスを吹き込んで粉体とキャリヤとを分離し、網の目開きから粉体のみをブローオフ(吹き飛ばし)する。この時、粉体が容器外に持ち去った帯電量と等量で逆の帯電量がキャリヤに残る。そして、この電荷による電束の全てはファラデーケージで集められ、この分だけコンデンサーは充電される。そこでコンデンサー両端の電位を測定することにより粉体の電荷量Qは、
Q=CV (C:コンデンサー容量、V:コンデンサー両端の電圧)
として求められる。
ブローオフ粉体帯電量測定装置としては東芝ケミカル社製のTB−200を用いた。本発明ではキャリヤとして正帯電性・負帯電性の2種類のものを用い、それぞれの場合の単位面積あたり電荷密度(単位:μC/m)を測定した。すなわち、正帯電性キャリヤ(相手を正に帯電させ自らは負になりやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF963−2535を、負帯電性キャリヤ(相手を負に帯電させ自らは正に帯電しやすいキャリヤ)としてはパウダーテック社製のF921−2535を用いた。
測定された帯電量と別途測定した粒子群の平均粒子径および比重とから表面電荷密度を求めた。なお、平均粒子径は上述の方法により、また、粒子群の比重は、株式会社島津製作所製比重計、マルチボリウム密度計H1305にて測定した。
【0085】
『表示機能の評価』
作製した画像表示装置に、印加する電圧を増大させていき、粒子が移動して表示が可能となる電圧を最低駆動電圧として測定した。具体例を示すと、図12に示すように閾値となる電圧を最低駆動電圧とした。
次に、その最低駆動電圧+10Vという電圧を印加して、極性を反転させることにより、黒色〜白色(または、濃い有色〜白色)の表示を繰り返した。
表示機能の評価は、初期のコントラスト比について、反射画像濃度計を用いて測定した。ここで、コントラスト比とは、コントラスト比=黒色(または、濃い有色)表示時反射濃度/白色表示時反射濃度とした。
【0086】
【表1】



【0087】
<実施例5(第2発明)>
画像表示用パネルを以下のように作製した。
まず、電極付きの白色背面基板を準備し、白色背面基板上に、高さ400μmのリブを作り、ストライプ状の隔壁を形成した。
リブの形成は次のように行なった。先ずペーストは、無機粉体としてSiO 、Al 、B 、BiおよびZnOの混合物を、溶融、冷却、粉砕したガラス粉体を、樹脂として熱硬化性のエポキシ樹脂を準備して、溶剤にて粘度12000cpsになるように調製したペーストを作製した。次に、ペーストを準備した白色背面基板の全面上に塗布し、150℃で加熱硬化させ、この塗布〜硬化を繰り返す事により、厚み(隔壁の高さに相当)400μmになるように調整した。次に、ドライフォトレジストを貼り付けて、露光〜エッチングにより、ライン50μm、スペース400μm、ピッチ250μmの隔壁パターンが形成されるようなマスクを作製した。次に、サンドブラストにより、所定の隔壁形状になるように余分な部分を除去し、所望とするストライプ状隔壁を形成した。出来上がったストライプ状隔壁の表面は白色であった。また、透明基板として約500Å厚みの酸化インジウム電極を設けたガラス基板を準備した。
【0088】
次に3種類の粉流体(白色粉流体、黒色粉流体、青色粉流体)を準備した。
白色粉流体は、まず、メチルメタクリレートモノマー、TiO(20phr)、荷電制御剤ボントロンE89(オリエント化学(株)製、5phr)、開始剤AIBN(0.5phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径をそろえた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて、これらの粒子に外添剤A(シリカH2000/4、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ(株)製)を投入し、4800回転で5分間処理して、外添剤を、重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
【0089】
黒色粉流体は、まず、スチレンモノマー、アゾ系化合物(5phr)、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製、5phr)、開始剤AIBN(0.5phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径をそろえた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて、これら粒子に外添剤C(シリカH2050、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ(株)製)を投入し、4800回転で5分間処理して、外添剤を、重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
【0090】
青色粉流体は、まず、スチレンモノマー、銅−フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15:3、大日本インキ(株)製、4phr)、荷電制御剤ボントロンN07(オリエント化学(株)製、5phr)、開始剤AIBN(0.5phr)を用いて懸濁重合した後、分級装置にて粒子径をそろえた。次に、ハイブリダイザー装置(奈良機械製作所(株)製)を用いて、これら粒子に外添剤C(シリカH2050、ワッカー社製)と外添剤B(シリカSS20、日本シリカ(株)製)を投入し、4800回転で5分間処理して、外添剤を、重合した粒子表面に固定化し、粉流体になるように調整した。
【0091】
白色粉流体と黒色粉流体を用い、白色粉流体と黒色粉流体の充填配置量は同重量ずつとし、2枚の基板を貼り合わせてできる基板間に対する双方の粉流体が合わさった体積占有率が24vol%となるように調整した。次に、粉流体がセル内に充填配置された基板にもう一方の基板を重ね合わせ、基板周辺をエポキシ系接着剤にて接着すると共に、粉流体を封入し、画像表示用パネルを作製した。ここで、空隙を埋める気体は、相対湿度40%RHの空気とした。
【0092】
<実施例6(第2発明)>
最初に準備する背面基板に黒色基板を用いた以外は、実施例5と同様にして画像表示用パネルを作製した。
【0093】
<実施例7(第2発明)>
白色粉流体と青色粉流体を用いた以外は、実施例5と同様にして画像表示用パネルを作製した。
【0094】
<実施例8(第2発明)>
最初に準備する背面基板用の基板に黒色基板を用い、リブ形成に用いるペースト作製において、エポキシ樹脂にカーボンブラックを2phr配合して表面が黒色のストライプ状隔壁を形成後、このストライプ状隔壁付きの黒色基板の内表面に白色顔料として二酸化チタンを含有したアクリルウレタン樹脂を塗布コーティングしたものとした以外は、実施例6と同様にして画像表示用パネルを作製した。ここで形成したストライプ状隔壁の表面も背面基板の粒子と接する表面も白色に近い淡灰色であった。
【0095】
<比較例3(第2発明)>
最初に準備する背面基板用の基板に黒色基板を用い、リブ形成に用いるペースト作製において、エポキシ樹脂にカーボンブラックを2phr配合して、ストライプ状隔壁を形成した以外は、実施例5と同様にして画像表示用パネルを作製した。ここで形成したストライプ状隔壁の表面は黒色であった。
【0096】
<比較例4(第2発明)>
白色粉流体と青色粉流体を用いた以外は、比較例3と同様にして画像表示用パネルを作製した。
【0097】
画像表示用パネルを組み込んだ表示装置について、実施例1〜4及び比較例1、2と同様に評価を行った。これらの結果を以下の表2に示す。
【0098】
【表2】



【0099】
表1及び表2の結果から、本発明の粒子を使用する第1発明においても、粉流体を使用する第2発明においても、隔壁の表面を白色または淡灰色にした場合に、高いコントラスト比を得ることができることがわかる。また、背面基板についても、表面を白色にした方が好ましいことがわかる。
【0100】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、画像表示側から見える粒子または粉流体以外のもの、具体的にはセルを形成する隔壁と、好ましくは対向する基板のうち背面基板となる基板の、粒子または粉流体と接する側の表面を白色粒子または白色粉流体と同様の明るいものにすることによって、コントラストを著しく改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明における表示方式の一例を示す図である。
【図2】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明におけるモノクロ表示時のパネル構造の一例を示す図である。
【図3】本発明の対象となる画像表示用パネルの第1発明におけるカラー表示時のパネル構造の一例を示す図である。
【図4】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明における表示方式の一例を示す図である。
【図5】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明におけるモノクロ表示時のパネル構造の一例を示す図である。
【図6】本発明の対象となる画像表示用パネルの第2発明におけるカラー表示時のパネル構造の一例を示す図である。
【図7】隔壁により形成される表示セルの一例を示す図である。
【図8】隔壁をスクリーン印刷法で作製する例を示す図である。
【図9】隔壁をサンドブラスト法で作製する例を示す図である。
【図10】隔壁を感光体ペースト法で作製する例を示す図である。
【図11】隔壁をアディティブ法で作製する例を示す図である。
【図12】実施例における最低駆動電圧を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
1 背面基板
1a 表面
2 透明基板
3A、3B 粒子(群)
4 隔壁(仕切り壁)
4a 表面
5、6 電極
11A、11B 粉流体
12 カラーフィルター
12R 赤色領域
12G 緑色領域
12B 青色領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するとともに一方が透明な2枚の基板間の、仕切り壁によって設けられた複数のセル内に、互いに帯電特性の異なる白色粒子と白以外の濃い有色の粒子とを含む、少なくとも2種類以上の粒子を封入し、電位の異なる2種類の電極から粒子群に電界を与えて、粒子群を移動させて画像を表示する画像表示用パネルにおいて、前記仕切り壁の表面の色が白色ないし白色に近い淡有白色であることを特徴とする画像表示用パネル。
【請求項2】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明でない背面基板において、粒子群と接する側の表面の色が、白色ないし白色に近い淡有白色である請求項1に記載の画像表示用パネル。
【請求項3】
前記白以外の濃い有色の粒子が黒色粒子である請求項1または2に記載の画像表示用パネル。
【請求項4】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明な基板側にカラーフィルターを配置することによってカラー表示を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項5】
前記仕切り壁の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項6】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明でない背面基板において、粒子群と接する側の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項7】
前記粒子の平均粒子径が0.1〜50μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項8】
前記セル内に充填される粒子の体積占有率が10〜80vol%の範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項9】
互いに対向するとともに一方が透明な2枚の基板間の、仕切り壁によって設けられた複数のセル内に、互いに帯電特性の異なる白色粉流体と白以外の濃い有色の粉流体とを含む、少なくとも2種類以上の粉流体を封入し、電位の異なる2種類の電極から粉流体に電界を与えて、粉流体を移動させて画像を表示する画像表示用パネルにおいて、前記仕切り壁の表面の色が、白色ないし白色に近い淡有白色であることを特徴とする画像表示用パネル。
【請求項10】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明でない背面基板において、粉流体と接する側の表面の色が、白色ないし白色に近い淡有白色である請求項9に記載の画像表示用パネル。
【請求項11】
前記白以外の濃い有色の粉流体が黒色粉流体である請求項9または10に記載の画像表示用パネル。
【請求項12】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明な基板側にカラーフィルターを配置することによってカラー表示を行う請求項9〜11のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項13】
前記仕切り壁の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものである請求項9〜12のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項14】
前記互いに対向する2枚の基板のうち透明でない背面基板において、粉流体と接する側の表面が、白色ないし白色に近い淡有白色の材料をコーティングしたものである請求項9〜13のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項15】
前記粉流体を構成する粒子物質の平均粒子径が0.1〜20μmである請求項9〜14のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項16】
前記セル内に充填される粉流体の体積占有率が10〜80vol%の範囲である請求項9〜15のいずれか1項に記載の画像表示用パネル。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の画像表示用パネルを搭載したことを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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