説明

画像表示装置、画像表示システムおよびプログラム

【課題】データテーブルを迅速に作成すると共に、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図る。
【解決手段】グラフの表示倍率に応じて、グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部12と、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部13と、特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部14と、平均化された各データを区分毎に保持するデータベーステーブル15と、グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブル15から抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する技術に関し、特に、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に応じて、グラフのタイムスケールを拡大または縮小する際の不都合を改善する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子カルテシステムが知られている。例えば、特許文献1には、医療行為の相互間の関係を考慮し、効率よく医療情報を入力して電子カルテを構築する電子カルテシステムが開示されている。この電子カルテシステムは、医療行為およびその関連情報を含む医療行為情報と、この医療行為情報の適用時間情報とにより電子カルテ情報を構成する。また、その電子カルテ情報の医療行為情報を時間軸上に閲覧情報として表示する。また、編集中の電子カルテ情報における医療行為情報を時間軸上に表示させる。そして、ユーザの操作を受け付けて、電子カルテにおける医療行為情報を編集する。
【0003】
図12および図13は、電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。図12に示すように、この電子カルテシステムは、上部に多段階の時間軸(例えば、年単位・月単位・日単位)を有する。また、その下に診療行為(オブジェクト)が表示される。この電子カルテシステムでは、左に並ぶ項目が医療行為(病名・投薬・診断・検査等)であって、その右側に実際の行為が、一定の時間幅をもって記録される。
【0004】
ユーザは、図13に示すように、上部の時間軸を選択することで、任意の尺度での情報俯瞰が可能であり、任意の時間にジャンプすることができる。任意の項目をピックアップし、それぞれを最適なタイムスケールで見ることにより、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。このスケールの変換を、指の操作(例えばピンチイン・アウト)で行なうことで、より直感的にスケールを切り替えることが可能である。
【0005】
このように、ユーザは、多段階のスケールを表示し、任意の項目をピックアップし、それぞれを指のピンチイン・アウト等の操作をすることによって最適なタイムスケールで見ることができる。これにより、直感的に操作をしながら、一見ランダムに見える時系列データである医療情報の因果関係の推定等をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−192002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、これらのデータについては、データ数が極めて量が多い。例えば、糖尿病患者であれば、毎日投薬や検査がなされるが、これらは年のスケールでは356個のデータを持つ。また、これらの投薬や検査の種類は数百もある。そのため、これらのデータを表すデータオブジェクトの数は、一般的には数千から数万へと膨れ上がる。サーバ・クライアントで構成されるシステムにおいて、これらのデータを表示するためにはデータ伝送および描画に多くの時間がかかり、ユーザレスポンスが落ちてしまう。
【0008】
一方、図13に示すように、タイムスケールを拡大することによって、プロット点の間隔が狭まって、複数のデータが統合されて見えるようになってしまう。その結果、統合されたデータは、すべてが必要なデータではなくなり、少なくとも一つのデータを抽出すれば足りることになる。従って、統合される倍率に応じて、データを間引くことが可能となり、間引いた分だけデータ量が少なくなり、処理速度の向上を図ることが可能である。このような場合、予めグラフを伝送する際の倍率を決めておき、その倍率においてグラフの描画に必要なデータを準備しておくことによって、高速にグラフを描画し、伝送することが可能となる。
【0009】
図14は、タイムスケールと倍率との関係を定めた図である。図14に示す伝送番号1〜20に相当する倍率において、グラフを描画する際に必要なデータのみをデータベーステーブルとして保持することで、不要なデータのサーチが必要なくなり、グラフ作成時間が短縮できる。
【0010】
しかしながら、従来の手法では、このデータベーステーブルを作成するためにはそれぞれの伝送番号ごとに、視認できなくなるデータプロットをそれぞれのデータプロットの間隔から計算により割り出し、データテーブルを作成しなければならないため、多くの時間がかかるという問題があった。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、データテーブルを迅速に作成すると共に、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることができる画像表示装置、画像表示システムおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の画像表示装置は、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
このように、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0014】
(2)また、本発明の画像表示装置は、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このように、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0016】
(3)また、本発明の画像表示装置において、前記データベーステーブルは、前記平均化されたデータの数を保持し、前記最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持することを特徴とする。
【0017】
このように、平均化されたデータの数を保持し、最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。
【0018】
(4)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、前記クライアント装置は、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする。
【0019】
このように、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0020】
(5)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、前記クライアント装置は、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする。
【0021】
このように、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0022】
(6)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから取得して、グラフ化し、前記クライアント装置は、前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする。
【0023】
このように、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0024】
(7)また、本発明の画像表示システムは、クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、前記サーバ装置は、前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化し、前記クライアント装置は、前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする。
【0025】
このように、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0026】
(8)また、本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0027】
このように、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【0028】
(9)また、本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とする。
【0029】
このように、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを区分毎に保持するので、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】ピンチイン・アウトによる拡大率の変更の様子を示す図である。
【図2】拡大率に応じてプロット点の間隔が変化する様子を示す図である。
【図3】本実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図4】画面における隣り合う2つのデータプロットの一例を示す図である。
【図5】データ発生間隔と発生間隔を有するデータ数との関係が正規分布を示す様子を示す図である。
【図6】1ドットを表現するための秒数と、視認できるデータ数との関係を示す図である。
【図7】拡大率を横軸にとり、表示データ数を縦軸にとり、視認性が低下する区間と視認性が低下しない区間とを示す図である。
【図8】最小時間間隔を持つデータが重なる点と、最大時間間隔を持つデータが重なる点を示す図である。
【図9】倍率の配置を示す図である。
【図10】画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図11A】実施例2に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。
【図11B】実施例3に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。
【図12】電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【図13】電子カルテシステムの画面表示例を示す図である。
【図14】倍率を区分した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態について説明する。まず、本明細書における「タイムスケールの拡大」について定義する。「タイムスケールの拡大」とは、小さいタイムスパンでデータを表示している状態から、大きいタイムスパンでデータを表示している状態へ遷移させることをいう。次に、「拡大率」について定義する。「拡大」が生ずる時、プログラム内部では、プロット点の書き換えを実行する。具体的には、隣り合うプロット点同士の間隔を縮める操作を実行する。このときの縮める割合を、「拡大率」と定義する。この「拡大率」は、実装に依存するが、例えば、タブレット端末の画面上で、ユーザがピンチイン・アウトを行なう場合のユーザの指の間隔の変化に基づいて、「拡大率」を変化させる。
【0033】
図1は、ピンチイン・アウトによる拡大率の変更の様子を示す図である。図1において、紙面に対して上側の図がピンチイン前の画面表示例を示しており、ユーザの2本の指が触れている座標間距離をmで表している。一方、紙面に対して下側の図がピンチイン後の画面表示例を示しており、ユーザの2本の指が触れている座標間距離をlで表している。このとき、この指間隔の距離差分(m−l)に応じて、プロット点の間隔を縮めれば、表示上グラフが「拡大」したことになる。
【0034】
ここで、任意の係数γを使って、「拡大率」をγ(m−l)と表わす。このγは任意であるため、適当な値にセットすることができる。ユーザが「拡大」したいと考える場合は、大きな値に設定する一方、ゆっくりと「拡大」したいと考える場合は、小さな値に設定すれば良い。
【0035】
図2は、拡大率に応じてプロット点の間隔が変化する様子を示す図である。図2に示すように、「拡大」したときに、プロット点の間隔が、1/γ(m−l)倍になるように計算すると、拡大率に応じて、プロット点間隔が変化し、画面が「拡大」したように見える。
【0036】
図3は、本実施形態に係る画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。この画像表示装置10では、表示部11が、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する。スケール変更部12は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に応じて、グラフのタイムスケールを拡大または縮小する。急勾配特定部13は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。平均化処理部14は、急勾配特定部13が特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。データベーステーブル15は、平均化処理部14で平均化された各データを区分毎に保持する。画面制御部16は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する。なお、上記の各構成要素は、制御バス17によって接続され、相互に信号の送受信を行なうことができるように構成されている。
【0037】
一般的に、自然界に存在するデータを時系列的にプロットする場合、その発生間隔には偏りが存在することが多い。医療で用いられるデータを例に取ると、例えば、糖尿病慢性疾患の患者の投薬発生イベントに関するデータは、血糖改善剤等を毎食後服用し、血糖検査を毎食後行なうため、3〜4時間に1回程度の発生間隔で発生することが多く、数分単位・数年単位での発生間隔はとらないことが多い。
【0038】
さらに、医療で用いられるデータ以外の例をあげると、農業等では四季の移り変わりによって、種まき・収穫等が決定するため、ほぼ1年に1回程度の発生間隔で、イベントが発生することになる。
【0039】
上述したように、小さいタイムスパンから大きいタイムスパンで表示するシステム、例えば、秒・分・時間・日・月・年・10年の表現を持つシステムでは、このような様々なタイムスパンを持つデータをプロットして表現することができるため、時系列データの推移を俯瞰的に把握することに適している。
【0040】
ところで、上記のようなデータを、システム上で時系列プロットをして表現する場合、上述したように、グラフの視認性低下が発生する。しかも視認性低下の発生する領域が、表示する時系列データの種類によって大きく偏る。すなわち、表示するデータの性質に応じて、データの発生間隔の平均周期が異なるため、平均周期によって決定されるタイムスパンに応じて、視認性低下の傾向が大きく変わる。このような偏りを、横軸にデータを表示するための時間幅、縦軸を表示可能なデータプロット数をとってグラフ化すると、シグモイド形状をとることが推測できる。以下、その理由について説明する。
【0041】
図4は、画面における隣り合う2つのデータプロットの一例を示す図である。図4では、例えば、α番目と(α+1)番目の隣り合う2つのデータプロットを考える。各データプロットの開始時刻を、それぞれtα(秒)、t(α+1)(秒)と定義する。このとき、図4に示すように、これらのデータの間隔は、
{t(α+1)−tα}(秒)
と表わされる。ここで、システム上、1秒=a(dot)で表わされるとすると、この間隔は、
a{t(α+1)−tα}(dot)
と表わされる。
【0042】
次に、ユーザが画面上でピンチイン操作を行なったときにデータプロット間隔について考える。ピンチイン前のデータプロット間隔a{t(α+1)−tα}に対して、拡大操作1/γ(m−l)倍をすると、画面上のデータプロット間隔が変化する。つまり、ピンチイン後のデータプロット間隔は、
a{t(α+1)−tα}・1/γ(m−l)
となる。
【0043】
人間が視認できるサイズを、最も厳しい条件として、ディスプレイ上の1ドットとすると、データプロット間隔が、1ドットよりも小さければ、2つのデータを肉眼で区別することができず、両者が統合して見えることになる。そこで、2つのデータを単一のデータで代表することが可能となる。すなわち、次式を満たした時に、2つのデータが統合される。
a{t(α+1)−tα}・1/γ(m−l)<1
なお、人間が視認できるサイズを、最も厳しい条件である1ドットとすることによって、最も良い視認性を確保することが可能となる。
【0044】
ここで、本発明者らは、データプロットを効率的に扱うため、様々な拡大率で表示されるグラフを生成する上で、必要最低限のデータを扱うようにシステムを組むと、システムが高速化されることに着目し、予めデータを特定の拡大率に応じて、マージした上でデータベース上に保持することによって、効率の良いグラフ作成が可能となることを見出し、本発明をするに至った。
【0045】
拡大率γ(m−l)を、Eで表わすと、上記の式は、次のように簡略化される。
a{t(α+1)−tα}・1/E<1
ここで、拡大率Eに応じて、視認できるプロット数がどのように変化するかについて考える。式変形により、
a{t(α+1)−tα}<E
が得られる。この式は、2つのデータ間のプロット間隔が、一定の拡大率以下であれば、マージ(統合)しても良いことを意味している。その結果、マージするときの拡大率Eは、データ発生間隔{t(α+1)−tα}に比例する、ということが理解できる。
【0046】
次に、このデータ発生間隔について考える。データ発生間隔は、医療データの場合、一定の周期に従うことが多い。例えば、糖尿病患者は、食後にインスリンの注射をしたり、投薬をしたり、血糖値検査を食後2時間後にしたりする。このことは、概ね3、4時間という時間がデータ発生間隔に相当することを意味する。ただし、このようなデータは自然界のデータのため、“ゆらぎ”が必ず発生する。例えば、上記の例では、夕食を食べる時間は、昨日6時であったが、今日は7時だったということが生ずる。このような“ゆらぎ”が存在することを考えると、データ発生間隔は、平均周期を平均とする正規分布に従うと考えられる。
【0047】
図5は、データ発生間隔と発生間隔を有するデータ数との関係が正規分布を示す様子を示す図である。上述したように、拡大率Eはデータ発生間隔に比例するため、図5の横軸のデータ発生間隔をEに置き換えたとしても、正規分布が成立する。ここで、上記の正規分布において、最も小さい拡大率から徐々に拡大率を大きくしていったときの表示可能なデータ数の分布について考える。これは、上記の正規分布を累積させた累積正規分布関数により求めることができる。この累積正規分布関数は、シグモイド関数になることが知られている。シグモイド関数は、ある瞬間にグラフの傾きが急増するという特徴を有している。これは、拡大率が大きくなると、ある瞬間にディスプレイ上に表示できないデータが発生し始めるということを意味している。
【0048】
図6は、1ドットを表現するための秒数と、視認できるデータ数との関係を示す図である。ここでは、一例として、患者に対してあるカプセル投与をした場合のデータをプロットしたものである。図6に示すように、このようなデータでは、年および10年のスケールで視認性が大きく低下していることがわかる。これは投薬が、1月あるいは数日単位で行なわれることが多いため、このようなグラフになっていると考えられる。また、その他の例を考えると、健康診断などの検査は、1年に1回の頻度で行なわれることが多いため、10年スケールよりも大きなスケールでは視認性低下が起こると予想される。また、心拍のようなデータであれば、数秒単位でのデータプロットになるため、時スケール等での視認性低下が激しいと予想される。さらにナノ秒単位での化学反応等をプロットすれば、秒スケールでの視認性低下が激しいと予想される。
【0049】
図7は、拡大率を横軸にとり、表示データ数を縦軸にとり、視認性が低下する区間と視認性が低下しない区間とを示す図である。すなわち、視認性が低下する区間では、細かく区分けしてデータの伝送を行なう一方、視認性が低下しない区間では、おおまかにデータの伝送を行なえば良い。ここで、データを予めマージした形でデータベースに登録しておけば、処理速度を向上させることが可能となる。上記のような細かい伝送が必要な区間上では、細かく拡大率を区切ってデータを登録し、おおまかなデータの伝送が必要な区間では、データベース上のテーブル1つで済むこととなる。
【0050】
すなわち、図6および図7に示すようなシグモイド形状において、シグモイド関数の急勾配が始まるタイムスパンを決定できれば、それよりも大きなタイムスパンにおけるデータテーブルにおいては、視認できなくなるデータプロットをそれぞれのデータプロットの間隔から計算により割り出す必要はなくなり、計算負荷を小さくすることが可能となる。また、急勾配を割り出した後は、急勾配において倍率を細かく設定し、視認性が低下するデータをまとめる計算を、倍率が低いテーブルから順次実行すれば良い。
【0051】
上述したように、拡大率をEとして、1秒あたりaドットで表されるとしたとき、以下の式を満たしたときに、2つのデータが統合される。
a{t(α+1)−tα}<E
テーブルごとにEが決まるから、各々のEごとに上記を計算して、不等式を満たすものがあれば、2つをまとめたデータとすれば良い。この際、値が異なる2つのデータであった場合は、平均化処理等を行なう。
【0052】
具体的な急勾配の検出方法として、下記に示す手法を用いる。図8は、最小時間間隔を持つデータが重なる点と、最大時間間隔を持つデータが重なる点を示す図である。
ステップ1:データの入力時に、入力されたデータの前のデータとの間隔を保持する。
ステップ2:保持された間隔のうち、最小間隔を取り出す。
ステップ3:最小間隔を縮めていったときに、それが見えなくなるタイムスパンを計算する。
ステップ4:上記ステップにて計算された、タイムスパンを視認性が低下する急勾配と推定し、該当する倍率のデータテーブルより上位の倍率を持つデータテーブルの作成を順次行なう。
【0053】
上記のように、視認性低下区間で、細かく倍率を区切ってデータテーブルを作成することで、グラフの視認性低下を抑えることが可能である。図9は、倍率の配置を示す図である。図9に示すように、視認性の低下する区間で、2倍の倍率を設定し、低下しない区間で3や5の倍率を配置している。その上で、これらの倍率ごとにデータテーブルを作成し、グラフを描画する際に、ユーザのグラフの表示倍率指定に合わせてデータテーブルを使用する。
【0054】
以上のように構成された本実施形態に係る画像表示装置の動作について説明する。図10は、本実施形態に係る画像表示装置の動作を示すフローチャートである。まず、データを入力する(ステップS1)。次に、各データの時刻を取得する(ステップS2)。次に、前データとの時間幅を計算する(ステップS3)。このとき、併せて前データの時刻を取得する(ステップS4)。次に、最小・最大時間幅を書き換える必要があるかどうかを判定する(ステップS5)。ステップS5において、最小・最大時間幅を書き換える必要が無い場合は、ステップS8に遷移する。一方、ステップS5において、最小・最大時間幅を書き換える必要がある場合は、最大・最小時間幅書き換え処理を行なって(ステップS6)、最大・最小時間幅を取得して(ステップS7)、ステップS5の判断を行なう。
【0055】
次に、視認性が低下する拡大率を計算する(ステップS8)。すなわち、急勾配点の検出を行なう。1段階低い階層のデータベーステーブルからデータを読み出し(ステップS9)、拡大率をインクリメントし(ステップS10)、データベーステーブルを作成する(ステップS11)。次に、最大拡大率に到達したかどうかを判断し(ステップS12)、最大拡大率に到達していない場合は、ステップS10に遷移する。一方、ステップS12において、最大拡大率に到達した場合は、処理を終了する。
【0056】
これにより、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、グラフ化して画面に表示するので、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【実施例1】
【0057】
以下、本発明の実施例について説明する。ここでは簡単のため、データが3つの場合を考えることとする。用いるデータは以下の3つである。
(開始時刻(秒)、値)=
(1108629000、1)…x1とする。
(1108665600、1)…x2とする。
(1108715400、2)…x3とする。
【0058】
上記のステップ1では、それぞれのデータの間隔が保存されている。それぞれのデータ間隔は、x1-x2間が36600秒、x2-x3間が49800秒となるため、上記に示した最小データ間隔は、36600秒となる。上述したように、1秒がaドットで表されるとして、a×(データ間隔)が、拡大率より小さければ、2つのデータが重なる。倍率の起算となるタイムスパン、すなわち、最も小さいタイムスパン(最小統合倍率と呼称する)において、1秒=24ドットで表現されるとすると(a=24)、上記の最小データ間隔は、24×36600=878400ドットとなる。同様に最大のデータ間隔(最大統合倍率と呼称する)は、24×49800=1195200ドットとなる。
【0059】
つまり、上記の3つのデータしかない状態であれば、878400倍に拡大したときに、初めてデータが統合され、1195200倍に拡大したときに全てのデータが統合されることになる。この最小統合倍率である878400倍から、最大統合倍率である1195200倍までの間で、視認性の低下が起こるので、この間の倍率で、細かく倍率を区切ってデータをそれぞれの倍率に対応するように作成すれば良い。
【0060】
例えば、図14に示すような倍率で伝送番号を設定し、各々の伝送番号ごとにデータテーブルを作成すれば、最小統合倍率である878400倍から、最大統合倍率である1195200倍までの間で、最も細かく倍率が区切られており、データの視認性低下が最大限抑えられている。この例では、伝送番号13〜18にこの倍率が内包されるため、この伝送番号のデータテーブルのみを作成すれば良い。伝送番号19以上は18のものと同一のものを使用し、伝送番号13以下は生のデータをそのまま使用すれば良い。
・伝送番号13以下・・・生データテーブル(拡大しないデータを含むデータテーブル)
・伝送番号14・・・1166400倍
・伝送番号15・・・2332800倍
・伝送番号16・・・4665600倍
・伝送番号17・・・9331200倍
・伝送番号18以上・・・18662400倍
【0061】
伝送番号14のときに、x1とx2のデータが統合されることになる。この統合の際に、新しいデータを以下のようにデータベースに登録する。ここで、
(データの開始時刻、値、元のデータ数)=(1108629000、1、2)・・・x12
とする。
【0062】
さらに、この伝送番号14のデータテーブルを使って、伝送番号15のデータテーブルの計算を行なう。以下同様に15のデータテーブルを使って、16を計算…を繰り返す。伝送番号15のデータテーブルでは、x12と、x3が統合される。この際、それぞれのデータの持つ値が1と2であるため、これらを平均化処理する必要がある。
【0063】
x12では、2つのデータが統合されたという情報が格納されているため、合成する前のx1とx2の値の合計値は1×2=2と計算できる。この2とx3の2を平均化すると、
合計値/データの数=(1×2+2)/3=4/3
と計算できる。そして、新たなデータは以下のようになる。
(データの開始時刻、値、元のデータ数)=(1108629000、4/3、3)・・・x123
とする。これが伝送番号15のデータテーブルの中身である。
【0064】
上記以外の汎用的な例として、ユーザが倍率を指定して、その倍率に応じたグラフを作成するようなアプリケーションの例においても応用できる。例えば、上記数値例によれば、最小統合倍率は、878400倍で、最大統合倍率は1195200倍なので、この倍率を細かく区切って、それぞれの倍率に対してデータベーステーブルを作成する。例えば、1.1倍の倍率ごとにデータテーブルを作成する場合、以下に示す倍率に相当するデータテーブルを用意する。
・生データテーブル
・878400倍(データテーブル1)
・878400×1.1=966240倍(データテーブル2)
・966240×1.1=1062864倍(データテーブル3)
・1062864×1.1≒1169150倍(データテーブル4)
・1169150×1.1=1286065倍>1195200倍(データテーブル5)(この場合は1195200倍をデータテーブル5として使用する。)
【0065】
グラフを表示する際にユーザが指定する倍率ごとに、データテーブルを特定して、そのデータテーブルごとにグラフを作成すれば、最小限の数のデータサーチでグラフを作成できる。
ユーザが指定した倍率が87400未満…生データテーブルを使用
ユーザが指定した倍率が87400以上966240未満…データテーブル1を使用
ユーザが指定した倍率が966240以上1062864未満…データテーブル2を使用
ユーザが指定した倍率が1062864以上1169150未満…データテーブル3を使用
ユーザが指定した倍率が1169150以上1195200未満…データテーブル4を使用
ユーザが指定した倍率が1195200以上…データテーブル5を使用
【0066】
上記の例では、データ数が3つのみであるが、データ数が数百・数千となったときに、データサーチがグラフ描画のためのボトルネックになることは明らかであり、上記テーブル構成によって、その描画時間を短縮できる。
【実施例2】
【0067】
図11Aは、実施例2に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。この画像表示システムは、クライアント装置110およびサーバ装置120から構成され、通信ネットワーク130を介して相互にデータの送受信を行なう。クライアント装置は、表示部111、スケール変更部112、画面制御部113を備えており、これらの構成要素が制御バス114で相互に接続されている。サーバ装置120は、急勾配特定部115、平均化処理部116、データベーステーブル117を備えており、これらの構成要素が制御バス118で相互に接続されている。サーバ装置120は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。また、特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。また、その平均化された各データを区分毎にデータベーステーブル117に保持する。
【0068】
なお、サーバ装置120は、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化しても良い。
【0069】
クライアント装置110は、ユーザによって設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをサーバ装置120のデータベーステーブル117から取得し、グラフ化して画面に表示する。
【実施例3】
【0070】
図11Bは、実施例3に係る画像表示システムの概略構成を示す図である。この画像表示システムは、クライアント装置140およびサーバ装置150から構成され、通信ネットワーク130を介して相互にデータの送受信を行なう。クライアント装置は、表示部111、スケール変更部112、画面制御部113を備えており、これらの構成要素が制御バス114で相互に接続されている。サーバ装置150は、急勾配特定部115、平均化処理部116、データベーステーブル117、グラフ作成部119を備えており、これらの構成要素が制御バス118で相互に接続されている。グラフ作成部119は、データを読み込んで描画する機能を果たす。サーバ装置150は、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する。また、その特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する。また、平均化された各データを区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによってクライアント装置140を介して設定されたグラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化する。
【0071】
なお、サーバ装置150は、グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、およびグラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化しても良い。
【0072】
クライアント装置140は、グラフ化されたデータをサーバ装置150から取得して、画面に表示する。
【0073】
なお、以上説明したような本発明の特徴的な動作は、コンピュータにプログラムを実行させることによっても実現することが可能である。すなわち、本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させる。
【0074】
本発明のプログラムは、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させる。
【0075】
これにより、使用するデータベースの作成速度を向上させることができる。また、視認性の低下を抑えつつ、データ伝送速度の向上を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0076】
10 画像表示装置
11 表示部
12 スケール変更部
13 急勾配特定部
14 平均化処理部
15 データベーステーブル
16 画面制御部
17 制御バス
110 クライアント装置
111 表示部
112 スケール変更部
113 画面制御部
114 制御バス
115 急勾配特定部
116 平均化処理部
117 データベーステーブル
118 制御バス
119 グラフ作成部
120 サーバ装置
130 通信ネットワーク
140 クライアント装置
150 サーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、
1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する急勾配特定部と、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、
前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置であって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小するスケール変更部と、
前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する平均化処理部と、
前記平均化された各データを前記区分毎に保持するデータベーステーブルと、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出し、グラフ化して画面に表示する画面制御部と、を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記データベーステーブルは、前記平均化されたデータの数を保持し、前記最小統合倍率に対応する区分に含まれるデータを用いて、順次各区分に含まれるデータを保持することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像表示装置。
【請求項4】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
前記クライアント装置は、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項5】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
前記クライアント装置は、ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記サーバ装置のデータベーステーブルから取得し、グラフ化して画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項6】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定し、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから取得して、グラフ化し、
前記クライアント装置は、
前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項7】
クライアント装置およびサーバ装置から構成され、前記クライアント装置が有する画面において、グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示システムであって、
前記サーバ装置は、
前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化し、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持し、
ユーザによって前記クライアント装置を介して設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータをデータベーステーブルから取得して、グラフ化し、
前記クライアント装置は、
前記グラフ化されたデータを前記サーバ装置から取得して、画面に表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項8】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、
1ドットを表現する時間数と視認できるデータ数との関係を示し、データ種別に対応するグラフにおいて、勾配が急激に減少する点を特定する処理と、
前記特定した点に対応するドット数と単位時間当たりのドット数とを乗算して得られる最小統合倍率よりも大きい倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、
前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
グラフ上に時系列に沿ってプロットされた複数のデータをドットで表示する画像表示装置のプログラムであって、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に応じて、前記グラフのタイムスケールを拡大または縮小する処理と、
前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最小の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最小統合倍率、および前記グラフ上で隣接するデータの間隔のうち最大の間隔のドット数に、前記タイムスケールに基づいた単位時間当たりのドット数を乗算して得られる最大統合倍率に従って、前記最小統合倍率から前記最大統合倍率までの倍率を複数の区分に分割し、前記各区分に対応する倍率で統合される複数のデータを平均化する処理と、
前記平均化された各データを前記区分毎にデータベーステーブルに保持する処理と、
ユーザによって設定された前記グラフの表示倍率に対応するデータを前記データベーステーブルから抽出する処理と、
前記抽出したデータをグラフ化して画面に表示する処理と、の一連の処理を、コンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−88875(P2013−88875A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226228(P2011−226228)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】