説明

画像表示装置、画像表示プログラム、及び画像表示方法

【課題】所望の領域を拡大縮小表示する操作をユーザが直感的かつ容易に行うことができる表示装置を提供する。
【解決手段】選択領域表示部は、表示された画像のうち少なくとも一部の選択領域34を特定表示するための領域選択ウィンドウ32を表示する。画像取得部は、選択領域34に対応する画像を取得する。拡大縮小処理部は、画像取得部が取得した画像を、拡大縮小表示領域35にあわせて拡大又は縮小させた拡大縮小済み画像を生成する。拡大縮小表示部は、拡大縮小処理部が生成した拡大縮小済み画像を、拡大縮小表示領域35に表示する。ユーザは、マウスによるドラッグ操作により、選択領域34の位置、選択領域34の大きさ、拡大縮小表示領域35の大きさ等を調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、画面に表示された画像を拡大・縮小表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、船舶に搭載されるレーダ装置やECDIS(電子海図表示システム)などにおいて、レーダ映像やチャート(海図)の一部を拡大して表示する機能がある。このように画像の一部を拡大表示する機能の実現方法は種々考えられるが、拡大したい領域をユーザが直感的に指定できるとともに、拡大倍率などを微調整し易いことが望ましい。
【0003】
特許文献1は、マウスなどのポインティングデバイスによって領域を指定することにより、当該指定された領域を表示するウィンドウを新規に生成するマルチウィンドウ表示装置を開示している。特許文献1において、新規に生成されたウィンドウは、通常の他のウィンドウと同様に、大きさを変更したり表示倍率等を変更したりすることができる。特許文献1は、この構成により、ユーザが望む任意の領域を指定するという簡単かつ直感的な操作だけで、指定した領域と同等の表示内容の新規ウィンドウを素早くスムーズに開くことができ、所望の拡大縮小操作などを行うことで、ユーザの目で確認しつつ直感的に最適な倍率の新規ウィンドウの表示内容が得られるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3278329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の構成は、領域を指定して新規のウィンドウをいったん生成した後で、「拡大/縮小」メニューから表示倍率を選ぶようになっている。即ち、特許文献1の構成においは、ある領域を拡大縮小表示しようとしても、領域を指定しただけでは拡大表示することができず、新規ウィンドウを生成した後で表示倍率を選ぶという2段階の操作が必要となる。このように、特許文献1の構成は、任意の領域を拡大縮小表示する表示方法としては煩雑であり、改善の余地があると考えられる。
【0006】
また、特許文献1の構成では、拡大縮小させる領域を直感的に指定できないという問題もある。例えば、ユーザが、ある領域を2倍に拡大して表示したいと考えたとする。この場合、ユーザは、その領域を指定したウィンドウを新規に生成した後、当該新規ウィンドウの表示倍率を2倍に変更する操作を行う。しかし、新規ウィンドウの表示倍率を2倍に変更すると、当該新規ウィンドウの最初の表示内容が面積比で4倍に拡大表示されるので、最初に指定した領域の1/4の面積のみがウィンドウに表示され、残りの3/4の面積は表示されないことになる。従って、ユーザが最初から拡大表示させるつもりで領域を指定したとしても、実際に拡大表示させると、せっかく指定した領域の大部分が表示されないことになる。このように、特許文献1の構成では、拡大縮小表示させる領域をユーザが最初から直感的に指定することができない。
【0007】
また、特許文献1の構成は、いったん領域を指定して新規ウィンドウを生成したあとは、当該指定した領域を調整できないという問題がある。指定した領域が間違っていた場合などは、領域を指定する操作を始めからやり直し、新しく別のウィンドウを生成しなければならない。従って、特許文献1の構成では、領域を指定するという作業をスムーズに行うことができない。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、所望の領域を拡大縮小表示する操作をユーザが直感的かつ容易に行うことができる表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の画像表示装置が提供される。即ち、この画像表示装置は、メイン表示部と、画像取得部と、拡大縮小処理部と、拡大縮小表示部と、領域調整部と、を備える。前記メイン表示部は、画像を表示する。前記選択領域表示部は、前記メイン表示部が表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する。前記画像取得部は、前記選択領域に対応する画像を取得する。前記拡大縮小処理部は、前記画像取得部が取得した画像を、所定の表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する。前記拡大縮小表示部は、前記拡大縮小処理部が生成した前記画像データを、前記表示領域に表示する。前記領域調整部は、前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整可能である。
【0011】
これにより、メイン表示部によって表示された画像の一部を選択し、拡大縮小したうえで表示することができる。選択領域又は表示領域の位置やサイズを後から調整することができるので、拡大縮小の倍率等を後から微調整することができる。そして、前記画像のうち選択領域を特定表示することにより、ユーザは、自分がどの領域を選択しているかを直感的に理解することが可能である。従って、上記選択領域の位置や、拡大縮小の倍率等を直感的に調整することができる。
【0012】
上記の画像表示装置において、前記領域調整部は、ユーザが操作するポインディングデバイスであり、前記特定表示に対してドラッグ操作を行うことで前記選択領域の位置及び大きさの少なくとも何れか一方を調整可能であることが好ましい。
【0013】
このように、表示された選択領域をドラッグ操作により調整することができるので、当該選択領域を直感的に調整することができる。
【0014】
上記の画像表示装置は、前記選択領域表示部又は前記拡大縮小表示部の少なくとも何れか一方の表示を消去する消去部を備えることが好ましい。
【0015】
これにより、拡大縮小表示が不要になったときには、特定表示又は表示領域を消去することができる。
【0016】
上記の画像表示装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記メイン表示部は、複数のレイヤ画像のうち1つ、又は複数のレイヤ画像を重畳させた画像を表示可能に構成される。前記画像取得部は、前記メイン表示部が表示するレイヤ画像とは異なるレイヤ画像を取得可能である。
【0017】
このように、メイン表示部及び拡大縮小表示部に表示させる画像を多層のレイヤから構成することで、必要な情報を重畳させて表示することができる。そして、メイン表示部が表示しているレイヤ画像とは異なる画像を画像取得部が取得できるので、拡大縮小表示部には、メイン表示部とは異なるレイヤを表示させることができる。従って、ユーザは必要に応じて適切な表示形態を選択することができる。
【0018】
上記の画像表示装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この画像表示装置は、船舶に搭載される画像表示装置である。前記レイヤ保持部は、海図が書き込まれたレイヤ画像、レーダ映像が書き込まれたレイヤ画像、及び船舶自動識別装置によって取得された他船の情報が書き込まれたレイヤ画像、の少なくとも何れか1つのレイヤ画像を保持している。
【0019】
この構成によれば、海図の画像にレーダ画像や他船情報を重畳して表示させることができる。しかも、上記発明の構成によれば、メイン表示部と、拡大縮小表示部とで表示するレイヤ画像を変えることができるので、船の航行に必要な情報を、ユーザの好みに応じて表示させることができる。
【0020】
上記の画像表示装置において、前記メイン表示部が表示する前記画像が、スクロール、回転、又は縮尺変更されたときに、前記選択領域の位置は、前記画像に追従して移動することが好ましい。
【0021】
これにより、メイン表示部が表示している画像がスクロール等したときに選択領域も一緒に移動する。従って、メイン表示部が表示している画像がスクロール等したとしても、拡大縮小表示部には画像上の同じ領域を表示し続けることができる。
【0022】
上記の画像表示装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記メイン表示部が表示する前記画像に追従させて前記選択領域を移動させる際には、前記選択領域の中心座標を基準とする。
【0023】
これにより、メイン表示部が表示している画像が回転又は縮尺変更された場合であっても、選択領域の位置がズレてしまうことがない。
【0024】
上記の画像表示装置においては、前記選択領域及び表示領域は矩形領域であり、前記領域調整部によって前記選択領域又は前記表示領域の大きさを変更する際に、当該領域の縦横比を固定することが可能であることが好ましい。
【0025】
即ち、領域のサイズを自由に変更可能な場合は、当該領域の縦横比を一定に保つことが難しいが、上記のように縦横比を固定可能とすることにより、縦横比を保ちつつ領域の大きさを微調整することができる。
【0026】
上記の画像表示装置において、前記選択領域及び前記表示領域は円形領域であっても良い。
【0027】
即ち、領域を円形としたことにより、半径(又は直径)という1つのパラメータで選択領域又は表示領域の大きさを変更することができるので、ユーザが微調整を直感的に行い易くなる。
【0028】
上記の画像表示装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この画像表示装置は、前記画像取得部が取得した画像に対して所定の画像処理を行う画像処理部を更に備える。前記拡大縮小表示部は、前記画像処理部によって処理された画像を前記表示領域に表示する。
【0029】
このように、画像処理された画像を表示領域に表示することで、画像処理されていない画像(メイン表示部に表示されている画像)との比較を容易に行うことができる。
【0030】
本発明の第2の観点によれば、以下の画像表示プログラムが提供される。即ち、この画像表示プログラムは、メイン表示機能と、選択領域表示機能と、画像取得機能と、拡大縮小処理機能と、拡大縮小表示機能と、領域調整機能と、をコンピュータに実現させる。前記メイン表示機能では、画像を表示させる。前記選択領域表示機能では、前記メイン表示機能により表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する。前記画像取得機能では、前記選択領域に対応する画像を取得する。前記拡大縮小処理機能では、前記画像取得機能によって取得した画像を、所定の表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する。前記拡大縮小表示機能では、前記拡大縮小処理機能によって生成した前記画像データを前記表示領域に表示する。前記領域調整機能では、前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整する。
【0031】
本発明の第3の観点によれば、以下の画像表示方法が提供される。即ち、この画像表示方法は、メイン表示工程と、選択領域表示工程と、画像取得工程と、拡大縮小処理工程と、拡大縮小表示工程と、領域調整工程と、を含む。前記メイン表示工程では、画像を表示させる。前記選択領域表示工程では、前記メイン表示工程で表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する。前記画像取得工程では、前記選択領域に対応する画像を取得する。前記拡大縮小処理工程では、前記画像取得工程によって取得した画像を、所定の表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する。前記拡大表示工程では、前記拡大縮小処理工程で生成した前記画像データを前記表示領域に表示する。前記領域調整工程では、前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図。
【図2】メイン表示領域に表示される画像の例を示す図。
【図3】レイヤ保持部が保持している複数のレイヤ画像を概念的に示す図。
【図4】領域選択ウィンドウ及び拡大縮小表示ウィンドウを表示させた様子を示す図。
【図5】選択領域を切り出して拡大縮小表示する処理を概念的に示す図。
【図6】図4の状態からウィンドウのサイズを調整して表示倍率を変更した様子を示す図。
【図7】選択領域に他のウィンドウが重なっている様子を示す図。
【図8】画像表示方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0033】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1に示すのは、本発明の実施形態に係る画像表示装置6を備えた情報表示システム1のブロック図である。
【0034】
本実施形態の情報表示システム1は、船舶に搭載される電子海図表示システム(ECDIS)であり、航行に必要な各種の情報を表示するように構成されている。船舶用情報表示システム1は、レーダ装置2、GPS(全地球測位システム)受信機3、ジャイロコンパス4、AIS(船舶自動識別装置)送受信機5、画像表示装置6などから構成されている。
【0035】
レーダ装置2は、アンテナによる電波の送受信により、自船周囲の物標の様子を取得するとともに、当該周囲の物標の様子を示す二次元画像(レーダ映像)を生成する周知の構成である。レーダ装置2が生成したレーダ映像は、画像表示装置6に出力される。GPS受信機3は、GPS衛星からの信号に基づいて、地球上における自船の絶対座標を取得する公知の構成である。GPS受信機3が取得した自船の絶対座標は、画像表示装置6に出力される。ジャイロコンパス4は、自船の船首方位を取得するためのものである。ジャイロコンパス4が取得した船首方位は、画像表示装置6に出力される。AIS送受信機5は、自船の現在位置、速度、船首方位などのAIS情報を周囲に無線送信するともに、他船からのAIS情報を受信する公知の構成である。AIS送受信機5が受信した他船のAIS情報は、画像表示装置6に出力される。
【0036】
画像表示装置6は、カラーの液晶ディスプレイ10、操作部11、演算部12、記憶部13などを備えている。
【0037】
操作部11は、マウス(ポインディングデバイス)14やキーボード15など、ユーザが操作できる入力装置から構成されている。演算部12は、CPU、RAM、ROMなどからなるコンピュータとして構成されている。記憶部13は例えばハードディスクであり、前記演算部12で実行させるプログラムなどのソフトウェアが記憶されている。また、この記憶部13には、付近の海域のチャート(電子海図)などのデータが予め記憶されている。画像表示装置6は、記憶部13に記憶されている画像表示プログラムを演算部12に実行させることにより、チャート、レーダ映像、他船のAIS情報など、各種の画像情報を液晶ディスプレイ10に表示させるように構成されている。
【0038】
画像表示装置6には、標準的なGUI(グラフィカルユーザインタフェース)部品(例えばウィンドウ、ボタン、プルダウンメニューなど)を利用可能なマルチウィンドウシステムが構成されている。演算部12で実行されるプログラムは、このウィンドウシステムを利用して、前記液晶ディスプレイ10にグラフィカルな画面表示を行うことができる。また、このウィンドウシステムは、前記マウス14による公知のクリック操作やドラッグ操作などにより、GUIを操作することができるように構成されている。
【0039】
続いて、この画像表示装置6において実行可能なプログラムの1つである画像表示プログラムについて説明する。この画像表示プログラムは、液晶ディスプレイ10に、チャート、レーダ映像、他船のAIS情報などを表示するものである。
【0040】
この画像表示プログラムが起動されると、当該画像表示プログラムによって液晶ディスプレイ10に画像を表示するための表示領域(メイン表示領域30)が確保される。画像表示プログラムは、メイン表示領域30に画像を表示させるメイン表示機能を、演算部12に実現させるように構成されている。従って、演算部12は、メイン表示部20であるとも言える。メイン表示部20によってメイン表示領域30に表示される表示内容を、図2に例示する。
【0041】
図2に示すように、この画像表示プログラムのメイン表示領域30には、チャート(電子海図)の画像の上に、ユーザが操作するための各種のGUI部品の画像が重畳して表示されている。また、図示は省略しているが、本実施形態の画像表示プログラムは、チャートの画像に重畳させて、レーダ映像やAISシンボルを表示させることができる。この重畳表示を実現するために、画像表示プログラムでは、メイン表示領域30に表示させる画像を、多層のレイヤ構造で管理している。演算部12には、複数のレイヤ画像を保持できるメモリ領域が確保されている。従って、演算部12は、レイヤ保持部21であるとも言うことができる。
【0042】
図3に、レイヤ保持部21が保持しているレイヤ画像を概念的に示す。図3に示すように、本実施形態のレイヤ保持部21は、チャートレイヤ22、レーダレイヤ23、AISレイヤ24、及びGUIレイヤ25の4つのレイヤ画像を保持している。それぞれのレイヤ画像は、2次元のビットマップ画像となっている。
【0043】
チャートレイヤ22には、チャート(電子海図)の画像が書き込まれている。なお、記憶部13に記憶されているチャートのデータは、ベクター画像となっている。演算部12は、記憶部13に記憶されているベクター形式のチャートのデータのうち、メイン表示領域30に表示させるべき領域をラスタライズしてビットマップ形式のチャート画像を生成するように構成されている。生成されたチャート画像は、レイヤ保持部21が保持しているチャートレイヤ22に書き込まれる。
【0044】
レーダレイヤ23には、レーダ装置2から得られたレーダ映像が書き込まれている。また、AISレイヤ24には、AIS送受信機5で取得した他船の現在位置に基づいて、自船周囲の他船の位置を示すAISシンボル等をプロットしたAIS画像が書き込まれている(なお、レーダレイヤ23及びAISレイヤ24の内容の図示は省略している)。またGUIレイヤ25には、画像表示プログラムでユーザが操作するためのGUIの画像が書き込まれている。
【0045】
メイン表示部20は、レイヤ保持部21から各レイヤ画像を読み出し、当該レイヤ画像を重畳させて1枚の画像を生成したうで、メイン表示領域30に表示するように構成されている。レイヤ画像を重畳させる際には、GUIレイヤ25を最上層とする。これによれば、ユーザが操作するためのGUIを常に手前に表示することができ、チャート等の画像によってGUIが隠されてしまうことがない。
【0046】
また上記の構成によれば、チャートの画像の上に、レーダ映像やAISシンボル等を重畳表示させることができる。これにより、例えば、チャートの上にレーダ映像を重畳表示することで、陸地や建造物に対応しているレーダエコーを容易に識別することができる。また例えば、チャートの上にAISシンボルを重畳表示することで、他船の現在位置をチャート上で確認することができる。
【0047】
なお、レイヤ画像同士を適切に重畳させることができるようにするため、チャートレイヤ22、レーダレイヤ23、及びAISレイヤ24の各レイヤ画像の中心座標、縮尺などは一致させておく。
【0048】
もちろん、上記の4つのレイヤ画像を、常に全部重畳させてメイン表示領域30へ表示する必要はない。本実施形態の画像表示プログラムでは、上記4つのレイヤ画像の中から、メイン表示領域30に表示させる1つ又は複数のレイヤ画像を、ユーザが適宜選択できるように構成されている。メイン表示部20は、ユーザによって指定されたレイヤ画像のみをメイン表示領域30に表示させる。これにより、ユーザが必要とする情報のみを、メイン表示領域30に表示することができる。
【0049】
また、本実施形態では、チャートレイヤ22、レーダレイヤ23、及びAISレイヤ24のレイヤ画像のサイズは、メイン表示領域30よりも若干大きいサイズとされている。このように、メイン表示領域30よりも大きな画像を用意しておくことにより、メイン表示領域30における画像のスクロールなどに対応することができる。メイン表示部20は、各レイヤ画像をメイン表示領域30に合わせてクリッピングして読み出したうえで、当該読み出したレイヤ画像を重畳させてメイン表示領域30に表示する。もちろん、レイヤ画像の範囲を超えて画像をスクロールさせると、画像が途切れてしまうので、この場合は、各レイヤ画像を新しく生成する(例えば、ベクター形式のチャートのデータに基づいて、ビットマップ形式のチャート画像を新しく生成する)。
【0050】
次に、この画像表示装置6の特徴的構成について説明する。
【0051】
本実施形態の画像表示装置6は、メイン表示領域30に表示されている画像を拡大又は縮小して表示することができるように構成されている。この画像の拡大縮小表示は、ユーザが操作部によって所定の操作を行うことにより開始することができる。例えば本実施形態では、画面に表示されているZOOMボタン31をユーザがクリックすることにより、拡大縮小表示が開始される。
【0052】
ユーザがZOOMボタン31をクリックして拡大縮小表示が開始されると、メイン表示領域30には、図4に示す領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33が表示される。拡大縮小表示ウィンドウ33には、領域選択ウィンドウ32で選択された領域の画像が、拡大又は縮小されて表示される。以下、この構成について詳しく説明する。
【0053】
画像表示プログラムは、メイン表示領域30に領域選択ウィンドウ32を表示させる選択領域表示機能を、演算部12に実現させるように構成されている。従って、演算部12は、選択領域表示部27であると言うこともできる。ユーザによってZOOMボタン31がクリックされると、選択領域表示部27は、領域選択ウィンドウ32を、既定の位置及びサイズで、GUIレイヤ25に書き込む。これにより、メイン表示領域30に、領域選択ウィンドウ32を表示することができる。
【0054】
図4に示すように、領域選択ウィンドウ32は、矩形のウィンドウ枠32aと、このウィンドウ枠に付随するタイトルバー32bとを備えている。選択領域表示部27は、ユーザの操作に応じて、領域選択ウィンドウ32の位置やサイズを変更するように構成されている。即ち、ユーザが領域選択ウィンドウ32のタイトルバー32bをマウス14によってドラッグ操作すると、選択領域表示部27は、当該ドラッグ操作に応じて領域選択ウィンドウ32の位置を移動させる。また、ユーザが領域選択ウィンドウ32のウィンドウ枠32aをマウス14によってドラッグ操作すると、選択領域表示部27は、当該ドラッグ操作に応じて領域選択ウィンドウ32のサイズを変更する。このように、ユーザは、マウス14による直感的な操作により、領域選択ウィンドウの位置及びサイズを調整することができる。
【0055】
GUIレイヤ25において、領域選択ウィンドウ32のウィンドウ枠32aの中には何も描画されず、下層のレイヤが透けて見えるようになっている。例えば図4の場合は、領域選択ウィンドウ32のウィンドウ枠32aの中に、下層のレイヤであるチャートの画像の一部が透けて見えている。メイン表示領域30に表示されている画像のうち、このウィンドウ枠32aによって囲まれた領域を「選択領域34」とする。なお、ユーザが特定の消去操作(後述)を行わないかぎり、領域選択ウィンドウ32はメイン表示領域30に表示され続ける。これを別の見方をすると、選択領域表示部27は、「ウィンドウ枠32aに囲んで表示する」という特定表示によって、選択領域34の範囲を示しているといえる。ユーザは、領域選択ウィンドウ32(のウィンドウ枠32a)の位置およびサイズによって、選択領域34の位置及びサイズを一目で認識することができる。また、前述のように、領域選択ウィンドウ32は、マウス14による操作によって位置及びサイズを任意に変更可能である。従って、ユーザは、選択領域34の位置及びサイズを、マウス14によって任意に調整することができる。この意味で、マウス14は領域調整部であると言える。
【0056】
また、画像表示プログラムは、メイン表示領域30に拡大縮小表示ウィンドウ33を表示させる拡大縮小表示機能を、演算部12に実現させるように構成されている。従って、演算部12は、拡大縮小表示部28であると言うこともできる。ユーザによってZOOMボタン31がクリックされると、拡大縮小表示部28は、拡大縮小表示ウィンドウ33を、既定の位置及びサイズで、GUIレイヤ25に書き込む。これにより、メイン表示領域30に、拡大縮小表示ウィンドウ33を表示することができる。
【0057】
図4に示すように、拡大縮小表示ウィンドウ33は、矩形のウィンドウ枠33aと、このウィンドウ枠に付随するタイトルバー33bとを備えている。拡大縮小表示部28は、ユーザの操作に応じて、拡大縮小表示ウィンドウ33の位置やサイズを変更するように構成されている。即ち、ユーザが拡大縮小表示ウィンドウ33のタイトルバー33bをマウス14によってドラッグ操作すると、拡大縮小表示部28は、当該ドラッグ操作に応じて拡大縮小表示ウィンドウ33の位置を移動させる。また、ユーザが拡大縮小表示ウィンドウ33のウィンドウ枠33aをマウス14によってドラッグ操作すると、拡大縮小表示部28は、当該ドラッグ操作に応じて拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズを変更する。このように、ユーザは、マウス14による直感的な操作により、拡大縮小表示ウィンドウ33の位置及びサイズを調整することができる。
【0058】
拡大縮小表示ウィンドウ33のウィンドウ枠33aの内側は、矩形の拡大縮小表示領域(表示領域)35となっている。ユーザは、拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズをマウス14の操作によって変更することにより、拡大縮小表示領域35のサイズを任意に調整することができる。この意味でも、マウス14は領域調整部であると言える。
【0059】
なお、本実施形態の画像表示プログラムにおいて、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33の位置及びサイズは、マウス14によるドラッグ操作以外にも各種の方法で調整することができる。例えば、マウス14のホイールを回転操作することにより、領域選択ウィンドウ32又は拡大縮小表示ウィンドウ33を移動させたり、サイズを変更したりすることができる。
【0060】
また、本実施形態の画像表示プログラムでは、領域選択ウィンドウ32の位置を数値入力することができる。この数値入力では、画面上でのX−Y座標を指定する構成でも良いし、メイン表示領域30に表示されているチャートの緯度経度を指定するように構成しても良い。例えば、領域選択ウィンドウ32の位置を数値指定するための数値入力ボックスを、必要に応じてGUIレイヤに描画する。ユーザは、選択したい領域の中心座標の緯度及び経度を、キーボード15等を操作して前記数値入力ボックスに入力する。これにより、領域選択ウィンドウ32が、緯度及び経度で指定された位置に自動的に移動する。これによれば、拡大縮小表示したい領域の緯度及び経度が予めわかっている場合などに、選択領域を正確に設定することができる。もちろん、選択領域34又は拡大縮小表示領域35のサイズを数値入力することができても良い。
【0061】
この他、本実施形態の画像表示プログラムでは、キーボード15の操作によって領域選択ウィンドウ32の位置及びサイズを調整できるように構成されている。例えば、キーボード15の矢印キー(上下左右キー)が押されると、押された矢印キーに応じた方向に領域選択ウィンドウ32を所定量だけ移動させる。これにより、マウス14によるドラッグ操作では難しい微妙な位置調整を行うことができる。また例えば、キーボード15の「<キー」が押されると領域選択ウィンドウ32のサイズを大きくし、「>キー」が押されると領域選択ウィンドウ32のサイズを小さくするように構成しても良い。
【0062】
以上のように、本実施形態の画像表示プログラムでは、キーボード15によって領域選択ウィンドウ32の位置及びサイズを調整できる(選択領域34の位置及びサイズを調整できる)ので、キーボード15も領域調整部であると言うことができる。もちろん、これに代えて、或いはこれに加えて、拡大縮小表示ウィンドウ33の位置及びサイズを、キーボード15によって調整できるように構成しても良い。
【0063】
画像表示プログラムは、選択領域に対応する画像をコピーして取得する画像取得機能を、演算部12に実現させるように構成されている。従って、演算部12は、画像取得部29であるとも言うことができる。図5に概念的に示すように、画像取得部29は、GUIレイヤよりも下層の各レイヤ画像から、選択領域34の位置及びサイズに対応する矩形領域を読み出してコピーする。そして、画像取得部29は、コピーした各レイヤ画像の矩形領域を重畳させて、選択領域に対応する画像である選択画像36を取得する。
【0064】
画像表示プログラムは、画像取得部29が取得した選択画像36を拡大又は縮小する拡大縮小処理機能を、演算部12に実現させるように構成されている。従って、演算部12は、拡大縮小処理部37であるとも言うことができる。図5に示すように、拡大縮小処理部37は、画像取得部29が取得した選択画像36(選択領域と同じサイズの画像)を、拡大縮小表示ウィンドウ33の拡大縮小表示領域35のサイズに合わせて拡大又は縮小させた拡大縮小済み画像38を生成する。
【0065】
前記拡大縮小表示部28は、拡大縮小処理部37によって生成された拡大縮小済み画像38を、GUIレイヤ25に表示されている拡大縮小表示ウィンドウ33の、ウィンドウ枠に囲まれた矩形領域の中に書き込む。この処理を、図5に概念的に示す。これにより、拡大縮小表示ウィンドウ33の表示領域(拡大縮小表示領域35)に、拡大縮小処理済み画像38表示させることができる。
【0066】
以上の処理によれば、メイン表示領域30に表示されている画像のうち、領域選択ウィンドウ32によって選択された選択領域34を切り出して、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示することができる。ユーザは、メイン表示領域30に表示されている画像(図4の例ではチャート)の上で、選択領域34の位置を視覚的に確認しながら、領域選択ウィンドウ32の位置を移動させることができる。従って、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させる領域を、直感的に指定することができる。
【0067】
上記のように、選択領域34で選択された領域の画像は、拡大縮小表示領域35にあわせて拡大又は縮小される。即ち、領域選択ウィンドウ32によって選択した領域の画像を、拡大又は縮小して、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させることができる。拡大縮小表示ウィンドウ33に表示される画像の表示倍率は、選択領域34と拡大縮小表示領域35のサイズの比によって決まる。従って、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズを調整することにより、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示される画像の表示倍率を任意に変更することができる。
【0068】
例えば図4の例では、拡大縮小表示領域35が選択領域34の2倍のサイズとなるように、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズが調整されている。この場合、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示される画像の表示倍率は2倍となる。また例えば図6の例では、拡大縮小表示領域35が選択領域34の1/2倍のサイズとなるように、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズが調整されている。この場合、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示される画像の表示倍率は0.5倍となる。
【0069】
前述のように、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズは任意に変更可能であるから、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示される画像の表示倍率を、ユーザが任意に変更することができる。また、本実施形態の構成によれば、領域選択ウィンドウ32のサイズを調整するだけで所望の表示倍率で画像を表示させることができるので、「表示倍率を選ぶ」という操作を経る必要がない。しかも、ユーザは、メイン表示領域30に表示されている画像(図4及び図6の例ではチャート)の上で、選択領域34のサイズを確認しながら領域選択ウィンドウ32のサイズを調整することができる。これにより、メイン表示領域30に表示されている画像のどの部分をどれだけ拡大縮小して表示させるかを、ユーザが直感的に設定することができる。
【0070】
また本実施形態の画像表示プログラムは、ユーザの適宜の操作により、画像取得部29がコピーする1つ又は複数のレイヤ画像を指定できるように構成されている。即ち、ユーザは、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させるレイヤ画像を指定することができる。これにより、ユーザが必要とする情報を、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示することができる。拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させるレイヤ画像は、メイン表示領域30に表示されているレイヤ画像とは異なっていても良い。例えば、メイン表示領域30に、チャートレイヤ22と、レーダレイヤ23と、AISレイヤ24とが重畳表示されている場合、拡大縮小表示ウィンドウ33にはレーダレイヤ23のみを表示させるということができる。これによれば、メイン表示領域30では他のレイヤ画像と重なって見えにくい場合に、目的のレイヤ画像のみを拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させることができる。
【0071】
また前述のように、画像取得部29は、GUIレイヤ25よりも下層のレイヤ画像をコピーするように構成されている(即ち、GUIレイヤ25の画像はコピーしない)。従って、GUIレイヤ25に表示されているGUIによって邪魔されずに、画像を拡大縮小表示することができる。例えば図7のように、拡大縮小させて表示したいと思っている領域が他のウィンドウによって隠されていたとしても、当該他のウィンドウに重ねるようにして領域選択ウィンドウ32を配置することで、当該他のウィンドウの下に隠れている画像を切り出して、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させることができる。
【0072】
なお、領域選択ウィンドウ32は、メイン表示領域30からはみ出すこともできるようになっている。本実施形態では、GUIレイヤ25の下層の各レイヤ画像は、メイン表示領域30よりも大きな領域が確保されているので、画像取得部29は、メイン表示領域から多少はみだした領域の画像も取得することができる。従って、メイン表示領域30から選択領域34がはみ出すように領域選択ウィンドウ32の位置を設定することで、拡大縮小表示ウィンドウ33には、メイン表示領域30に表示しきれていない領域(メイン表示領域30の外側の領域)の画像を表示することができる。
【0073】
以上で説明した本実施形態の構成によれば、拡大縮小させたい領域を、ユーザが直感的かつ柔軟に設定することができる。これにより、素早く簡単に所望の拡大縮小表示を得ることができる。もっとも、この構成では、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズをユーザが任意に変更可能であるがゆえに、正確な倍率で画像を拡大縮小表示することは難しい。例えば、ユーザが「画像を正確に2倍に拡大する」ことを望んだとしても、マウス14のドラック操作のみでウィンドウ枠のサイズを正確に調整することは困難である。
【0074】
そこで本実施形態の画像表示プログラムでは、拡大縮小表示ウィンドウ33に表示させる画像の表示倍率を数値指定できるように構成されている。例えば、「0.5倍」「等倍」「2倍」等の中から表示倍率を選べるプルダウンメニューを、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33に設けておく。ユーザは、プルダウンメニューの中から所望の表示倍率を選択することができる。表示倍率が選択されると、演算部12は、選択された表示倍率を実現できるように、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズを自動的に変更する。
【0075】
例えば、ユーザが、領域選択ウィンドウ32の前記プルダウンメニューで「2倍」の表示倍率を指定すると、拡大縮小表示領域35のサイズが選択領域34のサイズの2倍となるように、領域選択ウィンドウ32のサイズが自動的に変更される。また例えば、ユーザが、拡大縮小表示ウィンドウ33の前記プルダウンメニューで「2倍」の表示倍率を指定すると、拡大縮小表示領域35のサイズが選択領域34のサイズの2倍となるように、拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズが自動的に変更される。これにより、領域選択ウィンドウ32と拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズを、正確な比率となるように調整することができる。
【0076】
また、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33は、縦横のサイズを任意に変更可能となっている。これによれば、選択領域34及び拡大縮小表示領域35の形状の縦横比を自由に設定できるので、縦方向の拡大率と横方向の表示倍率を異ならせることができる。これにより、メイン表示領域30に表示されている画像を、柔軟に拡大縮小させて表示することが可能となる。
【0077】
もっとも、縦と横で表示倍率を異ならせた場合は、拡大縮小表示ウィンドウ33には縦横で歪んだ画像が表示されることになるので、ユーザがこれを望まない場合も考えられる。そこで本実施形態の画像表示プログラムでは、選択領域34及び拡大縮小表示領域35の縦横比を固定するように設定可能に構成されている。例えば、縦横比を固定することを指定するチェックボックスを、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33に設けておく。ユーザは、必要に応じて、縦横比を固定するようにチェックを入れることができる。
【0078】
例えば、ユーザが、領域選択ウィンドウ32の前記チェックボックスで縦横比固定を指定すると、それ以降、ユーザが領域選択ウィンドウ32のサイズを変更する際には選択領域34の縦横比が一定に保たれる。また例えば、ユーザが、拡大縮小表示ウィンドウ33の前記チェックボックスで縦横比固定を指定すると、それ以降、ユーザが拡大縮小表示ウィンドウ33のサイズを変更する際には拡大縮小表示領域35の縦横比が一定に保たれる。これにより、任意の縦横比にあわせたまま、ウィンドウのサイズを変更することが可能になる。
【0079】
なお、ユーザは、必要に応じていつでも、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を閉じる(GUIレイヤ25から消去する)ことができる。本実施形態の画像表示プログラムでは、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33の表示を開始させるためのZOOMボタン31が、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を消去するためのインタフェースを兼ねている。即ち、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33が表示されている状態で、ユーザがZOOMボタン31をクリックすると、演算部12は、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を、GUIレイヤ25から消去する。従って、演算部12は、消去部であるということもできる。これにより、ユーザは、拡大縮小表示が不要になったときには、直感的な操作によって素早く領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を消去することができる。
【0080】
もっとも、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を消去する方法は、ZOOMボタン31のクリックに限らない。例えばユーザは、ウィンドウのタイトルバーが備える「閉じる」ボタン39をクリックすることにより、領域選択ウィンドウ32又は拡大縮小表示ウィンドウ33を別々に消去することもできる。
【0081】
次に、上記の画像表示装置6において、メイン表示領域30に表示されている画像が、スクロール、回転、縮尺変更等された場合の処理について説明する。
【0082】
即ち、本実施形態の画像表示装置6は、メイン表示領域30に表示されているチャートの画像を、GPS受信機3が取得した自船の現在位置に応じてスクロールさせたり、ジャイロコンパス4が取得した自船の船首方位に基づいて回転させたり、ユーザの操作に応じて縮尺を変更したりすることができるように構成されている。
【0083】
そこで本実施形態の画像表示プログラムでは、メイン表示領域30に表示されているチャートが、スクロール、回転、縮尺変更等されたときに、選択領域34をチャートに追従させて移動させるように構成している。具体的には以下のとおりである。即ち、演算部12は、選択領域34の中心点の座標を、メイン表示領域30に表示されているチャートの座標系(緯度及び経度)で取得する。演算部12は、メイン表示領域30に表示されているチャートをスクロール等するときには、選択領域34の中心点の座標をチャートの座標系(緯度及び経度)で維持するように、領域選択ウィンドウ32の表示位置を自動的に変更する。即ち、メイン表示領域30に表示されているチャートをスクロールさせる際には、これに追従させて、領域選択ウィンドウ32を自動的にスクロールさせる。
【0084】
これによれば、選択領域34を地球表面上の絶対座標(緯度及び経度)に固定することができるので、メイン表示領域30に表示されているチャートがスクロール等した場合でも、選択領域34は地球表面上の同じ領域を選択し続けることができる。従って、メイン表示領域30に表示されているチャートがスクロール等した場合でも、拡大縮小表示ウィンドウ33には、同じ領域を表示し続けることができる。なお、本実施形態では、選択領域34の中心座標を基準にして、当該選択領域34をチャートに追従させているので、チャートが回転等した場合であっても選択領域34の中心座標がズレることはない。
【0085】
また本実施形態の画像表示プログラムでは、メイン表示領域30に表示されているチャートの縮尺が変更された場合には、前記縮尺の変更に合わせて領域選択ウィンドウ32のサイズを自動的に変更するように構成している。例えば、メイン表示領域30に表示されるチャートの縮尺を、現在の縮尺の2倍となるように変更した場合、演算部12は、領域選択ウィンドウ32のサイズを自動的に2倍に変更する。これによれば、縮尺変更の前後を通じて、チャート上で同じ範囲の領域を選択し続けることができる。従って、メイン表示領域30でチャートの縮尺が変更されたとしても、拡大縮小表示領域35に表示される画像の縮尺を保つことができる。
【0086】
次に、以上で説明した画像表示装置6を用いた画像表示方法をまとめた図8のフローチャートについて説明する。
【0087】
まずユーザは、画像表示プログラムを起動して、チャート等の画像をメイン表示領域30に表示させる(メイン表示工程)。続いてユーザは、特定の操作(本実施形態ではZOOMボタン31のクリック)を行うことにより(ステップS101)、領域選択ウィンドウ32を表示させる(ステップS102、選択領域表示工程)とともに、拡大縮小表示ウィンドウを表示させる(ステップS103)。
【0088】
ユーザは、領域選択ウィンドウ32の位置とサイズを変更することにより、選択領域34の位置とサイズを調整する(ステップS104、領域調整工程)。また、ユーザは、拡大縮小表示ウィンドウ33の位置とサイズを変更することにより、拡大縮小表示領域35の位置とサイズを調整する(ステップS105、領域調整工程)。ユーザは、必要に応じて、チャートレイヤ22、レーダレイヤ23、AISレイヤ24の中から、拡大縮小表示ウィンドウに表示させたい1つ又は複数のレイヤ画像を選択する(ステップS106)。
【0089】
続いて、画像取得部29は、ステップ106でユーザによって指定されたレイヤ画像のうち、選択領域34に対応する領域の画像をコピーして取得する(ステップS107、画像取得工程)。拡大縮小処理部37は、画像取得部29が取得した画像を、拡大縮小表示領域35にあわせて拡大縮小する(ステップS108、拡大縮小処理工程)。拡大縮小表示部28は、拡大縮小させた画像を、拡大縮小表示領域35に表示させる(ステップS109、拡大縮小表示工程)。以上の画像表示方法により、任意の領域の画像を、任意の表示倍率で表示させることができる。
【0090】
ユーザは、所望の表示が得られるまで、ステップS104,S105の領域調整工程を繰り返すことができる。またユーザは、必要に応じて、ZOOMボタンをクリック(ステップS110)することにより、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33を消去(ステップS111)できる。
【0091】
以上で説明したように、本実施形態の画像表示装置6は、メイン表示部20と、画像取得部29と、拡大縮小処理部37と、拡大縮小表示部28と、マウス14と、を備えている。メイン表示部20は、画像を表示する。選択領域表示部27は、メイン表示部20が表示した画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示するための領域選択ウィンドウ32を表示する。画像取得部29は、選択領域34に対応する画像を取得する。拡大縮小処理部37は、画像取得部29が取得した画像を、拡大縮小表示領域35にあわせて拡大又は縮小させた拡大縮小済み画像38を生成する。拡大縮小表示部28は、拡大縮小処理部37が生成した拡大縮小済み画像38を、拡大縮小表示領域35に表示する。マウス14は、選択領域34の位置、選択領域34の大きさ、拡大縮小表示領域35の大きさ等を調整可能である。
【0092】
これにより、メイン表示部20によって表示された画像の一部を選択し、拡大縮小したうえで表示することができる。選択領域34又は拡大縮小表示領域35の位置やサイズを後から調整することができるので、拡大縮小の倍率等を後から微調整することができる。そして、前記画像のうち、領域選択ウィンドウ32のウィンドウ枠32aで囲まれた部分を選択領域34とすることで、ユーザは、自分がどの領域を選択しているかを直感的に理解することが可能である。従って、上記選択領域34の位置や、拡大縮小の倍率等を直感的に調整することができる。
【0093】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0094】
上記実施形態では、選択領域34及び拡大縮小表示領域35の両方のサイズをユーザによって調整可能としたが、何れか一方のサイズは固定されていても良い。選択領域34及び拡大縮小表示領域35の何れか一方のサイズをユーザが調整することができれば、拡大縮小表示領域35に表示される画像の表示倍率を任意に変更することができる。また、拡大縮小表示領域35は、その位置が固定されていても良い。
【0095】
上記実施形態では、領域選択ウィンドウ32及び拡大縮小表示ウィンドウ33の初期位置及び初期サイズは既定であるとしたが、領域選択ウィンドウ32又は拡大縮小表示ウィンドウ33を生成する際の位置又はサイズを、ユーザが指定できるように構成されていても良い。
【0096】
選択領域34及び拡大縮小表示領域35の位置やサイズを調整するための領域調整部としては、マウス14に限らない。例えば、キーボード15から数値入力することにより、前記領域の位置やサイズを指定するように構成されていても良い。ただし、ユーザが直感的かつ簡単に操作できるという観点から、マウス14のようなポインディングデバイスのドラッグ操作によって、選択領域34及び拡大縮小表示領域35の位置やサイズを調整できる構成が好適である。
【0097】
ポインディングデバイスとしては、マウス14に限らず、例えばトラックボール等でも良い。また、液晶ディスプレイ10をタッチパネルとして構成し、ユーザが選択領域34や拡大縮小表示領域35に触れることにより、当該領域を調整できるように構成しても良い。
【0098】
上記実施形態では、領域選択ウィンドウ32のウィンドウ枠32aに囲まれている部分を選択領域34としたが、選択領域34を特定表示する方法はこれに限らない。例えば、選択領域内の画像の色を変化させる表示方法や、網かけ表示する表示方法などが考えられる。要は、メイン表示領域30に表示されている画像のうち、選択されている領域をわかり易く表示することができれば良く、ウィンドウによって選択領域34を選択するという実施形態には限定されない。
【0099】
上記実施形態では、選択領域34及び拡大縮小表示領域35は矩形領域であるが、これに限らない。例えば、選択領域及び拡大縮小表示領域を円形としても良い。即ち、上記実施形態のような矩形領域では、領域のサイズを変更する際に縦横比の設定を考慮する必要があったが、領域を円形とすれば、当該領域のサイズを変更する際に考慮すべきパラメータは半径(又は直径)だけである。従って、選択領域及び拡大縮小表示領域を円形とすることにより、ユーザは、より直感的に領域を調整することができる。また、円形の選択領域であれば、メイン表示領域30に表示されているチャートが回転したとしても、当該チャートの同じ範囲を選択し続けることができる。
【0100】
上記実施形態では、画像取得部29が取得した画像をそのまま拡大縮小させて表示していたが、画像取得部29が取得した画像に対して何らかの画像処理を施す画像処理部を備えていても良い。拡大縮小表示部28は、上記画像処理部によって処理された画像を、拡大縮小表示領域35に表示する。これによれば、例えば、メイン表示領域30には画像処理を行っていない画像を表示させ、拡大縮小表示領域35には画像処理を行った画像を表示させて、両者を見比べることができる。画像処理部による画像処理としては、例えば、レーダレイヤ23のレーダ映像に含まれているノイズを除去する処理などが考えられる。
【0101】
複数のレイヤ画像を重畳させて表示する構成は省略しても良い。
【0102】
本発明の画像表示装置は、船舶用の画像表示装置に限らず、画像を拡大縮小して表示する画像表示装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
6 画像表示装置
14 マウス(領域調整部)
20 メイン表示部
21 レイヤ保持部
27 選択領域表示部
28 拡大縮小表示部
29 画像取得部
34 選択領域
35 拡大縮小表示領域
37 拡大縮小処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するメイン表示部と、
前記メイン表示部が表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する選択領域表示部と、
前記選択領域に対応する画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得した画像を、所定の表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する拡大縮小処理部と、
前記拡大縮小処理部が生成した前記画像データを前記表示領域に表示する拡大縮小表示部と、
前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整可能な領域調整部と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記領域調整部は、ユーザが操作するポインディングデバイスであり、前記特定表示に対してドラッグ操作を行うことで前記選択領域の位置及び大きさの少なくとも何れか一方を調整可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像表示装置であって、
前記選択領域表示部又は前記拡大縮小表示部の少なくとも何れか一方の表示を消去する消去部を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の画像表示装置であって、
前記メイン表示部は、複数のレイヤ画像のうち1つ、又は複数のレイヤ画像を重畳させた画像を表示可能に構成され、
前記画像取得部は、前記メイン表示部が表示するレイヤ画像とは異なるレイヤ画像を取得可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像表示装置であって、
当該画像表示装置は、船舶に搭載される画像表示装置であり、
前記レイヤ保持部は、海図が書き込まれたレイヤ画像、レーダ映像が書き込まれたレイヤ画像、及び船舶自動識別装置によって取得された他船の情報が書き込まれたレイヤ画像、の少なくとも何れか1つを保持していることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の画像表示装置であって、
前記メイン表示部が表示する前記画像が、スクロール、回転、又は縮尺変更されたときに、前記選択領域の位置は、前記画像に追従して移動することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像表示装置であって、
前記メイン表示部が表示する前記画像に追従させて前記選択領域を移動させる際には、前記選択領域の中心座標を基準とすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の画像表示装置であって、
前記選択領域及び表示領域は矩形領域であり、
前記領域調整部によって前記選択領域又は前記表示領域の大きさを変更する際に、当該領域の縦横比を固定することが可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1から7までの何れか一項に記載の画像表示装置であって、
前記選択領域及び前記表示領域は円形領域であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の画像表示装置であって、
前記画像取得部が取得した画像に対して所定の画像処理を行う画像処理部を更に備え、
前記拡大縮小表示部は、前記画像処理部によって処理された画像を前記表示領域に表示することを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
画像を表示させるメイン表示機能と、
前記メイン表示機能により表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する選択領域表示機能と、
前記選択領域に対応する画像を取得する画像取得機能と、
前記画像取得機能によって取得した画像を、表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する拡大縮小処理機能と、
前記拡大縮小処理機能によって生成した前記画像データを前記表示領域に表示する拡大縮小表示機能と、
前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整する領域調整機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とする画像表示プログラム。
【請求項12】
画像を表示させるメイン表示工程と、
前記メイン表示工程で表示した前記画像のうち少なくとも一部の選択領域を特定表示する選択領域表示工程と、
前記選択領域に対応する画像を取得する画像取得工程と、
前記画像取得工程によって取得した画像を、所定の表示領域にあわせて拡大又は縮小させた画像データを生成する拡大縮小処理工程と、
前記拡大縮小処理工程で生成した前記画像データを前記表示領域に表示する拡大縮小表示工程と、
前記選択領域の位置、前記選択領域の大きさ、及び前記表示領域の大きさの少なくとも何れか1つを調整する領域調整工程と、
を含むことを特徴とする画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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