説明

画像表示装置、画像表示方法、およびコンピュータプログラム

【課題】ユーザによる操作に基づいて異なる範囲の地図を表示させる際に、操作の前後において表示される二つの地図の領域の距離感がユーザに把握できるようにする。
【解決手段】(a)タッチパネルを備えたディスプレイ202上に、第1の範囲Ad0の地図を表示する。(b)その状態において、ユーザがタッチパネル202に接触し接触部分を移動させる移動操作Sw01を行ったこと、を含む第1の条件が満たされた場合に、移動操作Sw01に応じて、第2の範囲Ad1の地図をディスプレイ202上に表示する。その際、まず、第1の範囲Ad0を表す第1の参考画像F0と、第2の範囲Ad1を表す第2の参考画像F1と、を第1の範囲Ad0と第2の範囲Ad1の位置関係にしたがって、ディスプレイ202上に同一の縮尺で表示する。その後、第1と第2の参考画像F0,F1の表示をやめて、第2の範囲Ad1の地図をディスプレイ202上に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示する範囲を変えて画像を表示するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに画像が表示されている状態において、ユーザが指でタッチパネル上の1点に接触し、タッチパネルに接触した状態で素早く指を動かすと、ユーザがタッチパネルから指を離した後も、ユーザが指を動かした方向に沿って画像が送られるように、タッチパネル上の画像を変化させる技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−332373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、そのような技術を使用して、地図の表示範囲を移動させて、それまで表示されていた領域とは異なる領域の地図の画像をタッチパネルに表示させた場合には、ユーザは、操作の前後の表示範囲の位置関係(方向や距離)を把握することが困難である。このような問題は、ユーザによる所定の操作に基づいて異なる範囲の画像を表示させる際に広く存在する。
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、ユーザによる操作に基づいて異なる範囲の画像を表示させる際に、操作の前後において表示される二つの画像の領域の位置関係がユーザに把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]
タッチパネルを有するディスプレイと、
前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、を備えた画像表示装置であって、
前記表示制御部は、
前記ディスプレイ上に第1の範囲の画像を表示されている状態において行われる、画面表示をスクロールするスクロール操作に応じて、第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示させることができ、
前記第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係を示す位置関係画像を前記ディスプレイ上に表示させることができる、画像表示装置である。
【0008】
このような態様とすれば、ユーザは、第1の参考画像と第2の参考画像に基づいて、スクロール操作後にディスプレイ上に表示される第2の範囲の画像が、スクロール操作前に表示されていた第1の範囲の画像に対してどのような位置関係にあるのか、理解することができる。
【0009】
なお、スクロール操作に応じた処理は、スクロール操作が行われた場合に常に行われるのではなく、スクロール操作を行ったことを含む所定の第1の条件が満たされた場合に、行われるようにすることができる。
また、前記第2の範囲は、前記第1の範囲の画像とは異なる範囲とすることができる。
前記スクロール操作は、たとえば、ユーザが前記タッチパネルに接触し接触部分を移動させる操作とすることができる。
そして、前記表示制御部は、前記ディスプレイ上の前記第1の範囲の画像を示した範囲と少なくとも一部が重なる位置に前記位置関係画像を示し、前記位置関係画像を示した後に、前記第1の範囲の画像を示した範囲に前記第2の範囲の画像を表示する態様とすることができる。
【0010】
[適用例2]
適用例1の装置において、
前記位置関係画像は、前記第1の範囲を表す第1の参考画像と、前記第2の範囲を表す第2の参考画像とを、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係にしたがって、前記ディスプレイ上に同一の縮尺で表す画像とすることが好ましい。
【0011】
このような態様とすれば、ユーザは、スクロール操作後にディスプレイ上に表示される第2の範囲の画像が、スクロール操作前に表示されていた第1の範囲の画像に対してどのような位置関係にあるのかを、より直感的に理解することができる。
【0012】
[適用例3]
適用例2の装置において、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記ディスプレイの少なくとも一部の範囲において、前記第1の範囲の画像および前記第2の範囲の画像に対して、明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が低い背景画像を表示し、
前記第1と第2の参考画像を、前記背景画像が表示されている範囲内において、前記背景画像よりも明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が高い画像として表示する態様とすることが好ましい。
【0013】
このような態様とすれば、ユーザは、第1と第2の参考画像をより視認しやすくなる。このため、第1と第2の参考画像を表示する時間を短くしても、ユーザは、スクロール操作後にディスプレイ上に表示される第2の範囲の画像と、スクロール操作前に表示されていた第1の範囲の画像との位置関係を理解することができる。
【0014】
なお、色の比較の基準とされる第1の範囲の画像は、第1と第2の参考画像の表示の前に表示される際の画像とすることができる。また、色の比較の基準とされる第2の範囲の画像は、第1と第2の参考画像の表示の後に表示される際の画像とすることができる。
【0015】
[適用例4]
適用例3の装置において、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記第1の範囲から前記第2の範囲に表示範囲が移行するように、前記第1の範囲と前記第2の範囲を結ぶ範囲の画像を、前記ディスプレイ上に表示し、
前記背景画像を表示する際には、
前記背景画像として、前記ディスプレイの少なくとも一部の前記範囲において、前記第1の範囲の画像および前記第2の範囲の画像に対して、対応する画像部分の明度と彩度の少なくとも一方が低い画像で、前記第1の範囲と前記第2の範囲を結ぶ範囲の画像を表示する態様とすることが好ましい。
【0016】
このような態様とすれば、ユーザは、第1の範囲の画像から第2の範囲の画像に表示が移行する様子を、背景画像を通じてディスプレイ上で見ることができる。このため、ユーザは、背景画像として表示され移行の様子を示す画像と、それに対して目立つように表示される第1および第2の参考画像と、の両方を通じて、スクロール操作前後にディスプレイ上に表示される画像の位置関係を理解することができる。
【0017】
[適用例5]
適用例4の装置において、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との距離は、前記第1の範囲の画像が表示される際の縮尺で表した場合に、前記スクロール操作の操作量の4〜6倍となる距離であり、
前記第1の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記背景画像は、0.61倍〜0.64倍の大きさであり、
前記第1の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第1の参考画像は、0.11倍〜0.14倍の大きさであり、
前記第2の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第2の参考画像は、0.11倍〜0.14倍の大きさであるように、
前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する態様とすることが好ましい。
【0018】
このような態様においては、背景画像はディスプレイの表示可能範囲の全体を占めない。このため、ユーザは、背景画像、第1の参考画像、および第2の参考画像は、永続的な表示ではなく暫定的な表示であることが理解しやすい。また、第1の範囲と第2の範囲の位置関係にしたがって第1と第2の参考画像をディスプレイ上に表示する際に、背景画像の範囲内におさまる程度の大きさ(小ささ)であって、ユーザの目にとまりやすい程度の大きさで、第1と第2の参考画像をディスプレイ上に表示することができる。
【0019】
なお、大きさの比較の基準とされる第1の範囲の画像の大きさは、第1と第2の参考画像の表示の前に表示される際の大きさとすることができる。
【0020】
なお、前記第1の範囲と前記第2の範囲との距離は、前記第1の範囲の地図が表示される際の縮尺で表した場合に、前記スクロール操作の操作量の4.5〜5.5倍となる距離であることが好ましく、前記スクロール操作の操作量の4.8〜5.2倍となる距離であることがさらに好ましい。
【0021】
また、前記第1の範囲の地図が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記背景画像は、0.62〜0.63倍の範囲で表示されることがより好ましく、0.625倍(5/8倍)の範囲で表示されることがさらに好ましい。前記第1の範囲の地図が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第1の参考画像は、0.12〜0.13倍の範囲で表示されることがより好ましく、0.125倍(1/8倍)の範囲で表示されることがさらに好ましい。前記第2の範囲の地図が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第2の参考画像は、0.12〜0.13倍の範囲で表示されることがより好ましく、0.125倍(1/8倍)の範囲で表示されることがさらに好ましい。
【0022】
なお、前記第1の範囲の地図が表示されるディスプレイ上の範囲と、前記第2の範囲の地図が表示されるディスプレイ上の範囲とは、等しいことが好ましい。
【0023】
また、第1の範囲の地図の縮尺で第1の範囲と第2の範囲との距離を表したときの寸法は、スクロール操作の操作量に対して、4倍〜6倍であることが好ましい。そして、第1の範囲の地図の縮尺で第1の範囲と第2の範囲との距離を表したときの寸法は、スクロール操作の操作量に対して、4.5倍〜5.5倍であることがより好ましく、5倍であることがさらに好ましい。
【0024】
[適用例6]
適用例2〜5のいずれかの装置において、
前記表示制御部は、さらに、
前記第1の範囲の画像が表示されている状態において、画面表示をスクロールさせる操作であって前記スクロール操作よりも前記タッチパネルに接触する時間が長いドラッグ操作に応じて、前記第1と第2の参考画像の表示を行わずに、第3の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示することができ、
前記第3の範囲と前記第1の範囲との距離の前記ドラッグ操作の操作量に対する比は、前記第2の範囲と前記第1の範囲との距離の前記スクロール操作の操作量に対する比よりも小さい態様とすることが好ましい。
【0025】
このような態様とすれば、ユーザが素早くスクロール操作を行った時には、操作量に対する地図の移動量が大きいため、現在の表示範囲に対して遠くの範囲の地図をディスプレイ上に表示させることができる。そして、ユーザがゆっくりとドラッグ操作を行った時には、操作量に対する地図の移動量が小さいため、自ら行う微妙な操作に応じて、近くの望ましい範囲の地図を表示させることができる。なお、第3の範囲は、第1の範囲とは異なる範囲とすることが好ましい。
【0026】
なお、ドラッグ操作に応じた処理は、ドラッグ操作が行われた場合に常に行われるのではなく、ドラッグ操作を行ったことを含む所定の第2の条件が満たされた場合に、行われるようにすることができる。その際、スクロール操作に関する第1の条件は、タッチパネルに接触して画面表示をスクロールさせる操作が第1のしきい値よりも短い時間で行われたことを含むことができる。そして、ドラッグ操作に関する第2の条件は、タッチパネルに接触して画面表示をスクロールさせる操作が第2のしきい値(第1のしきい値以上の値である)以上の時間で行われたことを含むことができる。
【0027】
なお、「第3の範囲と前記第1の範囲との距離」および「第2の範囲と前記第1の範囲との距離」は、第1〜第3の範囲の形状がいずれも同一の略長方形の形状である場合には、その長方形の各頂点を結ぶ対角線の交点の間の距離で測定される。
【0028】
また、前記第1の範囲と前記第2の範囲を結ぶ範囲の地図を、前記第1の範囲から前記第3の範囲に表示範囲が移行するように順に前記ディスプレイ上に表示する工程であることが好ましい。
【0029】
[適用例7]
なお、本発明は、以下のような適用例で実現することもできる。
タッチパネルを備えたディスプレイ上に地図を表示する方法であって、
(a)タッチパネルを備えたディスプレイ上に、第1の範囲の地図を表示する工程と、
(b)前記第1の範囲の地図が表示されている状態において、ユーザが前記タッチパネルに接触し接触部分を移動させるスクロール操作を行ったこと、を含む第1の条件が満たされた場合に、前記スクロール操作に応じて、前記第1の範囲とは異なる第2の範囲の地図を前記ディスプレイ上に表示する工程と、を備え、
前記工程(b)は、
(b1)前記第1の範囲を表す第1の参考画像と、前記第2の範囲を表す第2の参考画像とを、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係にしたがって、前記ディスプレイ上に同一の縮尺で表示する工程と、
(b2)前記第1と第2の領域の表示をやめて、前記第2の範囲の地図を前記ディスプレイ上に表示する工程と、を含む方法。
【0030】
このような態様とすれば、ユーザは、第1の参考画像と第2の参考画像に基づいて、スクロール操作後にディスプレイ上に表示される第2の範囲の地図が、スクロール操作前に表示されていた第1の範囲の地図に対してどのような位置関係にあるのか、理解することができる。
【0031】
なお、適用例7において、
前記第1の参考画像の前記第1の範囲に対する縮尺と、
前記第2の参考画像の前記第2の範囲に対する縮尺と、
前記第1と第2の参考画像の間の距離の、前記第1と第2の範囲の間の距離に対する縮尺と、が一致するように、前記第1と第2の参考画像が前記ディスプレイ上に表示されることが好ましい。
【0032】
このような態様とすれば、ユーザは、スクロール操作後にディスプレイ上に表示される第2の範囲の地図が、スクロール操作前に表示されていた第1の範囲の地図に対してどのような位置関係にあるのかを、より直感的に理解することができる。
【0033】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像表示方法および画像表示装置、地図表示方法および地図表示装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施例である地図表示システムのハードウェア構成を示す図。
【図2】本実施例において地図を表示する際の携帯電話200の処理を示すフローチャート。
【図3】図2のステップS10における表示パネル202の地図の表示の例を示す図。
【図4】図3で表示パネル202上に表示されている地図の範囲を含むより広い範囲の地図Maを示す図。
【図5】図2のステップS50における表示パネル202の表示の例を示す図。
【図6】図2のステップS70における表示パネル202の地図の表示の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
A.実施例:
A1.全体構成:
図1は、本発明の第1実施例である地図表示システムのハードウェア構成を示す図である。第1実施例の地図表示システムは、携帯電話200と、サーバ170と、を含む。
【0036】
携帯電話200は、表示パネル202と、音声出力部203と、振動機構204と、通信部205と、コマンド入力部206と、時計部209と、主制御部210と、通話制御部220とを有している。
【0037】
表示パネル202は、画像を表示することができる液晶ディスプレイである。表示パネル202は、表示している画像に応じてパネルの一部に接触されることによりユーザからの指示を受けとることができるタッチパネルを備えている。具体的には、表示パネル202は、液晶ディスプレイの上に透明のタッチパネルが重ねられて構成される。ユーザは、たとえば、表示パネル202の表面を指で押したり、表示パネル202の表面に接触した状態で指を動かすことにより、画像の表示を制御するための操作を行うことができる。
【0038】
なお、本明細書において、「画像」とは、狭義の画像のほか、文字、記号等を含む概念である。たとえば、「画像」は、PDFなどの各主のフォーマットで表現された文書も含む。すなわち、本明細書において、「画像」とは、2次元で表現できる任意の対象を含む。本実施例では、画像の例として地図を採用して技術内容を説明する。しかし、たとえば、文書データの一部のみを画面に表示し、スクロール操作に応じて他の部分を表示するような場合にも、この技術を適用することができる。
【0039】
なお、表示パネル202としては、感圧式、静電方式など、様々な方式のタッチパネルを採用することができる。たとえば、「抵抗膜方式(アナログ抵抗膜方式)」、「静電容量方式」、ガラスなどの表面を物理的な振動として伝播する表面弾性波を使用した「超音波表面弾性波方式」、ガラス表面を伝播する音響波を利用してタッチ位置を検出する「音響パルス認識方式」、タッチ面のタッチによる物理的な振動を検出し位置を求める「振動検出方式(DST)」、表示パネルの表面周囲の縦壁および横壁に発光部と受光部とを設け光が遮られた部分を検出する「赤外線遮光方式」、磁界を発生できる特別なペンによりタッチすることでパネル側でその電磁エネルギーを受け取りペンの位置を検出する「電磁誘導方式」、画面近くの主にコーナーに配置された複数個のイメージセンサでタッチする指などの画像を撮影しその画像解析結果からタッチ位置とタッチしたことを判断する「画像認識方式」、静電容量が変化する物体がセンサ電極に近接すると電極の静電容量が増加する特性を利用した「静電センサ方式」、LCD自体が直接イメージセンサとなる「光センサ内蔵LCD方式」など、様々な方式を採用することができる。
【0040】
コマンド入力部206は、ハードウェアとしてのカーソルキー206bを含む。ユーザは、タッチパネルである表示パネル202だけでなく、カーソルキー206bの周辺部を押してカーソルを移動させ、カーソルキー206bの中央部を押してONの操作を行うことによっても、携帯電話200に情報を入力することができる。
【0041】
音声出力部203は、スピーカを含む装置であって、経路案内などのユーザへのメッセージやメロディなどを音声で出力できる装置である。振動機構204は、所定のパターンの振動でユーザの注意を促すことができる装置である。
【0042】
通信部205は、通信ネットワークとしてのインターネットINTを介して、サーバ170と通信を行い、情報を送受信することができる。なお、通信ネットワークとしては、インターネットのほかにLANやWAN、公衆回線等がある。通話制御部220は、通話のための着信呼出、音声/電気信号の変換などを行う回路である。時計部209は、主制御部210からの要求に応じて、現在時刻を表す現在時刻情報を出力する。
【0043】
主制御部210は、携帯電話200の各部を制御するための制御ユニットである。主制御部210は、それらの制御に使用されるCPU211、RAM212、ROM213を備えている。例えば、主制御部210は、CPUでアプリケーションソフトウェア230を実行することによって携帯電話200の各部を制御して様々な処理を行わせることができ、また、携帯電話200からサーバ170に情報を送信してサーバ170に様々な処理を行わせることができる。
【0044】
サーバ170は、通信部172と、制御部174と、記憶部176とを有している。記憶部176は、地図データベース178を格納している。サーバ170は、通信部172およびインターネットINTを介して、携帯電話200と通信を行うことができる。サーバ170の制御部174は、携帯電話200から受け取ったデータ要求に基づいて、地図データベース178内の地図画像データを参照して、携帯電話200が要求する領域の地図を表す地図画像データを切り出す。そして、切り出した地図画像データを、通信部172を介して、携帯電話200に送信する。
【0045】
なお、本実施例における表示パネル202が、「ディスプレイ」に相当する。本実施例における主制御部210が、「表示制御部」に相当する。
【0046】
A2.地図の表示:
図2は、本実施例において地図を表示する際の携帯電話200(より具体的には主制御部210)の処理を示すフローチャートである。ステップS10では、携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202上にある範囲の地図を表示する。なお、ステップS10では、地図はカラーで(有彩色で)表示される。
【0047】
図3は、図2のステップS10における表示パネル202の地図の表示の例を示す図である。表示パネル202に表示されている地図には、道路R01が表示されている。なお、実際には表示パネル202の地図には、交差点名や施設名などの文字が表示されるが、本願の図面においては技術の理解を容易にするため、地図上の文字については図示を省略する。なお、ステップS10の処理を実現する主制御部210の機能部を、「第1の地図表示部231」として図1に示す。
【0048】
図2のステップS20では、携帯電話200の主制御部210は、ユーザがタッチパネルに接触し接触状態を保って接触部分を移動させる操作(本明細書において「移動操作」という)を行ったか否かを判定する。移動操作が行われた場合には、処理はステップS30に進む。移動操作が行われていない場合には、処理はステップS10に戻り、引き続き同じ地図が表示パネル202に表示される。
【0049】
図3において、ユーザが行う移動操作の例を示す。ここでは、ユーザは、まず、タッチパネルとしての表示パネル202の位置Pf1に指で接触したものとする。そして、ユーザは、表示パネル202に接触した状態を保ってその指を移動させ(矢印Sw01参照)、位置Pf2で表示パネル202から指を離したものとする。そして、その間に要した時間は0.2秒であったものとする。このように、比較的短い時間で行われる移動操作を、本明細書において「スクロール操作」と呼ぶ。これに対して、スクロール操作よりも長い時間で行われる移動操作を、本明細書において「ドラッグ操作」と呼ぶ。
【0050】
図2のステップS30では、主制御部210は、移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Th1(たとえば、0.5秒)より小さかったか否かを判定する。移動操作が行われた時間tsは、表示パネル202から得られるユーザによる表示パネル202の接触の有無の情報と、時計部209から得られる、ユーザによる表示パネル202の接触の開始および終了の時刻の情報と、に基づいて、主制御部210が計算する。
【0051】
移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Th1より小さかった場合には(ステップS30:Yes)、処理はステップS40に進む。移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Th1以上であった場合には(ステップS30:No)、処理はステップS80に進む。上述のように、移動操作に要した時間が0.2秒であれば、処理はステップS40に進む。なお、ステップS30で行われる判定は、ユーザが行った移動操作が、スクロール操作であるのか(ステップS30:Yes)、ドラッグ操作であるのか(ステップS30:No)の判定である。
【0052】
ステップS40では、主制御部210は、移動操作に応じて、スクロール操作に応じて最終的に表示すべき地図の範囲を決定する。より具体的には、主制御部210は、移動操作の向きと、移動量とに基づいて、表示すべき地図の範囲を決定する。
【0053】
図4は、図3で表示パネル202上に表示されている地図の範囲Ad0を含むより広い範囲の地図Maを示す図である。図4において、R01〜R04は、道路である。Pc1〜Pc3は、ビルなどの施設である。Rv01は、川である。図4において、図3で表示されている地図の範囲をAd0で示す。また、長方形である範囲Ad0の中心をDc0として示す。また、ステップS40で決定する、表示すべき地図の範囲をAd1で示す。長方形である範囲Ad1の中心をDc1として示す。
【0054】
図2のステップS40では、移動操作Sw01が行われた向きに対して180度をなす向きに、距離Dmだけ離れた位置にある範囲Ad1を表示すべき地図の範囲として決定する(図4の矢印Am参照)。ここでは、移動操作Sw01は図4において水平方向の左向きに行われているため、範囲Ad1は、矢印Amで示すように、図4において範囲Ad0に対して水平方向の右向きの位置にある。また、距離Dmは、ステップS10で表示されている地図の縮尺で表したときに、移動操作Sw01の操作量DsのC1倍(C1>1。たとえば、C1=5)の大きさとなる距離である。
【0055】
図5は、図2のステップS50における表示パネル202の表示の例を示す図である。ステップS50では、主制御部210は、範囲Ad0から範囲Ad1に向かう向きに移動するように、表示パネル202に表示する地図の範囲を順に変更する(図4の矢印Am、図5の矢印Amm参照)。その結果、範囲Ad0と範囲Ad1を結ぶ範囲の地図が順に、表示パネル202に表示される。この表示の際には、地図上の交差点、施設名などの文字は表示されない。なお、「範囲Ad0と範囲Ad1を結ぶ範囲」とは、範囲Ad0と範囲Ad1の対応する各頂点を結ぶ直線と(図4において破線で示す)、範囲Ad0と範囲Ad1とで囲まれる範囲である。
【0056】
範囲Ad0と範囲Ad1を結ぶ範囲の地図を表示する際の縮尺は、ステップS10で表示されていた地図の縮尺と同一の値に保たれる。その結果、地図内の各要素は一方向に流れるように表示される(図5の矢印Amm参照)。図3の表示において道路R01が示されていた位置を、図5において、一点鎖線で示す。なお、携帯電話200は、ステップS10で表示した地図の範囲に対するその周辺の所定の範囲については、あらかじめサーバ170からから取得してRAM212内に地図の画像データを保持している。しかし、ステップS40で決定した地図の範囲が保持している画像データの範囲を超えている場合には、主制御部210は、サーバ170に対して地図データを要求し、サーバ170から地図データを受け取る。
【0057】
範囲Ad0と範囲Ad1を結ぶ範囲の地図を表示する際には、表示パネル202の領域Fi内においては、地図は、無彩色、すなわち濃度のみの白黒の画像として表示される(図5参照)。また、表示パネル202の領域Fi内においては、領域Fi外に表示されたと仮定した場合に比べて明度の最大値はより小さくなり、明度の最小値はより大きくなるように、地図が表示される。その結果、表示パネル202の領域Fi内においては、全体にグレーがかった地図の表示がなされる。これに対して、領域Fi外においては、地図の表示は、ステップS10における地図表示と同様の明度および彩度で行われる。
【0058】
表示パネル202の領域Fiは、ステップS10において地図が表示されていた表示パネル202の範囲を、その範囲の中心Dc0を中心として5/8にした範囲である。すなわち、領域Fiは、ステップS10において地図が表示されていた表示パネル202の範囲の中心Dc0と一致し、横幅は、ステップS10において地図が表示されていた表示パネル202の範囲の横幅Wの5/8となる。また、高さも、ステップS10において地図が表示されていた表示パネル202の範囲の高さHの5/8となる。
【0059】
表示パネル202の領域Fi内に表示される無彩色の地図の画像を「背景画像Ib」という。これに対して、表示パネル202の領域Fi外に表示される有彩色の地図の画像を「移行画像It」と呼ぶ。図5において、カラーで表示される移行画像Itの部分の道路R01を実線で示し、無彩色で表示される背景画像Ibの部分の道路R01を破線で示す。すなわち、地図上の要素は、領域Fi内に表示される部分のみが無彩色で表示される。なお、道路R01は、技術の理解を容易にするために図5において示すものであり、動画としての背景画像Ibおよび移行画像Itにおいて、図5に示す位置に道路R01が表示されるタイミングは、参考画像F1(後述する)が図5の位置に表示されるタイミングと一致するものではない。
【0060】
また、領域Fiの中心部分には、ステップS10において地図が表示されていた範囲に対応する参考画像F0が緑色の枠として表示される。そして、領域Fi内には、スクロール操作に応じて最終的に表示されるべき地図の範囲に対応する参考画像F1が赤色の枠として表示される。参考画像F0は、ステップS10において地図が表示されていた大きさの1/8の大きさで縮小表示される。参考画像F1は、スクロール操作に応じて最終的に表示される地図の大きさの1/8の大きさで縮小表示される。スクロール操作に応じて最終的に表示される地図の大きさおよび縮尺は、ステップS10において地図が表示されていた大きさおよび縮尺と同じであるので、参考画像F0,F1は、同じ大きさおよび縮尺で表示される。すなわち、参考画像F0,F1の横幅はW×1/8であり、高さはH×1/8である。
【0061】
参考画像F1は、ステップS10で表示されていた地図の範囲Ad0に対する、ステップS40で決定された地図の範囲Ad1の位置関係に応じて同一の縮尺で表示される。具体的には、参考画像F1は、移動操作Sw01が行われた向きに対して180度をなす向きに、距離Dmの1/8倍、すなわち、移動操作Sw01が行われた操作量の(C1×1/8)倍の距離だけ離れた位置に表示される。なお、実際には、ステップS50において、参考画像F1は、最初は参考画像F0と重なる位置に表示され、その後、図5に示すような、上述の位置関係を反映させた位置に向かって移動し(図5の矢印Ams参照)、最終的に図5に示すように表示される。
【0062】
図2のステップS60では、主制御部210は、背景画像Ib、ならびに参考画像F0,F1を、表示した時間tdが所定のしきい値Thd(たとえば、0.5秒)を超えたか、またはユーザが携帯電話200に対して新たに別の操作を行ったかを判定する。背景画像、ならびに参考画像F0,F1の表示時間は、時計部209から得られる時刻の情報に基づいて、主制御部210が計算する。時間tdが所定のしきい値Thdを超えたか、またはユーザが携帯電話200に対して新たに別の操作を行った場合には(ステップS60:Yes)、処理はステップS70に進む。時間tdが所定のしきい値Thdを超えず、かつユーザが携帯電話200に対して新たに別の操作を行っていない場合には(ステップS60:No)、処理はステップS50に戻る。すなわち、背景画像、ならびに参考画像F0,F1は、最大で時間Thdだけ表示パネル202表示される。
【0063】
図6は、図2のステップS70における表示パネル202の地図の表示の例を示す図である。図2のステップS70では、背景画像ならびに参考画像F0,F1の表示をやめ、ステップS40で決定された範囲の地図が表示パネル202に表示される(図6参照)。なお、ステップS70では、地図はカラーで表示される。図6においては、表示パネル202に表示されている地図には、道路R03および川Rv01が表示されている(図4の範囲Ad1も参照)。なお、(ステップS20:Yes)および(ステップS30:Yes)の条件が満たされた場合に、S40〜S70の処理を実現する主制御部210の機能部を、「第2の地図表示部232」として図1に示す。
【0064】
このように、本実施例においては、ステップS10において地図が表示されていた地図の範囲と、スクロール操作に応じてステップS70で表示される地図の範囲と、を表す参考画像F0,F1が、ステップS70における地図表示に先立って表示される(図2のS50、および図5参照)。このため、スクロール操作の結果、ステップS10の表示範囲とは離れた位置にある範囲の地図がステップS70で表示されても、ユーザは、両者の位置関係を把握することができる。
【0065】
特に、本実施例のステップS70においては、移動操作の操作量のC1倍(5倍)だけ離れた範囲の地図が表示される。このため、移動操作前後に表示される地図は重複しない可能性が高い。よって、そのような態様において、図5のように参考画像F0,F1をすることは、ユーザが距離感を把握するのに特に有効である。
【0066】
また、長時間にわたって背景画像Ib、ならびに参考画像F0,F1を表示すると(図5参照)、スクロール操作前後に表示される地図の位置関係がユーザに伝わりやすくなる一方で、早く次の地図を見たいユーザの要望に応えることができない。よって、背景画像、ならびに参考画像F0,F1をあまり長時間にわたって表示させることも好ましくない。本実施例においては、無彩色の背景画像Ibの範囲Fi内において、参考画像F0,F1は有彩色で表示される。このため、ユーザは、参考画像F0,F1の位置関係を短時間で把握しやすい。よって、参考画像F0,F1を短時間(たとえば、最大で0.5秒)だけ表示しても、ユーザは、移動操作前後に表示される地図の位置関係を把握することができる。
【0067】
一方、図2のステップS80では、主制御部210は、ユーザが表示パネル202に触れている部分に地図の表示が追随するように、表示する範囲を変えて地図画像を表示する。なお、ステップS80では、地図はカラーで表示される。このような制御が行われるため、ユーザは、表示パネル202上の地図の表示範囲を直感的に変更することができる。なお、ステップS80の制御では、背景画像Ib、ならびに参考画像F0,F1の表示は行われない。なお、(ステップS20:Yes)および(ステップS30:No)の条件が満たされた場合に、S80の処理を実現する主制御部210の機能部を、「第3の地図表示部233」として図1に示す。
【0068】
ステップS80では、ユーザが表示パネル202に触れている部分に地図が追随するように地図画像が表示される。このため、ステップS80で最終的に表示される地図の範囲とステップS10で表示される地図の範囲との間の距離の移動操作Sw01の操作量に対する比は、「1」である。すなわち、ステップS80で最終的に表示される地図の範囲とステップS10で表示される地図の範囲との間の距離の移動操作Sw01の操作量に対する比は、ステップS70で最終的に表示される地図の範囲とステップS10で表示される地図の範囲との間の距離の移動操作Sw01の操作量に対する比C1(C1>1。ここではC1=5)よりも小さい。
【0069】
また、本実施例においては、移動操作の時間に応じて、接触部分に追随させる表示制御を行うか(ステップS80)、図5の表示を行う制御を行うか(ステップS40〜S70)、を選択する(ステップS30)。このため、ユーザが素早い操作(スクロール操作)を行った場合には、より遠くの範囲の地図を表示させることができ、ユーザがゆっくりと操作(ドラッグ操作)を行った場合には、ユーザによる微妙な操作量および走査方向を反映した範囲の地図を表示させることができる。よって、地図の表示範囲を変更する際のユーザの利便性が高い。
【0070】
なお、本実施例における背景画像Ib、参考画像F0および参考画像F1が、「位置関係画像」に相当する。参考画像F0が、「第1の参考画像」に相当し、参考画像F1が、「第2の参考画像」に相当する。なお、「位置関係画像」は、本実施例で示した前記各構成要素以外の構成要素を含むこともできる。
【0071】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
B1.変形例1:
上記実施例においては、移動操作が行われた場合に、ステップS40以下の処理、またはステップS80の処理において、ステップS10とは異なる地図が表示される(図4および図6参照)。しかし、ステップS10とは異なる地図を表示するための条件としては、「移動操作が行われること」に加えて、他の条件を含んでもよい。たとえば、携帯電話200が所定の動作モードで地図を動作している場合にかぎり、移動操作に基づいてそれまでとは異なる地図を表示する処理に進む態様とすることもできる。また、タッチパネルの他の箇所を押していることや、他のハードウェアボタンを押していることを、移動操作に基づいてそれまでとは異なる地図を表示する処理に進む際の条件として含むこともできる。
【0073】
B2.変形例2:
上記実施例においては、ステップS10,S70において、地図は有彩色で表示され、ステップS50において、背景画像Ibは無彩色で表示される。しかし、ステップS10,S70で表示される地図と、ステップS50で表示される背景画像Ibとの関係は他の関係であってもよい。たとえば、背景画像Ibは、ステップS10やステップS70で表示される地図に対して明度を低下させたカラー画像を含む動画像とすることができる。また、背景画像は、ステップS10やステップS70で表示される地図に対して明度の最大値を低下させ、かつ明度の最小値を大きくしたカラー画像を含む動画像とすることができる。
【0074】
さらに、背景画像Ibは、無彩色ではないが、ステップS10やステップS70で表示される地図に対して彩度を低下させたカラー画像を含む動画像とすることができる。なお、彩度の低下のさせ方は、たとえば、各画素について、その画素の色とある明るさのグレーの平均、または重み付け平均で得られる値を、新たにその画素の色とする方法を採用することができる。たとえば、グレーを表すレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の階調値が互いに等しい値(Vgr,Vgr,Vgr)であり、ある画素の色を表すRGBの階調値が(Vr,Vg,Vb)であるとすると、新たに、その画素のレッドの階調値を(Vr+Vgr)/2、グリーンの階調値を(Vg+Vgr)/2、ブルーの階調値を(Vb+Vgr)/2とすることができる。なお、彩度の低下のさせ方は、色に応じて異ならせることができる。さらに、彩度の低下のさせ方は、画素位置に応じて異ならせることもできる。すなわち、背景画像Ibにおいては、各画素の色は、移行画像Itとして表示されたと仮定した場合の色よりもグレーよりの色で表示されることができる。たとえば、背景画像Ibの領域に半透明のグレーのシートを重ねたように見える処理が好ましい。
【0075】
また、背景画像Ibは、単一の明度を有する1色のグレーの画像や、ステップS10やステップS70で表示される地図の明度最大値(または彩度の最大値)よりも明度(または彩度)が低い1色の画像とすることもできる。さらに、背景画像Ibは、枠のみの表示とすることもできる。ただし、背景画像は、ステップS10やステップS70で表示される地図に対して、明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が低い画像とすることが好ましい。
【0076】
なお、背景画像が、ステップS10,S70で表示される地図に対して明度の最大値が低い画像であるとき、第1と第2の参考画像は、背景画像よりも明度が高いものであってもよいし、彩度が高いものであってもよいし、明度および彩度の両方が高いものであってもよい。背景画像が、ステップS10,S70で表示される地図に対して彩度の最大値が低い画像であるとき、第1と第2の参考画像は、背景画像よりも明度が高いものであってもよいし、彩度が高いものであってもよいし、明度および彩度の両方が高いものであってもよい。すなわち、ステップS10,S70で表示される地図と背景画像との明度および彩度の関係と、第1および第2の参考画像と背景画像との明度および彩度の関係とは、第1と第2の参考画像が、背景画像よりも明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が高い画像として表示されるかぎり、任意の組み合わせとすることができる。ただし、背景画像が、ステップS10,S70で表示される地図に対して彩度の最大値が低い画像であるとき、第1と第2の参考画像は、背景画像よりも彩度が高いものであることが好ましい。
【0077】
また、上記実施例では、背景画像は、表示パネル202上で地図が表示される範囲の5/8(すなわち、0.625倍)の大きさで表示される(図5参照)。しかし、背景画像は、表示パネル202上で地図が表示される範囲全体とするなど、他の大きさとすることもできる。ただし、地図が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、背景画像は、0.62〜0.63倍で表示されることがより好ましく、0.624〜0.626倍で表示されることがさらに好ましい。
【0078】
また、上記実施例において、範囲Ad0と範囲Ad1を結ぶ範囲の地図を表示する際には、背景画像Ibおよび移行画像Itは、範囲Ad0から範囲Ad1に向かう向きに移動するように表示される。その際の表示は、人間の目に連続的に表示範囲が動くように見える表示でもよいし、人間の目に表示範囲が不連続であることが分かる程度の表示でもよい。すなわち、人間の目に連続的な動画的として見えるように表示されてもよいし、互いに異なる断続的な画像が順に表示されるように見えるように、処理が行われてもよい。
【0079】
上記実施例では、画像F0および背景画像Ibは、表示パネル202の画像を表示できる範囲の中央に表示される。しかし、画像F0および背景画像Ibは、表示パネル202の画像を表示できる範囲の他の部分に表示されることもできる。たとえば、右下や左下、右上または左上の一部の領域に、図5と同様であるが、図5よりも小さく画像F0,F1および背景画像Ibを表示する態様とすることもできる。そのような態様とすれば、ユーザは、スクロール表示される地図を画像F0,F1および背景画像Ibに邪魔されることなく、見ることができる。なお、そのような態様においては、図2のステップS10やS70においても、画像F0,F1および背景画像Ibが表示されている態様とすることができる。
【0080】
B3.変形例3:
上記実施例において、第1の参考画像F0は緑の枠で表示され、および第2の参考画像F1は赤の枠で表示される。しかし、第1および第2の参考画像は、他の様々な態様で表示されることができる。たとえば、第1および第2の参考画像は、枠の表示ではなく、背景画像に対して全体に明度と彩度の少なくとも一方が高い1以上の色で塗りつぶされた表示とすることもできる。第1および第2の参考画像は、それぞれ1色の表示とすることもでき、それぞれ複数色による表示とすることもできる。また、第1および第2の参考画像は、明度と彩度の一方が、背景画像に対して所定値以上離れた値である表示とすることもできる。ただし、第1と第2の参考画像は、背景画像が表示されている範囲内において、背景画像よりも明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が高い画像であることが好ましい。
【0081】
B4.変形例4:
上記実施例のステップS80においては、地図は、ユーザによる表示パネル202の接触部分に追随するように表示される。しかし、比較的長い時間で行われる移動操作に対しては(S30:No)、他の処理を行うこともできる。たとえば、操作量に対してC2倍(C2>1)の距離だけ表示範囲を移動させる処理を行うこともできる。すなわち、上記実施例のステップS80においては、第1の参考画像F0および第2の参考画像F1を行わないものであれば、様々な処理を行うことができる。ただし、上記の係数C2は、ステップS40〜S70における「移動操作の操作量」に対する「地図の移動量」の係数C1よりも小さい値であることが好ましい。
【0082】
また、上記実施例では、ステップS40〜S70における「スクロール操作の操作量」に対する「地図の移動量」の係数C1は、固定値「5」である。しかし、係数C1は、移動操作の速度に応じて、変動する係数とすることもできる。たとえば、主制御部210は、上述のように、移動操作が行われた時間tsを計算することができる。また、主制御部210は、表示パネル202からユーザの移動操作の移動量を得ることができる。図3の例では、主制御部210は、接触部Pf1の代表点と接触部Pf2の代表点(たとえば、それぞれの接触部の重心とすることもでき、接触部のうち他方の接触部に最も近い点とすることもできる)の位置の情報を表示パネル202から得て、両者の距離を計算することができる。そして、主制御部210は、移動操作が行われた時間tsと移動操作の移動量とから、移動操作(スイープ操作)の速度を計算することができる。主制御部210は、移動操作の速度が大きいほど大きい値となるように、係数C1を定めることができる。たとえば、係数C1は、移動操作の速度範囲に応じて複数の固定値をとることができるように定められてもよいし、移動操作の速度を入力とする関数で定められてもよい。
【0083】
B5.変形例5:
前記実施例において、ステップS30におけるしきい値Th1は0.5秒である。しかし、第1および第2の参考画像を行う処理を実行するか(図2のステップS40〜S70参照)、第1および第2の参考画像を行わない処理を実行するか(図2のステップS80参照)、の判断基準となるしきい値は、0.2秒や0.3秒、0.4秒など他の値とすることもできる。ただし、そのしきい値は0.3〜0.6秒であることが好ましく、0.45〜0.55秒であることがより好ましい。
【0084】
B6.変形例6:
前記実施例において、ステップS60におけるしきい値Thdは0.5秒である。しかし、第1および第2の参考画像を行う時間の最大値となるしきい値は、0.3秒や0.4秒、0.6秒など他の値とすることもできる。ただし、そのしきい値は0.4〜0.7秒であることが好ましく、0.45〜0.65秒であることがより好ましい。
【0085】
B7.変形例7:
サーバ170の地図データベース178内に格納されている画像データとしての地図画像データは、ラスタデータとして保持されていてもよいし、ベクトルデータとして保持されていてもよい。ユーザが携帯する端末装置としての携帯電話200に送信される地図画像データも、ラスタデータであってもよいし、ベクトルデータであってもよい。さらに、地図データベース178内の地図画像データと、端末装置に送信される地図画像データは、いずれか一方をベクトルデータとし、他方をラスタデータとすることもできる。
【0086】
B8.変形例8:
上記実施例においては、地図表示システムは、その構成要素として、サーバ170と携帯電話200とを含む。しかし、端末としての携帯電話200は、たとえば、電話機能を備えない機器としての、PDA(Personal Data Assistant)や、画像表示機能を備えた携帯型画像表示装置、ノート型のコンピュータなどとすることもできる。また、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)の衛星からの電波を受信する電波に基づいて、端末の現在位置を表す現在位置情報を生成することができるGPSユニットを備える端末とすることも好ましい。
【0087】
また、サーバ170は、一つのサーバであってもよいし、ネットワークで接続された複数のサーバで実現することもできる。すなわち、画像表示装置は、その各構成要素が一つの筐体内に収納されている一つの装置であってもよい。また、画像表示装置は、その構成要素が、互いにデータ通信回線で結ばれている2以上の装置として構成されるものとすることもできる。そして、画像表示装置が実現する各機能については、各装置に1以上の任意の機能を割り当てることができる。そして、各機能は、それぞれ一つの装置で実現されてもよく、2以上の装置が協働して実現してもよい。なお、2以上の構成要素が通信回線で結ばれている態様においては、ユーザに対して情報を出力する出力部は、ユーザに携帯されるものであることが好ましい。
【0088】
B9.変形例9:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、携帯電話200は、ハードウェアキーとしてのコマンド入力部206を備えない態様とすることもできる。
【0089】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータが直接実行するようにしてもよい。
【0090】
この明細書において、ホストコンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータに、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0091】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0092】
170…サーバ
172…通信部
174…制御部
176…記憶部
178…地図データベース
200…携帯電話
202…表示パネル(タッチパネル)
203…音声出力部
204…振動機構
205…通信部
206…コマンド入力部
206b…カーソルキー
209…時計部
210…主制御部
211…CPU
212…RAM
213…ROM
220…通話制御部
230…アプリケーションソフトウェア
Ad0…第1の範囲
Ad1…第2の範囲
Am…範囲Ad0から範囲Ad1への移動を表す矢印
Amm…表示される画像の移動を表す矢印
Ams…表示パネル202上の表示において参考画像F1の移動を示す矢印
Dc0…範囲Ad0の中心
Dc1…範囲Ad1の中心
F0…第1の参考画像
F1…第2の参考画像
Fi…背景画像Ibが表示される領域
INT…インターネット
Ib…背景画像
It…移行画像
Ma…表示パネル202上に表示されている地図の範囲を含むより広い範囲の地図
Pf1…ユーザが表示パネルに接触した位置
Pf2d…ユーザが表示パネルから指を離した位置
R01〜R03…道路
Rv01…川
Sw01…移動操作を示す矢印

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを有するディスプレイと、
前記ディスプレイの表示を制御する表示制御部と、を備えた画像表示装置であって、
前記表示制御部は、
前記ディスプレイ上に第1の範囲の画像を表示されている状態において行われる、画面表示をスクロールするスクロール操作に応じて、第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示させることができ、
前記第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係を示す位置関係画像を前記ディスプレイ上に表示させることができる、画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置であって、
前記位置関係画像は、前記第1の範囲を表す第1の参考画像と、前記第2の範囲を表す第2の参考画像とを、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係にしたがって、前記ディスプレイ上に同一の縮尺で表す画像である、画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置であって、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記ディスプレイの少なくとも一部の範囲において、前記第1の範囲の画像および前記第2の範囲の画像に対して、明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が低い背景画像を表示し、
前記第1と第2の参考画像を、前記背景画像が表示されている範囲内において、前記背景画像よりも明度の最大値と彩度の最大値の少なくとも一方が高い画像として表示する、装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置であって、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記第1の範囲から前記第2の範囲に表示範囲が移行するように、前記第1の範囲と前記第2の範囲を結ぶ範囲の画像を、前記ディスプレイ上に表示し、
前記背景画像を表示する際には、
前記背景画像として、前記ディスプレイの少なくとも一部の前記範囲において、前記第1の範囲の画像および前記第2の範囲の画像に対して、対応する画像部分の明度と彩度の少なくとも一方が低い画像で、前記第1の範囲と前記第2の範囲を結ぶ範囲の画像を表示する、装置。
【請求項5】
請求項4記載の装置であって、
前記表示制御部は、前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する際には、
前記第1の範囲と前記第2の範囲との距離は、前記第1の範囲の画像が表示される際の縮尺で表した場合に、前記スクロール操作の操作量の4〜6倍となる距離であり、
前記第1の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記背景画像は、0.61倍〜0.64倍の大きさであり、
前記第1の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第1の参考画像は、0.11倍〜0.14倍の大きさであり、
前記第2の範囲の画像が表示されるディスプレイ上の範囲に対して、前記第2の参考画像は、0.11倍〜0.14倍の大きさであるように、
前記第1と第2の参考画像を前記ディスプレイ上に表示する、装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の装置であって、
前記表示制御部は、さらに、
前記第1の範囲の画像が表示されている状態において、画面表示をスクロールさせる操作であって前記スクロール操作よりも前記タッチパネルに接触する時間が長いドラッグ操作に応じて、前記第1と第2の参考画像の表示を行わずに、前記第1の範囲とは異なる第3の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示することができ、
前記第3の範囲と前記第1の範囲との距離の前記ドラッグ操作の操作量に対する比は、前記第2の範囲と前記第1の範囲との距離の前記スクロール操作の操作量に対する比よりも小さい、装置。
【請求項7】
タッチパネルを備えたディスプレイ上に画像を表示する方法であって、
(a)前記ディスプレイ上に第1の範囲の画像を表示されている状態において行われる、画面表示をスクロールするスクロール操作に応じて、第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示する工程と、
(b)前記第2の範囲の画像を表示する際に、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係を示す位置関係画像を前記ディスプレイ上に表示する工程と、を含む方法。
【請求項8】
タッチパネルを備えたディスプレイを備えたコンピュータにおいて前記ディスプレイ上に画像を表示させるためのコンピュータプログラムであって、
前記ディスプレイ上に第1の範囲の画像を表示されている状態において行われる、画面表示をスクロールするスクロール操作に応じて、第2の範囲の画像を前記ディスプレイ上に表示する第1の機能と、
前記第2の範囲の画像を表示する際に、前記第1の範囲と前記第2の範囲の位置関係を示す位置関係画像を前記ディスプレイ上に表示する第2の機能と、
をコンピュータに実現させることができる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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