説明

画像表示装置、画像表示方法、およびコンピュータプログラム

【課題】ユーザが入力動作を行うに当たって、入力動作の方向に細心の注意を払わなくとも、ユーザが望む制御を出力画像について行うことができるようにする。
【解決手段】ユーザの連続的な入力動作Sw01を受け取り、入力動作Sw01に応じて出力部の表示を制御する。その際、あらかじめ定められた原基準方向U0と、原基準方向U0に対して90度または180度をなす方向U1〜U3と、を含む複数の基準軸方向U0〜U3のいずれかに対して、入力動作の始点Pf1から終点Pf2に向かう方向である入力方向D01が、所定のしきい値角度Θth未満の角度をなす場合に、入力方向に対してΘth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向(たとえばU3)に沿って入力動作Sw02が行われた場合と同じ制御Am1を、出力部の表示について行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示する範囲を変えて画像を表示するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネルに画像が表示されている状態において、ユーザが指やスタイラスペンでタッチパネル上の1点に接触し、タッチパネルに接触した状態で素早く指を動かすと、ユーザがタッチパネルから指やスタイラスペンを離した後も、ユーザが指を動かした方向に沿って画像が送られるように、タッチパネル上の画像を変化させる技術が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−332373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのような技術を使用して、画像の一部の領域を表示させた状態から表示範囲を移動させて、それまで表示されていた領域とは異なる領域の画像をタッチパネルに表示させる場合、ユーザは、正確に水平方向に表示範囲を移動させたり、正確に垂直方向に表示範囲を移動させたい場合がある。
【0005】
しかし、タッチパネルに接触させた指やスタイラスペンを厳密に水平方向に動かしたり、垂直方向に動かしたりすることは困難である。よって、画像がより長い距離だけ送られるほど、ユーザが望んだ表示範囲とは異なる範囲が表示される可能性が大きくなる。このような問題は、ユーザが機器に対して行う入力動作の向きに応じて、出力する画像を制御する技術において、広く存在する。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、ユーザが入力動作を行うに当たって、入力動作の方向に細心の注意を払わなくとも、ユーザが望む制御を出力画像について行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]
タッチパネルにより入力された情報に対応する画像を表示する画像表示装置であって、
タッチパネルに接触する接触部分を移動させる操作による入力動作による入力情報を受け取る入力部と、
前記入力動作に応じて出力部の表示を制御することができる制御部と、を備え、
前記制御部は、あらかじめ定められた方向を特定する際に基準となる原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記基準軸方向と始点から終点までの前記入力動作により特定される入力方向の角度が、しきい値角度Θth(Θth<45)未満の角度をなす場合に、前記基準軸方向となる特定基準軸方向に前記入力動作が行われたとして方向を特定することを特徴とする画像表示装置である。
【0009】
このような態様とすれば、ユーザが入力動作を行うにあたって、入力動作の方向に細心の注意を払わなくとも、ユーザが望む制御を出力画像について行うことができる。
【0010】
なお、上記適用例1において、さらに以下のような構成とすることも好ましい。
前記制御部は、表示されている第1の部分画像上で前記入力動作が行われた場合、入力方向により設定された方向と180度をなす方向となる第2の部分画像を表示する。
【0011】
さらに、上記の態様において、画像は地図を表す画像であることが好ましい。
【0012】
[適用例2]
画像表示装置であって、
ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取ることができる入力部と、
画像を表示することができる出力部と、
前記入力動作による指示に応じて前記出力部の表示を制御することができる制御部と、を備え、
前記制御部は、あらかじめ定められた原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記入力動作の始点から終点に向かう方向である入力方向が、所定のしきい値角度Θth(たとえば、Θth<45度)未満の角度をなす場合に、前記入力方向に対してΘth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向に沿って前記入力動作が行われた場合と同じ制御を、前記出力部の表示について行い、
前記しきい値角度Θthは、最も小さい角度をなす一対の基準軸方向がなす角度の1/2以下である、画像表示装置である。
【0013】
このような態様とすれば、ユーザは、入力部に対する入力動作を行うに当たって、入力動作の方向に細心の注意を払わなくとも、いずれかの基準軸方向に厳密に沿った入力操作が行われた場合と同様に、自らが望む表示の制御を行うことができる。
【0014】
なお、特定基準軸方向は、以下のように定めることができる。すなわち、入力動作による入力方向と各基準軸方向とがなす角度を特定し、その角度が最小である基準軸方向を、特定基準軸方向とすることができる。
【0015】
なお、入力動作による指示に応じて行う表示の制御は、様々な態様とすることができる。たとえば、入力動作の操作量および向きに応じて、画像が移動するように表示を改変する制御とすることができる。その際、基準軸方向についての入力動作の操作量と同じ量だけ画像が移動するように表示を改変する制御とすることもでき、基準軸方向についての入力動作の操作量のCr倍(Cr>1)だけ画像が移動するように表示を改変する制御とすることもできる。
【0016】
また、原基準方向を、X軸の正方向としたとき、基準軸方向は、X軸の負方向、Y軸の正方向、Y軸の負方向の少なくとも一部を含むことができる。また、入力部が3次元的な入力動作による指示を受け取ることができ、出力部が3次元画像を表示できる場合には、基準軸方向は、さらに、Z軸の正方向、Z軸の負方向を含むことができる。
【0017】
[適用例3]
適用例2載の画像表示装置において、
前記出力部は、ディスプレイであり、
前記入力部は、前記ディスプレイに設けられたタッチパネルであり、
前記制御部は、全体画像の一部である第1の部分画像を前記出力部に表示させている状態において、前記入力動作が行われた場合に、前記全体画像の他の一部である第2の部分画像を前記出力部に表示させ、
前記原基準方向は、前記第1の部分画像を前記出力部に表示させている状態における表示の上方向であり、
前記第2の部分画像は、前記全体画像中において、前記第1の部分画像に対して、前記特定基準軸方向と180度をなす方向に位置する部分画像であり、前記第1の部分画像に対して、前記入力動作の前記始点と前記終点の位置関係に応じて定められる距離だけ離れた位置にある、画像表示装置とすることが好ましい。
【0018】
このような態様とすれば、ユーザは、厳密な入力動作を行わなくとも、全体画像のうち出力部に表示させる画像を、たとえば、上下左右の互いに直交する向きに沿って正確に移動させることができる。
【0019】
なお、全体画像と部分画像との関係は、たとえば、文書の全体と一部の関係とすることもできる。また、広い範囲の地図と、その地図に含まれる一部の範囲の地図との関係とすることもできる。
【0020】
[適用例4]
適用例3の画像表示装置において、前記全体画像は、地図を表す画像とすることができる。
【0021】
地図の画像を表示させる際には、ユーザは、表示の上下左右(たとえば、進行方向が上)や、地図の東西南北など、あらかじめ定められた直交方向に地図画像を移動させたいと考えることが多い。このため、上記のような態様において、適用例3のような構成とすることが特に好ましい。
【0022】
[適用例5]
適用例3または適用例4の画像表示装置において、
前記第2の部分画像は、前記全体画像中において、前記第1の部分画像に対して、少なくとも前記特定基準軸方向について、前記入力動作の前記始点と前記終点の間の距離のCr倍(Cr>1)だけ離れた位置にある、態様とすることができる。
【0023】
このような態様においては、少なくとも特定基準軸方向について、入力動作の操作量を上回る距離だけ出力部における部分画像の表示範囲が移動する。このため、表示範囲が、たとえば上下左右などのあらかじめ定められた向きに沿って正確に移動されることによって、入力動作前後の互いに離れた部分画像の位置関係をユーザがより理解しやすくなる。
【0024】
なお、「少なくとも特定基準軸方向について、〜だけ離れた位置」とは、その位置が、特定基準軸方向にある位置である場合と、特定基準軸方向と180度をなす方向にある位置である場合と、の両方を含む。なお、本明細書において、ある方向に沿った距離について述べる場合、同様である。
【0025】
[適用例6]
適用例2ないし適用例5のいずれかの画像表示装置において、
前記複数の基準軸方向は、さらに、前記原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、に対して、45度をなす方向を含み、
前記しきい値角度Θthは、22.5度未満の角度である、態様とすることが好ましい。
【0026】
このような態様とすれば、ユーザは、厳密な入力動作を行わなくとも、全体画像のうち出力部に表示させる画像を、たとえば、上下左右の向きおよび右上45度、右下45度、左上45度、左下45度などの、互いに45度をなす基準軸方向に沿って正確に移動させることができる。
【0027】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像表示方法および画像表示装置、地図表示方法および地図表示装置、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施例である地図表示システムのハードウェア構成を示す図。
【図2】本実施例において地図を表示する際の携帯電話200の処理を示すフローチャート。
【図3】ステップS50における判定の内容の一例を示す図。
【図4】ステップS10で表示される地図の範囲の例Ad0と、ステップS70で表示される地図の範囲の例Ad1,Ad2の位置関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
A.実施例:
A1.全体構成:
図1は、本発明の第1実施例である地図表示システムのハードウェア構成を示す図である。第1実施例の地図表示システムは、携帯電話200と、サーバ170と、を含む。
【0030】
携帯電話200は、表示パネル202と、音声出力部203と、振動機構204と、通信部205と、コマンド入力部206と、時計部209と、主制御部210と、通話制御部220とを有している。
【0031】
表示パネル202は、2次元の画像を表示することができる液晶ディスプレイ202aを備える。また、表示パネル202は、表示している画像に応じてパネルの一部に接触されることによりユーザからの指示を受けとることができるタッチパネル202bを備えている。具体的には、表示パネル202は、液晶ディスプレイ202aの上に透明のタッチパネル202bが重ねられて構成される。ユーザは、たとえば、表示パネル202の表面を指で押したり、表示パネル202の表面に接触した状態で連続的に指を動かすことにより、画像の表示を制御するための操作を行うことができる。
【0032】
なお、本明細書において、「画像」とは、狭義の画像のほか、文字、記号等を含む概念である。たとえば、「画像」は、PDFなどの各主のフォーマットで表現された文書も含む。すなわち、本明細書において、「画像」とは、2次元で表現できる任意の対象を含む。本実施例では、画像の例として地図を採用して技術内容を説明する。しかし、たとえば、文書データの一部のみを画面に表示し、移動操作に応じて他の一部を表示するような場合にも、この技術を適用することができる。
【0033】
なお、表示パネル202としては、感圧式、静電方式など、様々な方式のタッチパネルを採用することができる。たとえば、「抵抗膜方式(アナログ抵抗膜方式)」、「静電容量方式」、ガラスなどの表面を物理的な振動として伝播する表面弾性波を使用した「超音波表面弾性波方式」、ガラス表面を伝播する音響波を利用してタッチ位置を検出する「音響パルス認識方式」、タッチ面のタッチによる物理的な振動を検出し位置を求める「振動検出方式(DST)」、表示パネルの表面周囲の縦壁および横壁に発光部と受光部とを設け光が遮られた部分を検出する「赤外線遮光方式」、磁界を発生できる特別なペンによりタッチすることでパネル側でその電磁エネルギーを受け取りペンの位置を検出する「電磁誘導方式」、画面近くの主にコーナーに配置された複数個のイメージセンサでタッチする指などの画像を撮影しその画像解析結果からタッチ位置とタッチしたことを判断する「画像認識方式」、静電容量が変化する物体がセンサ電極に近接すると電極の静電容量が増加する特性を利用した「静電センサ方式」、LCD自体が直接イメージセンサとなる「光センサ内蔵LCD方式」など、様々な方式を採用することができる。
【0034】
コマンド入力部206は、ハードウェアとしてのカーソルキー206bを含む。ユーザは、タッチパネル202bを備える表示パネル202だけでなく、カーソルキー206bの周辺部を押してカーソルを移動させ、カーソルキー206bの中央部を押してONの操作を行うことによっても、携帯電話200に情報を入力することができる。
【0035】
音声出力部203は、スピーカを含む装置であって、経路案内などのユーザへのメッセージやメロディなどを音声で出力できる装置である。振動機構204は、所定のパターンの振動でユーザの注意を促すことができる装置である。
【0036】
通信部205は、通信ネットワークとしてのインターネットINTを介して、サーバ170と通信を行い、情報を送受信することができる。なお、通信ネットワークとしては、インターネットのほかにLANやWAN、公衆回線等がある。通話制御部220は、通話のための着信呼出、音声/電気信号の変換などを行う回路である。時計部209は、主制御部210からの要求に応じて、現在時刻を表す現在時刻情報を出力する。
【0037】
主制御部210は、携帯電話200の各部を制御するための制御ユニットである。主制御部210は、それらの制御に使用されるCPU211、RAM212、ROM213を備えている。例えば、主制御部210は、CPUでアプリケーションソフトウェア230を実行することによって携帯電話200の各部を制御して様々な処理を行わせることができ、また、携帯電話200からサーバ170に情報を送信してサーバ170に様々な処理を行わせることができる。
【0038】
サーバ170は、通信部172と、制御部174と、記憶部176とを有している。記憶部176は、地図データベース178を格納している。サーバ170は、通信部172およびインターネットINTを介して、携帯電話200と通信を行うことができる。サーバ170の制御部174は、携帯電話200から受け取ったデータ要求に基づいて、地図データベース178内の地図画像データを参照して、携帯電話200が要求する領域の地図を表す地図画像データを切り出す。そして、切り出した地図画像データを、通信部172を介して、携帯電話200に送信する。
【0039】
なお、本実施例における表示パネル202の液晶ディスプレイ202aが、画像を表示することができる「出力部」に相当する。表示パネル202のタッチパネル202bが、ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取ることができる「入力部」に相当する。主制御部210が、入力動作による指示に応じて出力部の表示を制御することができる「制御部」に相当する。
【0040】
A2.地図の表示:
図2は、本実施例において地図を表示する際の携帯電話200(より具体的には主制御部210)の処理を示すフローチャートである。ステップS10では、携帯電話200の主制御部210は、表示パネル202上にある範囲の地図を表示する。ステップS10で表示される地図は、表示パネル202上にその全体を表示することができないより広い地図(たとえば、日本全体の地図)の一部とすることができる。ここでは、ステップS10で示す地図画像は、広域地図Maの一部である。
【0041】
図2のステップS20では、携帯電話200の主制御部210は、ユーザがタッチパネルに接触し接触状態を保って連続的に接触部分を移動させる操作(本明細書において「移動操作」という)を行ったか否かを判定する。移動操作が行われた場合には、処理はステップS30に進む。移動操作が行われていない場合には、処理はステップS10に戻り、引き続き同じ地図が表示パネル202に表示される。なお、本実施例では説明を省略するが、タッチパネル202bやカーソルキー206bを通じて移動操作以外の指示が入力された場合には、携帯電話200の主制御部210において、それらの指示に応じて処理が行われる。
【0042】
図1において、ユーザが行う移動操作の例を示す。ここでは、ユーザは、まず、表示パネル202(タッチパネル202b)の位置Pf1に指で接触したものとする。そして、ユーザは、表示パネル202に接触した状態を保って連続的にその指を移動させ(矢印Sw01参照)、位置Pf2で表示パネル202から指を離したものとする。そして、その間に要した時間は0.2秒であったものとする。このように、比較的短い時間で行われる移動操作を、本明細書において「スイープ操作」と呼ぶ。これに対して、スイープ操作よりも長い時間で行われる移動操作を、本明細書において「ドラッグ操作」と呼ぶ。
【0043】
図2のステップS30では、主制御部210は、移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Tht(たとえば、0.5秒)より小さかったか否かを判定する。移動操作が行われた時間tsは、表示パネル202から得られるユーザによる表示パネル202の接触の有無の情報と、時計部209から得られるユーザによる表示パネル202の接触の開始および終了の時刻の情報と、に基づいて、主制御部210が計算する。
【0044】
移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Thtより小さい場合には(ステップS30:Yes)、処理はステップS40に進む。移動操作が行われた時間tsが所定のしきい値Tht以上であった場合には(ステップS30:No)、処理は終了する。なお、ステップS30で行われる判定は、ユーザが行った移動操作が、スイープ操作であるのか(ステップS30:Yes)、ドラッグ操作であるのか(ステップS30:No)の判定である。ユーザが行った移動操作がドラッグ操作である場合には、図2の処理は終了し、図2の処理以外の処理で地図が表示される。上述のように、移動操作に要した時間が0.2秒であれば、処理はステップS40に進む。
【0045】
ステップS40では、主制御部210は、移動操作の移動量dsが所定のしきい値Thsより大きいか否かの判定を行う。ここでは、Thsは、たとえば、タッチパネル202bの横幅Wの1/20とする。ただし、Thsは、Wの1/10など、他の値であっても良い。
【0046】
主制御部210は、接触部Pf1の代表点の位置の情報(x1,y1)と接触部Pf2の代表点の位置の情報(x2,y2)を表示パネル202から得て、以下の式にしたがって両者の距離dsを計算することができる。なお、接触部Pf1の代表点と接触部Pf2の代表点は、たとえば、それぞれの接触部の重心とすることもでき、接触部のうち他方の接触部に最も近い点とすることもできる。各接触部の位置情報を表す際のy軸の正方向は、図2のステップS10で地図を表示した際の地図表示の上方向U0である。x軸の正方向は、ステップS10で地図を表示した際の右の方向である。
【0047】
【数1】

【0048】
移動操作の移動量がしきい値Ths以下であった場合には(ステップS40:No)、処理は終了する。この場合には、移動操作に応じて、図2の処理以外の処理が行われる。移動操作の移動量がしきい値Thsより大きい場合には(ステップS40:Yes)、処理はステップS50に進む。
【0049】
ステップS50では、移動操作のx軸方向に沿った変位dxmと、y軸方向に沿った変位dymの比の絶対値R1,R2を以下の式に従って計算する。
【0050】
【数2】

【0051】
そして、主制御部210は、R1とR2のいずれかがThrより大きいか否かを判定する。R1とR2のいずれかがThrより大きい場合には、処理はステップS60に進む。R1とR2のいずれもがThr以下である場合には、処理はステップS70に進む。ここでは、たとえば、Thr=4である。
【0052】
図3は、ステップS50における判定の内容の一例を示す図である。図3の中央部に移動操作の開始位置Pf1(図1参照)を示す。図3において、ハッチで示す4方向の範囲Da0〜Da3は、R1とR2のいずれかがThrより大きい範囲である(図2のステップS50参照)。R1=|dym/dxm|がThr(本実施例において4)より大きい範囲は、上方向U0に対してプラスマイナスΘthの範囲、ならびに下方向U1に対してプラスマイナスΘthの範囲である。R2=|dxm/dym|がThrより大きい範囲は、右方向U2に対してプラスマイナスΘthの範囲、ならびに左方向U3に対してプラスマイナスΘthの範囲である。なお、ここでは、時計回りの方向をプラスの方向とする。
【0053】
本実施例では、ステップS50におけるしきい値Thrが4であることから、Θthは、タンジェント(tan)が1/Thr=0.25の角度、すなわち、atan(0.25)=約14.0度である。この角度は、最も小さい角度をなす一対の基準軸方向(たとえば、x軸の正方向とy軸の正方向)がなす角度である90度の1/2以下である。なお、図3では、技術の理解を容易にするために、ハッチで示す範囲Da0〜Da3は有限の範囲として示している。しかし、R1とR2のいずれかがThrより大きい範囲は、各方向について無限に延びている。
【0054】
ステップS50で行われる判定は、実質的には、移動操作の始点から終点に向かう入力方向が、基準軸方向U0〜U3に対して所定のしきい値角度Θth(本実施例では、Θthは、約14.0度)未満の角度をなす方向であるか否かの判定である。図3において、移動操作の始点の例は中央の接触部Pf1である。移動操作の終点の例は接触部Pf2,Pf3である。それらの例における入力方向を、図3において一点鎖線D01,D03で示す。なお、ステップS50の処理を実行する主制御部210の機能部を、判定部231として図1に示す。
【0055】
図2のステップS60では、主制御部210は、変位dxmとdymのうち、絶対値の小さい方の値を0に改変する。そして、移動操作の終点のx軸方向とy軸方向と位置情報のうち、変位が小さい方の位置情報を、始点と同じ値にする。すなわち、|dxm|<|dym|である場合には、接触部Pf2の代表点のx軸方向の位置情報として得られたx2を、接触部Pf1の代表点のx軸方向の位置情報x1と同じ値に置き換える。|dxm|>|dym|である場合には、接触部Pf2の代表点のy軸方向の位置情報として得られたy2を、接触部Pf1の代表点のx軸方向の位置情報y1と同じ値に置き換える。
【0056】
たとえば、図3の移動操作Sw01の例では、接触部Pf2は、接触部Pf1に対して左側にあるハッチの範囲Da3内に位置する(S50:Yes)。このとき、|dxm|>|dym|である。よって、終点のy軸方向の位置情報y2がy1に置き換えられる。この処理は、接触部Pf2の位置を、Pf2aで示す位置(x2,y2a)、すなわち(x2,y1)に置き換えることに等しい。位置(x2,y2a)のy軸方向の位置は、接触部Pf1のy軸方向の位置y1と同じである(y2a=y1)。その結果、以降のステップS70の処理は、接触部の位置Pf1から位置Pf2aに向かう移動操作Sw02が行われた場合と同様に行われる。なお、ステップS60の処理を実行する主制御部210の機能部を、入力情報改変部232として図1に示す。
【0057】
一方、図2のステップS50において、R1とR2のいずれもがThr以下である場合には、処理はステップS60をスキップして、ステップS70に進む。この場合の例として、図3に移動操作Sw03を示す。移動操作Sw03は、接触部Pf1から接触部Pf3に向かって行われた移動操作である。この場合は、移動操作の終点である接触部Pf3の位置情報(x3,y3)が、以下のステップS70の処理でそのまま使用される。
【0058】
ステップS70では、ステップS10で表示パネル202上に表示されていた地図の範囲Ad0に対して、(−Cr×dxm,−Cr×dym)の位置にある範囲Ad1の地図が表示される。すなわち、ステップS10で表示されていた地図の範囲Ad0からステップS70で表示される地図の範囲Ad1に向かうベクトルAmは、(dxm,dym)で示される移動操作の変位のベクトルに対して、180度の向きをなし、かつ大きさがCr倍のベクトルである(Cr>1)。なお、ここでは、Crは、たとえば「5」である。ステップS70で表示される地図は、日本全体の地図などのより広い地図の一部であって、ステップS10で表示される地図とは異なる範囲の地図である。なお、ステップS70の処理を実行する主制御部210の機能部を、画像改変部233として図1に示す。
【0059】
このように、ユーザによる移動操作の向きと180度をなす向きに画像の表示範囲を移動させることにより、ユーザは、自分が地図の画像を指ではじいて送ったように感じる。このため、ユーザは、直感的に地図画像の表示範囲を操作することができる。
【0060】
図4は、図2のステップS10で表示される地図の範囲の例Ad0と、ステップS70で表示される地図の範囲の例Ad1,Ad2の位置関係を示す図である。図4に示す広域地図Maにおいて、R01〜R04は、道路である。Pc1〜Pc3は、ビルなどの施設である。Rv01は、川である。なお、ステップS10で表示される地図の範囲の例Ad0内に、移動操作の例Sw01,Sw03を示す。
【0061】
図2のステップS20で検知された移動操作が、たとえば、移動操作Sw01である場合には、ステップS60でy軸方向の変位dym=0とされ、y2はy1に置き換えられる(図3参照)。その結果、ステップS10における表示範囲Ad0からステップS70における表示範囲Ad1に向かうベクトルAm(−Cr×dxm,−Cr×dym)は、Am1(−5×dxm,0)となる。ここで、移動操作Sw01は、左方向U3の移動操作であるから(すなわち、dxm<0)、ステップS70で表示される地図の範囲Ad1は、図4に示すように、右方向U2に、dxmの絶対値の5倍の距離Lm1にある範囲である。図4において、範囲Ad0の中心点をDc0で示し、範囲Ad1の中心点をDc1で示す。また、移動操作Sw01の場合のdxmをdxm1で示し、dymをdym1で示す。移動操作Sw01に対応する表示範囲の移動のベクトルをAm1で示す。
【0062】
一方、図2のステップS20で検知された移動操作が、たとえば、移動操作Sw03である場合には、ステップS60の処理は行われない。その結果、ステップS10における表示範囲Ad0からステップS70における表示範囲Ad2に向かうベクトルAm2は、接触部Pf2の位置情報(x2,y2)をそのまま利用した(−Cr×dxm,−Cr×dym)となる。ここで、移動操作Sw03は、左下方向の移動操作であるから、ステップS70で表示される地図の範囲Ad2は、右上方向に、接触部Pf1とPf3の距離の5倍の距離Lm2にある範囲である。図4において、範囲Ad2の中心点をDc2で示す。
【0063】
すなわち、本実施例においては、ユーザの移動操作が、上方向U0、下方向U1、右方向U2、左方向U3の近傍の所定の範囲の向きの操作である場合には(図3の範囲Da0〜Da3、ならびに移動操作Sw01参照)、それぞれ、その移動操作の向きに近い上下左右のいずれかの基準軸方向に移動操作が行われたものとして、画像の表示範囲が決定される。移動操作が上下左右の各方向に近い向きに行われる場合には、ユーザは、上下左右のいずれかの方向に表示範囲を移動させたいと考えている場合が多い。よって、本実施例によれば、そのような場合に、ユーザは、正確に上下左右の方向に移動操作を行わなくても、正確に、望ましい方向、すなわち、上下左右の方向に沿って地図画像をスクロールさせることができる。
【0064】
一方、ユーザによる移動操作が、上方向U0、下方向U1、右方向U2、左方向U3の近傍の所定の範囲の向きではない移動操作である場合には、本実施例では、その移動操作の向きに従って、画像の表示範囲が決定される(たとえば、図3のSw03、ならびに図4のSw03,Am2参照)。移動操作が上下左右の各方向からある程度離れた向きに行われる場合には、ユーザは、実際にその移動操作の向きに画像の表示範囲を移動させたいと考えている場合が多い。よって、本実施例によれば、そのような場合に、ユーザの位置に忠実に地図画像をスクロールさせることができる。
【0065】
なお、本実施例におけるステップS20が、ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取る工程に相当する。ステップS30〜S70が、入力動作による指示に応じて出力部の表示を制御する工程に相当する。移動操作が、連続的な入力動作に相当する。
【0066】
B.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0067】
B2.変形例2:
上記実施例においては、ユーザが行う入力動作は、タッチパネルを通じて行うスイープ操作(移動操作)である。しかし、ユーザが行う入力動作は、他の動作とすることもできる。たとえば、入力部としてマウスやトラックボールを備える態様においては、マウスやトラックボールの所定のボタンを押し続けながら、マウスを移動させまたはトラックボールを回転させて、表示部に表示されたカーソルをマウスやトラックボールで移動させる操作を行うドラッグ操作を、入力動作とすることもできる。また、タッチパネルは、ディスプレイと別体で設けられていてもよい。
【0068】
また、入力部は、3次元的な入力動作による指示を受け取ることができる構成とすることができる。そのような態様において、たとえば、入力機器の少なくとも一部が3次元の位置を認識できるものである場合には、その入力機器の所定のボタンを押し続けながら、その入力機器の少なくとも一部を3次元空間において移動させる操作とすることもできる。なお、そのような態様においては、出力部は、3次元画像を表示できる構成とすることが好ましい。
【0069】
すなわち、入力部は、ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取ることができるものであればよい。ただし、入力部は、入力情報都として位置情報の入力を受け取ることができるものであることが好ましい。
【0070】
B3.変形例3:
【0071】
上記実施例においては、入力動作としての移動操作の方向が、基準軸方向の近傍の方向であるか否かは、x軸方向の変位量とy軸方向の変位量の比R1,R2を使用して判定される。しかし、具体的な処理においては、基準軸方向の近傍の方向であるか否かのしきい値は、度(degree)やラジアン等の単位で表される角度Θthで定めてもよいし、三角関数で定めてもよい。しきい値を三角関数で定めるとは、たとえば、tan(Θth)=0.25であるように、しきい値の角度Θthを定める、などである。なお、tan(Θth)=0.25となるΘthは、約14.0度である。
【0072】
ただし、実質的なしきい値となる角度Θthは、最も方向が近い一対の基準軸方向(たとえば、2次元においては、x軸の正方向とy軸の正方向)がなす角度の1/2以下であることが好ましい。さらには、実質的なしきい値となる角度Θthは、最も方向が近い一対の基準軸方向がなす角度の1/3以下であることがより好ましく、1/4以下であることがさらに好ましい。
【0073】
上記実施例では、基準軸方向は、360度を4等分する4方向である。しかし、基準軸方向は、より多く設定したり、少なく設定したりすることができる。基準軸方向は、平面内で360度をN等分するN個の方向(Nは、2以上の整数)を含むことが好ましい。ただし、基準軸方向が多くなるほど、しきい値角度Θthは、小さく設定することが好ましい。すなわち、しきい値角度Θthは、最も小さい角度をなす二つの基準軸方向がなす角度の1/2以下であることが好ましい。そのような態様とすれば、入力動作がその方向に行われたものとして入力情報を改変すべき基準軸方向を、一義的に定めることができる。
【0074】
なお、入力された位置情報の置き換え(図2のステップS60)が行われる角度範囲は、入力動作が2次元の場合は、高さが不定の扇状または二等辺三角形で表される(図3のDa0〜Da3参照)。一方、入力動作が3次元の場合は、入力された位置情報の置き換えが行われる角度範囲は、基準軸方向を中心とする高さが不定の円錐状の範囲で表される。
【0075】
B4.変形例4:
上記実施例においては、基準軸方向U0〜U3は、互いに直交する方向である。しかし、基準軸方向は、他の方向とすることもできる。たとえば、基準軸方向の集合は、互いに直交する方向に加えて、たとえば、互いに直交する2個の基準軸方向がなす角度を45度ずつ2等分する方向を含むことができる。また、基準軸方向の集合は、互いに直交する方向に加えて、たとえば、互いに直交する2個の基準軸方向がなす角度を30度ずつ3等分する二つの方向を含むことができる。さらに、基準軸方向の集合は、平面内において360度をn等分するn個の方向とすることができる(nは2以上の整数)。
【0076】
上記実施例においては、基準軸方向は、最も近い方向の他の基準軸方向と90度をなす方向である。このため、ステップS60において、x軸方向の変位とy軸方向の変位のうち、絶対値が小さい方の変位が0に改変される。しかし、入力方向が基準軸方向の近傍である場合における処理(たとえば、図2のステップS60)は、他の方法で行われることもできる。
【0077】
また、たとえば、移動操作のベクトルV0を入力方向に最も近い基準軸方向(特定基準軸方向)に垂直に投影して得られるベクトルV1に、移動操作のベクトルV0を変換する処理を行うこともできる。また、移動操作のベクトルV0を大きさはそのままで特定基準軸方向に向きを変えて得られるベクトルV2に、移動操作のベクトルV0を改変する処理を行うこともできる。すなわち、入力方向が基準軸方向の近傍である場合における処理は、入力動作と、特定基準軸方向と、に基づいて行うことができる。それらの変換の処理としては、既知の様々な方法を採用することができる。そして、それらの変換の処理が行われた結果、特定基準軸方向に沿って前記入力動作が行われた場合と同じ制御が行われることが好ましい。
【0078】
B5.変形例5:
上記実施例においては、図2のステップS60の処理が行われた場合には、x軸方向の変位dxmか、y軸方向の変位dymかのいずれかが0とされるため、他方の変位(図4においてx軸方向の変位dxm1)に基づいて、地図の表示範囲の移動量Lm1が決定される。しかし、地図の表示範囲の移動量は、他の方法で決定することもできる。たとえば、移動操作の始点と終点の距離ds(式(1)参照)に基づいて、地図の表示範囲の移動量を決定することもできる。すなわち、画像の表示範囲の移動量は、少なくとも、入力動作の方向に対して所定値Θth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向について、入力動作の始点と終点の間の距離のCr倍(Cr>1)だけ離れた位置にある、態様とすることができる。いいかえれば、画像の表示範囲の移動量を決定するにあたって、特定基準軸方向に対して垂直な方向の変位量(図4の例においてdym1)が、考慮される態様とすることもできるし、考慮されない態様とすることもできる。
【0079】
また、上記実施例では、ステップS40〜S70における「移動操作の操作量」に対する「地図の移動量」の係数Crは、固定値「5」である。しかし、入力動作の操作量または入力動作のうちのある成分の量(図4の例においてx成分の変位量dxm1)に対する画像の移動量の係数Crは、スイープ操作の速度に応じて、変動する係数とすることもできる。図3の例では、主制御部210は、接触部Pf1の代表点と接触部Pf2の代表点の位置の情報を表示パネル202から得て、両者の距離を計算することができる。そして、主制御部210は、移動操作が行われた時間tsと移動操作の移動量とから、移動操作(スイープ操作)の速度を計算することができる。主制御部210は、移動操作の速度が大きいほど大きい値となるように、係数Crを定めることができる。たとえば、係数Crは、移動操作の速度範囲に応じて複数の固定値をとることができるように定められてもよいし、移動操作の速度を入力とする関数で定められてもよい。
【0080】
すなわち、表示する画像の移動量は、入力動作の始点と終点の位置関係(たとえば、相対位置関係)に基づいて定めることができる。
【0081】
B6.変形例6:
前記実施例において、ステップS30におけるしきい値Thtは0.5秒である。しかし、第1および第2の領域表示を行う処理を実行するか(図2のステップS40〜S70参照)、第1および第2の領域表示を行わない処理を実行するか(図2のステップS80参照)、の判断基準となるしきい値は、0.2秒や0.3秒、0.4秒など他の値とすることもできる。ただし、そのしきい値は0.3〜0.6秒であることが好ましく、0.45〜0.55秒であることがより好ましい。
【0082】
B7.変形例7:
サーバ170の地図データベース178内に格納されている画像データとしての地図画像データは、ラスタデータとして保持されていてもよいし、ベクトルデータとして保持されていてもよい。ユーザが携帯する端末装置としての携帯電話200に送信される地図画像データも、ラスタデータであってもよいし、ベクトルデータであってもよい。さらに、地図データベース178内の地図画像データと、端末装置に送信される地図画像データは、いずれか一方をベクトルデータとし、他方をラスタデータとすることもできる。
【0083】
B8.変形例8:
上記実施例においては、地図表示システムは、その構成要素として、サーバ170と携帯電話200とを含む。しかし、端末としての携帯電話200は、たとえば、電話機能を備えない機器としての、PDA(Personal Data Assistant)や、画像表示機能を備えた携帯型画像表示装置、ノート型のコンピュータなどとすることもできる。また、GPS(Global Positioning System/全地球測位システム)の衛星からの電波を受信する電波に基づいて、端末の現在位置を表す現在位置情報を生成することができるGPSユニットを備える端末とすることも好ましい。
【0084】
また、サーバ170は、一つのサーバであってもよいし、ネットワークで接続された複数のサーバで実現することもできる。すなわち、画像表示装置は、その各構成要素が一つの筐体内に収納されている一つの装置であってもよい。また、画像表示装置は、その構成要素が、互いにデータ通信回線で結ばれている2以上の装置として構成されるものとすることもできる。そして、画像表示装置が実現する各機能については、各装置に1以上の任意の機能を割り当てることができる。そして、各機能は、それぞれ一つの装置で実現されてもよく、2以上の装置が協働して実現してもよい。なお、2以上の構成要素が通信回線で結ばれている態様においては、ユーザに対して情報を出力する出力部は、ユーザに携帯されるものであることが好ましい。
【0085】
B9.変形例9:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、携帯電話200は、ハードウェアキーとしてのコマンド入力部206を備えない態様とすることもできる。
【0086】
このような機能を実現するコンピュータプログラムは、フロッピディスクやCD−ROM等の、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で提供される。ホストコンピュータは、その記録媒体からコンピュータプログラムを読み取って内部記憶装置または外部記憶装置に転送する。あるいは、通信経路を介してプログラム供給装置からホストコンピュータにコンピュータプログラムを供給するようにしてもよい。コンピュータプログラムの機能を実現する時には、内部記憶装置に格納されたコンピュータプログラムがホストコンピュータのマイクロプロセッサによって実行される。また、記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをホストコンピュータが直接実行するようにしてもよい。
【0087】
この明細書において、ホストコンピュータとは、ハードウェア装置とオペレーションシステムとを含む概念であり、オペレーションシステムの制御の下で動作するハードウェア装置を意味している。コンピュータプログラムは、このようなホストコンピュータに、上述の各部の機能を実現させる。なお、上述の機能の一部は、アプリケーションプログラムでなく、オペレーションシステムによって実現されていても良い。
【0088】
なお、この発明において、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD−ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。
【符号の説明】
【0089】
170…サーバ
172…通信部
174…制御部
176…記憶部
178…地図データベース
200…携帯電話
202…表示パネル
202a…液晶ディスプレイ
202b…タッチパネル
203…音声出力部
204…振動機構
205…通信部
206…コマンド入力部
206b…カーソルキー
209…時計部
210…主制御部
211…CPU
212…RAM
213…ROM
220…通話制御部
230…アプリケーションソフトウェア
Ad0…ステップS10における地図の表示範囲
Ad1…移動操作Sw01が行われた場合のステップS70における地図の表示範囲
Ad2…移動操作Sw03が行われた場合のステップS70における地図の表示範囲
Am1…地図の表示範囲Ad0から地図の表示範囲Ad1に向かうベクトル
Am2…地図の表示範囲Ad0から地図の表示範囲Ad2に向かうベクトル
Da0…上方向U0に対してプラスマイナスΘthの範囲の方向を表す部分
Da1…上方向U1に対してプラスマイナスΘthの範囲の方向を表す部分
Da2…上方向U2に対してプラスマイナスΘthの範囲の方向を表す部分
Da3…上方向U3に対してプラスマイナスΘthの範囲の方向を表す部分
INT…インターネット
Lm1…地図の表示範囲Ad0と地図の表示範囲Ad1の距離
Lm2…地図の表示範囲Ad0と地図の表示範囲Ad2の距離
Ma…広域地図
Pf1…移動操作の開始時の接触部
Pf2,Pf31…移動操作の終了時の接触部
Pf2a…位置情報を置き換えられた接触部
Sw01,Sw02…移動操作
U0…上方向(基準軸方向)
U1…下方向
U2…右方向
U3…左方向
ds…移動操作おける移動量
dxm1…x軸方向(U2)に沿った地図範囲Ad0から地図範囲Ad1への変位
dym1…y軸方向(U0)に沿った地図範囲Ad0から地図範囲Ad1への変位
ts…移動操作が行われた時間
Θth…ステップS60の処理の対象となる移動操作の角度範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルにより入力された情報に対応する画像を表示する画像表示装置であって、
タッチパネルに接触する接触部分を移動させる操作による入力動作による入力情報を受け取る入力部と、
前記入力動作に応じて出力部の表示を制御することができる制御部と、を備え、
前記制御部は、あらかじめ定められた方向を特定する際に基準となる原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記基準軸方向と始点から終点までの前記入力動作により特定される入力方向の角度が、しきい値角度Θth(Θth<45)未満の角度をなす場合に、前記基準軸方向となる特定基準軸方向に前記入力動作が行われたとして方向を特定することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像表示装置であって、
ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取ることができる入力部と、
画像を表示することができる出力部と、
前記入力動作による指示に応じて前記出力部の表示を制御することができる制御部と、を備え、
前記制御部は、あらかじめ定められた原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記入力動作の始点から終点に向かう方向である入力方向が、所定のしきい値角度Θth未満の角度をなす場合に、前記入力方向に対してΘth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向に沿って前記入力動作が行われた場合と同じ制御を、前記出力部の表示について行い、
前記しきい値角度Θthは、最も小さい角度をなす一対の基準軸方向がなす角度の1/2以下である、画像表示装置。
【請求項3】
請求項2記載の画像表示装置であって、
前記出力部は、ディスプレイであり、
前記入力部は、前記ディスプレイに設けられたタッチパネルであり、
前記制御部は、全体画像の一部である第1の部分画像を前記出力部に表示させている状態において、前記入力動作が行われた場合に、前記全体画像の他の一部である第2の部分画像を前記出力部に表示させ、
前記原基準方向は、前記第1の部分画像を前記出力部に表示させている状態における表示の上方向であり、
前記第2の部分画像は、前記全体画像中において、
前記第1の部分画像に対して、前記特定基準軸方向と180度をなす方向に位置する部分画像であり、
前記第1の部分画像に対して、前記入力動作の前記始点と前記終点の位置関係に応じて定められる距離だけ離れた位置にある、画像表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の画像表示装置であって、
前記全体画像は、地図を表す画像である、画像表示装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の画像表示装置であって、
前記第2の部分画像は、前記全体画像中において、前記第1の部分画像に対して、少なくとも前記特定基準軸方向について、前記入力動作の前記始点と前記終点の間の距離のCr倍(Cr>1)だけ離れた位置にある、画像表示装置。
【請求項6】
請求項2ないし5のいずれかに記載の画像表示装置であって、
前記複数の基準軸方向は、さらに、前記原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、に対して、45度をなす方向を含む、画像表示装置。
【請求項7】
画像を表示する方法であって、
(a)ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取る工程と、
(b)前記入力動作による指示に応じて出力部の表示を制御する工程と、を備え、
前記工程(b)は、
あらかじめ定められた原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記入力動作の始点から終点に向かう方向である入力方向が、所定のしきい値角度Θth未満の角度をなす場合に、前記入力方向に対してΘth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向に沿って前記入力動作が行われた場合と同じ制御を、前記出力部の表示について行い、
前記しきい値角度Θthは、最も小さい角度をなす一対の基準軸方向がなす角度の1/2以下である、方法。
【請求項8】
コンピュータに接続された出力部に画像を表示するためのコンピュータプログラムであって、
(a)ユーザの連続的な入力動作による指示を受け取る機能と、
(b)前記入力動作による指示に応じて出力部の表示を制御する機能と、を前記コンピュータに実現させることができ、
前記出力部の表示を制御する機能は、あらかじめ定められた原基準方向と、前記原基準方向に対して90度または180度をなす方向と、を含む複数の基準軸方向のいずれかに対して、前記入力動作の始点から終点に向かう方向である入力方向が、所定のしきい値角度Θth未満の角度をなす場合に、前記入力方向に対してΘth未満の角度をなす基準軸方向である特定基準軸方向に沿って前記入力動作が行われた場合と同じ制御を、前記出力部の表示について行う機能を含み、
前記しきい値角度Θthは、最も小さい角度をなす一対の基準軸方向がなす角度の1/2以下である、コンピュータプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−182029(P2010−182029A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−24022(P2009−24022)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】