説明

画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラム

【課題】手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムを提供する。
【解決手段】手書き入力に相当するストローク情報48等の入力操作を受け付けるタッチパネル24と、そのタッチパネル24により入力されたストローク情報48等を記録する記録手段40と、その記録手段40により記録された第1のストローク情報に対して、タッチパネル24により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段42と、その判定手段42の判定が肯定される場合には、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段44とを、備えたものであることから、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を表示させる表示部を備えた画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
画像を表示させる表示部を備えた画像表示装置が知られている。例えば、画像を表示させると共に利用者の接触に応じて入力を行うタッチパネルディスプレイを備えた画像表示装置がそれである。そのような画像表示装置においては、上記タッチパネルディスプレイに対する接触を維持しつつその接触部位を移動させること等により所謂手書き入力に相当する情報の入力が可能とされる。斯かる画像表示装置において、入力された手書き入力情報の訂正を簡便なものとするための技術が提案されている。例えば、特許文献1に記載された手書き情報入力システムがそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−115907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来の技術は、対象となる手書き入力情報に二重線が引かれた場合等において、その二重線が引かれた文字乃至文章単位で訂正を実行するものであり、例えば、所定の文字の一画のみを訂正したい場合等においては却って訂正が煩雑なものになるという不具合があった。このため、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムの開発が求められていた。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示装置、画像表示方法、及び画像表示プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、画像を表示させる表示部を備えた画像表示装置であって、手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置と、その操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録手段と、その記録手段により記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段と、その判定手段の判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記目的を達成するために、本第2発明の要旨とするところは、画像を表示させる表示部と、手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置とを、備えた画像表示装置における画像表示方法であって、その操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録過程と、その記録過程において記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定過程と、その判定過程における判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替過程とを、含むことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記目的を達成するために、本第3発明の要旨とするところは、画像を表示させる表示部と、手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置とを、備えた画像表示装置における制御装置を、その操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録手段、その記録手段により記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段、及びその判定手段の判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段として機能させるものであることを特徴とする画像表示プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
このように、前記第1発明によれば、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示装置を提供することができる。
【0010】
また、前記第1発明において、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状及び入力時間の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、書き損じたストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0011】
また、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始端及び終端の位置の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0012】
また、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0013】
また、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状の類似度に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0014】
また、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの入力時点の時間差に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができることに加え、誤った訂正が行われることを抑制できる。
【0015】
また、好適には、前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの相対的な位置関係に応じてそれら第1のストローク情報及び第2のストローク情報のうち少なくとも一方を所定範囲に分割し、その所定範囲に関して前記条件を満たすか否かの判定を行うものである。このようにすれば、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができることに加え、より自由度の高い修正を行うことができる。
【0016】
また、好適には、前記記録手段は、前記操作入力装置により入力されたストローク情報に対応してそのストローク情報の書式情報を関連付けて記録するものであり、前記入替手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの書式情報が異なる場合には、前記入れ替える処理を非実行とするものである。このようにすれば、書式が異なるストローク情報については入れ替えを行わず上書き等の処理を実行することで、誤った訂正が行われるのを抑制することができる。
【0017】
また、前記第2発明によれば、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示方法を提供することができる。
【0018】
また、前記第3発明によれば、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例である画像表示装置の外観の概要を示す図である。
【図2】図1の画像表示装置に備えられた構成を説明するブロック線図である。
【図3】図1の画像表示装置の制御部に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
【図4】図1の画像表示装置の記憶部又はRAMに設けられるストロークデータテーブルの一例を示す図である。
【図5】図1の画像表示装置の記憶部又はRAMに設けられるストローク管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】図1の画像表示装置のタッチパネルに対する接触移動操作により文字「あ」に相当するオブジェクトが入力され、表示装置に表示された様子を例示する図である。
【図7】図6に示すオブジェクトに関して第1ストローク情報の書き直しに相当する接触移動操作が行われた様子を例示する図である。
【図8】図7に示す接触移動操作により、先に入力された第1のストローク情報が後に入力された第2のストローク情報に置換される様子を説明する図である。
【図9】図6に示すオブジェクトにおける各ストローク情報の始端、終端をドットで示すと共に、各ストローク情報に対応する面積を定める矩形を示す図である。
【図10】図6に示すオブジェクトにおける第1ストローク情報の中心線ベクトル及び対応する面積を定める矩形を示す図である。
【図11】図6に示すオブジェクトにおける第4ストローク情報の中心線ベクトル及び対応する面積を定める矩形を示す図である。
【図12】図1の画像表示装置のタッチパネルに対する接触移動操作により文字「る」に相当するオブジェクトが入力され、表示装置に表示された様子を例示する図である。
【図13】図12に示すオブジェクトに関して終端付近のループ状部分の書き直しに相当する接触移動操作が行われた様子を例示する図である。
【図14】図13に示す接触移動操作により、先に入力された第1のストローク情報におけるループ状部分が後に入力された第2のストローク情報に置換される様子を説明する図である。
【図15】図1の画像表示装置の制御部による手書き入力制御の要部を説明するフローチャートである。
【図16】図15の制御におけるストローク判定処理の要部を説明するフローチャートである。
【図17】図16の制御における端点判定処理の要部を説明するフローチャートである。
【図18】図16に示す制御における面積判定処理の要部を説明するフローチャートである。
【図19】図15の制御における他のストローク判定処理の要部を説明するフローチャートであり、図16の制御に代替して実行されるものである。
【図20】図19に示す制御におけるセグメント形状判定処理の要部を説明するフローチャートである。
【図21】図16の制御における他の端点判定処理の要部を説明するフローチャートであり、図17の制御に代替して実行されるものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0021】
図1は、本発明の一実施例である画像表示装置10の外観の概要を示す図である。また、図2は、斯かる画像表示装置10に備えられた構成を説明するブロック線図である。これらの図に示すように、本実施例の画像表示装置10は、所定の画像(映像)を表示させると共に、利用者の接触操作に応じて入力を行うためのタッチパネルディスプレイ12を備えている。また、図2に示すように、画像表示装置10による画像表示制御をはじめとする各種制御を実行する制御部14と、複数の画像情報(画像ファイル)等、各種情報を記憶する記憶部16と、画像表示装置10と外部機器との間で情報の送受信を行う通信インターフェイス18とを、備えて構成されている。
【0022】
図2に示すように、タッチパネルディスプレイ12は、そのタッチパネルディスプレイ12に所定の映像を表示させる表示部(ディスプレイ)としての表示装置22と、利用者の指や入力子(入力デバイス)としての備え付けのペン20等によるタッチパネルディスプレイ12への接触により入力を行う操作入力装置としてのタッチパネル24とを、備えて構成されている。また、画像表示装置10には、表示装置22による画像(映像)の表示制御を行う表示制御部26と、タッチパネル24により入力される入力情報を処理する入力制御部28とが備えられており、それら表示制御部26及び入力制御部28により表示装置22及びタッチパネル24を介してタッチパネルディスプレイ12による画像表示制御乃至情報入力制御が実行される。
【0023】
また、図2に示すように、制御部14は、中央演算処理装置であるCPU30と、読出専用メモリであるROM32と、随時書込読出メモリであるRAM34とを、備えて構成されている。すなわち、制御部14は、RAM34の一時記憶機能を利用しつつROM32に記憶されたプログラムに基づいてCPU30により種々の情報処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、表示制御部26を介してタッチパネルディスプレイ12(表示装置22)に所定の画像を表示させる画像表示制御、そのタッチパネルディスプレイ12(タッチパネル24)への接触操作に応じて入力制御部28を介して入力される入力信号を処理する入力処理制御、及び通信インターフェイス18を介して他の機器との間で情報の送受信を行う情報通信制御等、画像表示装置10に関する各種制御に加えて、後述する本実施例の手書き入力制御を実行する。また、記憶部16は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶装置であり、後述する各種データベースやテーブルを備えている。
【0024】
通信インターフェイス18は、例えば、無線により画像表示装置10と他の機器との間の情報の送受信を可能とする通信装置であり、画像表示装置10は、この通信インターフェイス18を介して公衆電話回線、ADSL回線、或いは光ファイバ回線等から構成されるWWW(World Wide Web)等の所謂インターネットに接続可能とされる。そして、画像表示装置10とインターネットに接続された他の機器との間で、通信インターフェイス18を介して相互に情報の通信が可能とされる。また、通信インターフェイス18を介してプリンタ等の機器との間の情報の送受信を可能とするものであってもよい。なお、インターネットへの接続やプリンタによる印刷を特に必要としない態様においては、通信インターフェイス18等の構成は必ずしも設けられなくともよい。
【0025】
記憶部16は、画像データベースをはじめとする各種データベースを備えている。この画像データベースには、例えば、表示制御部26を介してタッチパネルディスプレイ12(表示装置22)に所定の画像を表示させるための画像情報として、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)、PNG(Portable Network Graphics)、GIF(Graphics Interchange Format)等のファイル形式の複数の画像データ(画像ファイル)が、それぞれの識別情報(ファイル名)をインデックスとして記憶されている。なお、表示装置22は、静止画像のみならず動画を表示させるものであってもよく、画像データベースに記憶される画像情報は、静止画若しくは動画の何れであってもよい。また、画像データベースにはPDF(Portable Document Format)形式のドキュメントファイルや、Excel(登録商標)形式のワークシートファイル等が記憶されるものであってもよく、換言すれば、画像乃至電子文書ファイルデータベースである。また、本実施例の制御において、記憶部16又はRAM34には、操作入力装置としてのタッチパネル24により入力されたストローク情報を記録するストロークデータテーブル36及びストローク管理テーブル38が設けられる。これらストロークデータテーブル36及びストローク管理テーブル38に関しては、制御部14に備えられた記録手段40による制御に関して図4及び図5を用いて後述する。
【0026】
図3は、画像表示装置10の制御部14に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図3に示す記録手段40は、操作入力装置としてのタッチパネル24により入力されたストローク情報を記録する。タッチパネル24においては、その平面部(タッチパネルディスプレイ12の表面)に対する接触操作に応じて描画されるストローク情報(軌跡情報)の入力が可能とされている。すなわち、タッチパネル24の平面部に対してペン20等を接触させた状態でその接触部位を移動させる操作(以下、接触移動操作と言う)により、自由曲線や直線等を組み合わせた所謂手書き入力(フリードロー)が可能とされている。すなわち、上記ストローク情報は、操作入力装置としてのタッチパネル24に対する接触移動操作により入力される自由曲線や直線等を組み合わせた描画(オブジェクト)に相当するものであり、好適には、曲線乃至直線等の一次関数で表される情報の集合である。また、本実施例においてストローク情報という場合、1ストローク分の入力情報すなわちタッチパネル24に対する接触移動操作が開始されてから(タッチパネル24に対して入力子の接触が行われてから)、その接触移動操作が終了させられるまで(タッチパネル24から入力子が離されるまで)の入力情報をいうものとする。
【0027】
記録手段40は、タッチパネル24により入力制御部28を介して入力される手書き入力に対応するストローク情報を受け付け、ストロークデータテーブル36及びストローク管理テーブル38に記録する。好適には、単位となる各ストローク情報の入力過程において、タッチパネル24に対する接触移動操作に応じた情報をストロークデータテーブル36に記録する一方、単位となる各ストローク情報の入力が終了(完了)した段階において、ストロークデータテーブル36に記録された各ストローク情報をストローク管理テーブル38に記録(登録)する。ここで、単位となる各ストローク情報は、タッチパネル24に対する接触移動操作が開始されてから終了させられるまでの間に入力された情報に相当するものであり、例えば、ペン20等がタッチパネル24に接触させられてから離されるまでに入力された曲線乃至直線等が1単位(1ストローク)のストローク情報に対応する。
【0028】
図4は、記憶部16又はRAM34に設けられるストロークデータテーブル36の一例を示す図である。この図4に示すように、記録手段40は、単位となる各ストローク情報の入力過程において、タッチパネル24に対する接触移動操作に対応する各座標(タッチパネル24の平面部全体に対する相対的な座標)を例えば所定時間毎に取得(サンプリング)し、ストロークデータテーブル36に随時記録する。また、好適には、各座標における接触移動操作の指向する方向すなわちベクトルを取得し、各座標に対応付けてストロークデータテーブル36に記録する。
【0029】
図5は、記憶部16又はRAM34に設けられるストローク管理テーブル38の一例を示す図である。この図5に示すように、記録手段40は、タッチパネル24による接触移動操作により入力される各ストローク情報を、ストロークデータテーブル36と対応付けられた(共通の)識別情報であるIDを付して登録管理する。例えば、各ストローク情報に関して、書き始め点(接触移動操作が開始された座標)に相当する始端、書き終わり点(接触移動操作が終了させられた座標)に相当する終端、ストローク情報の占める領域における右上の座標、左上の座標、ストローク情報の中心線、入替フラグ、入力時間、及び書式情報等が記録される。この中心線とは、例えば各ストローク情報に対応する曲線の近似直線であり、よく知られた近似直線導出法により数学的に算出される値である。また、書式情報とは、各ストローク情報の線幅(線の太さ)、実線乃至破線等の線種、及び色等の属性情報(プロパティ)であり、タッチパネル24によるストローク情報の入力に際して設定可能とされている。すなわち、記録手段40は、好適には、タッチパネル24により入力されたストローク情報に対応してそのストローク情報の書式情報を関連付けて記録する。
【0030】
図3に示す判定手段42は、記録手段40により予めストローク管理テーブル38に記録された第1のストローク情報に対して、タッチパネル24により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する。この条件とは、記録手段40により先に記録された第1のストローク情報を、後に入力された第2のストローク情報に入れ替えるか否かを判断するための入替条件であり、前記第1のストローク情報と第2のストローク情報とが置換可能であるか否かの判定に係る条件である。この条件が満たされる場合には、先に入力された第1のストローク情報を後に入力された第2のストローク情報に入れ替える処理が実行される。すなわち、入替手段44は、判定手段42の判定が肯定される場合には、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する。また、第2のストローク情報の始端及び終端が第1のストローク情報の上(ストローク上)に存在する場合には、第1のストローク情報における第2のストローク情報の始端及び終端までの部分を切り出してその第2のストローク情報に置換するものであってもよい。以下、判定手段42による判定の具体例、及びその判定に応じた入替手段44による入替処理について分説する。
【0031】
判定手段42は、好適には、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始端及び終端の位置の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行う。例えば、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始端及び終端の位置(座標)の相対距離を算出し、始端相互間の距離及び終端相互間の距離の両方が予め定められた所定距離未満である場合には、前記条件を満たすものと判定する。一方、始端相互間の距離及び終端相互間の距離の少なくとも一方が予め定められた所定距離以上である場合には、前記条件を満たさないものと判定する。なお、この判定の基準となる所定距離は予め定められた一定値であってもよいし、判定に係る第1のストローク情報及び第2のストローク情報の入力時間(例えば、第1のストローク情報の入力開始時点から第2のストローク情報の入力開始時点までの時間)に基づいて算出されるものであってもよい。この場合、好適には、斯かる入力時間が長いほど判定の基準となる所定距離を長く決定する。これにより、例えば所定の文字上に二重線等のストロークが平行に描画された場合において、その二重線が文字に関する入力であると誤って訂正される等の処理が抑制される。また、タッチパネル24に対する入力子(入力デバイス)の種類に応じて上記判定の基準となる所定距離を変更するものであってもよい。例えば、タッチパネル24に対する入力子がペン20である場合に上記判定の基準となる第1の閾値を設定する一方、入力子が利用者の指である場合にその第1の閾値よりも大きい第2の閾値を設定する。この入力子の判定は、タッチパネル24における接触面積に基づいて行われる。換言すれば、判定手段42は、好適には、タッチパネル24に対する接触入力に係る接触面積に応じて上記判定の基準となる所定距離を変更する。
【0032】
また、判定手段42は、好適には、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行う。このストローク情報に対応する面積とは、例えば、各ストローク情報を囲繞する最小の矩形を設定した場合におけるその矩形の面積(例えば、後述する図9を参照)或いは各ストローク情報に含まれる座標それぞれに単位面積を設定した場合におけるその単位面積の合計(ストロークのサンプリング間隔を基づいた矩形単位で面積を管理し、各矩形の重なりから判定される面積)である。例えば、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積を算出し、その面積の差が予め定められた所定面積未満である場合には、前記条件を満たすものと判定する一方、面積の差が予め定められた所定面積以上である場合には、前記条件を満たさないものと判定する。これにより、例えば文字における濁点「゛」等に対する誤った訂正が行われるのを抑制できる。また、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積(領域)が予め定められた所定面積以上重複する(重なっている)場合には、前記条件を満たすものと判定する一方、面積が予め定められた所定面積未満重複する場合には、前記条件を満たさないものと判定する。また、上記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積に基づく判定の要素として、各ストローク情報に係る中心線ベクトルの方向を含めてもよい。
【0033】
また、判定手段42は、好適には、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始点及び終点の位置の少なくとも一方が所定条件を満たしているか若しくは面積の一定以上の重複がある場合、形状の類似度に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行う。例えば、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状が相互に類似するか否かを判定し、類似すると判定される場合には、前記条件を満たすものと判定する一方、類似しないと判定される場合には、前記条件を満たさないものと判定する。この類似度の判定は、具体的には、ストローク情報に含まれる各座標に係る主成分分析や、パターンマッチング等のよく知られた手法が好適に用いられる。また、各ストローク情報に対応する中心線ベクトルが相互に成す角度が所定角度未満であるか否かに基づいて類似判定を行うものであってもよい。この中心線ベクトルは、好適には、各ストローク情報に関してよく知られた近似直線導出法により数学的に算出される中心線において始端から終端に向かう方向のベクトルであるが、各ストローク情報を構成する複数の座標それぞれのベクトルのベクトル和であってもよい。
【0034】
また、判定手段42は、好適には、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの入力時点の時間差に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行う。このストローク情報の入力時点とは、例えば、各ストローク情報の入力開始時間(始端の入力時点)、入力終了時間(終端の入力時点)、或いは入力開始から入力終了までの中間時点等である。例えば、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの入力時点の時間差を算出し、その時間差が予め定められた所定時間以上である場合には、前記条件を満たさないものと判定する。すなわち、先に入力された第1のストローク情報の入力時点から、後に入力される第2のストローク情報の入力時点までの時間差が比較的開いている場合には、書き直しが行われたものではないとして入替処理を非実行とする。
【0035】
また、入替手段44は、好適には、判定手段42による判定が肯定される場合であっても、ストローク管理テーブル38に記録された第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの書式情報が異なる場合には、入れ替える処理を非実行とする。例えば、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに関してストローク管理テーブル38に記録された書式情報に係る線幅、線種、及び色のうち少なくとも1つが異なる場合には、判定手段42による判定が肯定される場合であっても第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行せず、その第2のストローク情報を既存のオブジェクトの前面側に上書きする処理等を実行する。
【0036】
以下、上述した記録手段40、判定手段42、及び入替手段44による具体的な処理を、図6〜図10を用いて詳述する。図6は、タッチパネル24に対する接触移動操作により文字「あ」に相当するオブジェクト46が入力され、表示装置22に表示された様子を例示する図である。このオブジェクト46は、3つのストローク情報48a、48b、48c(以下、特に区別しない場合には単にストローク情報48という)から構成されており、最も先に入力された第1ストローク情報48aがID:1に、次に入力された第2ストローク情報48bがID:2に、最後に入力された第3ストローク情報48cがID:3にそれぞれ対応してストローク管理テーブル38に記録(登録)されている。図6に示すオブジェクト46において、破線で囲繞して示す第1ストローク情報48aに対応する文字「あ」の一画目の横線が曲がっていることがわかる。この横線すなわち第1ストローク情報48aの書き直し処理について、以下に説明する。
【0037】
図7は、図6に示すオブジェクト46に関して第1ストローク情報48aの書き直しに相当する接触移動操作が行われた様子を例示する図である。この図7に示すように、先にタッチパネル24により入力され、表示装置22に表示された第1ストローク情報48aに対応する位置に重ねるようにして、タッチパネル24による接触移動操作に応じて第4ストローク情報48dが入力された場合、判定手段42により、先に入力された第1ストローク情報48aに対して、後に入力された第4ストローク情報48dが、予め定められた条件を満たすか否かの判定が行われる。そして、その判定手段42による判定が肯定される場合には、入替手段44による入替処理が行われる。すなわち、図8に示すように、先に入力された第1のストローク情報である第1ストローク情報48aが後に入力された第2のストローク情報である第4ストローク情報48dに置換され、オブジェクト46に関してストローク管理テーブル38に記録された情報が変更(更新)される。この更新は、例えば各ストローク情報に係る入替フラグが立てられることにより行われるが、第1のストローク情報が消去されて第2のストローク情報が新たに記録される等の処理が行われるものであってもよい。
【0038】
図6に示すオブジェクト46に関して、判定手段42による判定の具体例を説明する。図9は、オブジェクト46における各ストローク情報48の始端、終端をドットS、Eで示すと共に、各ストローク情報48に対応する面積を定める矩形50a、50b、50c、50d(以下、特に区別しない場合には単に矩形50という)を示す図である。なお、矩形50aが第1ストローク情報48aの面積、矩形50bが第2ストローク情報48bの面積、矩形50cが第3ストローク情報48cの面積、矩形50dが第4ストローク情報48dの面積にそれぞれ対応する。この図9に示すように、判定対象となる第1ストローク情報48a及び第4ストローク情報48dは、各始端S及び終端Eが比較的近い位置(座標)とされており、例えば始端S相互間の距離及び終端E相互間の距離の両方が予め定められた所定距離未満であると判定される。また、図10及び図11に示すように、判定対象となる第1ストローク情報48a及び第4ストローク情報48dは、中心線ベクトルVの指向する方向が略一致(各中心線ベクトルVの成す角度が所定角度未満)し、第1ストローク情報48a及び第4ストローク情報48dそれぞれの形状が相互に類似すると判定される。一方、図10及び図11に示すように、判定対象となる第1ストローク情報48a及び第4ストローク情報48dそれぞれに対応する面積は比較的異なり、その面積の差は予め定められた所定面積以上であると判定されるが、上記始端S及び終端Eの位置に基づく判定及び類似判定が肯定されているため、図6〜図8に示す例において、判定手段42は、先に入力された第1ストローク情報48aに対して、後に入力された第4ストローク情報48dが、予め定められた入替条件を満たすものと判定し、入替手段44により、図8に示すように第1ストローク情報48aを第4ストローク情報48dに置換する入替処理を実行する。
【0039】
また、判定手段42は、好適には、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの相対的な位置関係に応じてそれら第1のストローク情報及び第2のストローク情報のうち少なくとも一方を所定範囲に分割し、その所定範囲に関して前記条件を満たすか否かの判定を行う。例えば、先に入力された第1のストローク情報において判定に係る範囲として特徴領域を抽出し、その特徴領域と後に入力された第2のストローク情報とに関して前記条件を満たすか否かの判定を行う。好適には、先に入力された第1のストローク情報に関して、その第1のストローク情報と後に入力された第2のストローク情報とが交差する点(交差点)から終端に至るまでの範囲を特徴領域として抽出し、その特徴領域と第2のストローク情報に関して前記条件を満たすか否かの判定を行う。この特徴領域の抽出に関する情報は、ストロークデータテーブル36に記録されるストローク情報を使用する。また、この判定に係る類似度の判定に関して、第1のストローク情報における特徴領域及び第2のストローク情報を正規化し、それら第1のストローク情報における特徴領域及び第2のストローク情報を適宜拡大乃至縮小する等して、その拡大乃至縮小後の形状に関して前記類似度の判定を行う。
【0040】
図12は、タッチパネル24に対する接触移動操作により文字「る」に相当するオブジェクト52が入力され、表示装置22に表示された様子を例示する図である。この図12に示すオブジェクト52は、1ストロークに相当するストローク情報54から構成されている。オブジェクト52において、破線で囲繞して示す文字「る」の終端付近のループ状部分が短く且つ小さく、字全体としてバランスが悪いことがわかる。このストローク情報54におけるループ状部分を書き直すため、図13に示すように上記ループ状部分に相当するストローク情報56を新たに入力した場合について考える。文字「る」は1画の文字でありストローク情報54は1ストロークに相当するため、先に入力されたストローク情報54と後に入力されたストローク情報56とを対象とした場合、始端乃至終端、面積、類似度の何れの判定においても前記判定が否定され、入替処理に係る条件を満たさないものと判定される。
【0041】
一方、前述のように、先に入力された第1のストローク情報であるストローク情報54に関して、図13に示すように、そのストローク情報54と後に入力された第2のストローク情報であるストローク情報56とが交差する点(交差点)Cから終端に至るまでの範囲を特徴領域である部分ストローク情報54sとして抽出し、その部分ストローク情報54sとストローク情報56に関して前記条件を満たすか否かの判定を行うことを考える。斯かる場合、部分ストローク情報54sをストローク情報56と同程度の大きさに拡大した上でそれらの形状相互の類似度を判定することで、部分ストローク情報54s及びストローク情報56それぞれの形状が相互に類似するものと判定され、前記条件を満たすものと判定される。そして、判定手段42による判定が肯定されたことをもって、入替手段44による入替処理が行われる。すなわち、図14に示すように、先に入力された第1のストローク情報であるストローク情報54における部分ストローク情報54sに対応する部分(交差点Cから終端までの部分)が、後に入力された第2のストローク情報であるストローク情報56に置換され、そのストローク情報56の始端が上記ストローク情報54における交差点Cに連結されてオブジェクト52に関してストローク管理テーブル38に記録された情報が変更(更新)される。すなわち、1ストロークのストローク情報としては大きさの違い等により類似と判定されなかった場合においても、部分的な書き直しによるオブジェクト52の訂正が可能となる。
【0042】
図15は、本実施例の画像表示装置10の制御部14による手書き入力制御の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
【0043】
先ず、ステップ(以下、ステップを省略する)S1において、手書き入力すなわちタッチパネル24に対する接触移動操作が検出されたか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、手書き入力の書き終わりが検出されたか否か、すなわちタッチパネル24に対する接触が解除されたか否かが判断される。このS2の判断が否定される場合には、S3において、ストロークデータテーブル36にタッチパネル24による接触移動操作に対応するストローク情報が記録された後、S6以下の処理が実行されるが、S2の判断が肯定される場合には、S4において、その時点においてストロークデータテーブル36に記録されているストローク情報が書式情報等と関連付けられてストローク管理テーブル38に1ストロークのストローク情報として記録される。次に、SAにおいて、図16等に示すストローク判定処理が実行される。次に、S5において、入替えフラグの情報が有効になっている第2ストローク情報がある存在する場合、第2ストローク情報の入替えフラグが無効にされ、対応する第1ストローク情報がストローク管理テーブル38及びストロークデータテーブル36から削除される。次に、S6において、再描画すなわちタッチパネル24に対する接触移動操作に伴う表示が実行される。次に、S7において、制御終了であるか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、S1以下の処理が再び実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。
【0044】
図16は、図15の制御におけるストローク判定処理の要部を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SAAにおいて、図17等に示す端点判定処理が実行される。次に、SA1において、ストローク入替設定があるか否か、すなわちストローク管理テーブル38において対象となるストローク情報に係る入替フラグが立てられているか否かが判断される。このSA1の判断が肯定される場合には、それをもって図15に示す制御に復帰させられるが、SA1の判断が否定される場合には、SABにおいて、図18に示す面積判定処理が実行される。次に、SA2において、先に入力された第1のストロークと後に入力された第2のストロークに重複があり、且つストローク入替設定が無い(入替フラグが立てられていない)か否かが判断される。このSA2の判断が否定される場合には、それをもって図15に示す制御に復帰させられるが、SA2の判断が肯定される場合には、SA3において、対象となるストローク情報が分割されて判定対象となる対応領域(特徴領域)が抽出される。次に、SAAにおいて、図17等に示す端点判定処理が実行された後、図15に示す制御に復帰させられる。
【0045】
図17は、図16の制御における端点判定処理の要部を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SAA1において、判定に係る第1のストローク情報及び第2のストローク情報の入力時間(第1のストローク情報の入力開始時点から第2のストローク情報の入力開始時点までの時間)から始端及び終端相互間の距離に係る閾値が算出される。次に、SAA2において、第1のストローク情報に対して始端又は終端がSAA1にて算出された閾値以内の距離に存在する第2のストローク情報が検出されるか否かが判断される。このSAA2の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAA2の判断が肯定される場合には、SAA3において、判定対象となる第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの中心線がよく知られた近似直線導出法等により算出される。次に、SAA4において、SAA3にて算出された第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの中心線が交差するか又はそれらの成す角度が所定角度以内であるか否かが判断される。このSAA4の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAA4の判断が肯定される場合には、SAA5において、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替えるようにストローク管理テーブル38に入替フラグが設定された後、図16に示す制御に復帰させられる。
【0046】
図18は、図16に示す制御における面積判定処理の要部を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SAB1において、既存のストローク情報すなわち先に入力された第1のストローク情報と入力ストローク情報すなわち後に入力された第2のストローク情報それぞれに対応する面積が算出され、比較される。次に、SAB2において、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積の比が予め定められた所定範囲内であるか否かが判断される。このSAB2の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAB2の判断が肯定される場合には、SAB3において、第1のストローク情報に対応する面積に対して重複する面積が予め定められた所定値以上である第2のストローク情報が検出されるか否かが判断される。このSAB3の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAB3の判断が肯定される場合には、SAB4において、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替えるようにストローク管理テーブル38に入替フラグが設定された後、図16に示す制御に復帰させられる。
【0047】
図19は、図15の制御における他のストローク判定処理の要部を説明するフローチャートであり、前述した図16の制御に代替して実行されるものである。この制御では、先ず、SA4において、既存のストローク情報すなわち先に入力された第1のストローク情報と入力ストローク情報すなわち後に入力された第2のストローク情報とが一定領域内に存在するか否かが判断される。このSA4の判断が否定される場合には、それをもって図15に示す制御に復帰させられるが、SA4の判断が肯定される場合には、SA5において、第1のストローク情報及び第2のストローク情報の書式が一致するか否かが判断される。このSA5の判断が否定される場合には、それをもって図15に示す制御に復帰させられるが、SA5の判断が肯定される場合には、SA6において、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状相互の類似度がよく知られた主成分分析等の手法により算出される。次に、SA7において、SA6の算出結果により第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状が相互に類似するか否かが判断される。このSA7の判断が否定される場合には、SACにおいて、図20に示すセグメント形状判定処理が実行された後、図15に示す制御に復帰させられるが、SA7の判断が肯定される場合には、SA8において、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替えるようにストローク管理テーブル38に入替フラグが設定された後、図15に示す制御に復帰させられる。
【0048】
図20は、図19に示す制御におけるセグメント形状判定処理の要部を説明するフローチャートである。この制御では、先ず、SAC1において、第1のストローク情報と第2のストローク情報を比較し、より小さいストローク情報の始点と終点にもっとも近い点が端点になるようにより大きいストローク情報の一部が対応領域(特徴領域)として抽出される。次に、SAC2において、既存ストローク情報すなわちSAC1にて分割されたより大きいストローク情報における対応領域の形状と、より小さいストローク情報の形状との類似度がよく知られた主成分分析等の手法により算出される。次に、SAC3において、SAC2の算出結果により第1のストローク情報の対応領域及び第2のストローク情報それぞれの形状が相互に類似するか否かが判断される。このSAC3の判断が肯定される場合には、SAC9以下の処理が実行されるが、SAC3の判断が否定される場合には、SAC4において、判定に係る第1のストローク情報と第2のストローク情報との交差点が存在するか否かが判断される。このSAC4の判断が否定される場合には、それをもって図19に示す制御に復帰させられるが、SAC4の判断が肯定される場合には、SAC5において、第1のストローク情報における交差点以降(交差点から終端まで)のストローク情報が対応領域として抽出される。次に、SAC6において、SAC5にて抽出された第1のストローク情報における対応領域及び第2のストローク情報が正規化される。次に、SAC7において、SAC6にて正規化された第1のストローク情報における対応領域及び第2のストローク情報の形状相互の類似度が算出される。次に、SAC8において、SAC7の算出結果により第1のストローク情報の対応領域及び第2のストローク情報それぞれの形状が相互に類似するか否かが判断される。このSAC8の判断が否定される場合には、それをもって図19に示す制御に復帰させられるが、SAC8の判断が肯定される場合には、SAC9において、第1のストローク情報の対応領域を第2のストローク情報に入れ替えるようにストローク管理テーブル38に入替フラグが設定された後、図19に示す制御に復帰させられる。
【0049】
図21は、図16の制御における他の端点判定処理の要部を説明するフローチャートであり、前述した図17の制御に代替して実行されるものである。この制御では、先ず、SAA12において、タッチパネル24に対する接触移動操作に用いられる入力子がペン20であるか否かが判断される。このSAA12の判断が肯定される場合には、SAA7以下の処理が実行されるが、SAA12の判断が否定される場合には、SAA14において、判定に係る第1のストローク情報と第2のストローク情報とが複数回交差しているか否かが判断される。このSAA14の判断が否定される場合には、SAA8以下の処理が実行されるが、SAA14の判断が肯定される場合には、SAA15において、第1のストローク情報及び第2のストローク情報が何れも削除されるようにストローク管理テーブル38の記録内容が更新された後、図16に示す制御に復帰させられる。これにより、修正と削除の動作を簡単に切り替えることができる。
【0050】
SAA7においては、判定に係る第1のストローク情報及び第2のストローク情報の入力時間(第1のストローク情報の入力開始時点から第2のストローク情報の入力開始時点までの時間)から始端及び終端相互間の距離に係る第1の閾値が算出された後、SAA9以下の処理が実行される。また、SAA8においては、判定に係る第1のストローク情報及び第2のストローク情報の入力時間から始端及び終端相互間の距離に係る第2の閾値が算出された後、SAA9以下の処理が実行される。これにより、入力子の大きさによる誤った訂正を抑制することができる。
【0051】
SAA9においては、第1のストローク情報に対して始端又は終端がSAA7又はSAA8にて算出された閾値(第1の閾値又は第2の閾値)以内の距離に存在する第2のストローク情報が検出されるか否かが判断される。このSAA9の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAA9の判断が肯定される場合には、SAA10において、判定対象となる第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの中心線がよく知られた近似直線導出法等により算出される。次に、SAA11において、SAA10にて算出された第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの中心線が交差するか又はそれらの成す角度が所定角度以内であるか否かが判断される。このSAA11の判断が否定される場合には、それをもって図16に示す制御に復帰させられるが、SAA11の判断が肯定される場合には、SAA13において、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替えるようにストローク管理テーブル38に入替フラグが設定された後、図16に示す制御に復帰させられる。
【0052】
以上の制御において、S1〜S7が記録手段40の動作乃至記録過程に、SAが判定手段42の動作乃至判定過程に、SA8、SAA5、SAA13、SAB5、及びSAC9が入替手段44の動作乃至入替過程にそれぞれ対応する。
【0053】
このように、本実施例によれば、手書き入力に相当するストローク情報48等の入力操作を受け付ける操作入力装置としてのタッチパネル24と、そのタッチパネル24により入力されたストローク情報48等を記録する記録手段40(S1〜S7)と、その記録手段40により記録された第1のストローク情報に対して、タッチパネル24により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段42(SA)と、その判定手段42の判定が肯定される場合には、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段44(SA8、SAA5、SAA13、SAB5、及びSAC9)とを、備えたものであることから、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示装置10を提供することができる。
【0054】
また、前記判定手段42は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状及び入力時間の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、書き損じたストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0055】
また、判定手段42は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始端S及び終端Eの位置の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0056】
また、判定手段42は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0057】
また、判定手段42は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状の類似度に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0058】
また、判定手段42は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの入力時点の時間差に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0059】
また、判定手段42は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの相対的な位置関係に応じてそれら第1のストローク情報及び第2のストローク情報のうち少なくとも一方を所定範囲に分割し、その所定範囲に関して前記条件を満たすか否かの判定を行うものであるため、訂正対象となるストローク情報を実用的な態様で判定して後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。
【0060】
また、記録手段40は、タッチパネル24により入力されたストローク情報48等に対応してそのストローク情報の書式情報を関連付けて記録するものであり、入替手段44は、第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの書式情報が異なる場合には、前記入れ替える処理を非実行とするものであるため、書式が異なるストローク情報については入れ替えを行わず上書き等の処理を実行することで、誤った訂正が行われるのを抑制することができる。
【0061】
また、本実施例によれば、タッチパネル24により入力されたストローク情報を記録する記録過程(S1〜S7)と、その記録過程において記録された第1のストローク情報に対して、タッチパネル24により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定過程(SA)と、その判定過程における判定が肯定される場合には、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替過程(SA8、SAA5、SAA13、SAB5、及びSAC9)とを、含むことから、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示方法を提供することができる。
【0062】
また、本実施例によれば、画像表示装置10における制御部14を、その操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録手段40、その記録手段40により記録された第1のストローク情報に対して、タッチパネル24により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段42、及びその判定手段42の判定が肯定される場合には、第1のストローク情報を第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段44として機能させるものであることを特徴とする画像表示プログラムであることから、手書き入力に係る一部のストロークを単位として、書き損じたストローク情報を後に入力されたストローク情報に置き換えることができる。すなわち、手書き入力情報の訂正を簡便なものとする画像表示プログラムを提供することができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
【0064】
例えば、前述の実施例において、記録手段40、判定手段42、及び入替手段44は、何れも制御部14に機能的に備えられたものであったが、その一部乃至全部が同等の機能を奏する個別の制御部として制御部14とは別体に備えられたものであってもよい。また、画像表示装置10においては、タッチパネルディスプレイ12の表示制御乃至入力情報処理を行う表示制御部26及び入力制御部28が制御部14とは別体の制御部として備えられたものであったが、これらはその一方乃至両方が制御部14に機能的に備えられたものであってもよい。
【0065】
また、前述の実施例では、画像表示機能を有すると共に接触による操作入力装置として機能するタッチパネルディスプレイ12を備えた画像表示装置10に本発明が適用された例を説明したが、本発明の画像表示装置は必ずしもタッチパネルディスプレイを備えたものでなくともよく、画像を表示し得るディスプレイを備えた画像表示装置に広く適用されるものである。
【0066】
また、前述の実施例において、手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置としてタッチパネル24を備えた画像表示装置10について説明したが、例えば、操作入力装置としてマウスを備えた画像表示装置において、そのマウスによる手書き入力操作によって描画されるストローク情報を受け付けるものであってもよい。また、外部装置としてのペンタブレットを接続可能に構成された画像表示装置において、そのペンタブレットによる手書き入力操作によって描画されるストローク情報を受け付けるものであってもよい。
【0067】
また、前述の実施例では、手書き入力に相当するストローク情報として専ら文字に相当するオブジェクト46等に関して本発明が適用された例を説明したが、例えば複数のストローク情報から構成される線画やデザイン等に本発明が適用されても当然に構わない。
【0068】
また、前述の実施例では特に言及していないが、本発明の手書き入力制御が適用される例としては、JPEGファイル等の画像ファイル上に所謂ドローソフトによって手書き入力を行う制御、所定形式のドキュメントファイルにおいて手書き文字等を入力する制御、その他、文字判定(つくり等を入力することによる文字検索)のためにフリードロー入力を行う制御等、種々の態様が考えられる。
【0069】
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0070】
10:画像表示装置、14:制御部(制御装置)、22:表示装置(表示部)、24:タッチパネル(操作入力装置)、40:記録手段、42:判定手段、44:入替手段、48、54、56:ストローク情報、48a:第1ストローク情報(第1のストローク情報)、48d:第4ストローク情報(第2のストローク情報)、E:終端、S:始端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示させる表示部を備えた画像表示装置であって、
手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置と、
前記操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録手段と、
前記記録手段により記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段と
を、備えたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状及び入力時間の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれにおける始端及び終端の位置の少なくとも一方に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれに対応する面積に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの形状の類似度に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1又は2に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの入力時点の時間差に基づいて前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1から5の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記判定手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの相対的な位置関係に応じてそれら第1のストローク情報及び第2のストローク情報のうち少なくとも一方を所定範囲に分割し、該所定範囲に関して前記条件を満たすか否かの判定を行うものである請求項1から6の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記記録手段は、前記操作入力装置により入力されたストローク情報に対応して該ストローク情報の書式情報を関連付けて記録するものであり、
前記入替手段は、前記第1のストローク情報及び第2のストローク情報それぞれの書式情報が異なる場合には、前記入れ替える処理を非実行とするものである請求項1から7の何れか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
画像を表示させる表示部と、
手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置と
を、備えた画像表示装置における画像表示方法であって、
該操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録過程と、
該記録過程において記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定過程と、
該判定過程における判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替過程と
を、含むことを特徴とする画像表示方法。
【請求項10】
画像を表示させる表示部と、
手書き入力に相当するストローク情報の入力操作を受け付ける操作入力装置と
を、備えた画像表示装置における制御装置を、
該操作入力装置により入力されたストローク情報を記録する記録手段、
該記録手段により記録された第1のストローク情報に対して、前記操作入力装置により後に入力された第2のストローク情報が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する判定手段、
及び該判定手段の判定が肯定される場合には、前記第1のストローク情報を前記第2のストローク情報に入れ替える処理を実行する入替手段
として機能させるものであることを特徴とする画像表示プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−253247(P2011−253247A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125118(P2010−125118)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】