説明

画像表示装置およびその製造方法

【課題】短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が抑制された、生産性および信頼性に優れた画像表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】素子基板上に回路層を形成する工程と、前記素子基板上に形成された回路層上に、側面の上端部と側面の下端部とを結んだ斜線と前記素子基板の上面とのなす角度αが45°以下の平坦化膜を形成する工程と、前記平坦化膜上に発光素子を形成する工程と、を含むことにより、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が抑制された、生産性および信頼性に優れた画像表示装置を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置およびその製造方法に関するものであり、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が抑制され、生産性および信頼性に優れた画像表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機EL表示装置は発光素子を多数形成した素子基板に封止基板を被せ、封止材を用いて素子基板と封止基板とを接着し、これによって形成されたマザー基板を個々の表示装置に切断することにより作製している。そして、有機EL表示装置においては、個々の表示装置の素子基板における少なくとも1辺の周縁部に、ドライバICが実装される回路層、あるいはFPC(Flexible Printed Circuit)等の外部接続部材等が電気的に接続される回路層が設けられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このような有機EL表示装置においては、発光素子の下部電極は平坦であることが望まれる。しかしながら、発光素子の下側(素子基板側)には種々の画素回路が設けられた回路層が設けられており、該回路層の表面は平坦ではない。そこで、平坦化膜(一般には有機感光剤)を回路層の上に設け、該平坦化膜上に下部電極を形成している。
【0004】
ここで、従来の有機EL表示装置の製造方法について簡単に説明する。まず、図17に示すように素子基板212上に回路層218を形成し、該回路層218を絶縁するために該回路層218を覆うように下部絶縁膜220を形成する。その後、下部絶縁膜220上に有機膜からなる絶縁性膜を形成し、該絶縁性膜を露光マスクを用いて露光し、さらに現像、ベークを行って図17に示すように所定の形状の平坦化膜222を形成する。ここで、従来の有機EL表示装置においては、平坦化膜222の側面のテーパー角度αは45°よりも大きく形成される。ここで、平坦化膜222の側面のテーパー角度αとは、素子基板212と平坦化膜222の側面とのなす角度であり、図17においては下部絶縁膜220の上面と平坦化膜222の側面とがなす角度でも同じである。
【0005】
つぎに、図18に示すように、下部電極となる導電性膜224aを素子基板212上の一面に形成し、図19に示すように該導電性膜224a上にレジスト302を塗布する。次いで、露光マスク304を用いて該レジスト302を露光し、さらに現像、ベークを行って図20に示すように所定の形状にパターニングしたレジスト302を得る。
【0006】
そして、このパターニングしたレジスト302をエッチングマスクとして用いて導電性膜224aのエッチングを行い、図21に示すように平坦化膜222上に所定の形状の下部電極224を形成する。その後、レジスト302を除去する。レジスト302を除去後の状態を図21に示す。
【0007】
【特許文献1】特開2005−78946号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術によれば、平坦化膜は、後のフォトリソグラフィー工程で用いられるフォトレジストと同じオーダーの膜厚であるため、後の工程で露光残りや残膜が生じることがある。そして、平坦化膜の側面と絶縁膜との角部にレジスト残が発生することによって、該レジストパターンによってエッチングされる発光素子の下部電極用金属層においては意図しない金属残存層が発生する。
【0009】
前記の図面を用いて説明すると、図19のB′に示すように、平坦化膜222の側面の勾配が急であるために、該側面のレジスト302が厚く形成される。この場合、該レジスト302の露光、現像後においては、図20のC′に示すように、平坦化膜222の側面の角部に意図しないレジスト残302aが発生する。
【0010】
そして、この状態で導電性膜224aのエッチングが行われるため、図21のD′に示すようにレジスト302aに覆われた部分の導電性膜224aがエッチングされずに導電性膜224bとして残存する。この導電性膜224bは、レジスト302aの除去後も除去されることなく図22のE′に示すように残存する。
【0011】
そして、この金属残存層(残存導電性膜)が発生した場合には、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が発生する虞があり、歩留まり低下が懸念される。
【0012】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が抑制された、生産性および信頼性に優れた画像表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像表示装置の製造方法は、素子基板上に回路層を形成する工程と、素子基板上に形成された回路層上に、側面の上端部と側面の下端部とを結んだ斜線と素子基板の上面とのなす角度αが45°以下の平坦化膜を形成する工程と、平坦化膜上に発光素子を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像表示装置は、素子基板と、素子基板上に形成された回路層と、回路層を覆って形成された平坦化膜と、平坦化膜上に形成された発光素子と、を備え、平坦化膜の側面の上端部と下端部とを結んだ斜線と素子基板の上面とのなす角度αが45°以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、素子基板上の回路層を覆って平坦化膜を形成する際に、該平坦化膜の側面と素子基板とのなす角度αを45°以下に形成することにより、平坦化膜上における不要な金属層の残存を抑制し、該残存金属層に起因した短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が抑制された、生産性および信頼性に優れた画像表示装置を実現可能である、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる画像表示装置およびその製造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下の図面においては、各図面間の縮尺および各部材間の縮尺は理解の容易のため実際とは異なる場合がある。
【0017】
実施の形態
図1−1〜図1−3は、本発明の実施の形態にかかる画像表示装置であり、たとえば携帯情報端末などの表示部に用いられる有機EL表示装置の概略構成を示す図である。図1−1は実施の形態にかかる有機EL表示装置の周辺部における概略構成を示す断面図である。また、図1−2は実施の形態にかかる有機EL表示装置の画素部における概略構成を示す断面図である。また、図1−3は本実施の形態にかかる有機EL表示装置の概略構成を示す平面図である。
【0018】
図1−1〜図1−3に示すように、本実施の形態にかかる有機EL表示装置は、素子基板12と、有機EL素子23を素子基板12上にマトリクス状に配列してなる表示領域10と、ガラス等からなり素子基板12に対向して設けられた封止基板14と、を備えている。
【0019】
封止基板14は透明性の基板からなり、たとえばプラスチックやガラスを用いることができる。素子基板12も、たとえばプラスチックやガラスを用いることができるが、本実施の形態にかかる有機EL表示装置はトップエミッションの有機EL表示装置であるため、素子基板12は透光性の基板でなくても良い。
【0020】
また、素子基板12と封止基板14との間には、表示領域10を取り囲み、素子基板12と封止基板14とを接合(接着)するための封止材16が備えられている。これにより、表示領域10は、素子基板12と封止基板14と封止材16とにより外気から遮断される形で封止されている。封止材16としては、たとえば光硬化性または熱硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂等をそれぞれ用いることができる。
【0021】
素子基板12上には各種回路(図示せず)が形成された回路層18が形成されている。また、素子基板12の周囲4辺のうちの一辺側には、封止基板14よりも外方に突出した突出領域が設けられ、有機EL素子23を点灯駆動するためのドライバICが実装され、FPC等の外部接続部材が電気的に接続される回路層32が該突出領域に設けられている。
【0022】
さらに該回路層18および回路層32を絶縁するために回路層18上および回路層32上に下部絶縁膜20が形成されている。そして、回路層18上の平坦化を行うために回路層18上の下部絶縁膜20を覆って平坦化膜22が形成され、該平坦化膜22の上に有機EL素子23が形成されている。
【0023】
ここで、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、平坦化膜22の側面のテーパー角度αが45°以下に形成されている。ここで、平坦化膜22の側面のテーパー角度とは、素子基板12と平坦化膜22の側面とのなす角度であり、図1−1においては下部絶縁膜20の上面と平坦化膜22の側面とがなす角度でも同じである。すなわち、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、平坦化膜22の側面の勾配が小さく構成されている。また、図1−1に示した本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、平坦化膜22の側面は略一律な勾配を有する斜面とされている。
【0024】
また、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、平坦化膜22の側面を構成する斜面の上端部と下端部を素子基板上に投影したときの線分の長さLが、平坦化膜22の膜厚tの3倍以上とされている。
【0025】
そして、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、図1−1に示すように、平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に下部電極24の形成用の金属層の残存が生じていない。
【0026】
有機EL素子23の基本構造は、有機層28が下部電極24と上部電極30とに挟まれた構造である。下部電極24は、発光箇所以外は有機層28および上部絶縁膜26により上部電極30と絶縁されている。一般的には素子基板12上に形成される下部電極24が陽極であり、該有機層28を挟んで下部電極24と相対して形成される上部電極が陰極である。上部電極30は透明電極または半透明電極を使用する。有機層28はホール注入層、ホール輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などの複数層で構成する場合が多い。
【0027】
以上のように構成された本実施の形態にかかる画像表示装置である有機EL表示装置においては、平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に金属残存層(残存導電性膜)が生じていない。これにより、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、金属残存層(残存導電性膜)に起因した短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が防止され、製造歩留まりに優れた有機EL表示装置が実現されている。
【0028】
従来の有機EL表示装置においては、平坦化膜の側面のテーパー角度αは45°よりも大きく形成されている。平坦化膜は、後のフォトリソグラフィー工程で用いられるフォトレジストと同じオーダーの膜厚であるため、平坦化膜の側面のテーパー角度αが45°よりも大きい場合には、後の工程で平坦化膜の端部の角部に露光残りや残膜が生じることがある。
【0029】
ここで、平坦化膜の端部の角部にレジスト残が発生した場合には、該レジストパターンによってエッチングされる発光素子の下部電極層用金属層においては意図しない金属残存層が発生する。そして、この金属残存層(残存導電性膜)が発生した場合には、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が発生する虞があり、歩留まり低下が懸念される。
【0030】
そこで、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、上述したように平坦化膜22の側面のテーパー角度αが45°以下に構成されている。これにより、平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に金属残存層(残存導電性膜)が生じることを防止している。
【0031】
すなわち、本実施の形態にかかる有機EL表示装置においては、平坦化膜22の側面のテーパー角度αを45°以下に設定することにより、下部電極24形成時に平坦化膜22の上斜面上にレジストが適正な厚みで形成され、該レジストの露光、現像後においても平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に不要なレジスト残が発生しない。これにより、下部電極用の導電性膜をエッチングして下部電極24を形成する際の、レジスト残に起因した金属残存層(残存導電性膜)の発生が良好に防止される。
【0032】
したがって、本実施の形態にかかる有機EL表示装置によれば、金属残存層(残存導電性膜)が発生することが良好に防止し、該金属残存層(残存導電性膜)に起因した短絡、誤動作、電圧低下等の不具合が防止された生産性および信頼性に優れた有機EL表示装置を実現できる。
【0033】
また、平坦化膜22の側面を構成する斜面の上端部と下端部を素子基板上に投影したときの線分の長さLは、平坦化膜22の膜厚tの3倍以上とすることが好ましい。この線分の長さLが平坦化膜22の膜厚tの3倍以上である場合には、平坦化膜22の側面のテーパー角度αが20°以下となり、この角度であれば平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に不要なレジスト残が発生することをより確実に防止することができる。
【0034】
つぎに上記のような本実施の形態にかかる有機EL表示装置の製造方法について図2〜図16を参照ながら説明する。
【0035】
まず、素子基板12および封止基板14を準備する。素子基板12および封止基板14としては、たとえばガラスなどの光透過性の基板を準備する。そして、図2に示すように各種回路(図示せず)が形成された回路層18を素子基板12上に形成する。また、図2に示すように素子基板12の周囲4辺のうちの一辺側には、有機EL素子23を点灯駆動するためのドライバICが実装され、FPC等の外部接続部材が電気的に接続される回路層32を形成する。
【0036】
つぎに、回路層18および回路層32を絶縁するために、図2に示すように該回路層18および回路層32を覆うように回路層18上および回路層32上に下部絶縁膜20を形成する。その後、回路層18上、回路層32上および下部絶縁膜20上に有機膜からなる絶縁性膜22aを形成する。
【0037】
そして、図3に示すように露光マスク100を用いて有機膜からなる絶縁性膜22aを露光し、さらに現像、ベークを行って図4に示すように平坦化膜22を形成する。このとき、図4のAに示すように回路層32側の側面のテーパー角度αが45°以下の平坦化膜22を形成する。
【0038】
ここで、この平坦化膜22の側面の形成方法としては、代表的なものとして3つ考えられる。なお、以下の3つの方法は、絶縁性膜22aがポジ型樹脂により形成されている場合の例である。
【0039】
まず第1の方法は、図3に示すように、露光マスク100の一部(平坦化膜22の側面に対応する部分)を、マスクの遮光領域を形成する光学濃度を適切な値とすることにより露光マスク100aよりも多くの光量が通過できるハーフトーンマスク100b、100cに変更する方法がある。この方法によれば、ハーフトーンマスク100b、100cの直下領域で絶縁性膜22aの感光度合いを、完全に絶縁性膜22aが除去される領域と平坦化膜22が形成される領域との間の中間的なものとすることができ、平坦化膜22の端部に所定の傾斜を有する側面を形成することができる。なお、ハーフトーンマスク100b、100c内においても通過する光量に勾配を設けることにより、略一律な勾配を有する斜面を形成することができる。
【0040】
第2の方法は、上述のハーフトーンマスク100b、100cの代わりに、露光機の解像度未満の直径を有する微細な穴が形成されたスリットマスクを採用する方法である。スリット部分を、露光マスク100aよりも多くの光量が通過可能な状態とすることにより、平坦化膜22の端部に斜面を形成する方法である。この場合もスリット部分においても通過する光量に勾配を設けることにより、略一律な勾配を有する斜面を形成することができる。
【0041】
第3の方法は、露光を短い露光時間で複数回に分けて行い、形成する平坦化膜22の厚みに応じて露光時間を制御して露光するという手法である。これらの方法のうち、第1および第2の方法は、プロセスを簡素に維持したまま平坦化膜22の端部に斜面を形成可能であるため、好ましい。
【0042】
なお、上述した方法は、本実施形態のように、例えば絶縁性膜22aがポジ型樹脂により形成されている場合、露光した部分の絶縁性膜22aが除去される。それ故、平坦化膜22の側面を傾斜させるには、平坦化膜22の側面に対応する領域の光量を、平坦化膜22の側面の上端部近傍に対応する領域の光量よりも多く、平坦化膜22の側面の下端部近傍に対応する領域の光量よりも少なくなるように設定する。一方、絶縁性膜22aがネガ型樹脂により形成されている場合、露光した部分の絶縁性膜22aが残存する。それ故、平坦化膜22の側面を傾斜させるには、平坦化膜22の側面に対応する領域の光量を、平坦化膜22の側面の上端部近傍に対応する領域の光量よりも少なく、平坦化膜22の側面の下端部近傍に対応する領域の光量よりも多くなるように設定する。
【0043】
また、本実施の形態における製造方法においては、平坦化膜22の側面を構成する斜面の上端部と下端部を素子基板上に投影したときの線分の長さLを、平坦化膜22の膜厚tの3倍以上として形成している。この線分の長さLを平坦化膜22の膜厚tの3倍以上とすることにより、平坦化膜22の側面のテーパー角度αを20°以下とすることができる。これは、非露光部から完全露光部までの距離を平坦化膜22の膜厚tの3倍以上の所定の距離に設定することにより実現できる。
【0044】
つぎに、図5に示すように、下部電極24となる導電性膜24aを形成し、図6に示すように該導電性膜24a上にレジスト102を塗布する。そして、露光マスク104を用いて該レジスト102を露光し、さらに現像、ベークを行って図7に示すように所定の形状にパターニングしたレジスト102を得る。
【0045】
このとき、平坦化膜22における回路層32側の側面のテーパー角度αを45°以下に形成しているため、図6のBに示すように該側面上においてレジストが適正な厚みで形成され、該レジストの露光、現像後においても図7のCに示すように平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に不要なレジスト残が発生しない。
【0046】
そして、このパターニングしたレジスト102をエッチングマスクとして用いて図8に示すように導電性膜24aのエッチングを行い、レジスト102を除去することにより図9に示すように所定の形状の下部電極24を形成する。このとき、上述したように平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に不要なレジスト残が発生しないため、図8のDに示すように導電性膜24aのエッチング時に、レジスト残に起因した金属残存層(残存導電性膜)が発生しない。したがって、所定の形状の下部電極24が得られ、図9のEに示すように平坦化膜22の端部の角部を含む近傍に金属残存層(残存導電性膜)が発生しない。
【0047】
ついで、図10に示すように、下部絶縁膜20上、平坦化膜22上および下部電極24上に、上部絶縁膜26となる絶縁膜26aを形成する。そして、図11に示すように露光マスク106を用いて該絶縁膜26aを露光し、さらに現像、ベークを行って図12に示すように所定の形状にパターニングした上部絶縁膜26を得る。
【0048】
つづいて、図13に示すように下部電極24上および上部絶縁膜26上に有機層28を形成し、さらに上部絶縁膜26上および有機層28上に上部電極30を形成し、有機EL素子23を形成する。上述した有機EL素子23の各層は、たとえば周知の真空蒸着によって形成することができる。
【0049】
その後、図14に示すように素子基板12の有機EL素子23と封止基板14の一面とが対向するように、略同等の大きさの素子基板12と封止基板14とを対向させ、素子基板12と封止基板14の周縁部に封止材16を設けて有機EL素子23を封止する。
【0050】
封止は、真空中または不活性ガス中で行う。不活性ガスとしては、例えば窒素ガスやアルゴンガスを用いる。不活性ガス中で封止を行うのは、有機EL素子が酸素や水分で劣化するため、封止する際に有機EL表示装置内に酸素や水分が入るのを防ぐためである。
【0051】
そして、回路層32を露出させるために、図15に示すように素子基板12の周囲4辺のうちの回路層32が設けられた一辺側において、封止基板14を切断する。封止基板14の切断は、たとえば図14において記号Fで示した位置で行う。以上の工程を経ることによって、本実施の形態にかかる有機EL表示装置が製造される。
【0052】
なお、上述した本実施の形態にかかる有機EL表示装置の製造方法によれば、平坦化膜22の形成時の形状パターンの変更により形成することができるため、既存の製造工程や部材に与える影響を小さく抑えた形で実現することができる。
【0053】
また、上記においては、平坦化膜22の側面が略一律な勾配を有する斜面により構成される場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、たとえば図16に示すように平坦化膜22の側面を階段状とすることも可能である。この場合においても、平坦化膜22の側面の上端部と下端部とを結ぶ斜線と素子基板12の上面との間のなす角度αが45°以下に設定されていれば、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上のように、本発明にかかる画像表示装置の製造方法は、短絡、誤動作、電圧低下等の不具合を抑制した、生産性および信頼性に優れた画像表示装置の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1−1】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における概略構成を示す断面図である。
【図1−2】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の画素部における概略構成を示す断面図である。
【図1−3】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図8】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図9】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図10】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図11】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図12】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図13】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図14】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図15】本発明の実施の形態にかかる画像表示装置の周辺部における製造工程を説明する断面図である。
【図16】本発明の実施の形態にかかる他の画像表示装置の周辺部における概略構成を示す断面図である。
【図17】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【図18】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【図19】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【図20】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【図21】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【図22】従来の画像表示装置の製造工程を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 表示領域
12 素子基板
14 封止基板
16 封止材
18 回路層
20 下部絶縁膜
22 平坦化膜
22a 絶縁性膜
23 有機EL素子
24 下部電極
24a 導電性膜
26 上部絶縁膜
26a 絶縁膜
28 有機層
30 上部電極
32 回路層
100 露光マスク
100a 露光マスク
100b 露光マスク
100c 露光マスク
102 レジスト
104 露光マスク
106 露光マスク
212 素子基板
218 回路層
220 下部絶縁膜
222 平坦化膜
224 下部電極
224a 導電性膜
224b 導電性膜
302 レジスト
302a レジスト残
304 露光マスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板上に回路層を形成する工程と、
前記素子基板上に形成された回路層上に、側面の上端部と側面の下端部とを結んだ斜線と前記素子基板の上面とのなす角度αが45°以下の平坦化膜を形成する工程と、
前記平坦化膜上に発光素子を形成する工程と、
を含むことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
前記平坦化膜の側面の上端部と下端部とを結んだ斜線を基板表面上に投影したときの線分の長さを、前記上端部における前記平坦化膜の膜厚の3倍以上の長さに形成すること
を特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記平坦化膜の側面は傾斜状または階段状を成すこと
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記平坦化膜は、絶縁性膜を形成する工程と、該絶縁性膜に対して光を照射する工程と、前記絶縁性膜を現像液に浸漬させることにより前記絶縁性膜を光の照射パターンに加工する工程と、を経て形成され、
前記絶縁性膜に対して光を照射する際に、前記平坦化膜の側面に対応する領域の光量を、前記平坦化膜の側面の上端部近傍に対応する領域と、前記平坦化膜の側面の下端部近傍に対応する領域とで異ならせることにより前記角度αを設定したこと
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記発光素子が有機EL素子であること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の画像表示装置の製造方法において、
前記素子基板と、該素子基板に対向する封止基板とを封止材で接着する工程と、
をさらに含むことを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
素子基板と、
前記素子基板上に形成された回路層と、
前記回路層を覆って形成された平坦化膜と、
前記平坦化膜上に形成された発光素子と、
を備え、
前記平坦化膜の側面の上端部と下端部とを結んだ斜線と前記素子基板の上面とのなす角度αが45°以下であること
を特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
前記平坦化膜の側面の上端部と下端部とを結んだ斜線を前記基板表面上に投影したときの線分の長さが、前記平坦化膜の膜厚の3倍以上であること
を特徴とする請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記平坦化膜の側面は傾斜状または階段状を成すこと
を特徴とする請求項7または請求項8に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記発光素子が有機EL素子であること
を特徴とする請求項7〜請求項9のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項11】
請求項7〜請求項10のいずれか1つに記載の画像表示装置において、
前記素子基板に対向して設けられる封止基板と、
前記封止基板と前記素子基板とを接着する封止材と、
をさらに備えることを特徴とする画像表示装置。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2007−172873(P2007−172873A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364847(P2005−364847)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】