説明

画像表示装置および画像表示装置の制御方法

【課題】装置の設置状態に応じて変更した方が良いと考えられる設定項目をユーザーに提示できる画像表示装置および画像表示装置の制御方法を提供すること。
【解決手段】複数の設定項目を記憶する設定項目記憶部(メニュー項目記憶部14a)と、設置状態を判定する設置状態判定部16aと、判定した設置状態に応じて、複数の設定項目の中から1以上の設定項目を抽出する設定項目抽出部(メニュー項目抽出部16b)と、設定項目抽出部によって抽出された1以上の設定項目をメニュー画面に表示するメニュー画面表示部(OSD処理部17、投写制御部19および投写光学系20)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設置状態に応じて画像の表示向きを変更可能な画像表示装置および画像表示装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像表示装置として、スクリーンに対して正面から投写する正面設置、装置を上下逆さにして天吊りする天吊り設置、およびスクリーンに対して裏面から投写するリア投写用の設置など、複数の設置状態に応じて画像の表示向きを変更可能なプロジェクターが知られている。このようなプロジェクターにおいて、装置の設置状態に応じて表示向きを変更すると、それに伴って装置に設けられた操作部の操作方向が変わってしまったり、装置の設置状態の変更によって、画像のフォーカスや台形歪などの各種補正が必要となったりする。
そこで、特許文献1に記載のプロジェクターは、装置の設置状態を検出するセンサを設け、装置が天吊り設置されたことを検出すると、装置に配設された操作キーの操作方向を左右逆転する。一方、非特許文献1に記載のプロジェクターは、電源オン時や画像投写中に装置の設置状態を変化させたとき、オートセットアップボタンの押下によって、自動的に「オートフォーカス」、「オートキーストン」、「オートインプット」、および「自動スクリーン色補正」の設定値が当該設置状態に最適な設定値となるオートセットアップ機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−295310号公報
【非特許文献1】Canon PWER PROJECTOR WUX10 Mark2 使用説明書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなプロジェクターでは、設定状態の違いに関わらず同じ設定項目の設定変更が行われる。この場合、設定値の変更が必要でない項目にもかかわらず、設定値が変更されてしまうなど、不都合が生じる可能性がある。また、所望の設定変更を行おうとしても、メニュー画面に多数の設定項目が表示されると、初心者の場合、どの設定項目を変更したら良いのかの判断が困難である。また、設置状態によっては、意味のない設定項目が存在する場合も考えられる。このような理由により、メニュー画面には、設置状態に応じて必要な設定項目だけが表示されることが好ましい。
【0005】
本発明は、装置の設置状態に応じて変更した方が良いと考えられる設定項目をユーザーに提示できる画像表示装置および画像表示装置の制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の設定項目を記憶する設定項目記憶部と、設置状態を判定する設置状態判定部と、判定した設置状態に応じて、複数の設定項目の中から1以上の設定項目を抽出する設定項目抽出部と、設定項目抽出部によって抽出された1以上の設定項目をメニュー画面に表示するメニュー画面表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
本発明の画像表示装置の制御方法は、複数の設定項目を記憶する設定項目記憶ステップと、設置状態を判定する設置状態判定ステップと、判定した設置状態に応じて、複数の設定項目の中から1以上の設定項目を抽出する設定項目抽出ステップと、項目抽出ステップにおいて抽出された1以上の設定項目をメニュー画面に表示するメニュー画面表示ステップと、を実行することを特徴とする。
【0008】
これらの構成によれば、設置状態に応じて設定値を変更することが好ましい設定項目が抽出されてメニュー画面に表示されるため、ユーザーがどの設定項目について設定値を変更すればよいのかを考える必要がなく、簡単な操作で好ましい設定項目の設定変更を行うことができる。
【0009】
この場合、複数の設定項目の中から、1以上の設定項目を選択するための選択操作部をさらに備え、設定項目抽出部は、選択操作部により選択された設定項目を抽出することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、装置の設置状態に応じて抽出される設定項目を、ユーザーが所望のものにカスタマイズすることができる。
【0011】
この場合、各設定項目について、設置状態に応じた設定値を記憶する設定値記憶部をさらに備え、メニュー画面表示部は、設定項目と当該設定項目の設定値とを関連付けて表示することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ユーザーに対して現在の設定値を提示することができる。なお、メニュー画面の表示と共に、各設定項目は、設定値記憶部に記憶された設定値に変更されることが望ましい。これによれば、各設定項目が自動的に設置状態に応じた設定値に変更されるため、ユーザーによる個別の設定操作が必要ない。
【0013】
この場合、設定値記憶部に記憶されている各設定項目の設定値を変更するための設定値変更操作部をさらに備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ユーザーは、ある程度好ましい設定値にされた常態からより詳細な所望の設定を容易に行うことができる。
【0015】
この場合、複数の設定項目の中から、1以上の設定項目を選択するための選択操作部と、設置状態ごとに、選択操作部により選択された1以上の設定項目を不揮発に記憶する選択設定項目記憶部をさらに備え、選択設定項目記憶部に、設置状態判定部により判定された設置状態に対して少なくとも1以上の設定項目が記憶されている場合、設定項目抽出部は、判定した設置状態に応じて選択設定項目記憶部に記憶されている1以上の設定項目を抽出することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、任意の設置状態に対して一度、所望の設定項目を選択すれば、装置が再び当該設置状態に置かれたとき、自動的に所望の設定項目が抽出されたメニュー画面が表示される。すなわち、一度カスタマイズされたメニュー画面が次回以降自動的に表示されるため、利便性が良い。
【0017】
この場合、設置状態ごとに、設定値変更操作部により各設定項目の設定値が変更された回数を不揮発に記憶する操作回数記憶部をさらに備え、操作回数記憶部に、各設定項目の設定値が変更された回数が記憶されている場合、メニュー画面表示部は、各設置状態に応じ、メニュー画面において、各設定項目を、操作回数記憶部に記憶された回数にしたがった昇降順で表示することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、ユーザーが頻繁に操作する設定項目が上位に表示されるため、ユーザーにとって使い勝手の良いメニュー画面を表示することができる。
【0019】
この場合、各設置状態に対応する設置モードの中からいずれかにモードを切り替えるモード切替部をさらに備え、設置状態判定部は、モード切替部により切り替られたモードに応じて、設置状態を判定することが好ましい。
【0020】
この構成によれば、例えば電池の入れ替え時や修理時等、画像を表示するためでなくそれ以外の理由により、装置の設置状態を変化させた場合に、誤って設置状態を判定することがない。また、ユーザーの所望のタイミングによって設置状態を判定することができる。
【0021】
この場合、各設置状態を検出する状態検出部をさらに備え、設置状態判定部は、状態検出部の検出結果に応じて、設置状態を判定することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、設置状態に応じてモード切替を行うなどの手間を必要としない。
【0023】
この構成によれば、表示部は、設置状態判定部により判定された設置状態が変化したときに、メニュー画面を表示することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、設置状態の変化に伴って素早く、設置状態に応じた設定値を変更することが好ましい設定項目をユーザーに提示することができる。よって、ユーザーが設定変更のために、多数の設定項目を目にし、煩雑な操作を行うことを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】操作パネルの拡大上面図である。
【図3】標準メニュー画面の表示例を示す図である。
【図4】設置モードを示した模式図である。
【図5】簡単設定メニュー画面を示した図である。
【図6】カスタマイズ設定画面の表示例である。
【図7】簡単設定メニュー画面の表示処理を示したフローチャートである。
【図8】第2実施形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付の図面を参照し、本発明の一実施形態に係る画像表示装置および画像表示装置の制御方法について説明する。以下に説明する各実施形態では、画像表示装置として、装置の複数の設置状態に応じて、表示する画像の向きを反転させることのできるプロジェクターを例示する。なお、複数の設置状態とは、スクリーンに対して正面に装置を設置する「フロント」、装置を上下逆さにしてスクリーンの正面に天吊りする「天吊り」、および装置をスクリーンの裏側に設置する「リア」とする(図4参照)。また、本プロジェクターは、装置の設置状態をこれらの設置状態のいずれかに変化させたとき各設置状態に応じて設定値の変更を行うことが好ましいメニュー項目をユーザーに提示すべく、簡単設定メニュー画面をスクリーン上に投写する。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るプロジェクター10の構成を表すブロック図である。同図に示すように、プロジェクター10は、信号取得部11、操作パネル12、リモコン受光器13、OSD用メモリー14、カスタマイズ結果記憶部15a、中央制御部16、OSD処理部17、画像処理部18、投写制御部19および投写光学系20を備えている。
【0028】
信号取得部11は、パーソナルコンピューターやDVDプレーヤー等の外部機器70から画像信号を入力する。すなわち、信号取得部11は、パーソナルコンピューターから出力されたRBG信号や、DVDプレーヤーから出力されたコンポーネント信号を受信するインターフェースにより実現される。
【0029】
操作パネル12は、ユーザーが各種設定および操作を行うためのものであり、プロジェクター10本体に備えられている。リモコン受光器13は、プロジェクター10の遠隔操作を行うリモコン71からの操作信号を受光するためのものである。本実施形態においては、主にOSDメニュー画面に表示されるメニュー項目を選択して各種設定を行うために用いられる。また、装置の設置状態を示す「設置モード(「フロント」、「天吊り」および「リア」」の切替もこの操作パネル12およびリモコンによって行う。なお、請求項における「選択操作部」、「設定値変更操作部」、および「モード切替部」とは、操作パネル12およびリモコンを指す。
【0030】
OSDメニュー画面としては、多数のメニュー項目を階層順に表示する標準メニュー画面32(図3参照)と、標準メニュー画面32に対して表示されるメニュー項目数が少なく、装置の設置モードに応じてメニュー項目が抽出された簡単設定メニュー画面31(図5参照)と、が設けられている。なお、請求項における「メニュー画面」とは、簡単設定メニュー画面31を指す。
【0031】
OSD用メモリー14は、OSDメニュー画面に表示するデータを不揮発且つ書き換え不能に記憶するものであり、メニュー項目記憶部14a(設定項目記憶部)、設定値記憶部14b、およびデフォルト抽出項目記憶部14cを有する。
【0032】
メニュー項目記憶部14aは、OSDメニュー画面に表示する複数のメニュー項目を記憶している。メニュー項目は、階層構造を有しており、第1階層に属するメインメニュー項目、および第2階層に属するサブメニュー項目を有している。なお、簡単設定メニュー画面31には、主にこのサブメニュー項目の中からメニュー項目が抽出されて表示される。
【0033】
設定値記憶部14bは、メニュー項目記憶部14aが記憶している各メニュー項目に関連付けて、装置の設置モードごとに当該設置モードに好ましい設定値を記憶している。例えば、メニュー項目「操作ボタン反転」に関連付けて、設置モードが「フロント」の場合「なし」、設置モードが「天吊り」の場合「上下左右」、設置モードが「リア」の場合「左右」を記憶している(図5参照)。
【0034】
デフォルト抽出項目記憶部14cは、簡単設定メニュー画面31に表示するために、メニュー項目記憶部14aに記憶されたメニュー項目の中から抽出するメニュー項目を記憶している。デフォルト抽出項目記憶部14cは、設置モードに応じて抽出するメニュー項目(工場出荷時において設定された設置モードごとのメニュー項目)を記憶しており、例えば、設置モードが「フロント」の場合、抽出するメニュー項目として「操作ボタン反転」、「自動台形歪補正」、「スライド操作」、および「オートフォーカス」を記憶している(図6参照)。
【0035】
制御用メモリー15は、各種制御データを不揮発且つ書き換え可能に記憶するものであり、カスタマイズ結果記憶部15aを有する。請求項における「選択設定項目記憶部」とは、カスタマイズ結果記憶部15aを指す。カスタマイズ結果記憶部15aは、簡単設定メニュー画面31において設定項目および/または設定値をユーザーがカスタマイズした場合に、そのカスタマイズされた画面の表示内容を不揮発且つ書き換え可能に記憶する。ユーザーは、カスタマイズ設定画面36上のメニュー項目を操作パネル12またはリモコン71によって選択することによって、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目をカスタマイズすることができる。カスタマイズ結果記憶部15aは、このユーザーが選択したメニュー項目を装置の設置モードごとに記憶する。
【0036】
中央制御部16は、プロジェクター10全体を総括制御するものであり、設置状態判定部16aと、メニュー項目抽出部16bと、操作入力信号処理部16cと、を有している。
【0037】
設置状態判定部16aは、装置の設置状態が「フロント」、「天吊り」、および「リア」のいずれであるかを判定する。実際には、操作パネル12およびリモコン71の設置モードの切替操作信号を取得することによって設置状態を判定する。
【0038】
メニュー項目抽出部16bは、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目を、メニュー項目記憶部14aに記憶されたメニュー項目の中から設置モードに応じて抽出する。メニュー項目抽出部16bは、該当する設置モードに対して上記のカスタマイズ結果記憶部15aに少なくとも1以上のメニュー項目が記憶されていた場合は、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目として当該メニュー項目を抽出し、カスタマイズ結果記憶部15aにメニュー項目が記憶されていない場合は、デフォルト抽出項目記憶部14cに記憶されたメニュー項目を抽出する。
【0039】
操作入力信号処理部16cは、操作パネル12およびリモコン71から入力された各種操作信号に対して所定の処理を行う。具体的には、装置の設置モードに応じて操作パネル12の操作方向について上下左右の反転処理を行ったり、操作パネル12およびリモコンの一部入力を無効にする処理を行う。
【0040】
OSD処理部17は、中央制御部16からの制御信号に基づき、OSDメニュー画面の表示処理を実行する。具体的には、標準メニュー画面32の表示処理を行うと共に、設置状態判定部16aにより判定された装置の設置モードおよびメニュー項目抽出部16bにより抽出されたメニュー項目に応じて、簡単設定メニュー画面31の表示構成を変更する。
【0041】
画像処理部18は、信号取得部11により入力された画像信号に対し、予め記憶されている画像処理プログラムに基づいて、所定の画像処理を実行する。所定の画像処理としては、台形歪補正処理、画質調整処理、画像サイズ調整処理、ガンマ補正処理、画像合成(重量)処理等を行う。また、本実施形態では、装置の設置モードに応じて画像を上下、左右の反転処理を行う。
【0042】
投写制御部19は、OSD処理部17によって処理されたOSDメニュー画面や、画像処理部18により処理された画像を、後述する液晶ライトバルブ23の各画素に対応する階調値を導き出すことにより、全画面の階調値からなる画像データを生成し、当該画像データに基づいて投写制御を行う。
【0043】
投写光学系20は、スクリーンSC上に、OSDメニュー画面や映像を投写するものであり、ライトバルブ駆動部21と、光源部22と、3原色に対応した液晶ライトバルブ23(23R,23G,23B)と、投写レンズ24と、を有する。各液晶ライトバルブ23は、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。各透明基板の内面には、液晶に対して微小領域毎に駆動電圧を印加可能な透明電極が、画素としてマトリクス状に形成されている。ライトバルブ駆動部21は、液晶ライトバルブ23の各画素に、画像データに応じた駆動電圧を印加することにより、各画素の光透過率を設定する。つまり、光源部22から射出された照明光は、不図示の光分離光学系によって、R,G,Bの色光に分離された後、各色用の液晶ライトバルブ23を透過することによって変調される。また、変調された画像光は、不図示の光合成光学系(ダイクロイックプリズムなど)により画素毎に合成されてカラー画像化され、当該カラー画像化された画像光が投写レンズ24によって投写されることにより、スクリーンSC上にカラー映像が写し出される。なお、請求項における「メニュー画面表示部」とは、主に、OSD処理部17、投写制御部19および投写光学系20を指す。
【0044】
図2は、操作パネル12の拡大上面図である。操作パネル12は、電源ボタン41、メニューボタン42、戻るボタン43、選択ボタン44、および決定ボタン45を有している。選択ボタン44は、OSDメニュー画面上のメニュー項目を選択するためにカーソルを移動させるためのボタンである。また、選択ボタン44の左右一対のボタンは、出力音量の調節ボタンとしても機能する。なお、操作パネル12は、プロジェクター10本体に備えられているため、操作方向が装置の設置状態に影響される。よって、上下左右の操作方向を有する選択ボタン44は、設置モードに応じて操作入力信号処理部16cにより操作方向が反転処理される。
【0045】
図3は、設置モードを切り替える場合に表示される標準メニュー画面32の一例である。標準メニュー画面32には、メインメニューとして「拡張設定」が選択されており、サブメニューとして装置の設置状態を示す設置モード「フロント」、「天吊り」および「リア」が表示されている。ユーザーは、操作パネル12の選択ボタン44によりカーソルを移動させて所望の設置モードを選択し、決定ボタン45の押下により設置モードの切り替え操作を行う。
【0046】
図4は、装置の設置状態について説明した図である。同図(a)は、スクリーンSCに対して正面にプロジェクター10を設置する「フロント」の設置状態を示している。この場合、プロジェクター10の出力画像の表示向きと同一の表示向きでスクリーンSCに投写画像が投写される。また、操作パネル12の選択ボタン44の操作方向も反転は必要ない。同図(b)は、プロジェクター10を上下逆さにして天吊りする「天吊り」の設置状態を示している。この場合、プロジェクター10の出力画像に対して上下左右に反転処理が行われ、ユーザーに対して正しい向きで投写画像がスクリーンSCに投写される。また、操作パネル12の選択ボタン44の操作方向も同様に上下左右反転処理を行うことで、ユーザーの直感的操作方向と機械的操作方向を一致させることができる。同図(c)は、プロジェクター10をスクリーンSCの裏側に設置する「リア」の設置状態を示している。この場合、プロジェクター10の出力画像に対して左右に反転させることによって、ユーザーに対して正しい向きで投写画像がスクリーンSCに投写される。また、操作パネル12の選択ボタン44の操作方向も同様に左右反転処理を行うことで、ユーザーの直感的操作方向と機械的操作方向を一致させることができる。
【0047】
また、プロジェクター10は、設置モードの切替に応じて、各メニュー項目について、設定値記憶部14bに記憶された設定値に設定を変更する。
【0048】
図5は、各設置モードに応じて表示される簡単設定メニュー画面31の一例を示している。これらの簡単設定メニュー画面31は、上記の設置モードの切り替えが行われた直後にスクリーンSCにサブウィンドウ形式で表示される。簡単設定メニュー画面31は、抽出されたメニュー項目とその設定値が表示されるメインエリア33と、「選択」、「決定」、「解除」という文言と共に操作の意味を示すアイコンが表示された操作説明エリア34と、を有している。ユーザーは、操作説明エリア34の表示にしたがって、メインエリア33のメニュー項目を選択、操作することによって、所望の設定変更を行うことができる。また、操作説明エリア34には、簡単設定メニュー画面31のカスタマイズを行うためのカスタマイズボタン35が表示されている。なお、同図に示す簡単設定メニュー画面31は、デフォルト抽出項目記憶部14cの記憶内容に従って表示された簡単設定メニュー画面31である。
【0049】
同図(a)は、設置モードが「フロント」に切替られた場合に表示される簡単設定メニュー画面31である。簡単設定メニュー画面31には、抽出されたメニュー項目として、「操作ボタン反転」、「自動台形歪補正」、「スライド操作」、および「オートフォーカス」が表示されている。また、各メニュー項目に対して、設定値記憶部14bに記憶された設置モード「フロント」に応じた設定値が、関連付けて表示されている。設定値としては、「操作ボタン反転」に対して「なし」、その他のメニュー項目に対して「有効」が表示されている。
【0050】
同図(b)は、設置モードが「天吊り」に切替られた場合に表示される簡単設定メニュー画面31である。簡単設定メニュー画面31には、抽出されたメニュー項目として、「操作ボタン反転」、「自動台形歪補正」、「スライド操作」、「オートフォーカス」、「操作ボタンロック」、および「壁色補正」が表示されている。すなわち、メニュー項目として「操作ボタンロック」および「壁色補正」が表示される点で、上記の設置モード「フロント」に切り替えられた場合の簡単設定メニュー画面31と異なっている。また、各メニュー項目に対して、設定値記憶部14bに記憶された設置モード「天吊り」に応じた設定値が、関連付けて表示されている。設定値としては、「操作ボタン反転」に対して「上下左右」、その他のメニュー項目に対して「無効」が表示されている。
【0051】
同図(c)は、設置モードが「リア」に切替られた場合に表示される簡単設定メニュー画面31である。簡単設定メニュー画面31には、抽出されたメニュー項目として、「操作ボタン反転」、「自動台形歪補正」、「スライド操作」、「オートフォーカス」、および「操作ボタンロック」が表示されている。すなわち、メニュー項目として「操作ボタンロック」が表示される点で上記の設置モード「フロント」に切り替えられた場合の簡単設定メニュー画面31と異なっており、「壁色補正」が表示されない点で上記の設置モード「天吊り」に切り替えられた場合の簡単設定メニュー画面31と異なっている。また、各メニュー項目に対して、設定値記憶部14bに記憶された設置モード「リア」に応じた設定値が、関連付けて表示されている。設定値としては、「操作ボタン反転」に対して「左右」、その他のメニュー項目に対して「有効」が表示されている。
【0052】
続いて、簡単設定メニュー画面31のカスタマイズについて説明する。本実施形態では、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目およびその設定値をユーザーによってカスタマイズ設定が可能である。簡単設定メニュー画面31に表示されるカスタマイズボタン35を選択すると、図6に示すようなカスタマイズ設定画面36が表示される。このカスタマイズ設定画面36は、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目を設定するための画面であり、表示可能なメニュー項目としてデフォルト抽出項目記憶部14cに記憶されたメニュー項目が表示される。そして、各メニュー項目に対して「表示」もしくは「非表示」を設定可能となっている。「表示」を設定したメニュー項目は、簡単設定メニュー画面31に表示され、「非表示」を設定したメニュー項目が、簡単設定メニュー画面31に表示されない。なお、図示においては、すべて「表示」の設定となっている。また、このカスタマイズ設定画面36において、設定値のカスタマイズも可能である。すなわち、カスタマイズ設定画面36に表示された設定値を変更することによって、簡単設定メニュー画面31に表示される設定値を変更することができる。なお、設定値の変更については、簡単設定メニュー画面31においても変更可能である。
【0053】
このようにユーザーがカスタマイズした簡単設定メニュー画面31の表示内容は、カスタマイズ結果記憶部15aに記憶され、次回同じ設置モードに切り替えられた場合、簡単設定メニュー画面31には、デフォルト抽出項目記憶部14cに記憶されたメニュー項目および設定値記憶部14bに記憶された設定値ではなく、カスタマイズ結果記憶部15aに記憶された表示内容が表示される。これにより、ユーザーは、何度もカスタマイズ設定をする必要がなく、容易に設置モードに応じた所望の設定変更を行うことができる。なお、この場合、プロジェクター10は、設置モード切り替え時、カスタマイズ結果記憶部15aに記憶されているメニュー項目に関しては、記憶内容に応じて設定値の変更を行う。
【0054】
次に、図7のフローチャートを参照し、簡単設定メニュー画面31の表示処理について説明する。先ず、プロジェクター10(中央制御部16)は、操作パネル12およびリモコン71による設置モードの切り替え操作信号を受信すると(S01)、設置状態が「フロント」、「天吊り」および「リア」のいずれであるかの判定を行う(S02)。そして、判定結果の設置状態に応じた簡単設定メニュー画面31の表示内容がカスタマイズ結果記憶部15aに記憶されている場合(S03:Yes)、設定値記憶部14bおよびカスタマイズ結果記憶部15aの記憶内容にしたがって各メニュー項目の設定値を設置状態に応じたものに変更する(S04)。そして、カスタマイズ結果記憶部15aの記憶内容にしたがって、メニュー項目を抽出し、簡単設定メニュー画面31を表示する(S05)。
【0055】
一方、判定結果の設置状態に応じた簡単設定メニュー画面31の表示内容がカスタマイズ結果記憶部15aに記憶されていない場合(S03:No)、設定値記憶部14bの記憶内容にしたがって各メニュー項目の設定値を設置状態に応じたものに変更する(S06)。そして、デフォルト抽出項目記憶部14cの記憶内容にしたがって、メニュー項目を抽出し、簡単設定メニュー項目32を表示する(S07)。
【0056】
そして、簡単設定メニュー画面31に表示されたメニュー項目について設定値の変更操作がされた場合(S08:Yes)、設定値を変更すると共に変更された簡単設定メニュー画面31の表示内容をカスタマイズ結果記憶部15aに記憶する(S09)。また、簡単設定メニュー項目32表示するメニュー項目について変更操作された場合(S10:Yes)、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー項目を変更すると共に、変更された簡単設定メニュー画面31の表示内容をカスタマイズ結果記憶部15aに記憶する(S11)。一方、設定値やメニュー項目の変更操作がない場合、そのまま表示処理を終了する。
【0057】
以上説明した通り、本発明の第1実施形態によれば、プロジェクター10の設置状態の切り替え時に表示される簡単設定メニュー画面31のメニュー項目を、ユーザーがカスタマイズできるため、よりユーザーの要望に沿った利便性のよい簡単設定メニュー画面31を表示することができる。なお、本実施形態では、簡単設定メニュー画面31の設定を変更するたびにカスタマイズ結果記憶部15aにメニュー画面の表示内容を記憶する構成としたが、簡単設定メニュー画面31の表示終了時にユーザーに対して設定を保存するかを問う確認画面を表示する構成としてもよい。
【0058】
なお、本実施形態では、図5の簡単設定メニュー画面31に表示されるカスタマイズボタン35を選択すると、図6に示すような、カスタマイズ設定画面が表示されるが、図3の標準メニュー画面32の「拡張設定」内から、図6に示すような、カスタマイズ設定画面を呼び出すようにしてもよい。その場合は、図7のフローチャートにおけるステップS10とS11は不要となる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、上記の第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。図8に示すよう、本実施形態のプロジェクター10は、カスタマイズ結果記憶部15aに替えて、簡単設定メニュー画面31において設定値を変更した操作回数を記憶する操作回数記憶部15bを有し、簡単設定メニュー画面31に表示するメニュー画面を操作回数記憶部15bの記憶内容にしたがってソートする点で、上記の第1実施形態と異なっている。
【0060】
操作回数記憶部15bは、プロジェクター10の設置モードごとに、簡単設定メニュー画面32に表示された各メニュー項目の設定値の変更が行われた操作回数を記憶する。この操作回数から、設置モードごとの各メニュー項目の累計操作回数を得ることができる。プロジェクター10(中央制御部16)は、切り替えられた現在の設置モードに対して、操作回数記憶部15bに少なくとも1以上のメニュー項目について操作回数が記憶されている場合、簡単設定メニュー画面32に表示するメニュー項目を操作回数の昇降順になるよう表示順を入れ替えて表示する。一方、操作回数記憶部15bにどのメニュー項目についても操作回数が記憶されていなかった場合、プロジェクター10(中央制御部16)は、デフォルト抽出項目記憶部14cの記憶内容にしたがって、簡単設定メニュー項目32を表示する。
【0061】
以上説明した通り、本発明の第2実施形態によれば、使用頻度の高いメニュー項目を上位に表示した簡単設定メニュー画面31を表示するため、ユーザーの特別な設定を必要とせずに、常にユーザーの利用状況に沿った利便性のよい簡単設定メニュー画面31を表示することができる。
【0062】
なお、メニュー項目抽出部16bは、操作回数が多い順にメニュー項目を表示するものとしたが、操作回数記憶部15bに記憶された選択履歴の選択日時が新しい順にメニュー項目を表示するようにしてもよい。この場合、操作回数記憶部15bは、各メニュー項目の操作回数を操作日時と関連付けて記憶しておくことが好ましい。また、上記した2つの抽出条件(操作回数順もしくは操作日時順)のうち、いずれを採用するかについて、ユーザーが操作パネル12等を用いて選択できるようにしてもよい。
【0063】
これまで説明してきたプロジェクター10およびプロジェクター10の制御方法によれば、プロジェクター10の設置状態に応じて設定を変更するべきメニュー項目が抽出された簡単設定メニュー画面31を表示することにより、ユーザーは、多数の不要なメニュー項目を見ることなく、容易に所望の設定変更を行うことができる。プロジェクター10の設置状態の変化に対して知識のない初心ユーザーにとって、予め設置状態に応じたメニュー項目が抽出された簡単設定メニュー画面31は利便性がよい。さらに、上記の実施形態において説明したようにカスタマイズ機能やソート機能によって、常にユーザーの用途や好みに応じたメニュー項目を表示することができ、機能を熟知したユーザーにとっても使い勝手がよい。
【0064】
なお、上記の第1実施形態および第2実施形態では、プロジェクター10の表示方式として、透過型液晶表示方式を採用しているが、反射型液晶表示方式、CRT表示方式やライトスイッチ表示方式(マイクロミラーデバイス方式)など、プロジェクター10の表示原理は問わない。また、表示装置の一例として、プロジェクター10を例示したが、テレビ、パーソナルコンピューター、ゲーム機器などの他の表示装置に本発明を適用してもよい。
【0065】
また、上記の表示装置における各部をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを記憶媒体(図示省略)に格納して提供することも可能である。すなわち、コンピューターを表示装置の各部として機能させるためのプログラム、およびそれを記録した記憶媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更が可能である。
【0066】
なお、上記の実施形態では、操作パネル12およびリモコンの操作により設置モードを切り替え、この設置モードの切り替えによりプロジェクター10の設置状態を判定する構成としたが、角度センサ等で構成されたプロジェクター10本体の設置状態を検出する検出部を設け、検出部の検出結果によって設置状態を判定する構成としてもよい。
【0067】
なお、プロジェクター10の設置モードについて、装置を上下逆さにしてスクリーンSCの裏側に天吊りする「リア天吊り」でも適用可能である。この場合、出力画像および操作パネル12の操作方向は、上下左右逆転させる。また、設置状態としては、上記の例以外に横置き(装置の左側または右側の側面を下にした置き方)や、投写レンズを天井に向ける置き方(装置の背面を下にした置き方)も判定可能としても良い。
【0068】
また、簡単設定メニュー画面31において、メニュー項目の機能が一目で把握できるように、表示されるメニュー項目に機能を表すアイコン等を付加して表示してもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 プロジェクター 12 操作パネル 14a メニュー項目記憶部
14b 設定値記憶部 15a カスタマイズ結果記憶部 15b 操作回数記憶部 16a 設置状態判定部 16b メニュー項目抽出部 31 簡単設定メニュー画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設定項目を記憶する設定項目記憶部と、
設置状態を判定する設置状態判定部と、
判定した前記設置状態に応じて、前記複数の設定項目の中から1以上の設定項目を抽出する設定項目抽出部と、
前記設定項目抽出部によって抽出された1以上の設定項目をメニュー画面に表示するメニュー画面表示部と、を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記複数の設定項目の中から、前記1以上の設定項目を選択するための選択操作部をさらに備え、
前記設定項目抽出部は、前記選択操作部により選択された前記設定項目を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記各設定項目について、前記設置状態に応じた設定値を記憶する設定値記憶部をさらに備え、
前記メニュー画面表示部は、前記設定項目と当該設定項目の設定値とを関連付けて表示することを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記設定値記憶部に記憶されている前記各設定項目の設定値を変更するための設定値変更操作部をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記複数の設定項目の中から、前記1以上の設定項目を選択するための選択操作部と、
前記設置状態ごとに、前記選択操作部により選択された1以上の設定項目を不揮発に記憶する選択設定項目記憶部をさらに備え、
前記選択設定項目記憶部に、前記設置状態判定部により判定された前記設置状態に対して少なくとも1以上の設定項目が記憶されている場合、
前記設定項目抽出部は、判定した前記設置状態に応じて前記選択設定項目記憶部に記憶されている前記1以上の設定項目を抽出する請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記設置状態ごとに、前記設定値変更操作部により前記各設定項目の設定値が変更された回数を不揮発に記憶する操作回数記憶部をさらに備え、
前記操作回数記憶部に、前記各設定項目の設定値が変更された回数が記憶されている場合、
前記メニュー画面表示部は、各設置状態に応じ、前記メニュー画面において、前記各設定項目を、前記操作回数記憶部に記憶された回数にしたがった昇降順で表示することを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記各設置状態に対応する設置モードの中からいずれかにモードを切り替えるモード切替部をさらに備え、
前記設置状態判定部は、前記モード切替部により切り替られたモードに応じて、前記設置状態を判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記各設置状態を検出する状態検出部をさらに備え、
前記設置状態判定部は、前記状態検出部の検出結果に応じて、前記設置状態を判定することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、前記設置状態判定部により判定された設置状態が変化したときに、前記メニュー画面を表示することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項10】
複数の設定項目を記憶する設定項目記憶ステップと、
設置状態を判定する設置状態判定ステップと、
判定した前記設置状態に応じて、前記複数の設定項目の中から1以上の設定項目を抽出する設定項目抽出ステップと、
前記項目抽出ステップにおいて抽出された1以上の設定項目をメニュー画面に表示するメニュー画面表示ステップと、を実行することを特徴とする画像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−168793(P2012−168793A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29950(P2011−29950)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】