説明

画像表示装置および端末装置

【課題】反射表示において明るさが低下せず、表示品質が優れた画像表示装置及びそれを使用した携帯端末を提供する。
【解決手段】第1視点用の画像を表示する画素51及び第2視点用の画像を表示する画素52を含む表示素子13が複数配列され、前記画素51,52は光を透過する透過表示領域511,521と、外光を反射する反射表示領域512、522を有し、前記画素51,52から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段3を備えた表示装置において、前記表示単位内の反射表示領域は画像振分方向と垂直な軸に対して非対称に配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の視点に異なる画像を表示し得る画像表示装置およびそれを搭載した端末装置に係り、特に立体画像を優れた品質で表示し得る画像表示装置および端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の視点に異なる画像を表示し得る画像表示装置の検討が行われている。その1例として、画像分離が可能な光学素子を用いて複数の視点に異なる表示をすることを可能とした立体液晶表示装置がある。
【0003】
この機能を具体的に実現するため、これまでに多くの立体画像表示方式が検討されている。この種の立体画像表示方式としては、眼鏡を使用する方式と眼鏡を使用しない方式とに大別することができる。この内、眼鏡を使用する方式には、色の違いを利用したアナグリフ方式および偏光を利用した偏光眼鏡方式等がある。
【0004】
一方、上記各方式は、本質的に眼鏡をかける煩わしさを避けることができない。このため、近年では眼鏡を使用しない眼鏡なし方式が盛んに検討されている。この眼鏡なし方式には、パララックスバリア方式及びレンチキュラレンズ方式等がある。かかる方式にあっては、それぞれ、左右両眼に視差のある画像を夫々提示することによって立体画像表示装置を実現することができるようになっている。
【0005】
この眼鏡なし方式におけるレンチキュラレンズ方式は、例えば非特許文献1に記載されているように、Ives等により1910年頃に提案されている。図28に、このレンチキュラレンズ121の例を示す。図28に示すように、レンチキュラレンズ121は一方の面が平面となっており、他方の面には、一方向に延びるかまぼこ状の凸部(シリンドリカルレンズ)122が、その長手方向が相互に平行になるように複数個形成されている。
【0006】
又、レンチキュラレンズ121を使用する場合の立体表示方法に関する光学モデル図を、図30に示す。図30に示すように、観察者側から順に、レンチキュラレンズ121,表示パネル106,光源108が配置されており、レンチキュラレンズ121の焦点面に表示パネル106の画素が位置している。
【0007】
前述した図30において、表示パネル106にあっては、右眼141用の画像を表示する画素123と左眼142用の画像を表示する画素124とが交互に配列されている。この場合、相互に隣接する画素123及び画素124からなる群は、レンチキュラレンズ121の各凸部122に対応している。これにより、光源108から出射し各画素123,124を透過した光は、レンチキュラレンズ121の凸部122により左右の眼に向かう方向に振り分けられる。これにより、左右の眼に相互に異なる画像を認識させることが可能となり、観察者に立体画像を認識させることとなる。
【0008】
一方、パララックスバリア方式は、1896年にBerthierが着想し、1903年にIvesによって実証された。前述した図29は、パララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。図29に示すように、パララックスバリア105は、細い縦縞状の多数の開口(即ち、スリット105a)が形成されたバリア(遮光板)である。そして、このパララックスバリア105の一方の表面の近傍には、表示パネル106が配置されている。
【0009】
この表示パネル106においては、スリット105aの長手方向と直交する方向に右眼用画素123及び左眼用画素124が配列されている。また、パララックスバリア105の他方の表面の近傍、即ち、表示パネル106の反対側には、光源108が配置されている。
【0010】
そして、光源108から出射された光の内、パララックスバリア105の開口部(スリット105a)を通過し更に右眼用画素123を透過した光は、図29に示すように光束181となる。同様に、光源108から出射された光の内、スリット105aを通過し更に左眼用画素124を通過した光は、光束182となる。このとき、立体画像の認識が可能となる観察者の位置は、パララックスバリア105と画素との位置関係により決定される。即ち、観察者の右眼141は、複数の右眼用画素123に対応する全ての光束181の通過域内にあり、且つ、観察者の左眼142は、全ての光束182の通過域内にあることが必要となる。
【0011】
これは、図29において、観察者の右眼141と左眼142との中点143が図29に示す四角形の立体可視域107内に位置する場合である。立体可視域107における右眼用画素123及び左眼用画素124の配列方向に延びる線分のうち、立体可視域107における対角線の交点107aを通る線分が最も長い線分となる。このため、中点143が交点107aに位置するとき、観察者の位置が左右方向にずれた場合の許容度が最大となるため、観察位置としては最も好ましい。
【0012】
従って、この立体画像表示方法においては、この交点107aと表示パネル106との距離を最適観察距離OD(=S)とし、この距離Sで観察することを観察者に推奨している。尚、立体可視域107における表示パネル106からの距離が最適観察距離Sとなる仮想的な平面を、最適観察面107bという。これにより、観察者の右眼141及び左眼142に夫々右眼用画素123及び左眼用画素124からの光が到達することになる。このため、観察者は表示パネル106に表示された画像を、立体画像として認識することが可能になる。
【0013】
パララックスバリア方式は、当初考案された際には、パララックスバリアが画素と眼との間に配置されていたこともあって目障りで視認性が低い点が課題となっていた。しかしながら、近時の液晶表示装置の実現に伴って、図29に示すように、パララックスバリア105を表示パネル106の裏側に配置することが可能となって視認性が改善された。このため、パララックスバリア方式の立体画像表示装置については、現在盛んに検討が行われている。
【0014】
ここで、上述したパララックスバリア方式は不要な光線をバリアにより「隠す」方式であるのに対し、前述したレンチキュラレンズ方式は光の進む向きを変える方式である。このため、後者のレンチキュラレンズ方式は、原理的に表示画面の明るさの低下がないという利点を有する。かかる利点があるため、このレンチキュラレンズ方式は、特に高輝度表示及び低消費電力性能が重視される携帯機器等への適用が検討されつつある。尚、従来のレンチキュラレンズを使用した立体画像表示装置は、透過型液晶表示装置を表示パネルとして使用している。
【0015】
また、レンチキュラレンズを使用した画像表示装置としては、上述した立体画像表示装置の他にも、複数の画像を同時に表示する複数画像同時表示装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この複数画像同時表示装置は、レンチキュラレンズによる画像の振分機能を利用して、観察する方向毎に異なる画像を同時に同一条件で表示するディスプレイである。
【0016】
これにより、1台の複数画像同時表示装置が、この表示装置に対して相互に異なる方向に位置する複数の観察者に対して、相互に異なる画像を同時に提供することができる。特許文献1には、この複数画像同時表示装置を使用することにより、通常の1画像表示装置を同時に表示したい画像の数だけ用意する場合と比較して、設置スペース及び電気代を低減し得るようになっている。
【0017】
また、反射板を有する反射型画像表示装置を表示パネルとして使用することが検討されている。この反射型画像表示装置は、外部から入射した光を表示装置内部に位置する反射板により反射し、この反射光を表示光源として利用するため、光源としてのバックライト又はサイドライトが不要になる。
【0018】
一方、透過型画像表示装置はバックライト又はサイドライト等の光源が必要である。従って、表示パネルに反射型画像表示装置を使用すると、透過型画像表示装置を使用した場合よりも、低消費電力化を達成できる。このため、近年では携帯機器等への反射型画像表示装置の適用が進められている。
【0019】
しかしながら、このように、反射型画像表示装置を使用した場合は、反射板の形状が平坦面であるときには、外光は鏡面のように反射されるため、例えば蛍光灯等の光源の模様が映り込み、表示品質が低下するという問題がある。又、観察者に対し、ある特定の角度からの入射光しか表示に寄与しなくなるため、外光の利用効率が低下するという問題がある。
【0020】
これを改善するため、特許文献2では、反射板に凹凸形状を設ける技術が提案されている。図31に凹凸形状を備えた反射板の構造例を示す。この特許文献2にあって、反射板41の下層には有機膜が設けられ、その有機膜の表面に凹凸を形成することにより反射板41の表面に凹凸形状41aを形成している。この凹凸形状により、特定方向から入射した外光は、種々の方向に拡散して反射される。また、種々の方向から入射した外光は、観察者方向にも反射される。この結果、光源模様の映り込みを防止し、種々の角度を有する外光を表示に活用できることになる。
【0021】
また、特許文献3には、反射機能を有する立体画像表示装置が提案されている。この特許文献3に記載の反射型立体画像表示装置の模式図を図33に示す。又、図32に示すように、表示パネル2においては、1表示単位内に左眼用の画像を表示する画素及び右眼用の画像を表示する画素を含む複数個の表示単位が、マトリクス状に配置されている。
【0022】
レンチキュラレンズ3は、表示パネル2の前方に配置され表面に凸形状が繰り返し形成されていて前記各画素から出射した光を前記各表示単位内の前記左眼用の画像を表示する画素と右眼用の画像を表示する画素とを結ぶ左右方向に振り分ける機能(図32,図33参照)を備えている。反射板4は外光を前記表示パネルに向けて反射するが、この反射板4の表面に、前述した凹凸形状41が形成されている。そして、レンズの焦点距離fは反射板4の表面とレンズの頂点との間の距離HRとは異なる。
【0023】
図33の反射型立体画像表示装置においては、レンチキュラレンズ3により集光された光が、反射板4の表面で一定の面積を有するため、凹凸形状の斜面及び平坦部等、複数の種類の傾斜角で反射され、反射光は様々な角度に進行する。この一部分は観察者方向にも進行するため、表示に寄与することができる。これにより凹凸形状に起因する輝度低下を防止することができる。即ち、これはレンズ焦点位置を反射板位置から離し、拡大される領域の焦点をずらすことにより画像振分け像をぼかす方法と言える。本明細書においてはこの技術を、以下「デフォーカス効果」と称する。
【0024】
このように、レンチキュラレンズ3を使用した上記立体画像表示装置及び反射型平面表示装置は、その原理的内容は夫々公知であり、これを応用した反射型・半透過型立体画像表示装置についても、近時にあっては関係各方面で盛んな技術的検討がなされている。
【非特許文献1】増田千尋著「3次元ディスプレイ」産業図書株式会社
【特許文献1】特開平06−332354号公報
【特許文献2】特開平8−184846号公報
【特許文献3】特開2004−280079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
ところで、本発明にかかる発明者らは、前述した立体画像表示装置と反射型・半透過型平面表示装置とを組み合わせることにより、反射表示において立体画像表示が可能な表示装置を実現し、低消費電力化を図るべく鋭意検討した。この結果、以下に示すような新たな問題点が明らかになった。
【0026】
まず、反射型・半透過型表示パネルにおいて画素内反射表示領域は、反射表示の均一性を保持するために画素内の定位置に配置されている。このため、画素がマトリクス状に配列した表示パネルでは、画素マトリクスの周期に応じて反射表示領域は周期的な配置となる。特に、隣接する画素間の境界領域は、データ線、走査線などが配線される場合が多く非反射表示領域となる。また、トランジスタ(TFT)が存在する場合はブラックマトリクス(BM)で遮光し、非反射表示領域となる。
【0027】
従って、レンズ等の画像振分手段は、例えば図34に示すように、表示パネル2の二画素(左眼用画素51、右眼用画素52)に対応して配置された場合には、画素内の非反射表示領域70が拡大されると反射表示が視認できない観察領域が発生し、反射表示の視認性が低下する。
【0028】
また、レンズ焦点位置に反射表示領域が部分的にある場合であっても、画素内の反射板が画素配列に応じて規則的に配置されると、画像振分方向に画素を通る光を分離するため、反射板による表示むらが特定の観察位置のみで視認されることになる。加えてレンズの効果で画素を拡大表示するため、表示むらが拡大表示される場合がある。
【0029】
即ち、本来、一様な輝度を有する筈の立体可視域において、観察位置によっては部分的に輝度が低下する領域が発生するという問題である。この場合、観察位置を変化させると、輝度が低下した位置では表示が暗くなって見え、場合によっては暗線の模様が観察される。また、この輝度のムラによって立体画像表示の品質は低下する。
【0030】
更に、表示ムラを低減するためには、拡大される領域の焦点をずらすことにより画像振分け像をぼかす方法が考えられる(特許文献3)。しかしながら、この特許文献3に記載の技術を適用した場合であっても、以下のような問題が発生する。即ち、デフォーカス効果により、輝度低下は低減されるものの焦点が合っていないため像がぼやける。従って、像をぼかすと同時に画像分離性能が低下するため、立体画像の表示品質が低下する。
【0031】
また、平面表示パネル上への画像振分光学手段の実装時に重ねズレが生じた場合、表示素子上での焦点位置が最適な設計配置よりずれるため、デフォーカスの効果は大きく低減する。更に、画像振分光学手段のたわみや熱収縮が発生した場合には、面内で均一なデフォーカス効果を得られずデフォーカスされた画像がムラとなって表示されるため、立体画像の表示品質が大きく低下する。
【0032】
本発明は、特に画像表示用の表示素子の領域における非反射表示領域の拡大を有効に抑制して観察領域の拡大を図ると共に反射視認性の低下を抑制し、これによって立体画像の表示品質の向上を図った画像表示装置およびこれを利用した端末装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的を達成するため、本発明にかかる画像表示装置は、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示素子が複数配列され、前記各画素は光を透過する透過表示領域と外光を反射する反射表示領域とを有し、前記各画素から出射した光を一方と他方の相互に異なる方向に振り分ける光学手段を備えた画像表示装置において、前記光学手段に対応して配設される複数の前記各表示素子が、少なくとも前記反射表示領域の配置が異なる二種類以上のパターンを使用すると共に、前記各表示素子が前記光学手段による出射光振り分け方向に直交する方向に配置されていると共に、前記各表示素子の反射表示領域を前記各画素の面上に配置し、且つ当該反射表示領域を前記各表示素子の中心点を結ぶ任意の線分に対してそれぞれ非対称となるように配置し、前記反射表示領域の配置が異なる各表示素子の内、同一パターンの前記反射表示領域を備えた前記表示素子を前記各画素の面上で且つ前記光学手段による出射光振り分け方向に沿って周期的に繰り返し配置したことを特徴とする。
【0034】
上記目的を達成するため、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示素子が複数配列され、前記各画素は光を透過する透過表示領域と外光を反射する反射表示領域とを有し、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線とを備え、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対は当該画素間に配置された前記ゲート線によりその動作が制御され、かつ前記隣接画素対を構成する画素は夫々異なる前記データ線に接続されると共に、前記ゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は夫々異なる前記ゲート線に接続され、前記各画素から出射した光を前記ゲート線の延伸方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段を備え、前記画素スイッチング手段の配置箇所を覆うようにして前記各画素の反射表示領域を配置すると共に、この反射表示領域に外光を反射する反射板を設けたことを特徴とする。
【0035】
又、上記目的を達成するため、本発明にかかる端末装置では、前述した画像表示装置を、表示用として装備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0036】
本発明によると、反射表示領域を各表示素子を通過して設定される任意の線分に対して非対称に配置するという手法を採り、これにより透過表示領域の有効利用を図ると共に観察領域の拡大および立体画像の表示品質の向上を図ることができるという従来にない優れた画像表示装置および端末装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
ここで、図1は本第1実施形態における立体画像表示装置の表示素子部分を示す概略斜視図、図2は図1の表示素子部分を含む立体画像表示装置の全体的な構成を示す概略断面図、図3は図2を含む本第1実施形態の立体画像表示の原理を示す概念図、図4は本第1実施形態における図2を含む立体画像表示装置の一部を示す上面図、図5は図4を含む本第1実施形態に係る立体画像表示装置の画素駆動用のトランジスタの配置例を示す模式図、図6は図5の一部で本第1実施形態の画素部分の例を示す上面図である。
【0038】
<構成>
最初に、本第1実施形態の基本的な構成を説明する。
図1において立体画像表示装置1は、観察者側にレンチキュラレンズ3が配設されている。このレンチキュラレンズ3は表示パネル200上に積層されている。表示パネル200は半透過型液晶表示パネルであり、その基本構成は、図2に示すようにTFT基板2aと、このTFT基板2aに対向して配設された対向基板2bと、この各基板相互間に配設された液晶層5とにより構成されている。
【0039】
又、画像表示装置である上記立体画像表示装置1は、第1視点用の画像を表示する画素52と第2視点用の画像を表示する画素51を含む複数の表示素子13を同一面上に配列して備えている。この内、前記各画素51,52は、それぞれ光を透過する透過表示領域511,521と、外光を反射する反射表示領域512,522とを有し、更に、前記各画素52,51から出射した光を前記各視点位置に対応して一方と他方の相互に異なる方向に振り分ける光学手段(出射光振り分け手段)であるレンチキュラレンズ3が上述したように各表示素子13に対応して装備されている。
【0040】
更に、図4に示すように、前述した各表示素子13の反射表示領域512,522が、前記各画素51,52の面上で且つ前記レンチキュラレンズ(光学手段)3による出射光振り分け方向に直交する方向に配置された前記各表示素子13を通過して設定される任意の線分、例えば前記各表示素子13の中心点(重心点でも可)59を結ぶ線分YG 57に対してそれぞれ非対称に配置されている。又、この線分YG 57に平行な線分YL 55は各画素51の中心点を通過する共通の中心線を示し、前記線分YG 57に平行な線分YR 56は各画素52の中心点を通過する共通の中心線を示す。
【0041】
このため、本第1実施形態では、反射表示領域512,522を画素51,52内に非対称に配置するという手法を採用したので、非反射表示領域(透過表示領域)を広く設定することができ(即ち、非反射表示領域の有効利用)が可能となり、これにより同時に観察領域の拡大および立体画像の表示品質の向上を図ることが可能となった。
【0042】
前述したレンチキュラレンズ(光学手段)3に対応して配設される複数の前記各表示素子13として、本第1実施形態では、少なくとも前記反射表示領域512,522の配置が異なる少なくとも二種類以上の表示素子13が使用されている。そして、この各反射表示領域512,522の配置が異なる各表示素子13の内、同一パターンの反射表示領域(例えば512)を備えた表示素子13が、画像振分方向14に沿って周期的に配設されている(図4参照)。また、反射表示領域512,522の配置が異なる各表示素子13は、画像振分け方向14と直交する方向へ交互に隣接して配置される。
【0043】
更に、前述した共通の中心線YG 57に沿った方向で相互に隣接する各表示素子13は、当該各表示素子13の少なくとも二つ以上を相互に重ねて透視した場合に、当該各表示素子13が備えている前記反射表示領域512,522が、中心線YG57に沿った方向で相互に隣接する画素間における反射表示領域がない部分を互いに補いつつ、前記出射光振り分け方向に対して互いの反射領域面積を増やすように配置されている。これにより、反射領域は出射光振り分け方向へほぼ連続的に光を反射することができる。
【0044】
又、前述した各画素51,52の区画領域内には当該各画素51,52の表示動作を可変制御する駆動回路が配設されている。そして、この駆動回路の上面に前記各画素51,52の反射表示領域512,522を配設した構成となっている。ここで、各画素51,52用の駆動回路としては、図6内に開示したトランジスタ4TFTを主要部とするスイッチング回路(画素スイッチング手段)により構成されている。このため、図5に示す各画素P11,P12,P13……では透過表示領域511,521がより広く設定されるので、より鮮明な画像情報を観察領域に送出することができ、前述した発明の目的を有効に達成することができる。
【0045】
以下、これを更に詳述する。
表示パネル200の上には、前述したようにレンチキュラレンズ3が配置されている。このレンチキュラレンズ3は、凸部31が一定のピッチで現れる湾曲した表面(シリンドリカル面)が多数形成されている。このシリンドリカル面は、左眼用画素51と右眼用画素52で構成される表示素子13に対して凸部31が対応するように配置されている。したがって、表示パネル200は、左眼用画素51と右眼用画素52で構成される表示素子13を有し、この表示素子13が図5に示すようにマトリクス状に配列されている。
【0046】
又、図2に示すように、TFT基板2aの液晶層側の表面には画素電極4PIXおよび反射用画素電極4RPIが設けられ、対向基板2bの液晶層側の表面に共通電極4COMが形成されている。画素51,52には、画素電極4PIX及び共通電極4COMが設けられ、走査線により対応する画素電極4PIXと共通電極4COMとが選択され、両者間に電圧を印加されて液晶の配向が制御され、これによって画像表示が実行される。透過モードで表示する場合には、表示パネル2の背面側に設置されたバックライト(BL:図示せず)を発光させて、このバックライトからの透過光を利用して画像表示がなされる。
【0047】
本第1の実施形態においては、前述したようにTFT基板2aの液晶層側に反射板41が配置されている。反射板41は、例えば図31に示すような凹凸形状4aと同等の凹凸形状41aを有する。この凹凸形状41aの大きさは、従来の反射型液晶表示装置の反射板の凹凸形状と同様であるが、一例として、2〔μm〕の高さ、及び10〔μm〕のピッチを適用した。また、この凹凸形状の高さによって反射領域のギャップを調整できるため、透過領域と反射領域のギャップを最適化することができる。この反射板41は、後述する右目用および左目用の各反射表示領域512,522に配設されている。また、反射板41の上層には、反射領域用の画素電極4RPIXが設けられ、反射領域の液晶分子を駆動することができる。
【0048】
左眼用画素51と右眼用画素52の各々には、その領域内に、表示装置外部より入射された光を反射するための領域として右眼用反射表示領域512、左眼用反射表示領域522が設けられている。又、光を透過するための領域として、右眼用透過領域511、左眼用透過領域521が設けられている。本第1実施形態においては、右眼用反射表示領域512、左眼用反射表示領域522の面積は同じであり、左右の眼へ入る反射光の光量が同じくなるように設定されている。同様に、透過モードでの画像表示が左右の眼で同じくなるように、右眼用透過領域511、左眼用透過領域521の面積は同じ大きさである。
【0049】
本第1実施形態では、前述した如く、1個の左眼用画素51と1個の右眼用画素52とから1つの表示素子13が構成され、各表示素子13において、左眼用画素51から出射された光と、右眼用画素52から出射された光とが、レンチキュラレンズ3を構成する単一の各1個のシリンドリカルレンズ3aにより左眼と右眼とに向けて振り分けられる。
【0050】
この場合に、外光はレンチキュラレンズ3、透明基板(対向基板)2b、及び液晶層5を透過して、液晶層5の下面に位置する反射板41にて反射し、再度、液晶層5、透明基板2b及びレンチキュラレンズ3を透過する。このとき、反射板41に対し、特定方向から入射した外光は、反射板41の表面の凹凸形状41aにより、種々の方向に拡散して反射し、観察者方向にも反射する。これにより、光源模様の映り込みを防止し、種々の角度を有する外光を表示に活用できることができる。
【0051】
ここで、図1乃至図2の各図にあっては、便宜上、以下のようにXYZ直交座標系(三次元直交座標系)を設定する。即ち、左眼用画素51及び右眼用画素52が繰り返し配列される方向において、左眼用画素51から右眼用画素52に向かう方向を+X方向とし、その反対方向を−X方向とする。+X方向及び−X方向を総称してX軸方向という。又、シリンドリカルレンズの長手方向をY軸方向とする。
【0052】
更に、X軸方向及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向とし、このZ軸方向のうち、左眼用画素51又は右眼用画素52が配置された面からレンチキュラレンズ3に向かう方向を+Z方向とし、その反対方向を−Z方向とする。+Z方向は前方、即ち、使用者に向かう方向であり、使用者は表示パネル200の+Z側の面を視認することになる。そして、+Y方向は、右手座標系が成立する方向とする。即ち、人の右手の親指を+X方向、人差指を+Y方向に向けたとき、中指は+Z方向を向くようにする。
【0053】
上述した如く図1及び図2にXYZ直交座標系を設定すると、単一の各シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸方向となり、左眼用の画像と右眼用の画像はX軸方向に沿って分離されることになる。又、左眼用画素51及び右眼用画素52からなる表示素子がY軸方向に一列に配列される。X軸方向における画素対の配列周期はシリンドリカルレンズの配列周期と略等しくなっている。一つのシリンドリカルレンズ3aには、表示素子13がY軸方向に配列した列が対応して配置されている。
【0054】
図4に立体画像表示装置1の上面図を示す。本第1実施形態においては、シリンドリカルレンズ3aの配列方向はX軸に沿った方向であり、従って、X軸方向は画像振り分け方向14となる。又、左眼用画素51,右眼用画素52,表示素子13について、Y軸に沿って当該Y軸に平行に設けられた各部材(例えば各画素の反射表示領域)の中心線をそれぞれ左目用画素中心軸線YL55、右眼用画素中心軸線YR56、表示素子中心軸線YG 57とする。各シリンドリカルレンズ3aの形状は一方向に延びるかまぼこ状であるため、焦点は表示素子13の中心線YG 57上に位置している。尚、説明を簡略化するため、立体表示装置の上面図を用いる場合は、2次元空間(2次元面)であると仮定して説明する。
【0055】
表示パネル200は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を有するアクティブマトリクス型の液晶表示パネルである。薄膜トランジスタは各画素に表示信号を伝送するためのスイッチとして作用し、このスイッチを操作するのは、各スイッチのゲートに接続されたゲート線を流れるゲート信号である。本第1実施形態においては、図5に示すように、TFT基板2a(図2参照)の内側の面、即ち+Z方向側の面に、行方向(即ちX軸方向)に延伸するゲート線G1乃至G5が配置されている。尚、ゲート線G1乃至G5を総称してゲート線Gとも呼称する。
【0056】
更に、TFT基板2aの同じ面には、列方向、即ちY軸方向に延伸するデータ線D1乃至D7が配置されている。データ線D1乃至D7を総称してデータ線Dとも呼称する。データ線は薄膜トランジスタに表示データ信号を供給する役割を果たす。本第1実施形態においては、ゲート線GはX軸方向に延伸し、Y軸方向に複数配列している。
【0057】
また、データ線DはX軸方向に複数配列している。そして、ゲート線とデータ線の交点近傍に、画素(左眼用画素51又は右眼用画素52)が配置されている。特に図5においては、画素のゲート線及びデータ線との接続関係を明確にするため、例えば、ゲート線G3とデータ線D2に接続された画素をP32と表記している。即ち、Pの次の数字がゲート線のGの後の数字であり、更にその次の数字がデータ線のDの後の数字である。
【0058】
ここで、ゲート線G、データ線Dと各画素の接続関係について整理しておく。図5において、ゲート線G1に接続される画素に着目する。上述の法則に従えば、画素P11はデータ線D1に接続され、画素P12はデータ線D2に接続される。このように、ゲート線G1に接続される画素は、各々、―X方向に隣接するデータ線に接続される。ゲート線G3、G5など、奇数行目のゲート線においても同様である。
【0059】
次に、ゲート線G2に接続される画素に着目する。画素P22はデータ線D2に接続され、画素P23はデータ線D3に接続される。このように、ゲート線G2に接続される画素は、各々、+X方向に隣接するデータ線に接続される。ゲート線G4など、偶数行目のゲート線においても同様である。
【0060】
上記のように構成することにより、本実施形態における画像表示装置1は、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線と、を有すると共に、前記画素スイッチング手段は前記ゲート線と前記データ線の交点付近に配置され、前記各画素はマトリクス状に配置され、前記各画素の行を構成する各画素は共通するゲート線に接続され、前記各画素の列を構成する各画素は異なるデータ線に接続されていることになる。
【0061】
そして、特に本実施形態においては、偶数番目の画素の行では各画素より左側に配置されたデータ線に各画素が接続され、奇数番目の画素の行では各画素より右側に配置されたデータ線に各画素が接続されることになる。
【0062】
図6に、図5に開示された各画素P11,P12,P13……の内の画素P11の拡大図を示す。画素薄膜トランジスタ4TFTはMOS型の薄膜トランジスタであり、ソース電極又はドレイン電極の一方がコンタクトホール4CONTを介してデータ線Dに接続され、他方が画素電極4PIXに接続される。また、反射板41(図示せず)は画素薄膜トランジスタ4TFTを覆うように設けられており、反射板41上には反射表示領域用の画素電極4RPIXが設けられている。
【0063】
即ち、前記各画素P11,P12,P13……の区画領域内で当該画素の背面側に位置するTFT基板2aの液晶層側には、前述したように対応する前記各画素P11,P12,P13……の表示動作を可変制御する駆動回路を配設すると共に、この駆動回路の上面に前記各画素P11,P12,P13……の反射表示領域を配設し、この反射表示領域に上述した反射板41を設けた構成となっている。ここで、駆動回路(画素スイッチング手段)としては前述したトランジスタ4TFTが主要部として組み込まれている。このため、図6に示すように各画素P11,P12,P13……では、反射板とTFT領域が重なるように効率よく配置され、透過表示領域511,521をより広く設定されるので、より鮮明で明るい画像情報を観察領域に送出することができる。ここで、前述した各画素内の反射表示領域画素電極4RPIXは、電極端部で画素電極4PIXと電気的に接続している。
【0064】
本第1実施形態においては、画素電極4PIX,または反射表示領域用画素電極4RPIXが接続された方の電極をソース電極、信号線(データ線)Dに接続された方の電極をドレイン電極と呼称するものと定める。そして、画素薄膜トランジスタ4TFTのゲート電極は、ゲート線Gに接続される。本実施の形態ではゲート電極とゲート線Gは同じレイアであるため、一体形成できる。また、蓄積容量線4CSは、画素電極4PIX、データ線Dと蓄積容量(保持容量)を形成している。蓄積容量(保持容量)は、液晶分子へ印加したデータ電位を一定時間保持するための容量である。更に、対向基板2bの内側には共通電極4COMが形成され、画素電極4PIXとの間で画素容量4CLCが形成される。
【0065】
また、図示していないが、対向基板2bの内側に画素の開口部以外を覆う遮光層が形成する構成としてもよい。本第1実施形態においては「遮光部」という表現を使用するが、これは特にこの遮光層に限定するものではなく、光を通さない部分を指すものである。
【0066】
尚、図1乃至図6においては、各構成要素の大きさや縮尺は、図の視認性を確保するため(明瞭化のため)、適宜変更して記載してある。また、画素の構造は、左眼用画素51及び右眼用画素52に対して共通である。更に、図5においては、各画素のゲート線G1,G2,……及びデータ線D1,D2,……に対する接続関係を示すため、図6における薄膜トランジスタ及び画素電極、反射板を省略して示してある。
【0067】
画素薄膜トランジスタ4TFTは、半導体として多結晶シリコンを使用したポリシリコン薄膜トランジスタを使用している。多結晶シリコンは一例では、微量のホウ素を含むP型半導体である。即ち、画素薄膜トランジスタ4TFTは、ソース電極又はドレイン電極の電位よりもゲート電極の電位の方がローレベルとなった場合に、ソース電極とドレイン電極との間が導通状態となる所謂PMOS型の薄膜トランジスタである。
【0068】
ここで、ポリシリコン薄膜トランジスタの形成手順の一例について説明する。まず、TFT基板2a(図2参照)上に酸化シリコン層を形成した後でアモルファスシリコン層を形成し、このアモルファスシリコン層を多結晶化してポリシリコン薄膜を形成する。 ポリシリコン薄膜は電極材料して使用してもよく、蓄積容量線の下層に画素電極と電気的に接続されたポリシリコン薄膜層を形成し、蓄積容量(保持容量)を設けてもよい。
【0069】
多結晶化する手段としては、熱アニール法やレーザアニール法が用いられるが、特にエキシマレーザ等のレーザを使用したレーザアニール法は、ガラス基板の温度上昇を最小限に留めた上でシリコン層のみを加熱多結晶化することができるため、融点の低い無アルカリガラス等を使用することができる。これにより、低コスト化が可能となるため、低温ポリシリコンと称して良く用いられている。なお、このアニール工程を省くことにより、アモルファスシリコン薄膜トランジスタを実現することもできる。
【0070】
次に、シリコン層の上にゲート絶縁層としての酸化シリコン層を形成し、適宜パターニングする。この過程で、シリコン薄膜の半導体層として使用する部分以外の領域にイオンをドーピングして、導体化することが好ましい。パターニングの手法としては、感光性レジストを使用する光パターニングの手法が適用できる。一例では、感光性レジストをスピンコートした後に、ステッパ等の露光機で光を部分照射し、現像工程を経て、パターンを残す部分にのみ感光性レジストの膜を残す。その後、ドライエッチング等により感光性レジストの膜が残存しない領域のシリコン層を除去し、最後に感光性レジストの膜を剥離する。
【0071】
続いて、ゲート電極となるアモルファスシリコン層とタングステンシリサイド層を成膜し、ゲート電極等を形成する。このとき、ゲート電極が接続するゲート線や、蓄積容量線も同様に形成してもよい。次に、酸化シリコン層と窒化シリコン層を形成し、適宜パターニングした後に、アルミニウム層とチタン層を成膜し、ソース電極及びドレイン電極を形成する。このとき、データ線を同時に形成してもよい。
【0072】
次に、窒化シリコン層を成膜し、適宜パターニングした後にITO等の透明電極を成膜、パターニングすることにより、画素電極を形成する。これにより、薄膜トランジスタを有する画素構造を形成することができる。なお、この薄膜トランジスタを用いて、ゲート線やデータ線、蓄積容量線を駆動する回路を同時に形成することもできる。
【0073】
図6は、前述したように図5に開示した本第1実施形態における画素部分を1個分示したものである。本第1実施形態においては、ゲート線G及び蓄積容量線CSは薄膜トランジスタ4TFTのゲート電極と同層で形成されている。
【0074】
又、図4に示すように、本実施例の画素においては、左眼用反射表示領域512は左眼用画素51の中心軸線YL 55に対して非対称に配置され、右眼用反射表示領域522は右眼用画素52の中心軸YR 56に対して非対称に配置されている。また、左眼用反射表示領域512、右眼用反射表示領域522は、表示素子13の中心軸YG 57に対して非対称に配置されている。ここで「非対称」とは線対称性を有する軸(鏡映面)がないことを示す。
【0075】
更に、上述した図4において、+Y方向へ隣接した表示素子13は、2つの表示素子を1周期として繰り返し配列している。+Y方向へ隣接する表示素子13の反射表示領域は互いに中心軸YG 57に対して反転した配置となっている。言い換えると、左眼用画素51の中心軸YL 55、右眼用画素52の中心軸YR 56、表示素子13の中心軸YG 57それぞれの軸は、反射表示領域に対して映進面(g)となっている。
【0076】
ここで、映進面(g) とは、空間群に含まれる対称要素の一つである。ある単位胞の平面(鏡映面) に関する鏡映操作を行なった後に、その鏡映面に平行で単位胞の長さの1/2 又は1/4 の並進操作を引き続き行ったとき、元の単位胞と一致する場合、この平面を映進面(g) という。映進面(g) は紙面に対して垂直な面である。これは3次元空間群だけでなく、2次元空間群においても成り立つ。本明細書における画素マトリクスの上面図は2次元空間群に属するものと仮定して考える。本実施形態における画素内の反射表示領域は、国際記号表記によれば少なくとも「pg」の対称性を有する。
【0077】
尚、図2に示すように、本第1実施形態における反射表示領域の左右両端は、画素端部より離れて配置されており、+X方向へ隣接する反射表示領域の間にはデータ線、TFT(薄膜トランジスタ)が設けられ、ブラックマトリクスにより遮光されている。即ち、本第1実施形態において、+X方向への反射板の隙間は、前述した従来例(図34)における非反射表示領域70と同等の非反射表示領域となる。
【0078】
<作用>
次に、上記第1実施形態の動作等について説明する。
まず、図1に示すようにレンチキュラレンズ3を構成する一つの単位シリンドリカルレンズ3aは、表示パネル200の2画素(左眼用画素51,右眼用画素52)に対応して配置されている。図3に示すように、表示素子13の左眼用画素51又は右眼用画素52からの光は、レンチキュラレンズ3により屈折し、夫々領域EL又はERに向けて出射する。
【0079】
このため、観察者が左眼61を領域ELに位置させ、右眼62を領域ERに位置させることにより、左眼61に左眼用の画像が入力されると共に、右眼62に右眼用の画像が入力され、立体画像を認識することができる。
【0080】
次に、レンチキュラレンズ3を使用した立体画像表示装置1の各部のサイズについて、図35に示す光学モデルを使用して説明する。レンチキュラレンズ3の表面の凸部中心31と表示画素51(52)との間隔をHとし、レンチキュラレンズ3の屈折率をnとする。尚、レンチキュラレンズ3の表面の凸部中心31とは、レンチキュラレンズ3の頂点のことである。レンチキュラレンズ3の片面は平面となっており、他の片面には凸型のシリンドリカルレンズ、即ち一方向に延びるかまぼこ状の凸部31が多数配列されているものとする。
【0081】
このレンチキュラレンズ3の焦点距離はfとし、レンズピッチはLとする。表示素子13の画素は、各1個の左眼用画素51及び右眼用画素52が1組になって配置されている。各画素のピッチはPとする。1つの凸部31に対して各1個の左眼用画素51及び右眼用画素52の二画素からなる組が対応している。また、レンチキュラレンズ3と観察者との間の距離をOD(=S)とし、この距離Sにおける画素の拡大投影幅、即ち、レンチキュラレンズ3から距離Sだけ離れレンズと平行な仮想平面上における左眼用画素51及び右眼用画素52の投影像の幅を、それぞれeとする。
【0082】
更に、レンチキュラレンズ3の中央に位置する凸部31の中心から、レンチキュラレンズ3の端に位置する凸部の中心までの距離をWとし、表示素子13の中心に位置する左眼用画素51と右眼用画素52の対の中心と前述した表示素子13の端に位置する画素対の中心との距離をWとする。更にまた、レンチキュラレンズ3の中央に位置する凸部31における光の入射角及び出射角を夫々α及びβとし、レンチキュラレンズ3の端に位置する凸部31における光の入射角及び出射角を夫々γ及びδとする。距離Wと距離Wとの差をCとし、距離Wの領域に含まれる画素数を2m個とする。
【0083】
通常、表示素子13に合わせてレンチキュラレンズ3を装備する場合が多いので、各画素のピッチはPは定数として扱う。また、レンチキュラレンズ3の材料を選択することにより、nが決定される。これに対して、レンズと観察者との間の距離S及びこの観察距離Sにおける画素拡大投影幅eは所望の値を設定する。これらの値を使用して、レンズ面と画素との間の距離H及びレンズピッチLを決定する。スネルの法則と幾何学的関係より、下記数式1乃至6が、又下記数式7乃至9が、それぞれ成立する。
【0084】
[数1]n・sin α=sin β
[数2]S・tan β=e
[数3]H・tan α=P
[数4]n・sin γ=sin δ
[数5]H・tan γ=C
[数6]S・tan δ=W
[数7]W−W=C
[数8]W=2mP
[数9]W=mL
【0085】
上記数式2,数式1,及び数式3より、各々下記数式10,数式11,及び数式12が成立する。
【0086】
[数10]β= arc tan(e/S)
[数11]α= arc sin〔(1/n)・sin β〕
[数12]H=P/tan α
また、上記数式6及び数式9より下記数式13が、上記数式7乃至数式9より下記数式14が、更に、上記数式5より下記数式15が、それぞれ成立する。
[数13]α= arc tan(mL/S)
[数14]C=2mP−mL
[数15]γ= arc tan(C/H)
【0087】
尚、下記数式16に示すように、通常はレンチキュラレンズ表面の凸部中心と画素との間隔Hを焦点距離fと等しく配置するので、レンズの曲率半径rは下記数式17により求まる。
【0088】
[数16]f=H
[数17]r=H・(n−1)/n
【0089】
<第1実施形態の効果>
前述した従来例にあっては、図34に示すようにレンズ等の画像振分手段は、表示パネルの二画素(左眼用画素,右眼用画素)51,52に対応して配置された場合、各画素51,52内の非反射表示領域(透過表示領域)が拡大されると反射表示が視認できない観察領域が発生し、反射表示の視認性が低下する。一方、図4に示すように本第1実施形態では、反射表示領域の配置では、画像振分け方向14と垂直な方向に隣接する二つの表示素子13の反射表示領域が互いに+X方向へずれた状態であるため、+Y方向へ隣接する互いの反射表示領域を補償し合しあうことができる。即ち、本第1実施形態では、画像振分け方向14と垂直な方向に隣接する二つの表示素子13が、左眼用反射表示領域512,右眼用反射表示領域522をそれぞれ補償し合って左右反射表示領域を形成することができる。以下この効果を「隣接画素補償効果」と称する。
【0090】
従って、非反射表示領域(透過表示領域)がレンズにより拡大されるのを防ぐことができ、更に、観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。また、設計自由度を生かし反射表示領域を効率良く配置することができるため反射率の高い視認性良好な画像表示装置を提供できる。
【0091】
本第1実施形態によれは、上述した隣接画素補償効果により、従来よりもデフォーカス量を小さく設定することができ、画像分離性能を向上することができる。また、焦点位置は少なくとも二種類の反射表示領域へ分散されるため、レンチキュラレンズ3を実装する際の重ねずれに起因して発生する反射表示ムラを低減でき、歩留まりが向上する。
【0092】
表示素子13は、+Y方向へ赤色(R),緑色(G),青色(B)に配色されていてもよい。RGBに配色された場合、RGBに配列された3つの表示素子を1の単位として「表示画素」と称する。本第1の実施形態では、表示装置はRGBの横ストライプ状となる。これにより高品質なカラー表示化が可能である。
【0093】
又、本第1の実施形態では、表示画素はRGBに順次配色した。この場合、3つの表示素子が「表示画素」の単位となる。即ち、左眼用・右眼用の画素については、6画素が「表示画素」の単位となる。1つの「表示画素」のみでは、RGBの反射表示領域は偏って反射してしまうため完全に反射成分の色味を補償できないが、隣接する2つの「表示画素」を適用して補償すれば、隣接画素補償効果により色味を補償することができる。したがって、反射表示の色味変化が小さく、高品質なカラー立体表示装置を提供できる。
即ち、隣接補償効果は、相互に隣接した画素だけでなく、近接した画素によっても補償することができる。+Y方向で互いに補償し合う画素は、2画素毎、3画素毎に繰り返し配置されても良く、カラー化した表示画素に応じて設置されれば良い。
【0094】
更に、非反射表示領域(透過表示領域)は、データ配線,TFT,ブラックマトリクス,を配置せずに開口部としてもよい。開口領域を大きくとることにより透過率を高くでき、このため、バックライトの光量を低減することができ、低消費電力化を図り得る。
【0095】
このように構成された本第1実施形態の立体画像表示装置においては、透過表示領域がバックライト光源からの光を透過し、反射表示領域が自然光及び室内照明光等の外光を反射させることができるため、透過表示と反射表示とを実現することができる。この結果、周囲の明るさの程度に拘わらず、鮮明な表示を行うことができる。
【0096】
このように、本第1の実施形態にあっては、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を含む表示素子13が複数配列され、前記画素51,52は光を透過する透過表示領域511,521と、外光を反射する反射表示領域512,522を有し、前記画素51,52から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段(レンチキュラレンズ3)を備えた画像表示装置において、前記表示単位内の反射表示領域512,522は画像振分け方向と垂直な軸に対して非対称に配置されていることを、特徴的な基本構成として採用している。
【0097】
このため、本第1の実施形態にあっては、レンズ配列方向における反射板分断の影響を低減するように、反射板と画像振分け手段(光学手段)とを構成することにあり、各画素51,52においては反射板をY軸非対称に配置し、各表示単位においてはY軸対称に配列した。これにより、表示単位内における反射板41の位置が、Y軸方向に配列した各表示単位で分散するように配置できるため、反射板分断の影響を低減することができる。分断される場合でもレンズの焦点をずらすことで改善できる。
【0098】
又、本第1実施形態にあっては、反射表示領域の配置が異なる少なくとも2種類以上の表示素子13から構成され、この各表示素子13は画像を振分ける方向14と垂直な方向に周期的に配置されるように構成されていることを特徴とする。これにより、表示単位内における反射板41の位置が、Y軸方向に配列した各表示単位で分散するように配置できるため、反射板分断の影響を低減することができる。
【0099】
〔その他〕
本第1実施形態においては、半透過型の表示素子について説明したが、本発明は、同様に微透過型表示素子および微反射型表示素子等にも適用可能である。
【0100】
更に、本第1の実施形態では半透過型液晶表示素子を用いた場合について説明したが、これに限定されることはなく、反射型表示パネルを利用することができる。反射型表示パネルでは、反射表示領域を大きく(広く)設定でき、反射率を向上できる。また、透過表示領域としていた部分には、配線、回路を設けることができ、パネルを高性能化することができる。特に、立体表示装置の観察者側にライトを設けてフロントライトにより反射表示をしてもよく、外光の光量が小さい場所でも高品質な画像を提供することができる。反射型表示パネルを適用した場合でも隣接画素により補償することができ、実効的な反射率を大きい高品質な立体画像を提供できる。
【0101】
又、レンチキュラレンズ3は容易に取りはずし可能な薄型レンズシートであってもよい。立体表示する必要のない画像を表示する場合にはレンチキュラレンズ3を取り外すことができる。レンズを外した状態では倍密度の精細度で画像を表示することができる。これにより高精細度、高品質な表示パネルとして使用できる。更に、本第1の実施形態では、前記各画素から出射した光を前記各視点位置に対応して一方と他方の相互に異なる方向に振り分ける光学手段(出射光振り分け手段)としてレンチキュラレンズを使用した場合を例示したが、フライアイレンズを使用してもよい。
【0102】
更に、本第1の実施形態における画像表示装置1は、画像振り分け手段(光学手段)としてレンチキュラレンズ3を使用しているため、パララックスバリアを使用した画像表示のようにバリアに起因する黒縞模様が発生せず、光の損失が少ない。
【0103】
尚、上述の説明においては、画像観察の視点を二つ設けた場合について述べたが、本発明はこれに限定されるのではなく、画像表示装置を三視点以上の多視点にした場合においても同様の効果が得られる。
【0104】
本第1実施形態における表示素子13は、画素電極に凹凸形状を有する反射板41が存在すれば良い。即ち、本第1実施形態では、半透過型液晶表示素子を用いた場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば電気泳動現象を利用した表示素子を利用することができる。また、凹凸形状は、斜面を有する構造であれば適用可能であり、点状、棒状、窪み状などその全体的な形状には左右されない。また、画素電極の駆動方法は、TFT方式及びTFD方式等のアクティブマトリクス方式でも良いし、STN方式等のパッシブマトリクス方式でも適用可能である。
【0105】
反射領域用画素電極4RPIXは、反射板41を電極として適用してもよく、そのようにするとプロセス数を削減することができる。
【0106】
〔変形例(1)〕
次に、上記第1実施形態の変形例(1)を図7に基づいて説明する。図7は、上記第1実施形態における表示素子13の変形例を模式的に図示したものである。
【0107】
この図7において、表示素子13の左右反射板は、図1と場合と同様に画素51,52内の左眼用中心軸線YL 55、右眼用中心軸線YR 56、表示素子13の中心軸線YG 57に対して非対称に配置されている。左右画素51,52の反射領域の少なくとも一部分は表示素子13の中心軸線YG 57に接しており、隣接画素間で反射表示領域を補償した場合に、反射表示領域は表示素子中心軸57上で分断されることなく+X方向へ連続している。即ち、前述した共通の中心線YG 57に沿った方向で相互に隣接する各表示素子13は、当該各表示素子13の少なくとも二つ以上を相互に重ねて透視した場合に、当該各表示素子13が備えている前記反射表示領域512,522が、本実施形態にあっては前記出射光振り分け方向に対して分断されることなく連続して配置されている。また、中心軸YG 57から離れたレンチキュラレンズ3の溝部72においても反射領域は分断されず、+X方向へ連続している。
【0108】
この第1実施形態の変形例(1)では、画像振分方向14と平行に走査線が配線され、レンチキュラレンズ長手方向へデータ線が配線されている。又、データ線、走査線、TFT(トランジスタ)は反射表示領域下に配置されている。従って、データ線上の少なくとも一部には、反射板41が積層されている。その他の構成は、前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
【0109】
この図7に示す変形例(1)にあっては、+Y方向へ隣接する2つの表示素子13を重ねたときに反射領域が分断されることがなく、+X方向へ非反射表示領域となる部分がないため、より均一な輝度分布で反射表示することができる。また、輝度分布の均一化によりデフォーカス量をより小さく設定できるため、立体画像分離性能を向上でき、高品質な立体表示画像を提供できる。その他の構成およびその作用効果を前述した第1実施形態の場合と同様となっている。
【0110】
〔変形例(2)〕
次に、前述した第1実施形態の変形例(2)を図8乃至図9に基づいて説明する。
図8は、上記第1実施形態における表示素子13の変形例を模式的に図示したものである。又、図9は、この変形例(2)にかかる立体画像表示装置1のTFT配置を示す上面図である。この図9において、符号4Gはゲート信号用のゲート線を示し、符号4DはDデータ線を示す。
【0111】
前述した図8に示すように、+Y方向(図8の紙面上の上方向)にて相互に隣接する二つの各表示素子13の反射表示領域512,512は、画素51の中心軸線YR 55の線上の交差点72に対して点対称に配置されている。即ち、反射表示領域512は、前記中心点72を中心とする180度の回転操作に対して等価である。画素52の反射表示領域522についても同様である。
【0112】
以下、本明細書では、180度の回転操作に対して等価となる点を以下「2回回転対称軸」と称する。従って、本変形例(2)における反射表示領域512,522は、2回回転対称軸を有して配置されており、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2」の対称性を有する。
【0113】
尚、各画素51,52における反射表示領域の面積は同じ大きさであり、+Y方向へ隣接する表示素子13において反射領域は互いに接する部分が存在する。その他の構成は、前述した変形例(1)(図7参照)の場合と同一となっている。
【0114】
この第1実施形態の変形例(2)にあっては、図9に示すように、反射表示領域下には、データ線,走査線が配線されていても良く、配線の隙間から漏れる透過光を遮光することができる。また、反射領域化にはTFT(薄膜トランジスタ)が設置されていても良く、当該トランジスタ上に反射表示領域が形成されることにより、パネル外部から入射される光を遮蔽することができる。これにより光リークを低減し信頼性を向上することができる。
【0115】
同時に、図8乃至図9に示すように、隣接する表示素子13の反射表示領域512,512が接しており反射表示領域の面積が大きく確保できるため、反射表示領域下にTFT,走査線,データ線を集中して効率良く配置し、開口率を大きくとることができる。
【0116】
又、この2回回転対称性を有する反射表示領域512の配置であるため、表示装置を表示平面内で180度回転させた場合でも元と同じ均一な反射表示を提供することができる。従って、表示画面を180度以上回転できる携帯機器や、スウィーベル(回転2軸)式の携帯電話、モニタ画面を回転できるビデオカメラに好適に適用できる。
その他の構成及びその作用効果を前述した第1実施形態の場合と同様となっている。
【0117】
〔第2実施形態〕
(構成)
次に、本発明の第2実施形態について、図10乃至図12に基づいて説明する。
図10は、この第2実施形態に係る立体画像表示装置を示す上面図であり、図11は画素トランジスタ配置を示す模式図である。又、図12はレンチキュラレンズの代わりに使用されるフライアイレンズを示す斜視図である。
【0118】
まず、この図10において、左右に隣接する表示素子13内に配置された反射表示領域512,522は、+Y方向に対して一方又は他方に偏って設置された反射板により形成され、表示素子13の上辺側又は下辺側に分散して配置されている。左眼用画素51の中心軸線YL 55、右眼用画素52の中心軸線YR 56、表示素子13の中心軸線YG 57は、反射板に対して映進面(g) となっている。
【0119】
また、本第2実施形態では+X方向と平行な方向にも映進面(g) がある。更に、前述した2回回転対称軸と同等の2回回転対称軸59は各反射板に対して点対称中心となっており、反射板配置はXーY平面で180度回転操作しても等価である。したがって、本構成における反射板配置は、2回回転対称軸と2つの独立した映進面(g )を有しており、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2gg」の対称性を有する。
【0120】
又、+Y方向へ隣接する2つの表示素子13を重ねた場合、互いに反射表示領域512,522が重なることなく配置されている。反射表示領域512,522は、画像振分方向14と垂直な方向へ画素の上下端部まで延伸しており、+X方向に隣接する画素同士は反射表示領域512,522が接している。これに対し、トランジスタ領域は、図11に示すように反射表示領域512,522に覆われている。
【0121】
ここで、ゲート線G、データ線Dと各画素の接続関係について整理しておく。
図11において、まず画素P31と画素P32に着目する。この二つの画素は、ゲート線G3に接続されている。即ち、ゲート線G3を共通のゲート線としている。このように、Y軸方向に隣接して配置されゲート線を共通とする画素を隣接画素対と呼称し、説明の都合上(P31,P32)と表記することにする。隣接画素対(P31,P32)を構成する各画素は、異なるデータ線に接続されている。即ち、画素P31はデータ線D1に接続され、画素P32はデータ線D2に接続されている。
【0122】
そして、隣接画素対(P31,P32)に対し、+X方向には、隣接画素対(P22,P23)、(P43,P42)が隣り合っている。隣接画素対(P22,P23)はゲート線G2を共通のゲート線としている。ここで、「隣接画素対がゲート線G2を共通のゲート線とする」という表現は、隣接画素対を構成する各画素は、ゲート線G2、すなわちこの画素間に配置されたゲート線に接続され、制御されることを意味する。隣接画素対(P31,P32)はゲート線G3を共通のゲート線とするので、隣接画素対(P31,P32)と隣接画素対(P22,P23)は、夫々異なるゲート線を共通のゲート線としている。ちなみに、夫々の共通ゲート線は隣接の関係にある。なお、隣接画素対(P31,P32)に対し、+X方向には、隣接画素対(P42,P43)も隣り合って配置されている。両者の隣接画素対においても同様に、夫々異なるゲート線を共通のゲート線としている。
【0123】
更に、隣接画素対(P22,P23)又は隣接画素対(P42,P43)に対し、+X方向には、隣接画素対(P33,P34)が配置されている。この隣接画素対(P33,P34)はゲート線G3を共通ゲート線としている点は、隣接画素対(P31,P32)と同様である。すなわち、画素1列毎に、同じゲート線を共通ゲート線とする隣接画素対が配置されていることになる。これは換言すれば、右眼用画素を構成する隣接画素対に接続されたゲート線は、左眼用画素を構成する隣接画素対には接続されないことになる。
【0124】
上記のように構成すると、本実施形態においては、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線と、を有し、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対はこの画素間に配置されたゲート線により制御され、かつ前記隣接画素対を構成する画素は夫々異なるデータ線に接続され、かつゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は夫々異なるゲート線に接続されることになる。このように配置することにより、本実施形態における反射板の裏面側に画素薄膜トランジスタを効率良く配置することができる。
【0125】
なお、上述の説明においては、反射板が画素薄膜トランジスタを覆うように設けられているものとして説明したが、その一部のみを覆うような状態であっても良い。また、蓄積要領の上に反射板が設けられているのでも良い。即ち、透過表示に使用されない部分を反射表示に使用することで、画素を効率よく表示に使用することができ、表示性能を向上することができる。
【0126】
また、図11に示すように、前記隣接画素対を構成する各画素が共通のゲート線を挟み上下に配置されるとき、上側の画素が左側のデータ線に接続された隣接画素対と、上側の画素が右側のデータ線に接続された隣接画素対とが配置されていてもよい。これにより、画素の極性を反転させて駆動する場合に、各画素の極性分布を均一化でき、表示品質の向上が可能となる。更には、前記隣接画素対を構成する一方の画素の前記データ線と接続される部分は、前記ゲート線よりも他方の画素側に配置されていてもよい。これにより、画素の透過表示領域及び反射表示領域をより効率良く配置することができ、表示性能を向上することができる。
【0127】
また、半透過型表示装置では透過表示領域511,521を透過する光がカラーフィルターを1回通過するのに対し、反射部ではカラーフィルターを2度通過するため色層のスルーホール等により白色領域を設けて色味を補正する。本実施形態における反射表示領域512,522は、隣接する画素51又は52相互間にまたがってカラーフィルター(CF)にスルーホールが形成されている。その他の構成は、前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0128】
(作用・効果)
前述した第1実施形態で説明したように、本第2実施形態においても、+Y方向に隣接する画素51により、反射表示時の反射成分を補償することが可能である。反射表示領域512,522は、表示面内で市松状に分散して配置されているため外部から入射された反射光は分散されやすい。このため、反射光をより均一化する効果がある。
【0129】
更に、+X方向と平行な方向に映進面(g )があるため、+X方向へ隣接画素51の反射成分を補償することができ、反射表示を高品質化できる。また、本構成の反射板は2回回転対称性を有する配置であるため、立体表示装置を表示面内で180度回転させた位置から観察した場合でも元の画質と同じ表示品質を保つことができる。従って、画面が180度以上回転可能なモバイル携帯機器や、モニタが回転可能なビデオカメラに好適に適用できる。
【0130】
また、前述した第1実施形態で説明したように、本第2実施形態においても、+X方向だけでなく+Y方向に隣接する画素により、反射領域を補償することが可能である。上述の説明はレンチキュラレンズの場合について行ったが、フライアイレンズへの適用もできることは勿論である。図12はフライアイレンズ10を示す斜視図である。
【0131】
レンチキュラレンズ3は、図28に示すように一方向に延びるシリンドリカルレンズ3が相互に平行に配置された形状を有し、1表示単位における左眼用画素51と右眼用画素52とを結ぶ方向に、つまり左右方向に凸面が繰り返され、この左右方向に直交するレンチキュラレンズ3の長手方向には、その表面は変化しない。つまり、左右方向に延びる断面の形状は、レンチキュラレンズ3の長手方向には変化しない。
【0132】
これに対し、フライアイレンズ10は左眼用画素51と右眼用画素52とを結ぶ方向と、この方向に直交する方向とのいずれの方向にも凸面が繰り返される。つまり、1表示単位における左眼用画素51と右眼用画素52とが対向する方向(左右方向)については、この1組の左眼用画素と右眼用画素とに対して1個の凸面が配置される点は、レンチキュラレンズ3の場合と同様であるが、フライアイレンズ10は、前記左右方向に直交する方向にも、2画素(右眼用の2画素又は左眼用の2画素)毎に1個の凸面が配置されている。
【0133】
これにより、フライアイレンズ10の場合は、立体画像表示装置を立てて、これを観察しているときに、左右の眼に専用の画像を表示して立体視を可能とすることの他に、上下方向にも画像を振り分けて視野角を広くし、観察者が画像の上下側面を観ることができるようにすることもできる。このように、レンズにフライアイレンズ10を使用した場合にも前述した第1の実施形態の場合と同様の効果を得ることができる。特に、本第2実施形態における反射板は+Y方向へ分散して配置しているため、フライアイレンズ10を好適に適用した高品質な反射表示を提供できる。その他の構成およびその作用効果は前述した第1実施形態の場合と同様である。また、隣接する2画素間にまたがった反射領域にスルーホールを配置することによって、1画素が必要とする面積よりも大きなスルーホール面積を確保することができるため、微細加工の制限にとらわれることなくスルーホールを形成でき、画素サイズの小さい高精細画素に対応することができる。
【0134】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について、図13乃至図16に基づいて説明する。
ここで、図13は本第3実施形態にかかる立体画像表示装置の一部を示す上面図である。又、図14は本第3実施形態の変形例(1)にかかる立体画像表示装置を示す上面図、図15は本第3実施形態の変形例(2)に係る立体画像表示装置を示す上面図、図16は本第3実施形態の変形例(3)にかかる立体画像表示装置を示す上面図である。
最初に、本発明の第3実施形態を図13に基づいて説明し、その後に、変形例(1)乃至(3)を説明する。
【0135】
(構成)
まず、図13に示すように、隣接する表示素子13内に配置された反射表示領域512,522は、+Y方向に対して傾斜した反射板41により形成され、表示素子13の上辺側および下辺側に分散して配置されている。左眼用画素51の中心軸線YL 、右眼用画素52の中心軸線YR 、表示素子13の中心軸線YG 57は、反射板に対して映進面(g )となっている。従って、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「pg」の対称性を有する。その他の構成は前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
【0136】
(作用・効果)
前述した第1実施形態で説明したように、この第3の実施形態の場合も、+Y方向に隣接する画素51又は52同志により、反射表示時の反射成分を補償することが可能である。反射表示領域512,522は、表示面内で市松状に分散して配置されているため外部から入射された反射光は分散されやすい。このため、反射光をより均一化する効果がある。特に反射板が傾斜していることにより、画素配列周期やレンズの構造周期起因した干渉縞を低減でき、高品質な表示ができる。その他の構成及びその作用効果は前述した第1実施形態の場合と同一となっている。
【0137】
〔変形例(1)〕
次に、第3実施形態の変形例(1)を図14に基づいて説明する。
この変形例(1)においては、図14に示すように、左右に隣接する表示素子13内に配置された反射表示領域は、+Y方向に対して傾斜した反射板41により形成され、表示素子13の上辺側および下辺側にそれぞれ分散して配置されている。又、2回回転対称軸59は各反射板41に対して点対称中心となっており、反射板41の配置は180度回転操作しても等価である。従って、本構成における反射板41の配置は、2回回転対称軸を有しており、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2」の対称性を有する。その他の構成は前述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0138】
前述した第1の実施形態(図4参照)で説明したように、本第3実施形態の変形例(1)の場合も、+Y方向に隣接する画素により、反射表示時の反射成分を補償することが可能である。反射表示領域は、表示面内で市松状に分散して配置されているため、外部から入射された反射光は分散されやすい。このため、反射光をより均一化する効果がある。更に、+X方向と平行な方向に映進面(g )があるため、フライアイレンズを適用した場合+X方向へ隣接画素の反射成分を補償することができ、反射表示を高品質化できる。
【0139】
又、本第3実施形態の変形例(1)における反射板は2回回転対称性を有する配置であるため、立体表示装置を表示面内で180度回転させた位置から観察した場合でも元の画質と同じ表示品質を保つことができる。したがって、画面が180度以上回転可能なモバイル携帯機器や、モニタが回転可能なビデオカメラに好適に適用できる。
【0140】
〔変形例(2)〕
次に、上記第3実施形態の変形例(2)を図15に基づいて説明する。
この図15に示すように、左右に隣接する表示素子13内に配置された反射表示領域は、表示素子13の上辺側,下辺側に分散して配置される。そして、+X方向(+Y方向)へ隣接する表示素子13を重ねた場合は、反射表示領域は分断されることがなく連続的につながる。
【0141】
2回回転対称軸59は各反射板41に対して点対称中心となっており、反射板配置は180度回転操作しても等価である。この変形例(2)における表示装置は、2回回転対称軸を有しており、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2」の対称性を有する。その他の構成は前述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0142】
このため、この第3実施形態の変形例(2)では、特に、フライアイレンズを適用した場合、上述の通り+Y方向、+X方向ともに反射領域が分断されることなく連続的に隣接補償することができ、より反射表示ムラの少ない高品質な反射表示を提供できる。その他の構成及びその作用効果は前述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0143】
〔変形例(3)〕
次に、上記第3実施形態の変形例(3)を図16に基づいて説明する。
この図16において、左右に隣接する表示素子13内に配置された反射表示領域512,522は、表示素子13の上辺側および下辺側に分散して配置されている。+X方向(+Y方向)へ隣接する表示素子を重ねた場合、反射表示領域は分断されることがなく連続的につながる。
【0144】
また、2回回転対称軸59は各反射板に対して点対称中心となっており、反射板配置は180度回転操作しても等価である。表示素子13の中心軸線YG 57は、反射板の鏡映面(m)であり、+X方向には映進面(g )58が存在する。したがって、本実施例における表示装置は2回回転対称軸と映進面(g )、鏡映面(m)を有しており、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2mg」の対称性を有する。その他の構成については上述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0145】
このため、この第3実施形態の変形例(3)では、特に、フライアイレンズを適用した場合、上述の通り+Y方向、+X方向ともに反射表示領域が分断されることなく連続的に隣接補償することができ、より反射表示ムラの少ない高品質な反射表示を提供できる。また、左右画素51,52に同じ情報を表示して2次元画像を見る場合に、反射板は表示素子の中心軸線YG 57に対して線対称(鏡映対称)となっているため、左右方向の対称性に優れた高品質の表示装置を提供できる。
【0146】
又、2回対称性を有する反射表示領域の配置であるため、表示装置を表示平面内で180度回転させた場合でも元と同じ均一な反射表示を提供することができる。従って、表示画面を180度回転できる携帯機器、或いはモニタ画面が回転するビデオカメラ、に好適に適用することができる。その他の構成およびその作用効果については前述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0147】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態を図17乃至図19に基づいて説明する。
ここで、図17は第4実施形態に係る立体画像表示装置を示す上面図である。又、図18は第4実施形態の変形例(1)に係る立体画像表示装置を示す上面図、図19は本第4実施形態の変形例(2)に係る立体画像表示装置を示す上面図である。
【0148】
(構成)
図17に示すように、本第4実施形態では、左眼用画素51内の反射領域512は2箇所に分散して配置され、左眼用画素中心軸線YL 55に対して非対称に配置されている。右眼用画素52に対しても同様に、反射領域522は二箇所に分散して配置され、右眼用画素の中心軸線YR 56に対して非対称に配置されている。また、表示素子13の中心軸線YG 57に対して非対称に配置されている。表示素子13内の反射板配置パターンは2種類存在し、互いに+Y方向へ隣接している。
【0149】
隣接する2種類の表示素子パターンは互いの中心軸線57に対して線対称に反転した構成であり、+Y方向へは2種類の表示素子13が周期的に配置されている。左眼用画素の中心軸線YL 55、右眼用画素の中心軸線YL 56、表示素子13の中心軸線YG 57は反射板位置に対して映進面(g )となっており、2 次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「pg」の対称性を有する。その他の構成は前述した第3実施形態の場合と同一となっている。
【0150】
(作用・効果)
このため、本第4実施形態では、1つの画素51,52内に複数の反射表示領域が存在することから、外部から入射された光を分散して反射することができる。これにより観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。特に、本第4実施形態では、反射表示領域が配置される周期を小さくできるため、反射表示領域に起因して発生する干渉縞を低減できる。また、反射板が複数配置されているため、レンチキュラレンズ実装時の重ね合わせズレによる反射表示ムラを低減でき、歩留まり低下を低減できる。
【0151】
また、本第4実施形態においては図17に示すように複数の反射領域を+Y方向へ分散して配置することができる。これにより、フライアイレンズ又は左右上下へ画像振分け可能な表示素子13へ好適に適用できる。又、1画素内の反射表示領域は、三箇所以上に分散して配置されてもよく、部分的に輝度が低下することのないより均一な反射表示を提供することができる。
【0152】
〔変形例(1)〕
次に、本第4実施形態の変形例(1)を図18に基づいて説明する。
この図18に示す変形例(1)は、左眼用画素51内の反射領域512は2箇所に分散して配置され、左眼用画素51中心軸線YL 55に対して非対称に配置されている。右眼用画素52に対しても同様に、反射表示領域522は2箇所に分散して配置され、右眼用画素52中心軸線YR 56に対して非対称に配置されている。表示素子13の中心軸線YG 57は、反射板41に対して鏡映軸(線対称軸)となっており、反射板位置の鏡映面(m)である。
【0153】
また、反射板は点Gに対して反転対称に配置されており、2回対称性を有する。従って、本変形例(1)の反射板の配置は、2回軸と独立した鏡映面(m)を有し、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2mg」の対称性を有する。その他の構成は前述した第4実施形態と同一となっている。
【0154】
この第4実施形態の変形例(1)では、+X方向と平行な鏡映面(g) が存在するため、フライアイレンズを適用した場合に+X方向への隣接画素補償が可能であり、観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。
【0155】
〔変形例(2)〕
次に、本第4実施形態の変形例(2)を図19に基づいて説明する。
この第4実施形態の変形例(2)は、図19に示すように、第1の表示素子13は、左右画素51,52から構成され、各画素内の反射表示領域は2つの領域に分散して配置される。また、第1の表示素子13と+Y方向へ隣接する第2の表示素子13は左右画素51,52から構成され、各画素内の反射板の領域は1つの領域から構成される。
【0156】
左眼用画素51の中心軸線YR 55、右眼用画素52の中心軸線YL 56、表示素子13の中心軸線YG 57は、各画素内の反射板に対して線対称軸(鏡映対称軸)であり、鏡映面(m)となっている。又、反射板の配置は、2回の回転対称性を有しており、2回回転対称軸59を中心とした180度の回転操作に対して等価である。2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「c2mm」の対称性を有する。その他の構成は、前述した第4実施形態と同一となっている。
【0157】
このため、この第4実施形態の変形例(2)によると、各画素51,52内に設けられた反射板41は、各画素51,52の中心軸線に対して線対称に配置されているため、反射表示において左右に均一な高品質画像を表示できる。
【0158】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態を図20乃至図25に基づいて説明する。
ここで、図20は第5実施形態に係る立体画像表示装置を示す上面図である。又、図21は本第5実施形態の変形例(1)に係る立体画像表示装置の画素を示す上面図、図22は図21における画素部分の一部における画素トランジスタの配置を示す拡大説明図、図23は図21の画素部分に対応して配置される画素トランジスタの配置を示す模式図、図24は第5実施形態の変形例(2)に係る立体画像表示装置を示す上面図、図25は本第5実施形態の変形例(3)に係る立体画像表示装置を示す上面図である。
【0159】
(構成)
本第5実施形態にかかる立体画像表示装置にあっては、図20に示すように、左眼用画素51、右眼用画素52の外形は台形であり、+X方向へ隣接する各画素間の境界は画像振分方向14と直交する方向に対して傾斜して配置される。また、反射領域511、522を含まない画素外形のみを見ると、+Y方向へ隣接する画素はX軸方向に対して線対称に配置しており、また、+X方向へ隣接する画素はX軸方向に対して線対称に配置している。したがって、+Y方向へ隣接する2つの画素が六角形となり、マトリクス状に敷き詰められている。
【0160】
又、表示素子13の左右反射板は、図1の場合と同様に、左眼用画素中心軸線YL55、右眼用画素中心軸線YR56に対して非対称、表示素子13の中心軸線YG 57に対して非対称に配置されている。+Y方向へ隣接する表示素子13の反射表示領域は互いに異なる配置となっており、表示素子13は+Y方向へ周期的に配置されている。反射板配置のみの対称性をみると、左眼用画素中心軸線YL55、右眼用画素中心軸線YR56、表示素子13の中心軸線YG 57は、それぞれ反射板の映進面(g)となっている。その他の構成は前述した第4実施例の場合と同一となっている。
【0161】
(作用・効果)
本第5実施形態にかかる立体画像表示装置にあっては、図20に示すように、+Y方向と平行な映進面(g)が存在するため、+Y 方向への隣接した画素間により反射画像を補償することができ、観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。また、データ配線を斜めに引き回すことができ、反射領域と干渉することなく効率良く配置できるため、画素開口率を大きく設定できる。また、左右画素開口部はレンズ焦点部で互い違いに配置されるため、左右方向の透過光を分散し、より均一な表示画像を得ることができる。
また、図22に示す通り、データ配線はY軸方向に対し傾斜して配置され、レンチキュラレンズ3の凸部が配列する周期方向と、データ線が配列する周期方向が互いに分散される。これにより、レンチキュラレンズ3の凸部ピッチとデータ線4Dの配列ピッチに起因して発生するモアレ干渉縞を低減でき、表示品質を向上することができる。
また、左眼用画素51、右眼用画素52は、各々の画素面積が同じであればよく、多角形から構成されてもよい。また、三角形、平行四辺形、台形等の単純な図形を組み合わせてできる多角形から構成されても良く、面内に隙間無く敷き詰めることができる形状であればよい。Y軸方向に対し傾斜した配線により上述の効果を得ることができる。
【0162】
〔変形例(1)〕
次に、本第5実施形態の変形例(1)を図21乃至図23に基づいて説明する。
(構成)
本第5実施形態にかかる立体画像表示装置にあっては、図21に示すように、左眼用画素51,右眼用画素52の外形は、台形である。又、図21における線分55上の基準点59に対して二回回転軸を有するため、180度の回転操作に対して等価である。表示素子13の左右反射板は、図1の場合と同様に、左画素の中心軸線YR 56、右画素の中心軸線YL 55に対して非対称、表示素子13の中心軸線YG 57に対して非対称に配置されている。また、基準点59は、画像振分方向14と直交する方向に互いに隣接する画素間の重心であっても良い。
【0163】
反射板の配置のみの対称性をみると、左眼用画素中心軸線YL55 、右眼用画素中心軸線YR56、表示素子13の中心軸線YG 57は、映進面(g )とはならず、Y軸方向へは、二画素おきに並進して配置される。すなわち、+Y方向へ隣接する表示素子13の反射表示領域は互いに異なる配置となっており、表示素子13は+Y方向へ周期的に配置されている。その他の構成は前述した第4実施例の場合と同一となっている。
【0164】
図23は図21の画素部分に対応して配置された画素トランジスタの配置を示す模式図である。本第5実施形態においては、図23に示すように、TFT基板2a(図2参照)の内側の面(即ち、+Z方向側の面)に、行方向(即ちX軸方向)に延伸するゲート線G1乃至G5が配置されている。尚、ゲート線G1乃至G5を総称してゲート線Gとも呼称する。 更に、TFT基板2aの同じ面には、列方向、即ち、Y軸方向に延伸するデータ線D1乃至D7が配置されている。データ線D1乃至D7を総称してデータ線Dとも呼称する。データ線は薄膜トランジスタに表示データ信号を供給する役割を果たす。
【0165】
本第5実施形態においては、ゲート線GはX軸方向に延伸し、Y軸方向に複数配列している。また、データ線DはX軸方向に複数配列している。そして、ゲート線とデータ線の交点近傍に、画素(左眼用画素51又は右眼用画素52)が配置されている。特に図23においては、画素のゲート線及びデータ線との接続関係を明確にするため、例えば、ゲート線G3とデータ線D2に接続された画素をP32と表記している。即ち、Pの次の数字がゲート線のGの後の数字であり、更にその次の数字がデータ線のDの後の数字である。図22に、前述した図23における各画素P11,P23,P13 …… の内の画素P11,P23、P32,P22の具体例を示す。
【0166】
この図22において、画素P11には画素電極4PIX,画素薄膜トランジスタ4TFT,蓄積容量線4CSが配置されている。画素薄膜トランジスタ4TFTはMOS型の薄膜トランジスタであり、ソース電極又はドレイン電極の一方がコンタクトホール4CONTを介してデータ線Dに接続され、他方が画素電極4PIXに接続される。又、図22に示すように、データ線Dは+Y方向より傾斜して配置される。
【0167】
ここで、ゲート線G、データ線Dと各画素の接続関係について整理しておく。
図23において、まず画素P31と画素P32に着目する。この二つの画素は、ゲート線G3に接続されている。即ち、ゲート線G3を共通のゲート線としている。このように、Y軸方向に隣接して配置されゲート線を共通とする画素を隣接画素対と呼称し、説明の都合上(P31,P32)と表記することにする。隣接画素対(P31,P32)を構成する各画素は、異なるデータ線に接続されている。即ち、画素P31はデータ線D1に接続され、画素P32はデータ線D2に接続されている。
【0168】
そして、隣接画素対(P31,P32)に対し、+X方向には、隣接画素対(P22,P23)、(P43,P42)が隣り合っている。隣接画素対(P22,P23)はゲート線G2を共通のゲート線としている。ここで、「隣接画素対がゲート線G2を共通のゲート線とする」という表現は、隣接画素対を構成する各画素は、ゲート線G2、すなわちこの画素間に配置されたゲート線に接続され、制御されることを意味する。隣接画素対(P31,P32)はゲート線G3を共通のゲート線とするので、隣接画素対(P31,P32)と隣接画素対(P22,P23)は、夫々異なるゲート線を共通のゲート線としている。ちなみに、夫々の共通ゲート線は隣接の関係にある。
【0169】
尚、隣接画素対(P31,P32)に対し、+X方向には、隣接画素対(P42,P43)も隣り合って配置されている。両者の隣接画素対においても同様に、夫々異なるゲート線を共通のゲート線としている。更に、隣接画素対(P22,P23)又は隣接画素対(P42、P43)に対し、+X方向には、隣接画素対(P33,P34)が配置されている。この隣接画素対(P33,P34)はゲート線G3を共通ゲート線としている点は、隣接画素対(P31,P32)と同様である。すなわち、画素1列毎に、同じゲート線を共通ゲート線とする隣接画素対が配置されていることになる。これは換言すれば、右眼用画素を構成する隣接画素対に接続されたゲート線は、左眼用画素を構成する隣接画素対には接続されないことになる。
【0170】
また、本第5の実施形態と同様に、反射板41は画素薄膜トランジスタ4TFTを覆うように設けられており、反射板41上には反射領域用画素電極4RPIXが設けられている。即ち、前記各画素P11,P32,……の区画領域内で当該画素の背面側に、対応する前記各画素P11,P32,…… の表示動作を可変制御する駆動回路を配設すると共に、この駆動回路の上面に前記各画素P11,P32,…… の反射表示領域を配設し、この反射表示領域に上述した反射板41を設けた構成となっている。なお、前記各画素の表示動作を可変制御する駆動回路とは、所謂画素のスイッチング手段であり、通常は薄膜トランジスタにより構成される。
【0171】
上記のように構成すると、本第5実施形態の変形例(1)においては、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線と、を有し、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対はこの画素間に配置されたゲート線により制御され、かつ前記隣接画素対を構成する画素は夫々異なるデータ線に接続され、かつゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は夫々異なるゲート線に接続されることになる。
このように配置することにより、本第5実施形態の変形例(1)においては、反射板の裏面側に画素薄膜トランジスタを効率良く配置することができる。
【0172】
なお、上述の説明においては、反射板が画素薄膜トランジスタを覆うように設けられているものとして説明したが、その一部のみを覆うような状態であっても良い。また、蓄積要領の上に反射板が設けられているのでも良い。即ち、透過表示に使用されない部分を反射表示に使用することで、画素を効率よく表示に使用することができ、表示性能を向上することができる。
【0173】
また、前記各画素には、保持容量を形成するための蓄積容量線4CSを配置してもよく、蓄積容量線4CSは、前記ゲート線の延伸方向に隣接する画素間で接続されていてもよい。更にまた、前記蓄積容量線4CSと前記データ線4Dとが交差する部分は、前記データ線4Dに沿って配置されていてもよい。これらの構造により、画素の表示領域をより効率よく配置することができ、表示性能を向上することが可能となる。
【0174】
本第5実施形態の変形例(1)においては、各画素P11,P12,P13 …… の透過表示領域511,521では、鮮明な画像情報を観察領域に送出することができ、前述した発明の目的を効率良く有効に達成することができる。ここで、前述した透過表示領域511,521の画素電極4PIXと反射領域の画素電極4RPIXとは、電気的に接続されている。
【0175】
画素電極4PIX,4RPIXが接続された方の電極をソース電極、信号線(データ線)Dに接続された方の電極をドレイン電極と呼称するものと定める。そして、画素薄膜トランジスタ4TFTのゲート電極は、ゲート線Gに接続される。蓄積容量線4CSの他方の電極には、蓄積容量線CSが接続されている。更に、対向板2bの内側には共通電極4COMが形成され、画素電極4PIX、反射領域用画素電極4RPIXとの間で画素容量4CLCが形成される。
【0176】
(効果)
反射表示領域512,522は、表示面内で市松状に分散して配置されているため外部から入射された反射光は分散されやすい。このため、反射光をより均一化する効果がある。また、本構成の反射板は2回回転対称性を有する配置であるため、立体表示装置を表示面内で180度回転させた位置から観察した場合でも元の画質と同じ表示品質を保つことができる。従って、画面が180度以上回転可能なモバイル携帯機器や、モニタが回転可能なビデオカメラに好適に適用できる。特に、図23に示すように、データ線の映像信号を1ラインおきに正負の極性で表示する場合、左眼用画素51又は右眼用画素52は左右で同じ電位に設定して表示することができる。これにより、左右の電位差により発生するディスクリネーションを低減し、左右画素の表示を均一化できる。
【0177】
ここで、上記変形例(1)にあっては、上述したように、表示素子13の左右反射板は、図1と同様に左眼用画素中心軸線YL55 、右眼用画素中心軸線YR56に対して非対称、表示素子13の中心軸YG 57に対して非対称に配置されている。又、+Y方向へ隣接する表示素子13の反射表示領域は互いに異なる配置となっており、表示素子13は+Y方向へ周期的に配置されている。反射板41の対称性をみると、表示素子13の中心軸線YG 57は、反射板に対して映進面(g) となっている。
【0178】
又、+X方向には、+X方向と平行な映進面(g) を有する。反射板の配置は、2回の回転対称性を有しており、2回回転対称軸59を中心とした180度の回転操作に対して等価である。従って、2回転の回転対称軸と、2つの独立な鏡映面(g)が存在することから、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2gg」の対称性を有する。その他の構成は前述した図20における第5実施形態と同一となっている。
【0179】
このため、この本第5実施形態の変形例(1)によると、+Y方向と平行な映進面(g)が存在するため、+Y方向への隣接画素補償が可能であり、観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。更に、反射表示領域は表示面内で市松状に分散して配置されているため、外部から入射された反射光は分散されやすく、反射光をより均一化する効果がある。
【0180】
又、+X方向と平行な映進面により、フライアイレンズを適用した場合+X方向へも隣接画素補償することができ、高品質な反射表示を提供できる。更に、本変形例(2)の構成にかかる反射板は2回対称性を有する配置であるため、立体表示装置が180度回転した位置から観察した場合でも元の画質と同じ反射表示品質を保つことができる。従って、画面が回転可能なモバイル携帯機器や、モニタを回転可能なビデオカメラに好適に適用することができる。
【0181】
〔変形例(2)〕
次に、本第5実施形態の変形例(2)を図24に基づいて説明する。
本変形例(2)の立体画像表示装置にあっては、図24に示すように、左眼用画素51、右眼用画素52の外形は台形状であり、反射板の配置は第2実施形態の場合(図11)と同じ構成である。したがって本実施例における反射領域は+Y方向と非平行に傾斜した線分により左右画素領域に分離される。
【0182】
この図24の変形例(2)にあって、反射表示領域の対称性をみると、各画素51,52内の反射板は、左眼用画素の中心軸線YL55、右眼用画素の中心軸線YR56、に対して非対称に配置されており、左眼用画素中心軸線YL 55、右眼用画素中心軸線YR 56は、反射表示領域に対して映進面(g)となっている。又、反射表示領域は、表示素子13の中心軸線YG 57に対しては線対称(鏡映対称)に配置されており、鏡映面(m)となっている。又、反射板の配置は2回の回転対称性を有しており、2回回転対称軸59を中心とした180度の回転操作に対して等価である。その他の構成は、前述した第5実施形態(図20)の場合と同一となっている。
【0183】
このため、この図24に示す第5実施形態の変形例(2)によると、反射表示領域は+Y方向と非平行に傾斜した線分により左右画素領域に分離されるため、少ない面積で隣接画素補償効果を得ることができ、反射表示を高性能化することができる。また、反射領域を小さいスペースで形成できることから透過領域を大きく設定でき画素を広開口化できる。その他の構成およびその作用効果については、前述した第5実施形態(図20)の場合と同一となっている。
【0184】
〔変形例(3)〕
次に、本第5実施形態の変形例(3)を図25に基づいて説明する。
本変形例(3)の立体画像表示装置にあっては、図25に示すように、反射表示領域は台形の傾斜線に沿って配置され、中心点Gに対して点対称である。又、反射表示領域は+Y方向へ画素の上下端部まで延伸しており、+Y方向へ隣接する2つの表示素子について反射領域を+Y方向に沿って切断した長さの合計値はどの場所でも一定となる。その他の構成は、前述した第5実施形態(図20)の場合と同一となっている。
【0185】
このため、この第5実施形態の変形例(3)(図25)によると、+Y方向への反射表示領域の面積合計値は均一になっているため、前述した各実施形態よりも更に反射表示を均一化できる。これにより、観察位置によって部分的に輝度が低下することのない高品質な反射表示を提供することができる。
【0186】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態を図26に基づいて説明する。
本第6実施形態の立体画像表示装置にあっては、図26に示すように、左眼用画素51及び右眼用画素52に表示領域である四角形状の透過領域511、521が形成されており、相互に対向して伸びる辺は平行であり、+Y方向に対して傾斜している。即ち、開口部5は平面図で略平行四辺形状になっている。
【0187】
又、左眼用画素51,右眼用画素52の外形は平行四辺形であり、+X方向へは並進移動して配置される。更に、+Y方向へは+X方向と平行な軸に対して線対称に反転し配置され、マトリクス状に配置される。
【0188】
ここで、線対称となる中心軸線は存在しないため、画素51,52の平行四辺形を180度回転操作する場合の対称軸(即ち2回の回転対称軸)を中心点とし、中心点を通り画像振分方向14と垂直な線分を、左眼用画素中心軸線YL 55(右眼用画素中心軸線YR 56)とする。また、表示素子単位でも同様に、回転中心を通り画像振分方向と垂直な線分を表示素子中心軸線YG 57とする。
【0189】
左眼用反射表示領域512は左眼用画素中心軸線YL55に対して非対称に配置され、右眼用反射領域522は右眼用画素中心軸線YR56に対して非対称に配置されている。また、左眼用反射領域512、右眼用反射領域522は、表示素子13の中心軸YG 57に対して非対称に配置されている。+X方向へ隣接する左右画素の反射領域は異なる位置に配置されており、180度回転することにより一致する。
【0190】
従って、本第6実施形態における表示面の反射板配置は、2回転の回転対称軸から構成され、2次元空間群の国際記号表記によれば少なくとも「p2」の対称性を有する。その他の構成は、前述した第1実施形態(図1乃至図6)の場合と同一となっている。
【0191】
このため、この第6実施形態(図26)によると、外形が平行四辺形であるため、+Y方向へ隣接する表示画素13の反射表示領域は互い違いに配置しやすく開口率を大きくとることができるという利点がある。また、本第6実施形態においては、略平行四辺形状の画素について説明したが、二回回転以上の回転対称性を有する画素から構成されていてもよい。回転中心を通り画像振分方向と垂直な線分を表示素子中心軸線YG として反射領域を配置することにより同様の効果を得ることができる。
【0192】
〔第7実施形態〕
次に、本発明の第7実施形態を図27に基づいて説明する。
この図27は、本第7実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。この図27に示すように、本第7実施形態においては、携帯端末装置としての携帯電話9に、画像表示装置90が組み込まれている。レンチキュラレンズ3を構成するシリンドリカルレンズの画像振分方向14が画像表示装置90の横方向に設置されている。
【0193】
また、画像表示装置90の表示パネル92には、各1つの左眼用画素及び右眼用画素からなる画素対が複数個、マトリクス状に配列されている。そして、1つの画素対における左眼用画素及び右眼用画素の配列方向は、シリンドリカルレンズの配列方向、即ち画面の横方向(水平方向)である。本実施形態における上記以外の構成は、前述した第1の実施形態と同一となっている。
【0194】
次に、本実施形態に係る画像表示装置の動作について説明する。半透過型表示パネル2の左眼用画素51が左眼用の画像を表示し、右眼用画素52が右眼用の画像を表示する。左眼用の画像及び右眼用の画像は、相互に視差がある立体画像である。また、両画像は相互に独立した画像であってもよいが、相互に関連する情報を示す画像であってもよい。
【0195】
本第7実施形態における上記以外の効果は、前述した第1実施形態の場合と同一である。尚、本第7実施形態は、前述した第2乃至第7の各実施形態の何れか一つと組み合わせることもできる。
【0196】
なお、前述した第1乃至第7の各実施形態においては、携帯電話等に搭載され、1人の観察者の左右の眼に相互に視差がある画像を供給して立体画像を表示するか、1人の観察者に複数種類の画像を同時に供給する画像表示装置の例を示したが、本発明に係る画像表示装置はこれに限定されず、大型の表示パネルを備え、複数の観察者に相互に異なる複数の画像を供給するものであってもよい。
【0197】
上述した各実施形態に係る立体画像表示装置は、携帯電話等の携帯機器に好適に適用することができ、良好な立体画像を表示することができる。又、上述した各実施形態に係る立体画像表示装置を携帯機器に適用すれば、大型の表示装置に適用する場合と異なり、観察者が自分の両眼と表示画面との位置関係を任意に調節できるため、最適な可視域を速やかに見出すことができる。更に、上述した各実施形態に係る立体画像表示装置は携帯電話のみならず、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置に適用することができる。
【0198】
また、上述した説明内容は、レンズの凸部が観察者側になるように配置された場合のものであるが、レンズの凸部が表示装置側になるように配置された場合でおいても、同様の効果を得ることができる。更に、上述した各実施形態に係る立体画像表示装置は、携帯電話等の携帯機器に好適に適用することができ、良好な立体画像を表示することができる。上述した各実施形態に係る立体画像表示装置を携帯機器に適用すれば、大型の表示装置に適用する場合と異なり、観察者が自分の両眼と表示画面との位置関係を任意に調節できるため、最適な可視域を速やかに見出すことができる。
【0199】
以上説明したように、上述した各実施形態およびその変形例にあっては、共通した構成として、第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示素子が複数配列され、前記各画素は光を透過する透過表示領域と外光を反射する反射表示領域とを有し、前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線とを備え、前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対は当該画素間に配置された前記ゲート線によりその動作が制御され、かつ前記隣接画素対を構成する画素は夫々異なる前記データ線に接続されると共に、前記ゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は夫々異なる前記ゲート線に接続され、前記各画素から出射した光を前記ゲート線の延伸方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段を備え、前記画素スイッチング手段の配置箇所を覆うようにして前記各画素の反射表示領域を配置すると共に、この反射表示領域に外光を反射する反射板を設けたことを、特徴とする。このため、前述したように、本発明の前記目的を有効に達成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明にかかる画像表示装置は、携帯電話のみならず、携帯端末、PDA、ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等の携帯端末装置に、画像表示パネルとして有効に適用することができ、その汎用性は広いものがある。
【図面の簡単な説明】
【0201】
【図1】本発明の第1実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す概略斜視図である。
【図2】図1に開示した立体画像表示装置の液晶部分を含む断面構造の一部を示す説明図である。
【図3】図1に開示した立体画像表示装置の原理を示すための概念説明図である。
【図4】図1に開示した立体画像表示装置の画素部分と振り分けレンズ部分との位置関係を示す上面図である。
【図5】図4の画素部分に対応して配置される画素トランジスタの配置を示す模式図である。
【図6】図5に開示した各画素部分の一例を示す拡大説明図である。
【図7】第1実施形態の変形例(1)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図8】第1実施形態の変形例(2)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図9】第1実施形態の変形例(3)における表示素子部分のTFTの配置状況を示す拡大説明図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す上面図で、表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。る。
【図11】図10の画素部分に対応して配置される画素トランジスタの配置を示す模式図である。
【図12】レンチキュラレンズの代わりに使用されるフライアイレンズを示す斜視図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す上面図で、表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図14】第3実施形態の変形例(1)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図15】第3実施形態の変形例(2)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図16】第3実施形態の変形例(3)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図17】本発明の第4実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す上面図で、表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図18】第4実施形態の変形例(1)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図19】第4実施形態の変形例(2)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図20】本発明の第5実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す上面図で、表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図21】第5実施形態の変形例(1)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図22】図21の画素部分に対応して配置される画素トランジスタの配置の具体例を示す拡大説明図である。
【図23】図21の画素部分に対応して配置される画素トランジスタの配置を示す模式図である。
【図24】第5実施形態の変形例(2)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図25】第5実施形態の変形例(3)における表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図26】本発明の第6実施形態に係る立体画像表示装置の一部を示す上面図で、表示素子部分の構成内容の配置を示す模式図である。
【図27】本発明の第7実施形態に係る携帯端末装置を示す斜視図である。
【図28】レンチキュラレンズ3の形状を示す説明図である。
【図29】関連技術におけるパララックスバリアを使用する立体画像表示方法を示す光学モデルを示す説明図である。
【図30】関連技術におけるレンチキュラレンズを使用する立体画像表示方法を示す光学モデル図である。
【図31】関連技術における凹凸形状を有する反射板を示す概念図である。
【図32】関連技術におけるレンチキュラレンズと表示素子を用いた立体画像表示装置の例を示す斜視図である。
【図33】関連技術におけるレンチキュラレンズと半透過型表示素子を用いた半透過型立体画像表示装置を示す断面図である。
【図34】関連技術におけるレンチキュラレンズと半透過型表示素子を用いた半透過型立体画像表示装置における上面図である。
【図35】レンチキュラレンズを使用した立体画像表示装置1の各部のサイズ示す光学モデル図である。
【符号の説明】
【0202】
1,90 立体画像表示装置
2,92 反射型液晶表示パネル
2a TFT基板
2b 対向基板
3,121 レンチキュラレンズ
3a シリンドリカルレンズ
4 画素
4a,51 左眼用画素
4b,52 右眼用画素
4PIX 画素電極
4RPIX 反射領域用画素電極
4TFT 画素薄膜トランジスタ
4CLC 画素容量
4CS, 蓄積容量線
4CONT コンタクトホール
4COM 共通電極
4SI シリコン層
5 液晶層
6 基板
7 透明基板
8 観察位置
9 携帯電話
91 光線
10 フライアイレンズ
11 シリンドリカルレンズの長手方向
12 シリンドリカルレンズの配列方向
13 表示素子
14 画像振分方向
17 発光領域
18 受光面
19 光源
31,122 凸部
41 反射板
41a 凹凸形状
42 遮光部
43 CFスリット
51 左眼用画素
52 右眼用画素
53 第1視点用画素
54 第2視点用画素
55 左眼用画素中心軸線YL
56 右眼用画素中心軸線YR
57 表示素子中心軸線YG
58 映進面(g)
59 2回回転対称軸
60 鏡映面(m)
61,142 左眼
62,141 右眼
70 非反射領域
71 溝部
72 中心点
106 表示パネル
107 立体可視域
107a 対角線の交点
107b 最適観察面
108 光源
123,124 画素
143 右眼141と左眼142との中点
181,182 光束
200 表示パネル
511 左眼用画素(透過表示領域)
512 左眼用画素(反射表示領域)
521 右眼用画素(透過表示領域)
522 右眼用画素(反射表示領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示素子が複数配列され、前記各画素は光を透過する透過表示領域と外光を反射する反射表示領域とを有し、前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段を備えた画像表示装置において、
前記光学手段に対応して配設される複数の前記各表示素子が、少なくとも前記反射表示領域の配置が異なる二種類以上のパターンを使用すると共に、
前記各表示素子が前記光学手段による出射光振り分け方向に直交する方向に配置されていると共に、前記各表示素子の反射表示領域を前記各画素の面上に配置し、且つ当該反射表示領域を前記各表示素子の中心点を結ぶ任意の線分に対してそれぞれ非対称となるように配置し、
前記反射表示領域の配置が異なる各表示素子の内、同一パターンの前記反射表示領域を備えた前記表示素子を前記各画素の面上で且つ前記光学手段による出射光振り分け方向に沿って周期的に繰り返し配置したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記各表示素子を通過して設定される任意の線分を、前記各表示素子の中心点を結ぶ線分としたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記各表示素子共通の中心線上で相互に隣接する各表示素子は、当該各表示素子の少なくとも二つ以上を相互に重ねて透視した場合に、当該各表示素子が備えている前記反射表示領域が前記出射光振り分け方向に対して分断されることなく連続して配置されていることを特徴とした画像表示装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記表示素子を構成する各画素の形状を、台形等の多角形状の画素としたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記各表示素子を構成する各画素を前記表示素子共通の中心線に平行な線対称軸を有する多角形状の画素により構成すると共に、この各画素内の反射表示領域を、前記線対称軸に対して非対称に配置したことを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記各画素内には、前記反射表示領域が少なくとも二箇所以上に分けて配設されていることを特徴とした画像表示装置。
【請求項7】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記各画素から出射した光を相互に異なる方向に振り分ける光学手段は、レンチキュラレンズ又はフライアイレンズの何れかのレンズであることを特徴とした画像表示装置。
【請求項8】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記表示素子の反射表示領域は、画像振分け方向に垂直な前記中心線に対して非平行に傾斜した線分によって、前記第1視点用の画像を表示する画素と第2視点用の画像を表示する画素とに分割されて配置されていることを特徴とした画像表示装置。
【請求項9】
前記請求項1に記載の画像表示装置において、
前記光学手段を、前記出射光振り分け機能を備えた着脱可能な光学シートにより形成したことを特徴とした画像表示装置。
【請求項10】
第1視点用の画像を表示する画素及び第2視点用の画像を表示する画素を少なくとも含む表示素子が複数配列され、前記各画素は光を透過する透過表示領域と外光を反射する反射表示領域とを有し、
前記各画素に表示データを供給するためのデータ線と、前記各画素に前記データ線からの表示データ信号を伝達する画素スイッチング手段と、この画素スイッチング手段を制御するためのゲート線とを備え、
前記ゲート線を挟み配置された隣接画素対は当該画素間に配置された前記ゲート線によりその動作が制御され、かつ前記隣接画素対を構成する画素は夫々異なる前記データ線に接続されると共に、前記ゲート線の延伸方向に隣接する前記隣接画素対は夫々異なる前記ゲート線に接続され、前記各画素から出射した光を前記ゲート線の延伸方向に沿って相互に異なる方向に振り分ける光学手段を備え、
前記画素スイッチング手段の配置箇所を覆うようにして前記各画素の反射表示領域を配置すると共に、この反射表示領域に外光を反射する反射板を設けたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
前記請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像表示装置を、表示用として装備したことを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2013−83987(P2013−83987A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−257296(P2012−257296)
【出願日】平成24年11月26日(2012.11.26)
【分割の表示】特願2007−335351(P2007−335351)の分割
【原出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】