説明

画像表示装置の製造方法、及び該製造方法を用いて製造される画像表示装置

【課題】視認性に優れるのみならず、組み立てが容易で、かつ過酷な条件下に設置しても画像表示パネルと保護パネルとの密着性が低下しない画像表示装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の画像表示装置の製造方法は、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、耐熱水接着性改良層を介して、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層が積層された両面粘着シートを用いて、画像表示パネルと、該画像表示パネルを保護する保護パネルとを貼り合わせたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の製造方法、及び該製造方法を用いて製造される画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(LCD)、プラズマ発光表示装置(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)等の画像表示装置では、その表面に何らかの衝撃が加わった場合にその衝撃によって画像表示装置が備える画像表示パネルが破損しないように、画像表示パネルの表面に保護パネルが設けられている。また、画像表示パネルと保護パネルとの間に空気層を設け、画像表示装置に加わった衝撃を分散・吸収させて画像表示パネルの損傷を防いでいる。
【0003】
しかしながら、画像表示パネルと保護パネルとの間に空気層を設ける構造では、空気層と保護パネルとの屈折率差に起因する光の反射が大きいことから、太陽光やバックライト光が散乱して輝度やコントラストが低下して、視認性が悪くなるという問題があった。
【0004】
これまで、上記問題を解決するために、画像表示パネルと保護パネルとの間の空気層に弾性樹脂を充填する方法が提案されており、例えば、画像表示パネルと保護パネルとを少なくとも1層以上のシート状の透明粘着材を介して密着して、耐衝撃性および視認性を改良した画像表示装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記透明粘着材はコシが弱く、画像表示装置に透明粘着材を組み込む作業が困難になる場合があった。また、画像表示パネルや保護パネルへの透明粘着材の貼着時に気泡を噛み込む場合があり、この気泡の噛み込みが発生した際などに透明粘着材の張り替えをしようとすると、透明粘着材の一部が画像表示パネルや保護パネルに残る、いわゆる糊残りが発生するという場合があった。
【0006】
上記問題のうち、組み込み作業の困難性を解決する方法としては、透明粘着材として、基材フィルム表面に粘着層を設けた粘着シートを用いることによって、粘着材(粘着シート)にコシを持たせる方法が考えられる。ここで、特許文献2や3には、ポリエステルフィルムとゴムを、少なくとも1層以上の接着剤層を介して貼り合わせた積層体が開示されている。
【0007】
しかしながら、上記文献に開示されるポリエステルフィルムは、積層体の成形性を付与するためにポリエステルフィルムの面配向が特定範囲に限定されている。このため、上記文献に開示される積層体は成形性が良好であるという特徴を有するものの、ポリエステルフィルムの耐熱性、寸法安定性、及び厚み精度等が悪化すると言った問題があり、高度な耐熱性、寸法安定性及び厚み精度が要求される用途においては、市場要求を満たすことができない場合があった。また、ポリエステルフィルムとゴムとが接着剤を用いて積層されていることから、接着性や接着耐久性においても問題が生じる場合があった。
【0008】
以上の背景より、耐熱性、寸法安定性および厚み精度等に優れたポリエステルフィルムで、かつゴムと強固に接着できるポリエステルフィルムの開発が強く嘱望されていた。
【0009】
また、本発明者らは、これまでに、ポリエステルフィルムにシリコーンゴムフィルムを積層したシリコーンゴムフィルム複合体の製造法を開示している(例えば、特許文献4〜9参照)。
【特許文献1】特開2003−29644号公報
【特許文献2】特開2001−322167号公報
【特許文献3】特開2001−323081号公報
【特許文献4】特開平10−53659号公報
【特許文献5】特開平10−58605号公報
【特許文献6】特開平10−86282号公報
【特許文献7】特開平10−95071号公報
【特許文献8】特開平10−113934号公報
【特許文献9】特開平10−226022号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献には、ポリエステルフィルムが、その表面に接着性を向上させる化合物を積層した易接着性ポリエステルフィルムである態様が開示されており、これにより、ポリエステルフィルムとシリコーンゴムフィルムとの接着性に優れる複合体を得ることができる。しかしながら、上記複合体は、常態におけるポリエステルフィルムとシリコーンゴムフィルムとの接着性には優れるものの、例えば、高温、高湿等の過酷な環境下におけるポリエステルフィルムとシリコーンゴムフィルムとの接着力の耐久性が劣るという課題を有していた。
【0011】
ところで、画像表示装置の中には、カーナビゲーション等のように周辺温度が高温から低温まで大きく変動する環境下で用いられるものもある。このため、このような過酷な使用条件下にも耐え得るように、ポリエステルフィルム(基材フィルム)とシリコーンゴムフィルム(粘着層)との間の接着耐久性を一層向上させることが望まれた。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、十分なコシを有し、過酷な使用環境下においても基材フィルムと粘着層との接着性が低下しない両面粘着シートを用いることによって、耐衝撃性・視認性に優れるのみならず、組み立てが容易で、かつ過酷な条件下に設置しても画像表示パネルと保護パネルとの密着性が低下しない画像表示装置の製造方法を提供することを課題として掲げた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決した本発明の画像表示装置の製造方法は、ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、耐熱水接着性改良層を介して、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層が積層された両面粘着シートを用いて、画像表示パネルと、該画像表示パネルを保護する保護パネルとを貼り合わせることを特徴とする。
【0014】
本発明で用いる両面粘着シートは、ポリエステル系基材フィルムに粘着層を積層して構成されるため、シートにコシが出ることとなる。また、上記基材フィルムの少なくとも片面には、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層が積層されていることから、本発明で用いる両面粘着シートは弾性を有するのみならず、優れた粘着性と再剥離性を併せ持つこととなる。さらに、上記シリコーン化合物を含む粘着層が耐熱水接着改良層を介して基材フィルムに積層されるため、温度が高温から低温まで大きく変動するような過酷な環境下においても、基材フィルムと粘着層とが良好な接着性を維持することとなる。
【0015】
ここで、下記で定義した方法で前記両面粘着シートの耐熱水接着性を評価したときに、前記粘着層が剥離しないことが好ましい実施態様である。
【0016】
また、上記耐熱水接着性改良層は、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと架橋剤との反応生成物を含むことが好ましい。あるいは、上記耐熱水接着性改良層は、自己架橋型のポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上が自己架橋したものを含むことが好ましい。
【0017】
また、前記架橋されたシリコーン化合物は、数平均分子量5万〜50万のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋したものであることが好ましい。
【0018】
本発明においては、前記ポリエステル系基材フィルムの片面に、アクリル系粘着層またはゴム系粘着層が積層されることが好ましい実施態様である。
【0019】
また、前記耐熱水接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmであることが好ましい。
【0020】
また、前記両面粘着シートの全光線透過率が90%以上で、かつヘーズが1.5%以下であることが好ましい実施態様である。
【0021】
本発明の製造方法においては、前記両面粘着シートの各粘着層表面にセパレートフィルムが積層されたセパレートフィルム付き両面粘着シートを準備した後、前記セパレートフィルムを前記粘着層からそれぞれ剥離して、前記画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせることが好ましい実施態様である。
【0022】
ここで、前記粘着層のうちシリコーンゴムを含む粘着層と前記セパレートフィルムとの剥離強度が0.03〜1.0N/20mmであることが好ましい。
【0023】
また、前記シリコーンゴムを含む粘着層に積層されるセパレートフィルムが離型層を備え、該離型層を介して前記シリコーンゴムを含む粘着層表面と積層されて構成され、前記離型層がバインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含むことが好ましい。
【0024】
本発明には、上記の製造方法を用いて製造される画像表示装置も包含される。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、上記の両面粘着シートを用いて、画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせていることから、視認性に優れるのみならず、貼り合わせや再剥離が容易で、また過酷な環境下で使用しても画像表示パネルと保護パネルとの密着性が優れる画像表示装置を得ることができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の画像表示装置の製造方法は、ポリエステル系基材フィルムの両面に粘着層が積層された両面粘着シートを用いて、画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせるものである。このため、画像表示装置の視認性が優れることとなる。また、両面粘着シートにコシが出ることから、画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせる際の作業が容易なものとなる。
【0027】
また、上記粘着層の少なくとも一方は、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含んで構成される。これにより、本発明で用いる両面粘着シートは再剥離性に優れるとともに、衝撃吸収性にも優れるものとなる。
【0028】
ここで、上記シリコーン化合物を含んで構成される粘着層は、耐熱水接着性改良層を介して上記基材フィルムに積層される。これにより、本発明で用いる両面粘着シートは、粘着層が剥離し難くなることから、この両面粘着シートを用いて構成される画像表示装置は、過酷な環境下で使用しても画像表示パネルと保護パネルとの密着性を良好に維持することができる。
【0029】
以下、本発明の画像表示装置の製造方法について説明する。
【0030】
(ポリエステル系基材フィルム)
ポリエステル系基材フィルムは、本発明で用いる両面粘着シートにコシを持たせるためのものであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等を主成分(80質量%以上)とするフィルムであれば任意に使用できる。
【0031】
ポリエステル系基材フィルムは、二軸延伸化していることが好ましい。二軸延伸ポリエステル系フィルムの製造方法としては、例えば、ポリエステルを必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給してスリット状のダイからシート状に押出し、静電印加等の方式によりキャスティングドラムに密着させ、冷却固化して未延伸シートを得た後、未延伸シートを二軸延伸する方法が挙げられる。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸、逐次二軸延伸のいずれであってもよい。
【0032】
ポリエステル系基材フィルムには、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理等の公知の接着性向上処理を行ってもよい。
【0033】
(耐熱水接着性改良層)
耐熱水接着性改良層は、後述する耐熱水接着性の評価において、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層を剥離させないための層である。
【0034】
耐熱水接着性改良層の厚みは0.01μm以上(より好ましくは0.05μm以上)が好ましく、0.5μm以下(より好ましくは0.4μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下)であることが好ましい。耐熱水接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmであれば、良好な耐熱水接着性を示すが、上記範囲外では後述する評価方法で耐熱水接着性が「○」にならないことがあるため好ましくない。
【0035】
耐熱水接着性改良層は、架橋されたポリマー層(架橋ポリマー層)であることが好ましく、ポリマーを架橋剤で架橋したり、自己架橋型ポリマーを自己架橋させて形成することができる。
【0036】
<架橋剤で架橋するポリマー>
架橋剤で架橋する方法において使用できるポリマーは特に限定されないが、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択された少なくとも1種であることが好ましい。上記ポリマーは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
≪耐熱水接着性改良層用のポリエステル≫
上記ポリエステルは、主鎖あるいは側鎖にエステル結合を有するもので、多価カルボン酸成分とグリコール成分とを重縮合して得られるものである。
【0038】
ポリエステルを構成する多価カルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸あるいはこれらのエステル誘導体を使用することができる。
【0039】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p’−ジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。耐熱水接着性改良層の強度や耐熱性の点から、これらの芳香族ジカルボン酸が、好ましくは多価カルボン酸成分100モル%中30モル%以上、より好ましくは35モル%以上、さらに好ましくは40モル%以上を占めるポリエステルを用いることが好ましい。
【0040】
また、脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等、およびそれらのエステル形成性誘導体を用いることができる。
【0041】
ポリエステルを構成するグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−チオジフェノール、ビスフェノールA、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−(2−ノルボルニリデン)ジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、o−,m−,およびp−ジヒドロキシベンゼン、4,4’−イソプロピリデンフェノール、4,4’−イソプロピリデンビンジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール等を用いることができる。
【0042】
また、ポリエステルを水系液にして塗液として用いる場合には、ポリエステルの水溶性化あるいは水分散化を容易にするため、カルボン酸(塩)基を含む化合物、スルホン酸(塩)基を含む化合物、ホスホン酸(塩)基を含む化合物等を共重合することが好ましい。
【0043】
カルボン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフルフリル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸、チオフェン−2,3,4,5−テトラカルボン酸、エチレンテトラカルボン酸等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0044】
スルホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
ホスホン酸(塩)基を含む化合物としては、例えば、ホスホテレフタル酸、5−ホスホイソフタル酸、4−ホスホイソフタル酸、4−ホスホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、ホスホ−p−キシリレングリコール、2−ホスホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等、あるいはこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩が挙げられる。
【0046】
また、本発明においては、上記ポリエステルとして、例えば、アクリル、ウレタン、エポキシ等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等の変性ポリエステル共重合体も使用可能である。
【0047】
好ましいポリエステルとしては、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールから選ばれるものを用いた共重合体等が挙げられる。耐水性が必要とされる場合は、5−ナトリウムスルホイソフタル酸の代わりに、トリメリット酸をその共重合成分とした共重合体等も好適に用いることができる。
【0048】
上記ポリエステルは、種々の製造法によって製造することができる。例えば、多価カルボン酸成分が、テレフタル酸、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸からなり、グリコール成分が、エチレングリコール、ネオペンチルグリコールからなるポリエステルについて説明すると、これらのモノマーを直接エステル化反応させるか、あるいは、エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造する方法等が挙げられる。
【0049】
この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等を用いることができる。
【0050】
また、カルボキシル基を末端および/または側鎖に多く有するポリエステルを得る方法としては、特開昭54−46294号公報、特開昭60−209073号公報、特開昭62−240318号公報、特開昭53−26828号公報、特開昭53−26829号公報、特開昭53−98336号公報、特開昭56−116718号公報、特開昭61−124684号公報、特開昭62−240318号公報等に記載のように3価以上の多価カルボン酸を共重合する方法を挙げることができるが、これら以外の方法であってもよい。
【0051】
また、水分散ポリエステル樹脂として、例えば市販されている「バイロナール(登録商標)」シリーズ(東洋紡績株式会社製)を用いることもできる。
【0052】
ポリエステルの固有粘度は、特に限定されないが、接着性の点で0.3dl/g以上(より好ましくは0.35dl/g以上、最も好ましくは0.4dl/g以上)であることが好ましい。ポリエステルのガラス転移温度(以下、単に「Tg」と称する場合がある。)は、0℃以上(より好ましくは10℃以上)であることが好ましく、130℃以下(より好ましくは85℃以下)であることが好ましい。Tgが0℃以上のポリエステルを用いることで耐熱水接着性が向上し、また、耐熱水接着性改良層をポリエステル系基材フィルムの表面に積層した後に一旦巻き取る場合等のブロッキング現象を抑制することができる。また、Tgが130℃以下のポリエステルを用いることで、安定性や水分散性を良好に維持することができる。
【0053】
≪耐熱水接着性改良層用のポリウレタン≫
次に、ポリウレタンについて説明する。ポリウレタンは、ウレタン結合を有したものであれば特に限定されるものではなく、主要構成成分としては、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物を重合して得られるものである。
【0054】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオール等が挙げられる。
【0055】
また、ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物等が挙げられる。
【0056】
ポリウレタンの合成の際には、上記ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物の他に、公知の鎖延長剤や架橋剤等を含んでいてもよい。鎖延長剤あるいは架橋剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0057】
安定なポリウレタン水分散体を得るには、水への親和性が高められたポリウレタンを合成することが好ましく、例えば、アニオン性基を適量ポリウレタン中に導入すればよい。アニオン性基を有するポリウレタンは、例えば、ポリオール化合物、ポリイソシアネート化合物、鎖延長剤等に、アニオン性基を有する化合物を用いる方法や、生成したポリウレタンの未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、あるいはポリウレタンの活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法等を用いて製造することができる。
【0058】
上記ポリウレタン中のアニオン性基は、好ましくはスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられる。
【0059】
ポリウレタン中のアニオン性基を有するユニットの量は、ポリウレタンの水分散性の点から、0.05質量%〜15質量%が好ましい。
【0060】
また、ポリウレタン水分散体として、「ハイドラン(登録商標)」シリーズ(大日本インキ化学工業株式会社製)を用いることもできる。
【0061】
≪耐熱水接着性改良層用のアクリル系ポリマー≫
アクリル系ポリマーを構成するモノマー成分としては、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等);2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミドN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を用いて(共)重合される。さらに、これらは他種のモノマーと併用してもよい。
【0062】
ここで他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基およびそれらの塩を含有するモノマー;クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物を含有するモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。
【0063】
また、上記アクリル系ポリマーとしては、変性アクリル系ポリマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂等で変性したブロック共重合体、グラフト共重合体等も使用可能である。
【0064】
上記アクリル系ポリマーのTgは、耐熱水接着性や耐ブロッキング性の点から下限を−10℃とすることが好ましく、より好ましくは0℃であり、最も好ましくは10℃である。一方、アクリル系ポリマーのTgは、耐熱水接着性や造膜性の点から上限を90℃とすることが好ましく、より好ましくは50℃、最も好ましくは40℃である。また、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は5万以上が好ましく、30万以上とすることが耐熱水接着性の点でより好ましい。
【0065】
上記アクリル系ポリマーとして好ましいのは、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリル酸から選ばれるモノマーからなる共重合体等である。
【0066】
アクリル系ポリマーを水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系液として用いることが、環境汚染や塗工時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル系ポリマーは、親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩等)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合等の方法によって作製することができる。
【0067】
また、市販のアクリル系エマルジョンを用いてもよく、例えば、「ジョンクリル(登録商標)」シリーズ(BASFジャパン株式会社製)が挙げられる。
【0068】
<耐熱水接着性改良層の形成に用いられる架橋剤>
本発明においては、上記ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーは架橋されていることが好ましい。上記ポリマーを架橋する場合に用いる架橋剤としては、上記ポリマーに存在する官能基、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メチロール基、アミド基等と架橋反応し得るものが挙げられる。例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メチロール化あるいはアルキロール化した尿素系、アクリルアミド系、ポリアミド系樹脂、アミドエポキシ化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤等を用いることができる。特に、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤が、上記ポリマーとの相溶性や耐熱水接着性等の点から好適に用いることができる。
【0069】
メラミン系架橋剤としては、特に限定されないが、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロール化メラミン誘導体、メチロール化メラミンに低級アルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。また、メラミン系架橋剤としてはモノマー、2量体以上の多量体からなる縮合物、あるいはこれらの混合物等を用いることができる。エーテル化に使用する低級アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等を用いることができる。メチル化トリメチロールメラミン、ブチル化ヘキサメチロールメラミン等のメチロール化メラミン樹脂が好ましい。なお、メラミン系架橋剤の熱硬化を促進するため、例えば、p−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用いてもよい。
【0070】
また、オキサゾリン系架橋剤は、化合物中に官能基としてオキサゾリン基を有するものであれば特に限定されるものではないが、オキサゾリン基を含有するモノマーを少なくとも1種以上含み、かつ、少なくとも1種の他のモノマーを共重合させて得られるオキサゾリン基含有共重合体からなるものが好ましい。
【0071】
オキサゾリン基を含有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を用いることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することもできる。中でも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。
【0072】
オキサゾリン基含有共重合体において、オキサゾリン基を含有するモノマーと共に用いられる少なくとも1種の他のモノマーとしては、オキサゾリン基を含有するモノマーと共重合可能なモノマーであれば、特に限定されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸類;(メタ)アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲン−α,β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα,β−不飽和芳香族モノマー類等を用いることができ、これらは1種または2種以上の混合物を使用することができる。
【0073】
また、オキサゾリン基含有共重合体としては、例えば、「エポクロス(登録商標)」シリーズ(株式会社日本触媒製)が入手可能である。
【0074】
イソシアネート系架橋剤は、化合物中に官能基としてイソシアネート基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にイソシアネート基を2個以上含む多官能性イソシアネート化合物の使用が好ましい。
【0075】
多官能性イソシアネート化合物としては、低分子または高分子の芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートを用い得る。ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらのイソシアネート化合物の3量体がある。さらに、これらのイソシアネート化合物の過剰量と、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の低分子活性水素化合物、またはポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類等の高分子活性水素化合物とを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物を挙げることができる。
【0076】
なお、イソシアネート化合物を架橋剤として用いる場合に、ブロック化イソシアネート化合物を用いることも可能である。ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて調製することができる。ブロック化剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類;チオフェノール、メチルチオフェノール等のチオフェノール類;アセトキシム、メチルエチケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレンクロルヒドリン、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類;t−ブタノール、t−ペンタノール等の第3級アルコール類;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、ν−ブチロラクタム、β−プロピルラクタム等のラクタム類;芳香族アミン類;イミド類;アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステル等の活性メチレン化合物;メルカプタン類;イミン類;尿素類;ジアリール化合物類;重亜硫酸ソーダ等を挙げることができる。
【0077】
エポキシ系架橋剤としては、化合物中に官能基としてエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではないが、1分子中にエポキシ基を2個以上含む多官能性エポキシ化合物の使用が好ましい。
【0078】
多官能性エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、水素化ビスフェノールAのジグリシジルエーテルおよびそのオリゴマー、オルソフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルおよびポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−ジグリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0079】
上記架橋剤として、アルキル化フェノール類、クレゾール類等とホルムアルデヒドとの縮合物のフェノールホルムアルデヒド樹脂;尿素、メラミン、ベンゾグアナミン等とホルムアルデヒドとの付加物、この付加物と炭素原子数が1〜6のアルコールからなるアルキルエーテル化合物等のアミノ樹脂等も使用できる。
【0080】
フェノールホルムアルデヒド樹脂としては、例えば、アルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピルまたはブチル)フェノール、p−tert−アミルフェノール、4,4’−sec−ブチリデンフェノール、p−tert−ブチルフェノール、o−、m−、p−クレゾール、p−シクロヘキシルフェノール、4,4’−イソプロピリデンフェノール、p−ノニルフェノール、p−オクチルフェノール、3−ペンタデシルフェノール、フェノール、フェニル−o−クレゾール、p−フェニルフェノール、キシレノール等のフェノール類とホルムアルデヒドとの縮合物を挙げることができる。
【0081】
アミノ樹脂としては、例えば、メトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N−エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミン等を挙げることができる。
【0082】
上記ポリマー(ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系ポリマー)と架橋剤は任意の比率で混合して用いることができるが、本発明の耐熱水接着性の効果をより顕著に発現させるには、架橋剤は、ポリマー100質量部に対し、固形分質量比で2質量部以上(より好ましくは3質量部以上)、50質量部以下(より好ましくは25質量部以下)の添加が好ましい。架橋剤の添加量が2質量部未満の場合は、その添加効果が小さく、また、50質量部を超える場合は耐熱水接着性が低下する傾向がある。
【0083】
<自己架橋型ポリマー>
本発明においては、上記方法以外にも、例えば、上記したポリマーに架橋性の官能基を導入した自己架橋型ポリマー(自己架橋型のポリエステル、ポリウレタン、アクリル系ポリマー)を用いて耐熱水接着性改良層を形成してもよい。自己架橋型ポリマーを用いる場合の架橋方法は、例えば、熱架橋であってもよく、紫外線、電子線およびγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。以下、自己架橋型のポリマーとして、ポリエステルの場合について具体的な方法を例示する。
【0084】
≪自己架橋型のポリエステル≫
本発明で好適に使用される自己架橋型のポリエステルは、疎水性共重合ポリエステルに、少なくとも1種のラジカル重合性モノマーをグラフトさせたポリエステル系グラフト共重合体である。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体の「グラフト化」とは、主鎖である幹ポリマーに、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。グラフト重合は、通常、疎水性共重合ポリエステルを有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して、少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより実施される。疎水性共重合ポリエステルは、本来それ自身で水に溶解しない、本質的に水不溶性のポリエステルであるため、水に溶解するポリエステル樹脂をグラフト重合の際の幹ポリマーとして使用する場合に比べ、耐熱水接着性に優れている。
【0085】
疎水性共重合ポリエステルは、ジカルボン酸成分100モル%中、芳香族ジカルボン酸が60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜39.5モル%、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸が0.5〜10モル%であることが好ましい。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸が68〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が2〜7モル%である。
【0086】
上記芳香族ジカルボン酸が60モル%以上であり、上記脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が39.5モル%以下である場合には、耐熱水接着性が良好となる。また、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸を0.5モル%以上用いることで、疎水性共重合ポリエステルに対するラジカル重合性モノマーのグラフト化を効率よく行うことができる。一方、ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸を10モル%以下とすることにより、グラフト化反応の後期に、反応溶液の粘度が顕著に上昇することを抑制し、反応を均一に進行できる。
【0087】
芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸は、上記例示の化合物がいずれも使用可能である。ラジカル重合性二重結合を含有するジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のα、β−不飽和ジカルボン酸;2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等の重合性不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸等を例示することができる。これらの重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸のうち、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物が好ましい。
【0088】
疎水性共重合ポリエステルを得るために用いられるグリコール成分も、上記例示の化合物がいずれも使用可能である。グリコール成分は、2種以上併用してもかまわない。なかでも、炭素数2〜10の脂肪族グリコール、炭素数6〜12の脂環族グリコール等が好ましい。
【0089】
上記疎水性共重合ポリエステルには、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができる。3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が挙げられる。また、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。
【0090】
3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、好ましくは0〜3モル%の範囲で共重合され、この範囲であれば重合時のゲル化を抑制することができる。
【0091】
また、疎水性共重合ポリエステルの重量平均分子量は、耐熱水接着性の点から下限が5,000であることが好ましい。また、重合時のゲル化等の点で、上限は50,000であることが好ましい。
【0092】
疎水性共重合ポリエステルを合成した後は、グラフト重合を行う。グラフト重合は、疎水性共重合ポリエステルを有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して少なくとも一種のラジカル重合性モノマーを反応させることにより行う。なお、グラフト反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーとのグラフト共重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステルおよび疎水性共重合ポリエステルにグラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体をも含有している。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体とは、上記したグラフト共重合体だけでなく、これに加えて、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル、グラフトしなかったラジカル重合性モノマーから得られる(共)重合体およびモノマー(残存モノマー)も含む反応混合物をも包含する。
【0093】
本発明において、ポリエステル系グラフト共重合体の酸価は、耐熱水接着性の点から、600eq/106g以上であることが好ましい。より好ましくは、1200eq/106g以上である。ポリエステル系グラフト共重合体の酸価が600eq/106g未満である場合は、耐熱水接着性が低下する場合がある。
【0094】
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステルとラジカル重合性モノマーの質量比率は、疎水性共重合ポリエステル/ラジカル重合性モノマー=40/60〜95/5の範囲が望ましく、より望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
【0095】
疎水性共重合ポリエステルの質量比率を40質量%以上とすることで、ポリエステルの優れた接着性を発揮することができる。一方、疎水性共重合ポリエステルの質量比率を95質量%以下とすることで、耐ブロッキング性を改善するとともに、ポリエステル系グラフト共重合体の酸価を上記範囲に調整することができる。
【0096】
ポリエステル系グラフト共重合体は、有機溶媒の溶液もしくは分散液または水系溶媒の溶液もしくは分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液、すなわち、水分散体の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。よって、グラフトさせるラジカル重合性モノマーとしては、親水性ラジカル重合性モノマーを必須的に含むラジカル重合性モノマーを用いることが好ましい。そして、有機溶媒中でグラフト重合した後は、有機溶媒を留去し、水を添加すれば、水分散体を得ることができる。
【0097】
親水性ラジカル重合性モノマーとは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーを意味する。親水基を有するラジカル重合性モノマーとしては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。一方、親水基に変化できる基を有するラジカル重合性モノマーとしては、酸無水物基、グリシジル基、クロル基等を含むラジカル重合性モノマーを挙げることができる。これらの中でも、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが好ましい。
【0098】
ポリエステル系グラフト共重合体の酸価を上記好適範囲にするためには、親水性ラジカル重合性モノマーは、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性モノマーが含まれていることが好ましい。このようなモノマーとしては、フマル酸、フマル酸モノエチル;マレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル;イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステル;アクリル酸、メタクリル酸;およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物である。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることができる。
【0099】
グラフトさせるラジカル重合性モノマーには、酸価を上記好適範囲にする限りは、他種のモノマーが含まれていてもよい。他種のモノマーとしては、上記したアクリル系ポリマーを合成するときに用い得るモノマーが挙げられる。
【0100】
本発明で用いるグラフト重合開始剤としては、例えば、当業者に公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類が挙げられる。有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)が挙げられる。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、ラジカル重合性モノマーに対して、少なくとも0.2質量%以上、好ましくは0.5質量%以上である。
【0101】
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールを必要に応じて用い得る。この場合、ラジカル重合性モノマーに対して0〜5質量%の範囲で添加することが望ましい。
【0102】
グラフト反応終了後の反応生成物は、塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することができる。塩基性化合物としては、塗膜形成時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類等が好適である。望ましい化合物としては、例えば、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。
【0103】
塩基性化合物は、グラフト反応終了後の反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少なくとも部分中和または完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、例えば、高温、多湿下等の過酷な環境下における耐熱水接着性が向上する。
【0104】
ポリエステル系グラフト共重合体では、ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)の重量平均分子量は500〜50,000であるのが好ましい。ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)の重量平均分子量を500未満にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、疎水性共重合ポリエステルへの親水性基の付与が充分に行われない傾向がある。また、ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)は分散粒子の水和層を形成するが、充分な厚みの水和層をもたせ、安定な水分散体を得るためにはラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。
【0105】
また、ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)の重量平均分子量は、溶液重合における重合性の点より、その上限値が50,000であることが好ましい。
【0106】
ラジカル重合性モノマーのグラフト重合物(枝ポリマー)の重量平均分子量を500〜50,000の範囲内とするためには、開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成、または必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行うことが好ましい。
【0107】
ポリエステル系グラフト共重合体のTgは、特に限定されないが、耐熱水接着性を考慮すれば、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
【0108】
本発明において、疎水性共重合ポリエステルにラジカル重合性モノマーをグラフト重合させたポリエステル系グラフト共重合体は、ポリエステル中のヒドロキシル基と、グラフト部分に存在するカルボキシル基が反応するため、自己架橋性を有する。また、常温では架橋しないが、塗膜形成の際の乾燥時の熱で、熱ラジカルによる水素引き抜き反応等の分子間反応を行い、架橋剤なしで架橋する。これにより、高度な耐熱水接着性を発揮する。塗膜の架橋度については、種々の方法で評価できるが、例えば、疎水性共重合ポリエステルおよびグラフトした重合体(ポリエステル系グラフト共重合体)の両方を溶解するクロロホルム溶媒等での不溶分率を測定する方法等が挙げられる。
【0109】
80℃程度で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率は、耐熱水接着性と耐ブロッキング性の点から、50質量%以上が好ましく、より好ましくは70質量%以上である。
【0110】
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体として、例えば、「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績株式会社製)等の市販のものを用いることもできる。
【0111】
また、上記と類似した方法でグラフト化ポリウレタンを調製することができる。
【0112】
<耐熱水接着性改良層の添加剤>
耐熱水接着性改良層中には本発明の効果が損なわれない範囲内で、各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤等が配合されていてもよい。
【0113】
特に、耐熱水接着性改良層中に無機粒子を添加したものは、例えば、ポリエステル系基材フィルムの表面に耐熱水接着性改良層を積層して、一旦巻き取る場合等の易滑性や耐ブロッキング性が向上するので好ましい。
【0114】
この場合、添加する無機粒子としては、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を用いることができる。用いられる無機粒子は、平均粒径0.005μm以上(より好ましくは0.01μm以上、最も好ましくは0.05μm以上)が好ましく、5μm以下(より好ましくは3μm以下、最も好ましくは2μm以下)が好ましい。無機粒子の使用量は特に限定されないが、耐熱水接着性改良層中のポリマー100質量部に対し、固形分で0.05質量部以上(より好ましくは0.1質量部以上)、10質量部以下(より好ましくは5質量部以下)混合することが好ましい。
【0115】
<耐熱水接着性改良層の形成方法>
耐熱水接着性改良層は、上記ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと架橋剤との混合物の水分散体や、自己架橋型ポリマーの水分散体を用いて形成する場合には、ポリエステル系基材フィルムの表面にこの水分散体を塗工する塗工法で形成するのが最も簡便である。例えば、ポリエステル系基材フィルムの未延伸フィルムに上記水分散体を塗布し、次いで少なくとも一方向に延伸する方法、縦延伸後に上記水分散体を塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に上記水分散体を塗布する方法等が挙げられる。なかでも、ポリエステル系基材フィルムを製造する際、フィルムの結晶配向が完了する前に上記水分散体を塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステル系基材フィルムの結晶配向を完了させる、いわゆるインラインコート法が、容易に薄膜を形成でき、また本発明の効果をより顕著に発現させることができることから好ましい。
【0116】
ポリエステル系基材フィルムの未延伸フィルムへ上記水分散体を塗布する場合は、各種の塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、マイヤーバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法等を用いることができる。
【0117】
耐熱水接着性改良層は、ポリエステル系基材フィルムの両面に設けてもよい。
【0118】
(粘着層)
<ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層>
上記ポリエステル系基材フィルムの両面に設けられる粘着層のうち、少なくとも一方の粘着層は上記耐熱水接着性改良層を介して積層されるものであり、かつ、この粘着層は、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を主成分(70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは100質量%)として含む。上記粘着層を有する両面粘着シートは被着体との再剥離性に優れ、また、この被着体表面に加わった衝撃を分散・吸収することができる。また、上記粘着層が耐熱水接着性改良層を介して積層されることにより、ポリエステル系基材フィルムから粘着層が剥離し難くなる。
【0119】
上記のポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物は、数平均分子量(Mn)が5万以上(より好ましくは8万以上、さらに好ましくは10万以上)、50万以下(より好ましくは40万以下、さらに好ましくは35万以下)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋したものであることが好ましい。シリコーン化合物の未架橋体を用いることにより、溶媒への溶解性や流動性が確保でき、粘着層の形成が容易となる。また、従来公知のミラブルタイプのシリコーンコンパウンドを原料とした場合より、品質、品質安定性および生産時の操業性等において優位である。具体的には、従来のミラブルタイプのシリコーンゴムコンパウンドを溶剤に溶解する際に必要な混練等によるコンパウンドの可塑化工程が不要である。また、得られた塗工液の保存安定性がよく、シリコーンゴムコンパウンドの溶液調製の際によく見られるゲル化等の増粘現象等も起こらない。さらに、シリコーンゴムコンパウンドの溶液化において発生することがあるシリコーンゴムコンパウンドの未溶解による異物の生成が抑制されるため、清澄度の高い塗工液が得られる。
【0120】
ここで、未架橋体のMnが5万以上であれば架橋性が向上する。また、未架橋体のMnが50万以下であれば、塗工液の粘度が高くなり過ぎる等の生産時の操業性の悪化を抑制することができる。
【0121】
上記シリコーン化合物の未架橋体としては、例えば、シリコーンオイルとして市販されているものが挙げられる。シリコーンオイルを用いる場合は、ストレートシリコーンオイル、中でも非反応性のジメチルシリコーンオイルが好ましい。これにより、架橋後のシリコーン化合物がポリジメチルシロキサン骨格を有するものとなる。
【0122】
上記シリコーン化合物の未架橋体は、ポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物のみよりなることが最も好ましいが、10質量%未満であれば、ポリアルキルアルケニルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物が含まれていてもよい。なお、メチルフェニルタイプのシリコーンオイルでは架橋性が低下し、また、反応性のメチル水素タイプのシリコーンオイルは保存安定性等が悪く、品質や操業性に悪影響を及ぼすことがあるので好ましくないが、30質量%未満(より好ましくは5質量%未満)であれば、メチルフェニルタイプやメチル水素タイプその他各種の変性タイプの、ポリジメチルシロキサン骨格を有さないシリコーン化合物を配合しても構わない。
【0123】
上記シリコーン化合物を含む粘着層の厚みの下限は、粘着力の点から3μm(より好ましくは5μm、さらに好ましくは8μm)が好ましい。一方、粘着層の厚みの上限は、経済性の観点から、粘着力が安定して維持できる範囲で決定すればよい。例えば、200μm(より好ましくは180μm)が好ましい。
【0124】
上記シリコーン化合物を含む粘着層には、この粘着層と上記耐熱水接着性改良層との接着強度を高めて、ポリエステル系基材フィルムから粘着層がより一層剥離し難くするための接着性改良剤が含まれていてもよい。
【0125】
この接着性改良剤としては、ラジカル反応に対して活性な反応基を含む化合物を用いることが好ましい。この化合物としては、(メタ)アクリル酸誘導体およびアリル誘導体等が挙げられるが、中でも不飽和結合を2個以上、特に3個以上有する誘導体が好ましい。これらの化合物は、ゴムの共架橋剤として広く使用されており、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸のエステル、多価カルボン酸のアリルエステル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート等が挙げられる。
【0126】
上記多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルは、2個以上のアルコール性水酸基を有する多価アルコールのアルコール性水酸基2個以上を(メタ)アクリル酸でエステル化したエステル化合物である。具体的には、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’−ビス[4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル]プロパン、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールテトラ(メタ)アクリレート、ダイマージオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、特に3個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物が好ましい。なお、上記の化合物は、アクリル酸およびメタクリル酸のそれぞれの単独エステル化合物を例示したが、アクリル酸とメタクリル酸の混合エステルの形であってもよい。
【0127】
また、多価カルボン酸のアリルエステルとしては、フタル酸ジアリレート、トリメリット酸ジアリレート、ピロメリット酸テトラアリレート等が挙げられる。
【0128】
上記接着性改良剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
上記接着性改良剤の配合量は、シリコーン化合物成分100質量部に対して0.2質量部以上(より好ましくは0.5質量部以上)が好ましく、20質量部以下(より好ましくは10質量部以下)が好ましい。接着性改良剤の配合量を0.2質量部以上とすることにより、粘着層の耐熱水接着性を向上させる効果がより一層大きくなる。一方、接着性改良剤の配合量が20質量部を超えると、耐熱水接着性を向上させる効果が飽和に達するだけでなく、逆に、この効果を悪化させる場合がある。
【0130】
本発明においては、上記粘着層の形成方法は限定されないが、上記シリコーン化合物の未架橋体を溶剤に溶解あるいは分散させて、必要に応じて接着性改良剤を添加して塗工液を調製し、塗工法で塗布した後に、架橋処理して形成するのが好ましい実施態様である。詳細には、例えば、上記シリコーンオイル等を含む塗工液を、ポリエステル系基材フィルムの表面に形成された耐熱水接着性改良層の表面、またはポリエステルフィルムの表面に形成された離型層(後述する)の表面に塗工し、他の層(耐熱水接着性改良層)を積層し、または積層せずに、架橋処理を行うことで形成することができる。
【0131】
シリコーン化合物の未架橋体は、トルエン等の芳香族炭化水素によく溶解するので、これらの溶剤に溶解して塗工法で塗布するのが好ましい。
【0132】
上記シリコーン化合物の架橋方法は、例えば、熱架橋であってもよく、電子線やγ線等のような高エネルギーの活性線による架橋であってもよい。シリコーン化合物に活性線を照射すると、ポリジメチルシロキサンのメチル基から水素が引き抜かれ、同様にメチル基から水素が引き抜かれた隣接するシリコーン化合物との間で、架橋反応が起こると考えられている。従って、活性線による架橋方法では、シリコーン化合物にラジカル発生のための過酸化物や架橋用触媒等の添加剤を配合する必要がない。このため、これらの添加物の残渣による被着体に対する汚染が抑制され、また、架橋用触媒等を配合した後のポットライフを考慮する必要もない。さらに、短時間で効率的に架橋が完了するため生産性が高くなる。
【0133】
活性線による架橋の中でも、電子線架橋法が照射装置(EB照射装置)の入手しやすさから好適である。EB照射装置における電子線照射量としては、5〜50Mradの範囲が好ましい。電子線照射量を5Mrad以上とすることにより、シリコーン化合物の架橋反応を促進でき、また再剥離する際に被着体に対する糊残りを低減してリペアー性を向上させることができる。一方、電子線照射量を50Mrad以下にすることにより、架橋反応の過度の進行による粘着性の低下を抑制することができる。
【0134】
物品の貼り合せに使用した場合の使用時の信頼性の点から、上記シリコーン化合物を含む粘着層の粘着力の下限は0.01N/20mm(対ガラス180度剥離試験、引張り速度300mm/min)であることが好ましく、より好ましくは0.05N/20mmである。一方、再剥離性を向上させ、良好なリペアー性を確保する点から、粘着力の上限は1.0N/20mmであることが好ましく、より好ましくは0.5N/20mmである。また、上記評価法で評価した場合にガラス面に粘着層が残らないこと、すなわち、糊残りがないことがリペアー性の点から好ましい。
【0135】
本発明において、上記シリコーン化合物を含む粘着層(以下、「シリコーン化合物系粘着層」と称する場合がある)には、補強剤を全く含まないことが好ましいが、本発明の効果を妨げない範囲であれば、シリカ等の補強剤が含まれてもよい。
【0136】
[接着性]
本発明においては、上記シリコーン化合物系粘着層と耐熱水接着性改良層および耐熱水接着性改良層とポリエステル系基材フィルムとが強固に接着していることが好ましい。すなわち、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間にカッターナイフを差し込んで、指で力を加えて引き剥がし(界面出し)を実施した場合に、接着強度が強固で界面出しができないことが好ましい。なお、本発明においては、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間に耐熱水接着性改良層が存在するものの、耐熱水接着性改良層の厚みは薄いので、上記界面だしの真の界面は明確でないが、要は、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとが強固に接着しており、界面出しができないのが好ましい。以下、本発明においては、上記特性を単に「接着性」と称する場合がある。
【0137】
また、本発明の両面粘着シートは、熱水中で長時間保存しても、上記接着性が維持されることが好ましい。具体的には、下記の耐熱水接着性評価方法で評価したときに、上記粘着層が剥離しないことが好ましい。以下、接着性の熱水耐久性を「耐熱水接着性」と称する場合がある。
【0138】
[耐熱水接着性]
50mm×50mmの大きさの本発明の両面粘着シート(後述するように、粘着層表面にセパレートフィルムが積層されている場合には、このセパレートフィルムを剥離した後の両面粘着シートをいう。以下、これらの両面粘着シートを、単に「試料」と称する場合がある。)を準備し、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、上記シリコーン化合物系粘着層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をする。試料の自重だけでは水中に浸漬しない場合は、重しを試料の上に載せて試料全体が水中に浸漬するようにする。重しの大きさや素材は特に限定されるものではなく、例えば、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを用いることができる。
【0139】
次に、試料の入った容器を、80℃に設定したギアーオーブン中に入れ、24時間静置する。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、上記シリコーン化合物系粘着層側から端部に指腹で力を加えて10回擦り、この粘着層がポリエステル系基材フィルム側から剥離するかどうかを評価する。
【0140】
本発明の両面粘着シートは、耐熱水接着性改良層を介して上記シリコーン化合物系粘着層を積層していることから、上記耐熱水接着性の評価方法においてもシリコーン化合物系粘着層が剥離することがない。このため、例えば、本発明の両面粘着シートをカーナビゲーション用タッチパネル等の部材として使用した場合に、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの界面における界面剥離を抑制できるため、装置の信頼性が向上する。
【0141】
<アクリル系粘着層またはゴム系粘着層(以下、「非シリコーン化合物系粘着層」と称する場合もある)>
本発明で用いる両面粘着シートは、上記ポリエステル系基材フィルムの両面に、上記耐熱水接着性改良層を介して上記シリコーン化合物系粘着層を積層するものであってもよいが、上記ポリエステル系基材フィルムの片面に上記シリコーン化合物を含む粘着層を有し、他の片面に非シリコーン化合物系粘着層を有するものであってもよい。これにより、本発明で用いる両面粘着シートは、異種部材を貼り合わせるのに有用なものとなる。上記非シリコーン化合物系粘着層としては、アクリル系粘着層やゴム系粘着層が挙げられる。
【0142】
≪アクリル系粘着層≫
アクリル系粘着層は、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリレートを主モノマー成分とするアクリル系ポリマーを主成分またはベースポリマーとして含有して構成され得る。
【0143】
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、アクリル酸イソノニル(メタ)アクリレート、アクリル酸デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0144】
また、アクリル系粘着層は、上記(メタ)アクリレートと共重合性を有するモノマー成分(共重合性モノマー)を含んで構成されてもよい。特に、アクリル系ポリマーを架橋させる際には、共重合性モノマーは、アクリル系粘着層の改質用モノマーであることが好ましい。共重合性モノマーは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0145】
具体的には、共重合性モノマーとしては、耐熱水接着性改良層用のアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分や他種のモノマーとして例示したモノマーがいずれも使用でき、さらに、エチレン、プロピレン等のα−オレフィン系モノマー等が挙げられる。
【0146】
改質用モノマーとしては、公知の改質用モノマーのいずれも使用可能であるが、上記耐熱水接着性改良層用のアクリル系ポリマーで例示したような官能基含有モノマーが好適であり、これらのなかでもヒドロキシル基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく、特にアクリル酸が好適である。改質用モノマーに由来する官能基(特に極性基)を利用してアクリル系ポリマーを架橋することができる。
【0147】
アクリル系ポリマーを得るための重合方法としては、アゾ系化合物や過酸化物等の重合開始剤を用いて行う溶液重合方法、エマルジョン重合方法や塊状重合方法、光開始剤を用いて光や放射線を照射して行う重合方法等を採用することができる。本発明では、分解してラジカルを生成させる重合開始剤を用いて重合させる方法(ラジカル重合方法)を好適に採用することができる。このラジカル重合では、通常、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーマレエート等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル等のアゾ系化合物等の重合開始剤を用いて行う。重合開始剤の使用量は、アクリル系モノマーの重合の際に通常用いられる量でよく、例えば、モノマー成分の総量100質量部に対して、0.005〜10質量部程度、好ましくは0.1〜5質量部程度である。
【0148】
アクリル系ポリマーの主モノマー成分としての炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリレートの割合としては、粘着特性の観点から、モノマー成分100質量%中50質量%以上(より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)であることが好ましい。従って、上記(メタ)アクリレート以外の共重合性モノマーの割合は、モノマー成分100質量%中、50質量%以下となる。
【0149】
上記モノマー成分を重合させて得られたアクリル系ポリマーはそのまま用いることができる。また、アクリル系ポリマーを架橋させることにより硬化させることも可能である。上記ポリマーを架橋させると、粘着剤の凝集力を一層大きくすることができる。架橋には、架橋剤を用いることができる。すなわち、アクリル系粘着剤には、アクリル系ポリマーとともに、架橋剤が配合されていてもよい。なお、ポリマーの架橋は、加熱架橋方法が好適に用いられる。
【0150】
架橋剤としては、耐熱水接着性改良層において用いることのできる架橋剤として例示した架橋剤がいずれも使用可能である。架橋剤としては、特に、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。架橋剤は単独で又は2種以上混合して使用することができる。メラミン系架橋剤および/またはエポキシ系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.001質量部以上(より好ましくは0.01質量部以上)が好ましく、10質量部以下(より好ましくは5質量部以下)が好ましい。イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100質量部に対して、例えば0.01質量部以上(より好ましくは0.05質量部以上)が好ましく、20質量部以下(より好ましくは15質量部以下)が好ましい。
【0151】
アクリル系粘着剤には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、粘着特性を調整するため、粘着付与樹脂(例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂等)を配合してもよい。両面粘着シートの無色透明性を高めたり、色調変化を抑えるという観点からは、水素添加型の粘着付与樹脂が好ましく、その配合割合は両面粘着シートのヘーズを上昇させない範囲とすることが好ましい。また、粘着付与樹脂以外の添加剤として、可塑剤、微粉末シリカ等の充填剤、着色剤、紫外線吸収剤、界面活性剤等の公知の各種添加剤を配合することもできる。これらの添加剤の使用量は、いずれもアクリル系粘着剤に適用される通常の量でよい。
【0152】
改質用モノマー(官能基含有モノマー)や架橋剤の割合調整や界面活性剤の使用等により、アクリル系粘着層の粘着力を制御することができる。
【0153】
アクリル系粘着層の厚さは、特に制限されず、例えば、3μm以上(より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上)が好ましく、200μm以下(より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下)が好ましい。
【0154】
上記のアクリル系粘着剤として、例えば、「SKダイン」シリーズ(綜研化学株式会社製)を用いることもできる。中でも、光学用粘着剤の銘柄の使用が好ましい。
【0155】
上記アクリル系粘着層の形成方法は限定されない。例えば、有機溶剤の溶液タイプの塗工液か、水分散体の形態の塗工液を調製し、塗工法で塗布する方法が簡便である。なお、アクリル系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間に、耐熱水接着性改良層と同一組成の層を設けて、アクリル系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの接着性を高めるように構成してもよい。
【0156】
アクリル系粘着層の粘着力は、上記シリコーン化合物を含んで構成される粘着層の粘着力と同等でもよいし、小さくても大きくてもよい。本発明の両面粘着シートの使用方法に応じて適宜選択して設定するのが好ましい。例えば、両面共に再剥離性を要求される使用方法に適用するには上記シリコーン化合物を含む粘着層の粘着力と同等の範囲、すなわち、0.01〜1.0N/20mm(対ガラス180度剥離試験、引張り速度300mm/min)の範囲が好ましい。一方、片面を強固に固定する場合は、上記範囲より高めに設定するのが良い。例えば、5.0N/20mm以上であることが好ましく、5.0〜25N/20mmが好適範囲である。より好ましい範囲は、8.0〜20N/20mmである。
【0157】
≪ゴム系粘着層≫
また、本発明で用いる両面粘着シートは、上記アクリル系粘着層に代えて、ゴム系粘着層を有するものであってもよい。
【0158】
ゴム系粘着層を構成するゴム成分は限定されない。例えば、天然ゴム(NR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の任意のゴム、またはこれらの混合物が挙げられ、使用目的に応じた必要特性により適宜選択すればよい。
【0159】
また、スチレン系エラストマー(SBS、SEBSおよびSEPS等)を用いてもよい。
【0160】
本発明においては、上記ポリエステル系基材フィルムとゴム系粘着層との間の耐熱水接着性をさらに向上させるため、ゴム系粘着層に接着性改良剤を配合することが好ましい。ゴム系粘着層に配合し得る接着性改良剤としては、上記シリコーン化合物を含む粘着層に配合し得る接着性改良剤として上記したものと同様のものを用いることができる。
【0161】
接着性改良剤の配合量は、全ゴム成分100質量部に対して0.2質量部以上(より好ましくは0.5質量部以上)、20質量部以下(より好ましくは10質量部以下)とするのが好ましい。配合量が0.2質量部未満では、ポリエステル系基材フィルムとの接着強度が不十分となる傾向があり、一方20質量部を超えて配合しても、配合量に見合う接着強度の向上効果は得られ難く、むしろゴムの物性が低下する傾向がある。
【0162】
また、接着性改良剤による接着性向上効果をより顕著なものとするため、ゴム系粘着層に対してパーオキサイド化合物を配合してもよい。これにより、ゴム系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの耐熱水接着性が一層向上する。
【0163】
パーオキサイド化合物としては、アシル系またはアルキル系のいずれでもよく、ベンゾイルパーオキサイド、モノクロルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0164】
上記パーオキサイド化合物の配合量は、ゴム成分100質量部に対して0.05質量部以上(より好ましくは1質量部以上)、10質量部以下(より好ましくは8質量部以下)とするのが好ましい。配合量が0.05質量部未満では、接着性向上効果に対する寄与が見られ難い。また10質量部を超えて配合しても、上述の接着性向上効果は飽和し、むしろゴム系粘着層および両面粘着シートの物性が低下する場合がある。
【0165】
また、上記ゴム系粘着層に、未架橋のシリコーンゴムを配合するのが好ましい。未架橋のシリコーンゴムとしては、平均単位式:RaSiO(4-a)/2で表されるオルガノポリシロキサンが好ましい。
【0166】
上式中、Rは置換または非置換の一価の炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、ビニル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基である。また、上式中、aは1.9〜2.1の範囲内の数である。シリコーンゴム成分は、上記の平均単位式で表されるが、これを構成する具体的なシロキサン単位としては、例えば、R3SiO1/2単位、R2SiO2/2単位、RSiO3/2単位およびSiO4/2単位が挙げられる。またR2(HO)SiO1/2単位であってもよい。
【0167】
シリコーンゴム成分の主成分は、R2SiO2/2単位とR3SiO1/2単位もしくはR2(HO)SiO1/2単位を必須とする直鎖状の重合体であり、場合により少量のRSiO3/2単位および/またはR3SiO1/2単位を含有してもよく、一部に分岐構造を有していてもよい。また、シリコーンゴム成分の一部としてR3SiO1/2単位およびSiO4/2単位からなる樹枝状(デンドリマー状)の重合体を配合することができる。
【0168】
また上記未架橋のシリコーンゴム成分の分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、分岐鎖状、樹枝状等が挙げられるが、シリコーンゴムを形成するためには、直鎖状の重合体か、または直鎖状の重合体を主成分とする混合物であるのが好ましい。このようなシリコーンゴム成分としては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメトキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、R3SiO1/2単位とSiO4/2単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R2SiO2/2単位とRSiO3/2単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、R3SiO1/2単位とR2 SiO2/2単位とRSiO3/2単位からなるオルガノポリシロキサン共重合体、これら二種以上の混合物が挙げられる。なお、上記シリコーンゴム成分の25℃における粘度は特に限定されないが、実用的には100センチストークス以上、特に1,000センチストークス以上が好ましい。
【0169】
上記未架橋のシリコーンゴムの配合量は、シリコーンゴム以外のゴム成分100質量部に対して5質量部(より好ましくは10質量部)以上、100質量部(より好ましくは70質量部)以下とするのが好ましい。上記配合量が5質量部未満では、接着性向上効果に対する寄与が小さく、一方100質量部を超える場合は、耐熱水接着性の向上効果が飽和に達するだけでなく、経済的な面からも好ましくない。また、シリコーンゴムを配合することにより、ゴム系粘着層の耐熱性が向上する場合もある。
【0170】
また、ゴム系粘着層に未架橋のシリコーンゴムを配合する代わりに、ポリエステル系基材フィルムとゴム系粘着層との間に、中間層として、接着性改良剤が配合された未架橋のシリコーンゴム組成物の層を介在させて、ポリエステル系基材フィルムとゴム系粘着層との耐熱水接着性を向上させてもよい。この場合、未架橋のシリコーンゴムとしては、上述のものがいずれも使用可能であり、上記ゴム系粘着層に配合されるものと同様の接着性改良剤も使用可能である。なお、シリコーンゴムに対する接着性改良剤の配合量は、例えば、接着性改良剤として上記(メタ)アクリル酸エステルを用いる場合であれば、未架橋のシリコーンゴム100質量部に対して0.5質量部(特に1質量部)以上、30質量部(特に20質量部)以下とするのが好ましい。配合量が0.5質量部未満では中間層(未架橋のシリコーンゴム組成物の層)とポリエステル系基材フィルムとの接着強度が不十分となり、一方30質量部を超えると接着強度は飽和し、経済的に不利となる。
【0171】
上記未架橋のシリコーンゴム層の厚みは、0.0005〜0.05mmとするのが好ましい。
【0172】
なお、ゴム系粘着層には、必要に応じて、補強性充填剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、離型剤、難燃剤、チクソトロピー性付与剤、充填剤用分散剤等を配合してもよい。また、上記の接着性改良剤による接着性向上効果を促進させるための接着性向上促進剤として、過酸化物を配合することができる。
【0173】
ゴム系粘着層に上記配合剤を配合する方法は特に限定されず、例えば、ゴムコンパウンドを作製する際に、2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)等のゴム練り機を用いて行ってもよく、またゴムを溶剤に溶解し、流延法で製膜する場合は、ゴムコンパウンドを溶媒に溶解して溶液を作製する際、または溶液にした後のいずれかで各種配合剤を添加配合してもよい。
【0174】
(両面粘着シートの光学特性)
本発明の両面粘着シートは、高透過率を要求される用途では、全光線透過率が90%以上で、かつヘーズが1.5%以下であることが好ましい。全光線透過率が92%以上で、かつヘーズが1.1%以下であることがより好ましい。さらに、65℃、85RH%で200時間保存した後も、全光線透過率とヘーズが上記の好適範囲に入っていることが好ましい。本発明の両面粘着シートは、上記特性を有することにより、光学用部材の貼り合せ用として好適に使用することができるが、この用途に限定されるわけではない。
【0175】
(画像表示パネル)
本発明で用いる画像表示パネルとしては、液晶表示装置、プラズマ表示装置、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、ブラウン管表示装置、フィールドエミッション表示装置よりなる群から選択される装置に用いられる画像表示パネルが挙げられる。
【0176】
(保護パネル)
本発明で用いる保護パネルは、上記画像表示パネルの表面を保護する一方で、透明性を有し、画像表示パネルに表示される文字や図形等を保護パネルを介して明瞭に視認し得るものであればよい。保護パネルの形成に用いることができる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、脂環式ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。また、各種ガラスも利用可能である。
【0177】
(画像表示装置の製造方法)
本発明において、両面粘着シートを用いて画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせる方法は特に限定されるものではない。例えば、両面粘着シートが、その粘着層表面にセパレートフィルムを積層したセパレートフィルム付き両面粘着シートとして準備される場合には、このセパレートフィルムを粘着層表面から剥離した後、画像表示パネル又は保護パネルのどちらか一方に予め両面粘着シートを貼着し、次いで残りのパネルを適宜貼り合わせる方法が挙げられる。なお、貼り直し作業が求められ、あるいは求められると予測されるパネル側に上記シリコーン化合物を含む粘着層が対向するように両面粘着シートを配することが好ましい。上記シリコーン化合物を含む粘着層は再剥離性に優れているためである。以下、セパレートフィルム付き両面粘着シートについて説明する。
【0178】
<セパレートフィルム付き両面粘着シート>
非シリコーン化合物系粘着層を形成した場合に、該粘着層の表面に積層されるセパレートフィルムとしては、非シリコーン化合物系粘着層との剥離性が良好であれば特に限定されず、例えば、シリコーン化合物やフッ素系化合物よりなる離型層が積層された市販の離型用ポリエステルフィルムを用いることができる。
【0179】
一方、シリコーン系粘着層の表面に積層されるセパレートフィルムとしては、仮に一般の粘着層に用いられるような、シリコーン化合物やフッ素系化合物よりなる離型層が積層された市販の離型用ポリエステルフィルムを用いた場合は、前述したシリコーン系粘着層の架橋処理の際にシリコーン系粘着層と離型層との間で架橋接着反応が起こり、セパレートフィルムの剥離性が低下するという課題があり、その解決が必要となる。
【0180】
ここで、本発明において用いるセパレートフィルム付き両面粘着シートにおいて、シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルムとの剥離強度は0.03〜1.0N/20mmであることが好ましい。上記剥離強度が0.03N/20mm以上であれば良好な剥離性を示すとともに、セパレートフィルム付き両面粘着シートを巻き取る場合に、セパレートフィルムの浮きを抑制することができ、両面粘着シートの品位を高く保つことができる。一方、1.0N/20mm以下であれば、セパレートフィルムの剥離性が良好である。
【0181】
シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルムとの剥離強度を上記範囲に制御するには、下記構成の離型層をセパレートフィルムの表面に設けることが好ましい。なお、離型層はセパレートフィルムの一部を構成するものであり、シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルムの剥離とは、厳密にはシリコーン化合物系粘着層と離型層との剥離を意味する。なお、剥離強度の測定方法は以下の通りである。
【0182】
[剥離強度]
長さ200mm程度、幅20mmのセパレートフィルム付き両面粘着シートについて、剥離強度を測定したい面(2面)を露出させ、セパレートフィルム付き両面粘着シートを、一方の面を含む積層体と、他方の面を含む積層体とに分けて、それぞれを引張試験機のチャックにセットする。例えば、セパレートフィルムが備える離型層とシリコーン化合物系粘着層との界面の剥離強度を測定する場合は、離型層とシリコーン化合物系粘着層の界面でセパレートフィルム付き両面粘着シートを少し剥がし、離型層とシリコーン化合物系粘着層のそれぞれを露出させる。そして、一方のチャックで、離型層を備えるセパレートフィルムを把持し、もう一方のチャックで、少なくともシリコーン化合物系粘着層、耐熱水接着性改良層、及びポリエステル系基材フィルムを含む残りの層を把持する。そして、JIS K6854−3に記載の方法で、T型剥離強度を測定する。用いた引張試験機は、商品名「オートグラフ」(株式会社 島津製作所製)であり、チャック間距離50mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件である。剥離の際には、T型が維持されるように、フィルムの端部を棒で持ち上げる。T型剥離時の最大強度を剥離強度とする。
【0183】
<離型層>
セパレートフィルムが備える離型層は、シリコーン化合物系粘着層との剥離性を考慮すれば、非シリコーン化合物からなるものであることが好ましい。この離型層が、離型層として汎用される硬化型シリコーン化合物の硬化物からなる場合には、シリコーン化合物系粘着層との親和性が高いため、シリコーン化合物系粘着層のシリコーン化合物を架橋させる際に、シリコーン化合物系粘着層と離型層とが架橋反応することがあり、剥離性が低下する場合がある。安定的な剥離性を得るには、離型層は、実質的にシリコーン化合物を含まない離型剤を使用して形成することが好ましい。なお、ここで、「離型層が非シリコーン化合物からなる」とは、離型層がシリコーン化合物を10質量%以下含む化合物(または組成物)から形成されていることを意味し、より好ましいシリコーン化合物量は5質量%以下であり、0質量%であることが最も好ましい。
【0184】
また、離型層は、金属または無機系薄膜からなるものであってもよいが、剥離安定性やコスト面から、バインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含む組成物から構成されるものであることが好ましい。
【0185】
≪バインダー樹脂≫
本発明で用いるバインダー樹脂としては、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーであることが好ましく、これらのポリマーをそれぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0186】
上記ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーは、耐熱水接着性改良層の構成ポリマーとして前述するものと同様のポリマーを用いることができる。バインダー樹脂には架橋の必要性は低いが、耐熱水接着性改良層と同様に架橋剤を併用してもよいし、自己架橋型のポリマーを用いてもよい。
【0187】
≪高分子ワックス成分≫
本発明で用いる高分子ワックス成分は、従来公知の材料が使用可能である。例えばポリエチレン系、ポリプロピレン系、アクリル系、脂肪酸系等のワックスエマルジョン等が示されるが、特に粘着感の無い硬質タイプの熱分解安定性に優れた高分子ワックス剤は、剥離性の向上に効果があり、かつセパレートフィルム付き両面粘着シート巻き取り時に、シリコーン化合物系粘着層表面へのワックスの転移を抑制することができるので好ましい。また、これらのワックス剤の好ましい数平均分子量は1000以上(より好ましくは1500以上)、10000以下(より好ましくは6000以下)である。
【0188】
上記高分子ワックス成分は、バインダー樹脂との合計を100質量%としたときに、固形分で2質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、10質量%以下(より好ましくは8質量%以下)含まれていることが好ましい。高分子ワックス成分の含有量を2質量%以上とすることで、架橋処理後のシリコーン化合物系粘着層との剥離性を良好にし、また、セパレートフィルムの滑り性を向上させることができる。一方、高分子ワックス成分の含有量を10質量%以下とすることにより、剥離力を維持して、セパレートフィルム付き両面粘着シートの製造工程でチャンネリング現象の発生を抑制することができる。さらに、離型層からの高分子ワックス成分の移行を抑制できるため、架橋処理後のシリコーン化合物系粘着層の表面が汚染されることが少なくなる。
【0189】
≪帯電防止剤≫
本発明で用いる帯電防止剤は、バインダー樹脂と混合可能であるか、または相溶性のあるものであれば、イオン性を特に限定されるものではなく、従来公知の市販の材料が利用可能である。例えば、アニオン、カチオン、ノニオン、両性系の界面活性剤や、高分子型界面活性剤等が挙げられる。特に、積層面へのブリードアウトの少ない高分子型帯電防止剤が好ましい。
【0190】
高分子型帯電防止剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれであってもよいが、中でも、アニオン系とノニオン系の高分子型帯電防止剤が好適である。
【0191】
アニオン系高分子型帯電防止剤としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基、硫酸エステル基から選ばれる少なくとも1つの極性基またはそれらの塩を有する極性ポリマーが好ましい。極性基はポリマー1分子当たり5モル%以上を必要とする。これらの導電性能を有する極性ポリマー中には、極性基としてヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、アジリジン基、活性メチレン基、スルフィン酸基、アルデヒド基、ビニルスルホン基を含んでいてもよい。これらの中でも、スチレンスルホン酸またはその塩を繰り返し単位として含む帯電防止剤(具体的には、ポリスチレンスルホン酸またはその塩)が好適である。
【0192】
塩としては、例えば、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。ポリスチレンスルホン酸またはその塩は、例えば、日本エヌエスシーから、VERSA−TL(登録商標)という商品名で、分子量の異なる未中和や各種の塩が市販されている。
【0193】
また、スチレンスルホン酸またはその塩を繰り返し単位として含む帯電防止剤としては、スチレンスルホン酸−マレイン酸コポリマーも使用可能であり、日本エヌエスシーから市販されている。
【0194】
一方、ノニオン系高分子型界面活性剤としては、アニリンあるいはその誘導体、ピロールあるいはその誘導体、イソチアナフテンあるいはその誘導体、アセチレンあるいはその誘導体、チオフェンあるいはその誘導体等を構成単位として含むπ電子共役系導電性高分子が好ましい。それらの中でも着色が少ない点から、チオフェンあるいはその誘導体を構成単位として含むπ電子共役系導電性高分子が好ましい。π電子共役系導電性高分子は、1種の構成単位のみを繰り返し単位として含む単独重合体でもよく、2種以上の構成単位を繰り返し単位として含む共重合体でもよい。
【0195】
チオフェンあるいはその誘導体を構成単位として含む導電性高分子としては、例えば、スタルクヴィテック社製の「バイトロン(登録商標)P」シリーズ、ナガセケムテックス社製の「デナトロン(登録商標)P−502RG」、「デナトロン(登録商標)P−502S」、インスコンテック社製のコニソールF202、F205、F210、P810(以上、商品名)、信越ポリマー製CPS−AS−X03(商品名)等が市販されている。
【0196】
離型層中の帯電防止剤の配合量は、バインダー樹脂の種類と帯電防止剤の種類により好適な範囲が異なるので一義的に決めることはできず、シリコーン化合物系粘着層と離型層との剥離強度を上記範囲となるように調整すればよい。
【0197】
例えば、アニオン系界面活性剤を帯電防止剤として用いる場合には、帯電防止剤の配合量は、シリコーン化合物系粘着層と離型層との剥離強度が上記範囲になるように、バインダー樹脂との合計を100質量%としたときに、固形分で2質量%以上(より好ましくは3質量%以上)、10質量%以下(8質量%以下)含まれていることが好ましい。アニオン系界面活性剤の含有量を2質量%以上とすることで、架橋処理後のシリコーン化合物系粘着層との剥離性を良好にするとともに、セパレートフィルムの帯電防止性も良好にする。一方、アニオン系界面活性剤の含有量を10質量%以下とすることにより、剥離力を維持し、セパレートフィルム付き両面粘着シートの製造工程におけるチャンネリング現象の発生を抑制することができる。さらに、離型層からの高分子ワックス成分の移行を抑制できるため、架橋処理後のシリコーン化合物系粘着層の表面が汚染されることが少ない。
【0198】
離型層を備えるセパレートフィルムの形成は、バインダー樹脂、高分子ワックス成分、帯電防止剤、および必要に応じて表面粗面化物質等の他の添加剤を、あらかじめ所定量混合して樹脂組成物を調製し、セパレートフィルムを構成する基材フィルムに塗工すればよい。樹脂組成物には、コート性向上のための界面活性剤や紫外線防止剤や酸化防止剤等を含有させることができる。塗工方法は、グラビアコーター、リバースロールコーター、リバースキスコーター、エアーナイフコーター、バーコーター等の通常のコート用装置を用いて塗布すればよい。具体的には、耐熱水接着性改良層の場合と同様に、一軸方向に延伸されたポリエステルフィルムの片面に樹脂組成物を塗布し、さらに先の一軸延伸と直角方向に延伸するいわゆるインラインコート法や、二軸延伸後塗布するいわゆるオフラインコート法等が例示される。
【0199】
上記離型層の厚さは、剥離力を適正な範囲とするために、乾燥状態で0.03μm以上(より好ましくは0.05μm以上)、1μm以下(より好ましくは0.5μm以下)が好ましい。
【0200】
<セパレートフィルム付き両面粘着シートの製造方法>
セパレートフィルム付き両面粘着シートは、以下に示すいずれかの方法で製造することが好ましい。上記した特性を安定して発現でき、かつ経済性に優れているからである。なお、基本的に、各製造方法は記載された通りの順番で各工程を行うが、ある工程とその次の工程との間に、記載されていない他の工程が行われても構わない。
【0201】
なお、上記粘着層の表面に積層されるセパレートフィルムは、画像表示パネルと保護パネルとの貼り合わせに際して粘着層から剥がして用いる。
【0202】
≪第1の方法≫
ポリエステル系基材フィルムの片面に耐熱水接着性改良層を積層し、積層体(1)を形成する工程、
積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に、ポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層を積層し、積層体(2)を形成する工程、
ポリエステルフィルムの片面に離型層を積層し、セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
セパレートフィルム(3a)の離型層が、積層体(2)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層の表面に接するように、積層体(2)とセパレートフィルム(3a)とを積層し、積層体(4)を形成する工程、
積層体(4)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋させて、シリコーン化合物系粘着層を有する積層体(4’)を形成する工程、
積層体(4’)のポリエステル系基材フィルムの表面に、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、非シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルム(3b)をこの順に積層する工程、
を含む。
【0203】
≪第2の方法≫
セパレートフィルム(3b)の片面に非シリコーン化合物系粘着層を積層し、積層体(5)を形成する工程、
上記積層体(1)、積層体(2)、セパレートフィルム(3a)、積層体(4)および積層体(4’)を形成する各工程、
積層体(4’)と積層体(5)を、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、積層体(4’)のポリエステル系基材フィルムが積層体(5)の非シリコーン化合物系粘着層側となるように積層する工程、
を含む。
【0204】
≪第3の方法≫
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
セパレートフィルム(3a)の離型層の表面に、ポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層を積層し、積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(1)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(6)と積層体(1)とを積層し、積層体(4)を形成する工程、
上記積層体(4’)を形成する工程、
積層体(4’)のポリエステル系基材フィルムの表面に、別の耐熱水接着性改良層(D)を介して、または介さずに、非シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルム(3b)をこの順に積層する工程、
を含む。
【0205】
≪第4の方法≫
上記積層体(5)を形成する工程、
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
上記積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(1)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(6)と積層体(1)とを積層し、積層体(4)を形成する工程、
上記積層体(4’)を形成する工程、
積層体(4’)と積層体(5)を、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、積層体(4’)のポリエステル系基材フィルム表面が積層体(5)の非シリコーン化合物系粘着剤層側となるように積層する工程、
を含む。
【0206】
≪第5の方法≫
上記積層体(1)、積層体(2)、セパレートフィルム(3a)および積層体(4)を形成する各工程、
積層体(4)のポリエステル系基材フィルム表面に、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、非シリコーン化合物系粘着層とセパレートフィルム(3b)をこの順に積層して、積層体(7)を形成する工程、
積層体(7)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋する工程、
を含む。
【0207】
≪第6の方法≫
上記積層体(5)を形成する工程、
上記積層体(1)、積層体(2)、セパレートフィルム(3a)および積層体(4)を形成する各工程、
積層体(4)と積層体(5)を、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、積層体(4)のポリエステル系基材フィルム表面が積層体(5)の非シリコーン化合物系粘着層側となるように積層して、上記積層体(7)を形成する工程、
積層体(7)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋する工程、
を含む。
【0208】
≪第7の方法≫
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
上記積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(1)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(6)と積層体(1)を積層し、上記積層体(4)を形成する工程、
上記積層体(7)を形成する工程、
積層体(7)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋する工程、
を含む。
【0209】
≪第8の方法≫
上記積層体(5)を形成する工程、
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
上記積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(1)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(6)と積層体(1)を積層し、上記積層体(4)を形成する工程、
積層体(4)と積層体(5)を、別の耐熱水接着性改良層を介して、または介さずに、積層体(4)のポリエステル系基材フィルム表面が積層体(5)の非シリコーン化合物系粘着層側となるように積層し、上記積層体(7)を形成する工程、
積層体(7)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋する工程、
を含む。
【0210】
≪第9の方法≫
上記積層体(1)、積層体(2)、セパレートフィルム(3a)、積層体(4)、積層体(4’)を形成する各工程、
上記積層体(5)を形成する工程、
積層体(5)の非シリコーン化合物系粘着層の表面にもう一枚のセパレートフィルム(3b’)を積層し、積層体(8)を形成する工程、
積層体(8)のセパレートフィルム(3b)またはセパレートフィルム(3b’)を剥離しつつ、積層体(4’)のポリエステル系基材フィルムの表面に、非シリコーン化合物系粘着層が接するように積層する工程、
を含む。
【0211】
≪第10の方法≫
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
上記積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(1)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(1)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(6)と積層体(1)とを積層し、上記積層体(4)を形成する工程、
上記積層体(4’)を形成する工程、
上記積層体(8)を形成する工程、
積層体(8)のセパレートフィルム(3b)またはセパレートフィルム(3b’)を剥離しつつ、積層体(4’)のポリエステル系基材フィルムの表面に、非シリコーン化合物系粘着層が接するように積層する工程、
を含む。
【0212】
≪第11の方法≫
ポリエステル系基材フィルムの両面に耐熱水接着性改良層を積層し、積層体(9)を形成する工程、
積層体(9)の耐熱水接着性改良層の表面に、ポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層を積層し、積層体(10)を形成する工程、
ポリエステルフィルムの片面に離型層を積層し、セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
セパレートフィルム(3a)の離型層が、積層体(10)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層の表面に接するように、積層体(10)とセパレートフィルム(3a)とを積層し、積層体(11)を形成する工程、
積層体(11)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋させて、シリコーン化合物系粘着層を有する積層体(11’)を形成する工程、
を含む。
【0213】
≪第12の方法≫
上記セパレートフィルム(3a)を形成する工程、
セパレートフィルム(3a)の離型層の表面に、ポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層を積層し、積層体(6)を形成する工程、
上記積層体(9)を形成する工程、
積層体(6)のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を含む層が、積層体(9)の耐熱水接着性改良層の表面に接するように、積層体(9)と積層体(6)とを積層し、積層体(11)を形成する工程、
上記積層体(11’)を形成する工程、
を含む。
【0214】
本発明においては、上記第1から第12のいずれの方法を採用してもよく、これらの方法と異なる製法で製造しても構わない。
【実施例】
【0215】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、実施例で採用した測定・評価方法は次の通りである。また、実施例中で「部」とあるのは「質量部」を意味し、「%」とあるのは断りのない限り「質量%」を意味する。
【0216】
(測定・評価方法)
1.剥離強度
長さ200mm程度、幅20mmのセパレートフィルム付き両面粘着シートについて、離型層とシリコーン化合物系粘着層の界面でセパレートフィルム付き両面粘着シートを少し剥がし、離型層とシリコーン化合物系粘着層のそれぞれを露出させた。次いで、一方のチャックで、離型層を備えるセパレートフィルムを把持し、一方のチャックで、少なくともシリコーン化合物系粘着層、耐熱水接着性改良層、及びポリエステル系基材フィルムを含む残りの層を把持するように、セパレートフィルム付き両面粘着シートを引張試験機のチャックにセットした。そして、JIS K6854−3に記載の方法で、T型剥離強度を測定した。用いた引張試験機は、商品名「オートグラフ」(株式会社 島津製作所製)であり、チャック間距離50mm、温度23℃、引張速度200mm/分の条件で行った。剥離の際には、T型が維持されるように、フィルムの端部を棒で持ち上げた。T型剥離時の最大強度を剥離強度とした。セパレートフィルムが剥離しない場合は、剥離困難として測定しなかった。この場合は、離型層が離型層として機能していないことを表す。
【0217】
2.接着性
シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの間にカッターナイフを差し込んで、指で力を加えて引き剥がし(界面出し)を実施した。剥離強度が強固で界面出しができないものを○、界面出しが可能なものを×として評価した。
【0218】
3.耐熱水接着性
セパレートフィルム付き両面粘着シートを50mm×50mmに切断し、シリコーン化合物系粘着層側のセパレートフィルムを剥離して、試料を準備した。次に、蒸留水400ccを入れた500ccの蓋付きの円筒状のガラス容器の中に、試料をシリコーン化合物系粘着層が下側になるように水中に沈め、試料全体が水中に浸漬した状態で容器に蓋をした。試料の自重だけでは試料が水中に浸漬しない場合は、60mm×60mm、厚さ188μmのポリエステルフィルムを試料の上に載せて、重しにした。試料の入った容器を、80℃に設定したギアーオーブン中に入れ、24時間静置した。熱処理後、オーブンから容器を取り出し、速やかに試料を取り出して、シリコーン化合物系粘着層側から端部に指腹で力を加えて10回擦り、シリコーン化合物系粘着層がポリエステル系基材フィルムから剥離するかどうかを評価し、シリコーン化合物系粘着層が剥離しないものを○、シリコーン系粘着層が剥離するものを×とした。
【0219】
4.粘着力
セパレートフィルム付き両面粘着シートを20mm幅に切断し、シリコーン化合物系粘着層側のセパレートフィルムを剥離して試料を準備した。次に、シリコーン化合物系粘着層側がガラスに接するように、試料をガラスに貼着した。試料のガラスへの貼着は、試料をガラスに載置した後2Kgのローラを用いて約29mm/秒の速さで試料上を2往復することにより行った。ガラスは、厚み3mm、幅30mmの耐熱性ガラスを用いた。
【0220】
シリコーン化合物系粘着層のガラスに対する粘着力を、JIS Z0237に準じて180度剥離法で測定した。引張り速度は300mm/minとし、23℃の雰囲気下で引っ張り試験を行い、最大引張強度を粘着力(N/20mm)とした。
【0221】
5.全光線透過率およびヘーズ
全光線透過率はJIS K7361−1に、ヘーズはJIS K7136に準じて、日本電色工業株式会社製ヘーズ測定器「NDH−2000」を用いて測定した。これらの測定は、セパレートフィルム付き両面粘着シートから両面のセパレートフィルムを剥離した状態で測定した。
【0222】
6.塗工液の清澄度
シリコーン化合物系粘着層形成用塗工液100ccを40mmφの200メッシュ(線径0.04mm)の金網で濾過して、肉眼で不溶物の有無を確認し、不溶物無しの場合を○、不溶物有りの場合を×とした。
【0223】
7.塗工液の溶液安定性
シリコーン化合物系粘着層形成用塗工液を、密閉状態で、室温(23℃)で90日間保存した時の溶液の粘度変化で評価し、溶液安定性を判定した。溶液の粘度変化が±20%以内の場合を○、溶液の粘度変化が±20%を超える場合を×とした。なお、粘度はB型粘度計で測定した。
【0224】
8.数平均分子量の測定
試料を溶剤(トルエン)で溶解後、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分子量測定を行った。測定条件は以下による。
(測定条件)
装置:Waters410
カラム:Shodex K806M+K802
流量:1.0ml/min
注入量:200μl
溶媒:トルエン
ポリスチレン換算
検出器:示差屈折計
【0225】
(実施例)
実施例1
(1)耐熱水接着性改良層形成用塗工液の調製
〔水分散性共重合ポリエステルの調製〕
蒸留塔が付属した1個の加圧エステル化反応槽と、真空発生装置が付属した2個の重縮合反応槽を用い、バッチワイズ方式で共重合ポリエステルを合成した。
【0226】
まず、エステル化反応槽にテレフタル酸229kg、イソフタル酸222kg、5−ソジウムスルホイソフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)エステル(34%含有エチレングリコール溶液)191kg、および窒素雰囲気下140℃で溶融したネオペンチルグリコール213kg、更に回収・精製されたエチレングリコールとネオペンチルグリコールの混合溶液(質量比45:55)87kgを仕込み、撹拌しながら更に三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液(三酸化アンチモン濃度1.3%)を39kg(酸成分に対して三酸化アンチモンとして0.05モル%)を加えてから窒素で加圧し、熱媒体で反応槽を昇温して塔頂温度を150℃に制御しながらグリコールを反応槽内に還流し、0.3MPaの圧力(ゲージ圧)下、235℃で130分間エステル化反応を行い、共重合ポリエステルのオリゴマーを得た。
【0227】
次いで、オリゴマーを第一の重縮合反応槽に移送し、撹拌しながら減圧(40kPaまで減圧速度5kPa/分、その後0.3kPaまで減圧速度0.8kPa/分)し、255℃で160分初期縮合を行って、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。その後、0.13kPaの真空下で、螺旋状の撹拌翼を回転させた第二の重縮合反応槽にプレポリマーを移送し、265℃の温度で120分間後期縮合を行い、還元粘度0.41の共重合エステルポリマーとした。この第二の重縮合反応槽に窒素を導入し、ギアーポンプで共重合エステルポリマーを厚さ7mmのシート状で取り出し、水冷しながらシートカッターで破砕して共重合ポリエステルの破砕物を得た。
【0228】
〔塗工液の調製〕
上記破砕物100部を、定法により水分散体化した。この水分散体の固形分100部に対し、メチロール化メラミン樹脂「サイメル(登録商標)303」(三井サイテック社製)を固形分で5部と、触媒として、「キャタリスト600」(三井サイテック社製)を0.025部加え、よく撹拌して塗工液とした。
【0229】
(2)ポリエステル系基材フィルムの製造と耐熱水接着性改良層の積層
平均粒子径(SEM法)が1.5μmの無定形シリカ(サイリシア;富士シリシア社製)を0.04%含むポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)のペレットを充分に真空乾燥した後、280℃に加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて、表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。このフィルムの両面にコロナ放電処理を施し、その両処理面に上記塗工液を塗布した。この一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸した。さらに225℃で、幅方向に6%弛緩させながら、6秒間、熱処理を行った。二軸延伸ポリエチレンテレフタレート基材フィルムの両面に、厚さ0.08μmの架橋された耐熱水接着性改良層が積層された厚さ50μmの積層体(1)が得られた。
【0230】
(3)離型層形成用塗工液の調製
バインダー樹脂として水分散性共重合ポリエステル樹脂である「バイロナール(登録商標)MD−1200」(東洋紡績社製)を、高分子ワックス成分としてポリエチレン系エマルジョンワックス剤(理研ビタミン社製)を、帯電防止剤としてアニオン系帯電防止剤(ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム;商品名TB702;松本油脂製薬社製)を、表面粗面化物質として平均粒子径2μmであるスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子「エポスター(登録商標)MS」(日本触媒社製)と、平均粒子径0.05μmのコロイダルシリカ「スノーテックス(登録商標)XL」(日産化学工業社製)とをそれぞれ用いた。
【0231】
ホモジナイザーを用いて、表面粗面化物質の有機球状微粒子を水とイソプロピルアルコール(質量比80/20)との混合液中で充分に分散させてから、塗工液の全質量に対して、バインダー樹脂2.5%、高分子ワックス成分0.13%、帯電防止剤0.13%、有機球状微粒子0.025%、コロイダルシリカ0.3%となるように、充分に混合して塗工液を調製した。
【0232】
(4)セパレートフィルムの製造(ポリエステルフィルムの製造と離型層の積層)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65dl/g)のペレットを充分に真空乾燥した後、280℃の加熱された押し出し機に供給し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度30℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化した。この未延伸フィルムを95℃の加熱ロール群を通過させながら、長手方向に3.5倍延伸し、一軸延伸フィルムとした。この一軸配向フィルムの両面に上記方法で調製した塗工液を塗布した。塗布された一軸延伸フィルムをクリップで把持しながら予熱ゾーンに導き、110℃で乾燥後、引続き連続的に125℃の加熱ゾーンで幅方向に3.5倍延伸した。さらに225℃で、幅方向に6%弛緩させながら、6秒間、熱処理を行った。ポリエステルフィルムの両面に厚さ0.15μmの離型層が積層された厚さ50μmの積層体であるセパレートフィルム(2)を得た。
【0233】
(5)シリコーン化合物系粘着層の積層
シリカ等の補強剤を実質的に含まず、数平均分子量が15万(GPC法で測定、ポリスチレン換算)の未架橋のポリジメチルシロキサン骨格よりなる非反応性のシリコーン化合物(KF−96H−50万cs;信越化学工業社製)を、トルエンに対する質量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き撹拌機に投入し、大気圧下、室温で15時間撹拌して、トルエンに溶解させた。得られた溶液に、上記シリコーン化合物100部に対して、トリメチロールプロパントリメタクリレートが1.0部となるように添加し、均一に撹拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下でさらに20分間撹拌し、脱泡した。次いで、脱泡後のシリコーン化合物溶液をロールコーターに供給し、上記積層体(1)の片面に、シリコーン化合物溶液を乾燥後の厚みが175μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。未架橋の粘着層が積層体(1)の表面に形成された積層体(3)が得られた。
【0234】
積層体(3)の未架橋の粘着層の表面に、セパレートフィルム(2)を重ねつつ、圧着ローラ(圧力30N/cm2)で押さえ、連続的に積層した。得られた積層体(4)をさらに連続的に電子線照射装置に導入し、セパレートフィルム(2)側から、700KV、18Mradのエネルギーで電子線を照射して粘着層の架橋を行い、架橋後の粘着層を備えた積層体(4’)をロール状に巻取った。ここまでの製造工程において、セパレートフィルム(2)のチャンネリング現象の発生は見られなかった。
【0235】
(6)アクリル系粘着剤層の積層
光学用アクリル系粘着剤であるSKダイン2094(綜研化学社製)を、上記積層体(4’)の耐熱水接着性改良層の表面に、乾燥後の厚さが25μmになるように塗布し、130℃で3分間乾燥し、アクリル系粘着剤層を形成した。この粘着剤層の表面に、シリコーン処理されたポリエチレンテレフタレートからなる厚さ38μmのセパレートフィルム(5)(E7002;東洋紡績社製)を、シリコーン処理面側が接するように積層して、両面にセパレートフィルムが設けられ、それぞれの粘着層が保護されたセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。この工程においてもセパレートフィルム(2)のチャンネリング現象の発生は見られなかった。
【0236】
上記実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性と、シリコーン化合物系粘着層を形成するための塗工液の特性を表1に示した。
【0237】
【表1】

【0238】
実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、透明性(全光線透過率、及びヘーズ値)に優れており、耐熱水接着性改良層を介して、シリコーン化合物系粘着層がポリエステル系基材フィルムと強固に接着されていた。また、セパレートフィルムフィルム(2)の離型層とシリコーン化合物系粘着層との剥離力も適度であり、高品質なセパレートフィルム付き両面粘着シートであった。さらに、セパレートフィルム付き両面粘着シートの製造におけるシリコーン化合物系粘着層を形成するための塗工液の清澄度や安定性にも優れており、操業性や操業安定性に優れていることが確認できた。
【0239】
比較例1
実施例1の方法において、耐熱水接着性改良層形成用の塗工液の塗布を取り止める以外は、実施例1と同様にしてセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0240】
比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの接着性および耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
【0241】
比較例2
実施例1の方法において、耐熱水接着性改良層形成用の塗工液へ、架橋剤であるメチロール化メラミン樹脂の配合を取り止めた以外は、実施例1と同様にしてセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0242】
比較例2で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル系基材フィルムとの耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
【0243】
比較例3
比較例1の方法において、離型層形成用の塗工液への高分子ワックス成分と帯電防止剤の配合を取り止めた以外は、比較例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0244】
比較例3で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの問題に加えて、セパレートフィルム(2)をシリコーン化合物系粘着層から剥離しようとしたが剥離ができなかった。従って、両面粘着シートとして使用できなかった。
【0245】
比較例4および5
比較例1の方法において、離型層形成用塗工液に、比較例4においては高分子ワックス成分の配合を、比較例5においては帯電防止剤の配合を、それぞれ取り止める以外は、比較例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0246】
比較例4で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの問題に加えて、セパレートフィルム(2)をシリコーン化合物系粘着層から剥離することができなかった。また、比較例5は比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの問題に加えて、セパレートフィルム(2)の剥離強度が高く、セパレートフィルム(2)の剥離性が劣っていた。
【0247】
比較例6
比較例1の方法におけるセパレートフィルム(2)に代えて、シリコーン処理された厚さ38μmの離型用ポリエステルフィルム(E7002;東洋紡績社製)を用いる以外は、比較例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0248】
比較例6で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、比較例3同様に、セパレートフィルムをシリコーン化合物系粘着層から剥離しようとしたが剥離ができなかった。EB架橋により、架橋接着現象が起こったと推測される。従って、本発明の両面粘着シートとして使用できなかった。
【0249】
比較例7
比較例1の方法において、耐熱水接着性改良層の厚みを0.7μmになるように変更する以外は比較例1と同様の方法で、セパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0250】
比較例7で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、シリコーン化合物系粘着層の耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
【0251】
比較例8
比較例1の方法において、シリコーン化合物系粘着層形成用塗工液の調製を、以下に示したように変更する以外は比較例1と同様の方法で、セパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0252】
〔シリコーン化合物系粘着層形成用塗工液の調製〕
ポリジメチルシロキサン骨格のシリコーン化合物60部、ポリジメチルアルケニルシロキサン骨格のシリコーン化合物25部およびシリカ15部からなる高透明度型シリコーンゴムコンパウンド(「TSE260−3U」;ゴム硬度30度;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製)をトルエンに対する質量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き撹拌機に投入し、大気圧下、室温で15時間撹拌してトルエンに溶解させた。得られた溶液に、トリメチロールプロパントリメタクリレートを、ゴムコンパウンド100部に対して2部となるように添加し、均一に撹拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下でさらに20分間撹拌し、脱泡した。なお、上記シリコーンゴムコンパウンドは購入後6ヶ月を経過したものを用いた。
【0253】
比較例8で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの問題に加えて、上記塗工液の清澄度および保存安定性が劣っていた。
【0254】
参考例1
実施例1の方法において、耐熱水接着性改良層を形成する塗工液を、有機シリコーン(「KS−744」;信越化学工業社製)8部および触媒「PL−3」(信越化学工業社製)0.06部をトルエン100質量部に溶解した溶液に変更する以外は実施例1と同様にして、セパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表1に示す。
【0255】
参考例1で得られたセパレートフィルム付両面粘着シートは、シリコーン化合物系粘着層とポリエステル基材フィルムとの耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
【0256】
実施例2
共重合ポリエステル樹脂溶液(「バイロン(登録商標)30SS」;東洋紡績社製)とポリイソシアネート系架橋剤(「コロネート(登録商標)HX」;日本ポリウレタン社製)を、それぞれ固形分比で100:3(部)になるように配合し、耐熱水接着性改良層用の塗工液を調製した。
【0257】
実施例1のコロナ放電処理後のポリエステル系基材フィルムの両面に、この塗工液をコーターを用いて塗布し、乾燥させ、ポリエステル系基材フィルムの両面に架橋された耐熱水接着性改良層が積層された積層体を得た。
【0258】
この積層体を用いて、実施例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。なお、二軸延伸後の耐熱水接着性改良層の厚みは、それぞれ0.3μmであった。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表2に示した。
【0259】
【表2】

【0260】
本実施例で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートと同等の特性を有しており、高品質であった。
【0261】
比較例9
実施例2の塗工液の調製の際に、架橋剤の「コロネートHX」の配合を取り止め、「バイロン30SS」のみを用いる以外は実施例2と同様の方法で、セパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表2に示す。
【0262】
比較例9で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、シリコーン化合物系粘着層の耐熱水接着性が劣っており、低品質であった。
【0263】
実施例3〜6
実施例1の耐熱水接着性改良層用塗工液を、以下の組成に変更する以外は、実施例1と同様にしてセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表2に示す。
【0264】
これらの実施例で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートと同等の特性を有しており、高品質であった。
【0265】
〔実施例3の塗工液〕
アクリル系エマルジョン(「ジョンクリル(登録商標)PDX−7630A」;BASFジャパン社製)の固形分100部に対し、上記の「サイメル303」10部と、上記の「キャタリスト600」0.04部を混合して、耐熱水接着性改良層用塗工液とした。
【0266】
〔実施例4の塗工液〕
ポリウレタン系水分散体(「ハイドラン(登録商標)AP40」;大日本インキ工業社製)の固形分100部に対し、オキサゾリン系架橋剤として(「エポクロス(登録商標)WS−700」;日本触媒社製)を固形分で3部添加して、耐熱水接着性改良層用塗工液とした。
【0267】
〔実施例5の塗工液〕
水分散型共重合ポリエステル「バイロナール(登録商標)MD−1200」(東洋紡績社製)7.5部、重亜硫酸ソーダでブロックしたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリウレタンの20%水溶液(「エラストロン(登録商標)H−3」;第一工業製薬社製)11.3部、エラストロン用触媒(「Cat64」;第一工業製薬社製)0.3部、水39.8部およびイソプロピルアルコール37.4部を容器に入れて、よく混合した。
【0268】
さらに、フッ素系ノニオン型界面活性剤(「メガファック(登録商標)F142D」;大日本インキ化学工業社製)の10%水溶液を0.6部、コロイダルシリカ(「スノーテックス(登録商標)OL」;平均粒径40nm;日産化学工業社製)の20%水分散液を2.3部、乾式法シリカ(「アエロジルOX50」;「アエロジル」はデグサの登録商標;平均粒径200nm;平均一次粒径40nm;日本アエロジル社製)の3.5%水分散液を0.5部添加した。次いで、5%の重曹水溶液で塗工液のpHを6.2に調整し、濾過粒子サイズ(初期濾過効率:95%)が10μmのフェルト型ポリプロピレン製フィルターで精密濾過して、耐熱水接着性改良層用塗工液とした。
【0269】
〔実施例6の塗工液〕
自己架橋型ポリエステル樹脂水分散体「バイロナール(登録商標)AGN702」(東洋紡績社製)40部、水24部及びイソプロピルアルコール36部を混合し、さらにアニオン系界面活性剤の10%水溶液0.6部、プロピオン酸1部、コロイダルシリカ粒子(「スノーテックス(登録商標)OL」;平均粒径40nm;日産化学工業社製))の20%水分散液1.8部、乾式法シリカ粒子(「アエロジルOX50」;平均粒径200nm;平均一次粒径40nm;日本アエロジル社製)の4%水分散液1.1部を添加し、耐熱水接着性改良層用塗工液とした。
【0270】
実施例7
実施例1の方法において、セパレートフィルム(2)の製造に用いる離型層用塗工液の高分子ワックスを、アクリル系ワックス剤エマルション(「ST−200」;日本触媒社製)に変更する以外は、実施例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表2に示す。
【0271】
実施例7で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートと同等の特性を有しており高品質であった。また、実施例1と同様にセパレートフィルム付き両面粘着シートの製造時にセパレートフィルムの浮き発生は見られなかった。
【0272】
実施例8
実施例1の方法において、セパレートフィルム(2)の製造に用いる離型層用塗工液の帯電防止剤をアニオン系帯電防止剤(「TB214」;第一工業製薬社製)に変更する以外は、実施例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表3に示す。
【0273】
【表3】

【0274】
実施例8で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られた両面粘着シートと同等の特性を有しており高品質であった。また、実施例1と同様にセパレートフィルム付き両面粘着シートの製造時にセパレートフィルムの浮き発生は見られなかった。
【0275】
実施例9
実施例1の方法において、セパレートフィルム(2)の製造に用いる離型層用塗工液の高分子ワックス成分が0.2%、帯電防止剤が0.2%となるように変更する以外は、実施例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表3に示す。
【0276】
実施例9で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートと同等の特性を有しており高品質であった。また、実施例1と同様にセパレートフィルム付き両面粘着シートの製造時にセパレートフィルムの浮き発生は見られなかった。
【0277】
比較例10
比較例1の方法において、セパレートフィルム(2)の製造に用いる離型層用塗工液の高分子ワックス成分が1.3%、帯電防止剤が1.5%となるように変更する以外は比較例1と同様の方法でセパレートフィルム付き両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表3に示す。
【0278】
比較例10で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、比較例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの問題に加えて、セパレートフィルムの剥離強度がほぼ0N/20mmであり、剥離性は極めて良好であったが、セパレートフィルム付き両面粘着シートの製造時等において、セパレートフィルムの浮きが発生することがあった。
【0279】
実施例10
実施例1の方法において、シリコーン化合物系粘着層の積層法を下記のように変更する以外は、実施例1と同様の方法で両面粘着シートを得た。得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートの特性の評価結果を表3に示す。
【0280】
〔シリコーン化合物系粘着層の積層〕
シリカ等の補強剤を実質的に含まず、数平均分子量が17万(GPC法で測定、ポリスチレン換算)の未架橋のポリジメチルシロキサン骨格よりなる非反応性のシリコーン化合物(KF−96H−100万cs;信越化学工業社製)をトルエンに対する質量比率が23%となるように秤量し、トルエンと共に真空脱泡装置付き撹拌機に投入し、大気圧下、室温で15時間撹拌してトルエンに溶解させた。得られた溶液に、上記シリコーン化合物100部に対して、トリメチロールプロパントリメタクリレートが2部となるように添加し、均一に撹拌した後、真空脱泡装置を駆動し、ゲージ圧が−750mmHgの真空下でさらに20分間撹拌し、脱泡した。次いで、脱泡後のシリコーン化合物溶液をロールコーターに供給し、実施例1で製造したセパレートフィルム(2)の片面に、シリコーン化合物溶液を乾燥後の厚みが150μmとなるように塗布し、続いてオーブンに導入して80℃で乾燥した。未架橋のシリコーン化合物系粘着層がセパレートフィルム(2)の表面に形成された積層体(5)が得られた。
【0281】
実施例1で製造した積層体(1)の両面に、積層体(5)の未架橋のシリコーン化合物系粘着層の表面を重ねつつ、圧着ローラ(圧力30N/cm2)で押さえ、連続的に積層した。得られた積層体をさらに連続的に電子線照射装置に導入し、セパレートフィルム側から、700KV、18Mradのエネルギーで電子線を照射してシリコーン化合物系粘着層の架橋を行い、架橋後の積層体をロール状に巻取った。ここまでの製造工程において、セパレートフィルム(2)のチャンネリング現象の発生は見られなかった。
【0282】
実施例10で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートは、実施例1で得られたセパレートフィルム付き両面粘着シートと同等の特性を有しており高品質であった。
【0283】
実施例11
実施例1〜10のセパレートフィルム付き両面粘着シートからセパレートフィルムを剥離して得られる両面粘着シートで表面保護パネルと画像表示パネルとを貼り合せた。実施例1〜9で得られた両面粘着シートについては、まず、アクリル系粘着層側に表面保護パネルを貼着し、引き続き、シリコーン系粘着層側に画像表示パネルを貼着した。該貼着作業の作業性は良好であった。その上、シリコーン系粘着層はリペアー性に優れているので、貼り損じが生じても容易にリペアーができた。従って、貼り損じによる高価な部材である画像表示パネルの損失を無くすことができた。一方、実施例10で得られた両面粘着シートは、両面がシリコーン系粘着層よりなっており、両面共にリペアー性に優れているので、表面保護パネルと画像表示パネルの両方の貼り損じによる損失を無くすことができた。
【0284】
実施例12および比較例11
市販の携帯電話の表面保護パネルを取り外し、取り外した画像表示パネルと表面保護パネルとを、実施例1〜10のセパレートフィルム付き両面粘着シートからセパレートフィルムを剥離して得られる両面粘着シートで貼り合せた場合(実施例12)と、この両面粘着シートの厚み分だけの距離を画像表示パネルと表面保護パネルとの間に空間を設けた場合(比較例11)との画像の視認性を評価した。目視でそれぞれ同じ画像を観察し、両者の画像の視認性の比較をした。その結果、両面粘着シートで貼り合せた場合(実施例12)の方が画像の視認性が良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0285】
本発明の画像表示装置は、画像表示パネルと保護パネルとを、上記両面粘着シートで貼り合わせて構成するため、視認性に優れる。また、画像表示パネルと保護パネルとの貼り合わせ作業が容易で、また再剥離性にも優れている。さらに、過酷な環境下で使用しても画像表示パネルと保護パネルとが剥離し難い。このため、本発明の画像表示装置は、これら特性を併せ持つ優れた液晶表示装置(LCD)、プラズマ発光表示装置(PDP)、有機エレクトロルミネッセンス(EL)等になり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル系基材フィルムの少なくとも片面に、耐熱水接着性改良層を介して、ポリジメチルシロキサン骨格を有する架橋されたシリコーン化合物を含む粘着層が積層された両面粘着シートを用いて、画像表示パネルと、該画像表示パネルを保護する保護パネルとを貼り合わせることを特徴とする画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
明細書中で定義した方法で前記両面粘着シートの耐熱水接着性を評価したときに、前記粘着層が剥離しない請求項1に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
前記耐熱水接着性改良層が、ポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上のポリマーと架橋剤との反応生成物を含む請求項1または2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記耐熱水接着性改良層が、自己架橋型のポリエステル、ポリウレタンおよびアクリル系ポリマーよりなる群から選択される1種以上が自己架橋したものを含む請求項1から3のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記架橋されたシリコーン化合物が、数平均分子量5万〜50万のポリジメチルシロキサン骨格を有するシリコーン化合物の未架橋体を架橋したものである請求項1から4のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記ポリエステル系基材フィルムの片面に、アクリル系粘着層またはゴム系粘着層が積層された請求項1から5のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記耐熱水接着性改良層の厚みが0.01〜0.5μmである請求項1から6のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記両面粘着シートの全光線透過率が90%以上で、かつヘーズが1.5%以下である請求項1から7のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記両面粘着シートの各粘着層表面にセパレートフィルムが積層されたセパレートフィルム付き両面粘着シートを準備した後、前記セパレートフィルムを前記粘着層からそれぞれ剥離して、前記画像表示パネルと保護パネルとを貼り合わせる請求項1から8のいずれか一項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記粘着層のうちシリコーン化合物を含む粘着層と前記セパレートフィルムとの剥離強度が0.03〜1.0N/20mmである請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記シリコーン化合物を含む粘着層に積層されるセパレートフィルムが離型層を備え、該離型層を介して前記シリコーン化合物を含む粘着層表面と積層されて構成され、前記離型層がバインダー樹脂、高分子ワックス成分および帯電防止剤を含む請求項9または10に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の製造方法を用いて製造されることを特徴とする画像表示装置。


【公開番号】特開2009−175266(P2009−175266A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11772(P2008−11772)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(591005006)クレハエラストマー株式会社 (37)
【Fターム(参考)】