説明

画像表示装置及びこれを備える光学機器

【課題】観察者の視力に応じて画像表示を行う、薄型の画像表示装置及びこれを備える光学機器を提供する。
【解決手段】表示状態と光透過状態とを切り替える第1,第2の表示素子11,13と、第2の表示素子13より射出側に設けられ、少なくとも屈折力が略0の状態と正の屈折力を有する状態との2つの状態に調整可能な屈折力可変素子12と、光源14と、各表示素子の状態及び屈折力可変素子12の屈折力の状態を制御する制御部15とを有し、制御部15は、屈折力可変素子12の屈折力を略0の状態にし、第2の表示素子13を光透過状態にして、光源14から照射された光を第1の表示素子11に導き、第1の表示素子11により画像を表示させる第1の表示状態と、屈折力可変素子12の屈折力を正の状態にし、第1の表示素子11を光透過状態にして、第2の表示素子13により表示された画像を拡大表示する第2の表示状態との間で切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びこれを備える光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置は、色々なものが提案されている。例えば、表示領域が重なるように配置
した複数の液晶表示装置を用いて画像を表示する装置が提案されている(例えば、特許文
献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4515722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像表示装置は、一般に観察者が裸眼で観察することを前提としているため、画像の見
やすさを左右する一因として観察者の視力が挙げられる。ところが、眼のピント調整力は
年齢とともに低下する傾向があり、そのような観察者にとっては、従来のように画像表示
装置と観察者の眼との間隔が常に一定であると、ピントが合わせにくく、表示内容が視認
しづらいという問題があった。
【0005】
上記課題を解決するために、画像表示装置と観察者の眼の間にルーペ光学系を配置して
、観察者の視力を補助しつつ画像を表示する方法がある。しかしながら、この方法は、装
置が大型化することと、光学系の大きさによってはアイポイントが限定されることが問題
であった。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、薄型でありながら、観察者の
視力に応じて画像表示を行うことができる、画像表示装置及びこれを備える光学機器を提
供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するため、本発明に係る画像表示装置は、画像を表示する表示領
域において、表示状態と光透過状態とを切り替えることができる第1及び第2の表示素子
と、前記第2の表示素子より射出側に設けられ、少なくとも屈折力が略0の状態と正の屈
折力を有する状態との2つの状態に調整することが可能な屈折力可変素子と、各表示素子
に光を照射する光源と、各表示素子の状態及び前記屈折力可変素子の屈折力の状態を制御
する制御部とを有し、前記制御部は、前記屈折力可変素子の屈折力を略0の状態にし、前
記第2の表示素子を光透過状態にして、前記光源から照射された光を前記第1の表示素子
に導き、前記第1の表示素子を表示状態にして表示領域に画像を表示させる第1の表示状
態と、前記屈折力可変素子の屈折力を正の状態にし、前記第1の表示素子を光透過状態に
して、前記光源から照射された光を前記第2の表示素子に導き、前記第2の表示素子を表
示状態にして、前記第2の表示素子の表示領域に表示された前記画像を拡大表示する第2
の表示状態との間で切り替え可能である。この画像表示装置においては、前記光源、前記
第2の表示素子、前記屈折力可変素子、前記第1の表示素子の順に配置されていることが
望ましい。
【0008】
また、本発明に係る画像表示装置は、画像を表示する表示領域において、表示状態と光
透過状態とを切り替えることができる第1の表示素子と、画素ごとに光の射出量を制御し
て発光表示を行い、画像を表示するときは表示領域に対応する画素ごとに光を射出して発
光表示状態にする第2の表示素子と、前記第2の表示素子より射出側に設けられ、少なく
とも屈折力が略0の状態と正の屈折力を有する状態との2つの状態に調整することが可能
な屈折力可変素子と、前記第1の表示素子に光を照射する光源と、各表示素子の状態、前
記屈折力可変素子の屈折力の状態及び前記光源のオン・オフ状態を制御する制御部とを有
し、前記制御部は、前記第2の表示素子の全画素において光を非射出状態にし、前記光源
をオン状態にし、前記屈折力可変素子の屈折力を略0の状態にして、前記光源から照射さ
れた光を前記第1の表示素子に導き、前記第1の表示素子を表示状態にして表示領域に画
像を表示させる第1の表示状態と、前記第2の表示素子の表示領域に対応する全画素にお
いて光を射出状態にして発光表示を行い、前記光源をオフ状態にし、前記屈折力可変素子
の屈折力を正の状態にし、前記第1の表示素子を光透過状態にして、前記第2の表示素子
の発光表示を拡大表示する第2の表示状態との間で切り替え可能である。この画像表示装
置においては、前記第2の表示素子、前記光源、前記屈折力可変素子、前記第1の表示素
子の順に配置されていることが望ましい。
【0009】
本発明に係る画像表示装置において、前記第1の表示素子の表示領域の大きさは、前記
第2の表示素子の表示領域よりも大きいことが望ましい。
【0010】
本発明に係る画像表示装置において、前記第1及び第2の表示素子は、液晶素子である
ことが望ましい。
【0011】
本発明に係る画像表示装置において、前記屈折力可変素子は、液体レンズであることが
望ましい。
【0012】
本発明に係る画像表示装置において、前記第1の表示状態と前記第2の表示状態との間
で切り替えるため、ユーザーの操作入力を受け付ける操作部(例えば、実施形態における
切替スイッチSW)を有し、前記制御部は、前記操作部が受け付けた操作入力に応じて、
前記表示状態を切り替えることが望ましい。
【0013】
本発明に係る画像表示装置において、前記画像表示装置の振動量または傾き量を検出す
る検出部を有し、前記制御部は、前記検出部により検出された前記画像表示装置の振動量
または傾き量に応じて、前記表示状態を切り替えることが望ましい。
【0014】
本発明に係る光学機器(例えば、実施形態におけるカメラCAM)は、前記いずれかの
画像表示装置を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、薄型でありながら、観察者の視力に応じて画像表示を行うことができ
る、画像表示装置及びこれを備える光学機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施例に係る画像表示装置の概略図であり、観察者から見て手前側の第1の表示素子を用いて画像表示を行う第1の表示状態を示している。
【図2】第1実施例に係る画像表示装置の概略図であり、観察者から見て奥側の第2の表示素子を用いて画像表示を行う第2の表示状態を示している。
【図3】第1実施例に係る画像表示装置における、第1の表示素子の表示領域と第2の表示素子の表示領域との位置関係を説明する図である。
【図4】第2実施例に係る画像表示装置の概略図であり、観察者から見て手前側の第1の表示素子を用いて画像表示を行う第1の表示状態を示している。
【図5】第2実施例に係る画像表示装置の概略図であり、観察者から見て奥側の第2の表示素子を用いて画像表示を行う第2の表示状態を示している。
【図6】第2実施例に係る画像表示装置における、第1の表示素子の表示領域と第2の表示素子の表示領域との位置関係を説明する図である。
【図7】本実施形態に係る画像表示装置を備えるカメラ(光学機器)を説明する図であり、(a)は正面図であり、(b)は背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(第1実施例)
第1実施例に係る画像表示装置について、図1〜図3を用いて説明する。第1実施例に
係る画像表示装置10は、図1に示すように、第1の表示素子11と、屈折力可変素子1
2と、第2の表示素子13と、光源14と、制御部15と、切替スイッチSW(SW1)
とを備えて構成される。
【0019】
第1の表示素子11は、いわゆる透過型の画像表示素子であり、光源14から照射され
た光を変調して2次元画像を表示領域に表示するとともに、この画像を表示する表示領域
において表示状態と光透過状態とを切り替えることができる。本実施例では、液晶パネル
等の表示素子が適している。
【0020】
屈折力可変素子12は、第2の表示素子13より射出側(本実施例では、第1の表示素
子11と第2の表示素子13との間)に配置され、圧力や電圧等の調節により面形状を変
化させ、図1に示す屈折力が略0の状態(透明の平行平板として機能する状態)と、図2
に示す正の屈折力を有する状態(凸レンズとして機能する状態)との2つの状態に調整す
ることが可能な素子である。本実施例では、(例えば、有効径約φ10mm、焦点距離約1
0〜20mmである)液体レンズが適している。
【0021】
第2の表示素子13は、第1の表示素子11と同様に、透過型の画像表示素子であり、
光源14から照射された光を変調して2次元画像を表示領域に表示するとともに、この画
像を表示する表示領域において表示状態と光透過状態とを切り替えることができる。本実
施例では、液晶パネル等の表示素子が適している。
【0022】
本実施例では、図3に示すように、第1の表示素子11と第2の表示素子13は、互い
の表示領域の中心部が重なるように配置される。但し、表示領域の大きさは、第1の表示
素子11の方が第2の表示素子13よりも大きい。
【0023】
光源14は、第2の表示素子13の背面側に配置され、第1及び第2の表示素子11,
13の各表示領域に可視光を照射する、自発光型の面光源(バックライト)である。本実
施例では、第1及び第2の表示素子11,13の表示領域の大きさと位置に応じて、光源
14は、発光面が複数の発光領域(第1の表示素子11に対応する全面と、第2の表示素
子12に対応する発光面の中央にある領域14a)に分割されている。これら発光領域は
、それぞれ独立して点灯・消灯することが可能である。本実施例では、光源14として、
LED等の複数の発光素子を2次元的に平面配置して構成されたもの、透明な平行平板状
の導光板とその周囲を取り囲むように配置されたLED等の複数の発光素子とを有して構
成されたもの、EL(Electro Luminescence)等の自発光型のものを用いることが望まし
い。
【0024】
第1実施例に係る画像表示装置10では、アイポイントE.P(すなわち、観察者)側
から、第1の表示素子11、屈折力可変素子12、第2の表示素子13、光源14が、こ
の順で配置されている。
【0025】
制御部15は、第1,第2の表示素子11,13の状態及び屈折力可変素子12の屈折
力の状態を制御する。具体的には、屈折力可変素子12の屈折力を略0の状態(透明の平
行平板として機能する状態)にし、第2の表示素子13を光透過状態にして、光源14か
ら照射された光を、第2の表示素子13及び屈折力可変素子12を透過させ、第1の表示
素子11に導き、第1の表示素子11を表示状態にして表示領域に画像を表示させる第1
の表示状態(図1参照)と、屈折力可変素子12の屈折力を正の状態(収束レンズとして
機能する状態)にし、第1の表示素子11を光透過状態にして、光源14から照射された
光を第2の表示素子13に導き、第2の表示素子13を表示状態にして表示領域に画像を
表示させ、さらに屈折力可変素子12及び第1の表示素子11を透過させ、第2の表示素
子13の表示領域に表示された画像を拡大表示する第2の表示状態(図2参照)との間で
切り替える制御を行う。
【0026】
本実施例において、第1の表示状態と第2の表示状態との切り替えは、画像表示装置1
0に設けられた切替スイッチSW1を、観察者が操作することにより行われる。
【0027】
また、制御部15は、切替スイッチSW1の操作に応じて、光源14の点灯及び消灯を
制御する。具体的には、制御部15は、図1に示すように、第1の表示素子11を用いて
画像表示を行う場合、第1の表示素子11の表示領域を照明するように、これに対応する
領域、すなわち発光面の全面から照明光を射出するように、光源14を制御する。また、
図2に示すように、第2の表示素子13を用いて画像表示を行う場合、制御部15は、第
2の表示素子13の表示領域のみを照明するように、これに対応する光源14の中央にあ
る該当領域14aからのみ照明光を射出し、他の領域では消灯するように、光源14の制
御を行う。
【0028】
続いて、画像表示装置10の作動について説明する。
【0029】
画像表示装置10では、観察者の手前側にある第1の表示素子11に画像を表示させる
第1の表示状態(図1参照)と、奥側にある第2の表示素子13に画像を表示させる第2
の表示状態(図2参照)とが、切替スイッチSW1の操作に応じて、選択的に切替られる
ようになっている。
【0030】
観察者により切替スイッチSW1が操作され、図1に示す第1の表示状態が選択された
場合、制御部15は、屈折力可変素子12の屈折力を0の状態(透明の平行平板状態とし
て機能する状態)にし、第1の表示素子11を表示状態にし、第2の表示素子13を光透
過状態にし、光源14の発光領域の大きさを第1の表示素子11の表示領域の大きさに対
応させた全面とする。
【0031】
すると、光源14の発光領域の全面から射出された照明光は、第2の表示素子13、屈
折力可変素子12を順に透過し、第1の表示素子11の表示領域を裏面から照射する。第
1の表示素子11は、照明光が透過する際に照明光を変調することにより、表示領域に2
次元画像を表示する。第1の表示素子11を透過した光は、アイポイントE.Pにある観
察者の眼に到達する。
【0032】
これにより、観察者は、手前側にある第1の表示素子11の表示領域に表示された2次
元画像を観察することができる。
【0033】
また、観察者により切替スイッチSW1が操作され、図2に示す第2の表示状態が選択
された場合、制御部15は、屈折力可変素子12の屈折力を正の状態(収束レンズとして
機能する状態)にし、第1の表示素子11を光透過状態にし、第2の表示素子13を表示
状態にし、光源14の発光領域の大きさを第2の表示素子13の表示領域の大きさに対応
させた中央部の領域14aとする。
【0034】
すると、光源14の中央の領域14aから照射された光は、第2の表示素子13の表示
領域を裏面から照射する。第2の表示素子13は、照明光が透過する際に照明光を変調す
ることにより、表示領域に2次元画像を表示する。第2の表示素子13を透過した照明光
は、屈折力可変素子12を透過して収束され、第1の表示素子11を透過し、アイポイン
トE.Pにある観察者の眼に到達する。この際、第1の表示素子11は、画像表示を行わ
ず、照明光を透過させるのみである。
【0035】
これにより、観察者は、奥側にある第2の表示素子13の表示領域に表示された2次元
画像を観察することができる。そして、屈折力可変素子12により観察者の眼に到達する
照明光が収束するように構成されているため、観察者には、画像の表示位置が、第1の表
示素子11を用いた場合より遠くにあるように視認される。
【0036】
このように本実施例に係る画像表示装置10では、画像の表示位置を(観察者から手前
側と奥側とで)切り替えることができるため、観察者の視力に応じた選択をすることが可
能になった。
【0037】
また、画像の表示位置が遠方にあるように観察者に見せるために、従来の装置では、画
像表示素子よりもアイポイントE.P側にレンズを配置していたが、これにより装置が厚
み方向に大きくなる傾向があった。しかしながら、本実施例に係る画像表示装置10は、
レンズを第1及び第2の表示素子11,13との間に配置するとともに、レンズとして屈
折力可変素子12を用いることにより、屈折力可変素子12は非使用時に屈折力を0にす
ることが可能であるため、屈折力可変素子12を画像表示素子11の近傍に配置すること
が可能になり、従来の画像表示装置と比較して薄型化が可能になった。
【0038】
なお、第1実施例では、光源14を、自発光型の画像表示素子にすることも可能である
。自発光型の画像表示素子とは、光源14の照明機能と、第2の表示素子13の画像表示
機能とを兼ね備えたものであり、画素ごとに光の射出量を制御して発光表示を行い、画像
を表示するときは表示領域に対応する画素ごとに光を射出して発光表示状態にする。図1
に示す第1の表示状態のときは照明機能のみ作用させて白色発光させ、図2に示す第2の
表示状態のときは画像表示機能を作用させる。このように光源14の機能と第2の表示素
子13の機能とを兼ね備えた素子を採用することにより、第2の表示素子13を省略して
、光源14と屈折力可変素子12との間隔を広げ、図1の表示状態から図2の表示状態に
変化させる際に、屈折力可変素子12の屈折力変化量を小さくして、該素子12が変化に
要する時間を短縮することができる。
【0039】
(第2実施例)
第2実施例に係る画像表示装置について、図4〜図6を用いて説明する。本実施例と第
1実施例との相違点は、観察者の奥側にある第2の表示素子を、(手前ではなく)光源の
背面側に配置したことにある。このため、本実施例では、光源24として、透明な平行平
板状の導光板の周囲を取り囲むように、LED等の複数の発光素子を配置した構成のもの
であることが望ましい。
【0040】
第2実施例に係る画像表示装置20は、図4に示すように、第1の表示素子21と、屈
折力可変素子22と、第2の表示素子23と、光源24と、制御部25と、切替スイッチ
SW(SW2)を備えて構成される。
【0041】
第1の表示素子21は、いわゆる透過型の画像表示素子であり、光源24から照射され
た光を変調して2次元画像を表示領域に表示するとともに、この画像を表示する表示領域
において表示状態と光透過状態とを切り替えることができる。本実施例では、液晶パネル
等の表示素子が適している。
【0042】
屈折力可変素子22は、第2の表示素子23より射出側(本実施例では、第1の表示素
子21と光源24との間)に配置され、圧力や電圧等の調節により面形状を変化させ、図
4に示す屈折力が略0の状態(透明の平行平板として機能する状態)と、図5に示す正の
屈折力を有する状態(凸レンズとして機能する状態)との2つの状態に調整することが可
能な素子である。本実施例では、(例えば、有効径約φ10mm、焦点距離約10〜20mm
である)液体レンズが適している。
【0043】
第2の表示素子23は、自発光型の画像表示素子であり、画素ごとに光の射出量を制御
して発光表示を行い、画像を表示するときは表示領域に対応する画素ごとに光を射出して
発光表示状態にする。なお、表示領域の大きさは、図6に示すように、第1の表示素子2
1の方が第2の表示素子23よりも大きい。
【0044】
光源24は、第2の表示素子23の表示面側に配置され、第1の表示素子21の表示領
域に可視光を照射する面光源(バックライト)である。本実施例では、上述したように、
光源24は、透明な平行平板状の導光板と、その周囲を取り囲むように配置されたLED
等の複数の発光素子とを有して構成されている。但し、これに限定されるものではない。
【0045】
第2実施例に係る画像表示装置20では、アイポイントE.P(すなわち、観察者)側
から、第1の表示素子21、屈折力可変素子22、光源24、第2の表示素子23が、こ
の順で配置されている。
【0046】
制御部25は、第1,第2の表示素子21,23の表示状態、屈折力可変素子22の屈
折力の状態及び光源24のオン・オフを制御する。具体的には、第2の表示素子23の全
画素を非射出(すなわち消灯)状態にし、光源24をオン状態にし、屈折力可変素子22
の屈折力を略0の状態(透明の平行平板として機能する状態)にして、光源24から照射
された光を、屈折力可変素子22を透過させ、第1の表示素子21に導き、第1の表示素
子21を表示状態にして表示領域に画像を表示させる第1の表示状態(図4参照)と、第
2の表示素子23の表示領域に対応する全画素において光を射出状態にして発光表示を行
い、光源24をオフ状態(透明の平行平板として機能する状態)にし、屈折力可変素子2
2の屈折力を正の状態(収束レンズとして機能する状態)にし、第1の表示素子21を光
透過状態にして、第2の表示素子23を自発光させて表示領域に画像を表示させるととも
に、該素子23から射出された光を、光源24、屈折力可変素子22及び第1の表示素子
21を順に透過させ、第2の表示素子23の発光表示を拡大表示する第2の表示状態(図
5参照)との間で切り替える制御を行う。
【0047】
本実施例において、第1の表示状態と第2の表示状態との切り替えは、画像表示装置2
0に設けられた切替スイッチSW2を、観察者が操作することにより行われる。
【0048】
続いて、画像表示装置20の作動について説明する。
【0049】
画像表示装置20では、第1実施例と同様に、観察者の手前側にある第1の表示素子2
1に画像を表示させる第1の表示状態(図4参照)と、奥側にある第2の表示素子23に
画像を表示させる第2の表示状態(図5参照)とが、切替スイッチSW2の操作に応じて
、選択的に切替られるようになっている。
【0050】
観察者により切替スイッチSW2が操作され、図4に示す第1の表示状態が選択された
場合、制御部25は、第2の表示素子23の全画素において光を非射出状態にし、光源2
4をオン状態にし、屈折力可変素子22の屈折力を略0の状態(透明の平行平板として機
能する状態)にし、第1の表示素子21を表示状態にする。
【0051】
すると、光源24から射出された照明光は、屈折力可変素子22を透過して、第1の表
示素子21の表示領域を裏面から照射する。第1の表示素子21は、照明光が透過する際
に照明光を変調することにより、表示領域に2次元画像を表示する。第1の表示素子21
を透過した光は、アイポイントE.Pにある観察者の眼に到達する。
【0052】
これにより、観察者は、手前側にある第1の表示素子21の表示領域に表示された2次
元画像を観察することができる。
【0053】
また、観察者により切替スイッチSW2が操作され、図5に示す第2の表示状態が選択
された場合、制御部25は、第2の表示素子23の表示領域に対応する全画素において光
を射出状態にして発光表示を行わせ、光源24をオフ状態(透明の平行平板として機能す
る状態)にし、屈折力可変素子22の屈折力を正の状態(収束レンズとして機能する状態
)にし、第1の表示素子21を光透過状態にする。
【0054】
すると、第2の表示素子23は自発光して表示領域に画像を表示するとともに、該素子
23の表示領域から射出された光は、光源24を経て、屈折力可変素子22を透過して収
束され、第1の表示素子21を透過し、アイポイントE.Pにある観察者の眼に到達する

【0055】
これにより、観察者は、奥側にある第2の表示素子23の表示領域に表示された2次元
画像を観察することができる。そして、屈折力可変素子22により観察者の眼に到達する
第2の表示素子23からの光が収束するように構成されているため、観察者には、画像の
表示位置が、第1の表示素子21を用いた場合より遠くにあるように視認される。
【0056】
このように本実施例に係る画像表示装置20では、画像の表示位置を(観察者から手前
側と奥側とで)切り替えることができるため、観察者の視力に応じた選択をすることが可
能である。
【0057】
また、第1実施例では図2に示すように透過型の第2の表示素子13と屈折力可変素子
12とを隣接して配置する構成であったが、第2実施例では図5に示すように、光源24
をオフ状態にして透明な平行平板として機能させるととともに、自発光型の第2の表示素
子23と屈折力可変素子22の間に配置する構成となっている。このような配置を採用す
ることにより、第2の表示素子23と屈折力可変素子22との間隔を広げることが可能に
なる。その結果、図4の状態から図5の状態へと変化する際に、屈折力可変素子22の屈
折力変化量を小さくして、該素子22が変化に要する時間を短縮することができる。また
、屈折力可変素子22において、過度に屈折力を高める必要がないため、発生する収差量
が小さくなり、良好な観察像を得ることも容易である。
【0058】
以上のような第2実施例では、図6に示すように、第2の表示素子23を第1の表示素
子21に対して非対称に(互いの表示領域の中心部の位置をずらして)配置することが望
ましい。図4から明らかなように、第2の表示素子23と屈折力可変素子22との間隔が
大きくなると、画像表示装置20の厚みが増大する。しかしながら、本実施例のように第
2の表示素子23を第1の表示素子21に対して右上部に位置させるなど、第1及び第2
の表示素子21,23を非対称に配置して、厚みが増大する部分を特定な位置(この場合
、右上部)に限定することにより、画像表示装置20の構成部材の配置の自由度を高める
ことが期待できる。このように第1の表示素子21と第2の表示素子23との位置関係を
利用して、装置の更なる薄型化を達成することが可能である。
【0059】
なお、上述の実施例に係る画像表示装置10,20は、様々な光学機器に適用可能であ
る。例えば、図7(a),(b)に示すカメラCAMの背面に設けられた表示装置Mに適
している。
【0060】
また、上述の実施例では、第1及び第2の表示状態の切り替えを、切替スイッチSW(
SW1,SW2)の操作に応じて行っているが、これに限定されるものではない。例えば
、画像表示装置の振動量または傾き量を検出する検出部(図示略)を有し、制御部は前記
検出部により検出された画像表示装置の振動量または傾き量に応じて、自動で、第1及び
第2の表示状態を切り替えることができるように構成してもよい。
【0061】
ここまで、本発明を分かりやすくするために実施形態の構成要件を付して説明したが、
本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0062】
10,20 画像表示装置
11,21 第1の表示素子
12,22 屈折力可変素子
13,23 第2の表示素子
14,24 光源
15,25 制御部
SW(SW1,SW2) 切替スイッチ(操作部)
E.P アイポイント
CAM カメラ(光学機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域において、表示状態と光透過状態とを切り替えることができる
第1及び第2の表示素子と、
前記第2の表示素子より射出側に設けられ、少なくとも屈折力が略0の状態と正の屈折
力を有する状態との2つの状態に調整することが可能な屈折力可変素子と、
各表示素子に光を照射する光源と、
各表示素子の状態及び前記屈折力可変素子の屈折力の状態を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記屈折力可変素子の屈折力を略0の状態にし、前記第2の表示素子を光透過状態にし
て、前記光源から照射された光を前記第1の表示素子に導き、前記第1の表示素子を表示
状態にして表示領域に画像を表示させる第1の表示状態と、
前記屈折力可変素子の屈折力を正の状態にし、前記第1の表示素子を光透過状態にして
、前記光源から照射された光を前記第2の表示素子に導き、前記第2の表示素子を表示状
態にして、前記第2の表示素子の表示領域に表示された前記画像を拡大表示する第2の表
示状態との間で切り替え可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
画像を表示する表示領域において、表示状態と光透過状態とを切り替えることができる
第1の表示素子と、
画素ごとに光の射出量を制御して発光表示を行い、画像を表示するときは表示領域に対
応する画素ごとに光を射出して発光表示状態にする第2の表示素子と、
前記第2の表示素子より射出側に設けられ、少なくとも屈折力が略0の状態と正の屈折
力を有する状態との2つの状態に調整することが可能な屈折力可変素子と、
前記第1の表示素子に光を照射する光源と、
各表示素子の状態、前記屈折力可変素子の屈折力の状態及び前記光源のオン・オフ状態
を制御する制御部とを有し、
前記制御部は、
前記第2の表示素子の全画素において光を非射出状態にし、前記光源をオン状態にし、
前記屈折力可変素子の屈折力を略0の状態にして、前記光源から照射された光を前記第1
の表示素子に導き、前記第1の表示素子を表示状態にして表示領域に画像を表示させる第
1の表示状態と、
前記第2の表示素子の表示領域に対応する全画素において光を射出状態にして発光表示
を行い、前記光源をオフ状態にし、前記屈折力可変素子の屈折力を正の状態にし、前記第
1の表示素子を光透過状態にして、前記第2の表示素子の発光表示を拡大表示する第2の
表示状態との間で切り替え可能であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
前記光源、前記第2の表示素子、前記屈折力可変素子、前記第1の表示素子の順に配置
されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記第2の表示素子、前記光源、前記屈折力可変素子、前記第1の表示素子の順に配置
されていることを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1の表示素子の表示領域の大きさは、前記第2の表示素子の表示領域よりも大き
いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の表示素子は、液晶素子であることを特徴とする請求項1〜5のいず
れか一項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記屈折力可変素子は、液体レンズであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一
項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第1の表示状態と前記第2の表示状態との間で切り替えるため、ユーザーの操作入
力を受け付ける操作部を有し、
前記制御部は、前記操作部が受け付けた操作入力に応じて、前記表示状態を切り替える
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像表示装置の振動量または傾き量を検出する検出部を有し、
前記制御部は、前記検出部により検出された前記画像表示装置の振動量または傾き量に
応じて、前記表示状態を切り替えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載
の画像表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の画像表示装置を備えることを特徴とする光学機器


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−105103(P2013−105103A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250018(P2011−250018)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】