画像表示装置及びその制御方法
【課題】ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることのできる技術を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、入力された画像信号に含まれる各画像の領域情報と目標情報を含む情報を取得する取得手段と、画像毎に、取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、角度と目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、画像毎に、取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを用いて、その画像の信号に画像処理を施す画像処理手段と、を有する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、入力された画像信号に含まれる各画像の領域情報と目標情報を含む情報を取得する取得手段と、画像毎に、取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、角度と目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、画像毎に、取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを用いて、その画像の信号に画像処理を施す画像処理手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の現場において、モニタ(画像表示装置)の数、画面サイズ、画面に表示する画像のレイアウトなどは、病院毎、病院の部屋毎、または、読影医毎に異なる。これに対し、ハンギングプロトコルの規格がDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)委員会から提案されている。ハンギングプロトコルとは、読影医の好みに応じて
いったん画像配置(ハンギング)を設定すれば、以後、同様の画像配置を自動的に行うというものである。これにより、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)において、個別の読影医の好みに合わせた画像表示をするこ
とが可能となり、検査画像の迅速な診断が可能となる。
【0003】
ところで、液晶モニタなどの画像表示装置では、ユーザと画面の相対的な位置関係によって、表示された画像の見え方(ユーザに知覚される色、輝度等)の視野角による影響が異なる。即ち、画像表示装置の位置が固定の場合には、ユーザの視聴位置によって表示された画像の見え方が異なる。また近年、モニタの大画面化により上記視野角による影響が出やすくなっている。診断用機器(モダリティ)で撮影された医用画像の読影においては、大画面のモニタ、もしくは複数の画面を1つの仮想的な画面とする複数の画像表示装置を使用することが多い。また、上記読影用のモニタには、表示される医用画像の見え方が視野角による影響を受けて変化すると、誤診につながる危険性があるため、極めて高い品質(視聴位置によって医用画像の見え方が変化しないこと)が求められる。
【0004】
従来、モニタの画面の中心(もしくはセンサ)とユーザの位置関係(角度)を取得し、その位置関係に応じた視野角補正(上記見え方の変化を抑制する画像処理)を画面全体に対して行っていた。しかし、大画面モニタでは、画面の中心と端ではユーザとの位置関係(角度)が大きく異なるため、視野角補正が不十分になるという課題があった。
これに対し、画面の領域を複数に分割して得られるブロック毎に、視野角補正を行う技術が提案されている。そのような技術は、例えば、特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1に開示の技術では、ブロック毎に、そのブロックに表示される画像信号の輝度ヒストグラムが算出される。そして、ブロック毎の輝度ヒストグラムを用いて、ブロック毎に視野角補正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された(並べられた)合成画像を表示する場合に、1つの目標値に基づいて視野角補正が行われる。そのため、画像(合成画像に含まれる画像)によっては、目標値と異なる輝度や色を目標値として視野角補正が行われ、ユーザに知覚される輝度や色が目標値から大きくずれてしまう。例えば、輝度の目標値がDICOMガンマに則った輝度とガンマ2.2に則った輝度である2つの画像を表示する場合に、ガンマ2.2に則った輝度を目標値として視野角補正が行われる。その場合、目標値がDICOMガンマに則った輝度である画像の、ユーザに知覚される輝度が、DICOMガンマに則った輝度でなく
なってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得手段と、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、
前記角度と前記目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理手段と、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理手段は、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像表示装置の制御方法は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得ステップと、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得ステップで取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出ステップと、
記憶部に記憶された前記角度と前記目標値の組み合わせ毎の補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理ステップと、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理ステップでは、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得ステップで取得された目標情報で表される目標値と、前記算出ステップで算出された角度とに対応する補正テーブルが前記記憶部から取得され、
画像毎に、前記記憶部から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理が施される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例に係る画像表示システムの機能構成の一例
【図2】「表示領域」の一例
【図3】視野角補正部の機能構成の詳細の一例
【図4】センシング部の処理概要の一例
【図5】センシング部の処理フローの一例
【図6】第1視聴角度の概要の一例
【図7】補正テーブルの概要の一例
【図8】視聴角度計算部の処理フローの一例
【図9】視聴角度計算部の処理概要の一例
【図10】視野角補正部の処理フローの一例
【図11】モダリティと目標値が対応づけられたテーブルの一例
【図12】視野角補正において補正量を変化させる場合の処理概要の一例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
<実施例1>
本発明の実施例1に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。本実施例では、画像表示装置が医用画像表示装置である場合の例について説明する。
図1は、実施例1に係る画像表示システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例に係る画像表示システムは、ワークステーション101と医用画像表示装置100を有する。
【0013】
ワークステーション101は、医用画像表示装置100に画像信号を出力する外部機器である。
ワークステーション101は、(図示しない)PACSサーバから医用画像データを取得する。
ワークステーション101には、医用画像データに基づく画像(医用画像)を医用画像表示装置100に表示するためのビューア(ソフトウェア)がインストールされている。
ワークステーション101は、医用画像を含む画像信号を医用画像表示装置100に送信する。例えば、ワークステーション101は、複数の医用画像が合成された画像信号(例えば、同時に表示される複数の医用画像を含む画像信号)を医用画像表示装置100に送信する。
ワークステーション101は、医用画像表示装置100の表示情報取得部102からの要求に応じて、ハンギングプロトコル情報を送信する。なお、ワークステーション101は、表示情報取得部102からの要求に応じてハンギングプロトコル情報を送信するのではなく、上記画像信号を送信する際に自発的にハンギングプロトコル情報を送信してもよい。
【0014】
ハンギングプロトコル情報は、「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表
示領域」、「画像内容」などの情報を含む。
【0015】
「モニタ数」は、ワークステーション101から出力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の数であり、画像が1つの画像表示装置に表示されるか、複数の画面を1つの仮想的な画面とする複数の画像表示装置に表示されるかを示す。本実施例では、「モニタ数」は1とする(画像が1つの医用画像表示装置100に表示されるものとする)。
【0016】
「画面サイズ」は、画面のサイズ(「モニタ数」が2以上の場合、すなわち画像が複数の画像表示装置に表示される場合には、各画像表示装置の画面のサイズまたは仮想的な画面のサイズ)をインチ単位で表したものである。「ピクセル数」は、画面内の画素数(「モニタ数」が2以上の場合には、各画像表示装置の画面内の画素数または仮想的な画面内の画素数)である。なお、「画面サイズ」や「ピクセル数」は、ハンギングプロトコル情報に含まれているのではなく、画像表示装置内に予め記憶されていてもよい。
【0017】
「表示領域」は、医用画像表示装置100へ送信する画像信号に含まれる医用画像の表示領域(医用画像が表示される、医用画像表示装置100の画面の領域)を表す領域情報である。画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号の場合には、「表示領域」は、各医用画像の表示領域を表す。「表示領域」は、例えば、医用画像の表示領域の始点と終点の位置を、画面の最も左下の位置を原点として表現したものである。図2(a),(b)は、水平方向3072画素×垂直方向2560画素の画面に、水平方向1536画素×垂直方向1280画素の医用画像が、医用画像の最も左上の位置が画面の最も左上の位置となるように表示される場合の「表示領域」の一例を示す図である。具体的には、図2(a)は、「表示領域」を、医用画像の始点と終点の位置を、絶対値(最も左下の位置座標を(0(水平方向),0(垂直方向))、最も右上の位置座標を(3072,2560)とした場合の値)で表現した場合の例である。図2(b)は、「表示領域」を、医用画像の始点と終点の位置を、正規化値(最も左下の位置座標を(0,0)、最も右上の位置座標を(1,1)とした場合の値)で表現した場合の例である。「モニタ数」が2以上の場合には、正規化値は、例えば、仮想的な画面の最も左下の位置座標を(0,0)、最も右上の位置座標を(1,1)とした場合の値となる。また、図2(a),(b)は、医用画像の最も左上の位置を始点、最も右下の位置を終点とした場合の例である。図2(a)の例では、「表示領域」は「始点(0,2560)、終点(1536,1280)」となる。図2(b)の例では、「表示領域」は「始点(0.0,1.0)、終点(0.5,0.5)」となる。
【0018】
「画像内容」は、医用画像表示装置100へ送信する画像信号に含まれる医用画像の、ユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報である。画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号の場合には、「画像内容」は、各医用画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す。本実施例では、「画像内容」は、医用画像の生成に用いたモダリティの種類(CR(Computed Radiography)、CT(Co
mputed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance
Imaging system)、心電図、ES(Endoscope:内視鏡)など)の情報である。なお、「画像内容」は、コンテンツの種類(DICOM準拠画像、通常画像、画像以外のアプリケーション(例:電子カルテ)など)の情報であってもよい。
【0019】
医用画像表示装置100は、入力された画像信号に基づく画像を表示する。
医用画像表示装置100は、表示情報取得部102、センシング部103、前処理部104、補正テーブル記憶部105、視聴角度計算部106、視野角補正部107、表示部108などを有する。
【0020】
表示情報取得部102は、ワークステーション101からハンギングプロトコル情報を取得する。例えば、表示情報取得部102は、ワークステーション101から医用画像表示装置100へ画像信号が入力されたことをトリガとして、ワークステーション101にハンギングプロトコル情報の送信を要求する。そして、該要求に応じて送信されたハンギングプロトコル情報を取得する。そして、表示情報取得部102は、ハンギングプロトコル情報に含まれる情報のうち、「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表示領域」を視聴角度計算部106へ送信する。また、表示情報取得部102は、ハンギングプロトコル情報に含まれる情報のうち、「画像内容」を視野角補正部107へ送信する。
【0021】
センシング部103と視聴角度計算部106により、表示情報取得部102で取得された「表示領域」と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、医用画像に対するユーザの視聴角度(第2視聴角度)が算出される。第2視聴角度は、医用画像の表示位置(例えば、表示領域の中心位置)とユーザの位置を結ぶ線と、医用画像表示装置100の画面に垂直な線との間の角度である。入力された画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号である場合には、医用画像毎に、第2視聴角度が算出される。
【0022】
センシング部103の処理概要の一例を図4、処理フローの一例を図5に示す。センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像(入力された画像信号に含まれる医用画像)を表示しているときに、図5の処理を繰り返し行う。例えば、センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像を表示しているときに、所定時間(5秒,10秒,30秒など)おきに図5の処理を繰り返し行う。なお、センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像を表示するときに、図5の処理を1度だけ行ってもよい。
【0023】
まず、センシング部103は、医用画像表示装置100のユーザの位置を検出するセンサの検出結果から、医用画像表示装置100のユーザがいるか否かを判断する(図4の(1)、図5のS501)。なお、センサは、医用画像表示装置100に設けられていてもよいし、医用画像表示装置100とは別体の装置であってもよい。センサとしては、種々のセンサが使用可能である。例えば、センサとして、カメラ等を用いた画像認識により人物を検出するセンサを用いることができる。
【0024】
医用画像表示装置100のユーザがいないと判断した場合には(S501:NO)、センシング部103は処理を終了する。
医用画像表示装置100のユーザがいると判断した場合(S501:YES)には、センシング部103は、センサとユーザの位置関係を算出する(図4の(2)、図5のS502)。例えば、センシング部103は、センサとユーザの位置関係として、センサとユーザの間の距離、及び、センサの位置とユーザの位置を結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度を算出する。
【0025】
S502の次に、センシング部103は、センサとユーザの位置関係から、画面に対するユーザの視聴角度(第1視聴角度)を算出する(図4の(3)、図5のS503)。第1視聴角度は、画面の中心位置とユーザの位置を結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。本実施例では、第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度が算出される。図6に第1視聴角度の概要図を示す。図6は表示部108を真上から見た図である。X、Y、Zはユーザの位置を示す。ユーザの位置がX(画面の法線上)である場合、第1視聴角度は0度となる。ユーザの位置がYである場合、第1視聴角度は15度となる。ユーザの位置がZである場合、第1視聴角度は30度となる。
そして、センシング部103は、S503で算出した第1視聴角度を視聴角度計算部106へ送信する(S504)。
【0026】
なお、第1視聴角度は、例えば、三角測量により算出されてもよいし、センサとユーザ
の位置関係と所定の関数(テーブル)を用いて算出されてもよい。
なお、第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度ではなく、画面の垂直方向に関する角度が算出されてもよい。第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度と、画面の垂直方向に関する角度との両方が算出されてもよい。第1視聴角度として、三次元空間内における角度が算出されてもよい。
【0027】
視聴角度計算部106の処理フローの一例を図8に示す。
まず、視聴角度計算部106は、センシング部103から第1視聴角度を取得する。また、視聴角度計算部106は、表示情報取得部102から「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表示領域」を取得する。そして、視聴角度計算部106は、上記取得した情報から、医用画像(入力された画像信号に含まれる医用画像)毎に、その医用画像に対するユーザの視聴角度(第2視聴角度)を算出する(S801,S802)。図9の例では、医用画像1に対するユーザの視聴角度と医用画像2に対するユーザの視聴角度がそれぞれ算出される。
【0028】
視聴角度計算部106は、例えば、医用画像の画面上のサイズをcmやインチなどの長さの単位で算出し、その算出結果を用いて第2視聴角度を算出する。
例えば、「モニタ数」が1、「画面サイズ」が24インチ、「ピクセル数」が1920×1080、「表示領域」(正規化値)が(0.0,1.0),(0.5,0.5)の場合には、以下のように医用画像のサイズが算出される。「ピクセル数」から画面のアスペクト比が16:9であると判断される。1インチを2.54cmとした場合、上記アスペクト比と「画面サイズ」から、画面の垂直方向のサイズが29.9cm、水平方向のサイズが53cmと算出される。「表示領域」から、医用画像の最も左上の位置と画面の最も左上の位置が同じであると判断され、上記垂直方向及び水平方向のサイズと「表示領域」とから、医用画像の水平方向のサイズが14.9cm、垂直方向のサイズが26.5cmであると算出される。
【0029】
また、「モニタ数」が4(縦2×横2)、「画面サイズ」(各画像表示装置の画面のサイズ)が24インチ、「ピクセル数」(各画像表示装置の画面内の画素数)が1920×1080、「表示領域」(正規化値)が(0.0,1.0),(0.5,0.5)の場合には、以下のように医用画像のサイズが算出される。「モニタ数」から、医用画像が2×2の4つの画面からなる1つの仮想的な画面に表示されると判断される。「ピクセル数」から仮想的な画面のアスペクト比が16:9であると判断される。1インチを2.54cmとした場合、上記アスペクト比と「画面サイズ」から、仮想的な画面の垂直方向のサイズが59.8cm、水平方向のサイズが106cmと算出される。「表示領域」から、医用画像の最も左上の位置と画面の最も左上の位置が同じであると判断され、上記垂直方向及び水平方向のサイズと「表示領域」とから、医用画像の水平方向のサイズが25.8cm、垂直方向のサイズが53cmであると算出される。
【0030】
視聴角度計算部106は、算出した医用画像毎の第2視聴角度を視野角補正部107へ出力する(S803)。図9の例では、医用画像1に対するユーザの視聴角度として角度Bが出力され、医用画像2に対するユーザの視聴角度として角度Aが出力される。
なお、第2視聴角度は、例えば、三角測量により算出されてもよいし、第1視聴角度、医用画像の表示位置、及び、所定の関数(テーブル)を用いて算出されてもよい。
なお、第2視聴角度として、画面の水平方向に関する角度、画面の垂直方向に関する角度、または、それらの両方が算出されてもよい。第2視聴角度として、三次元空間内における角度が算出されてもよい。
なお、本実施例では、第1視聴角度と医用画像の表示位置から第2視聴角度を算出する構成としたが、第1視聴角度を算出せずに、センサで検出されたユーザの位置と医用画像の表示位置から第2視聴角度が算出されてもよい。
【0031】
前処理部104は、ワークステーション101から入力された画像信号に対し表示に必要な前処理を施す。前処理は、例えば、入力画像信号のフォーマット検出、ノイズ除去、拡大縮小処理などである。なお、前処理部104は、視野角補正(ユーザと画面の相対的な位置関係の変化による画像の見え方の変化を抑制する画像処理)に関連する画像処理は行わない。
【0032】
補正テーブル記憶部105には、第2視聴角度と目標値(ユーザに知覚される輝度または色の目標値)の組み合わせ毎に、補正テーブルが予め記憶されている。例えば、補正テーブル記憶部105は、角度Aと目標値D1に対応する補正テーブル、角度Aと目標値D2に対応する補正テーブル、角度Aと目標値D3に対応する補正テーブルなどを記憶する。また、補正テーブル記憶部105は、角度Bと目標値D1に対応する補正テーブル、角度Bと目標値D2に対応する補正テーブル、角度Bと目標値D3に対応する補正テーブルなどを記憶する。目標値は、例えば、ガンマ値で定義される輝度や白色の色温度で定義される色などである。補正テーブルは、視野角補正で用いられる。具体的には、視野角補正では、使用する補正テーブルに対応する角度で画面に表示された医用画像をユーザが見たときに知覚する該医用画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、入力された画像信号が補正される。
【0033】
補正テーブル記憶部105に記憶されている補正テーブルの概要図を図7に示す。図7の例は、目標値が、ガンマ値または白色の色温度で定義される場合の例である。図7の例では、補正テーブル記憶部105は、第2視聴角度毎に、ガンマ1,ガンマ2・・・ガンマn(nは3以上の整数)、及び、色温度1,色温度2・・・色温度m(mは3以上の整数)のn+m個の補正テーブルを記憶している。ガンマ1の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される輝度をDICOMガンマに従った輝度とするためのデータである。ガンマ2の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される輝度をガンマ2.2に従った輝度とするためのデータである。色温度1の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される色を白色の色温度が6500K(ケルビン)の色とするためのデータである。色温度2の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される色を白色の色温度が5000K(ケルビン)の色とするためのデータである。
【0034】
補正テーブル記憶部105は、視野角補正部107からの要求に応じて補正テーブルを出力する。
【0035】
視野角補正部107は、補正テーブル記憶部105に記憶された補正テーブルを用いて、入力された画像信号に視野角補正を施す。
本実施例では、視野角補正部107は、入力された画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号である場合に、医用画像毎に、「画像内容」で表される目標値と、第2視聴角度とに対応する補正テーブルを補正テーブル記憶部105から取得する。そして、視野角補正部107は、医用画像毎に、補正テーブル記憶部105から取得された補正テーブルを用いて、その医用画像の信号に視野角補正を施す。
【0036】
図3は、視野角補正部107の機能構成の詳細の一例を示すブロック図である。視野角補正部107は、補正目標決定部301、補正処理実行部302などを有する。
補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の「画像内容」から、該医用画像の目標値を決定する。
補正処理実行部302は、表示する医用画像毎に、その医用画像の信号に対して視野角補正を施す。図3の例では、補正処理実行部302は、画像の輝度特性を補正する輝度補正部303と、画像の色特性を補正する色補正部304とを有する。輝度補正部303による輝度補正、色補正部304による色補正、または、それらの両方を実行することによ
り、医用画像の信号に対して視野角補正が施される。
【0037】
視野角補正部107の処理フローの一例を図10に示す。
まず、補正目標決定部301は、表示情報取得部102から表示する各医用画像の「画像内容」を取得する。また、補正目標決定部301は、視聴角度計算部106から表示する各医用画像の第2視聴角度を取得する。そして、補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の「画像内容」から、該医用画像の目標値を決定する(S1001,S1002)。
次に、補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の目標値と第2視聴角度を、補正テーブル識別情報として補正処理実行部302へ出力する(S1003)。
【0038】
例えば、補正目標決定部301は、不図示のメモリに予め記憶されている、モダリティと目標値が対応づけられたテーブルを取得する。このテーブルの例を図11に示す。図11の例では、CTに対してガンマ1(DICOMガンマ)が対応付けられている。これは、CTの画像の輝度はDICOMガンマに従った輝度である必要があるためである。ES(内視鏡)に対しては、ガンマ2(ガンマ2.2)及び色温度1が対応付けられている。これは、ESの画像はカラーの動画であるためである。
そして、補正目標決定部301は、表示情報取得部102から、「画像内容」として、医用画像1がCTの画像であり、医用画像2がESの画像であることを示す情報を取得したとする。また、補正目標決定部301は、視聴角度計算部106から、医用画像1の第2視聴角度として角度Bが、医用画像2の第2視聴角度として角度Aが取得されたとする。この場合、補正目標決定部301は、医用画像1の補正テーブル識別情報として、角度Bとガンマ1を出力し、医用画像2の補正テーブル識別情報として、角度A、ガンマ2、及び、色温度1を出力する。
【0039】
S1003の次に、補正処理実行部302は、補正目標決定部301から出力された補正テーブル識別情報をもとに、入力された画像信号に対して視野角補正を施す必要があるか否かを判断する(S1004)。補正処理実行部302は、少なくとも1つの補正テーブル識別情報に目標値の情報が含まれている場合に、視野角補正を施す必要があると判断する。そして、それ以外の場合に、視野角補正を施す必要がないと判断する。
視野角補正を施す必要があると判断された場合には(S1004:YES)、S1005へ処理が進められる。視野角補正を施す必要がないと判断された場合には(S1004:NO)、補正処理実行部302は、入力された画像信号を、視野角補正を施さずに表示部108に出力する。
【0040】
S1005では、補正処理実行部302は、補正目標決定部301から取得した補正テーブル識別情報に従って、補正テーブル記憶部105から補正テーブルを取得する。そして、補正処理実行部302は、取得した補正テーブルを用いて、入力された画像信号に対して視野角補正を施し、該視野角補正が施された画像信号を表示部108に出力する。
【0041】
例えば、医用画像1の補正テーブル識別情報が角度Bとガンマ1であり、医用画像2の補正テーブル識別情報が角度A、ガンマ2、及び、色温度1であった場合には、S1004で画像信号に対して視野角補正をする必要があると判断される。そして、補正処理実行部302は、角度Bとガンマ1に対応する補正テーブルを取得し、該補正テーブルを用いて、入力された画像信号のうち医用画像1の信号に視野角補正(輝度補正部303による輝度特性補正)を施す。また、補正処理実行部302は、角度Aとガンマ2に対応する補正テーブルと、角度Aと色温度1に対応する補正テーブルを取得し、それらの補正テーブルを用いて、入力された画像信号のうち医用画像2の信号に視野角補正を施す。具体的には、角度Aとガンマ2に対応する補正テーブルを用いて、医用画像2に、輝度補正部30
3による輝度特性補正が施され、角度Aと色温度1に対応する補正テーブルを用いて、医用画像2に、色補正部304による色特性補正が施される。なお、補正テーブル識別情報に目標値の情報が含まれていない医用画像の信号に対しては、視野角補正は施されない。
【0042】
表示部108は、補正処理実行部302から出力された画像信号に基づく画像を表示する表示パネルである。
【0043】
以上述べたように、本実施例によれば、第2視聴角度と目標値の組み合わせ毎に補正テーブルが用意されている。そして、入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、その画像の目標値と第2視聴角度に対応する補正テーブルを用いて、その画像の信号に視野角補正が施される。その結果、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された(並べられた)合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができ、誤診を防止することができる。
【0044】
なお、視野角補正において、医用画像の中心を基準とし、該中心からの距離に応じて補正量を変化させることで、補正精度を上げることができる。
以下、一例を説明する。
まず、視聴角度計算部106が、医用画像毎に、第2視聴角度として、2つの角度(第1の角度と第2の角度)を算出する。第1の角度は、医用画像の表示領域の中心とユーザの位置とを結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。第2の角度は、画像の表示領域の端とユーザの位置とを結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。ここでは、図12に示すように、第1の角度が角度A、第2の角度が角度Bであったとする。
そして、視野角補正部107が、医用画像毎に、目標値と第1の角度とに対応する第1の補正テーブル、および、目標値と第2の角度とに対応する第2の補正テーブルを補正テーブル記憶部105から取得する。角度のみに注目すると、図12の例では、角度Aに対応する補正テーブルと角度Bに対応する補正テーブルが取得される。
次に、視野角補正部107が、医用画像毎に、第1の補正テーブルと第2の補正テーブルを用いて、第1の補正テーブルに応じた補正量(第1補正量)、及び、第2の補正テーブルに応じた補正量(第2補正量)を算出する。
そして、視野角補正部107が、医用画像毎に、その医用画像の表示領域の中心から端にかけて、視野角補正による補正量が第1補正量から第2補正量となるように、該医用画像の信号に視野角補正を施す。例えば、視野角補正部107は、医用画像の表示領域の中心から端にかけて、視野角補正による補正量が第1補正量から第2補正量へ線形的に変化するように、該医用画像の信号に視野角補正を施す。
これにより、医用画像全体に対して同じ補正テーブルを用いる場合よりも、精度よい視野角補正を行うことができる。特に、医用画像のサイズが大きい場合に、上記精度の向上は顕著となる。
なお、図12の例では、画像の表示領域の右端に対するユーザの視聴角度と、左端に対するユーザの視聴角度とが同じ(角度B)の場合を例示したが、それらの角度は互いに異なっていてもよい。その場合には、画像の表示領域の右端に対するユーザの視聴角度と、左端に対するユーザの視聴角度とを、それぞれ、第2の角度とすればよい。
なお、図12の例では、第2の角度が医用画像の水平方向の端に対するユーザの視聴角度であるが、第2の角度は医用画像の垂直方向の端に対するユーザの視聴角度であってもよい。医用画像の垂直方向の端に対するユーザの視聴角度と医用画像の水平方向の端に対するユーザの視聴角度の両方が第2の角度とされてもよい。
【0045】
なお、補正テーブル識別情報に含まれる第2視聴角度に対応する補正テーブルが補正テーブル記憶部105に予め記憶されていないことがある。その場合には、補正テーブル記憶部105に記憶されている複数の補正テーブルを用いて、補間により、補正テーブル識
別情報に含まれる第2視聴角度に対応する補正テーブルを算出すればよい。また、簡易的に、補正テーブル記憶部105に記憶されている複数の補正テーブルのうち、補正テーブル識別情報に含まれる第2視聴角度に最も近い角度に対応する補正テーブルを用いて視野角補正が行われてもよい。
【0046】
なお、本実施例では、表示する画像が医用画像である場合について説明したが、表示する画像は医用画像に限らない。例えば、商品の写真、風景の写真、イラストなどであってもよい。どのような画像であってもよい。
【0047】
<実施例2>
本発明の実施例2に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。なお、以下では、実施例1と異なる点についてのみ説明する。
実施例1では、ハンギングプロトコル情報が、ワークステーション101から表示情報取得部102へ出力されていた。実施例2では、ワークステーション101から表示情報取得部102へ出力する情報が、ワークステーション101にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成される。
なお、ハンギングプロトコル情報とビューア及びウィンドウマネージャにより生成される情報との両方を用いてもよい。例えば、表示情報取得部102へ出力する情報の一部がハンギングプロトコル情報に含まれる情報であり、残りがビューア及びウィンドウマネージャにより生成される情報であってもよい。
ウィンドウマネージャは、画像表示装置に出力する画像信号に含まれる画像の座標を全て管理する機能である。そのため、ハンギングプロトコルでは定義できない画像に関する情報(表示領域や目標値の情報)を生成し、出力することができる。
例えば、電子カルテ表示時に、各種モダリティ画像を表示する場合がある。電子カルテに関する情報はハンギングプロトコルでは定義されない。本実施例によれば、ビューア及びウィンドウマネージャにより、電子カルテの「表示領域」と「画像内容」を生成し、出力することができる。その結果、電子カルテに対してもユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができる。
【0048】
以上述べたように、本実施例によれば、画像表示装置に画像信号を出力する外部機器にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成された情報が、表示情報取得部102へ出力される。それにより、ハンギングプロトコルでは「表示領域」や「画像内容」が定義できない画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることが可能となり、汎用性が高めることができる。
【0049】
<実施例3>
本発明の実施例3に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。なお、以下では、実施例1,2と異なる点についてのみ説明する。
本実施例では、センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、視野角補正部107は、入力された画像信号に視野角補正を施さない。
本実施例によれば、複数のユーザが画像表示装置の画面を見ている場合に、ある特定のユーザに対してのみ最適な視野角補正が実行されることを防止することができる。
なお、センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、第2の視聴角度が0度に対応する補正テーブル、または、各ユーザの第2の視聴角度の平均角度に対応する補正テーブルを用いた視野角補正を行ってもよい。そのような構成であっても、上記効果に順じた効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 医用画像表示装置
102 表示情報取得部
103 センシング部
105 補正テーブル記憶部
106 視聴角度計算部
107 視野角補正部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の現場において、モニタ(画像表示装置)の数、画面サイズ、画面に表示する画像のレイアウトなどは、病院毎、病院の部屋毎、または、読影医毎に異なる。これに対し、ハンギングプロトコルの規格がDICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)委員会から提案されている。ハンギングプロトコルとは、読影医の好みに応じて
いったん画像配置(ハンギング)を設定すれば、以後、同様の画像配置を自動的に行うというものである。これにより、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication Systems)において、個別の読影医の好みに合わせた画像表示をするこ
とが可能となり、検査画像の迅速な診断が可能となる。
【0003】
ところで、液晶モニタなどの画像表示装置では、ユーザと画面の相対的な位置関係によって、表示された画像の見え方(ユーザに知覚される色、輝度等)の視野角による影響が異なる。即ち、画像表示装置の位置が固定の場合には、ユーザの視聴位置によって表示された画像の見え方が異なる。また近年、モニタの大画面化により上記視野角による影響が出やすくなっている。診断用機器(モダリティ)で撮影された医用画像の読影においては、大画面のモニタ、もしくは複数の画面を1つの仮想的な画面とする複数の画像表示装置を使用することが多い。また、上記読影用のモニタには、表示される医用画像の見え方が視野角による影響を受けて変化すると、誤診につながる危険性があるため、極めて高い品質(視聴位置によって医用画像の見え方が変化しないこと)が求められる。
【0004】
従来、モニタの画面の中心(もしくはセンサ)とユーザの位置関係(角度)を取得し、その位置関係に応じた視野角補正(上記見え方の変化を抑制する画像処理)を画面全体に対して行っていた。しかし、大画面モニタでは、画面の中心と端ではユーザとの位置関係(角度)が大きく異なるため、視野角補正が不十分になるという課題があった。
これに対し、画面の領域を複数に分割して得られるブロック毎に、視野角補正を行う技術が提案されている。そのような技術は、例えば、特許文献1に開示されている。具体的には、特許文献1に開示の技術では、ブロック毎に、そのブロックに表示される画像信号の輝度ヒストグラムが算出される。そして、ブロック毎の輝度ヒストグラムを用いて、ブロック毎に視野角補正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−117579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された(並べられた)合成画像を表示する場合に、1つの目標値に基づいて視野角補正が行われる。そのため、画像(合成画像に含まれる画像)によっては、目標値と異なる輝度や色を目標値として視野角補正が行われ、ユーザに知覚される輝度や色が目標値から大きくずれてしまう。例えば、輝度の目標値がDICOMガンマに則った輝度とガンマ2.2に則った輝度である2つの画像を表示する場合に、ガンマ2.2に則った輝度を目標値として視野角補正が行われる。その場合、目標値がDICOMガンマに則った輝度である画像の、ユーザに知覚される輝度が、DICOMガンマに則った輝度でなく
なってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得手段と、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、
前記角度と前記目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理手段と、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理手段は、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする。
【0009】
本発明の画像表示装置の制御方法は、
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得ステップと、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得ステップで取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出ステップと、
記憶部に記憶された前記角度と前記目標値の組み合わせ毎の補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理ステップと、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理ステップでは、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得ステップで取得された目標情報で表される目標値と、前記算出ステップで算出された角度とに対応する補正テーブルが前記記憶部から取得され、
画像毎に、前記記憶部から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理が施される
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施例に係る画像表示システムの機能構成の一例
【図2】「表示領域」の一例
【図3】視野角補正部の機能構成の詳細の一例
【図4】センシング部の処理概要の一例
【図5】センシング部の処理フローの一例
【図6】第1視聴角度の概要の一例
【図7】補正テーブルの概要の一例
【図8】視聴角度計算部の処理フローの一例
【図9】視聴角度計算部の処理概要の一例
【図10】視野角補正部の処理フローの一例
【図11】モダリティと目標値が対応づけられたテーブルの一例
【図12】視野角補正において補正量を変化させる場合の処理概要の一例
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施例に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
<実施例1>
本発明の実施例1に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。本実施例では、画像表示装置が医用画像表示装置である場合の例について説明する。
図1は、実施例1に係る画像表示システムの機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例に係る画像表示システムは、ワークステーション101と医用画像表示装置100を有する。
【0013】
ワークステーション101は、医用画像表示装置100に画像信号を出力する外部機器である。
ワークステーション101は、(図示しない)PACSサーバから医用画像データを取得する。
ワークステーション101には、医用画像データに基づく画像(医用画像)を医用画像表示装置100に表示するためのビューア(ソフトウェア)がインストールされている。
ワークステーション101は、医用画像を含む画像信号を医用画像表示装置100に送信する。例えば、ワークステーション101は、複数の医用画像が合成された画像信号(例えば、同時に表示される複数の医用画像を含む画像信号)を医用画像表示装置100に送信する。
ワークステーション101は、医用画像表示装置100の表示情報取得部102からの要求に応じて、ハンギングプロトコル情報を送信する。なお、ワークステーション101は、表示情報取得部102からの要求に応じてハンギングプロトコル情報を送信するのではなく、上記画像信号を送信する際に自発的にハンギングプロトコル情報を送信してもよい。
【0014】
ハンギングプロトコル情報は、「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表
示領域」、「画像内容」などの情報を含む。
【0015】
「モニタ数」は、ワークステーション101から出力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の数であり、画像が1つの画像表示装置に表示されるか、複数の画面を1つの仮想的な画面とする複数の画像表示装置に表示されるかを示す。本実施例では、「モニタ数」は1とする(画像が1つの医用画像表示装置100に表示されるものとする)。
【0016】
「画面サイズ」は、画面のサイズ(「モニタ数」が2以上の場合、すなわち画像が複数の画像表示装置に表示される場合には、各画像表示装置の画面のサイズまたは仮想的な画面のサイズ)をインチ単位で表したものである。「ピクセル数」は、画面内の画素数(「モニタ数」が2以上の場合には、各画像表示装置の画面内の画素数または仮想的な画面内の画素数)である。なお、「画面サイズ」や「ピクセル数」は、ハンギングプロトコル情報に含まれているのではなく、画像表示装置内に予め記憶されていてもよい。
【0017】
「表示領域」は、医用画像表示装置100へ送信する画像信号に含まれる医用画像の表示領域(医用画像が表示される、医用画像表示装置100の画面の領域)を表す領域情報である。画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号の場合には、「表示領域」は、各医用画像の表示領域を表す。「表示領域」は、例えば、医用画像の表示領域の始点と終点の位置を、画面の最も左下の位置を原点として表現したものである。図2(a),(b)は、水平方向3072画素×垂直方向2560画素の画面に、水平方向1536画素×垂直方向1280画素の医用画像が、医用画像の最も左上の位置が画面の最も左上の位置となるように表示される場合の「表示領域」の一例を示す図である。具体的には、図2(a)は、「表示領域」を、医用画像の始点と終点の位置を、絶対値(最も左下の位置座標を(0(水平方向),0(垂直方向))、最も右上の位置座標を(3072,2560)とした場合の値)で表現した場合の例である。図2(b)は、「表示領域」を、医用画像の始点と終点の位置を、正規化値(最も左下の位置座標を(0,0)、最も右上の位置座標を(1,1)とした場合の値)で表現した場合の例である。「モニタ数」が2以上の場合には、正規化値は、例えば、仮想的な画面の最も左下の位置座標を(0,0)、最も右上の位置座標を(1,1)とした場合の値となる。また、図2(a),(b)は、医用画像の最も左上の位置を始点、最も右下の位置を終点とした場合の例である。図2(a)の例では、「表示領域」は「始点(0,2560)、終点(1536,1280)」となる。図2(b)の例では、「表示領域」は「始点(0.0,1.0)、終点(0.5,0.5)」となる。
【0018】
「画像内容」は、医用画像表示装置100へ送信する画像信号に含まれる医用画像の、ユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報である。画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号の場合には、「画像内容」は、各医用画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す。本実施例では、「画像内容」は、医用画像の生成に用いたモダリティの種類(CR(Computed Radiography)、CT(Co
mputed Tomography)、MRI(Magnetic Resonance
Imaging system)、心電図、ES(Endoscope:内視鏡)など)の情報である。なお、「画像内容」は、コンテンツの種類(DICOM準拠画像、通常画像、画像以外のアプリケーション(例:電子カルテ)など)の情報であってもよい。
【0019】
医用画像表示装置100は、入力された画像信号に基づく画像を表示する。
医用画像表示装置100は、表示情報取得部102、センシング部103、前処理部104、補正テーブル記憶部105、視聴角度計算部106、視野角補正部107、表示部108などを有する。
【0020】
表示情報取得部102は、ワークステーション101からハンギングプロトコル情報を取得する。例えば、表示情報取得部102は、ワークステーション101から医用画像表示装置100へ画像信号が入力されたことをトリガとして、ワークステーション101にハンギングプロトコル情報の送信を要求する。そして、該要求に応じて送信されたハンギングプロトコル情報を取得する。そして、表示情報取得部102は、ハンギングプロトコル情報に含まれる情報のうち、「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表示領域」を視聴角度計算部106へ送信する。また、表示情報取得部102は、ハンギングプロトコル情報に含まれる情報のうち、「画像内容」を視野角補正部107へ送信する。
【0021】
センシング部103と視聴角度計算部106により、表示情報取得部102で取得された「表示領域」と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、医用画像に対するユーザの視聴角度(第2視聴角度)が算出される。第2視聴角度は、医用画像の表示位置(例えば、表示領域の中心位置)とユーザの位置を結ぶ線と、医用画像表示装置100の画面に垂直な線との間の角度である。入力された画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号である場合には、医用画像毎に、第2視聴角度が算出される。
【0022】
センシング部103の処理概要の一例を図4、処理フローの一例を図5に示す。センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像(入力された画像信号に含まれる医用画像)を表示しているときに、図5の処理を繰り返し行う。例えば、センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像を表示しているときに、所定時間(5秒,10秒,30秒など)おきに図5の処理を繰り返し行う。なお、センシング部103は、医用画像表示装置100が医用画像を表示するときに、図5の処理を1度だけ行ってもよい。
【0023】
まず、センシング部103は、医用画像表示装置100のユーザの位置を検出するセンサの検出結果から、医用画像表示装置100のユーザがいるか否かを判断する(図4の(1)、図5のS501)。なお、センサは、医用画像表示装置100に設けられていてもよいし、医用画像表示装置100とは別体の装置であってもよい。センサとしては、種々のセンサが使用可能である。例えば、センサとして、カメラ等を用いた画像認識により人物を検出するセンサを用いることができる。
【0024】
医用画像表示装置100のユーザがいないと判断した場合には(S501:NO)、センシング部103は処理を終了する。
医用画像表示装置100のユーザがいると判断した場合(S501:YES)には、センシング部103は、センサとユーザの位置関係を算出する(図4の(2)、図5のS502)。例えば、センシング部103は、センサとユーザの位置関係として、センサとユーザの間の距離、及び、センサの位置とユーザの位置を結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度を算出する。
【0025】
S502の次に、センシング部103は、センサとユーザの位置関係から、画面に対するユーザの視聴角度(第1視聴角度)を算出する(図4の(3)、図5のS503)。第1視聴角度は、画面の中心位置とユーザの位置を結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。本実施例では、第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度が算出される。図6に第1視聴角度の概要図を示す。図6は表示部108を真上から見た図である。X、Y、Zはユーザの位置を示す。ユーザの位置がX(画面の法線上)である場合、第1視聴角度は0度となる。ユーザの位置がYである場合、第1視聴角度は15度となる。ユーザの位置がZである場合、第1視聴角度は30度となる。
そして、センシング部103は、S503で算出した第1視聴角度を視聴角度計算部106へ送信する(S504)。
【0026】
なお、第1視聴角度は、例えば、三角測量により算出されてもよいし、センサとユーザ
の位置関係と所定の関数(テーブル)を用いて算出されてもよい。
なお、第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度ではなく、画面の垂直方向に関する角度が算出されてもよい。第1視聴角度として、画面の水平方向に関する角度と、画面の垂直方向に関する角度との両方が算出されてもよい。第1視聴角度として、三次元空間内における角度が算出されてもよい。
【0027】
視聴角度計算部106の処理フローの一例を図8に示す。
まず、視聴角度計算部106は、センシング部103から第1視聴角度を取得する。また、視聴角度計算部106は、表示情報取得部102から「モニタ数」、「画面サイズ」、「ピクセル数」、「表示領域」を取得する。そして、視聴角度計算部106は、上記取得した情報から、医用画像(入力された画像信号に含まれる医用画像)毎に、その医用画像に対するユーザの視聴角度(第2視聴角度)を算出する(S801,S802)。図9の例では、医用画像1に対するユーザの視聴角度と医用画像2に対するユーザの視聴角度がそれぞれ算出される。
【0028】
視聴角度計算部106は、例えば、医用画像の画面上のサイズをcmやインチなどの長さの単位で算出し、その算出結果を用いて第2視聴角度を算出する。
例えば、「モニタ数」が1、「画面サイズ」が24インチ、「ピクセル数」が1920×1080、「表示領域」(正規化値)が(0.0,1.0),(0.5,0.5)の場合には、以下のように医用画像のサイズが算出される。「ピクセル数」から画面のアスペクト比が16:9であると判断される。1インチを2.54cmとした場合、上記アスペクト比と「画面サイズ」から、画面の垂直方向のサイズが29.9cm、水平方向のサイズが53cmと算出される。「表示領域」から、医用画像の最も左上の位置と画面の最も左上の位置が同じであると判断され、上記垂直方向及び水平方向のサイズと「表示領域」とから、医用画像の水平方向のサイズが14.9cm、垂直方向のサイズが26.5cmであると算出される。
【0029】
また、「モニタ数」が4(縦2×横2)、「画面サイズ」(各画像表示装置の画面のサイズ)が24インチ、「ピクセル数」(各画像表示装置の画面内の画素数)が1920×1080、「表示領域」(正規化値)が(0.0,1.0),(0.5,0.5)の場合には、以下のように医用画像のサイズが算出される。「モニタ数」から、医用画像が2×2の4つの画面からなる1つの仮想的な画面に表示されると判断される。「ピクセル数」から仮想的な画面のアスペクト比が16:9であると判断される。1インチを2.54cmとした場合、上記アスペクト比と「画面サイズ」から、仮想的な画面の垂直方向のサイズが59.8cm、水平方向のサイズが106cmと算出される。「表示領域」から、医用画像の最も左上の位置と画面の最も左上の位置が同じであると判断され、上記垂直方向及び水平方向のサイズと「表示領域」とから、医用画像の水平方向のサイズが25.8cm、垂直方向のサイズが53cmであると算出される。
【0030】
視聴角度計算部106は、算出した医用画像毎の第2視聴角度を視野角補正部107へ出力する(S803)。図9の例では、医用画像1に対するユーザの視聴角度として角度Bが出力され、医用画像2に対するユーザの視聴角度として角度Aが出力される。
なお、第2視聴角度は、例えば、三角測量により算出されてもよいし、第1視聴角度、医用画像の表示位置、及び、所定の関数(テーブル)を用いて算出されてもよい。
なお、第2視聴角度として、画面の水平方向に関する角度、画面の垂直方向に関する角度、または、それらの両方が算出されてもよい。第2視聴角度として、三次元空間内における角度が算出されてもよい。
なお、本実施例では、第1視聴角度と医用画像の表示位置から第2視聴角度を算出する構成としたが、第1視聴角度を算出せずに、センサで検出されたユーザの位置と医用画像の表示位置から第2視聴角度が算出されてもよい。
【0031】
前処理部104は、ワークステーション101から入力された画像信号に対し表示に必要な前処理を施す。前処理は、例えば、入力画像信号のフォーマット検出、ノイズ除去、拡大縮小処理などである。なお、前処理部104は、視野角補正(ユーザと画面の相対的な位置関係の変化による画像の見え方の変化を抑制する画像処理)に関連する画像処理は行わない。
【0032】
補正テーブル記憶部105には、第2視聴角度と目標値(ユーザに知覚される輝度または色の目標値)の組み合わせ毎に、補正テーブルが予め記憶されている。例えば、補正テーブル記憶部105は、角度Aと目標値D1に対応する補正テーブル、角度Aと目標値D2に対応する補正テーブル、角度Aと目標値D3に対応する補正テーブルなどを記憶する。また、補正テーブル記憶部105は、角度Bと目標値D1に対応する補正テーブル、角度Bと目標値D2に対応する補正テーブル、角度Bと目標値D3に対応する補正テーブルなどを記憶する。目標値は、例えば、ガンマ値で定義される輝度や白色の色温度で定義される色などである。補正テーブルは、視野角補正で用いられる。具体的には、視野角補正では、使用する補正テーブルに対応する角度で画面に表示された医用画像をユーザが見たときに知覚する該医用画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、入力された画像信号が補正される。
【0033】
補正テーブル記憶部105に記憶されている補正テーブルの概要図を図7に示す。図7の例は、目標値が、ガンマ値または白色の色温度で定義される場合の例である。図7の例では、補正テーブル記憶部105は、第2視聴角度毎に、ガンマ1,ガンマ2・・・ガンマn(nは3以上の整数)、及び、色温度1,色温度2・・・色温度m(mは3以上の整数)のn+m個の補正テーブルを記憶している。ガンマ1の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される輝度をDICOMガンマに従った輝度とするためのデータである。ガンマ2の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される輝度をガンマ2.2に従った輝度とするためのデータである。色温度1の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される色を白色の色温度が6500K(ケルビン)の色とするためのデータである。色温度2の補正テーブルは、例えば、ユーザに知覚される色を白色の色温度が5000K(ケルビン)の色とするためのデータである。
【0034】
補正テーブル記憶部105は、視野角補正部107からの要求に応じて補正テーブルを出力する。
【0035】
視野角補正部107は、補正テーブル記憶部105に記憶された補正テーブルを用いて、入力された画像信号に視野角補正を施す。
本実施例では、視野角補正部107は、入力された画像信号が複数の医用画像が合成された画像信号である場合に、医用画像毎に、「画像内容」で表される目標値と、第2視聴角度とに対応する補正テーブルを補正テーブル記憶部105から取得する。そして、視野角補正部107は、医用画像毎に、補正テーブル記憶部105から取得された補正テーブルを用いて、その医用画像の信号に視野角補正を施す。
【0036】
図3は、視野角補正部107の機能構成の詳細の一例を示すブロック図である。視野角補正部107は、補正目標決定部301、補正処理実行部302などを有する。
補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の「画像内容」から、該医用画像の目標値を決定する。
補正処理実行部302は、表示する医用画像毎に、その医用画像の信号に対して視野角補正を施す。図3の例では、補正処理実行部302は、画像の輝度特性を補正する輝度補正部303と、画像の色特性を補正する色補正部304とを有する。輝度補正部303による輝度補正、色補正部304による色補正、または、それらの両方を実行することによ
り、医用画像の信号に対して視野角補正が施される。
【0037】
視野角補正部107の処理フローの一例を図10に示す。
まず、補正目標決定部301は、表示情報取得部102から表示する各医用画像の「画像内容」を取得する。また、補正目標決定部301は、視聴角度計算部106から表示する各医用画像の第2視聴角度を取得する。そして、補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の「画像内容」から、該医用画像の目標値を決定する(S1001,S1002)。
次に、補正目標決定部301は、表示する医用画像毎に、その医用画像の目標値と第2視聴角度を、補正テーブル識別情報として補正処理実行部302へ出力する(S1003)。
【0038】
例えば、補正目標決定部301は、不図示のメモリに予め記憶されている、モダリティと目標値が対応づけられたテーブルを取得する。このテーブルの例を図11に示す。図11の例では、CTに対してガンマ1(DICOMガンマ)が対応付けられている。これは、CTの画像の輝度はDICOMガンマに従った輝度である必要があるためである。ES(内視鏡)に対しては、ガンマ2(ガンマ2.2)及び色温度1が対応付けられている。これは、ESの画像はカラーの動画であるためである。
そして、補正目標決定部301は、表示情報取得部102から、「画像内容」として、医用画像1がCTの画像であり、医用画像2がESの画像であることを示す情報を取得したとする。また、補正目標決定部301は、視聴角度計算部106から、医用画像1の第2視聴角度として角度Bが、医用画像2の第2視聴角度として角度Aが取得されたとする。この場合、補正目標決定部301は、医用画像1の補正テーブル識別情報として、角度Bとガンマ1を出力し、医用画像2の補正テーブル識別情報として、角度A、ガンマ2、及び、色温度1を出力する。
【0039】
S1003の次に、補正処理実行部302は、補正目標決定部301から出力された補正テーブル識別情報をもとに、入力された画像信号に対して視野角補正を施す必要があるか否かを判断する(S1004)。補正処理実行部302は、少なくとも1つの補正テーブル識別情報に目標値の情報が含まれている場合に、視野角補正を施す必要があると判断する。そして、それ以外の場合に、視野角補正を施す必要がないと判断する。
視野角補正を施す必要があると判断された場合には(S1004:YES)、S1005へ処理が進められる。視野角補正を施す必要がないと判断された場合には(S1004:NO)、補正処理実行部302は、入力された画像信号を、視野角補正を施さずに表示部108に出力する。
【0040】
S1005では、補正処理実行部302は、補正目標決定部301から取得した補正テーブル識別情報に従って、補正テーブル記憶部105から補正テーブルを取得する。そして、補正処理実行部302は、取得した補正テーブルを用いて、入力された画像信号に対して視野角補正を施し、該視野角補正が施された画像信号を表示部108に出力する。
【0041】
例えば、医用画像1の補正テーブル識別情報が角度Bとガンマ1であり、医用画像2の補正テーブル識別情報が角度A、ガンマ2、及び、色温度1であった場合には、S1004で画像信号に対して視野角補正をする必要があると判断される。そして、補正処理実行部302は、角度Bとガンマ1に対応する補正テーブルを取得し、該補正テーブルを用いて、入力された画像信号のうち医用画像1の信号に視野角補正(輝度補正部303による輝度特性補正)を施す。また、補正処理実行部302は、角度Aとガンマ2に対応する補正テーブルと、角度Aと色温度1に対応する補正テーブルを取得し、それらの補正テーブルを用いて、入力された画像信号のうち医用画像2の信号に視野角補正を施す。具体的には、角度Aとガンマ2に対応する補正テーブルを用いて、医用画像2に、輝度補正部30
3による輝度特性補正が施され、角度Aと色温度1に対応する補正テーブルを用いて、医用画像2に、色補正部304による色特性補正が施される。なお、補正テーブル識別情報に目標値の情報が含まれていない医用画像の信号に対しては、視野角補正は施されない。
【0042】
表示部108は、補正処理実行部302から出力された画像信号に基づく画像を表示する表示パネルである。
【0043】
以上述べたように、本実施例によれば、第2視聴角度と目標値の組み合わせ毎に補正テーブルが用意されている。そして、入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、その画像の目標値と第2視聴角度に対応する補正テーブルを用いて、その画像の信号に視野角補正が施される。その結果、ユーザに知覚される輝度や色の目標値が互いに異なる複数の画像が合成された(並べられた)合成画像を表示する場合に、合成画像に含まれる各画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができ、誤診を防止することができる。
【0044】
なお、視野角補正において、医用画像の中心を基準とし、該中心からの距離に応じて補正量を変化させることで、補正精度を上げることができる。
以下、一例を説明する。
まず、視聴角度計算部106が、医用画像毎に、第2視聴角度として、2つの角度(第1の角度と第2の角度)を算出する。第1の角度は、医用画像の表示領域の中心とユーザの位置とを結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。第2の角度は、画像の表示領域の端とユーザの位置とを結ぶ線と、画面に垂直な線との間の角度である。ここでは、図12に示すように、第1の角度が角度A、第2の角度が角度Bであったとする。
そして、視野角補正部107が、医用画像毎に、目標値と第1の角度とに対応する第1の補正テーブル、および、目標値と第2の角度とに対応する第2の補正テーブルを補正テーブル記憶部105から取得する。角度のみに注目すると、図12の例では、角度Aに対応する補正テーブルと角度Bに対応する補正テーブルが取得される。
次に、視野角補正部107が、医用画像毎に、第1の補正テーブルと第2の補正テーブルを用いて、第1の補正テーブルに応じた補正量(第1補正量)、及び、第2の補正テーブルに応じた補正量(第2補正量)を算出する。
そして、視野角補正部107が、医用画像毎に、その医用画像の表示領域の中心から端にかけて、視野角補正による補正量が第1補正量から第2補正量となるように、該医用画像の信号に視野角補正を施す。例えば、視野角補正部107は、医用画像の表示領域の中心から端にかけて、視野角補正による補正量が第1補正量から第2補正量へ線形的に変化するように、該医用画像の信号に視野角補正を施す。
これにより、医用画像全体に対して同じ補正テーブルを用いる場合よりも、精度よい視野角補正を行うことができる。特に、医用画像のサイズが大きい場合に、上記精度の向上は顕著となる。
なお、図12の例では、画像の表示領域の右端に対するユーザの視聴角度と、左端に対するユーザの視聴角度とが同じ(角度B)の場合を例示したが、それらの角度は互いに異なっていてもよい。その場合には、画像の表示領域の右端に対するユーザの視聴角度と、左端に対するユーザの視聴角度とを、それぞれ、第2の角度とすればよい。
なお、図12の例では、第2の角度が医用画像の水平方向の端に対するユーザの視聴角度であるが、第2の角度は医用画像の垂直方向の端に対するユーザの視聴角度であってもよい。医用画像の垂直方向の端に対するユーザの視聴角度と医用画像の水平方向の端に対するユーザの視聴角度の両方が第2の角度とされてもよい。
【0045】
なお、補正テーブル識別情報に含まれる第2視聴角度に対応する補正テーブルが補正テーブル記憶部105に予め記憶されていないことがある。その場合には、補正テーブル記憶部105に記憶されている複数の補正テーブルを用いて、補間により、補正テーブル識
別情報に含まれる第2視聴角度に対応する補正テーブルを算出すればよい。また、簡易的に、補正テーブル記憶部105に記憶されている複数の補正テーブルのうち、補正テーブル識別情報に含まれる第2視聴角度に最も近い角度に対応する補正テーブルを用いて視野角補正が行われてもよい。
【0046】
なお、本実施例では、表示する画像が医用画像である場合について説明したが、表示する画像は医用画像に限らない。例えば、商品の写真、風景の写真、イラストなどであってもよい。どのような画像であってもよい。
【0047】
<実施例2>
本発明の実施例2に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。なお、以下では、実施例1と異なる点についてのみ説明する。
実施例1では、ハンギングプロトコル情報が、ワークステーション101から表示情報取得部102へ出力されていた。実施例2では、ワークステーション101から表示情報取得部102へ出力する情報が、ワークステーション101にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成される。
なお、ハンギングプロトコル情報とビューア及びウィンドウマネージャにより生成される情報との両方を用いてもよい。例えば、表示情報取得部102へ出力する情報の一部がハンギングプロトコル情報に含まれる情報であり、残りがビューア及びウィンドウマネージャにより生成される情報であってもよい。
ウィンドウマネージャは、画像表示装置に出力する画像信号に含まれる画像の座標を全て管理する機能である。そのため、ハンギングプロトコルでは定義できない画像に関する情報(表示領域や目標値の情報)を生成し、出力することができる。
例えば、電子カルテ表示時に、各種モダリティ画像を表示する場合がある。電子カルテに関する情報はハンギングプロトコルでは定義されない。本実施例によれば、ビューア及びウィンドウマネージャにより、電子カルテの「表示領域」と「画像内容」を生成し、出力することができる。その結果、電子カルテに対してもユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることができる。
【0048】
以上述べたように、本実施例によれば、画像表示装置に画像信号を出力する外部機器にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成された情報が、表示情報取得部102へ出力される。それにより、ハンギングプロトコルでは「表示領域」や「画像内容」が定義できない画像のユーザに知覚される輝度や色を目標値とすることが可能となり、汎用性が高めることができる。
【0049】
<実施例3>
本発明の実施例3に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。なお、以下では、実施例1,2と異なる点についてのみ説明する。
本実施例では、センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、視野角補正部107は、入力された画像信号に視野角補正を施さない。
本実施例によれば、複数のユーザが画像表示装置の画面を見ている場合に、ある特定のユーザに対してのみ最適な視野角補正が実行されることを防止することができる。
なお、センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、第2の視聴角度が0度に対応する補正テーブル、または、各ユーザの第2の視聴角度の平均角度に対応する補正テーブルを用いた視野角補正を行ってもよい。そのような構成であっても、上記効果に順じた効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
100 医用画像表示装置
102 表示情報取得部
103 センシング部
105 補正テーブル記憶部
106 視聴角度計算部
107 視野角補正部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得手段と、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、
前記角度と前記目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理手段と、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理手段は、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記算出手段は、画像毎に、その画像の表示領域の中心とユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面に垂直な線との間の角度である第1の角度、および、該画像の表示領域の端とユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面に垂直な線との間の角度である第2の角度を算出し、
前記画像処理手段は、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された前記第1の角度とに対応する第1の補正テーブル、および、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された前記第2の角度とに対応する第2の補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された前記第1の補正テーブルと前記第2の補正テーブルを用いて、その画像の表示領域の中心から端にかけて、前記画像処理による補正量が前記第1の補正テーブルに応じた補正量から前記第2の補正テーブルに応じた補正量となるように、該画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、前記画像処理手段は、前記入力された画像信号に前記画像処理を施さない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記算出手段で算出された角度に対応する補正テーブルが前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶されている複数の補正テーブルを用いて、補間により、前記算出手段で算出された角度に対応する補正テーブルを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記取得手段で取得される情報は、ハンギングプロトコルの情報を含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記取得手段で取得される情報は、前記画像表示装置に画像信号を出力する外部機器にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成された情報を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得ステップと、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得ステップで取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出ステップと、
記憶部に記憶された前記角度と前記目標値の組み合わせ毎の補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理ステップと、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理ステップでは、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得ステップで取得された目標情報で表される目標値と、前記算出ステップで算出された角度とに対応する補正テーブルが前記記憶部から取得され、
画像毎に、前記記憶部から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理が施される
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項1】
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得手段と、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得手段で取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出手段と、
前記角度と前記目標値の組み合わせ毎に、補正テーブルを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理手段と、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理手段は、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された角度とに対応する補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記算出手段は、画像毎に、その画像の表示領域の中心とユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面に垂直な線との間の角度である第1の角度、および、該画像の表示領域の端とユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面に垂直な線との間の角度である第2の角度を算出し、
前記画像処理手段は、
画像毎に、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された前記第1の角度とに対応する第1の補正テーブル、および、前記取得手段で取得された目標情報で表される目標値と、前記算出手段で算出された前記第2の角度とに対応する第2の補正テーブルを前記記憶手段から取得し、
画像毎に、前記記憶手段から取得された前記第1の補正テーブルと前記第2の補正テーブルを用いて、その画像の表示領域の中心から端にかけて、前記画像処理による補正量が前記第1の補正テーブルに応じた補正量から前記第2の補正テーブルに応じた補正量となるように、該画像の信号に前記画像処理を施す
ことを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記センサで複数のユーザの位置が検出された場合に、前記画像処理手段は、前記入力された画像信号に前記画像処理を施さない
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記算出手段で算出された角度に対応する補正テーブルが前記記憶手段に記憶されていない場合に、前記画像処理手段は、前記記憶手段に記憶されている複数の補正テーブルを用いて、補間により、前記算出手段で算出された角度に対応する補正テーブルを算出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記取得手段で取得される情報は、ハンギングプロトコルの情報を含む
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記取得手段で取得される情報は、前記画像表示装置に画像信号を出力する外部機器にインストールされているビューア及びウィンドウマネージャにより生成された情報を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
入力された画像信号に基づく画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、各画像の表示領域を表す領域情報、及び、各画像のユーザに知覚される輝度または色の目標値を表す目標情報、を含む情報を取得する取得ステップと、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、画像毎に、前記取得ステップで取得された領域情報と、ユーザの位置を検出するセンサの検出結果とを用いて、該画像の表示位置とユーザの位置を結ぶ線と、前記画像表示装置の画面に垂直な線との間の角度を算出する算出ステップと、
記憶部に記憶された前記角度と前記目標値の組み合わせ毎の補正テーブルを用いて、前記入力された画像信号に画像処理を施す画像処理ステップと、
を有し、
前記画像処理は、使用する補正テーブルに対応する角度で前記画面に表示された画像をユーザが見たときに知覚する該画像の輝度または色が、該補正テーブルに対応する目標値となるように、前記入力された画像信号を補正する処理であり、
前記画像処理ステップでは、
前記入力された画像信号が複数の画像が合成された画像信号である場合に、
画像毎に、前記取得ステップで取得された目標情報で表される目標値と、前記算出ステップで算出された角度とに対応する補正テーブルが前記記憶部から取得され、
画像毎に、前記記憶部から取得された補正テーブルを用いて、その画像の信号に前記画像処理が施される
ことを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−114189(P2013−114189A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262285(P2011−262285)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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