画像表示装置及びその制御方法
【課題】好適な表示を行うことのできる画像表示装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、画像表示装置の画面の中心位置から検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、画面の中心位置とユーザの位置とを結ぶ線と、画面の中心位置を通る、画面に垂直な線との間の角度Θから、検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、視野判定手段で所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを第1表示モードに設定し、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを第2表示モードに設定する設定手段と、を有する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、画像表示装置の画面の中心位置から検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、画面の中心位置とユーザの位置とを結ぶ線と、画面の中心位置を通る、画面に垂直な線との間の角度Θから、検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、視野判定手段で所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを第1表示モードに設定し、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを第2表示モードに設定する設定手段と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精細、高色域、広視野角の液晶パネルを搭載した画像表示装置が開発されている。その一例が、デジタルフォトフレームである。現在、家庭用のデジタルフォトフレームが普及しつつある。しかし、通信機能などの付加機能の追加や低価格化が進んでいることから、今後、デジタルフォトフレーム(画像表示装置)の用途が広がる可能性がある。例えば、商店での商品の宣伝など、商業的な用途で画像表示装置が使用される可能性がある。
【0003】
ところで、カラーアピアランスモデル(CIECAM02など)を用いたカラーマッチングでは、人間の目の色順応を考慮した補正を行うことにより、より正確なカラーマッチングを行なうことができる。このようなカラーマッチングにより、画像表示装置で、実物と見間違うほどの商品の画像を表示することが可能となる。そのため、画像表示装置の使い方として、商品の画像が表示された画像表示装置を、商店のショーケースに商品と並べて設置する使い方が好ましい。
【0004】
特許文献1には、カラーアピアランスモデルを用いたカラーマッチング技術が開示されている。具体的には、観察情報である順応領域の白色点の相対三刺激値Xw,Yw,Zwを精度良く求めることで、カラーマッチングの精度を高める方法が開示されている。
特許文献2には、カラーアピアランスモデルを用いることにより、写真や絵画に代えて静止画像を表示する場合において、低照度照明下でも、表示画面のみが過度に目立つことを改善し、周囲の雰囲気と調和させる画像表示方法が開示されている。以下、この様な画像表示(画像表示装置の周囲の雰囲気と調和した画像の表示)を、忠実再現表示と呼ぶ。
特許文献2に開示の技術では、忠実再現表示を行う場合、視聴者の視野範囲の観察情報が必要となる。
【0005】
図22は、人間の視野範囲の分類を示す模式図である。視野範囲(視野の領域)は、刺激領域(stimulus)901、隣接領域(Proximal Field)902、背景領域(Backbround)903、周囲領域(Surround)904から構成される。刺激領域901は、人間の視野で視野角2度の領域である。カラーアピアランスモデルでは、刺激領域901に対象物(色票)が与えられたときに、人間による見えを正しく予測できる。隣接領域902は、人間の視野で視野角2度から4度の領域である。背景領域903は、人間の視野で視野角2度から10度の領域である(以下、この領域を10度視野と呼ぶ)。周囲領域904は、背景領域903の外で、視野が及ぶ領域である。また、刺激領域901、隣接領域902、背景領域903、及び、周囲領域904を合わせた領域を順応領域900と呼ぶ。
【0006】
カラーアピアランスモデルに基づく観察情報には、下記の情報がある。
・順応領域900の平均輝度(cd/m2):LA
・順応領域900の白色点の相対三刺激値:Xw,Yw,Zw
・刺激領域901の相対三刺激値:X,Y,Z
・背景領域903の相対輝度:Yb
・周囲条件:Average/Dim/Dark
周囲条件は、周囲領域904における輝度が、順応領域900における白色点の輝度の20%以上の場合にAverage、20%未満の場合にDim、ほぼ0%の場合にDar
kとなる。
上記観察情報は、視聴者の視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が小さい場合は、画像表示装置の外の環境との依存性が高くなる。この場合において、正確に忠実再現表示を行うには、画像表示装置の外の環境から観察情報を算出する必要がある。
一方、上記観察情報は、視聴者の視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きい場合は、画像表示装置の表示内容や表示デバイス特性との依存性が高くなる。つまり、Xw,Yw,Zwは、画像表示装置の表示デバイスの白色点の値に近似できる。また、通常、順応領域900や背景領域903における白色点の輝度の20%がLAやYbに設定される。そのため、LAやYbは、視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が十分に大きい場合は、表示デバイス特性から求まる。もちろん、X,Y,Zも画像表示装置の表示内容から求まる。つまり、言い換えれば、この場合の観察情報は、画像表示装置の情報のみから容易に算出できる。
【0007】
ところで、ショーケース内の商品は、一般的に、離れている人間には認知しづらいため、なんらかのアピール展示をされることが多い(周囲と異なる照明を併設して商品を明るく見せる、など)。そのため、人間(客)がショーケースの十分近くにいる場合は、商店のショーケースに商品と並べて設置した画像表示装置で忠実再現表示を行い、人間が商品の質感などを確認できるようにすることが望ましい。一方、人間がショーケースから離れた場所におり、ショーケース内の商品に気づかない場合は、画像表示装置で何らかのアピールができる表示(アピール表示)を行うことが望ましい。
特許文献3には、画像表示装置と視聴者の間の距離から、視聴者の表示画面に対する水平画角を算出し、その算出結果に基づき、画面の表示輝度を制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−74557号公報
【特許文献2】特開2005−300639号公報
【特許文献3】特開2010−26045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように画像表示装置をショーケース内に設置するような場合には、視聴者は様々な位置から画像を視聴することが考えられる。しかしながら、特許文献3の技術では視聴者の表示画面に対する水平画角のみから画面の表示が制御されるため、忠実再現表示を行うのに好適な位置に立っているか、アピール表示を行うのに好適な位置に立っているかの判断ができない。そのため、特許文献3の技術を用いたとしても、好適な表示を行うことができないことがある。
【0010】
本発明は、好適な表示を行うことのできる画像表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像表示装置は、
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位
置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、
前記視野判定手段で前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定手段と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像表示装置の制御方法は、
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知ステップと、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知ステップで検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知ステップで検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定ステップと、
前記視野判定ステップで前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、好適な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る画像表示装置の用途の一例
【図2】実施例1,3に係る画像表示装置の構成図
【図3】距離D、角度Θ、角度Φの一例
【図4】画像処理部の構成図
【図5】忠実再現処理部の構成図
【図6】アピール処理部の構成図
【図7】画面の表示輝度の一例
【図8】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図9】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図10】距離D、角度Θ、表示モードの関係を示す図
【図11】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図12】距離D、角度Θ、表示モードの関係を示す図
【図13】判断式の設定処理のフローを示すフローチャート
【図14】実施例1に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図15】視聴者の位置と、選択される判断式及び有効範囲との関係を示す図
【図16】実施例2に係る画像表示装置の用途の一例
【図17】実施例2に係る画像表示システムの構成図
【図18】実施例2に係る画像表示装置の構成図
【図19】実施例2に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図20】実施例3に係る画像表示装置の用途の一例
【図21】実施例3に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図22】人間の視野範囲の分類を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
本実施例に係る画像表示装置は、例えば、デジタルフォトフレームやカラーマネージメントディスプレイ装置などである。以下、本実施例に係る画像表示装置が液晶表示装置である場合の例を説明する。但し、本実施例に係る画像表示装置は、液晶表示装置に限らない。本実施例に係る画像表示装置は、プラズマ表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。
また、本実施例に係る画像表示装置は、第1画像を表示する第1表示モードと、第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードのいずれかの表示モードで画像を表示する。第1画像は、人間の目の色順応が考慮された画像であり、第2画像は、人間に感知されやすい画像である。
【0016】
(実施例1)
図1は、実施例1に係る画像表示装置100の用途の一例を示す。図1の例では、画像表示装置100は、ショーケースの中に商品と並べて設置されており、実物の代替として商品の画像を表示する。
図2は、実施例1に係る画像表示装置100の構成図である。
画像表示装置100は、画像I/F部102、カードI/F部103、ネットワークI/F部104、デコード部105、切替部106、画像処理部107、出力部108、メモリ部109、制御部110、表示モード切替判定部111、位置認識センサ112、視環境センサ113、及び、リモコン受信部114を備える。各機能部は、内部バス101によって互いに接続されており、相互にデータを送受信することができる。また、各機能部は、制御部110によって制御される。
【0017】
画像I/F部102は、外部から画像データを入力する。画像データは、例えば、商品を撮影することにより得られた静止画像データなどである。具体的には、画像I/F部102は、DVI,Displayport,HDMI,SDIなどのストリーム形式の画像データを入力するI/Fである。画像I/F部102は、入力した画像データの形式を、ストリーム形式から内部で処理するための信号形式に変換し、該信号形式の画像データを後段の切替部106へ出力する。
【0018】
カードI/F部103は、記憶媒体(メモリカード)に記憶されたファイル形式の画像データを読み出し、後段のデコード部105へ出力する。また、メモリカード内に、後述の忠実再現処理に使用するLUT(Look−up Table)が記憶されている場合には、該LUTを読み出し、メモリ部109に保存する。メモリカードは、具体的には、SDカードやCFカードである。
なお、記憶媒体は、メモリカードに限らない。記憶媒体は、CD、DVD、BDなどの光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスクなどであってもよい。
なお、記憶媒体は、画像表示装置100に固定されていてもよいし、画像表示装置100から取り外し可能であってもよい。
【0019】
ネットワークI/F部104は、外部から画像データを入力する。ネットワークI/F部104は、ストリーム形式及びファイル形式の画像データを入力する。そして、ネットワークI/F部104は、入力した画像データが、デコードが必要な画像データである場合に、該画像データを後段のデコード部105に出力する。また、ネットワークI/F部104は、入力した画像データが、デコードが不要な画像データである場合に、該画像データを切替部106へ出力する。また、ネットワークI/F部104は、制御信号を受信し、後述の制御部110へ出力する。ネットワークI/Fは、具体的には、画像表示装置100をLANに接続するためのインタフェースである。
【0020】
なお、画像I/F部102、カードI/F部103、及び、ネットワークI/F部104が入力する画像データは、例えば、所定の撮影条件で撮影を行うことにより得られたデータである。具体的には、画像データは、特許文献2で言及されている「観賞画像参照データ」と同等のものであり、当該画像データは、特定の出力装置(ここでいう画像表示装置100)に対して適切にレンダリングされている。画像表示装置100は、後述の忠実再現処理の中でカラーアピアランス変換を行う際に、上記撮影条件から得られる観察情報を用いる。
観察情報は、下記の情報を含む。
・順応領域(視野が及ぶ領域)の平均輝度(cd/m2):LA
・順応領域の白色点の相対三刺激値:Xw,Yw,Zw
・刺激領域(人間の視野で視野角2度の領域)の相対三刺激値:X,Y,Z
・背景領域(人間の視野で視野角2度から10度の領域)の相対輝度:Yb
・周囲条件:Average/Dim/Dark
【0021】
デコード部105は、カードI/F部103から入力された画像データ(カードI/F部103を介してメモリカードから読み出された画像データ;符号化された画像データ)をデコードする。また、デコード部105は、ネットワークI/F部104を介して入力された画像データをデコードする。符号化されたデータとは、静止画像データであれば、Jpeg形式のデータなどである。デコードした画像データは、後段の切替部106へ出力される。
【0022】
切替部106は、制御部110の指示に基づいて、画像I/F部102からの画像データ、ネットワークI/F部104からの画像データ、及び、デコード部105からの画像データの内の1つを選択し、後段の画像処理部107へ出力する。
【0023】
画像処理部107は、切替部106より出力された画像データに対して、画像処理を施す。画像処理部107の中には、忠実再現処理部とアピール処理部がある。忠実再現処理部では、カラーアピアランス変換処理を含む色域補正が行われる。詳細は後述する。画像処理部107は、画像処理を画像データに施した後、該画像処理が施された画像データを出力部108へ出力する。
【0024】
出力部108は、画像処理部107によって画像処理が施された画像データに基づく画像を、不図示の表示パネルで表示する。表示パネルは液晶パネルとバックライトから成る。バックライトは、白色のLED、もしくは、RGBの3色のLEDと、種々の光学フィルタから成る。バックライトの光源は、LEDではなく蛍光管であってもよい。
【0025】
メモリ部109は、制御部110上で動作する制御プログラム、画像処理パラメータのLUTなどを記憶する。本実施例では、LUTは後述のICCプロファイルを含む。なお、メモリ部109は、LUTを複数記憶できる容量を有する。そのため、メモリ部109は、忠実再現処理用のLUTを複数記憶できる。また、メモリカード内に記憶されたLUTを、メモリ部109に追加することができる。メモリ部109は、不揮発型の記憶媒体であり、例えば、半導体メモリである。なお、メモリ部109は、半導体メモリに限らない。メモリ部109は、ハードディスクなどの磁気ディスクなどであってもよい。
【0026】
制御部110は、メモリ部109に保存されている制御プログラムを実行する。また、制御部110は、後述の位置認識センサ112から人間(視聴者)の位置情報を、視環境センサ113から画像表示装置100周辺の輝度及び色温度の情報を、リモコン受信部114から制御信号を受信する。そして、制御部110は、実行した制御プログラム、受信した視聴者の位置情報、画像表示装置100周辺の輝度及び色温度の情報、及び、制御信号に基づき、各構成部に指示を出す。
例えば、制御部110は、切替部106へ、選択する画像データを切り替える指示を出す。
また、制御部110は、画像処理部107へ、実行する画像処理を切り替える指示を出す。具体的には、制御部110は、内部に表示モード切替判定部111を有する。表示モードは、後述の忠実再現表示モード(第1表示モード)とアピール表示モード(第2表示モード)の2つの表示モードを含む。表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112や視環境センサ113から入力される情報に基づいて、2つのモードのいずれかを選択し、選択したモードに応じた画像処理を実行するよう画像処理部107へ指示する。忠実再現表示モードは、実物の色や質感が再現された表示(人間の目の色順応が考慮された表示;忠実再現表示)を行うモードである。アピール表示モードは、画像が表示されていること(商品の存在)を人間(視聴者)にアピールするモードであり、人間に感知されやすい表示(アピール表示)を行うモードである。
【0027】
位置認識センサ112は、例えば、複数の赤外線センサ、CCDセンサまたはCMOSセンサを用いた画像認識部などから構成される。位置認識センサ112は、人間(具体的には、画像表示装置に対するユーザの位置)を検知する。そして、位置認識センサ112は、距離D、角度Θ、及び角度Φを算出する(位置算出)。距離Dは、画像表示装置100の画面の中心位置から検知された人間の位置までの距離である。角度Θは、画面の中心位置と人間の位置とを結ぶ線と、画面の中心位置を通る、画面に垂直な線との間の角度である。角度Φは、画面と平行な面において、画面の中心位置を通る、画面に平行な1つの線である基準線と、画面の中心位置と検知された人間の位置とを結ぶ線との間の角度である。本実施例では、画面が長軸と短軸を有する矩形形状を有するものとし、画面の短軸方向に平行な線を基準線とする。図3(A),3(B)に、距離D、角度Θ、角度Φの一例を示す。
視環境センサ113は、画像表示装置100周辺(外部)の輝度及び色温度を検知し、その情報を制御部110に通知する。具体的には、視環境センサ113は、周期的に画像表示装置100周辺の輝度及び色温度を検知し、その情報として、RGB各色の色情報を生成し、制御部110に通知する。
【0028】
リモコン受信部114は、画像表示装置100とは別体のリモコンからの制御信号を受信し、該信号によって表される情報(ユーザ操作を表す情報)を制御部110に通知する。リモコンからの制御信号の伝送には、赤外線やBruetoothなどが使用される。制御情報は、例えば、電源のオン/オフ、画像データの入力切り替え(表示する画像の切り替え)、前述のLUTの切り替え、新たなLUTのメモリ部109への保存、メモリ部109に保存されているLUTの書き換え等を表す情報である。制御情報(ユーザ操作)に応じて、画像表示装置100またはリモコンの表示部にGUI(Graphical User Interface)画像が表示されてもよい。例えば、制御情報がメモリ部109に保存されているLUTをユーザが手動で書き換える操作を表す情報であった場合に、画像表示装置100またはリモコンの表示部に、LUTを書き換えるためのGUI画像が表示されてもよい。
なお、リモコンの形態はどのようなものであってもよい。例えば、リモコンは、押しボタン式のものであってもよいし、タッチパネル方式のものであってもよい。また、制御信号は、リモコンではなく画像表示装置100本体に付随するボタンを押下することで発生されてもよい。
【0029】
図4は、画像処理部107を詳細に示した構成図である。画像処理部107は、忠実再現処理部115、アピール処理部116及びスイッチ117を備える。スイッチ117は、忠実再現処理部115からの出力と、アピール処理部116からの出力を切り替えて、後段の出力部108へ出力する。スイッチ117は、制御部110の切替指示によって切り替わる。図4の例では、表示モードが忠実再現表示モードの場合に、スイッチ117は
、忠実再現処理部115からの出力を選択し、出力部108へ出力する。表示モードがアピール表示モードの場合に、スイッチ117は、アピール処理部116からの出力を選択し、出力部108へ出力する。
【0030】
ここで忠実再現処理部115の処理(忠実再現処理)について説明する。忠実再現処理は、入力された画像データから、第1画像のデータを生成する処理(入力された画像データを第1画像のデータに変換する処理)である。第1画像のデータは、現在の照明条件下で、画面輝度が過度に目立つことが改善され、周囲の状況と調和した画像データであり、商品の実際の色や質感を忠実に表現した画像データである。具体的には、忠実再現処理は、カラーアピアランス変換処理を行うことで実現される処理であり、特許文献2に記載されている処理と同等の処理である。
【0031】
図5は、忠実再現処理部115の構成の一例を示す図である。
忠実再現処理部115は、データ作成部118、順変換部119、逆変換部120、及びデータ作成部121を備える。更に、忠実再現処理部115は、画像データを処理するために、入力プロファイル122、観察情報123、観察情報124、及び、出力プロファイル125を使用する。これらの情報はメモリ部109の中に保存されている。
【0032】
データ作成部118は、入力プロファイル122をメモリ部109から読み込み、画像データのRGB値を、デバイス非依存のXYZ値へ変換する。入力プロファイル122は、入力デバイスに依存するデバイスプロファイルである。入力プロファイル122としては、例えばICCプロファイルが知られている。撮影条件が同一である限り、入力プロファイル122は固定値でよい。なお、本実施例では、入力プロファイル122は、LUTとして、メモリ部109に保存されている。
【0033】
順変換部119は、観察情報123をメモリ部109から読み込み、画像データのXYZ値を、カラーアピアランス空間であるJch値へ変換する。具体的には、この変換処理は、特許文献1で紹介されているように、観察情報123を用いて、色順応処理、錐体応答処理、心理値変換処理の一連の処理を行うことにより実現される。
【0034】
逆変換部120は、観察情報124をメモリ部109から読み込み、画像データのJch値をXYZ値へ変換する。具体的には、この変換処理は、特許文献1で紹介されているように、観察情報124を用いて、色順応処理、錐体応答処理、心理値変換処理の逆変換処理を行うことにより実現される。
【0035】
データ作成部121は、出力プロファイル125をメモリ部109から読み込み、画像データのXYZ値をRGB値へ変換する。出力プロファイル125は、画像表示装置100の表示デバイスに依存するデバイスプロファイルである。出力プロファイル125としては、例えばICCプロファイルが知られている。出力プロファイル125は固定値でよい。なお、本実施例では、出力プロファイル125は、LUTとして、メモリ部109に保存されている。
【0036】
なお、観察情報は、一般的に以下のように求める。
・LA:順応領域の白色輝度の20%を用いる(cd/m2)。
・Xw,Yw,Zw:画像表示装置100の表示画面の白色の三刺激値を用いる(cd/m2)。
・Yb:背景領域の白色輝度の20%を用いる(cd/m2)。
・周囲条件:周囲領域904における輝度が、順応領域における白色点の輝度の20%以上の場合にAverage、20%未満の場合にDim、ほぼ0%の場合にDarkとする。
【0037】
上記観察情報は、制御部110により、視環境センサ113から取得された周囲の輝度及び色温度の情報を用いて決定され、メモリ部109へ保存される。それにより、周囲の輝度及び色温度の情報が、観察情報に反映されるため、例えば、暗い照明条件下で、画面輝度が過度に目立つことを抑制し、表示する画像を周囲の状況と調和させることができる。
ところで、本実施例では、LAとして「順応領域の白色輝度の20%を用いる」ものとしている。ここで、人間(視聴者)の位置が画像表示装置100に十分近い場合、LAは、ある周囲の輝度及び色温度の条件下で一意に決まる画像表示装置100の表示画面の輝度と近似することができる。言い換えれば、人間の視野範囲である順応領域に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きい場合、LAは、ある周囲の輝度及び色温度の条件下で一意に決まる画像表示装置100の表示画面の輝度と近似することができる。このような近似を行えば、高精度に忠実再現処理を行うことができる。
そのため、ショーケース展示のケース(ショーケース内に商品の代わりに商品の画像を表示した表示装置を設置するケース)において、視聴者の順応領域に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きいことが望ましい。
視聴者の視野範囲を規定する値として、10度視野がある。本実施例では、忠実再現処理された画像を視聴者に見せる際の、最適な視野範囲を10度視野(視野角10度の範囲)とする。
【0038】
次に、アピール処理部116の処理(アピール処理)について説明する。アピール処理は、入力された画像データから第2画像のデータを生成する処理(入力された画像データを第2画像のデータに変換する処理)である。第2画像のデータは、第1画像のデータに比べてより強調された画像(輪郭が強調された画像、輝度や彩度が高められた画像)のデータであり、画像表示装置100から離れた人が適度に表示内容を認知できる画像のデータある。具体的には、アピール処理は、輪郭強調処理、高輝度化処理、高彩度化処理などの強調処理である。
【0039】
図6は、アピール処理部116の構成の一例を示す図である。
アピール処理部116は、輪郭強調部126、色調整部127、輝度調整部128を備える。
輪郭強調部127は、入力した画像データ内の画像輪郭を強調する。
色調整部127は、入力した画像データに対して、所定のオフセット分彩度を上げる。
輝度調整部128は、入力した画像データに対して、所定のオフセット分輝度を上げる。
【0040】
図7は、画面の表示輝度の一例を示す図である。図7は、人間(視聴者)が画面の正面にいる場合(Θ=0度の位置に人間がいる場合)の、距離Dに対する表示輝度の変化を示す。
詳細は後述するが、本実施例では、制御部110が、検知された人間が画面を見た場合の該人間の所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かを判定する(視野判定)。そして、制御部110は、所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定した場合に、表示モードを第1表示モードに設定し、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定した場合に、表示モードを第2表示モードに設定する。なお、上述したように、忠実再現処理された画像を視聴者に見せる際の最適な視野範囲は10度視野であるため、本実施例では、上記所定の視野角を10度とする。但し、所定の視野角は10度に限らない。所定の視野角は2度、4度、8度、14度、15度などであってもよい。
具体的には、制御部110は、距離Dが閾値以下(Dth以下)の場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定し、距離Dが閾値Dthより大きいの場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定する。
【0041】
従って、距離Dが閾値Dthより大きい場合には、アピール処理が施された画像が表示される。図7において、D>Dthのときに、D≦Dthのときよりも表示輝度が大きいのはこのため(輝度調整部128により輝度が高められているため)である。
なお、本実施例では、アピール処理部116は、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域が多いときのほうが、少ないときよりも強調処理の強調度合いを大きくする。例えば、図7に示すように、距離Dが閾値Dthより大きいほど、輝度が高められる(表示輝度が高くされる)。
また、本実施例では、アピール処理部116は、所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、強調処理の強調度合いを変化させる。具体的には、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の量に応じて、強調処理の強調度合いが変化される。例えば、図7に示すように、D≦Dthの関数とD>Dthの関数とがD=Dthにおいて繋がるように、輝度調整部128の処理が行われる。換言すれば、D=Dthにおいて、忠実再現処理の結果(忠実再現処理後の輝度)とアピール処理の結果(アピール処理後の輝度)とが同じとなるように輝度調整部128の処理が行われる。
これにより、視聴者が画像表示装置100から距離Dth付近にいるときに、表示画像の画素値の急激な変化を防止することができる。また、視聴者が画像表示装置100から離れるほどより強調された画像が表示されるため、視聴者に画像の表示をより強くアピールすることができる。
なお、図7のアピール処理は、一例であり、これに限定されるものでない。また、画像処理部107は、忠実再現処理部115やアピール処理部116以外にも、一般的な画像処理であるIP変換、拡大縮小、ノイズ除去、コントラスト補正、γ補正などを行う処理部を更に備えていてもよい。
【0042】
次に、閾値Dthの決定方法について説明する。
図8(A)は、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図である。図8(B)は、図((A)の視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図8(A),8(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の方向に画面が向くように設置されている(視聴者が画像表示装置100の画面の正面にいる)。即ち、図8(A),8(B)の例では、角度Θ=0度の位置に視聴者がいる。また、画像表示装置100の表示画面は、長軸方向のサイズがL1、短軸方向のサイズがL2の矩形状を有している。画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の短軸方向が垂直方向となるように設置されている(視聴者は、画面を見た場合に画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる)。
図8(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野の領域(10度視野領域)である。図8(B)の例では、10度視野領域は、画像表示装置100の表示画面内に収まっている。また、10度視野領域の縁と、画像表示装置100の表示画面の縁(画面の上辺及び下辺)とが一致している。視聴者が図8(B)の位置よりも画像表示装置100に近づくと、10度視野領域は表示画面内に収まらなくなるため、図8(B)のときの視聴者と画像表示装置100の距離Dxが、閾値Dthとなる。視聴者が画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる場合、距離Dxは、所定の視野角(10度)と、表示画面の短軸方向のサイズL2によって一意に決まる。
【0043】
ところで、ショーケース展示の場合、画像表示装置100は、視聴者に対して、常に正面を向くとは限らない。図9(A)は、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図である。図9(B)は、図9(A)の視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図9(A),9(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の上に画面が向くよう
に設置されている。即ち、図9(A),9(B)の例では、角度Θ=Θx(0<Θx≦90°)の位置に視聴者がいる。また、図9(A),9(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の短軸方向が垂直方向となるように設置されている。
なお、このときの視聴者と画像表示装置100の距離Dは、図8(A),8(B)のときと同じ距離Dxであるものとする。
図9(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。Θが0度から90度に変化していくにつれて、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL2’はL2から0へ変化する(小さくなる)。そのため、Θ>0度の場合、図9(B)に示すように、視聴者と画像表示装置100の距離DがDxであっても、10度視野領域は画面内に収まらなくなる。そこで、本実施例では、Θに応じて閾値Dthを変化させる。
【0044】
図10は、上述した内容を踏まえた、距離D、角度Θ、及び、実行する処理(設定する表示モード)の関係を示した図である。図10の横軸は距離Dであり、縦軸は角度Θである。図10中の関数は閾値Dthを決定するための関数である。図10に示すように、閾値Dthは、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定される。図10において、距離D、角度Θの組み合わせが斜線で示す領域内にあるときには、画像表示装置100は、忠実再現処理を行う(忠実再現表示モードで画像を表示する)。また、それ以外のときにはアピール処理を行う(アピール表示モードで画像を表示する)。以下、図10の関数を判断式1と呼ぶ。
【0045】
図11(A)は、視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図11(A)の例では、画像表示装置100は、視聴者の方向に画面が向くように設置されている。即ち、図11(A)の例では、角度Θ=0度の位置に視聴者がいる。このとき、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図は、図8(A)とほぼ同等になるが、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている点が異なる。
図11(A)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。図11(A)の例では、10度視野領域は、画像表示装置100の表示画面内に収まっている。また、10度視野領域の縁と、画像表示装置100の表示画面の縁(画面の左辺及び右辺)とが一致している。視聴者が図11(A)の位置よりも画像表示装置100に近づくと、10度視野領域は表示画面内に収まらなくなるため、図11(A)のときの視聴者と画像表示装置100の距離Dxが、閾値Dthとなる。視聴者が画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる場合、距離Dxは、所定の視野角(10度)と、表示画面の短軸方向のサイズL2によって一意に決まる。
【0046】
図11(B)は、視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図11(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の上に画面が向くように設置されている。即ち、図11(B)の例では、角度Θ=Θx(0<Θx≦90°)の位置に視聴者がいる。また、図11(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている。
なお、このときの視聴者と画像表示装置100の距離Dは、図11(B)のときと同じ距離Dxであるものとする。
図11(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。Θが0度から90度に変化していくにつれて、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL1’はL1から0へ変化する(小さくなる)。但し、L1>L2であるため、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL1’≧L2である限り、視聴者の10度視野範囲は、画像表示装置100の表示画面内に収まる。そのため、0度≦Θ≦(L1’=L2となる角度)の範囲では、閾値Dthとして距離Dxを用いることができる。
【0047】
図12は、画像表示装置100が視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている場合の、距離D、角度Θ、及び、実行する処理(設定する表示モード)の関係を示した図である。図12の横軸は距離Dであり、縦軸は角度Θである。図12中の関数は閾値Dthを決定するための関数である。図10と同様に、閾値Dthは、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定される。但し、上述したように、L1’≧L2である限り、視聴者の10度視野範囲は、画像表示装置100の表示画面内に収まるため、0度≦Θ≦(L1’=L2となる角度)の範囲では、距離Dxが閾値Dthとされる。図12において、距離D、角度Θの組み合わせが斜線で示す領域内にあるときには、画像表示装置100は、忠実再現処理を行う(忠実再現表示モードで画像を表示する)。また、それ以外のときにはアピール処理を行う(アピール表示モードで画像を表示する)。以下、図12の関数を判断式2と呼ぶ。
【0048】
図13は、画像表示装置100を使用する前に実施される設定処理のフローを示すフローチャートである。この処理フローは、例えば、工場出荷時に工場関係者が行う。
工場関係者は、まず視野範囲(所定の視野角)を決定し、それに基づいて判断式1及び判断式2を作成する(S200,S201)。
その後、その判断式1及び判断式2をメモリ部109に格納する(S202)。なお、判断式1及び判断式2は、制御プログラムの中に記載されてもよい。
【0049】
なお、図13の処理フローは、画像表示装置100のユーザが実行してもよい。例えば、画像表示装置100が、視野範囲や判断式の設定を行うためのGUI画像を表示し、ユーザは該GUI画像を操作して視野範囲や判断式を設定してもよい。以下、ユーザが上記設定を行う場合の処理の流れの一例について説明する。
まず、S200にて、画像表示装置100は、視野範囲を選択するためのGUI画像を表示する。上記GUI画像は、ユーザ操作(リモコン等の操作)に応じて表示されてもよいし、画像表示装置の初回起動時に表示されてもよい。そして、ユーザは、上記GUI画像を操作することにより、視野範囲を選択する。GUI画像は、例えば、2度、4度、10度、15度など複数の視野角を選択肢とする画像である。
次に、S201にて、制御部110は、S200での選択結果と画面サイズ(L1,L2)から、判断式1及び判断式2を作成し、メモリ部109へ格納する。
【0050】
図14は、制御部110(表示モード切替判定部111)による表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。
表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112からのセンサ情報を元に、画像表示装置100の周囲に視聴者がいるか判定する(S300)。視聴者がいる場合は(S300:YES)、表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112から位置情報を取得する(S301)。位置情報には、距離D、角度Θ、及び角度Φが含まれる。視聴者がいない場合は(S300:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S306)。具体的には、表示モード切替判定部111は、画像処理部107内のスイッチ117に対して、アピール処理部116の出力を選択するよう切替指示を行う。
【0051】
S301の次に、表示モード切替判定部111は、角度Φから、画面と平行な面において、視聴者が画面に対しどの方向にいるかを判定する(方向判定)。具体的には、視聴者が、画面を見た場合に画面の短軸方向が垂直方向となる位置(図8(B)の状態)にいるか、画面を見た場合に画面の長軸方向が垂直方向となる位置(図11(A)の状態)にいるか、が判別される。
そして、視聴者が画面に対しどの方向にいるかの判断結果に応じて、閾値Dthの決定に用いる関数(判断式)を切り替える(S302)。具体的には、表示モード切替判定部
111は、視聴者の位置が図8(B)の状態の場合には判断式1を選択し、図11(A)の状態の場合には判断式2を選択する。
ショーケース展示では、視聴者が画像表示装置100の斜め方向から近づいてくる場合がある。そこで、本実施例では、表示モード切替判定部111は、角度Φから、図15(A)の破線で区切られるどの領域内に視聴者がいるかを判断する。図15(A)は、画面と平行な面における、視聴者の位置と、選択される判断式との関係の一例を示す図である。そして、表示モード切替判定部111は、その判断結果から、視聴者がいる領域に対応する判断式を選択する。即ち、図15(A)の破線の方向(破線の方向を示す角度Φ)を閾値として、判断式が選択される。図15(A)の例では、表示モード切替判定部111は、画像表示装置100の画面の対角線とその延長線によって区切られる4つの領域内のどの領域内に視聴者がいるかに応じて、判断式を選択する。
【0052】
そして、表示モード切替判定部111は、角度Φから、視聴者が画面に対して所定の方向にいるか否かを判定する(S303)。
【0053】
ショーケース展示では、画面に対して所定の方向に店員が常駐している場合がある。そして、客である視聴者が、店員が常駐している側から画像表示装置に近づいてくることは少ない。また、画像表示装置100に表示された画像は、一般に、店員ではなく客に見せることを目的としている。そのため、店員が見る画像はどのような画像であってもよい(忠実再現表示の画像(第1画像)でもアピール表示の画像(第2画像)でもどちらでもよい)。
【0054】
そこで、本実施例では、表示モード切替判定部111は、視聴者が画面に対して上記所定の方向にいる(視聴者が画面に対して有効方向にいない)と判定した場合には(S303:NO)、該視聴者を位置認識センサ112で検知された人間から除外する。そして、S306へ処理が進められ、アピール表示モードが設定される。図15(B)は、画面と平行な面における、視聴者の位置、有効方向、及び無効方向(上記所定の方向)の関係の一例を示す図である。図15(B)の例では、画像表示装置100の画面の対角線とその延長線によって区切られる4つの領域のうちの1つが無効方向の領域として設定されている。視聴者の位置が無効方向の領域内である場合には、該視聴者は、店員である可能性が高いため、位置認識センサ112による検知結果から除外される。なお、有効方向や無効方向は、例えば、ユーザにより設定される。具体的には、ユーザは、画像表示装置100に表示されたGUI画像を操作することにより有効方向や無効方向を設定する。
【0055】
視聴者が画面に対して有効方向にいると判定した場合には(S303:YES)、表示モード切替判定部111は、S302で選択した判断式に従って、視聴者の所定の視野角の範囲が、画像表示装置100の表示画面内に収まっているか否か判定する(S304)。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっている場合は(S304:YES)、表示モード切替判定部111は、忠実再現表示モードを設定する(S305)。具体的には、表示モード切替判定部111は、画像処理部107内のスイッチ117に対して、忠実再現処理部115からの出力を選択するよう切替指示を行う。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっていない場合は(S304:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S306)。
S305またはS306の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S307)。そして、終了指示が無い場合には、再びS300に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0056】
以上述べたように、本実施例によれば、検知された人間の所定の視野角の範囲が画面内
に収まるか否かに応じて表示モードが切り替えられる。それにより、視聴者に対して好適な表示を行うことが可能となる。具体的には、視聴者が画面を見易い位置にいる場合には、第1表示モード(忠実再現表示モード)で表示が行われるため、視聴者に商品の質感が忠実に再現された画像を見せることができる。そして、視聴者が画面を見難い位置にいる場合には、第2表示モード(アピール表示モード)で表示が行われるため、商品の存在(画像の表示)を視聴者に感知され易くする(アピールする)ことができる。
なお、本実施例では、距離Dと、角度Θに依存して変化する閾値Dthとを比較して表示モードを決定する構成としたが、このような構成に限らない。例えば、距離Dと角度Θから得られる値と所定の閾値(固定値)とを比較して表示モードが決定されてもよい。
【0057】
なお、本実施例では、画面と平行な面において、検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定結果に応じて判断式を切り替える構成としたが、そのような判断式の切り替えは行わなくてもよい。但し、上記判断式の切り替えを行えば、1つの判断式を用いる場合よりも、所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かをより精度良く判定することが可能となる。例えば、上述した判断式1のみを用いると、画面の長軸方向が垂直方向となる位置に視聴者がいる場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まっているにもかかわらず、収まっていないと判定されることがある。検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定結果に応じて判断式を切り替えることにより、そのような誤判定を抑制することができる。
なお、本実施例では、角度Φから、検知された人間が画面に対しどの方向にいるかを判定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、検知された人間の、画面と平行な面における位置座標を算出し、その算出結果から上記判定を行ってもよい。
上記判断式の切り替えを行わない場合や検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定に角度Φを用いない場合には、角度Φは算出されなくてもよい。
【0058】
なお、本実施例では、検知された人間が画面に対し所定の方向にいる場合には、該人間が検知された人間から除外される構成としたが、そのような除外処理は行わなくてもよい。但し、上記除外処理を行えば、検知された人間から特定の人間(店員など)を除外することができ、より好適に表示モードを切り替えることが可能となる。
なお、本実施例では、検知される人間が1人である場合を例に説明したが、複数の人間が検知されている場合には、上記構成により、検知された複数の人間のうち所定の方向以外の方向にいる人間の所定の視野角の範囲から表示モードが決定される。
【0059】
なお、本実施例では、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域の量に応じて強調処理(アピール処理)の強調度合いを変化させる構成とした。また、所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域の量に応じて、強調処理の強調度合いを変化させる構成とした。しかし、このような構成でなくてもよい。例えば、強調処理の強調度合いは一定であってもよい。そのような構成であってもよい。アピール表示モードのときに、忠実再現表示モードのときよりも、人間に感知され易い画像を表示することができる。
なお、本実施例では、画像表示装置内での処理により第1画像と第2画像が生成されるものとしたが、そのような構成に限らない。第1画像と第2画像は外部から入力されてもよいし、予め画像表示装置内に記憶されていてもよい。
【0060】
(実施例2)
図16は、実施例2に係る画像表示装置の用途の一例を示す。図16の例では、複数の画像表示装置(画像表示装置200,200’)がショーケースの中に並べて設置されており、実物の代替として商品の画像を表示する。
図17は、実施例2に係る画像表示システムの構成図である。本実施例に係る画像表示
システムは、上述した複数の画像表示装置(画像表示装置200,200’)を有する。本実施例に係る画像表示装置200は、同じ機能を有する他の画像表示装置と接続可能である。上記画像表示システムにおいて、画像表示装置200は、ネットワークI/Fを介して、同じ機能を有する画像表示装置200’に接続されている。なお、図17では、画像表示装置200が画像表示装置200’に直接接続されているが、画像表示装置200は、ハブやルーターを介して画像表示装置200’に接続されてもよい。
図18は、実施例2に係る画像表示装置200の構成図である。
画像表示装置200は、画像I/F部202、カードI/F部203、ネットワークI/F部204、デコード部205、切替部206、画像処理部207、出力部208、メモリ部209、制御部210、表示モード切替判定部211、位置認識センサ212、視環境センサ213、リモコン受信部214、及び同期制御部215を備える。各機能部は、内部バス201によって互いに接続されており、相互にデータを送受信することができる。また、各機能部は、制御部210によって制御される。
【0061】
画像I/F部202〜リモコン受信部214は、画像表示装置100の画像I/F部102〜リモコン受信部114とそれぞれ同様のため、説明を割愛する。
同期制御部215は、接続されている他の画像表示装置(画像表示装置200’)を認識し、画像表示装置200’から周期的に、該画像表示装置200’で算出された距離Dと、該画像表示装置200’の表示モードとを含む情報を取得する。そして、同期制御部215は、上記取得した情報から、優先すべき画像表示装置を決定し、その画像表示装置の表示モードを、表示モード切替判定部211に通知する。なお、画像表示装置200’で算出された距離Dは、画像表示装置200’と視聴者との間の距離である。本実施例では、画像表示装置200で算出された距離Dと区別するため、画像表示装置200’で算出された距離Dを距離D’と記載する。
【0062】
図19は、本実施例に係る画像表示装置200の、他の画像表示装置(画像表示装置200’)を接続したときの表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。なお、以下の処理フローは、画像表示装置200に接続されている他の画像表示装置にも行われるものとする。
【0063】
ユーザは、画像表示装置200に、画像表示装置200と同じ機能を有する画像表示装置を接続する(S400)。本実施例では、画像表示装置200に画像表示装置200’が接続される。接続形態は、図17に示した通りである。
そして、ユーザは、画像表示装置200に、接続した画像表示装置を登録するとともに、接続した画像表示装置と同期した制御(同期制御)を行わせるか否かを設定する(S401)。本実施例では、画像表示装置200’が登録され、画像表示装置200’と同期した制御を行わせるか否かが設定される。ここで、登録とは、接続されている他の画像表示装置のIPアドレスなどのネットワーク情報を設定することである。例えば、ユーザは、画像表示装置200に、上述した登録、設定を行うためのGUI画像を表示させ、該GUI画像を操作することにより、上記登録、設定を行う。
【0064】
同期制御を行う場合(同期制御オンの場合(S401:YES))、同期制御部215は、接続されている他の画像表示装置から、周期的に、距離(画像表示装置と人間との距離)と現在の表示モードとを取得する(S402)。本実施例では、画像表示装置200’から周期的に、距離D’と、画像表示装置200’の現在の表示モードとが取得される。
同期制御を行わない場合(同期制御オフの場合(S401:NO))、同期制御部215は、S407へ進む。S407では、実施例1と同様に表示モードが設定される。
【0065】
S402の次に、同期制御部215は、取得した全ての距離のうちの最小値と、該最小
値を算出した画像表示装置の表示モードとを、表示モード切替判定部211に通知する(S403)。即ち、画像表示装置200が2つ以上の画像表示装置と接続されている場合には、各画像表示装置と人間の間の距離の最小値、及び、該最小値を算出した画像表示装置の表示モードとが表示モード切替判定部211に通知される。本実施例では、画像表示装置200には1つの画像表示装置200’しか接続されていないため、画像表示装置200’で算出された距離D’と画像表示装置200’の表示モードとが表示モード切替判定部211に通知される。
【0066】
そして、同期制御部215は、表示モード切替判定部211から距離Dと、現在の表示モード(画像表示装置200の表示モード)とを取得する(S404)。なお、S404の処理は、画像表示装置200’から距離と表示モードの取得依頼があったときに行われる。
【0067】
次に、表示モード切替判定部211は、現在の画像表示装置200の距離Dと、S403で通知された距離(再最小値)とを比較する(S405)。本実施例では、距離Dと距離D’が比較される。
距離D>最小値の場合には(S405:YES)、表示モード切替判定部211は、最小値を算出した画像表示装置が優先すべき画像表示装置であると判断し、該最小値を算出した画像表示装置の表示モードを設定する(S406)。本実施例では、距離D>距離D’の場合に、距離D’に基づいて決定された表示モードが設定される。
距離D≦最小値の場合には(S405:NO)、表示モード切替判定部211は、自身(画像表示装置200)が優先すべき画像表示装置であると判断し、距離Dに基づいて決定された表示モードを設定する(S407)。即ち、現在の表示モードが維持される。本実施例では、距離D≦距離D’の場合に、距離Dに基づいて決定された表示モードが設定される。即ち、表示モード切替判定部211は、表示モードを、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードに設定する。
S406またはS407の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S408)。そして、終了指示が無い場合には、再びS402に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0068】
以上述べたように、本実施例によれば、表示モードが、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードに設定される。それにより、視聴者に対して好適な表示を行うことができるとともに、視聴者の違和感を軽減することができる。具体的には、複数の画像表示装置の表示モードが同じにされるため、画像表示装置間で表示モードが異なることによる違和感を無くすことができる。また、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードが設定される。そのため、少なくとも1つの画像表示装置の画面を見易い位置にユーザがいる場合に、忠実再現表示モードで視聴者に商品の質感が忠実に再現された画像を見せることができる。
なお、本実施例では、2つの画像表示装置が互いに接続されている場合を例に説明したが、画像表示装置の数は2つより多くてもよい。
【0069】
(実施例3)
図20は、実施例3に係る画像表示装置の用途の一例を示す。本実施例の用途は、実施例1と同様である(実施例2と同様であってもよい)。但し、本実施例では、画像表示装置100により検知される位置に、複数の視聴者いる。
実施例3に係る画像表示装置の構成は、図2の画像表示装置100と同様であるため、その説明は割愛する(図18の画像表示装置200と同様であってもよい)。
【0070】
図21は、位置認識センサ112で複数の視聴者が検知された場合の、制御部110(表示モード切替判定部111)による表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。
表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112からのセンサ情報を元に、画像表示装置100の周囲に視聴者がいるか判定する(S500)。視聴者がいる場合は(S500:YES)、表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112から位置情報を取得する(S501)。S501では、位置認識センサ112で複数の視聴者が検知されている場合には、検知された各視聴者の位置情報が取得される。視聴者がいない場合は(S500:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S506)。
【0071】
S501の次に、表示モード切替判定部111は、検知された視聴者から、表示モードを決定する際の基準とする視聴者(基準視聴者)を決定する(S503)。検知されている視聴者が1人の場合には、該視聴者が基準視聴者とされる。複数の視聴者が検知されている場合には、該複数の視聴者の1人が基準視聴者とされる。具体的には、距離Dが最も小さい視聴者が基準視聴者とされる。なお、ここでは有効方向にいる視聴者の中から基準視聴者が決定される(S502)。
【0072】
次に、表示モード切替判定部111は、基準視聴者の位置情報から、画面と平行な面において、基準視聴者が画面に対しどの方向にいるかを判定する。
そして、基準視聴者が画面に対しどの方向にいるかの判断結果に応じて、閾値Dthの決定に用いる関数(判断式)を切り替える(S503)。
【0073】
次に、表示モード切替判定部111は、S503で選択した判断式に従って、視聴者(基準視聴者)の所定の視野角の範囲が、画像表示装置100の表示画面内に収まっているか否か判定する(S504)。即ち、本実施例では、位置認識センサ112で複数の人間が検知された場合に、距離Dが最も小さい人間の所定の視野角の範囲が画面内に収まっているか否かが判定される。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっている場合は(S504:YES)、表示モード切替判定部111は、忠実再現表示モードを設定する(S505)。所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっていない場合は(S504:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S506)。
S505またはS506の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S507)。そして、終了指示が無い場合には、再びS500に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0074】
以上述べたように、本実施例によれば、画像表示装置の周りに複数の視聴者がいる場合に、該画像表示装置に最も近い視聴者の位置に基づいて表示モードが設定される。それにより、安定した表示が可能となる。具体的には、商品に興味を持った視聴者が商品の質感を確認しているときに、周囲にいる視聴者の数や状況によって表示モードが次々に変化することを防ぎ、安定した表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
100,200 画像表示装置
110,210 制御部
111,211 表示モード切替判定部
112,212 位置認識センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精細、高色域、広視野角の液晶パネルを搭載した画像表示装置が開発されている。その一例が、デジタルフォトフレームである。現在、家庭用のデジタルフォトフレームが普及しつつある。しかし、通信機能などの付加機能の追加や低価格化が進んでいることから、今後、デジタルフォトフレーム(画像表示装置)の用途が広がる可能性がある。例えば、商店での商品の宣伝など、商業的な用途で画像表示装置が使用される可能性がある。
【0003】
ところで、カラーアピアランスモデル(CIECAM02など)を用いたカラーマッチングでは、人間の目の色順応を考慮した補正を行うことにより、より正確なカラーマッチングを行なうことができる。このようなカラーマッチングにより、画像表示装置で、実物と見間違うほどの商品の画像を表示することが可能となる。そのため、画像表示装置の使い方として、商品の画像が表示された画像表示装置を、商店のショーケースに商品と並べて設置する使い方が好ましい。
【0004】
特許文献1には、カラーアピアランスモデルを用いたカラーマッチング技術が開示されている。具体的には、観察情報である順応領域の白色点の相対三刺激値Xw,Yw,Zwを精度良く求めることで、カラーマッチングの精度を高める方法が開示されている。
特許文献2には、カラーアピアランスモデルを用いることにより、写真や絵画に代えて静止画像を表示する場合において、低照度照明下でも、表示画面のみが過度に目立つことを改善し、周囲の雰囲気と調和させる画像表示方法が開示されている。以下、この様な画像表示(画像表示装置の周囲の雰囲気と調和した画像の表示)を、忠実再現表示と呼ぶ。
特許文献2に開示の技術では、忠実再現表示を行う場合、視聴者の視野範囲の観察情報が必要となる。
【0005】
図22は、人間の視野範囲の分類を示す模式図である。視野範囲(視野の領域)は、刺激領域(stimulus)901、隣接領域(Proximal Field)902、背景領域(Backbround)903、周囲領域(Surround)904から構成される。刺激領域901は、人間の視野で視野角2度の領域である。カラーアピアランスモデルでは、刺激領域901に対象物(色票)が与えられたときに、人間による見えを正しく予測できる。隣接領域902は、人間の視野で視野角2度から4度の領域である。背景領域903は、人間の視野で視野角2度から10度の領域である(以下、この領域を10度視野と呼ぶ)。周囲領域904は、背景領域903の外で、視野が及ぶ領域である。また、刺激領域901、隣接領域902、背景領域903、及び、周囲領域904を合わせた領域を順応領域900と呼ぶ。
【0006】
カラーアピアランスモデルに基づく観察情報には、下記の情報がある。
・順応領域900の平均輝度(cd/m2):LA
・順応領域900の白色点の相対三刺激値:Xw,Yw,Zw
・刺激領域901の相対三刺激値:X,Y,Z
・背景領域903の相対輝度:Yb
・周囲条件:Average/Dim/Dark
周囲条件は、周囲領域904における輝度が、順応領域900における白色点の輝度の20%以上の場合にAverage、20%未満の場合にDim、ほぼ0%の場合にDar
kとなる。
上記観察情報は、視聴者の視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が小さい場合は、画像表示装置の外の環境との依存性が高くなる。この場合において、正確に忠実再現表示を行うには、画像表示装置の外の環境から観察情報を算出する必要がある。
一方、上記観察情報は、視聴者の視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きい場合は、画像表示装置の表示内容や表示デバイス特性との依存性が高くなる。つまり、Xw,Yw,Zwは、画像表示装置の表示デバイスの白色点の値に近似できる。また、通常、順応領域900や背景領域903における白色点の輝度の20%がLAやYbに設定される。そのため、LAやYbは、視野範囲に対する画像表示装置の画面の領域の割合が十分に大きい場合は、表示デバイス特性から求まる。もちろん、X,Y,Zも画像表示装置の表示内容から求まる。つまり、言い換えれば、この場合の観察情報は、画像表示装置の情報のみから容易に算出できる。
【0007】
ところで、ショーケース内の商品は、一般的に、離れている人間には認知しづらいため、なんらかのアピール展示をされることが多い(周囲と異なる照明を併設して商品を明るく見せる、など)。そのため、人間(客)がショーケースの十分近くにいる場合は、商店のショーケースに商品と並べて設置した画像表示装置で忠実再現表示を行い、人間が商品の質感などを確認できるようにすることが望ましい。一方、人間がショーケースから離れた場所におり、ショーケース内の商品に気づかない場合は、画像表示装置で何らかのアピールができる表示(アピール表示)を行うことが望ましい。
特許文献3には、画像表示装置と視聴者の間の距離から、視聴者の表示画面に対する水平画角を算出し、その算出結果に基づき、画面の表示輝度を制御する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−74557号公報
【特許文献2】特開2005−300639号公報
【特許文献3】特開2010−26045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように画像表示装置をショーケース内に設置するような場合には、視聴者は様々な位置から画像を視聴することが考えられる。しかしながら、特許文献3の技術では視聴者の表示画面に対する水平画角のみから画面の表示が制御されるため、忠実再現表示を行うのに好適な位置に立っているか、アピール表示を行うのに好適な位置に立っているかの判断ができない。そのため、特許文献3の技術を用いたとしても、好適な表示を行うことができないことがある。
【0010】
本発明は、好適な表示を行うことのできる画像表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像表示装置は、
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位
置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、
前記視野判定手段で前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定手段と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明の画像表示装置の制御方法は、
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知ステップと、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知ステップで検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知ステップで検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定ステップと、
前記視野判定ステップで前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定ステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、好適な表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る画像表示装置の用途の一例
【図2】実施例1,3に係る画像表示装置の構成図
【図3】距離D、角度Θ、角度Φの一例
【図4】画像処理部の構成図
【図5】忠実再現処理部の構成図
【図6】アピール処理部の構成図
【図7】画面の表示輝度の一例
【図8】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図9】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図10】距離D、角度Θ、表示モードの関係を示す図
【図11】閾値Dthの決定方法を説明する図
【図12】距離D、角度Θ、表示モードの関係を示す図
【図13】判断式の設定処理のフローを示すフローチャート
【図14】実施例1に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図15】視聴者の位置と、選択される判断式及び有効範囲との関係を示す図
【図16】実施例2に係る画像表示装置の用途の一例
【図17】実施例2に係る画像表示システムの構成図
【図18】実施例2に係る画像表示装置の構成図
【図19】実施例2に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図20】実施例3に係る画像表示装置の用途の一例
【図21】実施例3に係る表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャート
【図22】人間の視野範囲の分類を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例に係る画像表示装置及びその制御方法について説明する。
本実施例に係る画像表示装置は、例えば、デジタルフォトフレームやカラーマネージメントディスプレイ装置などである。以下、本実施例に係る画像表示装置が液晶表示装置である場合の例を説明する。但し、本実施例に係る画像表示装置は、液晶表示装置に限らない。本実施例に係る画像表示装置は、プラズマ表示装置、有機EL表示装置などであってもよい。
また、本実施例に係る画像表示装置は、第1画像を表示する第1表示モードと、第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードのいずれかの表示モードで画像を表示する。第1画像は、人間の目の色順応が考慮された画像であり、第2画像は、人間に感知されやすい画像である。
【0016】
(実施例1)
図1は、実施例1に係る画像表示装置100の用途の一例を示す。図1の例では、画像表示装置100は、ショーケースの中に商品と並べて設置されており、実物の代替として商品の画像を表示する。
図2は、実施例1に係る画像表示装置100の構成図である。
画像表示装置100は、画像I/F部102、カードI/F部103、ネットワークI/F部104、デコード部105、切替部106、画像処理部107、出力部108、メモリ部109、制御部110、表示モード切替判定部111、位置認識センサ112、視環境センサ113、及び、リモコン受信部114を備える。各機能部は、内部バス101によって互いに接続されており、相互にデータを送受信することができる。また、各機能部は、制御部110によって制御される。
【0017】
画像I/F部102は、外部から画像データを入力する。画像データは、例えば、商品を撮影することにより得られた静止画像データなどである。具体的には、画像I/F部102は、DVI,Displayport,HDMI,SDIなどのストリーム形式の画像データを入力するI/Fである。画像I/F部102は、入力した画像データの形式を、ストリーム形式から内部で処理するための信号形式に変換し、該信号形式の画像データを後段の切替部106へ出力する。
【0018】
カードI/F部103は、記憶媒体(メモリカード)に記憶されたファイル形式の画像データを読み出し、後段のデコード部105へ出力する。また、メモリカード内に、後述の忠実再現処理に使用するLUT(Look−up Table)が記憶されている場合には、該LUTを読み出し、メモリ部109に保存する。メモリカードは、具体的には、SDカードやCFカードである。
なお、記憶媒体は、メモリカードに限らない。記憶媒体は、CD、DVD、BDなどの光ディスク、ハードディスクなどの磁気ディスクなどであってもよい。
なお、記憶媒体は、画像表示装置100に固定されていてもよいし、画像表示装置100から取り外し可能であってもよい。
【0019】
ネットワークI/F部104は、外部から画像データを入力する。ネットワークI/F部104は、ストリーム形式及びファイル形式の画像データを入力する。そして、ネットワークI/F部104は、入力した画像データが、デコードが必要な画像データである場合に、該画像データを後段のデコード部105に出力する。また、ネットワークI/F部104は、入力した画像データが、デコードが不要な画像データである場合に、該画像データを切替部106へ出力する。また、ネットワークI/F部104は、制御信号を受信し、後述の制御部110へ出力する。ネットワークI/Fは、具体的には、画像表示装置100をLANに接続するためのインタフェースである。
【0020】
なお、画像I/F部102、カードI/F部103、及び、ネットワークI/F部104が入力する画像データは、例えば、所定の撮影条件で撮影を行うことにより得られたデータである。具体的には、画像データは、特許文献2で言及されている「観賞画像参照データ」と同等のものであり、当該画像データは、特定の出力装置(ここでいう画像表示装置100)に対して適切にレンダリングされている。画像表示装置100は、後述の忠実再現処理の中でカラーアピアランス変換を行う際に、上記撮影条件から得られる観察情報を用いる。
観察情報は、下記の情報を含む。
・順応領域(視野が及ぶ領域)の平均輝度(cd/m2):LA
・順応領域の白色点の相対三刺激値:Xw,Yw,Zw
・刺激領域(人間の視野で視野角2度の領域)の相対三刺激値:X,Y,Z
・背景領域(人間の視野で視野角2度から10度の領域)の相対輝度:Yb
・周囲条件:Average/Dim/Dark
【0021】
デコード部105は、カードI/F部103から入力された画像データ(カードI/F部103を介してメモリカードから読み出された画像データ;符号化された画像データ)をデコードする。また、デコード部105は、ネットワークI/F部104を介して入力された画像データをデコードする。符号化されたデータとは、静止画像データであれば、Jpeg形式のデータなどである。デコードした画像データは、後段の切替部106へ出力される。
【0022】
切替部106は、制御部110の指示に基づいて、画像I/F部102からの画像データ、ネットワークI/F部104からの画像データ、及び、デコード部105からの画像データの内の1つを選択し、後段の画像処理部107へ出力する。
【0023】
画像処理部107は、切替部106より出力された画像データに対して、画像処理を施す。画像処理部107の中には、忠実再現処理部とアピール処理部がある。忠実再現処理部では、カラーアピアランス変換処理を含む色域補正が行われる。詳細は後述する。画像処理部107は、画像処理を画像データに施した後、該画像処理が施された画像データを出力部108へ出力する。
【0024】
出力部108は、画像処理部107によって画像処理が施された画像データに基づく画像を、不図示の表示パネルで表示する。表示パネルは液晶パネルとバックライトから成る。バックライトは、白色のLED、もしくは、RGBの3色のLEDと、種々の光学フィルタから成る。バックライトの光源は、LEDではなく蛍光管であってもよい。
【0025】
メモリ部109は、制御部110上で動作する制御プログラム、画像処理パラメータのLUTなどを記憶する。本実施例では、LUTは後述のICCプロファイルを含む。なお、メモリ部109は、LUTを複数記憶できる容量を有する。そのため、メモリ部109は、忠実再現処理用のLUTを複数記憶できる。また、メモリカード内に記憶されたLUTを、メモリ部109に追加することができる。メモリ部109は、不揮発型の記憶媒体であり、例えば、半導体メモリである。なお、メモリ部109は、半導体メモリに限らない。メモリ部109は、ハードディスクなどの磁気ディスクなどであってもよい。
【0026】
制御部110は、メモリ部109に保存されている制御プログラムを実行する。また、制御部110は、後述の位置認識センサ112から人間(視聴者)の位置情報を、視環境センサ113から画像表示装置100周辺の輝度及び色温度の情報を、リモコン受信部114から制御信号を受信する。そして、制御部110は、実行した制御プログラム、受信した視聴者の位置情報、画像表示装置100周辺の輝度及び色温度の情報、及び、制御信号に基づき、各構成部に指示を出す。
例えば、制御部110は、切替部106へ、選択する画像データを切り替える指示を出す。
また、制御部110は、画像処理部107へ、実行する画像処理を切り替える指示を出す。具体的には、制御部110は、内部に表示モード切替判定部111を有する。表示モードは、後述の忠実再現表示モード(第1表示モード)とアピール表示モード(第2表示モード)の2つの表示モードを含む。表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112や視環境センサ113から入力される情報に基づいて、2つのモードのいずれかを選択し、選択したモードに応じた画像処理を実行するよう画像処理部107へ指示する。忠実再現表示モードは、実物の色や質感が再現された表示(人間の目の色順応が考慮された表示;忠実再現表示)を行うモードである。アピール表示モードは、画像が表示されていること(商品の存在)を人間(視聴者)にアピールするモードであり、人間に感知されやすい表示(アピール表示)を行うモードである。
【0027】
位置認識センサ112は、例えば、複数の赤外線センサ、CCDセンサまたはCMOSセンサを用いた画像認識部などから構成される。位置認識センサ112は、人間(具体的には、画像表示装置に対するユーザの位置)を検知する。そして、位置認識センサ112は、距離D、角度Θ、及び角度Φを算出する(位置算出)。距離Dは、画像表示装置100の画面の中心位置から検知された人間の位置までの距離である。角度Θは、画面の中心位置と人間の位置とを結ぶ線と、画面の中心位置を通る、画面に垂直な線との間の角度である。角度Φは、画面と平行な面において、画面の中心位置を通る、画面に平行な1つの線である基準線と、画面の中心位置と検知された人間の位置とを結ぶ線との間の角度である。本実施例では、画面が長軸と短軸を有する矩形形状を有するものとし、画面の短軸方向に平行な線を基準線とする。図3(A),3(B)に、距離D、角度Θ、角度Φの一例を示す。
視環境センサ113は、画像表示装置100周辺(外部)の輝度及び色温度を検知し、その情報を制御部110に通知する。具体的には、視環境センサ113は、周期的に画像表示装置100周辺の輝度及び色温度を検知し、その情報として、RGB各色の色情報を生成し、制御部110に通知する。
【0028】
リモコン受信部114は、画像表示装置100とは別体のリモコンからの制御信号を受信し、該信号によって表される情報(ユーザ操作を表す情報)を制御部110に通知する。リモコンからの制御信号の伝送には、赤外線やBruetoothなどが使用される。制御情報は、例えば、電源のオン/オフ、画像データの入力切り替え(表示する画像の切り替え)、前述のLUTの切り替え、新たなLUTのメモリ部109への保存、メモリ部109に保存されているLUTの書き換え等を表す情報である。制御情報(ユーザ操作)に応じて、画像表示装置100またはリモコンの表示部にGUI(Graphical User Interface)画像が表示されてもよい。例えば、制御情報がメモリ部109に保存されているLUTをユーザが手動で書き換える操作を表す情報であった場合に、画像表示装置100またはリモコンの表示部に、LUTを書き換えるためのGUI画像が表示されてもよい。
なお、リモコンの形態はどのようなものであってもよい。例えば、リモコンは、押しボタン式のものであってもよいし、タッチパネル方式のものであってもよい。また、制御信号は、リモコンではなく画像表示装置100本体に付随するボタンを押下することで発生されてもよい。
【0029】
図4は、画像処理部107を詳細に示した構成図である。画像処理部107は、忠実再現処理部115、アピール処理部116及びスイッチ117を備える。スイッチ117は、忠実再現処理部115からの出力と、アピール処理部116からの出力を切り替えて、後段の出力部108へ出力する。スイッチ117は、制御部110の切替指示によって切り替わる。図4の例では、表示モードが忠実再現表示モードの場合に、スイッチ117は
、忠実再現処理部115からの出力を選択し、出力部108へ出力する。表示モードがアピール表示モードの場合に、スイッチ117は、アピール処理部116からの出力を選択し、出力部108へ出力する。
【0030】
ここで忠実再現処理部115の処理(忠実再現処理)について説明する。忠実再現処理は、入力された画像データから、第1画像のデータを生成する処理(入力された画像データを第1画像のデータに変換する処理)である。第1画像のデータは、現在の照明条件下で、画面輝度が過度に目立つことが改善され、周囲の状況と調和した画像データであり、商品の実際の色や質感を忠実に表現した画像データである。具体的には、忠実再現処理は、カラーアピアランス変換処理を行うことで実現される処理であり、特許文献2に記載されている処理と同等の処理である。
【0031】
図5は、忠実再現処理部115の構成の一例を示す図である。
忠実再現処理部115は、データ作成部118、順変換部119、逆変換部120、及びデータ作成部121を備える。更に、忠実再現処理部115は、画像データを処理するために、入力プロファイル122、観察情報123、観察情報124、及び、出力プロファイル125を使用する。これらの情報はメモリ部109の中に保存されている。
【0032】
データ作成部118は、入力プロファイル122をメモリ部109から読み込み、画像データのRGB値を、デバイス非依存のXYZ値へ変換する。入力プロファイル122は、入力デバイスに依存するデバイスプロファイルである。入力プロファイル122としては、例えばICCプロファイルが知られている。撮影条件が同一である限り、入力プロファイル122は固定値でよい。なお、本実施例では、入力プロファイル122は、LUTとして、メモリ部109に保存されている。
【0033】
順変換部119は、観察情報123をメモリ部109から読み込み、画像データのXYZ値を、カラーアピアランス空間であるJch値へ変換する。具体的には、この変換処理は、特許文献1で紹介されているように、観察情報123を用いて、色順応処理、錐体応答処理、心理値変換処理の一連の処理を行うことにより実現される。
【0034】
逆変換部120は、観察情報124をメモリ部109から読み込み、画像データのJch値をXYZ値へ変換する。具体的には、この変換処理は、特許文献1で紹介されているように、観察情報124を用いて、色順応処理、錐体応答処理、心理値変換処理の逆変換処理を行うことにより実現される。
【0035】
データ作成部121は、出力プロファイル125をメモリ部109から読み込み、画像データのXYZ値をRGB値へ変換する。出力プロファイル125は、画像表示装置100の表示デバイスに依存するデバイスプロファイルである。出力プロファイル125としては、例えばICCプロファイルが知られている。出力プロファイル125は固定値でよい。なお、本実施例では、出力プロファイル125は、LUTとして、メモリ部109に保存されている。
【0036】
なお、観察情報は、一般的に以下のように求める。
・LA:順応領域の白色輝度の20%を用いる(cd/m2)。
・Xw,Yw,Zw:画像表示装置100の表示画面の白色の三刺激値を用いる(cd/m2)。
・Yb:背景領域の白色輝度の20%を用いる(cd/m2)。
・周囲条件:周囲領域904における輝度が、順応領域における白色点の輝度の20%以上の場合にAverage、20%未満の場合にDim、ほぼ0%の場合にDarkとする。
【0037】
上記観察情報は、制御部110により、視環境センサ113から取得された周囲の輝度及び色温度の情報を用いて決定され、メモリ部109へ保存される。それにより、周囲の輝度及び色温度の情報が、観察情報に反映されるため、例えば、暗い照明条件下で、画面輝度が過度に目立つことを抑制し、表示する画像を周囲の状況と調和させることができる。
ところで、本実施例では、LAとして「順応領域の白色輝度の20%を用いる」ものとしている。ここで、人間(視聴者)の位置が画像表示装置100に十分近い場合、LAは、ある周囲の輝度及び色温度の条件下で一意に決まる画像表示装置100の表示画面の輝度と近似することができる。言い換えれば、人間の視野範囲である順応領域に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きい場合、LAは、ある周囲の輝度及び色温度の条件下で一意に決まる画像表示装置100の表示画面の輝度と近似することができる。このような近似を行えば、高精度に忠実再現処理を行うことができる。
そのため、ショーケース展示のケース(ショーケース内に商品の代わりに商品の画像を表示した表示装置を設置するケース)において、視聴者の順応領域に対する画像表示装置の画面の領域の割合が大きいことが望ましい。
視聴者の視野範囲を規定する値として、10度視野がある。本実施例では、忠実再現処理された画像を視聴者に見せる際の、最適な視野範囲を10度視野(視野角10度の範囲)とする。
【0038】
次に、アピール処理部116の処理(アピール処理)について説明する。アピール処理は、入力された画像データから第2画像のデータを生成する処理(入力された画像データを第2画像のデータに変換する処理)である。第2画像のデータは、第1画像のデータに比べてより強調された画像(輪郭が強調された画像、輝度や彩度が高められた画像)のデータであり、画像表示装置100から離れた人が適度に表示内容を認知できる画像のデータある。具体的には、アピール処理は、輪郭強調処理、高輝度化処理、高彩度化処理などの強調処理である。
【0039】
図6は、アピール処理部116の構成の一例を示す図である。
アピール処理部116は、輪郭強調部126、色調整部127、輝度調整部128を備える。
輪郭強調部127は、入力した画像データ内の画像輪郭を強調する。
色調整部127は、入力した画像データに対して、所定のオフセット分彩度を上げる。
輝度調整部128は、入力した画像データに対して、所定のオフセット分輝度を上げる。
【0040】
図7は、画面の表示輝度の一例を示す図である。図7は、人間(視聴者)が画面の正面にいる場合(Θ=0度の位置に人間がいる場合)の、距離Dに対する表示輝度の変化を示す。
詳細は後述するが、本実施例では、制御部110が、検知された人間が画面を見た場合の該人間の所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かを判定する(視野判定)。そして、制御部110は、所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定した場合に、表示モードを第1表示モードに設定し、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定した場合に、表示モードを第2表示モードに設定する。なお、上述したように、忠実再現処理された画像を視聴者に見せる際の最適な視野範囲は10度視野であるため、本実施例では、上記所定の視野角を10度とする。但し、所定の視野角は10度に限らない。所定の視野角は2度、4度、8度、14度、15度などであってもよい。
具体的には、制御部110は、距離Dが閾値以下(Dth以下)の場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定し、距離Dが閾値Dthより大きいの場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定する。
【0041】
従って、距離Dが閾値Dthより大きい場合には、アピール処理が施された画像が表示される。図7において、D>Dthのときに、D≦Dthのときよりも表示輝度が大きいのはこのため(輝度調整部128により輝度が高められているため)である。
なお、本実施例では、アピール処理部116は、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域が多いときのほうが、少ないときよりも強調処理の強調度合いを大きくする。例えば、図7に示すように、距離Dが閾値Dthより大きいほど、輝度が高められる(表示輝度が高くされる)。
また、本実施例では、アピール処理部116は、所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、強調処理の強調度合いを変化させる。具体的には、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の量に応じて、強調処理の強調度合いが変化される。例えば、図7に示すように、D≦Dthの関数とD>Dthの関数とがD=Dthにおいて繋がるように、輝度調整部128の処理が行われる。換言すれば、D=Dthにおいて、忠実再現処理の結果(忠実再現処理後の輝度)とアピール処理の結果(アピール処理後の輝度)とが同じとなるように輝度調整部128の処理が行われる。
これにより、視聴者が画像表示装置100から距離Dth付近にいるときに、表示画像の画素値の急激な変化を防止することができる。また、視聴者が画像表示装置100から離れるほどより強調された画像が表示されるため、視聴者に画像の表示をより強くアピールすることができる。
なお、図7のアピール処理は、一例であり、これに限定されるものでない。また、画像処理部107は、忠実再現処理部115やアピール処理部116以外にも、一般的な画像処理であるIP変換、拡大縮小、ノイズ除去、コントラスト補正、γ補正などを行う処理部を更に備えていてもよい。
【0042】
次に、閾値Dthの決定方法について説明する。
図8(A)は、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図である。図8(B)は、図((A)の視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図8(A),8(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の方向に画面が向くように設置されている(視聴者が画像表示装置100の画面の正面にいる)。即ち、図8(A),8(B)の例では、角度Θ=0度の位置に視聴者がいる。また、画像表示装置100の表示画面は、長軸方向のサイズがL1、短軸方向のサイズがL2の矩形状を有している。画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の短軸方向が垂直方向となるように設置されている(視聴者は、画面を見た場合に画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる)。
図8(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野の領域(10度視野領域)である。図8(B)の例では、10度視野領域は、画像表示装置100の表示画面内に収まっている。また、10度視野領域の縁と、画像表示装置100の表示画面の縁(画面の上辺及び下辺)とが一致している。視聴者が図8(B)の位置よりも画像表示装置100に近づくと、10度視野領域は表示画面内に収まらなくなるため、図8(B)のときの視聴者と画像表示装置100の距離Dxが、閾値Dthとなる。視聴者が画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる場合、距離Dxは、所定の視野角(10度)と、表示画面の短軸方向のサイズL2によって一意に決まる。
【0043】
ところで、ショーケース展示の場合、画像表示装置100は、視聴者に対して、常に正面を向くとは限らない。図9(A)は、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図である。図9(B)は、図9(A)の視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図9(A),9(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の上に画面が向くよう
に設置されている。即ち、図9(A),9(B)の例では、角度Θ=Θx(0<Θx≦90°)の位置に視聴者がいる。また、図9(A),9(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の短軸方向が垂直方向となるように設置されている。
なお、このときの視聴者と画像表示装置100の距離Dは、図8(A),8(B)のときと同じ距離Dxであるものとする。
図9(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。Θが0度から90度に変化していくにつれて、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL2’はL2から0へ変化する(小さくなる)。そのため、Θ>0度の場合、図9(B)に示すように、視聴者と画像表示装置100の距離DがDxであっても、10度視野領域は画面内に収まらなくなる。そこで、本実施例では、Θに応じて閾値Dthを変化させる。
【0044】
図10は、上述した内容を踏まえた、距離D、角度Θ、及び、実行する処理(設定する表示モード)の関係を示した図である。図10の横軸は距離Dであり、縦軸は角度Θである。図10中の関数は閾値Dthを決定するための関数である。図10に示すように、閾値Dthは、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定される。図10において、距離D、角度Θの組み合わせが斜線で示す領域内にあるときには、画像表示装置100は、忠実再現処理を行う(忠実再現表示モードで画像を表示する)。また、それ以外のときにはアピール処理を行う(アピール表示モードで画像を表示する)。以下、図10の関数を判断式1と呼ぶ。
【0045】
図11(A)は、視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図11(A)の例では、画像表示装置100は、視聴者の方向に画面が向くように設置されている。即ち、図11(A)の例では、角度Θ=0度の位置に視聴者がいる。このとき、視聴者と画像表示装置100を、画像表示装置100の側面側から見た図は、図8(A)とほぼ同等になるが、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている点が異なる。
図11(A)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。図11(A)の例では、10度視野領域は、画像表示装置100の表示画面内に収まっている。また、10度視野領域の縁と、画像表示装置100の表示画面の縁(画面の左辺及び右辺)とが一致している。視聴者が図11(A)の位置よりも画像表示装置100に近づくと、10度視野領域は表示画面内に収まらなくなるため、図11(A)のときの視聴者と画像表示装置100の距離Dxが、閾値Dthとなる。視聴者が画面の短軸方向が垂直方向となる位置にいる場合、距離Dxは、所定の視野角(10度)と、表示画面の短軸方向のサイズL2によって一意に決まる。
【0046】
図11(B)は、視聴者と画像表示装置100を、視聴者の背後から見た図である。
図11(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者の上に画面が向くように設置されている。即ち、図11(B)の例では、角度Θ=Θx(0<Θx≦90°)の位置に視聴者がいる。また、図11(B)の例では、画像表示装置100は、視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている。
なお、このときの視聴者と画像表示装置100の距離Dは、図11(B)のときと同じ距離Dxであるものとする。
図11(B)で、画像表示装置100に示されている円形の領域は、視聴者が画面を見た場合の10度視野領域である。Θが0度から90度に変化していくにつれて、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL1’はL1から0へ変化する(小さくなる)。但し、L1>L2であるため、視聴者から見た画面の垂直方向のサイズL1’≧L2である限り、視聴者の10度視野範囲は、画像表示装置100の表示画面内に収まる。そのため、0度≦Θ≦(L1’=L2となる角度)の範囲では、閾値Dthとして距離Dxを用いることができる。
【0047】
図12は、画像表示装置100が視聴者に対して、画面の長軸方向が垂直方向となるように設置されている場合の、距離D、角度Θ、及び、実行する処理(設定する表示モード)の関係を示した図である。図12の横軸は距離Dであり、縦軸は角度Θである。図12中の関数は閾値Dthを決定するための関数である。図10と同様に、閾値Dthは、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定される。但し、上述したように、L1’≧L2である限り、視聴者の10度視野範囲は、画像表示装置100の表示画面内に収まるため、0度≦Θ≦(L1’=L2となる角度)の範囲では、距離Dxが閾値Dthとされる。図12において、距離D、角度Θの組み合わせが斜線で示す領域内にあるときには、画像表示装置100は、忠実再現処理を行う(忠実再現表示モードで画像を表示する)。また、それ以外のときにはアピール処理を行う(アピール表示モードで画像を表示する)。以下、図12の関数を判断式2と呼ぶ。
【0048】
図13は、画像表示装置100を使用する前に実施される設定処理のフローを示すフローチャートである。この処理フローは、例えば、工場出荷時に工場関係者が行う。
工場関係者は、まず視野範囲(所定の視野角)を決定し、それに基づいて判断式1及び判断式2を作成する(S200,S201)。
その後、その判断式1及び判断式2をメモリ部109に格納する(S202)。なお、判断式1及び判断式2は、制御プログラムの中に記載されてもよい。
【0049】
なお、図13の処理フローは、画像表示装置100のユーザが実行してもよい。例えば、画像表示装置100が、視野範囲や判断式の設定を行うためのGUI画像を表示し、ユーザは該GUI画像を操作して視野範囲や判断式を設定してもよい。以下、ユーザが上記設定を行う場合の処理の流れの一例について説明する。
まず、S200にて、画像表示装置100は、視野範囲を選択するためのGUI画像を表示する。上記GUI画像は、ユーザ操作(リモコン等の操作)に応じて表示されてもよいし、画像表示装置の初回起動時に表示されてもよい。そして、ユーザは、上記GUI画像を操作することにより、視野範囲を選択する。GUI画像は、例えば、2度、4度、10度、15度など複数の視野角を選択肢とする画像である。
次に、S201にて、制御部110は、S200での選択結果と画面サイズ(L1,L2)から、判断式1及び判断式2を作成し、メモリ部109へ格納する。
【0050】
図14は、制御部110(表示モード切替判定部111)による表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。
表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112からのセンサ情報を元に、画像表示装置100の周囲に視聴者がいるか判定する(S300)。視聴者がいる場合は(S300:YES)、表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112から位置情報を取得する(S301)。位置情報には、距離D、角度Θ、及び角度Φが含まれる。視聴者がいない場合は(S300:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S306)。具体的には、表示モード切替判定部111は、画像処理部107内のスイッチ117に対して、アピール処理部116の出力を選択するよう切替指示を行う。
【0051】
S301の次に、表示モード切替判定部111は、角度Φから、画面と平行な面において、視聴者が画面に対しどの方向にいるかを判定する(方向判定)。具体的には、視聴者が、画面を見た場合に画面の短軸方向が垂直方向となる位置(図8(B)の状態)にいるか、画面を見た場合に画面の長軸方向が垂直方向となる位置(図11(A)の状態)にいるか、が判別される。
そして、視聴者が画面に対しどの方向にいるかの判断結果に応じて、閾値Dthの決定に用いる関数(判断式)を切り替える(S302)。具体的には、表示モード切替判定部
111は、視聴者の位置が図8(B)の状態の場合には判断式1を選択し、図11(A)の状態の場合には判断式2を選択する。
ショーケース展示では、視聴者が画像表示装置100の斜め方向から近づいてくる場合がある。そこで、本実施例では、表示モード切替判定部111は、角度Φから、図15(A)の破線で区切られるどの領域内に視聴者がいるかを判断する。図15(A)は、画面と平行な面における、視聴者の位置と、選択される判断式との関係の一例を示す図である。そして、表示モード切替判定部111は、その判断結果から、視聴者がいる領域に対応する判断式を選択する。即ち、図15(A)の破線の方向(破線の方向を示す角度Φ)を閾値として、判断式が選択される。図15(A)の例では、表示モード切替判定部111は、画像表示装置100の画面の対角線とその延長線によって区切られる4つの領域内のどの領域内に視聴者がいるかに応じて、判断式を選択する。
【0052】
そして、表示モード切替判定部111は、角度Φから、視聴者が画面に対して所定の方向にいるか否かを判定する(S303)。
【0053】
ショーケース展示では、画面に対して所定の方向に店員が常駐している場合がある。そして、客である視聴者が、店員が常駐している側から画像表示装置に近づいてくることは少ない。また、画像表示装置100に表示された画像は、一般に、店員ではなく客に見せることを目的としている。そのため、店員が見る画像はどのような画像であってもよい(忠実再現表示の画像(第1画像)でもアピール表示の画像(第2画像)でもどちらでもよい)。
【0054】
そこで、本実施例では、表示モード切替判定部111は、視聴者が画面に対して上記所定の方向にいる(視聴者が画面に対して有効方向にいない)と判定した場合には(S303:NO)、該視聴者を位置認識センサ112で検知された人間から除外する。そして、S306へ処理が進められ、アピール表示モードが設定される。図15(B)は、画面と平行な面における、視聴者の位置、有効方向、及び無効方向(上記所定の方向)の関係の一例を示す図である。図15(B)の例では、画像表示装置100の画面の対角線とその延長線によって区切られる4つの領域のうちの1つが無効方向の領域として設定されている。視聴者の位置が無効方向の領域内である場合には、該視聴者は、店員である可能性が高いため、位置認識センサ112による検知結果から除外される。なお、有効方向や無効方向は、例えば、ユーザにより設定される。具体的には、ユーザは、画像表示装置100に表示されたGUI画像を操作することにより有効方向や無効方向を設定する。
【0055】
視聴者が画面に対して有効方向にいると判定した場合には(S303:YES)、表示モード切替判定部111は、S302で選択した判断式に従って、視聴者の所定の視野角の範囲が、画像表示装置100の表示画面内に収まっているか否か判定する(S304)。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっている場合は(S304:YES)、表示モード切替判定部111は、忠実再現表示モードを設定する(S305)。具体的には、表示モード切替判定部111は、画像処理部107内のスイッチ117に対して、忠実再現処理部115からの出力を選択するよう切替指示を行う。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっていない場合は(S304:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S306)。
S305またはS306の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S307)。そして、終了指示が無い場合には、再びS300に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0056】
以上述べたように、本実施例によれば、検知された人間の所定の視野角の範囲が画面内
に収まるか否かに応じて表示モードが切り替えられる。それにより、視聴者に対して好適な表示を行うことが可能となる。具体的には、視聴者が画面を見易い位置にいる場合には、第1表示モード(忠実再現表示モード)で表示が行われるため、視聴者に商品の質感が忠実に再現された画像を見せることができる。そして、視聴者が画面を見難い位置にいる場合には、第2表示モード(アピール表示モード)で表示が行われるため、商品の存在(画像の表示)を視聴者に感知され易くする(アピールする)ことができる。
なお、本実施例では、距離Dと、角度Θに依存して変化する閾値Dthとを比較して表示モードを決定する構成としたが、このような構成に限らない。例えば、距離Dと角度Θから得られる値と所定の閾値(固定値)とを比較して表示モードが決定されてもよい。
【0057】
なお、本実施例では、画面と平行な面において、検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定結果に応じて判断式を切り替える構成としたが、そのような判断式の切り替えは行わなくてもよい。但し、上記判断式の切り替えを行えば、1つの判断式を用いる場合よりも、所定の視野角の範囲が画面内に収まるか否かをより精度良く判定することが可能となる。例えば、上述した判断式1のみを用いると、画面の長軸方向が垂直方向となる位置に視聴者がいる場合に、所定の視野角の範囲が画面内に収まっているにもかかわらず、収まっていないと判定されることがある。検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定結果に応じて判断式を切り替えることにより、そのような誤判定を抑制することができる。
なお、本実施例では、角度Φから、検知された人間が画面に対しどの方向にいるかを判定する構成としたが、この構成に限らない。例えば、検知された人間の、画面と平行な面における位置座標を算出し、その算出結果から上記判定を行ってもよい。
上記判断式の切り替えを行わない場合や検知された人間が画面に対しどの方向にいるかの判定に角度Φを用いない場合には、角度Φは算出されなくてもよい。
【0058】
なお、本実施例では、検知された人間が画面に対し所定の方向にいる場合には、該人間が検知された人間から除外される構成としたが、そのような除外処理は行わなくてもよい。但し、上記除外処理を行えば、検知された人間から特定の人間(店員など)を除外することができ、より好適に表示モードを切り替えることが可能となる。
なお、本実施例では、検知される人間が1人である場合を例に説明したが、複数の人間が検知されている場合には、上記構成により、検知された複数の人間のうち所定の方向以外の方向にいる人間の所定の視野角の範囲から表示モードが決定される。
【0059】
なお、本実施例では、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域の量に応じて強調処理(アピール処理)の強調度合いを変化させる構成とした。また、所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、所定の視野角の範囲に含まれる画面以外の領域の量に応じて、強調処理の強調度合いを変化させる構成とした。しかし、このような構成でなくてもよい。例えば、強調処理の強調度合いは一定であってもよい。そのような構成であってもよい。アピール表示モードのときに、忠実再現表示モードのときよりも、人間に感知され易い画像を表示することができる。
なお、本実施例では、画像表示装置内での処理により第1画像と第2画像が生成されるものとしたが、そのような構成に限らない。第1画像と第2画像は外部から入力されてもよいし、予め画像表示装置内に記憶されていてもよい。
【0060】
(実施例2)
図16は、実施例2に係る画像表示装置の用途の一例を示す。図16の例では、複数の画像表示装置(画像表示装置200,200’)がショーケースの中に並べて設置されており、実物の代替として商品の画像を表示する。
図17は、実施例2に係る画像表示システムの構成図である。本実施例に係る画像表示
システムは、上述した複数の画像表示装置(画像表示装置200,200’)を有する。本実施例に係る画像表示装置200は、同じ機能を有する他の画像表示装置と接続可能である。上記画像表示システムにおいて、画像表示装置200は、ネットワークI/Fを介して、同じ機能を有する画像表示装置200’に接続されている。なお、図17では、画像表示装置200が画像表示装置200’に直接接続されているが、画像表示装置200は、ハブやルーターを介して画像表示装置200’に接続されてもよい。
図18は、実施例2に係る画像表示装置200の構成図である。
画像表示装置200は、画像I/F部202、カードI/F部203、ネットワークI/F部204、デコード部205、切替部206、画像処理部207、出力部208、メモリ部209、制御部210、表示モード切替判定部211、位置認識センサ212、視環境センサ213、リモコン受信部214、及び同期制御部215を備える。各機能部は、内部バス201によって互いに接続されており、相互にデータを送受信することができる。また、各機能部は、制御部210によって制御される。
【0061】
画像I/F部202〜リモコン受信部214は、画像表示装置100の画像I/F部102〜リモコン受信部114とそれぞれ同様のため、説明を割愛する。
同期制御部215は、接続されている他の画像表示装置(画像表示装置200’)を認識し、画像表示装置200’から周期的に、該画像表示装置200’で算出された距離Dと、該画像表示装置200’の表示モードとを含む情報を取得する。そして、同期制御部215は、上記取得した情報から、優先すべき画像表示装置を決定し、その画像表示装置の表示モードを、表示モード切替判定部211に通知する。なお、画像表示装置200’で算出された距離Dは、画像表示装置200’と視聴者との間の距離である。本実施例では、画像表示装置200で算出された距離Dと区別するため、画像表示装置200’で算出された距離Dを距離D’と記載する。
【0062】
図19は、本実施例に係る画像表示装置200の、他の画像表示装置(画像表示装置200’)を接続したときの表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。なお、以下の処理フローは、画像表示装置200に接続されている他の画像表示装置にも行われるものとする。
【0063】
ユーザは、画像表示装置200に、画像表示装置200と同じ機能を有する画像表示装置を接続する(S400)。本実施例では、画像表示装置200に画像表示装置200’が接続される。接続形態は、図17に示した通りである。
そして、ユーザは、画像表示装置200に、接続した画像表示装置を登録するとともに、接続した画像表示装置と同期した制御(同期制御)を行わせるか否かを設定する(S401)。本実施例では、画像表示装置200’が登録され、画像表示装置200’と同期した制御を行わせるか否かが設定される。ここで、登録とは、接続されている他の画像表示装置のIPアドレスなどのネットワーク情報を設定することである。例えば、ユーザは、画像表示装置200に、上述した登録、設定を行うためのGUI画像を表示させ、該GUI画像を操作することにより、上記登録、設定を行う。
【0064】
同期制御を行う場合(同期制御オンの場合(S401:YES))、同期制御部215は、接続されている他の画像表示装置から、周期的に、距離(画像表示装置と人間との距離)と現在の表示モードとを取得する(S402)。本実施例では、画像表示装置200’から周期的に、距離D’と、画像表示装置200’の現在の表示モードとが取得される。
同期制御を行わない場合(同期制御オフの場合(S401:NO))、同期制御部215は、S407へ進む。S407では、実施例1と同様に表示モードが設定される。
【0065】
S402の次に、同期制御部215は、取得した全ての距離のうちの最小値と、該最小
値を算出した画像表示装置の表示モードとを、表示モード切替判定部211に通知する(S403)。即ち、画像表示装置200が2つ以上の画像表示装置と接続されている場合には、各画像表示装置と人間の間の距離の最小値、及び、該最小値を算出した画像表示装置の表示モードとが表示モード切替判定部211に通知される。本実施例では、画像表示装置200には1つの画像表示装置200’しか接続されていないため、画像表示装置200’で算出された距離D’と画像表示装置200’の表示モードとが表示モード切替判定部211に通知される。
【0066】
そして、同期制御部215は、表示モード切替判定部211から距離Dと、現在の表示モード(画像表示装置200の表示モード)とを取得する(S404)。なお、S404の処理は、画像表示装置200’から距離と表示モードの取得依頼があったときに行われる。
【0067】
次に、表示モード切替判定部211は、現在の画像表示装置200の距離Dと、S403で通知された距離(再最小値)とを比較する(S405)。本実施例では、距離Dと距離D’が比較される。
距離D>最小値の場合には(S405:YES)、表示モード切替判定部211は、最小値を算出した画像表示装置が優先すべき画像表示装置であると判断し、該最小値を算出した画像表示装置の表示モードを設定する(S406)。本実施例では、距離D>距離D’の場合に、距離D’に基づいて決定された表示モードが設定される。
距離D≦最小値の場合には(S405:NO)、表示モード切替判定部211は、自身(画像表示装置200)が優先すべき画像表示装置であると判断し、距離Dに基づいて決定された表示モードを設定する(S407)。即ち、現在の表示モードが維持される。本実施例では、距離D≦距離D’の場合に、距離Dに基づいて決定された表示モードが設定される。即ち、表示モード切替判定部211は、表示モードを、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードに設定する。
S406またはS407の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S408)。そして、終了指示が無い場合には、再びS402に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0068】
以上述べたように、本実施例によれば、表示モードが、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードに設定される。それにより、視聴者に対して好適な表示を行うことができるとともに、視聴者の違和感を軽減することができる。具体的には、複数の画像表示装置の表示モードが同じにされるため、画像表示装置間で表示モードが異なることによる違和感を無くすことができる。また、画像表示装置との距離が最も小さい人間を検知している画像表示装置の表示モードが設定される。そのため、少なくとも1つの画像表示装置の画面を見易い位置にユーザがいる場合に、忠実再現表示モードで視聴者に商品の質感が忠実に再現された画像を見せることができる。
なお、本実施例では、2つの画像表示装置が互いに接続されている場合を例に説明したが、画像表示装置の数は2つより多くてもよい。
【0069】
(実施例3)
図20は、実施例3に係る画像表示装置の用途の一例を示す。本実施例の用途は、実施例1と同様である(実施例2と同様であってもよい)。但し、本実施例では、画像表示装置100により検知される位置に、複数の視聴者いる。
実施例3に係る画像表示装置の構成は、図2の画像表示装置100と同様であるため、その説明は割愛する(図18の画像表示装置200と同様であってもよい)。
【0070】
図21は、位置認識センサ112で複数の視聴者が検知された場合の、制御部110(表示モード切替判定部111)による表示モード切り替え処理のフローを示すフローチャートである。
表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112からのセンサ情報を元に、画像表示装置100の周囲に視聴者がいるか判定する(S500)。視聴者がいる場合は(S500:YES)、表示モード切替判定部111は、位置認識センサ112から位置情報を取得する(S501)。S501では、位置認識センサ112で複数の視聴者が検知されている場合には、検知された各視聴者の位置情報が取得される。視聴者がいない場合は(S500:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S506)。
【0071】
S501の次に、表示モード切替判定部111は、検知された視聴者から、表示モードを決定する際の基準とする視聴者(基準視聴者)を決定する(S503)。検知されている視聴者が1人の場合には、該視聴者が基準視聴者とされる。複数の視聴者が検知されている場合には、該複数の視聴者の1人が基準視聴者とされる。具体的には、距離Dが最も小さい視聴者が基準視聴者とされる。なお、ここでは有効方向にいる視聴者の中から基準視聴者が決定される(S502)。
【0072】
次に、表示モード切替判定部111は、基準視聴者の位置情報から、画面と平行な面において、基準視聴者が画面に対しどの方向にいるかを判定する。
そして、基準視聴者が画面に対しどの方向にいるかの判断結果に応じて、閾値Dthの決定に用いる関数(判断式)を切り替える(S503)。
【0073】
次に、表示モード切替判定部111は、S503で選択した判断式に従って、視聴者(基準視聴者)の所定の視野角の範囲が、画像表示装置100の表示画面内に収まっているか否か判定する(S504)。即ち、本実施例では、位置認識センサ112で複数の人間が検知された場合に、距離Dが最も小さい人間の所定の視野角の範囲が画面内に収まっているか否かが判定される。
所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっている場合は(S504:YES)、表示モード切替判定部111は、忠実再現表示モードを設定する(S505)。所定の視野角の範囲が画像表示装置100の表示画面内に収まっていない場合は(S504:NO)、表示モード切替判定部111は、アピール表示モードを設定する(S506)。
S505またはS506の次に、表示モード切替判定部111は、ユーザによる終了指示の有無を確認する(S507)。そして、終了指示が無い場合には、再びS500に戻り、本処理フローが繰り返される。
【0074】
以上述べたように、本実施例によれば、画像表示装置の周りに複数の視聴者がいる場合に、該画像表示装置に最も近い視聴者の位置に基づいて表示モードが設定される。それにより、安定した表示が可能となる。具体的には、商品に興味を持った視聴者が商品の質感を確認しているときに、周囲にいる視聴者の数や状況によって表示モードが次々に変化することを防ぎ、安定した表示を行うことができる。
【符号の説明】
【0075】
100,200 画像表示装置
110,210 制御部
111,211 表示モード切替判定部
112,212 位置認識センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、
前記視野判定手段で前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定手段と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記視野判定手段は、距離Dが閾値以下の場合に、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定し、距離Dが閾値より大きい場合に、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定し、
前記閾値は、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画面と平行な面において、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対しどの方向にいるかを判定する方向判定手段を更に有し、
前記視野判定手段は、前記方向判定手段の判定結果に応じて、前記閾値の決定に用いる関数を切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記方向判定手段は、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対し所定の方向にいると判定した場合は、該ユーザを、前記検知手段で検知されたユーザから除外する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記方向判定手段は、前記画面と平行な面において、前記画面の中心位置を通る、前記画面に平行な1つの線である基準線と、前記画面の中心位置と前記検知手段で検知されたユーザの位置とを結ぶ線との間の角度Φから、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対しどの方向にいるかを判定する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
入力された画像に強調処理を施すことにより前記第2画像を生成する画像処理手段を更に有し、
前記画像処理手段は、前記所定の視野角の範囲に含まれる前記画面以外の領域が多いときのほうが、少ないときよりも、前記強調処理の強調度合いを大きくする
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、前記所定の視野角の範囲に含まれる前記画面以外の領域の量に応じて、前記強調処理の強調度合いを変化させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像表示装置は、同じ機能を有する他の画像表示装置と接続可能であり、
接続されている画像表示装置から、該画像表示装置で算出された距離Dと、該画像表示装置の表示モードとを含む情報を取得する取得手段を更に有し、
前記設定手段は、表示モードを、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、距離Dが最も小さいユーザを検知している画像表示装置の表示モードに設定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記検知手段で複数のユーザが検知された場合に、前記視野判定手段は、距離Dが最も小さいユーザの前記所定の視野角の範囲が前記画面内に収まっているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記所定の視野角は10度である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記第2画像は、輪郭強調処理、高輝度化処理、及び、高彩度化処理の少なくともいずれかが施された画像である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第1画像は、ユーザの目の色順応が考慮された画像であり、
前記第2画像は、ユーザに感知され易い画像である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知ステップと、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知ステップで検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知ステップで検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定ステップと、
前記視野判定ステップで前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定ステップと、を有することを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【請求項1】
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知手段と、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知手段で検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知手段で検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定手段と、
前記視野判定手段で前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定手段と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記視野判定手段は、距離Dが閾値以下の場合に、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定し、距離Dが閾値より大きい場合に、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定し、
前記閾値は、角度Θが大きくなるほど小さくなる部分を有する関数を用いて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画面と平行な面において、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対しどの方向にいるかを判定する方向判定手段を更に有し、
前記視野判定手段は、前記方向判定手段の判定結果に応じて、前記閾値の決定に用いる関数を切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記方向判定手段は、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対し所定の方向にいると判定した場合は、該ユーザを、前記検知手段で検知されたユーザから除外する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記方向判定手段は、前記画面と平行な面において、前記画面の中心位置を通る、前記画面に平行な1つの線である基準線と、前記画面の中心位置と前記検知手段で検知されたユーザの位置とを結ぶ線との間の角度Φから、前記検知手段で検知されたユーザが前記画面に対しどの方向にいるかを判定する
ことを特徴とする請求項3または4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
入力された画像に強調処理を施すことにより前記第2画像を生成する画像処理手段を更に有し、
前記画像処理手段は、前記所定の視野角の範囲に含まれる前記画面以外の領域が多いときのほうが、少ないときよりも、前記強調処理の強調度合いを大きくする
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記画像処理手段は、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まっている状態から、収まっていない状態へ切り替わる際に、画素値が連続的に変化するように、前記所定の視野角の範囲に含まれる前記画面以外の領域の量に応じて、前記強調処理の強調度合いを変化させる
ことを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像表示装置は、同じ機能を有する他の画像表示装置と接続可能であり、
接続されている画像表示装置から、該画像表示装置で算出された距離Dと、該画像表示装置の表示モードとを含む情報を取得する取得手段を更に有し、
前記設定手段は、表示モードを、互いに接続されている複数の画像表示装置のうち、距離Dが最も小さいユーザを検知している画像表示装置の表示モードに設定する
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記検知手段で複数のユーザが検知された場合に、前記視野判定手段は、距離Dが最も小さいユーザの前記所定の視野角の範囲が前記画面内に収まっているか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記所定の視野角は10度である
ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記第2画像は、輪郭強調処理、高輝度化処理、及び、高彩度化処理の少なくともいずれかが施された画像である
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第1画像は、ユーザの目の色順応が考慮された画像であり、
前記第2画像は、ユーザに感知され易い画像である
ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
第1画像を表示する第1表示モードと、
前記第1画像よりも強調された第2画像を表示する第2表示モードと、
のいずれかの表示モードで画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像表示装置に対するユーザの位置を検知する検知ステップと、
前記画像表示装置の画面の中心位置から前記検知ステップで検知されたユーザの位置までの距離D、及び、前記画面の中心位置と前記ユーザの位置とを結ぶ線と、前記画面の中心位置を通る、前記画面に垂直な線との間の角度Θから、前記検知ステップで検知されたユーザが画面を見た場合の該ユーザの所定の視野角の範囲が前記画面内に収まるか否かを判定する視野判定ステップと、
前記視野判定ステップで前記所定の視野角の範囲が画面内に収まると判定された場合に、表示モードを前記第1表示モードに設定し、前記所定の視野角の範囲が画面内に収まらないと判定された場合に、表示モードを前記第2表示モードに設定する設定ステップと、を有することを特徴とする画像表示装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−41014(P2013−41014A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176534(P2011−176534)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]