説明

画像表示装置及びその駆動方法

【課題】本発明は、互いに異なる帯電極性を有する2つの着色領域を有するツイストボールを表示媒体として、良好な表示特性が得られる画像表示装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】第1電極を含む第1部材と、第2電極を含む第2部材と、第1部材と第2部材との間に挟持され、且つ異なる着色領域に互いに異なる帯電極性を有する2色相球状粒子が分散された表示媒体と、を有して表示を行う表示部と、第1電極と第2電極との間に書き込みパルスを印加する前に、書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを第1電極と第2電極との間に印加する制御回路と、を有する画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる着色領域に異なる帯電極性を有する粒子が分散された表示媒体を用いて画像の表示を行う画像表示装置及び画像表示装置の駆動方法に関し、特に、コントラストが向上した良好な画像表示を行う画像表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子値札や棚札、デジタル時計などにおける数値や文字情報の表示、又は電子書籍などに用いられる電子ペーパーにおける数値や文字情報の表示を行う反射型の画像表示装置として、例えば、異なる着色領域に異なる帯電極性を有する2色相球状粒子であるツイストボールを表示媒体として用いた画像表示装置がある。ツイストボールを用いた画像表示装置は、液晶表示装置に比べて、視野角が広く、低消費電力性であるため、電子棚札やデジタルサイネージ、電子ペーパーなどの分野に広く採用されている。
【0003】
一般的に、画像表示装置の表示媒体として用いられるツイストボールは、有色彩相/白色相(例えば、黒色/白色、赤色/白色など)或いは有色彩相/有色彩色相(例えば、黒色/赤色、青色/赤色など)の異なる2色相に塗り分けられた2つの着色領域を有し、異なる2色相が互いに異なる帯電極性を有している。ツイストボールの互いに異なる帯電極性を有する2つの着色領域に対応した電圧を印加することによってツイストボールを回転させることで所望する画像の表示を行う。通常は、ツイストボールに電圧を印加する際に印加する電圧や電圧の印加時間を調節することによって、良好な表示を行うことができる。しかしながら、ツイストボールを表示媒体として用いる画像表示装置を、例えば、セグメント駆動型のデジタル時計として使用する場合、駆動回路に起因する印加電圧の制限や、秒単位を表示するための書き換え時間、即ち、表示切替え時間などの制約があるため、通常の書き込みパルスのみの印加ではコントラストが悪化し、良好な表示が得られないという課題があった。
【0004】
ツイストボールを表示媒体として用いる画像表示装置において、良好な表示を得るために、例えば、球面を3以上に分割して設けられた着色領域を有するツイストボールを使用する表示装置が提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の表示装置は、ツイストボールの着色領域が3以上に分割されているため、通常の2色に分割された球面を有するツイストボールよりも高速に表示色を切替えることが可能である。しかし、ツイストボールの球面に設ける着色領域が3以上であるため、通常の2つの着色領域を有するツイストボールよりも製造工程が複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−250068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、互いに異なる帯電極性を有する2つの着色領域を有するツイストボールを表示媒体として、良好な表示特性が得られる画像表示装置及びその駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置は、第1電極を含む第1部材と、第2電極を含む第2部材と、第1部材と第2部材との間に挟持され、且つ異なる着色領域に互いに異なる帯電極性を有する2色相球状粒子が分散された表示媒体と、を有して表示を行う表示部と、第1電極と第2電極との間に書き込みパルスを印加する前に、書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを第1電極と第2電極との間に印加する制御回路と、を有する。
【0008】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置の駆動方法は、第1電極を含む第1部材と、第2電極を含む第2部材と、第1部材と第2部材との間に挟持され、且つ異なる着色領域に互いに異なる帯電極性を有する2色相球状粒子が分散された表示媒体と、を有して表示を行う表示部を含む画像表示装置の駆動方法であって、第1電極と第2電極との間に書き込みパルスを印加する前に、書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを第1電極と第2電極との間に印加すること、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の画像表示装置及びその駆動方法によれば、高いコントラストで良好な表示特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の機能ブロック図である。
【図2A】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の概略的な断面図である。
【図2B】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の概略的な断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る画像表示装置に表示媒体として使用されるツイストボールを含むツイストボール層の拡大図である。
【図4】セグメント駆動方式の表示部に含まれる画素電極の概略図である。
【図5】アクティブ駆動方式の表示部に含まれる画素電極の概略図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る画像表示装置において、所望の表示を行う際に、表示部の電極に印加される電圧パターンの一例図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の処理を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加される電圧パターンの波形図の一例図である。
【図9】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。
【図10】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加される正弦波の電圧パターンの波形図の一例図である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加される三角波の電圧パターンの波形図の一例図である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加されるのこぎり波の電圧パターンの波形図の一例図である。
【図11】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(d)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。
【図12】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(d)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(e)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(f)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。
【図13】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。
【図14】(a)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(b)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(c)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(d)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(e)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。(f)本発明の一実施形態に係る画像表示装置の表示部の電極に印加した電圧パターンの波形図の一例である。
【図15】従来の画像表示装置において、所望の表示を行う際に、表示部の電極に印加される電圧パターンの一例図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100の機能ブロック図の一例を示す。画像表示装置100は、表示部101と、制御回路102とを具備する。制御回路102は、電圧印加回路103、表示制御回路104、及びプレパルス制御回路を含んでもよい。
【0012】
(表示部)
図2A及び図2Bは、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100の表示部101及び101´の概略的な断面図を示す。図2Aでは、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100がセグメント駆動型である場合の表示部101を示している。図2Bでは、別の態様の表示部101´を示す。
【0013】
以下、図2Aを参照して、本発明の一実施形態に係る画像表示装置100の表示部101について説明する。
【0014】
図2Aに示す表示部101は、画素電極基材106と、ツイストボール層112と、対向電極基材119とを含む。画素電極基材106と対向電極基材119とは、ツイストボール層112を挟持して密封する。画素電極基材106と対向電極基材119とは、ラミネート加工によってツイストボール層112を間に挟んで貼り合わされてもよい。
【0015】
(画素電極基材)
画素電極基材106は、絶縁性を有するフィルム状の保持基材108と、保持基材108上に配置されて、絶縁性を有するフィルム状の第1基材109と、第1基材109上に配置されて所望の形状にパターニングされた画素電極110とを含む。
【0016】
保持基材108は、絶縁性を有するフィルムであり、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などが使用されてもよい。絶縁性樹脂は単体で使用されてもよく、2種類以上に樹脂を組み合わせて使用してもよい。また、保持基材108は、ラミネート加工が可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層された基材であることが好ましい。ベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性を考慮して、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を使用してもよい。シーラントフィルム材料としては、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用してもよい。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性を有する材料からなる塗膜等を用いてもよい。
【0017】
保持基材108は、後述の第2基材117と共にツイストボール層112を密封して、且つ、ツイストボール層112が配置される側とは反対側に第1基材109及び画素電極110を配置されることができれば特に限定されないが、10μm〜300μmの膜厚、好ましくは、15μm〜100μmの膜厚、特に好ましくは、25μm〜50μmの膜厚を有する。
【0018】
第1基材109は、絶縁性を有するフィルムであり、第1基材109上に画素電極110を形成することができる程度の自己支持性を有するものであれば、特にその材料は限定されない。このような第1基材109としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などが使用されてもよい。絶縁性樹脂は単体で使用されてもよく、2種類以上に樹脂を組み合わせて使用してもよい。第1基材109には、不透明な材料を使用してもよい。第1基材109上には、画素電極110及び配線(図示せず)が形成される。また、配線は第1基材109とは異なる基材上に別途構成されてもよい。この場合、異なる基材上に形成された配線は、貫通電極などを用いて画素電極110と接続するように構成してもよい。図示はしないが、第1基材109は、画素電極110の形状に合わせてパターニングされてもよい。
【0019】
第1基材109は、画素電極110を形成することができれば特に限定はされないが、10μm〜300μmの膜厚、好ましくは、15μm〜100μmの膜厚、特に好ましくは、25μm〜50μmの膜厚を有する。
【0020】
画素電極110は、第1基材109上に配置されて、所望の形状にパターニングされる。画素電極110には、第1基材109上に形成された配線(図示せず)を通して、制御回路102からの信号に応じて電圧印加回路103から出力された電圧が印加される。図4は、本発明の画像表示装置100がセグメント駆動型である場合の画素電極110の配置を示す概略図である。図4に示すように、画素電極110は、数字の0から9を表示可能とするために、「8」の字を描くように配置されてもよい。画素電極110は、導電性を有する材料からなり、例えば、Au、Al、Ni、Cuなどの金属、ITO、IZO、SnO、ZnO:Alなどの透明導電体、導電剤を溶媒或いは合成樹脂バインダに混合したもの等であってもよい。導電剤としては、ポリメチルベンジルトリメチルクロライド、ポリアリルポリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性高分子電解質、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩等のアニオン性高分子電解質や、電子伝導性の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、カーボン微粉末、Ag微粉末等が用いられてもよい。特に、フィルム状の第1基材109上に形成されることを考慮して、第1基材109の伸縮に耐えうる柔軟性を有するAu、Cu、Al、Agなどの金属、カーボン微粉末、Ag微粉末を合成樹脂バインダに混合した導電性ペースト等が、画素電極110として使用されることが好ましい。
【0021】
画素電極110は、50nm〜500μmの範囲内の膜厚を有してもよく、好ましくは、100nm〜100μmの範囲内、特に好ましくは、300nm〜50μmの範囲内の膜厚を有する。
【0022】
画素電極110は、例えば、インクジェット法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、凸印刷法等の印刷法で形成されてもよく、特にインクジェット印刷法が好ましい。しかし、画素電極110の形成方法は、上述の形成方法に限定されず、スパッタリング、真空蒸着、CVD法、カッティングマシーンを用いて上述の導電性材料を含む薄膜が形成されたフィルムを所定の形状に切り取り、接着剤を用いて第1基材109上に貼り付ける方法、フォトリソグラフィ等によって形成されてもよい。
【0023】
第1基材109及び画素電極110は、保持基材108上に配置される。配置方法は特に限定されないが、第1基材109と保持基材108とを接着剤等を介して完全に固定して配置してもよく、また、第1基材109と保持基材108とが着脱可能となるように配置してもよい。図2Aに示す表示部101においては、第1基材109と保持基材108とが着脱可能となるように配置することが好ましい。ここでは、第1基材109と保持基材108とが再剥離可能な接着剤を介して互いに接着してもよい。再剥離可能とは、第1基材109と保持基材108とを接着した後に剥離した場合において、第1基材109と保持基材108とが互いに破損することなく剥離することが可能であることを指す。このような接着剤としては、例えば、アクリル系の粘着剤または接着剤、シリコーン系の粘着剤または接着剤、天然ゴム系の粘着剤または接着剤、エチレン−酢酸ビニル(EVA)系の粘着剤または接着剤、ウレタン系の粘着剤または接着剤が使用されてもよい。上述の接着剤は、第1基材109上に塗布されることが好ましい。
【0024】
図2Aに示す表示部101においては、後述する対向電極基材119の第2基材117と共にツイストボール層112を密封する保持基材108と、画素電極110が配置された第1基材109とが別体で構成されるため、画素電極110のパターンを変更する場合、画素電極110を含む第1基材109のみを取り替えて、保持基材108、ツイストボール層112及び対向電極基材119をそのまま繰り返して使用することが可能となる。また、画素電極110からの配線の引き出しを容易に行うことも可能である。
【0025】
図4は、本発明の画像表示装置100がセグメント駆動型である場合の画素電極110の配置の一例を示しているが、本発明の画像表示装置100は、セグメント駆動型に限られたものではなく、アクティブ駆動型であってもよい。図5は、本発明の画像表示装置100がアクティブ駆動型である場合の画素電極の配置を示す概略図である。図5において、画素電極508は、所望の形状にパターニングされてマトリクス状に配置されて、スイッチングトランジスタ506に電気的に接続される。スイッチングトランジスタ506はゲート線502及び電圧印加回路103に接続されたデータ線504に接続されており、ゲート線502から伝達されるゲート信号に応じて、データ線504を通じて電圧印加回路103から出力された電圧が画素電極508に印加される。
【0026】
(対向電極基材)
対向電極基材119は、透明性を有するフィルム状の第2基材117と、第2基材上に形成された対向電極118とを含む。
【0027】
第2基材117は、透明性を有するフィルムであり。その表面に対向電極118を形成できるものであれば特に限定されない。第2基板117は、絶縁性を有していなくてもよいが、絶縁性を有しているものが好ましい。第2基材117が絶縁性を有していることにより、本発明の画像表示装置100において、後述するツイストボール層112中のツイストボール114による画像表示を好適に行うことができる。第2基材の材料としては、透明性を有する材料であれば特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を使用してもよい。また、第2基材117は、ラミネート加工が可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層された基材であることが好ましい。ベースフィルム材料としては、ラミネート加工時の加熱圧着による耐熱性を考慮して、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂を使用してもよい。シーラントフィルム材料としては、無延伸ポリプロピレンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムを使用してもよい。また、ポリウレタン、ポリアクリル、エポキシ樹脂、シリコーン等の熱シール性を有する材料からなる塗膜等を用いてもよい。第2基材117にラミネート加工が可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料が積層された基材を用いる場合、第2基材117の材料として、前述の保持基材108、保持基材108が省略される場合は、前述の第1基材109と同一のベースフィルム材料とシーラントフィルム材料を使用することが好ましい。第2基材117と保持基材108又は第1基材109とのラミネート加工を行う場合、ベースフィルム材料及びシーラントフィルム材料が同一であれば密着性が向上する。
【0028】
第2基材117は、後述する対向電極118を形成できる程度の自己支持性を有するものであれば特に限定されないが、10μm〜300μmの膜厚、好ましくは、15μm〜100μmの膜厚、特に好ましくは、25μm〜50μmの膜厚を有する。
【0029】
対向電極118は、透明性を有する透明電極であり、第2基材117上に形成される。対向電極118としては、例えば、ITO、IZO、SnO、カーボンナノチューブ、PEDOT/PSSやZnO:Alなどの透明導電体が使用されてもよい。また、Al、Cu、Ag、カーボン等の導電性材料を用いてメッシュ状に形成された電極を用いてもよい。対向電極118には、GND電圧が印加されてもよい。或いは、第2基材117上に形成された配線(図示せず)を通して、制御回路102からの信号に応じて電圧印加回路103から出力された所望の電圧が印加されてもよい。
【0030】
対向電極118は、50nm〜10μmの膜厚、好ましくは、100nm〜5μmの膜厚、特に好ましくは、200nm〜1μmの膜厚を有する。
【0031】
対向電極118は、上述した透明導電体を用いてスパッタリング、真空蒸着、CVD法、塗布法等により第2基材117上に薄膜として形成されてもよい。また、これらの方法に限定されず、対向電極118を透明性を有するフィルム上に形成し、そのフィルムを接着剤を用いて第2基材117上の貼り付けてもよく、或いは、ラミネート加工を行い第2基材117上に貼り付けてもよい。また、対向電極118をメッシュ状に形成する場合は、スクリーン印刷やグラビア印刷等の印刷法のよって形成されてもよく、第2基材117上に形成された導電膜をエッチングによりパターニングすることにより形成されてもよい。対向電極118をメッシュ状に形成する場合、線幅を2μm〜30μmの範囲内、メッシュピッチを250μm〜500μmの範囲で形成することが好ましい。
【0032】
以上、第2基材117及び第2基材117上に形成された対向電極118を含む対向電極基材119を説明したが、対向電極基材119は、画素電極基材106と同様に、保持基材(図示せず)を含んでもよい。この場合、対向電極基材119に含まれる保持基材は、上述した保持基材108と同じ構成を有してもよく、この保持基材上に第2基材117及び対向電極118が形成されてもよい。この保持基材と第2基材117とは、再剥離可能な接着剤を介して接着されてもよい。保持基材が対向電極基材119に含まれる場合、この保持基材と上述した保持基材108とは、互いの間にツイストボール層112を挟持して密封しながら、ラミネート加工によって貼り合わされてもよい。
【0033】
(ツイストボール層)
ツイストボール層112は、ツイストボール114と低極性溶媒116aを含む低極性溶媒層116とを含む。図3を参照して、ツイストボール層112について説明する。図3は、ツイストボール114を含むツイストボール層112の拡大図である。ツイストボール114は、本発明の画像表示装置100において、画像を表示する表示媒体として機能する。ツイストボール層112の厚さは、ツイストボール114を回転させることが可能であり、且つ画像を表示することが可能であれば特に限定されないが、50μm〜1000μm、好ましくは、100μm〜700μm、特に好ましくは、200μm〜500μmである。
【0034】
ツイストボール114は、異なる2色に着色された2つの着色領域を有し、異なる着色領域が互いに異なる帯電極性を有する双極性2色相球状粒子である。ツイストボール114は、その平均粒子径が体積基準で表して1.0μm〜400μm、好ましくは、20μm〜200μm、特に好ましくは、50μm〜120μmの粒子径を有し、例えば、正(+)に帯電した黒色相114aと負(−)に帯電した白色相114bとを有する。但し、色相は上述の黒色/白色に限定されず、例えば、有色彩相/白色相(例えば、黒色/白色、赤色/白色など)或いは有色彩相/有色彩相(例えば、黒色/赤色、青色/赤色など)であってもよい。ツイストボール114の2つの着色領域は、互いに異なる正負の帯電状態であれば、どちらの帯電状態であってもよい。
【0035】
ツイストボール114が、正(+)に帯電した黒色相114aと負(−)に帯電した白色相114bとを有する場合、ツイストボール112層を挟持する2つの電極に電圧が印加されると、ツイストボール層112に電界が生ずる。これにより、図3に示すように、ツイストボール114の正(+)に帯電した黒色相114aと負(−)に帯電した白色相114bとが、それぞれの帯電極性とは逆の極性の電圧を印加された電極と対向するようにツイストボール114が回転する。透明電極である対抗電極118側から観察したとき、例えば、対向電極118にGND電圧が印加されて画素電極110に正(+)の極性の電圧が印加されると、ツイストボール112の黒色相114aが対向電極118と対向して「黒」が表示されている状態となり、対向電極118にGND電圧が印加されて画素電極110に負(−)の極性の電圧が印加されると、ツイストボール112の白色相114bが対向電極118と対向して「白」が表示されている状態となる。
【0036】
なお、対向電極118に印加される電圧は一定である必要はない。ツイストボール114の回転を制御する電界がツイストボール層112に生ずればよいため、対向電極118と画素電極110との両方に変化する電圧が加えられ、対向電極118と画素電極110との電位差が変化するようになっていてもよい。あるいは、画素電極110にGND電圧などの一定の電圧が印加され、対向電極118に変化する電圧が印加されてもよい。
【0037】
このようなツイストボール112の色相を形成させる着色剤としては、後述する重合性樹脂成分を含有する流動性分散媒体に不溶性又は均一に分散される染料又は顔料であれば、特に限定されず、適宜選択して使用することができる。使用される染料又は顔料については、例えば、特開2004−197083号公報を参照されたい。使用される着色剤の添加量は、その着色粒子の用途等によっても所望される色調が異なり、また、後述する着色連続相中での分散性等から、本発明においては、着色連続相中の重合硬化成分である全重合性樹脂成分100重量部当たり、0.1重量部〜80重量部で、好ましくは2〜10重量部の範囲で適宜好適に添加することができる。
【0038】
ツイストボール114は、例えば、特開2004−197083号公報に提案されているマイクロチャンネル製造方法で製造されてもよい。マイクロチャンネル製造方法においては、重合性樹脂成分を含有する油性又は水性の流動性媒体中に、この媒体不溶性の着色剤を含有する2色に分相させた着色連続相中の重合性樹脂成分を互いに異なる極性に帯電する重合性モノマーで形成させて、第1マイクロチャンネルに移送させる。次いで、この着色連続相を第2マイクロチャンネル内を流れる水性又は油性の球状粒子化相中に連続又は不連続的に順次吐出させる。球状粒子化相中に吐出された吐出物は、マイクロチャンネル内での一連の吐出・分散・移送中に球状粒子化されながら、球状粒子化相中で順次球状物化される。この球状化された粒子中の重合性樹脂成分を紫外線照射下及び/又は加熱下で重合硬化させることにより、異なる2色に着色された2つの着色領域を有し、異なる着色領域が互いに異なる帯電極性を有する双極性2色相球状粒子であるツイストボール114が形成される。
【0039】
本発明のツイストボール114に用いる重合性樹脂成分、又は重合性モノマーとして、重合性モノマーの官能基又は置換基の種類によって、ツイストボール114の帯電性がそれぞれ負(−)帯電性と正(+)帯電性とを示す傾向にあるモノマー種を挙げることができる。従って、少なくとも2種以上の複数種のモノマーを本発明のツイストボール114の重合性樹脂成分として使用する場合には、その(+)及び(−)帯電性を示す傾向を踏まえて、好ましくは、同種帯電性の傾向にあるモノマー同士を複数組み合わせて適宜好適に使用することができる。
【0040】
ツイストボール114に使用される少なくとも1種の官能基及び/又は置換基を分子内に有する重合性樹脂成分、又は重合性モノマーにおいて、その官能基又は置換基としては、例えば、カルボニル基、ビニル基、フェニル基、アミノ基、アミド基、イミド基、ヒドロキシル基、ハロゲン基、スルホン酸基、エポキシ基及びウレタン結合等を挙げることができる。本発明においては、このような重合性モノマーにおける官能基又は置換基を有するモノマー種の単独又は2種以上の複数種を組み合わせて適宜好適に使用することができる。負(−)帯電性を示す重合性モノマー、及び正(+)帯電性を示す重合性モノマーについては、例えば、特開2004−197083号公報を参照されたい。
【0041】
上述した第2マイクロチャンネルに着色連続相として吐出された後の重合性樹脂成分の重合時におけるこのような重合性モノマーを他の共重合モノマーに組み合わせて使用する場合には、着色樹脂微粒子に託される所望する帯電性又は電気泳動性にもよるが、重量基準で表して、前記帯電性モノマーが、好ましくは全モノマー中1〜100%の範囲で、更に好ましくは5〜100%で、特に好ましくは10〜100%の範囲にある重合性モノマーとの共重合体粒子であれば適宜好適に使用されて、所望するツイストボール114を提供することができる。
【0042】
ツイストボール層112に含まれる低極性溶媒層116は、低極性溶媒116aを含むものであれば特に限定されない。低極性溶媒層116は、低極性溶媒116aと、該低極性溶媒116aで膨潤させたエラストマー材料からなるエラストマーシート116bとから構成される。
【0043】
低極性溶媒116aは、電圧印加時にツイストボール114の回転を円滑にするために用いられる。図3に示すように、低極性溶媒116aは、通常、エラストマーシートに膨潤されて使用される。このような低極性溶媒116aとして、例えば、ジメチルシリコーンオイル、イソパラフィン系溶媒、直鎖パラフィン系溶媒、ドデカン、トリデカンなどを使用してもよいが、これらに限定されず、ツイストボール114を円滑に回転させることができるものであれば特に限定されない。
【0044】
エラストマーシート116bは、低極性溶媒116aを膨潤させることが可能なエラストマー材料からなる。エラストマー材料は、上述のツイストボール114を分散させることが可能であり、且つ低極性溶媒116aで膨潤させることが可能であれば、特に限定されない。このようなエラストマー材料として、例えば、熱硬化型樹脂である、シリコーン樹脂、微架橋したアクリル樹脂、微架橋したスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂などを使用してもよい。
【0045】
上述のエラストマーシート材料にツイストボール114を均一に分散させて、エラストマーシート116bを作成し、該エラストマーシート116bを上述の低極性溶媒116a中に浸漬させて、エラストマーシート116bを低極性溶媒116aで膨潤させて低極性溶媒層116を作成することによって、ツイストボール層112は作成される。作成されたツイストボール層112において、ツイストボール114は周囲を低極性溶媒116aに覆われた状態でエラストマーシート116bに内包されている。そのため、ツイストボール層112を挟持する2つの電極への電圧印加時において、ツイストボール114の回転は円滑となる。
【0046】
ツイストボール層112は、上述の画素電極基材106と対向電極基材119とに挟持される。ツイストボール層112は、画素電極基材106の保持基材108と対向電極基材119の第2基材117との間に挟まれ、保持基材108と第2基材117とをラミネート加工することによって密封されてもよい。また、保持基材108及び第2基材117のそれぞれ電極が配置されている側とは反対側にシール剤を配置することによって、ツイストボール層112を挟持してもよい。シール剤の材料としては、特に限定はされないが、熱硬化樹脂、例えば、エポキシ樹脂などが使用されてもよい。Ag又はNiなどを加えて導電性を持たせた熱硬化樹脂をシール剤として使用してもよい。シール剤122を用いたツイストボール層112の密封方法は、一般的な基材同士を貼り合わせることによる密封方法と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。図示はしないが、対向電極基材119が保持基材を含む場合、ツイストボール層112は、画素電極基材106の保持基材108と対向電極基材119の保持基材との間に挟まれ、保持基材108と対向電極基材119の保持基材とをラミネート加工、或いはシール材を使用して貼り合わせることによって密封されてもよい。
【0047】
以上で説明した、図2Aに示した表示部101は、画素電極基材106に含まれる保持基材108と対向電極基材119に含まれる第2基材117とでツイストボール層112を挟持して密封する構成を有する。しかし、本発明の画像表示装置100において、保持基材108は省略されてもよい。以下、図2Bを参照して、保持基材108が省略された本発明の一実施形態に係る画像表示装置100の表示部101´について説明する。図2Bに示す表示部101´において、図2Aを参照して説明した表示部101の構成と同一又は類似の構成には同一の参照番号を付与し、重複する説明は省略する。
【0048】
図2Bに示す表示部101´は、画素電極基材106と、ツイストボール層112と、対向電極基材119とを含む。画素電極基材106と対向電極基材119とは、ツイストボール層112を挟持して密封する。画素電極基材106と対向電極基材119とは、ツイストボール層112を間に挟み、ラミネート加工によって貼り合わされてもよい。
【0049】
(画素電極基材)
画素電極基材106は、絶縁性を有するフィルム状の第1基材109と、第1基材109上に配置されて所望の形状にパターニングされた画素電極110とを含む。
【0050】
第1基材109は、図2Aを参照して説明した表示部101の第1基材109と同様に、絶縁性を有するフィルムであり、第1基材109上に画素電極110を形成することができる程度の自己支持性を有するものであれば、特にその材料は限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンコポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂などが使用されてもよい。絶縁性樹脂は単体で使用されてもよく、2種類以上に樹脂を組み合わせて使用してもよい。第1基材109には、不透明な材料を使用してもよい。第1基材109上には、画素電極110及び配線(図示せず)が形成される。また、配線は第1基材109とは異なる基材上に別途構成されてもよい。この場合、異なる基材上に形成された配線は、貫通電極などを用いて画素電極110と接続するように構成してもよい。表示部101´において、第1基材109はパターニングされない。
【0051】
表示部101´の第1基材109には、上述したラミネート加工が可能なベースフィルム材料とシーラントフィルム材料とが積層された基材を用いることが好ましい。表示部101´の第1基材109に用いられるラミネート加工が可能なベースフィルム材料及びシーラントフィルム材料については、図2Aを参照して説明した表示部101の保持基材108に使用されるラミネート加工が可能なベースフィルム材料及びシーラントフィルム材料と同じ材料が使用できる。
【0052】
第1基材109は、画素電極110を形成することができれば特に限定はされないが、10μm〜300μmの膜厚、好ましくは、15μm〜100μmの膜厚、特に好ましくは、25μm〜50μmの膜厚を有する。
【0053】
表示部101´における画素電極110は、図2Aに示された表示部101の画素電極110と同様に、第1基材109上に形成されて、所望の形状にパターニングされる。表示部101´における画素電極110の構成は、図2Aに示された表示部101の画素電極110と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0054】
表示部101´におけるツイストボール層112及び対向電極基材119の構成は、図2Aに示した表示部101のツイストボール層112及び対向電極基材119の構成と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0055】
表示部101´において、ツイストボール層112は、上述の画素電極基材106と対向電極基材119とに挟持される。ツイストボール層112は、画素電極基材106の第1基材109と対向電極基材119の第2基材117との間に挟まれ、第1基材109と第2基材117とをラミネート加工することによって密封されてもよい。また、第1基材109及び第2基材117のそれぞれ電極が配置されている側とは反対側にシール剤を配置することによって、ツイストボール層112を挟持してもよい。シール剤の材料としては、特に限定はされないが、熱硬化樹脂、例えば、エポキシ樹脂などが使用されてもよい。Ag又はNiなどを加えて導電性を持たせた熱硬化樹脂をシール剤として使用してもよい。シール剤122を用いたツイストボール層112の密封方法は、一般的な基材同士を貼り合わせることによる密封方法と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
以上で説明した、図2Bに示した表示部101´は、保持基材が省略されているため、表示部101´の製造にかかるコストと時間が低減される。
【0057】
図示はしないが、表示部101´の対向電極基材119は、保持基材を含んでもよい。この場合、対向電極基材119に含まれる保持基材は、図2Aに示した表示部101の保持基材108と同じ構成を有してもよく、この保持基材上に第2基材117及び対向電極118が形成されてもよい。この保持基材と第2基材117とは、再剥離可能な接着剤を介して接着されてもよい。保持基材が対向電極基材119に含まれる場合、この保持基材と上述した第1基材109とは、互いの間にツイストボール層112を挟持して密封しながら、ラミネート加工によって貼り合わされてもよい。
【0058】
(制御回路)
本発明の画像表示装置100の一実施形態に係る制御回路102は、表示部101での所望の画像表示を行う際に、画素電極110に所定の電圧を印加する。制御回路102は、画像を表示するための書き込みパルスと、書き込みパルスを印加する前に印加されて該書き込みパルスとは逆極性を有するプレパルスを表示部101の画素電極110に印加する。本実施形態において、図1に示したように、制御回路102は、電圧印加回路103と表示制御回路104とプレパルス制御回路105とを有する。
【0059】
制御回路102の電圧印加回路103は、画素電極110と対向電極118との間に印加されて、画素電極110と対向電極118との間に所定の大きさの電位差を発生させるための書き込みパルス、及び書き込みパルスの印加の前に画素電極110と対向電極118との間に印加されて、書き込みパルスとは逆極性を有するプレパルスを印加する回路である。
【0060】
尚、制御回路102は、画素電極110にのみ書き込みパルスを印加するのではなく、対向電極118と画素電極110とのいずれか一方または両方に変化する電圧を印加して、画素電極110にのみ書き込みパルスを印加した場合と同じ電界がツイストボール層112に生ずるようにしてもよい。同様に、制御回路102は、画素電極110にのみプレパルスを印加するのではなく、対向電極118と画素電極110とのいずれか一方または両方にプレパルスに対応する電圧を印加して、画素電極110にのみプレパルスを印加した場合と同じ電界がツイストボール層112に生ずるようにしてもよい。説明を簡単にするために、書き込みパルスおよびプレパルスが主に画素電極110に印加されるとして説明する。また、「画素電極110と対応電極118との間に書き込みパルスを印加する」と記したり、「画素電極110と対向電極118との間にプレパルスを印加する」と記したりする場合がある。
【0061】
前述のように、従来の画像表示装置は、例えば、セグメント駆動型のデジタル時計として使用する場合、制御回路及び電圧印加回路に起因する印加電圧の制限や、秒単位を表示するための書き換え時間、即ち表示切替え時間などの制約があるため、図15に示すような、通常の書き込みパルスのみの印加ではコントラストが悪化し、良好な表示が得られないという問題があった。図15は、従来の画像表示装置をセグメント駆動型の表示装置をして使用する場合において、「1」、「2」、「3」の表示を連続して行う際に、表示部の画素電極の1つに印加される電圧パターンの一例図である。
【0062】
図6は、本発明の画像表示装置100において、所望の表示を行う際に、表示部101の画素電極110に印加される電圧パターンの一例図である。本発明の画像表示装置100は、表示部101の表示する画像の表示書き換えのための書き込みパルスを画素電極110に印加する前に、該書き込みパルスとは逆極性のプレパルス(図6における破線に囲まれたパルス)を画素電極110に印加することによって、ツイストボール114に作用する実効電界が大きくなり、コントラストの高い良好な画像表示を行うことが可能となる。例えば、図4に示す画素電極110を参照すると、「1」、「2」、「3」の表示を連続して行う際、aの画素電極110には、図6に示すような電圧パターンが印加される。
【0063】
本発明の画像表示装置100がセグメント駆動によって駆動され、正(+)に帯電した黒色相114aと負(−)に帯電した白色相114bとを有するツイストボール114を有する場合におけるプレパルス及び書き込みパルスの印加について図4を参照して詳しく説明する。尚、図4のセグメント駆動によって駆動される画像表示装置100において、背景及び非表示のセグメントを黒とし、セグメントの表示を白表示とする場合について説明する。
【0064】
表示部101に「1」を表示する場合、「1」を表示するための書き込みパルスをa〜gの画素電極110に印加する前に、正(+)極性を有する書き込みパルスとは逆極性の負(−)極性を有するプレパルスP1をa、b、c、d、gの画素電極110に所定時間印加し、負(−)極性を有する書き込みパルスとは逆極性の正(+)極性を有するプレパルスP1をe、fの画素電極110に所定時間印加する。プレパルスP1を印加した後に、「1」を表示するための(+)極性の書き込みパルスをa、b、c、d、gの画素電極110に印加し、(−)極性の書き込みパルスをe、fの画素電極110に印加する。
【0065】
表示部101に「1」を表示した後に、表示部101の表示を「2」に切り替える場合、「2」を表示するための書き込みパルスをa、c、d、e、gの画素電極110に印加する前に、書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを印加する、負(−)極性を有する書き込みパルスとは逆極性の正(+)極性を有するプレパルスをa、c、d、gの画素電極110に所定時間印加し、正(+)極性を有する書き込みパルスとは逆極性の負(−)極性を有するプレパルスをeの画素電極110に印加する。プレパルスを印加した後に、「2」を表示するための負(−)極性の書き込みパルスをa、c、d、gの画素電極110に印加し、正(+)極性を有する書き込みパルスをeの画素電極110に印加する。
【0066】
ここで、表示部101に「1」を表示した後に、表示部101の表示を「2」に切り替えた場合、「2」を表示するためにbの画素電極110に印加される書き込みパルスの極性は正(+)であり、且つfの画素電極110に印加される書き込みパルスの極性は負(−)である。bとfの画素電極110については、「1」及び「2」を表示するための書き込みパルスの極性が同一であるため、表示部101の表示を「1」から「2」に切り替える際に、bとfの画素電極110には、書き込みパルスもプレパルスも印加する必要がない。以上、セグメントの表示部を白表示とし、背景及び非表示部を黒とする場合について説明したが、これとは逆に、セグメントの表示部を黒表示とし、背景及び非表示部を白とする場合は、上述した書き込みパルス及びプレパルスの極性とは反対の極性のパルスをa〜gの画素電極110にそれぞれ印加すればよい。
【0067】
ここでは、本発明の画像表示装置100において、所望の表示を行う際に、表示部101の画素電極110に印加される電圧について説明した。しかし、本発明の画像表示装置100において、表示部101の表示する画像の表示書き換えのための所望の電圧を対向電極118にも印加する場合、書き込みパルスを対向電極118に印加する前に、該書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを対向電極118に印加してもよい。この場合、例えば、表示部101の背景及び非表示のセグメントを黒とし、セグメントの表示を白表示とし、表示部101で「1」、「2」を続けて表示する場合、画素電極110にのみプレパルス及び書き込みパルスが印加された場合と同じ電界がツイストボール層112に生ずるように対向電極118に所定の電圧を印加してもよい。
【0068】
制御回路102の表示制御回路104は、表示部101に所望の画像表示を行なう際に、書き込みパルスを1回印加するための回路である。書き込みパルスの印加は、電圧印加回路103を動作させて行ってもよい。表示制御回路104により印加される書き込みパルスの電圧は、表示部101に表示される画像のコントラストに大きく影響するため、所望のコントラストが得られる電圧であることが必要である。本発明においては、書き込みパルスの電圧の絶対値は、150V〜250Vであり、より好ましくは、180V〜220Vである。電圧の絶対値が150Vよりも小さい場合、良好な表示特性が得られず、電圧の絶対値が250Vよりも大きい場合、制御回路102などの必要耐圧が高まるため、回路構成の制約が大きくなる。書き込みパルスの印加時間、即ち書き込みパルスのパルス幅は、150msec以上500msec以下、より好ましくは、200msec以上500msec以下である。150msecよりも短い場合、良好な表示特性が得られず、500msecよりも長い場合、本発明の画像表示装置100が、例えば、1secの間に書き込み表示する必要があるデジタル時計などに適用されることができない。
【0069】
制御回路102のプレパルス制御回路105は、表示制御回路104による書き込みパルスの印加前に、書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを印加するための回路である。プレパルスの印加は、電圧印加回路103を動作させることによって行なってもよい。プレパルスの電圧は、直後に印加される書き込みパルスの電圧に依存し、書き込みパルスの電圧の絶対値が大きければ、プレパルスの電圧の絶対値が小さくても良好な表示特性を得ることができる。書き込みパルスの電圧の絶対値が前述の範囲である場合、プレパルスの電圧の絶対値は、120V〜250Vであればよく、好ましくは180V〜220Vであり、書き込みパルスの電圧の絶対値と等しければ特に好ましい。プレパルスの電圧の絶対値が小さすぎると、プレパルスの十分な効果が得られず、大きすぎると、電圧印加回路103などの部品などの必要耐圧が高まるため、回路構成の制約が大きくなる。プレパルスの電圧の絶対値が書き込みパルスの電圧の絶対値と等しい場合、回路制約が最も小さい。プレパルスの印加時間、即ちプレパルスのパルス幅は、書き込みパルスの電圧や印加時間にもよるが、書き込みパルスの電圧や印加時間が前述の範囲であれば、200msec以上750msec以下、好ましくは、250msec以上500msec以下である。100msecよりも短い場合、プレパルスの十分な効果が得られず、750msecよりも長い場合、本発明の画像表示装置100が、例えば、1secの間に書き込み表示する必要があるデジタル時計などに適用されることができない。
【0070】
本実施形態においては、制御回路102は、電圧印加回路103と、表示制御回路104と、プレパルス制御回路105とを有するが、本発明はこれに限定されず、制御回路102は、電圧印加回路103、表示制御回路104、及びプレパルス制御回路105を含まなくてもよく、上記回路のそれぞれの機能を制御回路102内の別の構成によって実行してもよい。
【0071】
図7は、本発明の画像表示装置100の処理を説明するフローチャートである。図7において、処理S701として、画素電極110と対向電極118との間にプレパルスの印加を行なう。そして、処理S702として、画素電極110と対向電極118との間に書き込みパルスの印加を行なう。
【0072】
上述の処理は、CPU、メモリ、外部インターフェースを備えるマイクロコンピュータなどを用いて画像表示装置100を構成し、図7に示すフローチャートを実行するプログラムをCPUによって動作させることによって実現可能である。また、処理S701と処理S702に対応する状態を有する順序回路を用いることにより、プログラムを動作させることなく専用のハードウェアにより、上述の処理を実現することができる。
【0073】
以下、本発明の画像表示装置100の表示部101の画素電極110にプレパルス及び/又は書き込みパルスを印加した場合における、表示部101の視認性の測定例を示す。
【0074】
表示部101のツイストボール層112は、正(+)に帯電した黒色相と負(−)に帯電した白色相とを含み、平均粒子径が約100μmのツイストボール114を上述したマイクロチャンネル法によって製造し、製造したツイストボール114を熱硬化型シリコーン樹脂中に分散させて、コーターによってガラス基板に塗布し、熱処理を行うことで、ツイストボール114が分散された厚さ300μmのシートを作製し、次いで、作製したツイストボール114が分散されたシートをシリコーンオイル中に24時間浸漬させて、シートにシリコーンオイルを膨潤させることにより作製した。
【0075】
また、ベースフィルム材料としてPET(ポリエチレンテレフタラート)を使用し、シーラント材料としてCPP(無延伸ポリプロピレン)を使用し、PET面にITOが形成されたラミネートフィルム(CPP/PET)を対向電極基材119として準備した。さらに、Ag粒子(約50μm径)が溶媒中に分散されたインクを準備し、インクジェット法によりラミネートフィルム(CPP/PET)のPET面に所望の形状にパターニングして画素電極基材106として準備した。尚、ここでは、保持基材108は省略した。
【0076】
ITO面を外側にした対向電極基材119とAgをパターニングした面を外側にして画素電極基材106とでツイストボール層112を挟み、ラミネート加工することにより、ツイストボール層112を密封してセグメント駆動用の表示部101を作成し、画素電極基材106に形成されたパターンに応じて導電テープ及びリード線を用いて配線した。
【0077】
(測定例1)
測定例1では、上述のように作成した表示部101に表示色として黒を1秒間表示後、白を9秒間表示する10秒間のサイクルとなるようなパルスを印加した。黒を表示する際は、プレパルスとして電圧−180Vで、パルス幅が250msecのパルスを加えた直後に、電圧+180Vで、パルス幅が250msecの書き込みパルスを画素電極110に加えた。白を表示する際は、プレパルスとして電圧+180Vで、パルス幅が250msecのパルスを加えた直後に電圧−180Vで、パルス幅が250msecの書き込みパルスを画素電極110に加えた。本測定例では、対向電極118にGND電圧を加えた。本実施例では、黒の書き込みから白の書き込みまでの1秒間に表示が変化することなく、良好な表示特性が得られた。尚、表示部101には、矩形波のプレパルス及び書き込みパルスを印加した。
【0078】
以下の表1に測定例1において表示部101に印加したプレパルス及び書き込みパルスの電圧、パルス幅(印加時間)、パルスの波形、視認性の判定結果を示す。尚、測定例1のプレパルス及び書き込みパルスの波形は、図8に示すようになる。図8において、P1及びP2はプレパルスを示し、V1及びV2は書き込みパルスを示す。
【表1】


○:良好
【0079】
(比較例1)
比較例1では、プレパルスを加えずに、黒及び白の書き込みパルスのみを加えたこと以外は、上述の測定例1と同じ条件で表示部101に各電圧を画素電極110に印加した。比較例1において、黒の書き込み直後にツイストボールが再反転し、灰色を示す表示不良となった。また、測定例1よりも白が薄かった。
【0080】
(比較例2)
比較例2では、黒の書き込みパルスの前のプレパルスを加えなかったこと以外は、上述の測定例1と同じ条件で表示部101に各電圧を画素電極110に印加した。黒の書き込み直後にツイストボールが再反転し、灰色を示す表示不良となった。白は測定例1と同等の濃さであった。
【0081】
(比較例3)
比較例3では、白の書き込みパルスの前のプレパルスを加えなかったこと以外は、上述の測定例1と同じ条件で表示部101に各電圧を画素電極110に印加した。白の書き込み直後にツイストボールが再反転し、灰色を示す表示不良となった。黒は測定例1と同等の濃さであった。
【0082】
以下の表2に比較例1〜比較例3において表示部101に印加したプレパルス及び書き込みパルスの電圧、パルス幅(印加時間)、パルスの波形、視認性の判定結果を示す。尚、比較例1〜比較例3のプレパルス及び書き込みパルスの波形は、図9(a)〜(c)に示すようになる。図9(a)は比較例1の書き込みパルスの波形を示し、図9(b)は比較例2のプレパルス及び書き込みパルスの波形を示し、図9(c)は比較例3のプレパルス及び書き込みパルスの波形を示す。図9(a)〜(c)において、P1及びP2はプレパルスを示し、V1及びV2は書き込みパルスを示す。
【表2】


×:不良
【0083】
さらに、本発明の画像表示装置100の表示部101の画素電極110に印加するプレパルス及び/又は書き込みパルスの電圧、パルス幅(印加時間)、パルスの波形を表3に示すように適宜変更して表示部101の視認性を測定した。
【0084】
【表3】


○:良好
△:違和感が有るが、問題なく視認できる
表1における*部分については、以下で詳述する。
【0085】
表3に示した測定例2乃至測定例17について、図8、図11(a)〜(d)、及び図12(a)〜(f)を参照して説明する。表3に示したように、表示部101の視認性の測定時において、書き込みパルス及びプレパルスの電圧、パルス幅だけでなく、波形も適宜変更した。上の表3に記載された波形について、図10(a)〜(c)を参照すると、図10(a)は「正弦波」を示し、図10(b)は「三角波」を示し、図10(c)は「のこぎり波」を示す。
【0086】
測定例2では、書き込みパルスV1、V2及びプレパルスP1、P2の電圧を±150Vとしたこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例2の書き込みパルスV1、V2及びプレパルスP1、P2の波形図は、測定例1と同様に図8に示すような波形図となった。測定例2においては、表示部101の視認性には違和感があった。
【0087】
測定例3では、±180V、250msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、100msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例3の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(a)に示すような波形図となった。測定例3においては、表示部101の視認性は違和感があった。
【0088】
測定例4では、±150V、500msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±150V、500msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例4の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図8に示すような波形図となった。測定例4において、表示部101の視認性は良好であった。
【0089】
測定例5では、±150V、500msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±150V、250msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例5の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(a)に示すような波形図となった。測定例5において、表示部101の視認性は良好であった。
【0090】
測定例6では、±150V、250msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±150V、500msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例6の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(b)に示すような波形図となった。測定例6において、表示部101の視認性は良好であった。
【0091】
測定例7では、±150V、500msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±150VのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例7におけるプレパルスP1及びP2は、パルス幅125msecのプレパルス印加期間を3回含み、3回のプレパルスの印加の間に62.5msecのパルス休止期間を2回含む。測定例7の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(c)に示すような波形図となった。測定例7において、表示部101の視認性は良好であった。
【0092】
測定例8では、書き込みパルスV1、V2及びプレパルスP1、P2のパルス幅を±200msecとしたこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例8の書き込みパルスV1、V2及びプレパルスP1、P2の波形図は、測定例1と同様に図8に示すような波形図となった。測定例8においては、表示部101の視認性には違和感があった。
【0093】
測定例9では、±180V、200msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、500msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例9の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(b)に示すような波形図となった。測定例9において、表示部101の視認性は良好であった。
【0094】
測定例10では、±180V、250msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加した。測定例10では、プレパルスP1、P2を印加した後に、10msecのパルス休止期間を設けたこと以外の条件は、測定例1と同じである。書き込みパルス測定例10の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(d)に示すような波形図となった。測定例10において、表示部101の視認性は良好であった。
【0095】
測定例11では、プレパルスP1、P2を印加した後に、50msecのパルス休止期間を設けたこと以外の条件は、測定例13と同じである。書き込みパルス測定例11の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図11(d)に示すような波形図となった。測定例11においては、表示部101の視認性は違和感があった。
【0096】
測定例12では、±180V、250msecの正弦波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの矩形波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例12の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(a)に示すような波形図となった。測定例12においては、表示部101の視認性は違和感があった。
【0097】
測定例13では、±180V、250msecの矩形波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの正弦波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例13の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(b)に示すような波形図となった。測定例13において、表示部101の視認性は良好であった。
【0098】
測定例14では、±180V、250msecの三角波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの矩形波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例14の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(c)に示すような波形図となった。測定例14においては、表示部101の視認性は違和感があった。
【0099】
測定例15では、±180V、250msecの矩形波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの三角波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例15の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(d)に示すような波形図となった。測定例15において、表示部101の視認性は良好であった。
【0100】
測定例16では、±180V、250msecののこぎり波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの矩形波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例16の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(e)に示すような波形図となった。測定例16においては、表示部101の視認性は違和感があった。
【0101】
測定例17では、±180V、250msecの矩形波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecののこぎり波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。測定例17の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図12(f)に示すような波形図となった。測定例17において、表示部101の視認性は良好であった。
【0102】
さらに、比較例として、本発明の画像表示装置100の表示部101の画素電極110に印加するプレパルス及び/又は書き込みパルスの電圧、パルス幅(印加時間)、パルスの波形を表4に示すように適宜変更して表示部101の視認性を測定した。
【0103】
【表4】


×:不良
【0104】
表4に示した比較例4乃至比較例12について、図13(a)〜(c)及び図14(a)〜(f)を参照して説明する。
【0105】
比較例4では、±180V、100msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、100msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例4の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図13(a)に示すような波形図となった。比較例4においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0106】
比較例5では、±180V、100msecの書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecのプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例5の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図13(b)に示すような波形図となった。比較例5においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0107】
比較例6では、プレパルスを印加せずに、±180V、500msecの書き込みパルスV1、V2のみを画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例6の書き込みパルスの波形図は、図13(c)に示すような波形図となった。比較例6においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0108】
比較例7では、プレパルスを印加せずに、±180V、250msecの正弦波の書き込みパルスV1、V2のみを画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例7の書き込みパルスの波形図は、図14(a)に示すような波形図となった。比較例7においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0109】
比較例8では、±180V、250msecの正弦波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは±逆極性の180V、250msecの正弦波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例8の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図14(b)に示すような波形図となった。比較例8において、表示部101の良好な視認性は得られなかったが、プレパルスを全く印加しなかった比較例7よりは良好であった。
【0110】
比較例9では、プレパルスを印加せずに、±180V、250msecの三角波の書き込みパルスV1、V2のみを画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例9の書き込みパルスの波形図は、図14(c)に示すような波形図となった。比較例9においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0111】
比較例10では、±180V、250msecの三角波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecの三角波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例10の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図14(d)に示すような波形図となった。比較例10において、表示部101の良好な視認性は得られなかったが、プレパルスを全く印加しなかった比較例9よりは良好であった。
【0112】
比較例11では、プレパルスを印加せずに、±180V、250msecののこぎり波の書き込みパルスV1、V2のみを画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例11の書き込みパルスの波形図は、図14(e)に示すような波形図となった。比較例11においては、表示部101の良好な視認性は得られなかった。
【0113】
比較例12では、±180V、250msecののこぎり波の書き込みパルスV1、V2を画素電極110に印加する直前に、該書き込みパルスV1、V2とは逆極性の±180V、250msecののこぎり波のプレパルスP1、P2を画素電極110に印加したこと以外の条件は、測定例1と同じである。比較例12の書き込みパルス及びプレパルスの波形図は、図14(f)に示すような波形図となった。比較例12において、表示部101の良好な視認性は得られなかったが、プレパルスを全く印加しなかった比較例11よりは良好であった。
【0114】
上述の測定例1乃至測定例17における本発明の画像表示装置100の表示部101の視認性の測定結果を参照すると、本発明の画像表示装置100において、所望の表示を行う際に、表示部101の表示する画像の表示書き換えのための書き込みパルスを画素電極110に印加する前に、該書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを画素電極110に印加することによって、コントラストの高い良好な画像表示を行うことが可能となることが分かる。尚、以上の測定例及び比較例では、本発明の画像表示装置100の表示部101の画素電極110にプレパルス及び/又は書き込みパルスを印加した場合について説明したが、対向電極118に書き込みパルスを印加する場合、対向電極に118書き込みパルスを印加する前にプレパルスを印加しても、画素電極110に書き込みパルスを印加する前にプレパルスを印加する場合と同じ効果を奏することが可能である。
【符号の説明】
【0115】
100 画像表示装置
101 表示部
101´ 表示部
102 制御回路
110 画素電極
112 ツイストボール層
114 ツイストボール
118 対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極を含む第1部材と、第2電極を含む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に挟持され、且つ異なる着色領域に互いに異なる帯電極性を有する2色相球状粒子が分散された表示媒体と、を有して表示を行う表示部と、
前記第1電極と前記第2電極との間に書き込みパルスを印加する前に、前記書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを前記第1電極と前記第2電極との間に印加する制御回路と、
を有する画像表示装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記第1電極と前記第2電極との間に前記プレパルスを休止期間を挟んで複数回印加することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記制御回路は、前記第1電極と前記第2電極との間に前記プレパルスを印加した後、前記書き込みパルスを休止期間を挟んで印加することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
第1電極を含む第1部材と、第2電極を含む第2部材と、前記第1部材と前記第2部材との間に挟持され、且つ異なる着色領域に互いに異なる帯電極性を有する2色相球状粒子が分散された表示媒体と、を有して表示を行う表示部を含む画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1電極と前記第2電極との間に書き込みパルスを印加する前に、前記書き込みパルスとは逆極性のプレパルスを前記第1電極と前記第2電極との間に印加すること、
を含む画像表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記プレパルスは、休止期間を挟んで複数回印加されることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記書き込みパルスは、前記プレパルスを印加した後、休止期間を挟んで印加されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−220652(P2012−220652A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85121(P2011−85121)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】