説明

画像表示装置及びプログラム

【課題】画像に重ねられた座標系を移動させる場合に、画像上にプロットをし直す手間を省く。
【解決手段】関数電卓1は、画像の表示領域に座標系を設定するCPU11と、ユーザ操作に基づいて座標系内にプロット点Pを形成する入力部14とを備える。CPU11は、プロット点Pの集合に対する近似グラフを算出して座標系内に表示させるとともに、そのグラフ式をディスプレイ3に表示させる。また、CPU11はユーザ操作に基づいて表示画面内の画像を固定しつつ、当該画像上に設定される座標系の表示範囲を移動させる。CPU11は、座標系の表示範囲の移動の前後に亘って画像上で各プロット点Pの位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点Pの座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点Pの表示を更新し、近似グラフについての表示内容を更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮影画像を表示する画像表示装置においては、移動物体の撮影画像を背景として表示させつつ、当該移動物体の測定データをグラフ化して描画することにより、グラフの形状と物理的な事象とを関連付けて学習できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。また、このような電子機器においては、画像上の複数の位置をユーザがプロットすると、これらのプロットにフィットするグラフが計算され、画像に重ねて表示されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−131665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、画像に重ねられる座標系を移動させると、プロットが座標系と一緒に移動してしまい、画像上での元の位置からずれてしまうため、改めてプロットをし直す必要が生じてしまう。
【0005】
本発明の課題は、画像に重ねられた座標系を移動させる場合に、画像上にプロットをし直す手間を省くことのできる画像表示装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、画像表示装置において、
表示画面内に画像を表示する表示手段と、
前記表示画面における画像の表示領域に対し、2つの座標軸から定まる座標系を設定する座標系設定手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記座標系内に複数のプロット点を形成するプロット手段と、
前記座標系における各プロット点の座標を前記画像に対応づけて記憶するプロットデータ記憶手段と、
前記座標系内での前記複数のプロット点の座標値をそれぞれ取得し、これら複数のプロット点の集合に対する近似グラフを算出して前記座標系内に表示させるとともに、当該近似グラフのグラフ式を前記表示手段に表示させるグラフ表示制御手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示画面内の前記画像を固定しつつ、当該画像上に設定される前記座標系の表示範囲を移動させる表示範囲移動手段と、
前記表示範囲移動手段による各座標軸方向の移動量を記憶する移動量記憶手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後に亘って前記画像上で各プロット点の位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点の座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示を更新するプロット補正手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動された場合に、ユーザ操作に基づいて前記グラフ表示制御手段による表示内容を更新させるグラフ更新制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像に重ねられた座標系を移動させる場合に、画像上にプロットをし直す手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】関数電卓の概略構成を示す平面図である。
【図2】関数電卓の機能構成を示すブロック図である。
【図3】画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】画像表示処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図6】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【図7】ディスプレイの表示内容を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本発明に係る実施の形態の一例を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0010】
[1.関数電卓の構成]
[1−1.外観構成]
図1は、関数電卓1の概略構成を示す概念図である。
この図に示すように、関数電卓1は、各種キー群を有する入力キー群2と、ディスプレイ3と、を備えている。
【0011】
入力キー群2は、ユーザから数値や演算記号等の数式構成要素の入力操作を受けたり、各種処理の指示操作を受けたりするためのキー群であり、それぞれ固有の機能を割り当てられた複数のキーを備えている。本実施の形態においては、入力キー群2は、テンキー20や演算記号キー21、カーソルキー22、EXEキー23、削除キー24等を備えている。
【0012】
このうち、テンキー20は数値の入力操作を受けるキーであり、演算記号キー21は四則演算の記号や括弧など、各種演算記号の入力操作を受けるキーである。
【0013】
カーソルキー22は、ディスプレイ3内で編集対象位置や選択対象位置を示すカーソルを所定の方向に移動させる場合等に押下されるキーであり、本実施の形態においては、上下左右の4方向について入力可能に構成されている。
【0014】
EXEキー23は、処理の実行指示や決定指示の入力操作を受けるキーであり、例えば数式の入力後に演算処理の実行を指示するキーとして機能するようになっている。削除キー24は、ディスプレイ3に表示されている数値や演算記号などの削除操作を受けるキーである。
【0015】
ディスプレイ3は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electronic Luminescent Display)等により構成されており、入力キー群2などの操作に応じた文字や符号、数式、演算結果、座標軸、グラフなどの他、関数電卓1を使用するために必要な各種データを表示するようになっている。なお、本実施の形態におけるディスプレイ3では、横方向にX軸、縦方向にY軸が表示され、当該XY軸によりXY座標系が表示されるようになっている。更に、本実施の形態におけるディスプレイ3には、タッチパネル30が表示画面全面に亘って一体的に設けられている。
【0016】
[1−2.機能構成]
続いて、関数電卓1の機能構成を説明する。
図2は、関数電卓1の概略的な機能構成を示すブロック図である。
【0017】
この図に示すように、関数電卓1は、入力部14と、表示部15と、通信部16と、記録媒体読取部17と、RAM(Random Access Memory)12と、記憶部13と、CPU(Central Processing Unit)11と、を備えて構成されている。
【0018】
入力部14は、上述の入力キー群2及びタッチパネル30を備えており、押下されたキーやタッチパネル30の位置に対応する信号をCPU11に出力するようになっている。
【0019】
表示部15は、上述のディスプレイ3を備えており、CPU11からの表示信号に従って各種情報をディスプレイ3に表示するようになっている。
【0020】
通信部16は、インターネットに接続可能となっており、これにより、インターネットに接続される外部機器との通信が可能となっている。
記録媒体読取部17は、着脱自在に装着されるUSBメモリ等の外部情報記憶媒体17Aから情報を読み取るものである。
【0021】
RAM12は、情報を一時的に格納する揮発性のメモリであり、実行される各種プログラムやこれら各種プログラムに係るデータ等を格納する複数のワークエリアを有する。
【0022】
記憶部13は、ROM(Read Only Memory)等により構成される不揮発性のメモリであり、各種プログラム及び各種データを記憶している。具体的には、記憶部13は、本発明に係るプログラムとしての画像表示プログラム130と、画像ファイル群131とを記憶している。
【0023】
画像表示プログラム130は、後述の画像表示処理(図3〜図4参照)をCPU11に実行させるためのプログラムである。
【0024】
画像ファイル群131には、ディスプレイ3に表示可能な画像についての画像ファイル132が複数含まれている。これらの画像ファイル132は、通信部16を介して受信されるようになっている。
【0025】
各画像ファイル132は、画像データ133と、座標系表示範囲設定データ134と、プロットデータテーブル135と、変位量テーブル136とを互いに対応付けた状態で有している。
【0026】
このうち画像データ133は、座標系に重ねて表示可能な画像についてのデータであり、グラフで近似し得る所定形状(例えば放物線や直線など)を表すようになっている。但し、画像データ133の画像としては、作図された画像など、実際の事象とは異なる画像を用いても良い。また、グラフで近似し得る所定形状は放物線や直線に限られず、他の形状であっても良い。
【0027】
また、座標系表示範囲設定データ134は、表示画面内の画像表示領域に合わせて設定されるべきXY座標系の表示範囲(XY軸の上限値,下限値)についてのデータである。但し、この座標系表示範囲設定データ134は、画像ファイル132に含まれていなくても良い。
【0028】
また、プロットデータテーブル135は、後述の画像表示処理(図3〜図4参照)においてプロット点P(図5(b)参照)のXY座標値を格納するテーブルである。なお、本実施の形態におけるプロットデータテーブル135は、リスト番号ごとにプロット点Pの座標値群を記憶するようになっており、より具体的には、或るリスト番号に対応付けられた座標値群と、別のリスト番号に対応付けられた座標値群とを別々のグループの座標値として記憶するようになっている。
【0029】
また、変位量テーブル136は、後述の画像表示処理(図3〜図4参照)においてXY座標系が平行移動された場合に、そのX軸方向,Y軸方向の移動量(Δ(X,Y))と、移動回数を示す番号(以下、変位番号とする)(Δ1,Δ2,…)と、移動前のプロット点Pの座標値群についてのリスト番号とを対応付けて記憶するようになっている。
【0030】
CPU11は、関数電卓1の各部を中央制御する。具体的には、CPU11は、記憶部13に記憶されているシステムプログラム及び各種アプリケーションプログラムの中から指定されたプログラムをRAM12に展開し、RAM12に展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
【0031】
[2.関数電卓の動作]
続いて、関数電卓1の動作について、図3〜図4を参照しつつ説明する。
図3〜図4は、CPU11が記憶部13から画像表示プログラム130を読み出して実行する画像表示処理の動作を説明するためのフローチャートである。
【0032】
図3に示すように、この画像表示処理においてまずCPU11は、画像上にプロット点Pを形成する機能(以下、ピクチャプロット機能とする)の実行がユーザにより選択されるか否かを判定し(ステップS1)、選択されないと判定した場合(ステップS1;No)には他の処理へ移行する。
【0033】
また、ステップS1においてピクチャプロット機能の実行が選択されたと判定した場合(ステップS1;Yes)には、CPU11は、ユーザ操作に基づいて、画像ファイル群131における何れかの画像データ133を、指定画像データ133Sとして指定する(ステップS2)。この指定画像データ133Sの画像は、後述の処理においてプロット点Pの背景として表示される。
【0034】
次にCPU11は、指定画像データ133Sに座標系表示範囲設定データ134が付加されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0035】
このステップS3において指定画像データ133Sに座標系表示範囲設定データ134が付加されていると判定した場合(ステップS3;Yes)には、CPU11は、当該座標系表示範囲設定データ134で示されるXY座標系の表示範囲に基づいて、ディスプレイ3における画像の表示領域にXY座標系を重ねて設定した後(ステップS4)、後述のステップS9に移行する。
【0036】
また、ステップS3において指定画像データ133Sに座標系表示範囲設定データ134が付加されていないと判定した場合(ステップS3;No)には、CPU11は、XY座標系の表示範囲を設定する旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS6)。
【0037】
このステップS6においてXY座標系の表示範囲を設定する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS6;Yes)には、CPU11は、XY座標系の表示範囲についてのデフォルト値の確認画面をディスプレイ3に表示させ、ユーザ操作に基づいて表示範囲を変更した後、変更後の表示範囲に基づいてディスプレイ3における画像の表示領域にXY座標系を重ねて設定した後(ステップS7)、後述のステップS9に移行する。
【0038】
また、ステップS6においてXY座標系の表示範囲を設定する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS6;No)には、CPU11は、XY座標系の表示範囲についてのデフォルト値に基づいてディスプレイ3における画像の表示領域にXY座標系を重ねて設定する(ステップS8)。
【0039】
次に、CPU11は、指定画像データ133Sの画像と、XY座標系とを重ねてディスプレイ3に表示させる(ステップS9)。より詳細には、このときCPU11は、ステップS4,S7,S8で設定された表示範囲でXY座標系の座標軸と、軸上の目盛線とを指定画像データ133Sの画像上に表示させる。
【0040】
次に、CPU11は、画像上にプロット点を形成する旨の操作が行われるか否かを判定し(ステップS11)、行われたと判定した場合(ステップS11;Yes)には、ユーザ操作に応じてプロットデータテーブル135のリスト番号を指定する(ステップS12)。
【0041】
次に、CPU11は、ユーザによるプロット操作に応じて、指定画像データ133Sの画像上にプロット点Pを表示させるとともに、XY座標系内でのプロット点Pの座標値を指定のリスト番号に対応付けてプロットデータテーブル135に記憶させ(ステップS13)、上述のステップS11に移行する。このステップS13により、各プロット点Pの座標が指定画像データ133Sの画像に対応付けて記憶されることとなる。
【0042】
また、ステップS11において画像上にプロット点を形成する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS11;No)には、CPU11は、XY座標系を平行移動させる旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS21)。
【0043】
このステップS21においてXY座標系を平行移動させる旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS21;Yes)には、CPU11は、指定画像データ133Sの画像をディスプレイ3上で固定しつつ、当該画像上でユーザ操作に基づきXY座標系を平行移動させる(ステップS22)。これにより、XY座標系の表示範囲が変更されることとなる。
【0044】
次に、CPU11は、X軸方向,Y軸方向の移動量(Δ(X,Y))をディスプレイ3に表示させるとともに、この移動量(Δ(X,Y))と、移動回数を示す変位番号(Δ1,Δ2,…)と、移動前のプロット点Pの座標値群についてのリスト番号とを対応付けて変位量テーブル136に記憶させ(ステップS23)、上述のステップS11に移行する。
【0045】
また、ステップS21においてXY座標系を平行移動させる旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS21;No)には、図4に示すように、CPU11は、プロットデータテーブル135における座標値群を表示させる旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS31)。
【0046】
このステップS31においてプロットデータテーブル135における座標値群を表示させる旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS31;Yes)には、CPU11は、ユーザ操作に応じて何れかのリスト番号を指定する(ステップS32)。
【0047】
次に、CPU11は、指定のリスト番号に対し、変位量テーブル136内で変位量(Δ(X,Y))が対応付けられているか否かを判定し(ステップS33)、対応付けられていないと判定した場合(ステップS33;No)には、指定のリスト番号の座標値群をディスプレイ3に表示させた後(ステップS40)、後述のステップS41に移行する。
【0048】
また、ステップS33において指定のリスト番号に対し、変位量テーブル136内で変位量(Δ(X,Y))が対応付けられていると判定した場合(ステップS33;Yes)には、CPU11は、変位量(Δ(X,Y))を当該リスト番号の座標値群に反映する旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS34)。
【0049】
このステップS34において、変位量(Δ(X,Y))を指定リスト番号の座標値群に反映する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS34;No)には、CPU11は、ステップS40に移行する。
【0050】
また、ステップS34において変位量(Δ(X,Y))を指定リスト番号の座標値群に反映する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS34;Yes)には、CPU11は、指定のリスト番号の各座標値(X,Y)に変位量(Δ(X,Y))を加える(ステップS35)。これにより、XY座標系の移動の前後に亘って背景画像上で各プロット点Pの位置が維持されるよう、各座標値(X,Y)が補正されることとなる。
【0051】
次に、CPU11は、指定のリスト番号の座標値群をディスプレイ3に表示させるとともに、変位量(Δ(X,Y))で補正された座標値を太字で表示させる(ステップS36)。これにより、XY座標系の表示範囲が移動された後、上述のステップS35においてプロット点Pの座標値が補正されている場合には、移動の前後で座標値の表示態様が変更されることとなる。
【0052】
次に、CPU11は、近似グラフ(フィットグラフ)を作成する旨の操作が行われるか否かを判定し(ステップS41)、行われないと判定した場合(ステップS41;No)には、他の処理(ここでは座標値データのマニュアル修正などの処理)へ移行する。
【0053】
また、ステップS41において近似グラフを作成する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS41;Yes)には、CPU11は、ユーザ操作に応じて近似グラフの種類(関数式の種類、例えば1次関数式、2次関数式など)を選択する(ステップS42)。
【0054】
次に、CPU11は、各プロット点Pの座標値をそれぞれ取得した後、これらのプロット点Pの集合に対する近似グラフを回帰計算により算出し(ステップS43)、その近似グラフを描画する旨の操作が行われるか否かを判定する(ステップS44)。
【0055】
このステップS44において、近似グラフを描画する旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS44;No)には、CPU11は、他の処理へ移行する。
【0056】
また、ステップS44において近似グラフを描画する旨の操作が行われたと判定した場合(ステップS44;Yes)には、CPU11は、指定画像データ133Sの画像に重ねて、XY座標系と、指定リスト番号の座標値に対応するプロット点Pと、近似グラフとを表示させるとともに、近似グラフのグラフ式をディスプレイ3に表示させる(ステップS45)。これにより、XY座標系の表示範囲が移動された後、上述のステップS35においてプロット点Pの座標値が補正されている場合には、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示が更新されることとなる。また、近似グラフが描画された状態から、XY座標系の表示範囲が移動された後、上述のステップS35においてプロット点Pの座標値が補正されている場合には、グラフの表示が更新されることとなる。
【0057】
次に、CPU11は、近似グラフの描画をやり直す旨の操作が行われるか否かを判定し(ステップS46)、行われたと判定した場合(ステップS46;Yes)には上述のステップS41に移行する一方、行われないと判定した場合(ステップS46;No)には上述のステップS11に移行する。
【0058】
また、ステップS31においてプロットデータテーブル135における座標値群を表示させる旨の操作が行われないと判定した場合(ステップS31;No)には、CPU11は、終了操作が行われるか否かを判定する(ステップS51)。
【0059】
そして、このステップS51において終了操作が行われないと判定した場合(ステップS51;No)には、CPU11は他の処理へ移行する一方、行われたと判定した場合(ステップS51;Yes)には、画像表示処理を終了する。
【0060】
[3.動作例]
続いて、図面を参照しつつ、上述の動作を具体的に説明する。
【0061】
(動作例(1))
まず、ユーザがピクチャプロット機能の実行を選択し(ステップS1;Yes)、画像ファイル群131における何れかの画像データ133を指定画像データ133Sとして指定すると(ステップS2)、指定画像データ133Sに座標系表示範囲設定データ134が付加されていると判定された後(ステップS3;Yes)、当該座標系表示範囲設定データ134で示されるXY座標系の表示範囲に基づいて画像の表示領域にXY座標系が重ねて設定され(ステップS4)、図5(a)に示すように、指定画像データ133Sの画像と、XY座標系とが重ねられてディスプレイ3に表示される(ステップS9)。
【0062】
次に、画像上にプロット点を形成する旨の操作をユーザが行い(ステップS11;Yes)、プロットデータテーブル135のリスト番号「1」を指定すると(ステップS12)、図5(b)に示すように、プロット操作に応じて、指定画像データ133Sの画像上にプロット点Pが表示されるとともに、XY座標系内でのプロット点Pの座標値が指定のリスト番号「1」に対応付けられてプロットデータテーブル135に記憶される(ステップS13)。
【0063】
次に、ユーザがプロットデータテーブル135における座標値群を表示させる旨の操作を行い(ステップS31;Yes)、リスト番号「1」を指定すると(ステップS32)、図5(c),(d)に示すように、指定のリスト番号「1」の座標値群がディスプレイ3に表示される(ステップS40)。
【0064】
次に、近似グラフを作成する旨の操作をユーザが行い(ステップS41;Yes)、近似グラフの種類として「2次関数式」を選択すると(ステップS42)、各プロット点Pの座標値がそれぞれ取得された後、図6(a)に示すように、これらのプロット点Pの集合に対する近似グラフの式「y=ax+bx+c:a=-0.17…、b=-0.036…、c=2.546…」と、回帰式の他の係数「r、MSe」とが回帰計算により算出される(ステップS43)。
【0065】
次に、近似グラフを描画する旨の操作をユーザが行うと(ステップS44;Yes)、図6(b)に示すように、指定画像データ133Sの画像に重ねて、XY座標系と、指定リスト番号「1」の座標値に対応するプロット点Pと、近似グラフとが表示される(ステップS45)。なお、この図では、近似グラフのグラフ式の表示を省略しているが、近似グラフと併せて、図6(a)に示す近似グラフ式「y=ax+bx+c:a=-0.17…、b=-0.036…、c=2.546…」を表示するようにしてもよい。
【0066】
次に、XY座標系を平行移動させる旨の操作をユーザが行うと(ステップS21;Yes)、図6(c)に示すように、指定画像データ133Sの画像がディスプレイ3上で固定されつつ、当該画像上でユーザ操作に基づきXY座標系がY軸方向に「−2.4」だけ平行移動する(ステップS22)。これにより、XY座標系の表示範囲が変更されることとなる。
【0067】
次に、X軸方向,Y軸方向の移動量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」がディスプレイ3に表示されるとともに、この移動量(0,2.4)と、移動回数を示す変位番号(Δ1)と、移動前のプロット点Pの座標値群についてのリスト番号「1」とが対応付けられて変位量テーブル136に記憶される(ステップS23)。
【0068】
次に、ユーザがプロットデータテーブル135における座標値群を表示させる旨の操作を行い(ステップS31;Yes)、リスト番号「1」を指定すると(ステップS32)、指定のリスト番号「1」に対し、変位量テーブル136内で変位量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」が対応付けられていると判定される(ステップS33;Yes)。なお、本動作例においては、図6(d)に示すように、このときディスプレイ3には指定リスト番号「1」の座標値群が表示されるとともに、リスト番号「1」に対して変位量テーブル136内で対応付けられた変位量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」が表示される。
【0069】
次に、変位量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」を指定リスト番号「1」の座標値群に反映する旨の操作をユーザが行うと(ステップS34;Yes)、指定リスト番号「1」の各座標値(X,Y)に変位量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」が加えられ(ステップS35)、図7(a)に示すように、指定リスト番号「1」の座標値群がディスプレイ3に表示されるとともに、変位量(Δ(X,Y))で補正された座標値が太字で表示される(ステップS36)。なお、本動作例においては、このときディスプレイ3には、反映された変位量「Δ1(X,Y)=(0,2.4)」が網掛け表示されるようになっている。
【0070】
次に、近似グラフを作成する旨の操作をユーザが行い(ステップS41;Yes)、近似グラフの種類として「2次関数式」を選択すると(ステップS42)、各プロット点Pの座標値がそれぞれ取得された後、図7(b)に示すように、これらのプロット点Pの集合に対する近似グラフ「y=ax+bx+c:a=-0.17…、b=-0.036…、c=4.946…」と、回帰式の他の係数「r、MSe」とが回帰計算により算出される(ステップS43)。
【0071】
次に、近似グラフを描画する旨の操作をユーザが行うと(ステップS44;Yes)、図7(c)に示すように、指定画像データ133Sの画像に重ねて、XY座標系と、指定リスト番号「1」の座標値に対応するプロット点Pと、近似グラフとが表示される(ステップS45)。これにより、XY座標系の表示範囲が移動された後、プロット点Pの座標値が補正されている場合には、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示が更新されることとなる。また、近似グラフが描画された状態から、XY座標系の表示範囲が移動された後、プロット点Pの座標値が補正されている場合には、グラフの表示が更新されることとなる。なお、この図では、近似グラフのグラフ式の表示を省略しているが、近似グラフと併せて、図7(b)に示す近似グラフ式「y=ax+bx+c:a=-0.17…、b=-0.036…、c=4.946…」を表示するようにしてもよい。
【0072】
以上のように、本実施形態の関数電卓1によれば、図3〜図4のステップS11〜S45や、図5〜図7等に示したように、ユーザ操作に基づいて座標系内に複数のプロット点Pが形成されると、座標系内での複数のプロット点Pの座標値がそれぞれ取得され、これら複数のプロット点Pの集合に対する近似グラフが算出されて座標系内に表示されるとともに、当該近似グラフのグラフ式が表示され、この状態から、ユーザ操作に基づいて表示画面内の画像を固定しつつ、当該画像上に設定される座標系の表示範囲が移動されると、この移動の前後に亘って画像上で各プロット点Pの位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点Pの座標値が補正され、補正後の座標値に基づいて各プロット点Pの表示が更新されるとともに、ユーザ操作に基づいて近似グラフについての表示内容が更新される。従って、画像に重ねられた座標系を移動させる場合であっても、画像上でのプロット点Pの位置が維持されて、移動後の座標系内でのプロット点Pの座標値がそれぞれ取得され、プロット点Pの集合に対する近似グラフが算出されて座標系内に表示されるとともに、当該近似グラフのグラフ式が表示されるため、画像に重ねられた座標系を移動させる場合に、画像上にプロットをし直す手間を省くことができる。
【0073】
なお、上記の実施の形態における関数電卓1の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0074】
例えば、本発明に係る画像表示装置を関数電卓等として説明したが、本発明が適用可能なものは、このような製品に限定されず、携帯電話、パソコン、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機などの電子機器全般に適用可能である。また、本発明に係る画像表示プログラム130は、関数電卓1に対して着脱可能なメモリカード、CD等に記憶されることとしてもよい。
【0075】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
表示画面内に画像を表示する表示手段と、
前記表示画面における画像の表示領域に対し、2つの座標軸から定まる座標系を設定する座標系設定手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記座標系内に複数のプロット点を形成するプロット手段と、
前記座標系における各プロット点の座標を前記画像に対応づけて記憶するプロットデータ記憶手段と、
前記座標系内での前記複数のプロット点の座標値をそれぞれ取得し、これら複数のプロット点の集合に対する近似グラフを算出して前記座標系内に表示させるとともに、当該近似グラフのグラフ式を前記表示手段に表示させるグラフ表示制御手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示画面内の前記画像を固定しつつ、当該画像上に設定される前記座標系の表示範囲を移動させる表示範囲移動手段と、
前記表示範囲移動手段による各座標軸方向の移動量を記憶する移動量記憶手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後に亘って前記画像上で各プロット点の位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点の座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示を更新するプロット補正手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動された場合に、ユーザ操作に基づいて前記グラフ表示制御手段による表示内容を更新させるグラフ更新制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
<請求項2>
請求項1記載の画像表示装置において、
前記表示範囲移動手段による各座標軸方向の移動量を前記表示手段に表示させる移動量表示制御手段を備えることを特徴とする画像表示装置。
<請求項3>
請求項1または2記載の画像表示装置において、
ユーザ操作に基づいて前記表示手段に各プロット点の座標値を表示させるプロット座標表示制御手段を備え、
このプロット座標表示制御手段は、
前記表示範囲移動手段による前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後で座標値の表示形態を変更することを特徴とする画像表示装置。
<請求項4>
表示画面内に画像を表示する表示手段を備えるコンピュータに、
前記表示画面における画像の表示領域に対し、2つの座標軸から定まる座標系を設定する座標系設定機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記座標系内に複数のプロット点を形成するプロット機能と、
前記座標系における各プロット点の座標を前記画像に対応づけて記憶するプロットデータ記憶機能と、
前記座標系内での前記複数のプロット点の座標値をそれぞれ取得し、これら複数のプロット点の集合に対する近似グラフを算出して前記座標系内に表示させるとともに、当該近似グラフのグラフ式を前記表示手段に表示させるグラフ表示制御機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示画面内の前記画像を固定しつつ、当該画像上に設定される前記座標系の表示範囲を移動させる表示範囲移動機能と、
前記表示範囲移動機能による各座標軸方向の移動量を記憶する移動量記憶機能と、
前記表示範囲移動機能により前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後に亘って前記画像上で各プロット点の位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点の座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示を更新するプロット補正機能と、
前記表示範囲移動機能により前記座標系の表示範囲が移動された場合に、ユーザ操作に基づいて前記グラフ表示制御機能による表示内容を更新させるグラフ更新制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0076】
1 関数電卓
2 入力キー群
3 ディスプレイ
11 CPU
12 RAM
13 記憶部
14 入力部
15 表示部
130 画像表示プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面内に画像を表示する表示手段と、
前記表示画面における画像の表示領域に対し、2つの座標軸から定まる座標系を設定する座標系設定手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記座標系内に複数のプロット点を形成するプロット手段と、
前記座標系における各プロット点の座標を前記画像に対応づけて記憶するプロットデータ記憶手段と、
前記座標系内での前記複数のプロット点の座標値をそれぞれ取得し、これら複数のプロット点の集合に対する近似グラフを算出して前記座標系内に表示させるとともに、当該近似グラフのグラフ式を前記表示手段に表示させるグラフ表示制御手段と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示画面内の前記画像を固定しつつ、当該画像上に設定される前記座標系の表示範囲を移動させる表示範囲移動手段と、
前記表示範囲移動手段による各座標軸方向の移動量を記憶する移動量記憶手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後に亘って前記画像上で各プロット点の位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点の座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示を更新するプロット補正手段と、
前記表示範囲移動手段により前記座標系の表示範囲が移動された場合に、ユーザ操作に基づいて前記グラフ表示制御手段による表示内容を更新させるグラフ更新制御手段と、
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置において、
前記表示範囲移動手段による各座標軸方向の移動量を前記表示手段に表示させる移動量表示制御手段を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の画像表示装置において、
ユーザ操作に基づいて前記表示手段に各プロット点の座標値を表示させるプロット座標表示制御手段を備え、
このプロット座標表示制御手段は、
前記表示範囲移動手段による前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後で座標値の表示形態を変更することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
表示画面内に画像を表示する表示手段を備えるコンピュータに、
前記表示画面における画像の表示領域に対し、2つの座標軸から定まる座標系を設定する座標系設定機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記座標系内に複数のプロット点を形成するプロット機能と、
前記座標系における各プロット点の座標を前記画像に対応づけて記憶するプロットデータ記憶機能と、
前記座標系内での前記複数のプロット点の座標値をそれぞれ取得し、これら複数のプロット点の集合に対する近似グラフを算出して前記座標系内に表示させるとともに、当該近似グラフのグラフ式を前記表示手段に表示させるグラフ表示制御機能と、
ユーザ操作に基づいて、前記表示画面内の前記画像を固定しつつ、当該画像上に設定される前記座標系の表示範囲を移動させる表示範囲移動機能と、
前記表示範囲移動機能による各座標軸方向の移動量を記憶する移動量記憶機能と、
前記表示範囲移動機能により前記座標系の表示範囲が移動される場合に、この移動の前後に亘って前記画像上で各プロット点の位置が維持されるよう、各座標軸方向の移動量に応じて各プロット点の座標値を補正し、補正後の座標値に基づいて各プロット点の表示を更新するプロット補正機能と、
前記表示範囲移動機能により前記座標系の表示範囲が移動された場合に、ユーザ操作に基づいて前記グラフ表示制御機能による表示内容を更新させるグラフ更新制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−45272(P2013−45272A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182291(P2011−182291)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】