説明

画像表示装置及びプロジェクタ

【課題】2変調光学系のいずれの光学変調素子の画素数をも増加させずに、画素数より高い解像度の画像表示が行うことが可能な画像表示装置及びプロジェクタを提供する。
【解決手段】本発明の画像表示装置は、色変調用第1光学変調素子と、輝度変調用第2光学変調素子を画素単位で光学的に直列配置し、画素数又は画素数の倍の解像度で、入力画像信号の画像表示を行うものであり、第1光学変調素子を制御する第1光学変調素子駆動部と、第2の光学変調素子の駆動制御する第2光学変調素子駆動部と、解像度を倍とした画像表示の際、第1及び第2光学変調素子の画素を横又は縦方向に半画素ずらす光学系制御部と、解像度を倍とし画像表示する際、光学変調素子を倍速で駆動し、1フレームを時間軸で第1と第2フレームに分割し、第1フレームで半画素の領域に1画素分を画像表示させ、第2フレームで残りの半画素領域に他の1画素分を画像表示させる信号処理部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及びプロジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display),EL(Electroluminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)や投写型表示装置等の電子ディスプレイ装置における画質改善は目覚ましく、解像度色域については人間の視覚特性にほぼ匹敵する性能を有する装置が実現されつつある。
しかし、輝度ダイナミックレンジに関しては、その再現範囲はたかだか1〜10[nit]程度の範囲であり、また階調度を表現するビット数も8ビットが一般に用いられている。
一方、人間の視覚は、一度に知覚し得る輝度ダイナミックレンジの範囲が10−2〜10[nit]程度あり、また輝度弁別能力が0.2[nit]であり、この輝度弁別能力に対応させて、輝度ダイナミックレンジの範囲を階調数に換算すると、ほぼ12ビット相当のデータ量が必要となると言われている。
【0003】
上述したような視覚特性を経由し、現在の電子ディスプレイ装置の表示画像を見た場合、輝度ダイナミックレンジの狭さが目立ち、加えてシャドウ部やハイライ卜部の階調の分解能が不足しているため、表示画像のリアリティーや迫力に対して物足りなさを感じることとなる。
また、映画やゲーム等で使用されるCG(Computer Graphics)の画像においては、人間の視覚に近い輝度ダイナミックレンジや階調特性をデータに持たせて描写のリアリティーを追求する動きが主流になりつつある。
【0004】
しかし、電子ディスプレイ装置の性能が、不足しているために、上記CGコンテンツの画像を表示する際、CGコンテンツが本来有する画像の表現力(階調を表現するビット数が多い)を充分に発揮することができないという課題がある。
さらに、次期Windows(登録商標)においては、16ビット色空間の採用が予定されており、現在の8ビット色空間と比較してダイナミックレンジや階調数が飛躍的に増大する。 そのため、CGコンテンツにおける16ビット色空間を充分に生かすことが出来る高ダイナミックレンジ・高階調の電子ディスプレイ装置の実現への要求が高まると考えられる。
【0005】
電子ディスプレイ装置の中においても、液晶プロジェクタ、DLP(登録商標)(Digital Light Processing)プロジェクタといった投写型の画像表示装置は、大型画面での画像表示が可能であり、表示される画像のリアリティや迫力を再現する上で効果的な画像表示装置である。
この電子ディスプレイ装置においては、上述した輝度ダイナミックレンジの範囲を広げるために各種の考案がなされている。
【0006】
例えば、2変調光学変調系における2つの光学変調素子の一方の光学変調素子の画素数のみを増加させ、時間的な表示処理を組み合わせることにより、最終的な表示結果としては画素数の多い方の光学変調素子の画素数に対応した分解能により、高解像度の表示を実現している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−250235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載された表示装置は、一方の光学変調素子の画素数を多い構成を用いるため、装置の製造コストが増加するという問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、2変調光学系のいずれの光学変調素子の画素数をも増加させずに、画素数より高い解像度の画像表示が行うことが可能な画像表示装置及びプロジェクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像表示装置は、色変調を行う第1の光学変調素子と、輝度変調を行う第2の光学変調素子とを画素単位にて光学的に直列に配置し、入力される画像信号に対応して、画素数の解像度または画素数の倍の解像度にて画像表示を行う2変調光学系の画像表示装置であって、第1の光学変調素子の駆動を制御する第1の光学変調素子駆動部と、第2の光学変調素子の駆動を制御する第2の光学変調素子駆動部と、解像度を倍にして画像を表示する際、第1の光学変調素子の画素と、第2の光学変調素子の画素とを横または縦方向に半画素分ずらす光学系制御部と、解像度を倍にして画像を表示する際、それぞれの光学変調素子を倍速にて駆動させ、1フレームを時間軸にて第1フレームと第2フレームとに2分割し、第1フレームにて半画素の領域に1画素分の画像を表示させ、第2フレームにて残りの半画素の領域に他の1画素分の画像を表示させるよう、前記第1及び第2の光学変調素子駆動部を制御する信号処理部とを有することを特徴とする。
また、本発明の画像表示装置は、輝度変調を行う第1の光学変調素子と、色変調を行う第2の光学変調素子とを画素単位にて光学的に直列に配置し、入力される画像信号に対応して、画素数の倍の解像度にて画像表示を行う2変調光学系の画像表示装置であって、第1の光学変調素子の駆動を制御する第1の光学変調素子駆動部と、第2の光学変調素子の駆動を制御する第2の光学変調素子駆動部と、前記第1の光学変調素子の各画素と、前記第2の光学変調素子の画素とは、横または縦方向に半画素分ずれて配置されており、前記第1および第2の光学変調素子を倍速にて駆動させ、1フレームを時間軸にて第1フレームと第2フレームとに2分割し、第1フレームにて半画素の領域に1画素分の画像を表示させ、第2フレームにて残りの半画素の領域に他の1画素分の画像を表示させるよう、前記第1及び第2の光学変調素子駆動部を制御する信号処理部とを有する。
上述した構成により、本発明の画像表示装置は、第1の光学変調素子及び第2の光学変調素子各々の画素数を増加させずに、すなわち製造コストを増加させずに、簡易な構成により解像度を増加させることが可能となる。
【0009】
本発明の画像表示装置は、前記光学系制御部が、ウォブリング素子により、第2の光学変調素子の各画素に対して、第1の光学変調素子の対応する各画素を半画素ずらすことを特徴とする。
上述した構成により、本発明の画像表示装置は、例えば、強誘電性液晶と水晶板を組み合わせたウォブリング素子を用い、第1の光学変調素子と第2の光学変調素子とにおいて、一方の画素に対して他方の画素が半画素分ずれるように、光軸をずらすことにより、簡易に解像度を2倍に向上させることができる。
【0010】
本発明の画像表示装置は前記光学系制御部が、高輝度表示を行う制御信号が入力された場合、第1の光学変調素子の各画素と、第2の光学変調素子の対応する各画素の位置を合わせ、高解像度表示を行う制御信号が入力された場合、第1の光学変調素子の各画素と、第2の光学変調素子の対応する各画素を半画素ずらすことを特徴とする。
上述した構成により、本発明の画像表示装置は、2変調光学系の特徴を活かす高輝度モードと、解像度が2倍の高解像度モードとを制御信号により切り替えることができ、利用者の用途に合わせた画質を、1台の装置により提供することができる。
【0011】
本発明の画像表示装置は、前記信号処理部が、第2の光学変調素子において、第1フレーム期間に、画素をずらす方向に隣接する画素の一方に黒挿入し、第2フレーム期間に隣接する画素の他方に黒挿入することを特徴とする。
上述した構成により、本発明の画像表示装置は、第1フレームと第2フレームとにおいて、各々のフレームにおける半画素ずつ重なる部分をマスクすることができ、ずらすのみの構成においても、隣接する画素間における干渉が無く、高解像度のモードにおいても画質の低下を抑制することができる。
【0012】
本発明のプロジェクタは、上記記載のいずれかの画像表示装置に投写光学系を設けて構成したことを特徴とする。
上述した構成により、本発明の画像表示装置は、第1の光学変調素子及び第2の光学変調素子各々の画素数を増加させずに、すなわち製造コストを増加させずに、簡易な構成により解像度を増加させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態による画像表示装置を用いたプロジェクタを図面を参照して説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。
なお、本実施の形態では、第1光変調手段としてR(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色光毎に透過型液晶ライトバルブを備え、第2光変調手段として1枚の液晶ライトバルブを用いた投写型液晶表示装置の例を挙げて説明する。また、以下の説明においては、第1光変調手段を色変調用ライトバルブ、第2光変調手段を輝度変調用液晶ライトバルブと称する。さらに、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0014】
図1は、本発明の画像表示装置及び本発明のプロジェクタの実施の形態の一例であり、プロジェクタPJ1の主たる光学構成を示す図である。
プロジェクタPJ1は、図1に示すように、光源10と、光源10から入射した光の輝度分布を均一化する均一照明系20と、均一照明系20から入射した光の波長領域のうちのRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部25(第1光変調手段としての3つの透過型液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを含む)と、色変調部25から入射した光をリレーするリレーレンズ90と、後述する能動光学画素ずらし素子95と、リレーレンズ90から入射した光の全波長領域の輝度を変調する第2光変調手段としての透過型液晶ライトバルブ100と、液晶ライトバルブ100から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ110と、を含んで構成されている。
【0015】
光源10は、超高圧水銀ランプやキセノンランプ等からなるランプ11と、ランプ11からの射出光を反射・集光するリフレクタ12とを含んで構成されている。
【0016】
均一照明系20は、フライアイレンズ等からなる2つのレンズアレイ21,22と、偏光変換素子23と、集光レンズ24とを含んで構成されている。そして、光源10からの光の輝度分布を2つのレンズアレイ21,22により均一化し、レンズアレイを透過した光を偏光変換素子23により色変調部の入射可能偏光方向に偏光し、偏光した光を集光レンズ24により集光して色変調部25に射出する。なお、偏光変換素子23は、例えば、PBSアレイと、1/2波長板とで構成されており、ランダム偏光を特定の直線偏光に変換するものである。
【0017】
色変調部25は、光分離手段としての2つのダイクロイックミラー30,35と、3つのミラー(反射ミラー36,45,46)と、5つのフィールドレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)と、3つの液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと、クロスダイクロイックプリズム70と、を含んで構成されている。
【0018】
ダイクロイックミラー30,35は、光源10からの光(白色光)を、赤(R)、緑(G)、青(B)のRGB3原色光に分離(分光)するものである。ダイクロイックミラー30は、ガラス板等にB光及びG光を反射し、R光を透過する性質のダイクロイック膜を形成したもので、光源10からの白色光に対して、当該白色光に含まれるB光及びG光を反射し、R光を透過する。ダイクロイックミラー35は、ガラス板等にG光を反射し、B光を透過する性質のダイクロイック膜を形成したもので、ダイクロイックミラー30を反射したG光及びB光のうち、G光を反射して平行化レンズ50Gに伝達し、青色光を透過してレンズ41に伝達する。
【0019】
リレーレンズ42は、レンズ41近傍の光(光強度分布)を平行化レンズ50B近傍に伝達するもので、レンズ41はリレーレンズ42に光を効率よく入射させる機能を有する。レンズ41に入射したB光はその強度分布をほぼ保存された状態で、かつ光損失を殆ど伴うことなく空間的に離れた液晶ライトバルブ60Bに伝達される。
【0020】
平行化レンズ50B,50G,50Rは、対応する液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する各色光を略平行化して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを透過した光を効率良くリレーレンズ90に入射させる機能を有している。そして、ダイクロイックミラー30,35で分光されたRGB3原色の光は、上述したミラー(反射ミラー36,45,46)及びレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)を介して液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する。
【0021】
液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、画素電極及びこれを駆動するための薄膜トランジスタ素子や薄膜ダイオード等のスイッチング素子がマトリクス状に形成されたガラス基板と、全面にわたって共通電極が形成されたガラス基板との間にTN型液晶を挟み込むとともに、外面に偏光板を配置したアクティブマトリクス型の液晶表示素子である。
【0022】
また、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、電圧非印加状態で白/明(透過)状態、電圧印加状態で黒/暗(非透過)状態となるノーマリーホワイトモードまたはその逆のノーマリーブラックモードで駆動され、与えられた制御値に応じて明暗間の階調がアナログ制御される。液晶ライトバルブ60Bは、入射されたB光を表示画像データに基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Gは、入射されたG光を表示画像データに基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Rは、入射されたR光を表示画像データに基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。
【0023】
クロスダイクロイックプリズム70は、4つの直角プリズムが貼り合わされた構造からなり、その内部には、B光を反射する誘電体多層膜(B光反射ダイクロイック膜71)及びR光を反射する誘電体多層膜(R光反射ダイクロイック膜72)が断面X字状に形成されている。そして、液晶ライトバルブ60GからのG光を透過し、液晶ライトバルブ60RからのR光と液晶ライトバルブ60BからのB光とを折り曲げてこれらの3色の光を合成し、カラー画像を形成する。
【0024】
リレーレンズ90は、クロスダイクロイックプリズム70で合成された液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの光学像(光強度分布)を液晶ライトバルブ100の表示面上に伝達するものである。
液晶ライトバルブ100は、前述した液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと同等の構成からなり、入射した光の全波長領域の輝度を表示画像データに基づいて変調し、最終的な光学像を内包した変調光を投射レンズ110に射出する。
【0025】
能動光学画素ずらし素子95(光学系制御部)は、リレーレンズ90と液晶ライトバルブ100の間に介挿されており、制御信号により、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rの画素を、液晶ライトバルブ100の画素に対して半画素分だけ、縦方向(x軸方向)または横方向(y軸方向)にずらすように、光軸をずらす機能を有している。すなわち、半画素分ずらすとは、スクリーンに画像を投写した際、直列に配列されている対応する一方の画素の表示領域に対して、他方の画素の表示領域が相対的に半画素分ずれるように、画素単位で直列に配置された液晶ライトバルブ60R,60G,60Bの画素と液晶ライトバルブ100の画素とを半画素分、相対的にずらすことを示している。ここで、横方向(y軸方向)とはスクリーンの上辺及び下辺に対して平行な方向を示し、縦方向(x軸方向)とはスクリーンの上辺及び下辺に対して垂直方向を示している(図1)。
投射レンズ110は、液晶ライトバルブ100の表示面上に形成された光学像を図示しないスクリーン上に投射してカラー画像を表示する。
【0026】
次に、プロジェクタPJ1の全体的な光伝達の流れを説明する。光源10からの白色光はダイクロイックミラー30,35により赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色光に分光されるとともに、平行化レンズ50B,50G,50Rを含むレンズ及びミラーを介して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射される。液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射した各々の色光はそれぞれの波長領域に応じた外部データに基づいて色変調され、光学像を内包した変調光として射出される。液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの各変調光は、それぞれクロスダイクロイックプリズム70に入射し、そこで一つの光に合成され、リレーレンズ90、を介して液晶ライトバルブ100に入射される。液晶ライトバルブ100に入射した合成光は全波長域に応じた外部データに基づいて輝度変調され、最終的な光学像を内包した変調光として、能動光学画素ずらし素子95を介して、投射レンズ110へ射出される。そして、投射レンズ110において、液晶ライトバルブ100からの最終的な合成光を図示しないスクリーン上に投射し所望の画像を表示する。
【0027】
プロジェクタPJ1では、第1光変調素子としての液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで光学像(画像)を形成した変調光を用いて、最終的な表示画像を第2光変調素子としての液晶ライトバルブ100で形成する形態を採用しており、直列に配置された2つの光変調素子を介して、2段階の画像形成過程によって光源10からの光を変調する。このとき、利用者が高輝度モードを選択した場合、能動光学画素ずらし素子95は光軸をずらさず、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと液晶ライトバルブ100との対応する画素の位置を合わせて、高輝度の階調表示を行い、一方、高解像度モードを選択した場合、能動光学画素ずらし素子95は、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと液晶ライトバルブ100との対応する画素の位置が半画素分ずれるように光軸をずらし、画素数の倍の解像度の表示を行う。その結果、プロジェクタPJ1は、高輝度モードにおいて輝度ダイナミックレンジの拡大と階調数の増大を実現し、高画質モードにおいて高解像度を実現することができる。この高解像度モードの動作については後述する。
【0028】
ここで、液晶ライトバルブ60B,60G,60R及び液晶ライトバルブ100はいずれも透過光の強度を変調し、その変調度合いに応じた光学像を内包する点では同じであるが、後者の液晶ライトバルブ100は全波長域の光(白色光)を変調するのに対して、前者の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは光分離手段であるダイクロイックミラー30,35で分光された特定波長領域の光(R,G,Bなどの色光)を変調する点で両者は異なっている。したがって、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで行われる光強度変調を色変調、液晶ライトバルブ100で行われる光強度変調を輝度変調と便宜的に呼称して区別する。
【0029】
また、同様の観点から、以下の説明では液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを色変調ライトバルブ、液晶ライトバルブ100を輝度変調ライトバルブと呼称して区別する場合がある。そして、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブに入力する制御データの内容については後ほど詳述する。
クロスダイクロイックプリズム80を出射した光束は、投写光学系である投射レンズ110に入射し、投写レンズ110によってスクリーン120に投影される。なお、本実施形態においては、投写光学系(投射レンズ110)及びスクリーン120を除いた構成を画像表示装置と定義している。
【0030】
上述したように、本実施形態の2変調光学系においては、前段の3枚の第1光変調手段により、入力される白色光に対して、RGBの各色毎に色変調を行う。そして、この色変調した光を合成し、後段の第2光変調手段により、合成された光の輝度変調を行う。この結果、数万:1を超える非常に高いコントラストの画像表示が行える(高輝度モードの場合)。
【0031】
次に、図1のプロジェクタPJ1における画像表示の制御(液晶ライトバルブ100及び色変調部25における各液晶ライトバルブの制御)を行う画像処理制御部の説明を図2により行う。図2は本実施形態における画像処理制御部の構成例を示すブロック図であり、図3は画像処理制御部における2変調信号処理部である。
2変調信号処理部5は、入力される映像信号の階調度に従い、液晶ライトバルブ100と色変調部25における液晶ライトバルブ60R,60G及び60B各々との制御値を決定して、色変調液晶LV駆動部7,輝度変調液晶LV駆動部8各々に対して出力する。
ここで、2変調信号処理部5は、色変調液晶LV駆動部7に対し、非線形に液晶ライトバルブの各画素を制御する制御値(所望の輝度を得るための電圧値に対応)を生成して、順次出力し、同様に、輝度変調液晶LV駆動部8に対し、液晶ライトバルブ100の各画素を制御する制御値を生成して、順次出力する。
【0032】
これにより、色変調液晶LV駆動部7は、D/A変換手段を有しており、入力されるデジタルの制御値を、対応するアナログ制御値に変換して、液晶ライトバルブ60R,60B,60G各々の色変調の制御を行う。
同様に、輝度変調液晶LV駆動部8は、D/A変換手段を有しており、入力されるデジタルの制御値を、対応するアナログ制御値に変換して、液晶ライトバルブ100の輝度変調の制御を行う。
【0033】
モード制御切換部2は、利用者が入力する高輝度モード及び高解像度モードのいずれかを示す命令信号により、モードの検出処理を行い、高輝度モードであることを検出した場合、ウォブリング素子制御部3及び2変調信号処理部5に対して何ら信号を出力せず、一方、高解像度モードであることを検出した場合、ウォブリング素子制御部3及び2変調信号処理部5に対して光軸をずらす制御信号を出力する。
ウォブリング素子制御部3は、上記制御信号が入力されると、能動光学画素ずらし素子95に対して駆動信号Sを出力し、能動光学画素ずらし素子95を駆動して光軸をずらさせ、すなわちクロスダイクロックプリズム70から入射する光の光路を、液晶ライトバルブ60R,60B,60G及び液晶ライトバルブ100の対応する画素と画素とが半画素分ずれるようにずらし、液晶ライトバルブ100に対して出射するよう制御する。
【0034】
また、2変調信号処理部5は、高解像度モードを示す制御信号が入力されると、高輝度モードに対して、色変調液晶LV駆動部7と輝度変調液晶LV駆動部8の動作を2倍の速度で動作させ、かつ液晶ライトバルブ60R,60B,60G及び液晶ライトバルブ100における対応する画素と画素とを半画素ずらし、1フレームを2つに時分割し、1フレームの半周期の表示期間を有する第1フレーム及び第2フレームを生成して、第1及び第2フレーム各々において、入力される画素数の半分の画像データそれぞれを、第1フレームにて1画素領域を半分とした一方の半画素領域に表示させ、第2フレームにて残り半分の画素数の画像データを他方の半画素領域に表示する制御を行う(この制御については後述)。
【0035】
また、信号処理用LUT6には、液晶ライトバルブ100及び液晶ライトバルブ(60R,60B,60G)各々の制御値(後に述べる駆動制御値)を、入力される階調度に対応して決定するルックアップテーブルが設けられている。このルックアップテーブルは、液晶ライトバルブ100用の第1のルックアップテーブルと、液晶ライトバルブ用の第2のルックアップテーブル設けられており、第2のルックアップテーブルはRGBの各色毎に設けられている。
上記第1のルックアップテーブルと第2のルックアップテーブルとは、階調度と、階調度に対応して設定される制御値(階調度に対応した輝度値とするための)との対応が記憶されている。また、色変換マトリクスには、輝度用の液晶ライトバルブの制御値毎に対応した、RGB各色毎に対する階調度の変換テーブルが記憶されている。
【0036】
これらの制御値は上記液晶ライトバルブ各々の特性を測定して予め求められたものであり、液晶ライトバルブを非線形階調制御するための数値である。
ここで、本実施形態においては、各画像表示装置毎に、各液晶ライトバルブ,光源10等の固体差に起因する個体表示特性を有している。このため、第1のルックアップテーブル及び第2のルックアップテーブル、さらに色変換マトリクスに記憶させる制御値はそれぞれの画像表示装置毎の個体差に合わせて、測定値から設定された数値であり、各画像表示装置は入力される映像信号に対応した所望の表示特性が得られる。
【0037】
これにより、2変調信号処理部5は、入力される映像信号の階調度に対応する制御値を、信号処理用LUT6における上記第1及び第2のルックアップテーブルを参照することによって決定している。
ここで、前段,後段及び輝度変調,色変調における各液晶ライトバルブのいずれを使用するかの組合せは、本実施形態の構成のみならず、種々のバリエーションにおいても同様な処理が可能である。
【0038】
次に、本実施形態における2変調信号処理部5における高解像度モードにおける階調表示の処理(半画素ずらしの処理)について、図4を参照して説明する。図4は、所望の表示結果としている図4(a)の図が最終的に表示したい階調特性を示したものである。各半画素P11,P12,P21,P22,P31,P32の階調度は、(R:0〜255,G:0〜255,B:0〜255、値が大きいほど明るい)として各色を表した場合、(255,0,0),(153,204,64),(128,64,128),(0,204,255),(185,111,0),(0,0,128)となっている。
【0039】
ここで、例えば、P11、P21、P31が奇数番号の画像データであり、P12,P22,P32が偶数番号の画像データとする。2変調信号処理部5には、映像信号として、各画像データが、P11,P12,P21,P22,P31,P32の順番に入力される。各々は横方向に隣接して入力される(横方向:y軸方向に画素をずらす場合の制御に対応)。
一方、色変調ライトバルブ(60R,60G,60B)及び輝度変調ライトバルブ100を、高輝度モードの場合の倍速にて駆動することにより、この図4(a)に示す所望の結果を得る
【0040】
例えば、倍速の第1フレームにおいて、図3(b)に示すように、色変調液晶LV駆動部7は、各色変調ライトバルブを、画素P1,P2,P3において、半画素P11、P22,P31の階調に対応する色変調として、(255,0,0),(0,204,255),(185,111,0)にて制御する。このとき、輝度変調液晶LV駆動部8は、画素KP1及びKP3を白表示(255、最も輝度を高く)とし、一方、画素KP2及びKP4を黒表示(0、最も輝度が低い)とし、2変調表示結果として、半画素P11,P22,P31が表示された状態となる。
【0041】
次に、倍速の第2フレームにおいて、図3(c)に示すように、色変調液晶LV駆動部7は、各色変調ライトバルブを、画素P1,P2,P3において、半画素P12、P21,P32の階調に対応する色変調として、(191,255,80),(160,80,160),(0,0,255)にて制御する。このとき、輝度変調液晶LV駆動部8は、画素KP2及びKP4をそれぞれ階調度「204」,「128」とし、一方、画素KP1及びKP3を黒表示(0、最も輝度が低い)とし、2変調表示結果として、半画素P12,P21,P32が表示された状態となる。
【0042】
上述したように、ウォブリング素子制御部3は、高輝度モードの場合、輝度変調液晶ライトバルブ100の各画素に対して、液晶ライトバルブの対応する各画素を、能動光学画素ずらし素子95により半画素ずらす。
このとき、2変調信号処理部5は、例えば入力される画素データを倍速の第1フレームにて表示するのか、第2フレームにて表示するのかを、輝度変調液晶ライトバルブ100のマスクする位置に対応して決定して、順次、色変調液晶LV駆動部7に対して、画素毎に出力する。
【0043】
また、2変調信号処理部5は、半画素ずらす高解像度モードの際、第1及び第2フレームにて、第1フレーム期間に、画素をずらす方向に(本実施形態においてはy軸方向)隣接する画素の一方に黒挿入し、第2フレーム期間に隣接する画素の他方に黒挿入する。すなわち、第1フレームにて、隣接する画素において、1つおきに黒挿入を行い、黒表示を行わない画素は対応する階調度の制御を行い、第2フレームにて、第1フレームで黒表示を行った画素を階調制御を行い、逆に階調制御を行った画素に黒表示を行う。
例えば、2変調信号処理部5は、第1フレーム期間、偶数番目の画素に黒表示を行い、奇数番目に対しては対応する階調度に制御し、第2フレーム期間に、奇数番目の画素に黒表示を行い、偶数番目に対しては対応する階調度に制御する。この黒表示を行う順番に対応して、2変調信号処理部5は、第1フレームにて表示する画像データと、第2フレームにて表示する画像データを振り分けることとなる。
【0044】
これにより、倍速の第1フレームと第2フレームとの各2変調表示結果が、1フレームとして合成されると、図4(d)に示すように、図4(a)に示す所望の表示結果を得ることができる。ここで、人間の目には倍速の第1フレームと第2フレームとが合成されて知覚されるため、図4(a)の階調表示が行われたように見える。
本実施形態においては、横方向に画素を半画素分ずらして高解像度としたが、縦方向に画素を半画素分ずらして、高解像度の画像を構成してもよい。縦方向に光軸をずらす場合、画像表示の処理としては同様であるが、入力される映像信号において、表示画面における画素の行番号が奇数の画素と偶数の画素とで、第1フレーム及び第2フレームのいずれで表示するかを制御することとなる。
【0045】
次に、図3を参照して、2変調信号処理部5が行う色変調及び輝度変調処理における、それぞれの表示すべき階調度に対応する制御値の決定処理について説明する。
まず、上述したように、輝度変調液晶ライトバルブ100において、輝度変調する画素、すなわち黒表示を行わない画素を設定し、その画素に表示すべき制御値(画素値)を決定する。ここでは図4に示すように、輝度変調液晶ライトバルブ100において、第1フレームの期間、偶数の画素を黒表示し、第2フレームの期間、奇数の画素を黒表示する。
倍速の第1フレームの期間における処理の説明として、図4(b)の輝度変調表示の左から3番目の画素KP3を例にとって説明する。この輝度変調を行う画素に対応する表示結果は、半画素P22(0,204,255)と半画素P31(185,111,0)とである。
【0046】
2変調信号処理部5は、この半画素P22及び半画素31におけるR,G,Bの6個のなかの階調度の最大値を求める。図3から見ると、半画素P22(R1,G1,B1)=(0,204,255)、半画素P31(R2,G2,B2)=(185,111,0)であるから、2変調信号処理部5は、これら6個の値から最大値選択ブロックにより、階調度の最大値MAXRGBを求める。この場合、階調度選択ブロックは最大値MAXRGBとして255を選択する。
【0047】
次に、2変調信号処理部5は、このMAXRGBにより、MAXRGB−T−1D LUTを参照して、このMAXRGB対応した制御値を選択し、この制御値を輝度変調ライトバルブ100を駆動する制御値Tとして決定する。
このMAXRGB−T−IDは、輝度変調ライトバルブ100の制御値を決定するためのLUTであり、輝度変調ライトバルブ100の色ごとの特性の違いを補償する役目を果たしている。ただし、図3においては、説明を簡略にするためMAXRGB−T−1Dが線形の対応関係を有するものを使用した。つまり、MAXRGB=255であるならば、制御値T=255となる。
【0048】
次に、2変調信号処理部5は、輝度変調ライトバルブ100の制御値Tを決定した後、映像信号(R1,G1,B1),(R2,G2,B2)に対して、上記制御値Tに対応した色マトリクスを選択し、逆γ補正部において各映像信号の逆γ補正を行い、線形特性に変更した後の(R1’,G1’,B1’),(R2’,G2’,B2’)により、選択した色変換マトリクスを参照して、色変調L/Vの制御値を決定する処理を行う。色変換マトリクスは輝度変調ライトバルブの制御値ごとの特性に応じた値となっており、輝度変調ライトバルブが制御値Tで表示される場合に、所望の入力RGBに対応した表示を行うために色変調ライトバルブに対し、どのような値を表示すればよいかを求めることができる色変換マトリクスとなっている。
【0049】
そして、輝度液晶ライトバルブの制御値T(すなわち輝度値)に対応した色変換マトリクスにより、(R1’,G1’,B1’),(R2’,G2’,B2’)に対応した変換値として、(R1”,G1”,B1”),(R2”,G2”,B2”)が求められる。
また、第2のルックアップテーブル(R−VT−LUT,G−VT−LUT,B−VT−LUT)には、上記変換値(R1”,G1”,B1”),(R2”,G2”,B2”)に対応した各色変調液晶ライトバルブ(50R,50G,50B)の制御値が記憶されている。この第2のルックアップテーブルにて、色変調液晶ライトバルブを入力されたγ値に対応させるため、γ補正が掛かった状態に変更される。
【0050】
本実施形態の例において説明を簡潔にするため、T=255の場合は最大透過率であるので、所望の表示結果と同じ値を色変調ライトバルブの制御値とする。
すなわち、半画素P22(0,204,255),半画素P31(185,111,0)である。これで、2変調表示結果として、半画素P22(0,204,255),半画素P31(185,111,0)が得られる。
【0051】
次に、倍速の第2フレームの期間における処理の説明として、図4(C)の輝度変調表示の左から2番目の画素KP2を例にとって説明する。この輝度変調を行う画素に対応する表示結果は、半画素P12(153,204,64)と半画素P21(128,64,128)とである。この半画素P12及び半画素21におけるR,G,Bの6個の階調度の最大値を求める。図3から見ると、半画素P12(R1,G1,B1)=(153,204,64)、半画素P21(R2,G2,B2)=(128,64,128)であるから、これら6個の値から最大値選択ブロックにより、階調度の最大値MAXRGBを求める。この場合、階調度選択ブロックは最大値MAXRGBとして204を選択する。
次に、このMAXRGBからMAXRGB−T−1D LUTを参照して、輝度変調ライトバルブ100を駆動する制御値Tを決定する。
【0052】
この場合、制御値Tは204となる。図3においては説明を簡略にするためMAXRGB−T−1Dが、上述したように、線形であるものを使用した。つまり、MAXRGB=204ならば、単純に制御値T=204として抽出される。ここでも、図3のように制御値Tに対応した色変換マトリクスをそれぞれ選択し、色変換マトリクス計算などの処理を行うことによって、色変調制御値を決定する。
図4(c)の例においては、P1(191,255,80)となり、P2(160,80,160)と、変換マトリクスにより求められる。
結果として、2変調表示結果として所望の(153,204,64)、(128,64,128)という結果を得る。これで、輝度変調ライトバルブ100にて、輝度値を落とす(透過率を落とす)分、色側の色変調ライトバルブの輝度値を明るくし、最終的な2変調表示結果が決定される。
【0053】
上述した処理は、2変調信号処理部5が、信号処理用データ部6に記憶されている色変換マトリクスのテーブル,第1のルックアップテーブルであるMAXRGB−T−1D,第2のルックアップテーブルを参照することにより行う。
逆γ補正及び最大値選択の処理は、2変調信号処理部5内に設けられてた逆γ補正部及び最大値選択ブロック各々により行われる。
また、変換マトリクス,第1のルックアップテーブル及び第2のルックアップテーブルは、信号処理用データ部6に記憶されている。
【0054】
次に、図2に示す本実施形態による画像処理制御部の処理の流れを簡単に説明する。
例えば、720P(1280×720)等の映像信号が入力されると、2変調信号処理部5は、色変調ライトバルブ(60R,60G,60B)および輝度変調ライトバルブ100を駆動するための制御値を生成し、その制御値をそれぞれ対応する色変調液晶LV駆動部7,輝度変調液晶LV駆動部8へ出力する。
これにより、色変調液晶LV駆動部7及び輝度変調液晶LV駆動部8各々は、それぞれ色変調液晶ライトバルブ60R,60G,60B及び輝度変調液晶ライトバルブ100を駆動する。
【0055】
また、モード切替制御部2は、利用者の指示により、通常画質モード(すなわち高輝度モード)と、高画素モード(高解像度モード)とを切り替えるための制御信号をウォブリング素子制御部3に対して出力する。
利用者が高画素モードを指定して場合、ウォブリング素子駆動部3は、能動光学画素ずらし素子であるウォブリング素子を制御し、各色変調ライトバルブの画素の像を、輝度変調ライトバルブの画素と半画素ずらして結像させる。
また、表示制御も上述したような倍速駆動を行い、時間的に1フレームを2つに分割した制御を行う必要があるため、モード切換制御部2は、利用者が高画素モードに設定した場合、2変調信号処理部5に対しても、制御信号を出力して、対応する処理を要求する。
【0056】
これにより、2変調信号処理部5は、図3で説明した倍速処理を、各液晶ライトバルブの制御としての2変調信号分配と共に行うこととなる。
なお、図2において、信号処理用データ部6に記憶されている各ルックアップテーブルの数値は、画像表示装置個々のハード構成要素のばらつきによって生じる個体特性を補償し、所望の表示結果を得るための個体特性に対応したLUT(ルックアップテーブル)や色変換マトリクス等の色処理用特性データである。
【0057】
上記において通常の画素モードを「高輝度モード」とした理由として、図4で明らかなように、半面素ずらしの高画素モードにおいて、輝度変調ライトバルブ100は高画素の1画素について見た場合には、倍速フレームのいずれかは黒にしているため、最終的な表示の明るさは約半分になってしまう。そのため、本実施形態例においては輝度値を落としても、高画素(高解像度)モードを使用する場合と、画素数は少なくても高輝度で表示する二つのモードの切り替えを可能とし、利用者の設定によって、モードを切り替えることにより、利用者が任意にコンテンツや視環境に対応した最適な画質を選択することが可能な機能を提供することができる。
【0058】
また、本実施形態において、能動光学画素ずらし素子(ウォブリング素子)95としては、強誘電性液晶と水晶板とを用いた液晶素子を使用している。しかしながら、能動光学画素ずらし素子95は、このウォブリング素子に限定されるわけではなく、同等の機能を有する音響光学素子、ガルバノミラー、MEMSミラーアレイ等を用いることができる。また、能動光学画素ずらし素子のように光学的に画素をずらすのではなく、メカ的に光変調素子をずらす(機械的な機構により画素ずらす)ことによって、画素ずらしを実現しても良い。
さらに、常に高画素(高解像度)モードにて表示する場合には、能動光学画素ずらし素子95そのものを使用する必要が無く、メカアライメントにより2つの液晶ライトバルブの光軸を半画素ずらして配置すれば良い。
また、上述した実施形態においては、第1の光学変調素子が色変調を行うものとし、第2の光学変調素子が輝度変調を行ものとして説明したが、第1の光学変調素子が輝度変調を行うものとし、第2の光学変調素子が色変調を行うものとして構成しても良い。
【0059】
なお、図2における第2変調信号処理部5と、色変調液晶LV駆動部7及び輝度変調液晶LV駆動部8におけるデジタル/アナログ変換を除く処理と機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、画像表示制御の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0060】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態による画像表示装置を用いたプロジェクタのハード構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態による画像処理部の構成例を示すブロック図である。
【図3】図2における2変調信号処理部5の動作を説明する概念図である。
【図4】本実施形態の高画素モードにおける画素ずらしを用いて、実質的に表示する画素数を増加させる方法を説明する概念図である。
【符号の説明】
【0062】
2…モード切替制御部 3…ウォブリング素子制御部 5…2変調信号処理部 6…信号処理用LUT 7…色変調液晶LV駆動部 8…輝度変調素子駆動部 60R,60G,60B…液晶ライトバルブ 95…能動光学画素ずらし素子 100…反射型光変調素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色変調を行う第1の光学変調素子と、輝度変調を行う第2の光学変調素子とを画素単位にて光学的に直列に配置し、入力される画像信号に対応して、画素数の解像度または画素数の倍の解像度にて画像表示を行う2変調光学系の画像表示装置であって、
第1の光学変調素子の駆動を制御する第1の光学変調素子駆動部と、
第2の光学変調素子の駆動を制御する第2の光学変調素子駆動部と、
解像度を倍にして画像を表示する際、第1の光学変調素子の画素と、第2の光学変調素子の画素とを横または縦方向に半画素分ずらす光学系制御部と、
解像度を倍にして画像を表示する際、それぞれの光学変調素子を倍速にて駆動させ、1フレームを時間軸にて第1フレームと第2フレームとに2分割し、第1フレームにて半画素の領域に1画素分の画像を表示させ、第2フレームにて残りの半画素の領域に他の1画素分の画像を表示させるよう、前記第1及び第2の光学変調素子駆動部を制御する信号処理部と を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記光学系制御部が、ウォブリング素子により、第2の光学変調素子の各画素に対して、第1の光学変調素子の対応する各画素を半画素ずらすことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記光学系制御部が、高輝度表示を行う制御信号が入力された場合、第1の光学変調素子の各画素と、第2の光学変調素子の対応する各画素の位置を合わせ、高解像度表示を行う制御信号が入力された場合、第1の光学変調素子の各画素と、第2の光学変調素子の対応する各画素を半画素ずらすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記信号処理部が、第2の光学変調素子において、第1フレーム期間に、画素をずらす方向に隣接する画素の一方に黒挿入し、第2フレーム期間に隣接する画素の他方に黒挿入することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
輝度変調を行う第1の光学変調素子と、色変調を行う第2の光学変調素子とを画素単位にて光学的に直列に配置し、入力される画像信号に対応して、画素数の倍の解像度にて画像表示を行う2変調光学系の画像表示装置であって、
第1の光学変調素子の駆動を制御する第1の光学変調素子駆動部と、
第2の光学変調素子の駆動を制御する第2の光学変調素子駆動部と、
前記第1の光学変調素子の各画素と、前記第2の光学変調素子の画素とは、横または縦方向に半画素分ずれて配置されており、
前記第1および第2の光学変調素子を倍速にて駆動させ、1フレームを時間軸にて第1フレームと第2フレームとに2分割し、第1フレームにて半画素の領域に1画素分の画像を表示させ、第2フレームにて残りの半画素の領域に他の1画素分の画像を表示させるよう、前記第1及び第2の光学変調素子駆動部を制御する信号処理部と
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかの画像表示装置に投写光学系を設けて構成したことを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−241097(P2007−241097A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66219(P2006−66219)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】