説明

画像表示装置

【課題】 高精細かつ輝度が高い、画質の良い画像表示装置を提供する。
【解決手段】 上記目的は、蛍光体により形成された厚さ40μm以下の蛍光膜を有し、かつ蛍光体の少なくとも一部に、組成がY2-x-yTbxScySiO5(但し、x、yは、0<x≦1、0<y≦1を満たす数)で表される蛍光体を用いたことを特徴とする画像表示装置において達成できる。また、この蛍光体についてのX線回折で、最も強く現れる回折ピークの位置を2θ=30.65°以上30.9°以下とすることで、望ましい特性を得られる。このような蛍光体は、Y、Sc、及びTb同時に含む化合物を、Siを含む化合物と混合し、加熱焼成する事により得ることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示に係り、特に投射型陰極線管に好適な高精細かつ高輝度な蛍光膜を備えた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明における画像表示装置とは、電子線照射や光照射により蛍光体を励起し、発光させて画像情報を表示する装置のことである。これは、陰極線管(特に投射型陰極線管)、低速電子線ディスプレイパネル(フィールドエミッタ-ディスプレイ(FED)等)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などをいう。また、前記陰極線管やパネルを表示部として、駆動装置や画像処理回路等を組込み画像を表示させるシステム全体も画像表示装置に含める。さらに、上記に示したような自発光の画像表示装置と共に、液晶などの非発光な表示部に、バックライトやサイドライトとして光源を備えた非自発光の画像表示装置も含む。
【0003】
上記のような画像表示装置は、近年、ニーズの高まりにより高精細化が進んでいる。例えば、電子線励起の画像表示装置の場合、電子線の励起スポット径の縮小、スキャン速度の増大、及び励起強度の増大のため、輝度飽和、輝度劣化、及び残光による残像が顕著になり、画質の低下が問題となっている。同時に、色再現性のよい発光色も求められている。このため、蛍光体には、輝度特性、輝度劣化特性、残光特性及び色の向上が求められている。
【0004】
以下、画像表示装置のうち、主に投射型テレビ画像表示装置に使用する、投射型陰極線管(以下投射管とも略する)を取り上げ説明する。陰極線管では、輝度の強弱は励起電子線の電流値により制御を行う。そのため、蛍光体の輝度は電流値に対し直線的に大きくなることが必要である。しかし、一般的に、蛍光体は、電子線による励起強度が高くなると、輝度飽和という現象が生じ、輝度の直線性が失われる。また、強い励起強度で画像を表示すると、蛍光体材料の劣化が激しくなり、使用しているうちに輝度低下、および発色の劣化が生じる。
【0005】
投射管は、陰極線管で表示した画像を、光学系により数十倍の面積に拡大投影しスクリーン上に画像表示を行う、投射型ディスプレイに用いる陰極線管である。そのため、拡大しない画像を見る直視型ブラウン管に比較し、10〜100倍の電流値による励起を行う。このため、投射管用蛍光体には、輝度が高いこと、特に高電流での輝度飽和が少ないこと、及び、高電流での劣化が少ないことが必要である。
【0006】
特に、緑色発光蛍光体は、白色画面上で70%の輝度を占めるため、上記特性の改善が重要である。現在までに、様々な材料が陰極線管用の緑色蛍光体として用いられてきた。たとえば、Y2SiO5:Tbの組成を有する蛍光体が知られている。この蛍光体の特徴は、高電流密度による励起で輝度飽和が少ないことであり、実用的な蛍光体として一般に用いられてきた。
【0007】
この蛍光体の特性向上では、例えば特許文献1及び特許文献2に開示されているように、原料にSc酸化物を混合し焼成することで、輝度の向上を図っている。また、特許文献3に開示されているように、原料にGd、Tm、Sm及びEuのうち少なくともいずれか1つを含む化合物を混合し焼成することで、輝度及び輝度劣化の改善を図っている。
【0008】
また、特許文献4で開示されているように、原料にMnを含む添加物を混合し焼成することで、輝度の向上を図っている。また、特許文献5でに開示されているように、組成の一部をDy、 Prで置換することにより、輝度の向上を図っている。また、特許文献6に開示されているように、SiO2組成を過剰にすることによって、劣化の低減を図っている。
【0009】
しかし、上記蛍光体で形成された従来技術の蛍光膜では、膜厚を40μmより厚くし、輝度を高めた膜厚としていた。しかしそれでは、発光が蛍光膜で拡がることにより、出てくる光の一点の直径(スポット径)が大きくなり、十分な精細度が得られないという問題があった。さらに、これら改善された蛍光体においても、近年の性能向上要求においては輝度が不十分である問題があった。また、そのため、高電流密度の電子線照射が必要となり、着色及び発光効率の低下が生じ、照射時間と共に輝度が劣化してゆく要因となった。
【0010】
【特許文献1】特公昭61‐21505号公報
【特許文献2】特公平6-62939号公報
【特許文献3】特開平2-289679号公報
【特許文献4】特公昭61-21505号公報
【特許文献5】特公平06-60354号公報
【特許文献6】特開2003-115481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記従来の画像表示装置には、精細度が低いという問題があった。したがって、本発明の主たる目的は、高精細かつ高輝度の蛍光膜を用いた画質の良い画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、(1)少なくとも蛍光膜が形成された基体と、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段とを備える画像表示装置において、
前記蛍光膜の厚さが40μm以下であり、かつ前記蛍光膜を形成する蛍光体の少なくとも一部に、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置において達成できる。
【0013】
さらに、上記蛍光体の組成式のyの範囲を、0.09<y≦0.3とすれば、より望ましい特性を得られる。
【0014】
また、上記蛍光膜の膜厚の範囲を、10μm以上30μm未満とすれば、より望ましい特性を得られる。
【0015】
さらに、上記蛍光膜の膜厚の範囲を、10μm以上21μm未満とすれば、より望ましい特性を得られる。
【0016】
さらに、上記蛍光体の組成式のyの範囲を、0.2<y≦0.3としても、よい効果を上げることが出来る。
【0017】
また、上記蛍光体についてのX線回折で、最も強く現れる回折ピークの位置を2θ=30.65°以上30.9°以下とすることで、望ましい特性を得られる。
【0018】
さらに、上記蛍光体の最も強く現れる回折ピークの位置を、2θ=30.7°以上30.8°以下の範囲とすることで、より望ましい特性を得られる。
【0019】
さらに、上記蛍光体の最も強く現れる回折ピークの半値幅が、2θ=0.15°以下の範囲とすれば、より望ましい特性を得られる。
【0020】
このような蛍光体は、Y、Sc、及びTb同時に含む化合物を、Siを含む化合物と混合し、加熱焼成することにより得ることが出来る。
【0021】
また、このような蛍光体は、Y、Sc、Tb及びSiを同時に含む化合物を加熱焼成することにより得ることが出来る。
【0022】
また、上記蛍光膜が、他の蛍光体の一種類もしくは複数の種類と混在することにより、より望ましい特性を得ることも出来る。
【0023】
上記目的は、以下の特徴を有する画像表示装置によっても達成することができる。
(2)上記(1)に記載の画像表示装置は、赤色発光、青色発光、緑色発光の3色の蛍光膜によりカラー表示機能を備えた画像表示装置であって、前記3色の蛍光膜のうち緑色発光蛍光膜が、膜厚40μm以下であり、かつ、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする。
(3)上記(1)に記載の画像表示装置は、赤色発光、青色発光、緑色発光の3色の蛍光膜によりカラー表示機能を備えた画像表示装置であって、前記赤色発光蛍光膜の少なくとも一部にY2O3もしくはY2O2Sを成分とする蛍光体のうちいずれか1つもしくは両者を含み、かつ、青色発光蛍光膜の少なくとも一部にZnSを成分とする蛍光体を含み、かつ、緑色発光の蛍光膜が、膜厚40μm以下であり、かつ、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする。
(4)上記(1)に記載の画像表示装置は、前記蛍光膜が形成されたフェイスプレート及び前記蛍光膜に画像情報に基づいて電子ビームを照射し発光させる電子源を有する投射型陰極線管と、前記投射型陰極線管から投影される画像を表示するスクリーンとを備えた投射型テレビジョンであることを特徴とする。
(5)上記(1)に記載の画像表示装置は、前記蛍光膜が形成された基体と、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段とを有する平面画像表示パネルを備えることを特徴とする。
(6)上記(5)に記載の画像表示装置において、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段は、ガス放電用電極と放電用希ガスとを含むプラズマ発生手段を備えると共に、前記プラズマ発生手段が前記画像情報に基づいてプラズマ放電を起こすことにより発生する光を前記蛍光膜に照射し発光させる手段を含むことを特徴とする。
(7)上記(5)に記載の画像表示装置において、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段は、前記基体に形成された蛍光膜に対向して電界放出型電子源を備えると共に、前記電界放出型電子源が前記画像情報に基づいて発生する電子線を励起エネルギとして前記蛍光膜に照射し発光させる手段を含むことを特徴とする。
(8)蛍光膜が形成されたフェイスプレート及び前記蛍光膜に画像情報に基づいて電子ビームを照射し発光させる電子源を有する赤信号用、緑信号用、青信号用の3本の投射型陰極線管と、前記投射型陰極線管から投影される画像を表示するスクリーンとを備えた投射型カラーテレビジョンであって、前記緑信号用投射型陰極線管のフェイスプレートに形成された蛍光膜は、膜厚が40μm以下であり、かつ前記蛍光膜を形成する蛍光体の組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす緑色発光蛍光体を含むことを特徴とする。
(9)上記画像表示装置は、いずれも自発光型の画像装置であるが、この蛍光体を非発光型である液晶表示装置のバックライトに用いれば、輝度の高い優れた液晶表示装置が実現できる。すなわち、この液晶表示装置の特徴は、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を含む蛍光膜を有する冷陰極管構造の白色発光蛍光ランプと、前記蛍光ランプをバックライトとする液晶パネルとを備えた画像表示装置であって、前記蛍光膜の膜厚が40μm以下であり、かつ前記緑色発光蛍光体は、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする。
(10)上記冷陰極管構造の白色発光蛍光ランプは、通常、照明器具の光源として使用されている蛍光灯とは異なり、特殊な構造を有している。すなわち、通常の蛍光灯の管径は、数cm〜数10cm(例えば32cm)と太いが、液晶表示装置のバックライトとなる上記冷陰極管構造の白色発光蛍光ランプは、管径が数mmと極細(例えば3〜5mm)で、しかも管長が数10cmと長い(例えば50〜80cm)。
【0024】
このように細くて長いランプであるため、高輝度の蛍光体が要求され、また、照明器具の場合には物体を照明して反射光を見るが、液晶画像表示装置では、ランプの光を直接見るため色純度も重要となる。本発明に係る上記緑色発光蛍光体は、このような要求を満足するものである。
【0025】
上記本発明の作用について以下に詳述する。
従来技術の蛍光体は、Tbで付活された母材Y2−2xSiO5の原料を、Gd、Sc、 Yb、Eu、Sm、Tm、Mn、Dy、Prなどを含む別の原料と混合し焼成することによって、組成Yの一部を置換し、特性の改善を図ってきた。
【0026】
それに対し、本発明は、原料化合物としてY、Sc、及びTb同時に含む化合物と、Siを含む化合物とを混合し、加熱焼成すること、または、原料化合物としてY、Sc、Tb及びSiを同時に含む化合物を加熱焼成することにより合成を行う。
【0027】
このことによって、Y2−x−yTbScSiO(但し、x、yは、0<x≦1、0<y≦1を満たす数)で表され、かつ、従来と異なる結晶を持つ蛍光体を得ることが出来る。
【0028】
また、従来技術の特許文献1(特公昭61-21505)、及び特許文献2(特公平6-62939)において、Sc置換組成が0.09以下で輝度が最大となるという結果となっているが、本発明では、より高い濃度において輝度が最大となる。これは、本発明の合成方法では、従来品と異なる、新たな結晶型となっているためである。
【0029】
また、従来技術の特許文献6(特開2003-115481)とは異なり、Siを化学量論に一致する組成とすることで、高い輝度を得ることが出来る。
【0030】
本発明の蛍光体の形態は、特に限定されず、単結晶でも多結晶でもよい。また、形状は、焼結体、粉体等いずれの形でも良い。ただし、陰極線管等の電子励起による発光を行う場合、高温で反応させた粉体が良く用いられる。この場合、粉体の粒径は1μm〜20μm程度のものが用いられる。
【0031】
さらに、本発明の蛍光膜において、Y3(Al、Ga)5O12:Tb、Zn2SiO4:Mn、LaOCl:Tb、InBO3:Tb、LaPO4:Tb、Ce、Y2O3:Eu、BaMgAl10O17:Eu、ZnS蛍光体など、他の蛍光体の一種類もしくは複数の種類と混在させて使用することにより、より輝度を高めること、もしくは色再現性をよくすること、もしくは色を変更すること、もしくは寿命特性を向上することができる。
【0032】
また、従来技術の蛍光膜は、輝度を高くするため、40μmを越える厚みが必要であった。しかし、本発明に係る上記蛍光体を用いることにより、40μm以下でも十分実用に用いることができる高い輝度を得ることが出来る。本発明では、上記蛍光体を40μm以下の膜厚で用いることにより、高精細かつ高輝度の画像表示装置を得ることが出来る。
【0033】
実用に供する場合の使用方法として、本発明の蛍光体を含む蛍光膜を有する画像表示装置を用いることにより、画質のよい画像表示装置を提供することができる。
【0034】
投射型ディスプレイを例に説明する。投射型ディスプレイはRBG三色の3本の投射管によって構成される。このうち、緑色投射管のフェイスプレートに塗布する蛍光体として、本発明の蛍光体を単独で、もしくは本発明の蛍光体を含む緑色蛍光体混合物を用いることによって、寿命特性の良い画像表示装置を作成することができる。
【0035】
また、直視型ディスプレイ用ブラウン管(以下直視管と略)においても、フェイスプレートに塗布する三色の蛍光体のうち、緑色蛍光体として、本発明の蛍光体を単独もしくは混合物で用いることによって、緑の発色のよい、寿命特性の良い、残光が短く画質の良い画像表示装置を作成することができる。
【0036】
また、本発明の蛍光体を含む蛍光膜を、フィールドエミッターディスプレイ(FED)等の、低速電子線を用いる画像表示装置に用いることによって、寿命特性の良い画像表示装置を作成することができる。
【0037】
本発明は、高精細であり、かつ、高電流励起における輝度が高く、また、輝度劣化特性が優れているため、投射管用及びFED用蛍光体としての用途に最適である。
【0038】
また、本発明の蛍光体を含む蛍光膜を、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の、紫外線励起による発光を行う画像表示装置に用いることによって、高精細かつ高輝度の画像表示装置を作製することができる。
【0039】
また、本発明を、液晶を用いた画像表示装置の、バックライトもしくはサイドライト光源に用いることによって、高精細かつ高輝度の画像表示装置を作製することができる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明した通り、本発明により所期の目的を達成することができた。すなわち、本発明により、高精細かつ高輝度である、高画質の画像表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【0042】
<実施例1>
本発明の構成の画像表示装置に用いる蛍光膜を以下の方法で作製し、その特性を評価した。
【0043】
本発明に用いる蛍光体は、Scが組成として含まれた、共沈などの手法による化合物を原料に用いて合成を行った。すなわち、原料として、(Y、Sc、Tb)2O3及びSiO2を用いた。また、他の合成法として、これら全て、すなわちY、Sc、Tb、Siが含まれた、共沈などの手法による化合物を用いても、結果としては、同等かもしくはさらによい結果が得られている。
【0044】
これらの材料の所定量をよく混合した。この混合物をアルミナるつぼに入れ、1400℃以上の温度で2時間以上焼成した。焼成物を粉砕し、粒径数μm前後の蛍光体粉末を得た。
【0045】
このような方法で、組成を変化させて、Y2−x−yTbScSiOで表される組成を持つ蛍光体をそれぞれ作製した。ここで、x、yは、0<x≦1、0<y≦1の範囲で変化させた。
【0046】
比較対象となる従来品は、Scが含まれない組成の原料を用いて、同様の方法で作製した。
【0047】
また、Sc含有組成品でも、従来品として、従来製造方法により試料を作製した。すなわち、Sc酸化物を、他の原料と混合して焼成する製造方法である。原料として、(Y,Tb)2O3、Sc2O3、及びSiO2を用いた。これらの原料を、本発明と同様の方法でよく混合及び焼成し蛍光体粉末を得た。
【0048】
陰極線による発光特性を測定するために、これらの試料を、金属製の基板上に水沈降塗布し、40μm厚以下の蛍光膜を作製した。この蛍光膜に、真空度10-5Pa以上の真空中において、0.1〜1000μA/cm2の範囲の電流密度で電子線を照射し、輝度を測定した。
【0049】
輝度は、膜面から20cm離れた位置でフォトトランジスタにより測定した。
図1に、Sc濃度yを変化させた場合の、輝度のSc量依存性を示す。図には0.35までのグラフを示した。従来例(Sc濃度y=0)の輝度を100として示した。Sc濃度yが0を越える範囲で、輝度において従来例を上回ることがわかる。特に、Sc濃度が0を越え0.3以下の範囲において、十分な輝度向上を示した。
さらに、0.09<y≦0.23の範囲において、顕著な輝度向上を示した。
また、従来技術では輝度向上がないとされていた、0.2<y≦0.3の範囲においても、輝度向上を示した。
また、xが0<x≦1の範囲における他の組成においても、Sc濃度yを変化させた場合、同様の結果となった。
【0050】
従来製造法で作製したSc含有蛍光体では、輝度の向上はあまり見られなかった。その理由は、本発明の蛍光体は、従来製造法での蛍光体と異なる結晶となっているからである。なお、この蛍光体(Y2−x−yTbScSiO)の発光スペクトルは、この種の従来のものと略同一なのでスペクトル曲線図を省略した。
【0051】
図2に、本発明の蛍光体のX線回折における最も強度が強いピークの拡大図を示す。X線測定は、CuのKα特性X線を用いた。この図よりわかるように、Scを組成に含む蛍光体では、Sc濃度に応じてピークが高角度側にシフトしている様子がわかる。これは、Scが結晶に取り込まれ、従来の原子位置を置換し、Scを含まない従来品とは異なる新たな結晶を形成していることがわかる。
【0052】
図3に、従来製造法により作製した蛍光体の、同様に測定したX線回折ピークの拡大図を示す。この場合は、Scを含む蛍光体のピーク位置は、Scを含まない従来例と殆ど変化しない。また、Sc濃度に応じてピーク強度が弱くなり、またピークが拡がっている様子がわかる。これは、組成としてScを含んでいても、結晶中の元素を置換していないことがわかる。また、ピーク強度が弱くなって拡がるということも十分な結晶が形成されていないことを示している。これらより、本発明で使用する蛍光体結晶は、本発明に示した方法ではじめて製造することが可能であることがわかる。
【0053】
図4に、Sc濃度yに対する、最も強度が強いX線回折ピークのピーク位置の変化を示す。Scを組成に加えることで、ピーク位置は2θ=30.65以上となる。従来製造法では、Sc濃度を増やしても、ピーク位置は2θ=30.70を越える値とならない。しかし、本発明では、Sc濃度を増やせば、ピーク位置がそれと共に増え、2θ=30.70以上の値となる。これは、前記のように本発明の結晶が、従来製造法のものと異なることを示している。この値は、2θ=30.9程度まで高くなるが、望ましい特性は2θ=30.80以下で得られる。
【0054】
図5に、Sc濃度yに対する、最も強度が強いX線回折ピークの半値幅の変化を示す。従来製造法では、Sc濃度を増やすことで、半値幅は急激に大きくなる。しかし、本発明では、Sc濃度を増やしても、半値幅はそれほど大きくならない。これは、前記のように本発明の結晶が、従来製造法のものと異なることを示している。本発明において、望ましい特性は半値幅が0.15°以下の試料で得られる。
【0055】
図6に、本発明における、全体組成1molに対する、含まれるSiのmol量を変化させた場合の、輝度の変化を示す。Si量が化学量論比に一致する1molの場合に、輝度が最も高いことがわかる。これより、Siのmol量が1であることが望ましいことがわかる。
【0056】
上記のように、本発明により、輝度の高い蛍光膜を作製することが出来、これを用いて画像表示装置を作製することにより、高精細かつ高輝度の画像表示装置を得ることが出来る。
【0057】
<実施例2>
本発明の構成の画像表示装置を、蛍光膜の膜厚を変化させて作製し、特性を評価した。
【0058】
実施例1で示したScを含む蛍光体による、本発明の画像表示装置に使用される蛍光膜を、膜厚を5〜50μmの範囲で変化させ作製した。この蛍光体に電子線を照射し、実施例1の測定法に準じ、輝度を測定した。また、精細度の指標となるスポット径を測定した。
【0059】
スポット径とは、電子線が一点に照射された場合に、光って見える点の直径のことである。通常は、電子線を走査しながら測定する。走査して移動する発光点を、スリットにより移動方向に分解し発光強度の時間変化を測定した。その結果から、発光点内における位置による発光強度の変化を算出した。今回は、最大の発光強度(発光点の中心)に対して、発光強度が10%になる位置までを発光点と見て、10%となる位置間の距離をスポット径と定義した。
【0060】
スポット径は画面上での画素の大きさと関係しており、ある程度の大きさ以下としないと画像の精細度が失われる。望ましいスポット径は200μm以下、さらに望ましくは170〜180μm程度以下である。また、ハイビジョン等の高精細画像に十分対応するためには、150〜160μm程度以下が望ましい。
【0061】
蛍光体の膜厚は、基板上に形成した蛍光膜の断面の厚さを走査電子顕微鏡を用いて測定した。また、非接触式の段差計を用い、基板やフェースパネルからの蛍光膜の厚さ測定も併せて実施した。これらの結果より、妥当な値を蛍光膜の膜厚とした。
【0062】
図7に、本発明における、蛍光膜の膜厚に対する、スポット径及び輝度の変化を示す。膜厚を薄くすると共に、スポット径が小さくなることがわかる。図7より、前記したスポット径を得るための膜厚は、40μm以下、望ましくは30μm以下、さらに望ましくは21μm未満であることがわかる。
【0063】
また、図7より、膜厚を薄くすると共に、輝度が低下することがわかる。従来品輝度を100前後としているが、実用的に使用するためには、輝度80以上が望ましい。また、輝度90以上がさらに望ましい。図7より、輝度90以上を得るための膜厚は10μm以上であることがわかる。
【0064】
上記のように、本発明により、精細度の高い蛍光膜を作製することが出来、これを用いて画像表示装置を作製することにより、高精細かつ高輝度の画像表示装置を得ることが出来る。
【0065】
<実施例3>
画像表示を行う緑色蛍光膜として、本発明の蛍光体による蛍光膜を有する、対角18cmサイズの緑色画像用投射型陰極線管を作製した。
【0066】
図8に、投射型陰極線管の断面の概念図を示す。同図において、投射型陰極線管は、ネック端に電子銃4を備え、フェイスプレート1の内面に、蛍光膜2及びメタルバック3を備えている。投射型陰極線管の蛍光膜は単色膜で構成されている。本発明の手段を用い、7インチバルブ中で水沈降により蛍光膜2を形成し、フィルミング、アルミバック蒸着を行い、電子銃等の部品を取り付け、排気、封止を行って陰極線管を完成させた。
【0067】
これらの本発明の陰極線管を用い、30kVの電圧を加え、TVスキャンにより102×76mmの大きさで照射される、0.1〜10mAの陰極線で励起した。以下に示す方法で、発光特性を測定した。
【0068】
輝度は、数十cm離れた位置から輝度計を用いて計測した。また、実施例2に準じた方法により、スポット径を測定した。
【0069】
これらの評価の結果、今回作製した陰極線管は、精細度において、従来品を上回った。かつ、輝度特性においても、従来品と同等以上であった。すなわち、本発明により、高精細かつ高輝度である、画質の良い画像表示装置を得た。
【0070】
<実施例4>
画像表示を行う緑色蛍光膜として、本発明の蛍光体による蛍光膜を有する、投射型テレビ画像表示装置を作製した。
【0071】
実施例3に示すように、本発明による対角18cmサイズの緑色画像用投射型陰極線管を作製した。さらに、他の青色画像用投射型陰極線管、及び赤色画像用投射型陰極線とを組み合わせて、投射型テレビ画像表示装置を作製した。
【0072】
図9に、本発明による投射型テレビ画像表示装置の模式図を示す。同図において、5は赤色画像用陰極線管、6は本発明の緑色画像用陰極線管、7は青色画像用陰極線管であり、これらに対向して一定距離はなした位置に映写スクリーン8が配置されている。また、前記各々の投射型陰極線管には、これらの中心軸と同一線上に投射レンズ系9が配置され、前記各々の投射型陰極線管のフェイスプレートに再生された単色の画像が集光拡大されて前記映写スクリーン8に投射され、3色が重ね合い合成されたカラー画像が得られる。
【0073】
実際には、投射型テレビ画像表示装置は、上記に示す各画像用陰極線管、映写スクリーン、及び投射レンズ系の外に、テレビ用チューナー、陰極線管駆動回路、画像信号処理回路等の画像表示用装置、また、音響用スピーカー、アンプなどの音響装置、また、スイッチやボリュームなどの操作用装置、また、全体を収める外装や、支えるフレームや台等によって構成されている。
【0074】
ここで、本実施例において、以下に示す各方法で、発光特性を測定した。輝度は、数十cm離れた位置から輝度計を用いて計測し、従来用いられている現行標準品の輝度を100として相対輝度で表した。測定は、30kVの電圧を加え、102×76mmの大きさで照射される、0.1〜10mAの陰極線で励起し測定した。
【0075】
蛍光体の発光色は、数十cm離れた位置から色度計を用いて測定した。発光色の比較は、x−yの色度座標の色度値yの比較により行った。
輝度劣化特性の測定は、102×76mmの大きさで照射される、0.5mA前後の陰極線を1000時間照射連続照射し、その前後での輝度比により比較した。
また、ハイビジョンなどの高精細画像を表示し、精細度を詳細に評価した。
【0076】
これらの評価の結果、今回作製した投射型テレビ画像表示装置は、精細度において、従来品を上回った。かつ、輝度及び輝度劣化特性においても、従来品と同等以上であった。すなわち、本発明により、高精細かつ高輝度である、画質の良い画像表示装置を得た。
【0077】
<実施例5>
画像表示を行う緑色蛍光膜として、本発明の蛍光体による蛍光膜を有する、投射型テレビ画像表示装置を作製した。
【0078】
実施例3に示すように、本発明による対角18cmサイズの緑色画像用投射型陰極線管を作製した。さらに、他の青色画像用投射型陰極線管として、ZnS:Ag,Al蛍光体を含んだ蛍光膜による陰極線管を用いた。また、赤色画像用投射型陰極線として、Y2O3:Eu蛍光体を含む蛍光膜による陰極線管を用いた。これらを組み合わせて、投射型テレビ画像表示装置を作製した。実施例5と同様の構成により、同様の評価を実施した。
【0079】
これらの評価の結果、今回作製した投射型テレビ画像表示装置は、精細度において、従来品を上回った。かつ、輝度及び輝度劣化特性においても、従来品と同等以上であった。三色を合わせた評価における色調や画質において、特に良好な結果を得た。すなわち、本発明により、高精細かつ高輝度である、画質の良い画像表示装置を得た。
【0080】
また、青色画像用投射型陰極線管として、ZnSを成分とする蛍光体を含んだ上記以外の蛍光膜による陰極線管を用いた場合も同様の結果を得た。また、赤色画像用投射型陰極線として、少なくとも一部にY2O3もしくはY2O2Sを成分とする蛍光体のうちいずれか1つもしくは両者を含む上記以外の蛍光膜による陰極線管を用いた場合も同様の結果を得た。これらを組み合わせることにより、画質の良い画像表示装置を得た。
【0081】
<実施例6>
画像表示を行う緑色蛍光膜として、Zn2SiO4:Mn蛍光体を混在させた本発明の蛍光膜を用いて、対角18cmサイズ緑色画像用投射型陰極線管を作製した。さらに、本発明の技術を用いた該緑色画像用投射型陰極線管と、他の青色画像用投射型陰極線管、及び赤色画像用投射型陰極線とを組み合わせて、投射型テレビ画像表示装置を作製した。装置の構成及び特性の測定方法は実施例4と同様である。
【0082】
上記混合膜において、全体に対するZn2SiO4:Mn蛍光体の重量比を、0〜1まで変化させ、CIE色度座標の色度値y及び相対輝度を測定した。緑蛍光体においては、色度値yが大きいほど色の再現性が良く、良好な画像が得られる。Zn2SiO4:Mn蛍光体の重量比が増えるにしたがって、色度値yが増加し、良好な色再現性を示すことがわかる。一方、Zn2SiO4:Mn蛍光体の重量比が増えるにしたがって、輝度が低下する。色再現性の上では、Zn2SiO4:Mn蛍光体の重量比は多い方が良いが、実用に供する輝度を得るためには、重量比0.4以下の方が良い。この範囲での混合蛍光体を用いることで、良好な特性を持つ画像表示装置を提供することが出来る。
【0083】
また、Zn2SiO4:Mn蛍光体に替えて、LaOCl:Tb蛍光体、InBO3:Tb蛍光体や、ZnS蛍光体など、本発明と発光の色度が異なるその他の蛍光体を本発明に混在させ陰極線管を作製した。その結果、上記と同様の結果が得られた。
【0084】
<実施例7>
画像表示を行う緑色蛍光膜として、Y3(Al,Ga)5O12:Tb 蛍光体を混在させた本発明の蛍光膜を用いて、対角18cmサイズ緑色画像用投射型陰極線管を作製した。さらに、本発明の技術を用いた緑色画像用投射型陰極線管と、他の青色画像用投射型陰極線管、及び赤色画像用投射型陰極線とを組み合わせて、投射型テレビ画像表示装置を作製した。装置の構成及び特性の測定方法は実施例4と同様である。
【0085】
上記混合膜において、全体に対するY3(Al,Ga)5O12:Tb蛍光体の重量比を、0〜1まで変化させ、色度値y、相対輝度及び輝度劣化特性を測定した。それにより、Y3(Al,Ga)5O12:Tb蛍光体の重量比を増やすと、相対輝度及び輝度劣化特性が向上するが、色度値yが低下するという結果を得た。実用に供することのできる色度値は、Y3(Al,Ga)5O12:Tb蛍光体の重量比0.6以下で得ることができる。この範囲での混合蛍光体を用いることで、輝度が高く輝度劣化の少ない、良好な特性を持つ画像表示装置を提供することが出来る。
【0086】
また、Y3(Al,Ga)5O12:Tb蛍光体に替えて、本発明と輝度や劣化特性が異なるその他の蛍光体を本発明に混在させ陰極線管を作製した。その結果、上記と同様の結果が得られた。
【0087】
<実施例8>
本発明の構成の含む蛍光膜を、プラズマディスプレイパネル(PDP)に適用した。図10にプラズマディスプレイパネルのセル構造を示す。また、図11に、プラズマディスプレイパネルの構成を示す。このような構造の本発明によるプラズマディスプレイを作製した。なお、図10及び図11において、10は蛍光体、11は隔壁、12はアドレス電極、13は背面基板ガラス、14は前面基板ガラス、15は誘電体層、16は保護膜MgO、17は表示電極、18は緑蛍光体層、19は赤蛍光体層、20は青蛍光体層、をそれぞれ示している。
【0088】
特性を評価した結果、今回作製した本発明によるプラズマディスプレイは、輝度において、従来品を上回った。かつ、画質においても、従来品と同等以上であった。すなわち、本発明により、高輝度かつ画質の良い画像表示装置を得た。
【0089】
<実施例9>
本発明の構成の蛍光膜を、低速電子線による励起を行うフィールドエミッターディスプレイ(FED)に適用した。図12にフィールドエミッターディスプレイのセル構造を示す。このような構造の本発明によるフィールドエミッターディスプレイを作製した。なお、図12において、21はフェイスプレート、22は蛍光膜、23はリアプレート、24は陰極、25は抵抗膜、26は絶縁膜、27はゲート、28は円錐型金属、29はFED型電子源、をそれぞれ示している。
【0090】
特性を評価した結果、今回作製した本発明によるフィールドエミッターディスプレイは、輝度において、従来品を上回った。かつ、画質においても、従来品と同等以上であった。すなわち、本発明により、高輝度かつ画質の良い画像表示装置を得た。
【0091】
<実施例10>
本発明の構成の蛍光膜を、液晶ディスプレイのバックライトに適用した。バックライトに用いた冷陰極管(CCFL)の構造の模式図を図13に示す。また、本発明のその他の構成のバックライトとして用いた希ガス(キセノン)ランプの構造の模式図を図14に示す。また、本発明のその他の構成のバックライトとして用いた平面(キセノン)ランプの構造の模式図を図15に示す。なお、図13、図14及び図11において、30はガラス管、31は蛍光体、32は電極、33は放電媒体、34は密閉容器(背面ガラス34A、前面ガラス34B)、35は誘電体、をそれぞれ示している。
【0092】
これらのバックライトの蛍光膜として、本発明による蛍光膜を用いた。蛍光膜には、Y2O3:Eu蛍光体、及びBaMgAl10O17:Eu蛍光体を混在させることにより、白色の発光を得た。また、LaPO4:Tb,Ce蛍光体、及び一般的にSCA:Euと呼称される蛍光体のいずれか、もしくは両者を、上記蛍光体のいずれか、もしくは両者と共に、もしくは別途に混在させたものも作製した。
【0093】
これらのバックライトを用いて、液晶ディスプレイを作製した。図16に、冷陰極管を用いた場合の、液晶ディスプレイの構造を分解斜視図として模式的に示した図を示す。なお、図16において、36はバックライトユニット、37は液晶素子、38は筐体(下)、39は反射板、40は白色光源(例えばCCFL)、41は拡散板、42はプリズムシート、43は偏光反射板、44はインバータ、45は筐体(上)、をそれぞれ示している。
【0094】
特性を評価した結果、今回作製した本発明による液晶ディスプレイは、輝度において、従来品を上回った。かつ、画質においても、従来品と同等以上であった。すなわち、本発明により、高輝度かつ画質の良い画像表示装置を得た。
【0095】
また、本発明の構成によれば、光源の種類はここに示したものに限らず他のものでも十分な効果を上げることが出来る。また、バックライトに限らず、サイドライトや、フロントプロジェクションの光源として用いても十分な効果を上げることが出来る。
【0096】
本発明により、従来品より輝度が高く、画質の良い液晶ディスプレイを作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSc濃度yと、蛍光体の輝度との関係について示した本発明の特性曲線である。
【図2】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSc濃度yによる、蛍光体のX線回折ピークの変化について示した図である。
【図3】従来技術となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSc濃度yによる、蛍光体のX線回折ピークの変化について示した図である。
【図4】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSc濃度yと、X線回折ピーク位置との関係について示した図である。
【図5】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSc濃度yと、X線回折ピーク半値幅との関係について示した図である。
【図6】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光体のSiのモル量と、蛍光体の相対輝度との関係について示した本発明の特性曲線である。
【図7】本発明の実施例となる画像表示装置に含まれる蛍光膜の膜厚と、スポット径及び輝度との関係について示した本発明の特性曲線である。
【図8】本発明の実施例となる陰極線管の断面構造を模式的に示した構成図である。
【図9】本発明の実施例となる投射型テレビ画像装置の構造を模式的に示した構成図である。
【図10】本発明の実施例となる、プラズマディスプレイパネルのセル構造を模式的に示した図である。
【図11】本発明の実施例となる、プラズマディスプレイパネルの構造を模式的に示した図である。
【図12】本発明の実施例となる、フィールドエミッタディスプレイパネルのセル構造を模式的に示した図である。
【図13】本発明の実施例となる、液晶ディスプレイに用いられる冷陰極管(CCFL)の構造を模式的に示した図である。
【図14】本発明の実施例となる、液晶ディスプレイに用いられる希ガスランプの構造を模式的に示した図である。
【図15】本発明の実施例となる、液晶ディスプレイに用いられる平面バックライトの構造を模式的に示した図である。
【図16】本発明の実施例となる、液晶ディスプレイの構造を分解斜視図として模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0098】
1…フェイスプレート、
2…蛍光膜、
3…メタルバック、
4…電子銃、
5…赤色画像用陰極線管、
6…緑色画像用陰極線管、
7…青色画像用陰極線管、
8…映写スクリーン、
9…投射レンズ系、
10…蛍光体、
11…隔壁、
12…アドレス電極、
13…背面基板ガラス、
14…前面基板ガラス、
15…誘電体層、
16…保護膜MgO、
17…表示電極、
18…緑蛍光体層、
19…赤蛍光体層、
20…青蛍光体層、
21…フェイスプレート、
22…蛍光膜、
23…リアプレート、
24…陰極、
25…抵抗膜、
26…絶縁膜、
27…ゲート、
28…円錐型金属、
29…FED型電子源、
30…ガラス管、
31…蛍光体、
32…電極、
33…放電媒体、
34…密閉容器(背面ガラス34A、前面ガラス34B)、
35…誘電体、
36…バックライトユニット、
37…液晶素子、
38…筐体(下)、
39…反射板、
40…白色光源(例えばCCFL)、
41…拡散板、
42…プリズムシート、
43…偏光反射板、
44…インバータ、
45…筐体(上)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも蛍光膜が形成された基体と、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段とを備える画像表示装置において、
前記蛍光膜の厚さが40μm以下であり、かつ前記蛍光膜を形成する蛍光体の少なくとも一部に、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体の組成式中のyの範囲が、0.09<y≦0.3であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光膜の膜厚の範囲が、10μm以上30μm以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光膜の膜厚の範囲が、10μm以上21μm未満であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体の組成式中のyの範囲が、0.2<y≦0.3であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体は、X線回折で、最も強く現れる回折ピークの位置が2θ=30.65°以上30.9°以下であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体の最も強く現れる回折ピークの位置が、2θ=30.7°以上30.8°以下の範囲であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体の最も強く現れる回折ピークの半値幅が、2θ=0.15°以下の範囲であることを特徴とする画像表示装。
【請求項9】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体が、Y、Sc及びTbを同時に含む化合物を、Siを含む化合物と混合し、加熱焼成することにより得られたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項10】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光体が、Y、Sc、Tb及びSiを同時に含む化合物を加熱焼成することにより得られたものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項11】
請求項1記載の画像表示装置において、前記蛍光膜が、他の蛍光体の一種類もしくは複数の種類と混在することを特徴とする画像表示装置。
【請求項12】
請求項1記載の画像表示装置において、前記画像表示装置は、赤色発光、青色発光、緑色発光の3色の蛍光膜によりカラー表示機能を備えた画像表示装置であって、前記3色の蛍光膜のうち緑色発光蛍光膜が、膜厚40μm以下であり、かつ、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項13】
請求項1記載の画像表示装置において、前記画像表示装置は、赤色発光、青色発光、緑色発光の3色の蛍光膜によりカラー表示機能を備えた画像表示装置であって、前記赤色発光蛍光膜の少なくとも一部にY2O3もしくはY2O2Sを成分とする蛍光体のうちいずれか1つもしくは両者を含み、かつ、青色発光蛍光膜の少なくとも一部にZnSを成分とする蛍光体を含み、かつ、緑色発光の蛍光膜が、膜厚40μm以下であり、かつ、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項14】
請求項1記載の画像表示装置において、前記画像表示装置は、前記蛍光膜が形成されたフェイスプレート及び前記蛍光膜に画像情報に基づいて電子ビームを照射し発光させる電子源を有する投射型陰極線管と、前記投射型陰極線管から投影される画像を表示するスクリーンとを備えた投射型テレビジョンであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
請求項1記載の画像表示装置において、前記画像表示装置は、前記蛍光膜が形成された基体と、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段とを有する平面画像表示パネルを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
請求項15記載の画像表示装置において、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段は、ガス放電用電極と放電用希ガスとを含むプラズマ発生手段を備えると共に、前記プラズマ発生手段が前記画像情報に基づいてプラズマ放電を起こすことにより発生する光を前記蛍光膜に照射し発光させる手段を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項17】
請求項15記載の画像表示装置において、前記蛍光膜に画像情報に基づいて励起エネルギを照射し発光させる励起手段は、前記基体に形成された蛍光膜に対向して電界放出型電子源を備えると共に、前記電界放出型電子源が前記画像情報に基づいて発生する電子線を励起エネルギとして前記蛍光膜に照射し発光させる手段を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項18】
蛍光膜が形成されたフェイスプレート及び前記蛍光膜に画像情報に基づいて電子ビームを照射し発光させる電子源を有する赤信号用、緑信号用、青信号用の3本の投射型陰極線管と、前記投射型陰極線管から投影される画像を表示するスクリーンとを備えた投射型カラーテレビジョンであって、前記緑信号用投射型陰極線管のフェイスプレートに形成された蛍光膜は、膜厚が40μm以下であり、かつ前記蛍光膜を形成する蛍光体の組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項19】
蛍光膜を有する光源と、液晶パネルとを備えた画像表示装置において、前記蛍光膜の膜厚が40μm以下であり、かつ前記蛍光膜は、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項20】
請求項19記載の画像表示装置において、前記画像表示装置は、前記光源として、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を含む蛍光膜を有する冷陰極管構造の白色発光蛍光ランプと、前記蛍光ランプをバックライトとする液晶パネルとを備えた画像表示装置であって、前記蛍光膜の膜厚が40μm以下であり、かつ前記緑色発光蛍光体は、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする画像表示装置。
【請求項21】
蛍光膜を有する蛍光ランプにおいて、前記蛍光膜の膜厚が40μm以下であり、かつ前記蛍光膜は、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。
【請求項22】
請求項21記載の蛍光ランプにおいて、前記蛍光ランプは、赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体を含む蛍光膜を有する冷陰極線構造の白色発光蛍光ランプであって、前記蛍光膜の膜厚が40μm以下であり、かつ前記緑色発光蛍光体は、組成が一般式Y2-x-yTbxScySiO5で表され、ただし、式中のx及びyは0<x≦1、0<y≦1を満たす蛍光体を含むことを特徴とする蛍光ランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2006−335778(P2006−335778A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158357(P2005−158357)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【Fターム(参考)】