説明

画像表示装置

【課題】 航空写真画像のような実画像の表示の差別化を図り、ユーザーの満足度を高めることのできる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】 表示パネル9b上に、位置座標と対応付け可能となるように形成された実画像データに基づいて、地球表面を写した衛星写真や航空写真などの実画像を表示する表示制御手段を備えた画像表示装置において、表示制御手段が、所定の区画の領域を示した領域情報、及び実画像データに基づいて、所定の区画E1、E2、E3とそれ以外の部分とを差別化して実画像を表示するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像表示装置に関し、より詳細には、特にナビゲーション装置に採用され、地球表面を写した衛星写真や航空写真などの実画像に対応する実画像データを用いた画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置においては、DVD−ROMなどに記録されている道路地図データに基づいて、表示装置の画面上に地図を表示し、さらには自己の位置データに基づいて、自己の位置を前記地図上に表示したり、目的地までのルートを案内することができるようになっている。
【0003】
ところが、上記した従来のナビゲーション装置では、表示される地図画像が地図データを用いて作成されているため、前記地図画像を通じて自己の現在位置を理解したり、前記自己の現在位置周辺の実際の状況を把握することが難しいといった問題があった。
というのは、前記地図画像では立体交差する道路などの上下の位置関係を表すことが難しく、また、実際には前記地図画像上に表示されない道路や建物などが数多く存在するからである。
【0004】
このような問題を解決するための手段の一つとして、航空写真データから作成される航空写真画像上に自己の現在位置を表示するといった発明が開示されている(下記の特許文献1参照)。前記航空写真画像を用いれば、目印となる建物などが非常に分かり易くなるため、前記自己の現在位置を理解し易くなり、また、前記自己の現在位置周辺の実際の状況についても把握し易くなるといった利点がある。
【0005】
しかしながら、いかなる場合にも、地図データを用いて作成された地図画像よりも、航空写真データを用いて作成された航空写真画像の方が前記自己の現在位置を理解し易く、また、前記自己の現在位置周辺の状況を把握し易くなる訳ではなく、むしろ前記地図画像の方が前記航空写真画像よりも、前記自己の現在位置を理解し易い場合もある。
【0006】
従って、次世代のナビゲーション装置は、航空写真画像だけを利用したものではなく、従来からの地図画像だけを利用したものでもなく、航空写真画像と地図画像との両方を用いたものが主流になってくるものと思われる。このため、これら2つの異なる特徴をもった航空写真画像のような実画像と、地図画像との使い分けが今後重要になってくると思われる。
【特許文献1】特開平5−113343号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段及びその効果】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであって、特にナビゲーション装置に採用され、航空写真画像のような実画像の表示の差別化を図り、ユーザーの満足度を高めることのできる画像表示装置を提供することを目的としている。
【0008】
上記目的を達成するために本発明に係る画像表示装置(1)は、表示画面上に、位置座標と対応付け可能となるように形成された実画像データに基づいて、地球表面を写した衛星写真や航空写真などの実画像を表示する表示制御手段を備えた画像表示装置において、前記表示制御手段が、所定の区画の領域を示した領域情報、及び前記実画像データに基づいて、前記所定の区画とそれ以外の部分とを差別化して前記実画像を表示するものであることを特徴としている。
【0009】
上記画像表示装置(1)によれば、前記表示画面上に前記実画像が表示されるときに、前記所定の区画(例えば、ユーザーが過去に訪れたことのある区画)とそれ以外の部分(例えば、ユーザーが過去に訪れたことのない区画)とを差別化して前記実画像が表示される(図6参照)。
【0010】
従って、ユーザーがより一層注目すべき区画などを瞬時に把握したりすることができるので、非常に有意義な装置を実現することができる。なお、表示の差別化を図る方法としては、例えば、一方をカラー表示にし、もう一方をモノクロ表示にするといった方法が挙げられる。
【0011】
また、本発明に係る画像表示装置(2)は、上記画像表示装置(1)において、特定の区画の設定を可能にする区画設定手段を備え、前記所定の区画が、前記区画設定手段により設定された前記特定の区画であることを特徴としている。
【0012】
上記画像表示装置(2)によれば、前記区画設定手段を備え、ユーザーが前記特定の区画を自由に設定することができ、さらにはユーザーにより設定された区画と、それ以外の部分とで表示の差別化を図ることができる。従って、ユーザーの希望に合致した表示形態を実現することができる。
【0013】
また、本発明に係る画像表示装置(3)は、上記画像表示装置(1)において、前記画像表示装置が、目的地へ到達するために必要となる経路や地図などの情報をユーザーへ提供することによって、自己を前記目的地まで誘導することのできるナビゲーション装置に採用される場合であって、前記自己における過去の走行履歴に関する情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶されている前記走行履歴に基づいて、ある特定の区域を求める区域算出手段とを備え、前記所定の区画が、前記区域算出手段により算出された区域を含んだ区画であることを特徴としている。
【0014】
上記画像表示装置(3)によれば、前記自己における過去の前記走行履歴に基づいて求められた、ある特定の区画(例えば、訪問したことのある施設のある場所を含んだ区画)と、それ以外の部分とで表示の差別化を図ることができる。従って、前記表示画面上に表示されている内容を通じて、ユーザーはどこの地域を訪れたことがあるのかといったことを瞬時に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る画像表示装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置の要部を概略的に示したブロック図である。
【0016】
車速から演算して走行距離に関する情報を取得するための車速センサ2と、進行方向に関する情報を取得するためのジャイロセンサ3とがマイコン1に接続されており、マイコン1は演算した走行距離情報、及び進行方向情報に基づいて自車位置を割り出すことができるようになっている(自律航法)。
GPS受信機4は、アンテナ5を介して衛星からのGPS信号を受信するものであり、マイコン1に接続されており、マイコン1は前記GPS信号に基づいて自車位置を割り出すことができるようになっている(GPS航法)。
【0017】
また、地図データ、及び地球表面を写した衛星写真であり、前記地図データと同一スケールで形成された実画像データが記録されたDVD−ROM7(他の記憶装置も可能)から前記地図データや前記実画像データなどを取り込むことのできるDVDドライブ6がマイコン1に接続されており、マイコン1は割り出した自車の現在位置情報や、後述する誘導経路に関する経路情報などに基づいて、DVD−ROM7から必要な前記地図データ(特に、後述する道路データや施設データなど)、及び前記実画像データをマイコン1内のRAM1aへ記憶させておくようになっている。なお、前記実画像データを、位置座標と対応付けする方法としては、例えば、前記実画像データの表す矩形領域の左上および右下の緯度・経度を利用する方法が挙げられる。
【0018】
また、前記地図データは、道路データや施設データなどを含んで構成され、さらに前記道路データは、ノードデータとリンクデータとから構成され、前記ノードデータの付属データとしては、座標、ノードID、及び接続情報があり、前記リンクデータの付属データとしては、両端のノードID、道路形状(補間点座標)、道路種別、及び幅員がある。
【0019】
図2は、ノード、リンク、及び前記補間点の関係を説明するための説明図であり、図2に示したように、前記ノードは道路と道路とが交わる交差点であり、前記リンクは前記ノード又は前記補間点と前記ノード又は前記補間点とを接続する線分であり、前記補間点は前記リンクの形状を表現するための点である。
【0020】
また、前記施設データは、図3に示したように、施設の種別(例えば、学校、コンビニエンスストア、銀行、公園など)、所在地を示す所在地座標、及びその領域を示す領域情報などから構成されている。
【0021】
図4は、前記所在地座標、及び前記領域情報を説明するための説明図であり、施設Aの領域情報は(x11,y11)〜(x14,y14)の座標4点からなり、施設Bの領域情報は(x21,y21)〜(x25,y25)の座標5点からなっていることを示しており、また、施設Aの所在地座標は(x10,y10)であり、施設Bの所在地座標は(x20,y20)であることを示している。
【0022】
また、マイコン1は割り出した自車の現在位置と前記地図データ(前記実画像データ)とを合わせるマップマッチング処理を行うことによって、自車の現在位置が正確に示された地図画像(実画像)を表示パネル9bへ表示することができるようになっている。
【0023】
また、リモコン8に設けられたジョイスティック8aやボタンスイッチ8bから出力されたスイッチ信号や、表示装置9に設けられたボタンスイッチ9aから出力されたスイッチ信号がマイコン1に入力され、これらスイッチ信号に応じた処理がマイコン1で行われるようになっている。例えば、マイコン1はこれらスイッチから目的地や経由地などの情報を取り込むと、前記自車の現在位置(出発地)から前記目的地までの前記経由地を経由した最適経路を求め、これを誘導経路として地図画面と共に表示パネル9b上に表示するようになっている。
【0024】
また、表示パネル9bの上下左右には複数の赤外線LEDと複数のフォトトランジスタとが対向して配置され、指が表示パネル9bに触れた位置を検出することができるように構成され、検出された結果についてはマイコン1で取得することができるようになっている。
【0025】
次に実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置におけるマイコン1の行う処理動作を図5に示したフローチャートに基づいて説明する。まず、前記GPS信号などから自車の現在位置を算出し(ステップS1)、次に、表示パネル9bに表示すべき前記自車位置周辺の領域に、前記施設データとして登録されている施設が存在するか否かを判断する(ステップS2)。
【0026】
ステップS2において、該当する施設(例えば、後述する図6で示す学校P1、公園P2、野球場P3)が存在すると判断すれば、該当する施設の所在地を示した所在地座標、及び道路データに基づいて、前記施設が含まれる区画(例えば、幹線道路など比較的幅員の広い道路で仕切られた範囲であり、図6で示す区画E1〜E3)を求める(ステップS3)。なお、前記区画を求める方法としては、前記範囲を示すノードの座標、及び補間点の座標を拾い上げるといった方法が挙げられる。
【0027】
次に、ステップS1で算出した前記自車の現在位置情報、及びRAM1aに記憶されている前記実画像データに基づいて、前記自車の現在位置周辺を示した実画像を表示パネル9bへ表示する(ステップS4)。なお、このとき前記区画の領域情報(例えば、前記範囲を示す前記ノードの座標、及び前記補間点の座標)に基づいて、前記施設が含まれている区画(例えば、区画E1〜E3)についてはカラーで実画像を表示し、それ以外の部分についてはモノクロで実画像を表示することによって、両者の差別化を図る。
【0028】
また、ステップS2において、該当する施設が存在しないと判断すれば、表示の差別化を図る必要がないので、ステップS1で算出した前記自車の現在位置情報、及びRAM1aに記憶されている前記実画像データに基づいて、前記自車の現在位置周辺を示した実画像をモノクロで表示パネル9bへ表示する(ステップS5)。
【0029】
図6は、表示パネル9b上に実画像が表示された状態を示した図であり、図中Mは自車位置マークを示し、図中P1〜P3それぞれは学校、公園、野球場を写した実画像を示し、また、図中E1〜E3それぞれは学校P1、公園P2、野球場P3が含まれた区画を写した実画像を示している。
【0030】
上記実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置によれば、表示パネル9b上に前記実画像が表示されるときに、前記施設データとして登録されている施設が含まれる区画(カラー表示)と、それ以外の部分(モノクロ表示)とを差別化して前記実画像が表示される。
従って、ユーザーがより一層注目すべき区画などを瞬時に把握したりすることができるので、非常に有意義な装置を実現することができる。
【0031】
なお、上記実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置では、前記施設データとして登録されている施設が含まれる区画と、それ以外の区画とを差別化するようにしているが、別の実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置では、表示パネル9b上に表示された画面を通じて、ユーザーが各種設定を行うことができるようにし、例えば、『施設種別選択』(図7参照)画面を通じて、施設の種別を選択することができるようにし、マイコン1が『施設種別選択』画面を通じて設定された施設が含まれる区画と、それ以外の区画とを差別化するようにしても良い。
【0032】
また、さらに別の実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置では、実画像表示を施設の種別ではなく、ある特定の施設についてユーザーが設定できるようにしても良いし、また過去の走行履歴データを不揮発性メモリ(図示せず)に保存しておき、前記走行履歴データに基づいて、訪問したことのある施設や区域を割り出し、訪問したことのある施設や区域が含まれる区画とそれ以外の区画と差別化するようにしても良い。これにより、表示パネル9b上に表示されている内容を通じて、ユーザーはどこの地域を訪れたことがあるのかといったことを瞬時に把握することができる。
【0033】
また、上記実施の形態に係る画像表示装置では、所定の施設(例えば、学校、公園、野球場など)を写した実画像や、前記所定の施設が含まれる区画を写した実画像を表示する場合についてのみ説明しているが、本発明に係る画像表示装置は、前記所定の施設に限定されるものではなく、所定の場所を写した実画像や、前記所定の場所が含まれる区画を写した実画像を表示するものであり、例えば、田や畑、ため池などを写した実画像や、田や畑、ため池などが含まれる区画を写した実画像を表示するようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置の要部を概略的に示したブロック図である。
【図2】ノード、リンク、及び補間点の関係を説明するための説明図である。
【図3】実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置におけるDVD−ROMに記憶されている施設データの構成の一例を示した図である。
【図4】施設の所在地座標、及び領域情報を説明するための説明図である。
【図5】実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置におけるマイコンの行う処理動作を示したフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置の表示パネルに表示される画面状態の一例を示した図である。
【図7】別の実施の形態に係る画像表示装置が採用されたナビゲーション装置の表示パネルに表示される操作画面の一例を示した図である。
【符号の説明】
【0035】
1 マイコン
1a RAM
7 DVD−ROM
8 リモコン
9 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面上に、位置座標と対応付け可能となるように形成された実画像データに基づいて、地球表面を写した衛星写真や航空写真などの実画像を表示する表示制御手段を備えた画像表示装置において、
前記表示制御手段が、所定の区画の領域を示した領域情報、及び前記実画像データに基づいて、前記所定の区画とそれ以外の部分とを差別化して前記実画像を表示するものであることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
特定の区画の設定を可能にする区画設定手段を備え、
前記所定の区画が、前記区画設定手段により設定された前記特定の区画であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像表示装置が、目的地へ到達するために必要となる経路や地図などの情報をユーザーへ提供することによって、自己を前記目的地まで誘導することのできるナビゲーション装置に採用される場合であって、
前記自己における過去の走行履歴に関する情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶されている前記走行履歴に基づいて、ある特定の区域を求める区域算出手段とを備え、
前記所定の区画が、前記区域算出手段により算出された区域を含んだ区画であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−52796(P2007−52796A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−231137(P2006−231137)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【分割の表示】特願2002−182480(P2002−182480)の分割
【原出願日】平成14年6月24日(2002.6.24)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】