説明

画像表示装置

【課題】
画像表示装置における発光輝度の改善を図ることであり,優れた輝度特性を有する画像表示装置を提供することである。
【解決手段】
対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面側の基板と背面側の基板の間にはXe等の放電ガスが封入されており、背面側の基板には蛍光膜が配置されたプラズマディスプレイパネルであって、前記放電ガス中のXe濃度が8%以上であり、前記蛍光膜に(Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜(但し、Caの濃度aを0.01 ≦ a ≦ 0.08の分量で添加し、Srの濃度bを0.01 ≦ b ≦ 0.26の分量で添加する。Eu濃度xは0.15、Mn濃度yは0.35である)を用いることによって、発光輝度特性、色度特性を向上させ、放電開始電圧を低下させることが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,蛍光体に真空紫外線を照射して励起し、発光を起こして画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像情報システムにおいては,高精細化、大画面化,薄型化,低消費電力化といった様々な要求に応じて各種ディスプレイ装置の研究開発が盛んに行われている。その中でも、大画面・高精細を実現するディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)の研究開発が進められている。PDPは対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面及び背面基板の間の空間にはNe及びXeなどの放電ガスが充填されている。そして、電極に電圧をかけることによって放電ガスから真空紫外線(146nm及び172nm)が発せられ、背面基板に設置した蛍光体を真空紫外線が励起して、赤、緑、青の発光を起こして画像を表示する。
【0003】
PDPにおいては、Zn2SiO4:Mn蛍光体が緑色発光蛍光体として広く用いられている。緑色発光蛍光体では、高輝度化、短残光化、長寿命化、及び高色純度化などの各種性能の改善が要求されている。また、最近ではPDPの高効率化のため封入されている放電ガスのXe濃度は高くなる傾向にある。Xe濃度が高まると発生する真空紫外線の172nm成分の強度が大きくなるため、172nmの真空紫外線で高輝度に発光する特性が蛍光体に要求されている。
【0004】
真空紫外線の172nm成分の強度はXe濃度8%以上で大きく、Xe濃度12%以上でさらに大きくなる。172nmで高輝度に発光する蛍光体として、BaMgAl10O17:Eu,Mn緑色発光蛍光体がある。特許文献1では、BaMgAl10O17:Eu,Mn緑色発光蛍光体のEu及びMn濃度を詳細に検討した例が記載されている。ただし、蛍光ランプ用として検討されており、Sr及びCa濃度を限定した例は記載されていない。
【0005】
また、特許文献2では、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Mn緑色発光蛍光体に不純物元素を添加した時の輝度劣化改善率等が記載されている。ただし、Euを共ドープした例は記載されておらず、Sr及びCa濃度を限定した例は記載されていない。また、特許文献3では、(Ba,Sr)MgAl10O17:Mn緑色発光蛍光体の組成を詳細に検討した例が記載されている。ただし、Euを共ドープした例は記載されておらず、Sr濃度はBa濃度と同じ点でのみ検討されている。
【0006】
また、特許文献4では、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mn緑色発光蛍光体においてSr及びCa濃度を限定している。ただし、[Sr]≦1mol%、[Ca]≦1mol%であり、蛍光体の172nm励起における性能を十分に発揮できる濃度範囲ではない。蛍光体は、同様な添加物を加えた場合でも、母体の成分によってその特性が大きく変化する。
【0007】
これまで、PDP用蛍光体の性能を改善する手法が様々に考案されてきた。しかしながら,これら従来の方法でその課題が全て解決されたわけではない。特に,172nm励起での高輝度化を実現する新しい方法が必要である。
【0008】
【特許文献1】特開2005−68403
【特許文献2】特開2006−316199
【特許文献3】特開2004−155907
【特許文献4】特開2002−080848
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明の目的は,上記従来の蛍光膜の高輝度化を図ることであり,優れた輝度特性を有する画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は対向して配置された前面側の基板と背面側の基板とを備え、前面側の基板と背面側の基板の間にはXe等の放電ガスが封入されており、背面側の基板には蛍光膜が配置されたプラズマディスプレイパネルであって、前記放電ガス中のXe濃度が8%以上であり、前記蛍光膜にCaの濃度aを0.01 ≦ a ≦ 0.08の分量で添加したことを特徴とする(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用いた画像表示装置により達成される。さらに、Caの濃度aを0.01 ≦ a ≦ 0.04の分量で添加することにより、さらに良好な発光輝度特性を得ることができる。
【0011】
また、前記蛍光膜にCaの濃度aを0.01 ≦ a ≦ 0.08の分量で添加し、Srの濃度bを0.01 ≦ b ≦ 0.26の分量で添加したことを特徴とする (Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用いることによって発光輝度は向上する。さらに、Caの濃度aを0.01 ≦ a ≦ 0.04の分量で添加し、Srの濃度bを0.04 ≦ b ≦ 0.12の分量で添加する方がより良好な結果が得られる。
【0012】
また、前記蛍光膜にSrの濃度bを0.01 ≦ b ≦ 0.26の分量で添加したことを特徴とする(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用いることによって画像表示装置の発光輝度を向上することができる。さらに、Srの濃度bを0.04 ≦ b ≦ 0.12の分量で添加することで、より良好な発光輝度特性を得ることができる。また、この時の色度座標のy値は、Mn濃度yを0.35molと高濃度としているため、0.70以上であり、緑色発光として十分な色度特性である。
【0013】
以上に記載した手段における、Eu濃度xは0.15、Mn濃度yは0.35である。ただし、この場合のEu濃度xは0.15およびMn濃度yは0.35は設計値であり、製造過程において、多くの場合前記設計値よりも10%以内でxおよびyが小さくなることはありうる。
【0014】
また、上記緑色発光蛍光体と172nm励起で発光輝度の高いZn2SiO4:Mn、(Y,Gd)BO3:Tb、 及びLaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体のうちのいずれか一種または複数種の蛍光体とを混合して緑色発光蛍光膜として使用することによって、発光輝度及び色度特性の良好な画像表示装置を作製することができる。
【0015】
封入している放電ガスのXe濃度は発光効率を高めるために、近年、高濃度化の傾向にある。Xe濃度が高くなると、発生する真空紫外線(146nm及び172nm)において172nmの強度の割合が大きくなる。Xe濃度が8%以上で172nmの強度の割合はすでに大きいが、Xe濃度が12%以上では、さらに172nmの強度の割合が大きくなる。
【0016】
以上のように、(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny、(Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny、及び(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を用いることによって、画像表示装置の輝度特性を向上することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像表示装置は、発光輝度を向上した(Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を使用しているため、輝度特性が良好である。また、本発明の蛍光体を用いることによって放電電圧を低下させることも出来る。したがって、プラズマディスプレイの消費電力を低下させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
ここでは本発明の画像表示装置に使用する蛍光体の製造方法、発光の輝度等の各特性について詳述するが、以下に示す実施例は、本発明を具体化する一例を示すものであり、本発明を拘束するものではない。
【実施例1】
【0019】
本発明に使用する(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体の製造方法について述べる。蛍光体原料はBaCO3、CaCO3、MgCO3、Al2O3、Eu2O3、及びMnCO3を用いた。また、フラックスとしてAlF3を用いた。各原料の混合量は、BaCO3・・・0.814g、CaCO3・・・0.013g、MgCO3・・・0.274g、Al2O3・・・2.549g、Eu2O3・・・0.132g、MnCO3・・・0.201g、AlF3・・・0.004gである。
【0020】
BaCO3は、Ca及びEuがBaを置換するものとして、Ca及びEuの分量だけ少ない量とした。また、Eu濃度xは0.15mol、Mn濃度yは0.35molとした。原料を乳鉢にて乾式混合した後にアルミナルツボに原料を充填して管状炉にて1450℃、N−H還元雰囲気(H濃度2%)にて3時間、焼成を行った。得られた焼成物をほぐして、目的とする(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.026mol)を得た。
【0021】
次に、本発明に使用する(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体の製造方法について述べる。蛍光体原料はBaCO3、SrCO3、CaCO3、MgCO3、Al2O3、Eu2O3、及びMnCO3を用いた。また、フラックスとしてAlF3を用いた。各原料の混合量は、BaCO3・・・0.730g、SrCO3・・・0.063g、CaCO3・・・0.013g、MgCO3・・・0.274g、Al2O3・・・2.549g、Eu2O3・・・0.132g、MnCO3・・・0.201g、AlF3・・・0.004g
である。
【0022】
BaCO3は、Sr、Ca及びEuがBaを置換するものとして、Sr、Ca及びEuの分量だけ少ない量とした。また、Eu濃度xは0.15mol、Mn濃度yは0.35molとした。原料を乳鉢にて乾式混合した後にアルミナルツボに原料を充填して管状炉にて1450℃、N−H還元雰囲気(H濃度2%)にて3時間、焼成を行った。得られた焼成物をほぐして、目的とする(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.026mol、b=0.085mol)を得た。
【0023】
次に、本発明に使用する(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体の製造方法について述べる。蛍光体原料はBaCO3、SrCO3、MgCO3、Al2O3、Eu2O3、及びMnCO3を用いた。また、フラックスとしてAlF3を用いた。各原料の混合量は、BaCO3・・・0.755g、SrCO3・・・0.063g、MgCO3・・・0.274g、Al2O3・・・2.549g、Eu2O3・・・0.132g、MnCO3・・・0.201g、AlF3・・・0.004gである。
【0024】
BaCO3は、Sr及びEuがBaを置換するものとして、Sr及びEuの分量だけ少ない量とした。また、Eu濃度xは0.15mol、Mn濃度yは0.35molとした。原料を乳鉢にて乾式混合した後にアルミナルツボに原料を充填して管状炉にて1450℃、N−H還元雰囲気(H濃度2%)にて3時間、焼成を行った。得られた焼成物をほぐして、目的とする(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(b=0.085mol)を得た。また、このようにして様々なCa及びSr濃度の(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を作製した。
【0025】
次に、真空紫外線励起による蛍光体の発光特性評価を行った。真空紫外線ランプ(172nm)の設置された真空チャンバーに蛍光体試料をセットし、蛍光体に真空紫外線を照射して、反射側から輝度計にて発光スペクトル、輝度、及び色度の各特性を測定した。(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(x=0.15mol, y=0.35mol)の発光スペクトルでは516nmに比較的シャープな発光ピークを観測し、Euに起因する青色成分の発光は僅かであった。各蛍光体の輝度評価結果を図1に示す表1および図2に示す。図2は図1に示す表1から、相対発光輝度特性を抜き出したものである。
【0026】
表1において、比較例1はCa、Srが添加されていない場合の(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mnの特性である。表1において、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mnに対してCaを添加した場合の実施形態とその特性は、実施形態1乃至実施形態4に記載されている。また、Caを多く添加した場合の例が比較例2である。
【0027】
Caを添加した場合の色度y値はaを0.01より大きくすると大きくなり、緑色発光として色度が良好である。また、相対発光輝度は0.01≦a≦0.085で良好であり、0.026≦a≦0.043の範囲で特に良好である。しかし、Caの量aを0.17程度まで多くすると、比較例2に示すように、色度は良好であるが、相対発光輝度が低下する。
【0028】
表1において、実施形態5乃至実施形態10は(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mnに対してCaおよびSrを添加した場合の例である。比較例3および4はSrを多く添加した場合の例である。実施形態5乃至実施形態10ではCaは0.26で一定とし、Srの添加量を変化させている。
【0029】
実施形態5乃至実施形態10では、色度yはいずれの形態においても、比較例1に比して向上している。また、相対発光輝度はSrの量bが0.01≦b≦0.128の範囲で比較例1よりも良い。一方、Srの量bが0.17あるいは、0.255の場合は、相対発光輝度は比較例1よりも若干劣る。しかし、この範囲でも色度は向上しているので、表示装置の用途が色度を重視する場合は、Srの量bが0.17あるいは、0.255の形態を用いても良い。
【0030】
一方、CaおよびSrを添加する場合であっても、Srの濃度を0.34あるいは、0.425というように、多くしすぎると、比較例3および比較例4に示すように、相対輝度、色度とも低下する。
【0031】
表1において、(Ba,Sr,Ca)MgAl10O17:Eu,Mnに対してSrを添加した場合の実施形態とその特性は、実施形態11乃至実施形態16に記載されている。また、Srを多く添加した場合の例が比較例5および比較例6である。実施形態11乃至実施形態16において、色度、相対輝度ともに、比較例1の場合よりも良い特性を示している。特に、Sr濃度が0.043≦b≦0.085の範囲では、色度、相対輝度とも優れた特性を示す。一方、比較例5および比較例6に示すように、Sr濃度を0.425、0.595というように、増やすと輝度が低下する。
【0032】
以上のように、CaまたはSrを適切な濃度添加することによって、色度および相対輝度を向上させることが出来る。また、Mg及びAlの分量をストイキオメトリからずらしても同様な効果を得ることが出来る。ただし、発光輝度特性を良好に保つには、ストイキオメトリ±5mol%の濃度範囲とする必要がある。
【0033】
次に、各蛍光体の帯電特性評価を行った。帯電特性評価では、フェライト粉末(4.7g)及び蛍光体粉末(0.3g)を容器に入れてボールミルにて1時間混合した後に、吸引式帯電特性評価装置によってフェライト粉末に対する蛍光体の帯電量を測定した。帯電特性評価結果を表2に示す。Zn2SiO4:Mn蛍光体の帯電量は4.1μC/gであるのに対して、BaMgAl10O17:Eu,Mn蛍光体の帯電量は16.5μC/gと正電荷の方向に大きい。PDPの放電電圧と蛍光体の帯電量の関係では、蛍光体の帯電量が正電荷で大きい方が、放電電圧が低いという傾向がある。本技術については、例えば、第318回蛍光体同学会講演予稿、p15に記載がある。
【0034】
つまり、蛍光体の帯電量は正電荷で大きい方がパネルにおける放電電圧が有利である。図3の表2に、帯電量について、本発明と従来例の比較を示す。表2において、比較例7はZn2SiO4:Mnは現在最も多く使用されている緑蛍光体であり、比較例1は、Ca、Srが添加されていない(Ba)MgAl10O17:Eu,Mnである。表2は、これらの比較例を本発明の代表的な実施形態である実施形態2、実施形態7、実施形態13と比較をしたものである。
【0035】
表2からわかるように、実施形態2、実施形態7、実施形態13のいずれにおいても、比較例に対して高い帯電量を示している。本発明による蛍光体を実際のプラズマディスプレイに使用して、放電電圧を測定した。比較例7を使用した、現在使用されている蛍光体の場合は、放電電圧は210V程度であったのに対し、本発明による蛍光体を使用した場合は、放電電圧は200Vに改善した。すなわち、本発明による蛍光体を用いることによって、放電電圧を10V程度低減することが出来る。
【0036】
以上のように、(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny、(Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny、及び(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を作製し、BaMgAl10O17:Eu,Mnにおいて、CaまたはSrの添加量を適切に制御することによって、172nm紫外線励起における発光輝度、色度を向上させ、放電電圧を低下させることが出来る。
【実施例2】
【0037】
本発明のプラズマディスプレイパネルを図4に示す。プラズマディスプレイパネル50は前面側の基板1と背面側の基板10が対向して配置された構造となっている。また、プラズマディスプレイパネル50は、背面側の基板10上に設けられて、その一対の基板1及び10が重ね合わさる時に基板1と基板10との間の間隔を保持する隔壁7と、一対の基板1及び10の間に形成された空間内に封入され、放電により紫外線を発生する放電ガス(図示せず)と、一対の基板1及び10の対向面上に配設された電極51、52及びアドレス電極6とを備える。
【0038】
そして、本発明による(Ba1-a-b-x,Caa, Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.026mol, b=0.085mol, x=0.15mol, y=0.35mol)が、前記一対の基板における一方の基板10の上及び隔壁7の表面で蛍光体層8を構成する。放電により前記放電ガスから発生する波長146nm及び172nmの真空紫外線により、蛍光体層8を構成する(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体が励起され、可視光を発光するよう構成されたことを特徴とする。
【0039】
プラズマディスプレイパネル50は背面基板(基板10)上に、銀などで構成されているアドレス電極(電極6)と、ガラス系の材料で構成される誘電体層9を形成した後、同じくガラス系の材料で構成される隔壁材を厚膜印刷し、ブラストマスクを用いたブラスト除去により、隔壁7を形成する。次に、この隔壁7上に、赤、緑及び青の各蛍光体層8を該当する隔壁7間の溝面を被覆する形で、順次ストライプ状に形成する。
【0040】
ここで、各蛍光体層8は、各蛍光体粉末とビヒクルとを混ぜて蛍光体ペーストとし、スクリーン印刷により塗布した後、乾燥及び焼成工程により蛍光体ペースト内の揮発成分の蒸発と有機物の燃焼除去を行って形成する。また、緑色発光蛍光体以外の各蛍光体の材料については、赤色発光蛍光体は(Y,Gd)BO3:Eu蛍光体、青色発光蛍光体はBaMgAl10O17:Eu蛍光体である。
【0041】
次に、表示電極(電極51、52)、バスライン53、54、誘電体層2、及び保護膜3を形成した前面基板(基板1)と、背面基板(基板10)をフリット封着し、パネル内を真空排気した後に放電ガスを注入して封止する。放電ガスは、組成比が10%となる量でキセノン(Xe)ガスを含んで構成されたガスである。
【0042】
このようにして作製したプラズマディスプレイパネルと、プラズマディスプレイパネルを駆動する駆動回路とを組み合わせて画像表示を行うよう構成された表示装置であるプラズマディスプレイ装置を作製した。作製した画像表示装置の緑色の発光輝度は良好であった。
【実施例3】
【0043】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.026mol, x=0.15mol, y=0.35mol)を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が8%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例4】
【0044】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(b=0.085mol, x=0.15mol, y=0.35mol)を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が12%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度及び色度は良好であった。
【実施例5】
【0045】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.04mol, x=0.15mol, y=0.35mol)及びZn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が10%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例6】
【0046】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.015mol, x=0.15mol, y=0.35mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及び(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が15%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例7】
【0047】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.06mol, x=0.15mol, y=0.35mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及びLaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が12%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例8】
【0048】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.02mol, b=0.08mol, x=0.15mol, y=0.35mol)及びZn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が10%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例9】
【0049】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.03mol, b=0.02mol, x=0.15mol, y=0.35mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及び(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が15%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例10】
【0050】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(a=0.06mol 、b=0.12mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及びLaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が12%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例11】
【0051】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(b=0.08mol, x=0.15mol, y=0.35mol)及びZn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が10%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例12】
【0052】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(b=0.04mol, x=0.15mol, y=0.35mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及び(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が15%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【実施例13】
【0053】
使用したプラズマディスプレイパネルは図4と同様である。特に、緑色発光蛍光体層は(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体(b=0.12mol, x=0.15mol, y=0.35mol)、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体、及びLaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合した蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製した。また、放電ガスは、組成比が12%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は(実施例2)と同様である。本発明による画像表示装置の緑色発光輝度は良好であった。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の蛍光体の相対発光輝度を示す表である。
【図2】本発明の蛍光体の相対発光輝度を示すグラフである。
【図3】本発明の蛍光体の帯電特性を示す表である。
【図4】本発明のプラズマディスプレイパネルの模式図である。
【符号の説明】
【0055】
1…前面基板
2…誘電体層
3…保護膜
50…プラズマディスプレイパネル
51…電極
52…電極
53…バスライン
54…バスライン
6…電極
7…隔壁
8…蛍光体層
9…誘電体層
10…背面基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された前面基板と背面基板とを備え、前記前面基板と前記背面基板の間にはXeを含む放電ガスが封入されており、前記背面基板には蛍光膜が配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記放電ガス中のXe濃度が8%以上であり、前記蛍光膜に (Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用い、
前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体は、Eu濃度xは0.15、Mn濃度yは0.35であり、Ca濃度aは0.01≦ a ≦ 0.08であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のCa濃度aは0.01≦ a ≦ 0.04であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
対向して配置された前面基板と背面基板とを備え、前記前面基板と前記背面基板の間にはXeを含む放電ガスが封入されており、前記背面側の基板には蛍光膜が配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記放電ガス中のXe濃度が8%以上であり、前記蛍光膜に(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用い、
前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体は、Eu濃度xは0.15、Mn濃度yは0.35であり、Ca濃度aは0.01 ≦ a ≦ 0.08で、かつ、Sr濃度bは0.01 ≦ b ≦ 0.26であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のCa濃度aは0.01 ≦ a ≦ 0.04であり、Sr濃度bは0.04 ≦ b ≦ 0.12であることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
対向して配置された前面基板と背面基板とを備え、前記前面基板と前記背面基板の間にはXeを含む放電ガスが封入されており、前記背面基板には蛍光膜が配置されたプラズマディスプレイパネルであって、
前記放電ガス中のXe濃度が8%以上であり、前記蛍光膜に(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を用い、
前記(Ba1-a-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体は、Eu濃度xは0.15、Mn濃度yは0.35であり、Sr濃度bは0.01 ≦ b ≦ 0.26であることを特徴とする画像表示装置。
【請求項6】
前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のSr濃度bは0.04 ≦ b ≦ 0.12であることを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体を172nmの真空紫外線で励起した時に、色度座標のy値が0.70以上であることを特徴とする請求項5記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体とZn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体とを混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体とを混合したものであることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体とを混合したものであることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、(Y,Gd)BO3:Tb緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、LaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、LaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記緑色発光蛍光膜は、前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体と、Zn2SiO4:Mn緑色発光蛍光体と、LaPO4:Tb,Ce緑色発光蛍光体を混合したものであることを特徴とする請求項5に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記(Ba1-a-x,Caa)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のCa濃度aは0.01 ≦ a ≦ 0.04であることを特徴とする請求項8、請求項11、または、請求項14のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記(Ba1-a-b-x,Caa,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のCa濃度aは0.01 ≦ a ≦ 0.04であり、Sr濃度bは0.04 ≦ b ≦ 0.12であることを特徴とする請求項9、請求項12、または、請求項15のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項19】
前記(Ba1-b-x,Srb)Mg1-yAl10O17:Eux,Mny緑色発光蛍光体のSr濃度bは0.04 ≦ b ≦ 0.12であることを特徴とする請求項10、請求項13、または、請求項16のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項20】
前記Xe濃度は12%以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれかに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−146641(P2009−146641A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320729(P2007−320729)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】