説明

画像表示装置

【課題】画像表示装置における残光時間の改善を図り、優れた輝度特性を有する画像表示装置を提供する。
【解決手段】前面基板1と背面基板10とが対向して配置され、前面基板1と背面基板10の間にはXeを含む放電ガスが封入され、前記放電ガス側の背面基板10には蛍光膜8が配置され、前記放電ガス中のXe濃度が10mol%以上であり、蛍光膜8には、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体およびZnSiO:Mn蛍光体を混合して含む緑色発光蛍光膜8gを用いている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、蛍光体に真空紫外線を照射して励起し、発光を起こして画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像情報システムにおいては、高精細化、大画面化、薄型化、低消費電力化といった様々な要求に応じて各種ディスプレイ装置の研究開発が盛んに行われている。その中でも、大画面・高精細・薄型を実現するディスプレイとして、プラズマディスプレイパネル(PDP)の研究開発が進められている。PDPは対向して配置された前面基板と背面基板とを備え、前面及び背面基板の間の空間にはNe及びXeなどの放電ガスが充填されている。そして、電極に電圧をかけることによって放電ガスから真空紫外線(146nm及び172nm)が発せられ、背面基板に設置した赤、緑、青色のそれぞれに対応する蛍光体を真空紫外線が励起して、赤、緑、青色を発光させて画像を表示する。
【0003】
PDPにおいては、ZnSiO:Mn蛍光体が緑色発光の蛍光体として広く用いられている。緑色発光の蛍光体では、短残光化、放電電圧低減、高輝度化、長寿命化、及び高色純度化などの各種性能の改善が要求されている。
【0004】
また、最近ではPDPの高効率化のため封入されている放電ガスのXe濃度は高くなる傾向にある。Xe濃度が高まると発生する真空紫外線の172nm成分の強度が大きくなるため、172nmの真空紫外線で高輝度に発光する特性が蛍光体に要求されている。真空紫外線の172nm成分の強度はXe濃度10mol%以上で大きく、Xe濃度16mol%以上でさらに大きくなる(特許文献1参照)。なお、146nmよりも172nm励起で高輝度に発光する緑色発光の蛍光体として、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体(FAP:Calcium fluorapatite)がある。
【0005】
特許文献2では、緑色発光の蛍光体として、ZnSiO:Mn蛍光体を微粒子化して残光時間を短くした例が記載されている。このように、ZnSiO:Mn蛍光体自体を改良して短残光化を図る取組みがなされている。但し、大幅な短残光化には至っていない。
【0006】
一方、新規な組成の短残光緑色発光の蛍光体として、非特許文献1ではCa5−2xNa(POF:Tbが記載されており、その合成方法、輝度特性、残光特性等の各特性が記載されている。
【0007】
これまで、PDP用蛍光体の性能を改善する手法が様々に考案されてきた。しかしながら、従来の方法でその課題が全て解決されたわけではない。特に、緑色発光の蛍光膜の短残光化を実現する新しい方法が必要である。
【特許文献1】特開2006−12770号公報
【特許文献2】特開2002−38148号公報
【非特許文献1】J. Electrochem. Soc. 154(6), J177-J180 (2007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1に記載されたCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体では、発光中心がTbであり色度y値が小さい。この色度y値が小さいためCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体を単独でPDPに使用すると色度特性が劣ったものとなることが考えられる。
【0009】
なお、本発明者らが発明した結果に基づく本願と非特許文献1とは、以下の点で相違する。非特許文献1では本発明のように他の緑色発光の蛍光体と混合して色度特性を改善する方法については述べられておらず、どの程度混合すれば良好な色度特性が得られるかの具体的な提示もなんらなされていない。また、146nm励起よりも172nm励起で高輝度な蛍光体であることは述べられているが、高Xe濃度に適していることは述べられておらず、さらにXe濃度がどの程度であれば使用可能であるか具体的なことはなんら述べられていない。さらに、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のTb濃度xは0.95molまで紫外線(252nm及び353nm)励起にて評価されているが、0.5≦x≦0.8の範囲が172nm励起で高輝度であることは述べられていない。また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体をどのような青及び赤色発光の蛍光体と組み合わせて用いれば画像表示装置の残光時間が全体として短くなるかも述べられていない。
【0010】
本発明の目的は、高輝度特性を有する画像表示装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、短残光化が図られた緑色発光蛍光膜を有する画像表示装置を提供することにある。
【0012】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
上記目的は、対向して配置された前面基板と背面基板とを備え、前面基板と背面基板の間にはXe等の放電ガスが封入され、背面基板には蛍光膜が配置され、前記放電ガス中のXe濃度が10mol%以上100mol%以下であり、前記蛍光膜にCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体およびZnSiO:Mn蛍光体を含む蛍光体を混合して作製した緑色発光蛍光膜を用いた画像表示装置により達成される。
【0015】
また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体を、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対して85重量%以下の分量でZnSiO:Mn蛍光体と混合すれば、色度y値が0.62以上となり、良好な色度特性を得ることができる。
【0016】
また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体を、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対して30重量%以上の分量でZnSiO:Mn蛍光体と混合すれば、残光時間が7ms以下となりZnSiO:Mn蛍光体からの色度の変化が少なく良好な残光特性及び色度特性が得られる。さらに、60重量%以上の分量でZnSiO:Mn蛍光体と混合すれば、残光時間が6ms以下となり、さらに良好な残光特性が得られる。
【0017】
また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量m(重量%)、放電ガス中のXe濃度をn(mol%)とする時に、m≦4.5n+16.8の分量でCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体をZnSiO:Mn蛍光体と混合した緑色発光蛍光膜では、発光輝度がZnSiO:Mn蛍光体の90%以上と良好である。また、Tb濃度xを0.3≦x≦0.9とすることによって、172nm励起で良好な輝度特性が得られる。さらに、0.5≦x≦0.8とすることでさらに良好な輝度特性が得られる。
【0018】
また、m≦4.5n+16.8及び60重量%≦m≦85重量%の分量でCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体をZnSiO:Mn蛍光体と混合した緑色発光蛍光膜では、輝度特性、色度特性及び残光特性が良好である。
【0019】
また、ZnSiO:Mn蛍光体のMn濃度を0.08mol以上にすることで、ZnSiO:Mn蛍光体の残光時間を短くすることができる。
【0020】
また、封入している放電ガスのXe濃度は発光効率を高めるために、近年、高濃度化の傾向にある。Xe濃度が高くなると、発生する真空紫外線(146nm及び172nm)の172nmの強度の割合が大きくなる。Xe濃度が10mol%で172nmの強度の割合はすでに146nmの3.1倍と大きいが、Xe濃度が12mol%では、さらに172nmの強度の割合が3.8倍と大きくなる。また、Xe濃度が16mol%では、さらに172nmの強度が大きくなる。また、Xe濃度の上限は100mol%まで可能である。なお、50mol%以上では放電電圧が高く駆動が困難である。Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体は146nmよりも172nm励起で輝度特性が良好であり、高Xe濃度に対応した緑色発光の蛍光体である。
【0021】
さらに、緑色発光の蛍光体にCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合したものを用い、青色発光の蛍光体にBaMgAl1017:Eu蛍光体を含んだものを用い、赤色発光の蛍光体にY(P,V)O:Eu蛍光体を含んだものを用い、赤、青及び緑色発光蛍光膜をセットで構成することによって、画像表示装置のトータルの残光時間を短くすることができる。
【0022】
以上のように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体及びZnSiO:Mn蛍光体を混合して緑色発光蛍光膜を作製することによって、良好な輝度特性、色度特性及び残光特性を得ることが可能である。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
本発明の画像表示装置は、残光時間の短いCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体を含む緑色発光蛍光膜を使用しているため、残光特性が良好である。このため、高輝度特性を有する画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。ここでは本発明の画像表示装置に使用する蛍光体の発光スペクトル、色度、発光輝度等の各特性について詳述するが、以下に示す実施の形態は、本発明を具体化する一例を示すものであり、本発明を拘束するものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、本願においてプラズマディスプレイパネルを構成する一対の基板の「前面基板」と「背面基板」は、両者を組み立ててパネル化した際に、蛍光体による発光が通過して表示面となる方を前面基板、表示面とならない方を背面基板として説明する。
【0026】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明をプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)に適用した場合について説明する。図1は本実施の形態におけるPDP50の要部を模式的に示す斜視図であり、図2は図1のA−A’線の断面図、図3は図1のB−B’線の断面図である。PDP50は、共にxy平面を有し、z方向に厚さを有する前面基板1と背面基板10とが対向するように貼り合わせて一体化したものとなる。図1〜図3では、構造を分かり易くするため、前面基板1を背面基板10から離して図示している。
【0027】
PDP50は前面側となる基板の前面基板1と背面側となる基板の背面基板10が対向して配置された構造となっている。また、PDP50は、背面基板10上に設けられて、その一対の前面基板1及び背面基板10が重ね合わさる時に前面基板1と背面基板10との間の間隔を保持する隔壁7と、一対の前面基板1及び背面基板10の間に形成された空間(放電空間15)内に封入され、放電により紫外線を発生する放電ガス(図示せず)と、一対の前面基板1及び背面基板10の対向面上に配設された電極51、52及び6とを備える。
【0028】
このようなPDP50は、複数の放電セル20を有し、表示放電を同一基板(前面基板1)に設けられた一対の維持放電電極(表示電極)である電極51、52間で発生させ、交流(AC)駆動されるAC面内放電型である。このAC面内放電型は、構造の単純さと高信頼性に優れた構造である。
【0029】
前面基板1は、例えばガラス基板などの透明基板で構成され、背面基板10との対向面上に一定の距離を隔てて平行に形成される一対の維持放電電極を有している。一対の維持放電電極は、共通電極である電極51(X電極)と、独立電極である電極52(Y電極)で構成されてx方向に延在して設けられている。電極51および電極52は、発光を取り出すために、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明な導電材料からなる。また、電極51および電極52のそれぞれに接して、導電性を補うための不透明のバスライン53およびバスライン54がx方向に延在して設けられている。バスライン53、54は、例えば銀や銅、アルミニウムなどの低抵抗材料からなる。
【0030】
電極51、52、およびバスライン53、バスライン54は、AC駆動のために放電から絶縁されており、これらの電極は誘電体層2により被覆されている。誘電体層2は、電極の保護と、放電時に誘電体層表面に壁電荷を形成してメモリ機能を持たせるために、例えばSiOやBを主成分とするガラス系材料などの透明な絶縁材料からなる。この誘電体層2は、放電によるダメージを免れるために保護膜3により被覆されている。保護膜3は、例えば酸化マグネシウム(MgO)などの材料からなる。
【0031】
背面基板10は、例えばガラス基板で構成され、前面基板1との対向面上に前面基板1の電極51および電極52と立体交差するようにy方向に延在して設けられたアドレス電極である電極6を有する。この電極6は放電から絶縁するために誘電体層9によって被覆されている。
【0032】
誘電体層9上には、放電の広がりを防止(放電の領域を規定)するために電極6間を区画する隔壁(リブ)7が、電極6と同一のy方向にストライプ状に設けられている。隔壁7は例えばSiOやBを主成分とするガラス材料などの透明な絶縁材料からなる。PDP50は、高精細化に伴い、隣接する隔壁7間のピッチが狭小化されている。
【0033】
各電極6上に隔壁7で区画された領域には、蛍光膜8が、隔壁7間のその側面、および誘電体層9の表面(隔壁7間の溝面)を被覆して設けられている。この蛍光膜8には、赤色発光蛍光膜8r、緑色発光蛍光膜8g、青色発光蛍光膜8bが用いられている。
【0034】
前面基板1の一対の電極51、52と、背面基板10側の電極6とが互いに概略直交するように(場合によっては、単に互いに交差するように)、前面基板1と背面基板10の向きを合わせて、前面基板1と背面基板10とが、基板周辺部に塗布された低融点ガラスにより封着される。また、前面基板1と背面基板10は、100μm程度のギャップを保って貼り合わされており、このギャップは放電空間15を構成する。放電空間15には、電極51と電極52との間の放電により真空紫外線を放射する放電ガスが封入されており、Xeを含む放電ガス、例えばNe+XeやHe+Xeの混合ガス(希ガス)からなる。
【0035】
このように、PDP50は、構造がシンプルであり、前面基板1側の維持電極対(電極51、電極52)と背面基板10側の電極6に電圧を選択的に印加することで、複数の放電セル20の内の所望の放電セルに放電を起こす。本放電により真空紫外線が発生し、発生した真空紫外線が、放電ガス側の背面基板10上に設けられた各色の蛍光膜8を励起することで赤、緑、青の発光を生じ、フルカラー表示が行われる。
【0036】
このようなPDP50に適用される緑色発光蛍光膜8gについて詳説する。本実施の形態における緑色発光蛍光膜8gは、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体(FAP:Calcium fluorapatite)およびZnSiO:Mn蛍光体を含んで構成されている。これらCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体及びZnSiO:Mn光蛍光体は、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の重量%が所定の分量となるようにZnSiO:Mn蛍光体と混合した蛍光体粉体を用いている。但し、本発明では、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のTb濃度xを0<x≦1.0の範囲としている。なお、蛍光体材料の通例表記として、「:」より前方は母体材料組成を示し、後方は発光中心を示し、母体材料の一部の原子を発光中心で置換していることを意味する。
【0037】
本発明者らは、真空紫外線励起によるこれら蛍光体の発光特性評価を行っている。真空紫外線ランプ(172nm)の設置された真空チャンバーに蛍光体試料をセットし、その蛍光体に真空紫外線を照射して、反射側から輝度計にて発光スペクトル、輝度、及び色度等の各特性を測定した。図4にCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体及びZnSiO:Mn蛍光体の発光スペクトルを示す。
【0038】
図4に示すように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.70)の発光スペクトルでは544nmにシャープな発光ピークを観測し、Tbに起因する発光が観測されている。ZnSiO:Mn蛍光体の発光ピーク波長は528nmであり、緑色発光として色度特性が良好である。一方、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の発光ピーク波長は544nmであり、やや黄色味を帯びた緑色発光で色度特性がやや劣る。従って、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体を用いるに際しては、ZnSiO:Mn蛍光体を混合して色度特性を調整することが有効である。
【0039】
Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合した場合において、色度y値のCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体混合量変化を図5に示す。ZnSiO:Mn蛍光体のみの色度y値は0.70であり、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のみの色度y値は0.60である。従って、図5に示すように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を増加するに伴い、色度y値は低下する。ブラウン管を備えた画像表示装置において、一般のブラウン管に使用されていたZnS:Cu,Al蛍光体の色度y値は0.62程度であることから、色度y値は0.62までであれば、画像表示装置(ディスプレイ)用として使用可能である。図5より、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量が85重量%までであれば、色度y値は0.62以上であり、緑色発光として色度y値が良好であることが分かる。
【0040】
また、ZnSiO:Mn蛍光体が有する色度を保ちたいのであれば、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を30重量%とするのがよい。Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を30重量%とすれば、1976CIE色度座標u’,v’(u’=4x/(−2x+12y+3),v’=9y/(−2x+12y+3))の変化量をZnSiO:Mn蛍光体に対して0.015以下に抑えることができ、人間の色度の検知限以下にすることができる。このため、人間の眼には色度の変化は感じられない。具体的には、ZnSiO:Mn蛍光体のみの1976CIE色度座標はu’=0.088,v’=0.577であり、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を30重量%とした場合にはu’=0.101,v’=0.574となり、ZnSiO:Mn蛍光体に対する色度の変化を人間の検知限以下にすることができる。
【0041】
次に、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合した時の1/10残光時間のCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体混合量変化を図6に示す。ZnSiO:Mn蛍光体のみの残光時間は8msであり、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のみの残光時間は4.6msである。従って、図6に示すように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を増加するに伴い、残光時間は短くなる。Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量が30重量%以上であれば、残光時間は7ms以下となり残光特性が良好である。また、ブラウン管を備えた画像表示装置では一般の投射型ブラウン管における残光時間が6ms程度であることから、図6より、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量が60重量%以上であれば、残光時間は6ms以下であり、残光特性がさらに良好であることが分かる。
【0042】
次に、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合した時の発光輝度と放電ガス中のXe濃度の関係について説明する。Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のみでは172nm励起では良好な輝度特性であるが、146nm励起では172nm励起に比べて発光輝度が20%程度と低い。従って、146nmの成分が多い低Xe濃度の範囲では発光輝度は低くなる。これから、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合する場合、ZnSiO:Mn蛍光体のみでの発光輝度の90%を確保するには、低Xe濃度ではCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量は少なくする必要がある。
【0043】
Xe濃度が高くなると照射される真空紫外線の172nm成分の割合が大きくなる。従って、高Xe濃度では172nmの成分の割合が多く、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を増やしても十分な発光輝度が得られるようになる。ZnSiO:Mn蛍光体に対するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量とXe濃度の関係において、発光輝度が90%となる直線を図7に示す。Xe濃度が5%ではCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量は40%程度であるが、Xe濃度が15%ではCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量は80%程度混合できる。この直線より下の範囲が発光輝度90%以上の領域であり、この範囲は(1)式で表される。
【0044】
m≦4.5n+16.8 (1)
ここで、mはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量(重量%)、nは放電ガス中のXe濃度(mol%)である。また、この直線は4≦n≦16の範囲で求めた。従って、(1)式の範囲であれば輝度特性が良好である。さらに、色度、残光特性及び発光輝度の各特性ともに良好な範囲は60重量%≦m≦85重量%、m≦4.5n+16.8で囲まれた図7の斜線の領域Aとなる。
【0045】
また、本実施の形態では、封入している放電ガスのXe濃度は発光効率を高めるために、高濃度化している。Xe濃度が高くなると、発生する真空紫外線(146nm及び172nm)の172nmの強度の割合が大きくなる。Xe濃度が10mol%で172nmの強度の割合はすでに146nmの3.1倍と大きいが、Xe濃度が12mol%では、さらに172nmの強度の割合が3.8倍と大きくなる。また、Xe濃度が16mol%では、さらに172nmの強度が大きくなる。また、Xe濃度の上限は100mol%まで可能である。但し、Xe濃度が50mol%より高い場合では放電電圧が高く駆動が困難であることが考えられる。この172nm励起に対して、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体は146nmで励起した場合より輝度特性が良好であり、高Xe濃度に対応した緑色発光の蛍光体である。
【0046】
以上のように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合した時のCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量を増加すると色度y値は低下し、残光時間は短くすることができる。また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量が30重量%〜85重量%の範囲とすることで、色度及び残光特性を良好とすることができる。さらに残光特性が良好であるのは60重量%〜85重量%の範囲である。さらにm≦4.50n+16.8の範囲であれば輝度特性が良好である。
【0047】
また、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の172nm励起での発光輝度はTb濃度xが0.3≦x≦0.9で良好であり、さらに0.5≦x≦0.8の範囲で発光輝度が良好である。図8に発光輝度のTb濃度変化を示す。172nm励起ではTb濃度を0.7付近で良好であるので、Tb濃度を0.7としたCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体を用いることでさらに発光輝度を向上することができる。なお、図8は発光輝度がピークのときを100として相対的に発光輝度を示している。
【0048】
また、ZnSiO:Mn蛍光体の残光特性はMn濃度が0.08mol以上で良好であり、Mn濃度0.08molの残光時間が12ms、0.12molで6ms、0.18molで4msとMn濃度が高くなるに伴い残光時間は短くなる。従って、ZnSiO:Mn蛍光体のMn濃度を0.08mol以上にすることによって、残光特性を良好とすることができる。
【0049】
ここで、本実施の形態におけるPDP50の製造方法の一例について概略する。製造方法は周知の技術を適用することができるが、前述したように、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体およびZnSiO:Mn蛍光体を混合して含む緑色発光蛍光膜8gを用いる。具体的には、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体(例えばx=0.7)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(例えばCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)とした緑色発光蛍光膜8gが、一対の基板における一方の背面基板10の上及び隔壁7の表面で蛍光膜8を構成する。
【0050】
本実施の形態のPDP50は、放電によりXeを含む放電ガスから発生する波長146nm及び172nmの真空紫外線により、緑色発光蛍光膜8gを構成するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合した緑色発光蛍光膜8gおよび他の青色発光蛍光膜8b、赤色発光蛍光膜8rが励起され、可視光を発光する構成である。
【0051】
PDP50は背面基板10上に、銀などで構成されているアドレス電極(電極6)と、ガラス系の材料で構成される誘電体層9を形成した後、同じくガラス系の材料で構成される隔壁材を厚膜印刷し、ブラストマスクを用いたブラスト除去により、隔壁7を形成する。次に、この隔壁7上に、赤、緑及び青の各蛍光膜8を該当する隔壁7間の溝面を被覆する形で、順次ストライプ状に形成する。ここで、各蛍光膜8は、各蛍光体粉末とビヒクルとを混ぜて蛍光体ペーストとし、スクリーン印刷により塗布した後、乾燥及び焼成工程により蛍光体ペースト内の揮発成分の蒸発と有機物の燃焼除去を行って形成する。また、緑色発光蛍光体以外の各蛍光体の材料については、赤色発光蛍光体はY(P,V)O:Eu蛍光体、青色発光蛍光体はBaMgAl1017:Eu蛍光体である。
【0052】
次に、表示電極(電極51、52)、バスライン53、54、誘電体層2、及び保護膜3を形成した前面基板1と、背面基板10をフリット封着し、パネル内を真空排気した後に放電ガスを注入して封止する。放電ガスは、組成比が10mol%となる量でキセノン(Xe)ガスを含んで構成されたガスである。
【0053】
このようにして作製したPDP50と、PDP50を駆動する駆動回路とを組み合わせて画像表示を行うよう構成された表示装置であるプラズマディスプレイ装置を作製した。
【0054】
図9は、本実施の形態における面放電交流駆動型のプラズマディスプレイ装置100の構成を示す説明図である。プラズマディスプレイ装置100は、アドレス電極(電極6)、走査・維持電極(電極52)、維持電極(電極51)を有するPDP50と、電極6を駆動するためのアドレス駆動回路101と、電極52を駆動するための走査・維持パルス出力回路102と、電極51を駆動するための維持パルス出力回路103と、これらの出力回路を制御する駆動制御回路104と、入力信号の処理を行う信号処理回路105とを備えている。また、プラズマディスプレイ装置100は、PDP50などに電圧を印加する駆動電源106と映像信号を生成する映像源107を備えて画像表示装置を構成することができる。
【0055】
プラズマディスプレイ装置100は、前述のPDP50が完成した後、PDP50の電極とフレキシブル基板とを異方性導電フィルムによって接合する。その後、PDP50の放熱性を良くするために例えばアルミニウムなどの板が取り付けられ、この板の上に、駆動電源106やアドレス駆動回路101などの駆動回路が組み込まれるなどの工程を経て、プラズマディスプレイ装置100が完成する。
【0056】
このプラズマディスプレイ装置では、緑色発光蛍光膜8g、青色発光蛍光膜8b、および赤色発光蛍光膜8rを有する蛍光膜8を備えたPDP50(図1〜図3参照)から構成されている。緑色発光蛍光膜8gには、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体(例えばx=0.7)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(例えばCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)としたものが含まれ、青色発光蛍光膜8bには、BaMgAl1017:Eu蛍光体が含まれ、赤色発光蛍光膜8rには、Y(P,V)O:Eu蛍光体が含まれている。このような蛍光膜8を用いて作製したプラズマディスプレイ装置100(画像表示装置)の残光特性は良好であった。
【0057】
(実施の形態2)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.80)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量85重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が15mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の残光特性を良好とすることができる。
【0058】
(実施の形態3)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.95)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量30重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0059】
(実施の形態4)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.60)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量70重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が12mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の残光特性を良好とすることができる。
【0060】
(実施の形態5)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=1.0)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が18mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の残光特性を良好とすることができる。
【0061】
(実施の形態6)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.95)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量40重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いた。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0062】
(実施の形態7)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.85)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量50重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0063】
(実施の形態8)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.3)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量75重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が13mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0064】
(実施の形態9)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.60)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量65重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が11mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0065】
(実施の形態10)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が0.90molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0066】
(実施の形態11)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が0.60molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0067】
(実施の形態12)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が0.85molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0068】
(実施の形態13)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が1.0molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0069】
(実施の形態14)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が0.98molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0070】
(実施の形態15)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはTb濃度が0.50molのCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0071】
(実施の形態16)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.95)とMn濃度が0.08molのZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0072】
(実施の形態17)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.75)とMn濃度が0.10molのZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0073】
(実施の形態18)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.7)とMn濃度が0.12molのZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が10mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0074】
(実施の形態19)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.7)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用い、青色発光蛍光体層にはBaMgAl1017:Eu青色発光蛍光体を用い、赤色発光蛍光体層には(Y,Gd)BO:Eu赤色発光蛍光体とY(P,V)O:Eu赤色発光蛍光体を50:50の重量%の割合で混合した赤色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が12mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0075】
(実施の形態20)
本実施の形態では、前記実施の形態1で示したPDP50(図1〜図3参照)において、緑色発光蛍光膜8gはCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体(x=0.7)とZnSiO:Mn蛍光体を混合(Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量60重量%)した緑色発光蛍光体を用い、青色発光蛍光体層にはBaMgAl1017:Eu青色発光蛍光体を用い、赤色発光蛍光体層には(Y,Gd)BO:Eu赤色発光蛍光体とY(P,V)O:Eu赤色発光蛍光体を30:70の重量%の割合で混合した赤色発光蛍光体を用いて印刷塗布を行い作製している。また、放電ガスは、組成比が12mol%となる量でXeガスを含んで構成されたガスを用いている。その他の各構成は前記実施の形態1と同様である。本発明によれば、画像表示装置の輝度、色度及び残光特性を良好とすることができる。
【0076】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、画像表示装置、特に、蛍光体に真空紫外線を照射して励起し、発光を起こして画像を表示する画像表示装置の製造業に幅広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施の形態におけるプラズマディスプレイパネルの要部を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線の断面図である。
【図3】図1のB−B’線の断面図である。
【図4】本発明を構成する蛍光体の発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】本発明の蛍光膜におけるCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体混合量に対する色度y値を示すグラフである。
【図6】本発明の蛍光膜におけるCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体混合量に対する残光時間を示すグラフである。
【図7】本発明の蛍光膜における発光輝度90%としたXe濃度に対するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体混合量を示すグラフである。
【図8】本発明を構成するCa5−2xNa(POF:Tb蛍光体におけるTb濃度に対する発光輝度を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施の形態における画像表示装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0079】
1 前面基板
2 誘電体層
3 保護膜
6 電極
7 隔壁
8 蛍光膜
8r 赤色発光蛍光膜
8g 緑色発光蛍光膜
8b 青色発光蛍光膜
9 誘電体層
10 背面基板
15 放電空間
20 放電セル
50 プラズマディスプレイパネル(PDP)
51、52 電極
53、54 バスライン
100 プラズマディスプレイ装置
101 アドレス駆動回路
102 走査・維持パルス出力回路
103 維持パルス出力回路
104 駆動制御回路
105 信号処理回路
106 駆動電源
107 映像源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面基板と背面基板とが対向して配置され、
前記前面基板と前記背面基板の間にはXeを含む放電ガスが封入され、
前記放電ガス側の前記背面基板には蛍光膜が配置され、
前記放電ガス中のXe濃度が10mol%以上100mol%以下であり、
前記蛍光膜には、Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体およびZnSiO:Mn蛍光体を混合して含む緑色発光蛍光膜が用いられていることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記緑色発光蛍光膜では、前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体と前記ZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対する前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量m重量%が、30重量%≦m≦85重量%であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記緑色発光蛍光膜では、前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体と前記ZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対する前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量m重量%が、60重量%≦m≦85重量%であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記緑色発光蛍光膜では、前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体と前記ZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対する前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量m重量%が、前記放電ガス中のXe濃度をnmol%として、m≦4.5n+16.8であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記緑色発光蛍光膜では、前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体と前記ZnSiO:Mn蛍光体を加えた量に対する前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体の混合量m重量%が、前記放電ガス中のXe濃度をnmol%として、m≦4.5n+16.8、および60重量%≦m≦85重量%であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記蛍光膜において、緑色発光の色度y値が0.62以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記蛍光膜において、緑色発光の残光時間が6ms以下であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のTb濃度xが0<x≦1.0であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のTb濃度xが0.3≦x≦0.9であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記Ca5−2xNa(POF:Tb蛍光体のTb濃度xが0.5≦x≦0.8であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記ZnSiO:Mn蛍光体のMn濃度が0.08mol以上であることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記放電ガス中のXe濃度が16mol%以上50mol%以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記蛍光膜には、前記緑色発光蛍光膜、青色発光蛍光膜、および赤色発光蛍光膜が用いられており、
前記青色発光蛍光膜には、BaMgAl1017:Eu蛍光体が含まれ、
前記赤色発光蛍光膜には、Y(P,V)O:Eu蛍光体が含まれていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−295407(P2009−295407A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147525(P2008−147525)
【出願日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】