説明

画像表示装置

【課題】演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するとともに画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制する。
【解決手段】1つのデータ電極を用いて連続して書込み動作を行う1以上の画素のる画像信号の全てがその直前および直後に書込み動作を行う2つの画素の画像信号よりも大きい凸ライン信号を検出し、凸ライン信号の直前および直後に書込み動作を行う2つの画素の大きいほうの階調にもとづき開始SFを設定する開始SF設定部101と、所定のサブフィールドにもとづき終了SFを設定する終了SF設定部102と、開始SFから終了SFまでの階調重みの総和を凸ライン信号に重畳する加算部106と、加算部の出力をコードに変換するコーディング部90と、コーディング部90から出力されるコードの開始SFから終了SFまでを非点灯とするコードを出力するSF強制オフ部107とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯または非点灯の2値制御を組み合わせて階調を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
点灯または非点灯の2値制御を行う画像表示デバイスとして代表的なプラズマディスプレイパネル(以下、「パネル」と略記する)は、1対の走査電極と維持電極とからなる表示電極対が複数形成された前面基板と、複数の平行なデータ電極が形成された背面基板とを対向配置し、その間に多数の放電セルが形成されている。そして放電セル内でガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で赤色、緑色および青色の各色の蛍光体を励起発光させる。
【0003】
点灯または非点灯の2値制御を組み合わせて階調を表示する方法としては、1フィールドを点灯輝度の異なる複数のサブフィールドに分割し、点灯させるサブフィールドの組み合わせによって所望の階調を表示する、いわゆるサブフィールド法が一般的である。各サブフィールドは書込み期間および維持期間を有する。書込み期間では画像信号に応じた書込みパルスをデータ電極に印加して点灯させるべき放電セルで書込み放電を発生し壁電荷を形成する。そして維持期間では、走査電極と維持電極とからなる表示電極対にあらかじめ定められた数の維持パルスを印加して壁電荷を形成した放電セルで維持放電を発生させ、維持パルスの数に応じた輝度で点灯させる。
【0004】
プラズマディスプレイ装置は、入力した画像信号を、放電セルのサブフィールド毎の点灯・非点灯を示すサブフィールドコードに変換する画像信号処理回路を備えている。画像信号処理回路は、例えばROM等を用いた変換テーブルを用いて構成され、画像信号の1つの入力レベルに対して1つのサブフィールドコードが出力される。
【0005】
ところが、サブフィールド法で発生しやすい擬似輪郭を抑制するために、実際に表示する階調を制限し、かつ滑らかな階調表示と両立させるために、制限する階調を画像信号に応じて切り替える必要性が生じてきた。このような要望にこたえる方法として、例えば複数の変換テーブルを備え、映像信号の最小値および平均値からしきい値を算出し、このしきい値に基づき複数の変換テーブルの中から1つの変換テーブルを選択して、画像信号をサブフィールドコードに変換するプラズマディスプレイ装置が特許文献1に開示されている。
【0006】
またプラズマディスプレイ装置は、各電極を駆動するための電極駆動回路を備え、必要な駆動電圧波形をそれぞれの電極に印加する。この中で、データ電極駆動回路は多数のデータ電極毎に独立に書込みパルスを印加する必要があるので、通常は専用ICを用いて構成されている。データ電極駆動回路側からパネルを見ると、各データ電極は隣接するデータ電極、走査電極および維持電極との間の浮遊容量をもつ容量性の負荷である。したがって各データ電極に駆動電圧波形を印加するためにはこの容量を充放電しなければならず、そのための消費電力が必要となる。しかし、駆動回路をIC化するためにはデータ電極駆動回路の消費電力を極力小さく抑える必要があった。
【0007】
データ電極駆動回路の消費電力を抑える方法として、例えば特許文献2には、階調重みの最も小さいサブフィールドから書込み動作を禁止してデータ電極駆動回路の消費電力を制限する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−098959号公報
【特許文献2】特開2000−066638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、パネルの大画面化、高精細度化、画像表示品質のさらなる向上とともに、多様な放送方式への対応、3Dディスプレイ表示等の多機能対応の要請等により、切り替えて使用する変換テーブルの数が膨大になり、変換テーブルを用いて画像信号処理回路を構成することが現実的ではなくなってきた。あるいは、変換テーブルを用いて構成した画像信号処理回路では、これらの要望にこたえることが難しくなってきた。
【0010】
またデータ電極駆動回路の電力もますます増える傾向にあるが、データ電極駆動回路の消費電力を抑えるためにサブフィールドの書込み動作を単純に禁止すると、画像信号に忠実な画像表示ができなくなる、滑らかな階調表現ができなくなる等、画像表示品質が低下するという課題もあった。
【0011】
本発明はこれらの課題に鑑みなされたものであり、演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するとともに画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制できる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明は、行方向に長い走査電極と列方向に長いデータ電極とが交差した部分に画素が形成された画像表示デバイスと、走査電極に走査パルスを印加するとともにデータ電極に書込みパルスを印加して該当する画素で書込み動作を行う書込み期間および走査電極に維持パルスを印加して書込み動作を行った画素を階調重みに応じた明るさで点灯させる維持期間を有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し且つ入力した画像信号をサブフィールドのそれぞれの点灯または非点灯を示すサブフィールドコードに変換して画素のそれぞれで階調を表示させる駆動回路と、を備えた画像表示装置であって、駆動回路は、1つのデータ電極を用いて連続して書込み動作を行う1以上の画素に対応する画像信号の全てがその直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号よりも大きい画像信号を凸ライン信号として検出し、凸ライン信号の直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号の大きいほうの階調である前後ライン階調にもとづき強制オフ開始サブフィールドを設定する開始サブフィールド設定部と、あらかじめ定められた所定のサブフィールドにもとづき強制オフ終了サブフィールドを設定する終了サブフィールド設定部と、強制オフ開始サブフィールドから強制オフ終了サブフィールドまでの階調重みの総和を凸ライン信号に重畳する加算部と、加算部の出力をサブフィールドコードに変換するコーディング部と、コーディング部から出力されるサブフィールドコードの強制オフ開始サブフィールドから強制オフ終了サブフィールドまでを非点灯とするサブフィールドコードを出力するサブフィールド強制オフ部と、を備えたことを特徴とする。この構成により、演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するとともに画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制できる画像表示装置を提供することができる。
【0013】
また本発明の画像表示装置の開始サブフィールド設定部は、凸ライン信号を検出するとともに前後ライン階調を検出する凸ライン検出部と、点灯させるサブフィールドのうち最も階調重みの大きいサブフィールドの階調重みよりも小さい階調重みをもつ全てのサブフィールドも点灯させるサブフィールドコードである基底コードのうち、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの最小非点灯サブフィールドを強制オフ開始サブフィールドと設定する開始サブフィールド算出部と、を有する構成であってもよい。
【0014】
また本発明の画像表示装置の終了サブフィールド設定部は、所定のサブフィールドを強制オフ終了サブフィールドとして設定する構成であってもよい。
【0015】
また本発明の画像表示装置の駆動回路は、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの階調を凸ライン信号の階調の最大値から減じて差分値を求め、差分値以下であり且つ最も近い階調重みを持つサブフィールドを強制オフ終了サブフィールドに対する上限サブフィールドとする上限サブフィールド算出部を有し、終了サブフィールド設定部は、所定のサブフィールドおよび上限サブフィールドのうち、階調重みの小さいほうのサブフィールドを強制オフ終了サブフィールドとして設定する構成であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するとともに、画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制できる画像表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における画像表示装置のパネルの分解斜視図である。
【図2】同画像表示装置のパネルの電極配列図である。
【図3】同画像表示装置のパネルの各電極に印加する駆動電圧波形図である。
【図4】1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成した場合のコードセットの一例を示す図である。
【図5】同画像表示装置の回路ブロック図である。
【図6】同画像表示装置の画像信号処理回路の回路ブロック図である。
【図7A】同画像表示装置の基底コードセットの一例を示す図である。
【図7B】同画像表示装置の基底コードセットの一例を示す図である。
【図7C】同画像表示装置の基底コードセットの一例を示す図である。
【図8A】同画像表示装置のルールにより生成される中間コードセットの一例を示す図である。
【図8B】同画像表示装置のルールにより生成される中間コードセットの一例を示す図である。
【図8C】同画像表示装置のルールにより生成される中間コードセットの一例を示す図である。
【図9A】同画像表示装置で使用するディザパターンの一例を示す図である。
【図9B】同画像表示装置で使用するディザパターンの一例を示す図である。
【図10】同画像表示装置における誤差拡散回路の動作を説明する図である。
【図11A】同画像表示装置のデータ電極駆動回路の電力を抑制する方法を示す図である。
【図11B】同画像表示装置のデータ電極駆動回路の電力を抑制する方法を示す図である。
【図12】同画像表示装置の開始SF設定部の回路ブロック図である。
【図13】同画像表示装置のコード組替部の動作を説明する図である。
【図14】同画像表示装置の画像信号処理回路の動作を示すフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2における開始SF設定部の回路ブロック図である。
【図16】同画像表示装置の開始SF設定部の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態における画像表示装置について、画像表示デバイスとしてプラズマディスプレイパネルを用いたプラズマディスプレイ装置を例に、図面を用いて説明する。
【0019】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における画像表示装置のパネル10の分解斜視図である。ガラス製の前面基板11上には、走査電極12と維持電極13とからなる表示電極対14が複数形成されている。そして表示電極対14を覆うように誘電体層15が形成され、その誘電体層15上に保護層16が形成されている。背面基板21上にはデータ電極22が複数形成され、データ電極22を覆うように誘電体層23が形成され、さらにその上に井桁状の隔壁24が形成されている。そして、隔壁24の側面および誘電体層23上には赤色、緑色および青色の各色に点灯する蛍光体層25が設けられている。
【0020】
これら前面基板11と背面基板21とは、微小な放電空間を挟んで表示電極対14とデータ電極22とが交差するように対向配置され、その外周部をガラスフリット等の封着材によって封着されている。そして放電空間には、放電ガスとして、例えばネオンとキセノンとの混合ガスが封入されている。放電空間は隔壁24によって複数の区画に仕切られており、表示電極対14とデータ電極22とが交差する部分に放電セルが形成されている。そしてこれらの放電セルが点灯することにより画像が表示される。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態における画像表示装置のパネル10の電極配列図である。パネル10には、行方向(ライン方向)に長いn本の走査電極12およびn本の維持電極13が配列され、列方向に長いm本のデータ電極22が配列されている。そして1対の走査電極12および維持電極13と1つのデータ電極22とが交差した部分に放電セルが形成され、放電セルは放電空間内にm×n個形成されている。そして赤の蛍光体を塗布された放電セルは赤の画素、緑の蛍光体を塗布された放電セルは緑の画素、青の蛍光体を塗布された放電セルは青の画素に対応している。
【0022】
次に、パネル10を駆動するための駆動電圧波形とその動作について説明する。プラズマディスプレイ装置は、サブフィールド法、すなわち階調重みの定められた複数のサブフィールドで1フィールドを構成し、サブフィールドのそれぞれで各画素の点灯・非点灯を制御して階調を表示する。
【0023】
それぞれのサブフィールドは初期化期間、書込み期間および維持期間を有する。初期化期間では初期化放電を発生し、続く書込み放電に必要な壁電荷を各電極上に形成する初期化動作を行う。書込み期間では、走査電極12に走査パルスを印加するとともにデータ電極22に書込みパルスを印加して点灯させるべき放電セルで選択的に書込み放電を発生し壁電荷を形成する書込み動作を行う。そして維持期間では、サブフィールド毎にあらかじめ決められた階調重みに応じた数の維持パルスを表示電極対に交互に印加して、書込み放電を発生した放電セルで維持放電を発生させて階調重みに応じた明るさで点灯させる。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態における画像表示装置のパネル10の各電極に印加する駆動電圧波形図である。
【0025】
サブフィールドSF1の初期化期間Tiの前半部では、データ電極22、維持電極13にそれぞれ電圧0(V)を印加し、走査電極12には、電圧Vi1から電圧Vi2まで緩やかに上昇する上り傾斜波形電圧を印加する。すると走査電極12と維持電極13、走査電極12とデータ電極22との間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして走査電極12上に負の壁電圧が蓄積されるとともに、データ電極22上および維持電極13上には正の壁電圧が蓄積される。ここで、電極上の壁電圧とは電極を覆う誘電体層上、保護層上、蛍光体層上等に蓄積された壁電荷により生じる電圧を表す。
【0026】
初期化期間Tiの後半部では、維持電極13に正の電圧Veを印加し、走査電極12には、電圧Vi3からVi4まで緩やかに下降する下り傾斜波形電圧を印加する。すると走査電極12と維持電極13、走査電極12とデータ電極22との間でそれぞれ微弱な初期化放電が起こる。そして走査電極12上の負の壁電圧および維持電極13上の正の壁電圧が弱められ、データ電極22上の正の壁電圧は書込み動作に適した値に調整される。
【0027】
なお、初期化期間の動作としては、サブフィールドSF2の初期化期間に示したように、電圧Vi4に向かって緩やかに下降する下り傾斜波形電圧を走査電極12に印加するだけでもよい。この場合には、直前のサブフィールドで維持放電を行った放電セルで選択的に初期化放電が発生する。
【0028】
続く書込み期間Twでは、維持電極13に電圧Veを印加し、走査電極12に電圧Vcを印加する。
【0029】
次に、1ライン目の走査電極12に電圧Vaの走査パルスを印加するとともに、データ電極22のうち1ライン目に点灯させるべき放電セルのデータ電極22に電圧Vdの書込みパルスを印加する。するとデータ電極22上と1ライン目の走査電極12上との交差部の電圧差は放電開始電圧を超え、データ電極22と1ライン目の走査電極12との間および1ライン目の維持電極13と1ライン目の走査電極12との間に書込み放電が発生する。そして1ライン目の走査電極12上に正の壁電圧が蓄積され、1ライン目の維持電極13上に負の壁電圧が蓄積され、データ電極22上にも負の壁電圧が蓄積される。
【0030】
このようにして、1ライン目に点灯させるべき放電セルで書込み放電を起こして各電極上に壁電圧を蓄積する書込み動作が行われる。一方、書込みパルスを印加しなかったデータ電極22と1ライン目の走査電極12との交差部の電圧は放電開始電圧を超えないので、書込み放電は発生しない。
【0031】
次に、2ライン目の走査電極12に電圧Vaの走査パルスを印加するとともに、データ電極22のうち2ライン目に点灯させるべき放電セルのデータ電極22に電圧Vdの書込みパルスを印加する。するとデータ電極22と2ライン目の走査電極12との間および2ライン目の維持電極13と2ライン目の走査電極12との間に書込み放電が発生する。
【0032】
以上の書込み動作をnライン目の放電セルに至るまで行い、書込み期間Twが終了する。
【0033】
なお、各データ電極22を駆動しているのは後述するデータ電極駆動回路であるが、データ電極駆動回路側から見ると各データ電極22は容量性の負荷である。したがって書込み期間Twにおいて、データ電極22に印加する電圧を接地電位0(V)から電圧Vdへ、あるいは電圧Vdから接地電位0(V)へ切換える毎にこの容量を充放電しなければならない。そしてその切換えの回数が多いとデータ電極駆動回路の消費電力も多くなる。本実施の形態においては、詳細は後述するが、切換えの回数が少なくなるように、すなわちデータ電極駆動回路の消費電力が少なくなるように、データ電極22へ印加する書込みパルスのサブフィールド毎の組み合わせを組替えている。
【0034】
続く維持期間Tsでは、維持電極13に電圧0(V)を印加するとともに走査電極12に電圧Vsの維持パルスを印加する。すると書込み放電を起こした放電セルでは、走査電極12上と維持電極13上との電圧差が放電開始電圧を超え、走査電極12と維持電極13との間で維持放電が発生し蛍光体層25が発光して放電セルが点灯する。そして走査電極12上に負の壁電圧が蓄積され、維持電極13上に正の壁電圧が蓄積される。さらにデータ電極22上にも正の壁電圧が蓄積される。
【0035】
ただし、書込み期間Twにおいて書込み放電を起こさなかった放電セルでは維持放電は発生せず、初期化期間Tiの終了時における壁電圧が保たれる。
【0036】
続いて、走査電極12には電圧0(V)を、維持電極13には電圧Vsの維持パルスをそれぞれ印加する。すると、維持放電を起こした放電セルでは再び維持放電が起こり、維持電極13上に負の壁電圧が蓄積され走査電極12上に正の壁電圧が蓄積される。以降、階調重みに応じた数の維持パルスを走査電極12と維持電極13とに交互に印加して、放電セルを点灯させる。
【0037】
そして、維持期間Tsの最後には、維持電極13を電圧0(V)に戻した後、電圧Vrまで緩やかに上昇する上り傾斜波形電圧を走査電極12に印加する。すると、維持放電を起こした放電セルの維持電極13と走査電極12との間で弱い放電が起こり、走査電極12上と維持電極13上との間の壁電圧が弱められる。その後、走査電極12に印加する電圧を電圧0(V)に戻す。こうして維持期間Tsが終了する。
【0038】
続くサブフィールドSF2およびそれ以降のサブフィールドの動作は維持パルスの数を除いて上述した動作とほぼ同様である。
【0039】
なお、本実施の形態において各電極に印加する電圧値は、例えば、電圧Vi1=140(V)、電圧Vi2=340(V)、電圧Vi3=200(V)、電圧Vi4=−190(V)、電圧Vc=−60(V)、電圧Va=−200(V)、電圧Vs=200(V)、電圧Vr=200(V)、電圧Ve=130(V)、電圧Vd=70(V)である。ただしこれらの値は、単に一例を挙げたに過ぎず、パネル10の特性やプラズマディスプレイ装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【0040】
このようにしてサブフィールド法においては、1フィールドをあらかじめ階調重みの定められた複数のサブフィールドで構成し、放電セルを点灯させるサブフィールドの組合せにより階調を表示している。以下、サブフィールドのそれぞれの点灯または非点灯の組合せを「サブフィールドコード」または単に「コード」と呼び、複数のコードの集合を「コードセット」と呼ぶ。
【0041】
なお説明を簡単にするために、黒を表示したときの階調を「0」とし、階調重み「N」に対応する階調を「N」と表記する。また図面では、「階調重み」を単に「重み」と記載している。
【0042】
図4は、1フィールド期間を8個のサブフィールドで構成した場合のコードセットの一例を示す図である。ここで最も左の列に示した数値は階調を示し、その右側にはその階調を表示する際に各サブフィールドで放電セルを点灯させるか否か、すなわちサブフィールドコードを示している。ここで空欄は非点灯、「1」は点灯を示す。例えば図4において、階調「2」を表示するためには、サブフィールドSF2でのみ放電セルを点灯させればよく、この場合のサブフィールドコードは「01000000」である。また階調「14」を表示するためには、サブフィールドSF1、SF2、SF3およびSF5で放電セルを点灯させればよく、この場合のサブフィールドコードは「11101000」である。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の回路ブロック図である。画像表示装置30は、行方向に長い走査電極12と列方向に長いデータ電極22とが交差した部分に画素が形成された画像表示デバイスであるパネル10と、走査電極12に走査パルスを印加するとともにデータ電極22に書込みパルスを印加して該当する画素で書込み動作を行う書込み期間Twおよび走査電極12に維持パルスを印加して書込み動作を行った画素を階調重みに応じた明るさで点灯させる維持期間Tsを有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し且つ入力した画像信号をサブフィールドのそれぞれの点灯または非点灯を示すサブフィールドコードに変換して画素のそれぞれで階調を表示させる駆動回路とを備えている。駆動回路は、画像信号処理回路31、データ電極駆動回路32、走査電極駆動回路33、維持電極駆動回路34、タイミング発生回路35および各回路ブロックに必要な電源を供給する電源回路(図示せず)を有する。
【0044】
画像信号処理回路31は、画像信号を入力し、階調を表示するためのサブフィールドコードである表示コードを出力する。詳細は後述するが、本実施の形態においては画像信号から表示コードへの変換を、変換テーブルを用いるのではなく論理計算を用いて実行している。
【0045】
データ電極駆動回路32は、m本のデータ電極22のそれぞれに書込みパルス電圧Vdまたは0(V)を印加するためのm個のスイッチ回路32(1)〜32(m)を備えている。そして画像信号処理回路31から出力された表示コードをデータ電極22のそれぞれに対応する書込みパルスに変換し、データ電極22のそれぞれに印加する。
【0046】
ここで、データ電極駆動回路32は、複数個の専用ICを用いて構成されている。このように多数のデータ電極を駆動する駆動回路をIC化することにより回路をコンパクトにまとめることができ、実装面積も小さくなりコストも下げることができる。しかし専用ICの許容電力損失には制限があるので、データ電極駆動回路32の消費電力がこの制限を超えないように抑制しなければならない。
【0047】
タイミング発生回路35は水平同期信号、垂直同期信号に基づき、各回路ブロックの動作を制御する各種のタイミング信号を発生し、それぞれの回路ブロックへ供給する。走査電極駆動回路33は、タイミング信号に基づき図3に示した駆動電圧波形を作成し、走査電極12のそれぞれに印加する。維持電極駆動回路34は、タイミング信号に基づき図3に示した駆動電圧波形を作成し、維持電極13のそれぞれに印加する。
【0048】
図6は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の画像信号処理回路31の回路ブロック図である。画像信号処理回路31は、演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するコーディング部90と、画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制するコード組替部100とを有する。
【0049】
コーディング部90は、後述するコード組替部100の加算部106の出力をサブフィールドコードに変換する。コーディング部90は、属性検出部40と、基底コード生成部50と、ルール生成部60と、上下コード生成部70と、表示コード選択部80とを有する。
【0050】
属性検出部40は、後述するコード組替部100の加算部106から出力される画像信号とそれを表示する画素の位置との関係を特定するとともに、各画素に対応する画像信号の時間微分、空間微分等に基づき、動画領域・静止画領域の検出、明るさが変化する画像の輪郭部の検出等を行う。そしてそれらを各画素に対応する画像信号の属性として出力する。
【0051】
基底コード生成部50は、後述するコード組替部100の加算部106から出力される画像信号の階調(以下、「入力階調」と呼称する)よりも大きくかつ最も近い階調をもつ基底コードを上階調基底コードとして生成し出力する。ここで基底コードとは、点灯するサブフィールドのうち最も階調重みの大きいサブフィールドの階調重みよりも小さい階調をもつ全てのサブフィールドが点灯するサブフィールドとなるコードである。基底コードはサブフィールドコードの基本となるコードであって、階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつずつまたは2つずつ点灯させて生成したコードである。またこのようにして生成したコードセットを基底コードセットと呼ぶ。
【0052】
図7A〜図7Cは、本発明の実施の形態における画像表示装置の基底コードセットの一例を示す図である。図7Aは、NTSC規格で用いられることが多い基底コードセットの一例である。この基底コードセットは、階調重みの小さいサブフィールドを先頭に、階調重みが順次大きくなるようにサブフィールドを配列する。そして階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつずつ点灯させて生成したコードセットである。したがってこの基底コードセットに含まれる基底コードの数は、(1フィールドを構成するサブフィールドの数+1)である。
【0053】
また図7Bは、PAL規格で用いられることが多い基底コードセットの一例である。この基底コードセットは、階調重みが順次大きくなるように配列されたサブフィールド群を2つ有する。そして階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつまたは2つずつ点灯させて生成したコードセットである。したがってこの基底コードセットに含まれる基底コードの数は、(1フィールドを構成するサブフィールドの数+1)以下である。
【0054】
また図7Cは、3D(立体視)用ディスプレイ装置で用いられる基底コードセットの一例である。この基底コードセットは、階調重みの最も小さいサブフィールドを先頭に配置し、次に階調重みの最も大きいサブフィールドを配置し、以降は階調重みが順次小さくなるようにサブフィールドを配列する。そして最も階調重みの小さいサブフィールドから順にひとつずつ点灯させて生成したコードセットである。
【0055】
本実施の形態においては、基底コード生成部50は、基底コード記憶部52と基底コード選択部54とを有する。基底コード記憶部52は、基底コードセットと各基底コードの表示する階調とを記憶している。基底コード選択部54は、基底コードのそれぞれの階調と入力階調とを比較して、入力階調を超えかつ最も近い階調の基底コードを選択し、上階調基底コードとして出力する。
【0056】
ルール生成部60は、選択した上階調基底コードに非点灯サブフィールドを追加して画像表示に用いるコードの数を増やすためのルールを、画像信号および画像信号に付随する属性に基づき生成する。しかし無制限に非点灯サブフィールドを追加することはできない。例えば全てのサブフィールドを非点灯サブフィールドとして生成されたコードの階調は「0」となるが、このようなルールは許されない。また階調重みの大きいサブフィールドに多くの非点灯サブフィールドを追加することはできない。
【0057】
ルール生成部60で生成が許されるルールは、上階調基底コードの階調以下であって、入力階調以下でありかつ最も近い階調の基底コードの階調(下階調基底コード)以上の階調をもつコードを生成するルールである。ルール生成部60で生成されるルールは、詳細は後述するが、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール、2つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール、非点灯を禁止するサブフィールドに関するルールで記述される。
【0058】
上下コード生成部70は、画像表示に使用できるサブフィールドコードの中から、画像信号の階調より大きくかつ最も近い階調をもつサブフィールドコードおよび画像信号の階調以下でかつ最も近い階調をもつサブフィールドコードをそれぞれ上階調コードおよび下階調コードとして生成する。
【0059】
本実施の形態においては、基底コード生成部50で生成した上階調基底コードに、ルール生成部60で生成したルールおよび後述するコード組替部100のルール追加部104から出力されるルールを適用して生成できるサブフィールドコードの中から、入力階調より大きくかつ最も近い階調をもつサブフィールドコードを上階調コードとして生成し、入力階調以下でかつ最も近い階調をもつサブフィールドコードを下階調コードとして生成する。
【0060】
本実施の形態においては、上下コード生成部70は、中間コード生成部72と、上下コード選択部74とを有する。
【0061】
中間コード生成部72は、上階調基底コードに非点灯サブフィールドを追加して画像表示に使用するコードを生成する。こうして生成されたコードを「中間コード」と呼称する。また中間コードにもとの上階調基底コードを加えたテーブルを「中間コードセット」と称する。
【0062】
図8A〜図8Cは、本発明の実施の形態における画像表示装置のルールにより生成される中間コードセットの一例を示す図である。図8Aは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」というルールを図7Aに示した基底コード「11111100」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では基底コードに6つの点灯サブフィールドSF1〜SF6が存在するので、このうちの1つを非点灯サブフィールドに変更することにより6個の中間コードが得られる。ただし中間コード「11111000」は基底コードに等しく、それ以外の5個のコードが新たに生成された中間コードである。
【0063】
図8Bは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」に加えて、2つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「新たに生成された中間コードのうちで階調の最も小さいコードのサブフィールドSF2に非点灯サブフィールドを追加する」というルールを、基底コード「11111100」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では6個の中間コードが新たに生成される。
【0064】
図8Cは、1つめに追加する非点灯サブフィールドに関するルール「非点灯サブフィールドを1つ追加する」に加えて、非点灯を禁止するサブフィールドに関するルール、「サブフィールドSF1、SF3、SF4、SF5の非点灯を禁止する」というルールを基底コード「11111100」に適用して生成した中間コードセットを示す図である。この例では1個の中間コードが新たに生成される。
【0065】
このように中間コード生成部72は、基底コード生成部50が生成した上階調基底コードにルール生成部60で生成されたルールおよび後述するコード組替部100のルール追加部104から出力されるルールを適用して中間コードセットを生成する。
【0066】
上下コード選択部74は、中間コード生成部72で生成した中間コードセットに含まれるコードそれぞれの階調と入力階調とを比較して、入力階調より大きくかつ最も近い階調をもつコードを上階調コードとして選択し出力する。また入力階調以下でかつ最も近い階調をもつコードを下階調コードとして選択し出力する。
【0067】
表示コード選択部80は、入力階調に所定の値を加算して表示すべき階調を求め、上階調コードおよび下階調コードのうち表示すべき階調に近い階調をもつサブフィールドコードを暫定表示コードとして選択する。本実施の形態においては、入力階調に加算する所定の値は、誤差拡散処理により拡散される誤差およびディザ処理により加算されるディザ値である。
【0068】
表示コード選択部80は、ディザ選択部82と、誤差拡散部84と、表示コード決定部86とを有する。
【0069】
ディザ選択部82は、画像信号およびその属性に基づき、記憶している複数のディザパターンの中から1つのディザパターンを選択する。また対応する画像信号の画素の位置に基づき、選択したディザパターンの対応するディザ要素を選択して出力し、さらに選択したディザ要素に上階調コードの階調と下階調コードの階調との差を乗じてディザ値を求める。
【0070】
図9A、図9Bは、本発明の実施の形態における画像表示装置で使用するディザパターンの一例を示す図である。図9Aは、最も単純な2値ディザを示す図であり、ディザ要素「+0.25」と「−0.25」とが市松状に配列されている。また図9Bは、4値ディザの一例を示す図であり、2画素×2画素のブロックのそれぞれにディザ要素「+0.375」、「+0.125」、「−0.375」、「−0.125」が配列されている。
【0071】
誤差拡散部84は、対応する画素に加算するための誤差を表示コード決定部86に出力すると共に、表示コード決定部86から出力される誤差を周辺画素に拡散する。
【0072】
図10は、本発明の実施の形態における画像表示装置における誤差拡散部84の誤差拡散係数を示す図である。図10の中心に示した画素(当該画素)には、左上の画素で発生した誤差に係数k1をかけた値が拡散され、上の画素で発生した誤差に係数k2をかけた値が拡散され、右上の画素で発生した誤差に係数k3をかけた値が拡散され、左の画素で発生した誤差に係数k4をかけた値が拡散される。また当該画素で発生した誤差に係数k4をかけた値を右の画素に拡散し、当該画素で発生した誤差に係数k3をかけた値を左下の画素に拡散し、当該画素で発生した誤差に係数k2をかけた値を下の画素に拡散し、当該画素で発生した誤差に係数k1をかけた値を右下の画素に拡散する。
【0073】
本実施の形態においては、各係数の値を、k1=1/16、k2=4/16、k3=3/16、k4=8/16と設定するか、または、k1=3/16、k2=4/16、k3=1/16、k4=8/16と設定する。何れの値に設定するかは乱数を用いて決定している。
【0074】
表示コード決定部86は、入力階調と、ディザ選択部82から出力されたディザ値と、誤差拡散部84から出力された誤差とを加算して表示すべき階調を算出する。そして上階調コードおよび下階調コードのうち、表示すべき階調に近いほうのコードを暫定表示コードとして選択する。このとき表示すべき階調と選択した暫定表示コードの階調との差を求め、新しく発生した誤差として誤差拡散部84に出力する。
【0075】
コード組替部100は、中間コード生成部72から出力される通常のコードを用いた場合にデータ電極駆動回路の電力が大きくなる画像信号を検出し、データ電極駆動回路の電力が小さくなる特殊なコードへの組替えを行うために設けている。
【0076】
図11A、図11Bは、本発明の実施の形態における画像表示装置30のデータ電極駆動回路32の電力を抑制する方法を示す図であり、1つのデータ電極22を共有するライン1からライン9までの9画素で、それぞれ階調(「5」、「4」、「15」、「2」、「20」、「26」、「1」、「10」、「0」)を表示する例について示している。
【0077】
図11Aは、図7Aに示した基底コードセットを用いて上記9画素の階調を表示する場合を示している。また図11Bは、データ電極駆動回路32の電力が小さくなる特殊なコードへの組替えを行って、上記9画素の階調を表示する場合を示している。
【0078】
上述したようにデータ電極駆動回路32の消費電力は、データ電極22に印加する電圧を接地電位0(V)から電圧Vdへ、あるいは電圧Vdから接地電位0(V)へ切換える回数が増えると増加する。図11Aに示した例では、ライン2の画素で階調「4」を表示し、ライン3の画素で階調「15」を表示し、ライン4の画素で階調「2」を表示する。そのためライン3の画素では、サブフィールドSF4の書込み期間において100%の確率で接地電位0(V)から電圧Vdへ電圧が切換えられ、サブフィールドSF5の書込み期間では約50%の確率で接地電位0(V)から電圧Vdへ電圧が切換えられる。またライン4の画素では、サブフィールドSF4の書込み期間において100%の確率で電圧Vdから接地電位0(V)へ電圧が切換えられ、サブフィールドSF5の書込み期間では約50%の確率で電圧Vdから接地電位0(V)へ電圧が切換えられる。このように、前後のラインの画素で表示する階調よりも大きな階調を表示するライン(以下、「凸ライン」と略記する)の画素では電圧の切換えが発生する。ここで、接地電位0(V)から電圧Vdへの切換えおよび電圧Vdから接地電位0(V)への切換えで1回の切換えと数えると、ライン3の前後で少なくとも1.5回の切換えが発生することになる。
【0079】
同様に、ライン5およびライン6の画素で表示する階調は、その前後のライン4およびライン7の画素で表示する階調よりも大きい。このように前後のラインの画素で表示する階調よりも大きな階調を表示する連続した複数のライン(これに含まれる個々のラインも「凸ライン」と略記する)の画素でも電圧の切換えが発生し、この例では、約3.6回の切換えが発生する。またライン8の画素で表示する階調は、そのラインの前後のライン7およびライン9の画素で表示する階調よりも大きな階調を表示する凸ラインの画素であり、2.8回の切換えが発生する。したがって図11Aに示した表示コードを用いると、ライン1〜ライン9の画素で少なくとも7.9回の切換えが発生することになる。
【0080】
一方、図11Bに示した特殊なコードを用いて9ライン分の画素の階調を表示すると、ライン3の画素では約1.1回、ライン5およびライン6の画素では約2.1回、ライン8の画素では1.1回、合計4.3回の切換えが発生する。このように図11Bに示した特殊なコードを用いると、切換え回数を大幅に減らすことができ、データ電極駆動回路32の消費電力を抑制することができる。これは、凸ラインの画素では階調重みの小さいサブフィールドでの書込みを禁止し、替わりに階調重みの大きいサブフィールドで書込みを行う特殊なコードへの組替えを行った結果である。このように凸ラインの画素で階調重みの小さいサブフィールドでの書込みを禁止することで書込み動作の回数が減り切換え回数を減らすことができる。
【0081】
コード組替部100は、上記の考えにもとづき、データ電極22のそれぞれに対して、連続して書込み動作を行う1以上の画素に対応する画像信号の全てがその直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号よりも大きい画像信号(以下、「凸ライン信号」と略記する)を検出する。そして検出した凸ライン信号を表示する際に、階調重みの小さいサブフィールドの使用を禁止し、階調重みの大きいサブフィールドを使用する特殊なコードへの組替えを行なう。
【0082】
コード組替部100は、開始サブフィールド設定部(以下、「開始SF設定部」と略記する)101、終了サブフィールド設定部(以下、「終了SF設定部」と略記する)102、ルール追加部104、加算値算出部105、加算部106、サブフィールド強制オフ部(以下、「SF強制オフ部」と略記する)107を有する。
【0083】
開始SF設定部101は、1つのデータ電極を用いて連続して書込み動作を行う1以上の画素に対応する画像信号の全てがその直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号よりも大きい画像信号、すなわち凸ライン信号を検出する。そして凸ライン信号の直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号の大きいほうの階調(以下、「前後ライン階調」と略記する)にもとづき凸ラインの画素で書込みを禁止するサブフィールドのうち最も階調重みの小さい強制オフ開始サブフィールド(以下、「開始SF」と略記する)を設定する。
【0084】
図12は、本発明の実施の形態における画像表示装置30の開始SF設定部101の回路ブロック図である。本実施の形態においては、最大4ライン連続した凸ライン信号まで検出できる回路構成について説明する。しかし何ライン連続した凸ライン信号まで検出するかは任意に設定してよい。開始SF設定部101は、1H遅延部111a〜111eと、凸ライン検出部112と、暫定開始SF部113と、開始SF算出部114とを有する。
【0085】
1H遅延部111a〜111eのそれぞれは、画像信号を1ライン分遅延する。したがって、1H遅延部111aは画像信号処理回路31に入力した画像信号を1ライン分遅延した画像信号を出力し、1H遅延部111bは2ライン分遅延した画像信号を出力し、1H遅延部111cは3ライン分遅延した画像信号を出力し、1H遅延部111dは4ライン分遅延した画像信号を出力し、1H遅延部111eは5ライン分遅延した画像信号を出力する。その結果、開始SF設定部101が6ライン目の画像信号を入力したとき、1H遅延部111aは5ライン目、1H遅延部111bは4ライン目、1H遅延部111cは3ライン目、1H遅延部111dは2ライン目、1H遅延部111eは1ライン目の画像信号をそれぞれ出力する。
【0086】
凸ライン検出部112は、凸ライン信号を検出するとともに前後ライン階調を検出する。
【0087】
具体的には、まず6ライン分の画像信号を入力する。次に2ライン目〜5ライン目の画素の階調のすべてが1ライン目および6ライン目の画素の階調より大きい場合には、暫定凸ライン数=「4」、前後ライン階調=max(1ライン目の画素の階調、6ライン目の画素の階調)を出力する。そうでない場合であって、2ライン目〜4ライン目の画素の階調のすべてが1ライン目および5ライン目の画素の階調より大きい場合には、暫定凸ライン数=「3」、前後ライン階調=max(1ライン目の画素の階調、5ライン目の画素の階調)を出力する。そうでない場合であって、2ライン目〜3ライン目の画素の階調のすべてが1ライン目および4ライン目の画素の階調より大きい場合には、暫定凸ライン数=「2」、前後ライン階調=max(1ライン目の画素の階調、4ライン目の画素の階調)を出力する。そうでない場合であって、2ライン目の画素の階調が1ライン目および3ライン目の画素の階調より大きい場合には、暫定凸ライン数=「1」、前後ライン階調=max(1ライン目の画素の階調、3ライン目の画素の階調)を出力する。そうでない場合には、暫定凸ライン数=「0」、前後ライン階調=2ライン目の画素の階調を出力する。なお、max(a、b)は,aとbのうち最大値を表す。
【0088】
このように凸ライン検出部112は、1H遅延部111dから出力される2ライン目の画像信号に注目し、2ライン目の画素が凸ラインに属するか否かを判定し、暫定凸ライン数と前後ライン階調とを出力する。
【0089】
暫定開始SF部113は、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードを参照する。そして、その基底コードの最大点灯サブフィールドよりも階調重みの大きいサブフィールドのうち最も階調重みの小さいサブフィールドを暫定開始SFとして出力する。言い換えると、その基底コードの最小非点灯サブフィールドを暫定開始SFとして出力する。
【0090】
開始SF算出部114は、1ライン前の凸ライン数が2以上の場合には、1ライン前の凸ライン数から「1」を減じた値を凸ライン数として出力し、1ライン前の開始SFを開始SFとして出力する。そうでない場合には、現ラインの暫定凸ライン数を凸ライン数として出力し、現ラインの暫定開始SFを開始SFとして出力する。これにより開始SF算出部114は、凸ライン数が2以上の場合であっても、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの最小非点灯サブフィールドを開始SFと設定することができる。
【0091】
コード組替部100の終了SF設定部102は、あらかじめ定められた所定のサブフィールドにもとづき、データ電極駆動回路32の消費電力を抑制するために書込みを禁止するサブフィールドのうち最も階調重みの大きいサブフィールドを強制オフ終了サブフィールド(以下、「終了SF」と略記する)として設定する。終了SFの階調重みを大きく設定するほどデータ電極駆動回路32の消費電力が抑制される。
【0092】
本実施の形態における終了SF設定部102は、凸ライン数が「1」以上であれば、終了SF設定部102に入力された所定のサブフィールドを終了SFとして出力し、凸ライン数が「0」であれば終了SFとして「SF0」を出力する。このように本実施の形態においては、凸ラインでは所定のサブフィールドをそのまま終了SFとして設定する。
【0093】
ルール追加部104は、少なくとも開始SFから終了SFの次に配置されたサブフィールドまでの非点灯を禁止するルールを作成する。本実施の形態においては、開始SFから終了SFの次に配置されたサブフィールドまでの非点灯を禁止するルールを作成するが、非点灯を禁止するサブフィールドをさらに追加してもよい。
【0094】
加算値算出部105は、開始SFから終了SFまでの階調重みの合計を算出し、加算値として出力する。ここで、終了SFが「SF0」の場合には加算値として「0」を出力する。また、終了SFで指定されたサブフィールドの階調重みが開始SFで指定されたサブフィールドの階調重みよりも小さい場合にも加算値として「0」を出力する。
【0095】
加算部106は、入力した画像信号を4ライン分遅延した後、加算値算出部105から出力された加算値を加算して出力する。加算値を加算する理由は、後述するSF強制オフ部107で強制的に書込みを禁止するサブフィールドの階調重みをあらかじめ画像信号に加算しておくことで、画像信号の階調を忠実に表示するためである。このとき開始SFから終了SFの次に配置されたサブフィールドまでの非点灯を禁止するルールをルール追加部104で作成することにより、階調の忠実性が保証される。また入力した画像信号を4ライン分遅延する理由は、1H遅延部111dから出力される2ライン目の画像信号と位相を合わせるためである。こうして加算部106は開始SFから終了SFまでの階調重みの総和を凸ライン信号に重畳する。
【0096】
SF強制オフ部107は、コーディング部90の表示コード選択部80から出力されたサブフィールドコード(暫定表示コード)の開始SFから終了SFまでを非点灯とするサブフィールドコードを表示コードとして出力する。これにより開始SFで指定されたサブフィールドから終了SFで指定されたサブフィールドまでの書込みが禁止される。ただし終了SFが「SF0」の場合および終了SFで指定されたサブフィールドの階調重みが開始SFで指定されたサブフィールドの階調重みよりも小さい場合には表示コード選択部80で選択された暫定表示コードをそのまま表示コードとして出力する。これにより、凸ラインの画素の表示コードを図11Bに示した特殊なコードに組み替えることができる。
【0097】
図13は、本発明の実施の形態における画像表示装置30のコード組替部100の動作を説明する図であり、図11A、図11Bに示した9ライン分の画素の階調(「5」、「4」、「15」、「2」、「20」、「26」、「1」、「10」、「0」)を表示する例について示している。以下に、終了SF設定部102に入力される所定のサブフィールドを「SF4」と仮定し、1ライン毎のコード組替部100の動作について詳細に説明する。
【0098】
最初の1ライン期間において、開始SF設定部101の凸ライン検出部112は、ライン1〜ライン6の6画素分の階調を入力する。ここでライン2の画素について注目すると、ライン2の階調「4」がライン1の階調「5」よりも小さいので、凸ライン検出部112は、暫定凸ライン数として「0」を出力し、前後ライン階調としてライン2の階調「4」を出力する。
【0099】
暫定開始SF部113は暫定開始SFとして、「4」以上で最も近い階調を表示する基底コードの最小非点灯サブフィールド「SF4」を出力する。1ライン前の凸ライン数を「0」と仮定すると、開始SF算出部114は、凸ライン数「0」および開始SF「SF4」を出力する。
【0100】
凸ライン数が「0」であるので、終了SF設定部102は終了SF「SF0」を出力する。すると加算値算出部105は加算値「0」を出力し、加算部106はライン2の画像信号に「0」を加算して階調「4」を出力する。またSF強制オフ部107は書込み禁止を行わず、図11Bのライン2に示したように、表示コード選択部80で選択された暫定表示コードをそのまま表示コードとして出力する。
【0101】
次の1ライン期間では、凸ライン検出部112は、ライン2〜ライン7の6画素分の階調を入力する。ここでライン3の画素について注目すると、ライン3の階調「15」がライン2の階調よりも大きく、ライン4の階調がライン2の階調よりも小さいので、凸ライン検出部112は、暫定凸ライン数として「1」を出力し、前後ライン階調としてライン2の階調「4」を出力する。
【0102】
暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF4」を出力する。1ライン前の凸ライン数は「0」であるので、開始SF算出部114は、凸ライン数「1」および開始SF「SF4」を出力する。
【0103】
凸ライン数が「0」でないので、終了SF設定部102は終了SF「SF4」を出力する。すると加算値算出部105は加算値としてサブフィールドSF4の階調重み「5」を出力し、加算部106はライン3の階調「15」に「5」を加算して階調「20」を出力する。またSF強制オフ部107は、表示コード選択部80で選択された暫定表示コードのサブフィールドSF4を非点灯に組替えて表示コードとして出力する。これにより、図11Bのライン3に示した特殊なコードを用いて階調「15」を表示することができる。
【0104】
次の1ライン期間では、凸ライン検出部112は、ライン3〜ライン8の6画素の階調を入力する。ここでライン4の画素について注目すると、ライン4の階調「2」がライン3の階調よりも小さいので、凸ライン検出部112は、暫定凸ライン数「0」、前後ライン階調「2」を出力する。
【0105】
暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF3」を出力する。1ライン前の凸ライン数は「1」であるので、開始SF算出部114は、凸ライン数「0」および開始SF「SF3」を出力する。
【0106】
終了SF設定部102は終了SF「SF0」を出力し、加算値算出部105は加算値「0」を出力し、加算部106はライン4の画像信号に「0」を加算する。またSF強制オフ部107は、暫定表示コードをそのまま表示コードとして出力する。
【0107】
次の1ライン期間では、凸ライン検出部112は、ライン4〜ライン9の6画素分の階調を入力する。ここでライン5の画素について注目すると、ライン5の階調「20」がライン4の階調よりも大きく、ライン7の階調「1」がライン4の階調よりも小さいので、凸ライン検出部112は、暫定凸ライン数「2」、前後ライン階調「2」を出力する。
【0108】
暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF3」を出力する。1ライン前の凸ライン数は「0」であるので、開始SF算出部114は凸ライン数「2」および開始SF「SF3」を出力する。
【0109】
凸ライン数が「0」でないので、終了SF設定部102は終了SF「SF4」を出力する。すると加算値算出部105は加算値としてサブフィールドSF3およびサブフィールドSF4の階調重みの和「8」を出力し、加算部106はライン5の階調「20」に「8」を加算して階調「28」を出力する。またSF強制オフ部107は、暫定表示コードのサブフィールドSF3およびサブフィールドSF4を非点灯に組替えて表示コードとして出力する。これにより、図11Bのライン5に示した特殊なコードを用いて階調「20」を表示することができる。
【0110】
次の1ライン期間では、凸ライン検出部112は、ライン5〜ライン10の6画素の階調を入力する。ここでライン6の画素について注目すると、ライン6の階調「26」がライン5の階調よりも大きく、ライン7の階調「1」がライン5の階調よりも小さいので、凸ライン検出部112は、暫定凸ライン数「1」、前後ライン階調=ライン5の画素の階調「20」を出力する。
【0111】
暫定開始SF部113は暫定開始SFとして、「20」以上で最も小さい階調を表示する基底コードの最小非点灯サブフィールド「SF7」を出力する。1ライン前の凸ライン数は「2」であるので、開始SF算出部114は、凸ライン数として1ライン前の凸ライン数から「1」を減じた「1」出力し、開始SFとして1ライン前の暫定開始SF「SF3」を出力する。
【0112】
終了SF設定部102は終了SF「SF4」を出力する。すると加算値算出部105は加算値「8」を出力し、加算部106はライン6の階調「26」に「8」を加算して階調「34」を出力する。またSF強制オフ部107は、暫定表示コードのサブフィールドSF3およびサブフィールドSF4を非点灯に組替えて表示コードとして出力する。これにより、図11Bのライン6に示した特殊なコードを用いて階調「26」を表示することができる。
【0113】
以下同様にして、次の1ライン期間ではライン7の画素に注目すると、凸ライン検出部112は暫定凸ライン数「0」および前後ライン階調「1」を出力し、暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF2」を出力し、開始SF算出部114は凸ライン数「0」および開始SF「SF2」を出力する。終了SF設定部102は終了SF「SF0」を出力し、加算値算出部105は加算値「0」を出力し、加算部106はライン7の画像信号に「0」を加算する。またSF強制オフ部107は暫定表示コードをそのまま表示コードとして出力する。
【0114】
さらに次の1ライン期間ではライン8の画素に注目すると、凸ライン検出部112は暫定凸ライン数「1」および前後ライン階調「1」を出力し、暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF2」を出力し、開始SF算出部114は凸ライン数「1」および開始SF「SF2」を出力する。終了SF設定部102は終了SF「SF4」を出力する。すると加算値算出部105は加算値「10」を出力し、加算部106はライン8の階調「10」に「10」を加算して階調「20」を出力する。またSF強制オフ部107は暫定表示コードのサブフィールドSF2〜サブフィールドSF4を非点灯に組替えて表示コードとして出力する。これにより、図11Bのライン8に示した特殊なコードを用いて階調「10」を表示することができる。
【0115】
さらに次の1ライン期間ではライン9の画素に注目すると、凸ライン検出部112は暫定凸ライン数「0」および前後ライン階調「0」を出力し、暫定開始SF部113は暫定開始SF「SF2」を出力し、開始SF算出部114は凸ライン数「0」および開始SF「SF2」を出力する。終了SF設定部102は終了SF「SF0」を出力し、加算値算出部105は加算値「0」を出力し、加算部106はライン9の画像信号に「0」を加算する。またSF強制オフ部107は暫定表示コードをそのまま表示コードとして出力する。
【0116】
このようにしてコード組替部100は、凸ライン信号を検出し、検出した凸ライン信号を表示する際に、階調重みの小さいサブフィールドの使用を禁止し、図11Bに示した階調重みの大きいサブフィールドを使用する特殊なコードへの組替えを行なう。これにより、データ電極駆動回路32の消費電力を抑制することができる。
【0117】
次に、画像信号処理回路31の動作について説明する。なお以下では、図7Aに示した基底コードセットを使用し、図8Aに示したルール、すなわち「点灯サブフィールドの1つを非点灯サブフィールドに変更する」というルールを基本に、画像信号に付随する属性に基づき、非点灯を禁止するサブフィールドに関するルールを追加すると仮定して説明する。また図11A、図11Bに示した9ライン分の画素の階調(「5」、「4」、「15」、「2」、「20」、「26」、「1」、「10」、「0」)のうち、ライン5の画素の階調「20」を表示する例について説明する。
【0118】
図14は、本発明の実施の形態における画像表示装置の画像信号処理回路31の動作を示すフローチャートである。
【0119】
(ステップS10)ライン5の画素の階調「20」が入力されると、上述したように、開始SF設定部101は凸ライン数「2」および開始SF「SF3」を出力し、終了SF設定部102は終了SF「SF4」を出力する。するとルール追加部104は、サブフィールドSF3からサブフィールドSF5までを、非点灯を禁止するサブフィールドとして設定するためのルールを作成する。さらに加算値算出部105は加算値「8」を出力し、加算部106はライン5の階調「20」に「8」を加算して、入力階調「28」を出力する。
【0120】
(ステップS40)属性検出部40が、加算部106から出力される画像信号を1画素分入力し、その画像信号に付随する属性を検出する。
【0121】
このときの画素に対応する画像信号の階調(入力階調)が「28」であり、動画領域の輪郭部の画像信号であったとする。
【0122】
(ステップS50)基底コード生成部50が、画像信号に対する上階調基底コードを選択する。
【0123】
基底コード生成部50は、基底コード記憶部52に記憶されている基底コードセットの基底コードそれぞれの階調と入力階調とを比較して、入力階調よりも大きくかつ最も近い階調をもつ基底コードを上階調基底コードとして選択し出力する。ここでは入力階調が「28」であるので、階調「32」をもつ基底コード「11111100」が階調基底コードとして出力される。
【0124】
(ステップS60)ルール生成部60が中間コードセット生成のためのルールを生成する。
【0125】
画像信号に付随する属性が静止画であれば、ルール生成部60は「非点灯サブフィールドを1つ追加する」という基本的なルールを生成する。しかし画像信号に付随する属性が動画であるので、使用可能なコードの数を制限して動画擬似輪郭を抑制する。ルール生成部60は、「非点灯サブフィールドを1つ追加する」という基本的なルールに加えて、例えば「サブフィールドSF1の非点灯を禁止する」というルールを追加する。
【0126】
(ステップS72)中間コード生成部72が中間コードセットを生成する。
【0127】
中間コード生成部72は、ルール生成部60が生成したサブフィールドSF1の非点灯を禁止するルール、およびルール追加部104が生成したサブフィールドSF3〜SF5の非点灯を禁止するルールに従って中間コードを生成する。
【0128】
したがって、基底コード「11111100」のサブフィールドSF2、SF6を非点灯サブフィールドに置き換えることにより、2つの中間コード「11111000」、「10111100」を生成する。こうして図8Cに示した中間コードセットが得られる。
【0129】
(ステップS74)上下コード選択部74が上階調コードと下階調コードを選択する。
【0130】
上下コード選択部74は、中間コードセットの各コードの階調と入力階調とを比較して、入力階調よりも大きくかつ最も近い階調をもつコードを上階調コードとして選択する。また入力階調以下であってかつ最も近い階調をもつコードを下階調コードとして選択する。ここでは入力階調が「28」であるので、上階調コードとして階調「30」をもつコード「10111100」を選択する。また下階調コードとして階調「19」をもつコード「11111000」を選択する。
【0131】
(ステップS82)ディザ選択部82がディザ要素を選択する。
【0132】
画像信号の属性が輪郭部であることから、ディザ選択部82は図9Aに示した2値ディザパターンを選択する。また画像信号の対応する画素の位置により2値ディザパターンのディザ要素を選択する。こうして選択したディザ要素が「0.25」であったと仮定する。
【0133】
(ステップS83)ディザ選択部82がディザ値を算出する。
【0134】
ディザ選択部82は、選択したディザ要素に、上階調コードの階調と下階調コードの階調との差を乗じてディザ値を算出する。ここでは、ディザ要素「0.25」に上階調コードの階調と下階調コードの階調との差「11」を乗じてディザ値「2.75」が求まる。
【0135】
(ステップS86)表示コード決定部86が表示すべき階調を算出する。
【0136】
表示コード決定部86は、入力階調にディザ値を加算し、さらに誤差拡散部84から出力された誤差を加算して、対応する画素で表示すべき階調を算出する。例えば入力階調が「28」、ディザ値が「2.75」であり、出力された誤差が「−0.4」であれば、表示すべき階調は「30.35」である。
【0137】
(ステップS87)表示コード決定部86が表示に使用する表示コードを決定する。
【0138】
表示コード決定部86は、表示すべき階調と上階調コードの階調および下階調コードの階調とを比較する。そして表示すべき階調が上階調コードの階調に近い場合は、実際の表示に用いる表示コードとして上階調コードを出力する。また表示すべき階調が下階調コードの階調に近い場合は、実際の表示に用いる表示コードとして下階調コードを出力する。
【0139】
例えば、表示すべき階調が「30.35」であれば表示コードとして階調「30」をもつ上階調コード「10111100」を出力する。
【0140】
(ステップS88)表示コード決定部86が誤差を算出して誤差拡散部84に出力する。
【0141】
表示コード決定部86は、表示すべき階調から表示コードの階調を減じた値を新たに発生した誤差として誤差拡散部84に出力する。例えば、表示すべき階調が「30.35」であり表示コードの階調が「30」であれば誤差「0.35」を誤差拡散部84に出力する。
【0142】
(ステップS100)コード組替部100のSF強制オフ部107が、表示コード選択部80で選択された表示コードのうち、開始SFで指定されたサブフィールドから終了SFで指定されたサブフィールドまでを強制的に書込み禁止とするコードを出力する。
【0143】
たとえば、表示コード選択部80で選択された表示コードがコード「10111100」であり、開始SFがサブフィールドSF3、終了SFがサブフィールドSF4であれば、サブフィールドSF3、SF4を非点灯として、最終の表示コード「10001100」を出力する。
【0144】
そしてステップS40に戻る。
【0145】
このようにして本実施の形態における画像信号処理回路31は、画像信号から表示コードへの変換を、変換テーブルを用いるのではなく、論理計算を用いて実行している。さらにコード組替部100を備えることにより、画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制している。
【0146】
なお上述したように、凸ラインの画素で階調重みの小さいサブフィールドの書込みを禁止することで切換え回数を減らすことができ、データ電極駆動回路32の消費電力を削減することができる。しかし、書込みを禁止したサブフィールドの替わりに使用するサブフィールドの階調重みが大きすぎると、そのサブフィールドで点灯しない確率が増加して画像表示品質を大きく損なう可能性がある。実際、凸ラインの画素の階調と開始SFを最大点灯サブフィールドとする基底コードの階調との差が終了SFの次に階調重みの大きいサブフィールドの階調重みの1/2の場合には、終了SFの次のサブフィールドで点灯する可能性もほぼ1/2となる。
【0147】
このような画質低下を防ぐには、画像信号にもとづき終了SFに上限を設ければよい。このような画像表示装置の1構成例について、次に説明する。
【0148】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における画像表示装置のパネル10は、図1および図2に示した実施の形態1における画像表示装置のパネル10と同様であり、本発明の実施の形態2における画像表示装置の回路ブロック図は、図5に示した実施の形態1における画像表示装置の回路ブロック図と同様である。しかし実施の形態2における画像表示装置の開始SF設定部201の回路構成は実施の形態1における開始SF設定部101と異なる。
【0149】
図15は、本発明の実施の形態2における画像表示装置30の開始SF設定部201の回路ブロック図である。実施の形態2における開始SF設定部201は、1H遅延部111a〜111eと、凸ライン検出部212と、暫定開始SF部113と、開始SF算出部114とに加えて、暫定上限SF部215と、上限SF算出部216とを有する。実施の形態1と同じ回路ブロックについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0150】
凸ライン検出部212は、実施の形態1と同様に、1H遅延部111dから出力される2ライン目の画像信号に注目し、2ライン目の画素が凸ラインに属するか否かを判定し、暫定凸ライン数と前後ライン階調とを出力する。加えて凸ライン検出部212は、凸ラインの画素に対しては、1以上の凸ラインの画素の階調の最大値をピーク階調として出力する。凸ライン以外の画素に対しては、その画素の階調をピーク階調として出力する。
【0151】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの階調をピーク階調から減じた差分値を求め、差分値以下であり且つ最も近い階調重みを持つサブフィールドを終了SFに対する暫定上限サブフィールド(以下、「暫定上限SF」と略記する)として出力する。
【0152】
上限SF算出部216は、1ライン前の凸ライン数が「1」以下の場合には、現ラインの暫定上限SFを現ラインの終了SFに対する上限サブフィールド(以下、「上限SF」と略記する)として出力する。1ライン前の凸ライン数が「2」以上の場合には、1ライン前の上限SFを現ラインの上限SFとして出力する。これにより、開始SF設定部201は、凸ライン数が「2」以上の場合であっても、前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの階調を凸ライン信号の階調の最大値から減じて差分値を求め、差分値以下であり且つ最も近い階調重みを持つサブフィールドを終了SFに対する上限SFとすることができる。
【0153】
実施の形態2における終了SF設定部は、所定のサブフィールドおよび上限SFのうち、階調重みの小さいほうのサブフィールドを終了SFとして設定する。
【0154】
図16は、本発明の実施の形態2における画像表示装置30の開始SF設定部201の動作を説明する図であり、特に凸ライン検出部212、暫定上限SF部215、上限SF算出部216の動作について示している。図16においても図13と同様に、9ライン分の画素の階調(「5」、「4」、「15」、「2」、「20」、「26」、「1」、「10」、「0」)を表示する例について示している。
【0155】
最初の1ライン期間において注目するライン2の画素は凸ラインではないので、凸ライン検出部212は前後ライン階調「4」を出力し、ピーク階調としてライン2の階調「4」を出力する。このとき開始SF算出部114は凸ライン数「0」を出力する。
【0156】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調「4」以上かつ最も近い基底コードの階調「6」をピーク階調「4」から減じて差分値「−2」を求める。さらに階調重みがその差分値「−2」以下のサブフィールドは存在しないので、暫定上限SFとして「SF0」を出力する。1ライン前の凸ライン数を「0」と仮定すると、上限SF算出部216は、暫定上限SF「SF0」をそのまま上限SFとして出力する。
【0157】
次の1ライン期間において注目するライン3の画素は凸ラインであり、凸ライン検出部212は前後ライン階調「4」を出力し、ピーク階調「15」を出力する。このとき開始SF算出部114は凸ライン数「1」を出力する。
【0158】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調「4」以上かつ最も近い基底コードの階調「6」をピーク階調「15」から減じて差分値「9」を求め、さらに差分値「9」以下かつ最も近い階調重みをもつサブフィールドSF5を暫定上限SFとして出力する。1ライン前の凸ライン数が「1」であるので、上限SF算出部216は、暫定上限SF「SF5」をそのまま上限SFとして出力する。
【0159】
次の1ライン期間において注目するライン4の画素は凸ラインでないので、凸ライン検出部212は前後ライン階調「2」を出力し、ピーク階調「2」を出力する。このとき開始SF算出部114は凸ライン数「0」を出力する。
【0160】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調「2」以上かつ最も近い基底コードの階調「3」をピーク階調「2」から減じて差分値「−1」を求める。すると暫定上限SFとして「SF0」を出力し、上限SF算出部216は上限SF「SF0」を出力する。
【0161】
次の1ライン期間において注目するライン5の画素は凸ラインであり、凸ライン検出部212は前後ライン階調「2」を出力し、ピーク階調「26」を出力する。このとき開始SF算出部114は凸ライン数「2」を出力する。
【0162】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調「2」以上かつ最も近い基底コードの階調「3」をピーク階調「26」から減じて差分値「23」を求め、さらに階調重みがその差分値「23」以下かつ最も近いサブフィールドSF7を暫定上限SFとして出力する。1ライン前の凸ライン数が「0」であるので、上限SF算出部216は、暫定上限SF「SF7」をそのまま上限SFとして出力する。
【0163】
次の1ライン期間において注目するライン6の画素は凸ラインであり、凸ライン検出部212は前後ライン階調「20」を出力し、ピーク階調「26」を出力する。このとき開始SF算出部114は凸ライン数「1」を出力する。
【0164】
暫定上限SF部215は、前後ライン階調「20」以上かつ最も近い基底コードの階調「32」をピーク階調「26」から減じて差分値「−8」を求める。すると暫定上限SFとして「SF0」出力する。しかし1ライン前の凸ライン数が「2」であるので、上限SF算出部216は1ライン前の上限SF「SF7」を上限SFとして出力する。
【0165】
以下同様にして、次の1ライン期間において注目するライン7の画素は凸ラインでないので、上限SF算出部216は上限SF「SF0」を出力する。また次の1ライン期間において注目するライン8の画素は凸ラインであり、上限SF算出部216は上限SF「SF5」を出力する。さらに次の1ライン期間において注目するライン9の画素は凸ラインでないので、上限SF算出部216は上限SF「SF0」を出力する。
【0166】
以上のようにして上限SFを設定する。そして実施の形態2における終了SF設定部は、上限SFで指定されたサブフィールドと所定のサブフィールドとの階調重みを比較して、階調重みの小さいサブフィールドを終了SFとして出力する。
【0167】
このように、実施の形態2における画像信号処理回路31によれば、終了SFで指定されるサブフィールドの階調重みが上限SFで指定されたサブフィールドの階調重みを超えることがなくなる。そのため書込み動作を行うサブフィールドの階調重みが大きすぎることなく、画像表示品質を大きく損なうおそれがなくなる。
【0168】
なお本実施の形態においては、基底コード生成部50は、基底コード記憶部52を有し、基底コード記憶部52に基底コードセットがあらかじめ記憶されている構成について説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではない。例えば基底コード生成ルールがあらかじめ定められており、基底コード生成ルールに基づき順次生成される基底コードの階調と入力階調とを比較する構成であってもよい。
【0169】
また本実施の形態においては、上下コード生成部70は、中間コード生成部72で中間コードセットを生成した後に、上下コード選択部74で上階調コードおよび下階調コードを選択する構成について説明した。しかし本発明はこれに限定されるものではない。例えば、階調が大きくなる順に中間コードを生成すると同時に入力階調と比較する構成であってもよい。
【0170】
また本実施の形態においては、表示コード選択部80がディザ選択部82と誤差拡散部84とを有する構成について説明した。しかし本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。例えばディザ処理を行わない場合にはディザ選択部82を省略してもよく、誤差拡散処理を行わない場合には誤差拡散部84を省略してもよい。ただし誤差拡散処理を省略すると階調表示の忠実性が損なわれる恐れがあり注意が必要である。
【0171】
また、本実施の形態において用いた具体的な各数値は、単に一例を挙げたに過ぎず、画像表示装置の仕様等に合わせて、適宜最適な値に設定することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0172】
本発明は、演算回路を用いて画像信号をサブフィールドコードに変換するとともに画像表示品質の低下を抑えつつデータ電極駆動回路の電力を抑制することができ、点灯または非点灯の2値制御を行う画像表示デバイスを用いた画像表示装置として有用である。
【符号の説明】
【0173】
10 パネル
12 走査電極
13 維持電極
22 データ電極
30 画像表示装置
31 画像信号処理回路
40 属性検出部
50 基底コード生成部
52 基底コード記憶部
54 基底コード選択部
60 ルール生成部
70 上下コード生成部
72 中間コード生成部
74 上下コード選択部
80 表示コード選択部
82 ディザ選択部
84 誤差拡散部
86 表示コード決定部
90 コーディング部
100 コード組替部
101,201 開始SF設定部
102 終了SF設定部
104 ルール追加部
105 加算値算出部
106 加算部
107 SF強制オフ部
111a〜111e 1H遅延部
112,212 凸ライン検出部
113 暫定開始SF部
114 開始SF算出部
215 暫定上限SF部
216 上限SF算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
行方向に長い走査電極と列方向に長いデータ電極とが交差した部分に画素が形成された画像表示デバイスと、前記走査電極に走査パルスを印加するとともに前記データ電極に書込みパルスを印加して該当する画素で書込み動作を行う書込み期間および前記走査電極に維持パルスを印加して書込み動作を行った画素を階調重みに応じた明るさで点灯させる維持期間を有するサブフィールドを複数用いて1つのフィールドを構成し且つ入力した画像信号を前記サブフィールドのそれぞれの点灯または非点灯を示すサブフィールドコードに変換して前記画素のそれぞれで階調を表示させる駆動回路と、を備えた画像表示装置であって、
前記駆動回路は、
1つのデータ電極を用いて連続して書込み動作を行う1以上の画素に対応する画像信号の全てがその直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号よりも大きい画像信号を凸ライン信号として検出し、前記凸ライン信号の直前および直後に書込み動作を行う2つの画素に対応する画像信号の大きいほうの階調である前後ライン階調にもとづき強制オフ開始サブフィールドを設定する開始サブフィールド設定部と、
あらかじめ定められた所定のサブフィールドにもとづき強制オフ終了サブフィールドを設定する終了サブフィールド設定部と、
前記強制オフ開始サブフィールドから前記強制オフ終了サブフィールドまでの階調重みの総和を前記凸ライン信号に重畳する加算部と、
前記加算部の出力をサブフィールドコードに変換するコーディング部と、
前記コーディング部から出力されるサブフィールドコードの前記強制オフ開始サブフィールドから前記強制オフ終了サブフィールドまでを非点灯とするサブフィールドコードを出力するサブフィールド強制オフ部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記開始サブフィールド設定部は、
前記凸ライン信号を検出するとともに前記前後ライン階調を検出する凸ライン検出部と、
点灯させるサブフィールドのうち最も階調重みの大きいサブフィールドの階調重みよりも小さい階調重みをもつ全てのサブフィールドも点灯させるサブフィールドコードである基底コードのうち、前記前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの最小非点灯サブフィールドを前記強制オフ開始サブフィールドと設定する開始サブフィールド算出部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記終了サブフィールド設定部は、前記所定のサブフィールドを前記強制オフ終了サブフィールドとして設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記駆動回路は、前記前後ライン階調以上であり且つ最も近い階調をもつ基底コードの階調を前記凸ライン信号の階調の最大値から減じて差分値を求め、前記差分値以下であり且つ最も近い階調重みを持つサブフィールドを前記第2のサブフィールドに対する上限サブフィールドとする上限サブフィールド算出部を有し、
前記終了サブフィールド設定部は、前記所定のサブフィールドおよび前記上限サブフィールドのうち、階調重みの小さいほうのサブフィールドを前記強制オフ終了サブフィールドとして設定することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−104940(P2013−104940A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247181(P2011−247181)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】