説明

画像表示装置

【課題】ユーザーの好みに合わせた画像を提供することが可能な画像表示装置を実現する。
【解決手段】画像表示部10と、画像表示部10の周辺に配置された額縁部20とを備え、額縁部20の幅を可変自在に制御可能とした画像表示装置1である。ここで、額縁部20は、例えば、画像表示部10を囲む非画像表示領域30と、非画像表示領域30を囲むフレーム部40とを備え、非画像表示領域30の幅を変えることで、額縁部20の幅が可変自在に制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関し、特に、画像を表示する部分(画像表示部)の周辺に位置する額縁部を備える画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビなどの画像表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイパネル(PDP)や有機EL(OLED)などの、画像を表示する部分である画像表示部と、その画像表示部の周辺に位置する額縁部と、により構成されている。
【0003】
この額縁部には、例えば、画像表示部としてLCDを用いて構成した画像表示装置である液晶テレビの場合には、ブラックマトリックス、シール部、ガラス端部などの非画像表示部や、ドライバなど、が配置されており、個々の構成によって額縁部の幅は異なる。
【0004】
ここで、画像の周辺に位置する額縁部に着目して、放送波やビデオレコーダ、インターネットなどからの画像を表示するという本来の機能を使用しないときに、絵画などの装飾用画像を表示するとともに、当該装飾用画像の周辺に一定幅の装飾用額縁を表示するテレビジョン受像機の提案がなされている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/024002号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載されているテレビジョン受像機は、画像を表示するという本来の機能を使用しないときの活用方法に関するものであり、目的としては、テレビジョン受像機自体をインテリアの一部として活用しようとするものである。
【0007】
ここで本発明は、本願発明者が鋭意検討した結果、額縁部の幅が、ユーザーによって、さらには、表示される画像のジャンルによって、画像から受ける印象を異ならせしめるという新たな知見に基づきなされたものであり、その目的とするところは、放送波やビデオレコーダ、インターネットなどからの画像を表示するという本来の機能としての画像を表示する際に、ユーザーの好みに合わせた画像を提供することが可能な画像表示装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像表示装置の一態様は、画像表示部と、画像表示部の周辺に位置する額縁部と、を備え、前記額縁部の幅を可変自在に制御可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、本来の機能としての画像を表示する場合において、ユーザーの好みに合わせた画像を提供することが可能な画像表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の構成を模式的に示す正面図である。
【図1B】本発明の実施の形態1に係る画像表示装置の有効画面領域の構成を模式的に示す正面図である。
【図2A】本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の動作状態(額縁部が幅広状態)を示す図である。
【図2B】本発明の実施の形態2に係る画像表示装置の動作状態(額縁部が幅狭状態)を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態4に係る画像表示装置において、画像のジャンルとフレームの幅とに応じてユーザーが受ける印象の違いの実験結果を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態4に係る画像表示装置において、画像が立体的に見えるときのフレームの幅の境界条件の実験結果を示す図である。
【図5A】本発明の実施の形態4に係る画像表示装置の動作状態(額縁部が幅広状態)を模式的に示す図である。
【図5B】本発明の実施の形態4に係る画像表示装置の動作状態(額縁部が幅狭状態)を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明に至った経緯>
まず、本発明の実施の形態の説明に先立って、本願発明者が本発明に至った経緯について説明する。
【0012】
前述したように本願発明者は、画像表示装置が表示する画像がユーザーに与える印象について実験的に明らかにした。具体的には、表示する画像と額縁部とが一体化した画像がユーザーの視野に入ってくる際の、ユーザーへの印象に対する額縁部の幅の影響についてである。
【0013】
画像表示装置の画像表示部に表示された画像をユーザーが見る場合、視野の中心部には表示された画像が位置するが、視野の周辺には額縁部が位置するので、表示された画像と額縁部とが一体化した画像として視野に入る。
【0014】
したがって、同じ表示画像を見る場合でも、幅の広い額縁部を備える画像表示装置で表示された画像を見る場合は、周辺の幅の広い額縁部と一体化した画像を見ることになり、幅の狭い額縁部を備える画像表示装置で表示された画像を見る場合は、周辺の幅の狭い額縁部と一体化した画像を見ることになる。
【0015】
実験の結果として、詳細は後述するが、ユーザーによって、さらには、表示される画像のジャンルによって、好みの額縁部の幅が異なることが明らかとなった。
【0016】
本発明は、このような新たな知見に基づいてなされたものであり、本発明に係る画像表示装置の一態様は、画像表示部と、画像表示部の周辺に位置した額縁部とを備え、前記額縁部の幅を可変自在としたものである。
【0017】
このような構成によれば、ユーザーの好みに応じて額縁部の幅を自由に設定することができるので、ユーザーの好みに合わせた画像を提供することが可能となる。
【0018】
以下、本発明に係る画像表示装置の実施の形態についてさらに詳細に説明するが、当然ながら本発明はこれらの形式に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0019】
また、請求項に記載されていない構成要素は、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。なお、各図において、同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0020】
<実施の形態1>
本発明の一実施の形態である、実施の形態1に係る画像表示装置1について、図1A及び図1Bを用いて説明する。
【0021】
図1Aは、実施の形態1に係る画像表示装置の構成を模式的に示す正面図である。また、図1Bは、実施の形態1に係る画像表示装置の有効画面領域の構成を模式的に示す正面図である。
【0022】
図1Aに示すように、画像表示装置1は、LCDやPDPやOLEDなどのディスプレイパネルで、画像表示を行う部分である画像表示部10と、その画像表示部10を囲むように画像表示部10の周辺に位置する額縁部20と、を備える。
【0023】
また画像表示装置1は、ディスプレイパネルの画素領域の一部を構成していて画像表示が可能であるが画像表示を行わない領域(非発光領域)、又は、画像表示部10が表示する画像とは異なる画像を表示する領域、である、非画像表示領域30を備える。
【0024】
さらに画像表示装置1は、ディスプレイパネルの最外周に、例えば樹脂材料又は金属材料などによって所定の形状に成型又は加工された枠体部分であるフレーム部40を備えてもよい。すなわち、本実施の形態に係る画像表示装置1においては、額縁部20は、少なくとも非画像表示領域30を備えた構成であり、さらにフレーム部40を備えても良い。なお、本実施の形態では、図1Aに示すように、額縁部20は非画像表示領域30とフレーム部40との両方を備えた構成を例示的に示している。
【0025】
上述のような構成において、ユーザーは好みに応じて非画像表示領域30の幅を自由に設定することで額縁部20の幅を可変自在に設定することができ、その結果、ユーザーの好みに合わせた画像を楽しむことができる。
【0026】
なお、画像表示装置1に表示される画像は、動画において好適だが、静止画でもかまわない。
【0027】
なお、額縁部20の幅の可変自在な設定は、例えば、画像表示装置1が額縁幅制御部(不図示)を備えることにより実現される。すなわち、額縁幅制御部は、ユーザーからの設定により非画像表示領域30の幅を可変自在に設定する機能を有しており、額縁幅制御部によって非画像表示領域30の幅が設定されることで額縁部20の幅が可変自在に設定される。
【0028】
なお、非画像表示領域30とフレーム部40との色は、非画像表示領域30とフレーム部40とで額縁部20を構成するということから、見た目に一体となるような、略同一色にすれば、より好ましい。
【0029】
ここで、非画像表示領域30が非発光状態である際の色と略同一色となるように、フレーム部40の色を選択してやれば、画像表示装置1の方式にもよるが、画像表示装置1自身の省電力が図られて好ましい。すなわち例えば、画像表示装置1が、OLEDやPDPなどの自発光型のディスプレイパネルを用いたものである場合には、フレーム部40の色の方を、非発光状態での非画像表示領域30の色に合わせてと略同一色にすることで、画像表示装置1の省電力化を図ることができる。
【0030】
また、画像表示装置1として、フレーム部40までを含めたディスプレイの前面全てをガラス面で覆った、いわゆる「フルグラスフェイス」構造とすると、より好ましい。なぜなら、画像表示装置1をフルグラスフェイス構造とすることで、前面においてフレーム部40と有効画面領域50との間に段差がなくなることから、非画像表示領域30とフレーム部40との、見た目としての一体化がさらに促進されるからである。
【0031】
また、額縁部20の幅は、画像表示装置1の上下左右の4辺ですべて同じであっても、上下で同じ、および/または、左右で同じ、であっても、あるいは4辺全てにおいて互いに異なっていても、構わない。また、画像表示部10の上下左右すべての周辺に非画像表示領域30が設定されていても、上下左右すべての周囲に設定されてなくても、構わない。但し、ユーザーの視環境を考慮すると、画像表示部10の一辺に対しては、一辺全てに非画像表示領域30を設定することが好ましく、さらに、同一辺の領域内では非画像表示領域30(額縁部20)の幅は一定であることが好ましい。
【0032】
また、本実施の形態では、非画像表示領域30の幅が変動するのに伴って画像表示部10の面積が変動する。
【0033】
この場合、例えば、画像表示部10に表示される画像の大きさを、画像表示部10の面積に応じて変化させても良い。すなわち、画像表示部10の面積が狭くなる場合、画像表示部10に表示する画像は、画像全体を縮小させて非画像表示領域30が表示されない場合と同じ情報量をもつ画像を表示することができる。
【0034】
また、例えば、画像表示部10に表示される画像の大きさを、非画像表示領域30の幅に応じて変更しないように構成しても構わない。すなわち、画像表示部10には、有効画面領域50全体で表示する画像のうちの非画像表示領域30と重なる部分をカットした画像を表示すればよい。表示する画像は、通常、視野中央となる画像表示部10中央に、情報が集中しているため、画像の周囲をカットしても、必要な情報は保持される場合が多く、実質上、問題となることは少ない。
【0035】
ここで、画像表示装置1における有効画面領域50は、図1Bに示すように、画像表示部10と非画像表示領域30とを合わせた領域であり、例えば、LCD、PDP、OLEDなどのディスプレイパネルの画素領域を構成する。
【0036】
すなわち、有効画面領域50は、複数の画素がマトリクス状に配置された画素領域であって、画像を表示することが可能な領域であり、したがって、画像表示部10だけではなく非画像表示領域30についても画像を表示することができる。
【0037】
このように、非画像表示領域30は、画像表示装置1の表示機能としては、画像表示部10とともに画像を表示することが可能な領域ではあるが、本発明では、前述のように、画像表示を行わない領域(非発光領域)、又は、画像表示部10が表示する画像とは異なる画像を表示する領域、であり、額縁部20の一部として機能する。
【0038】
なお、フレーム部40のあり、なしに関わらず、非画像表示領域30が0cmの値をとる場合もある。
【0039】
<実施の形態2>
次に、本発明の一実施の形態である、実施の形態2に係る画像表示装置について説明する。
【0040】
本実施の形態は、本願発明者が行った、画像の視環境とユーザーの好みについて実験した結果に基づくものである。実験結果を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
この実験では、画像表示装置における額縁部の幅を広くした場合と狭くした場合との2種類の視環境の条件を設定した。そして、これら2種類の視環境の条件下で画像をユーザーに見せたときに、ユーザーにとってどちらの視環境の条件の方が好ましく感じるのかを実験した。
【0043】
なお、この実験では、画像表示装置としては60インチの液晶テレビを用い、視距離は3H(Hは、ディスプレイの画面の高さを示す)とした。
【0044】
そして、非画像表示領域30はフレーム部40とともに視覚的に一体化されるように非画像表示領域30の表示色をフレーム部40の色を略同一色とした。
【0045】
また、額縁部の形状は、60インチの液晶テレビの4辺に沿った、幅が一定の枠状である。
【0046】
以上の条件で実験した結果を上記の表1に示しており、表1では、一例として、幅の広い額縁部は7.4cm、幅の狭い額縁部は0.4cmの場合の結果を示している。ユーザーごとに、表示される画像に対し、好みの視環境には○印をつけている。
【0047】
表1から明らかなように、同じ画像を見る場合であっても、ユーザーによって、好みの視環境が異なることが明らかとなった。つまり、同じ画像を見る場合であっても、額縁部の幅が広い画像表示装置の方が好きなユーザーと、額縁部の幅が狭い画像表示装置の方が好きなユーザーとが存在することが判った。
【0048】
ここで、本実施の形態に係る画像表示装置の表示動作について、図2A及び図2Bを用いて説明する。図2A及び図2Bは、本実施の形態に係る画像表示装置1の動作状態を模式的に示す図であり、図2Aは、額縁部の幅が広い場合(非画像表示領域の幅を広設定した場合)を示しており、図2Bは、額縁部の幅が狭い場合(非画像表示領域の幅を狭く設定した場合)を示している。
【0049】
本実施の形態における画像表示装置1は、代表的な表示デバイスであるフラットパネルディスプレイであり、例えば有効画面領域50のサイズが60インチの液晶テレビを用いることができる。また、フレーム部40の幅は固定とし、4辺全てにおいて6cmとしている。
【0050】
画像表示装置1が画像を画像表示部10に表示する場合、図2A及び図2Bに示すように、表示される画像の周辺における非画像表示領域30には、所定の幅の、フレーム部40と略同一色の表示が行われる。
【0051】
この場合、画像表示装置1を見ているユーザーが額縁部20の幅を広くして画像を見ようとするときは、図2Aに示すように、ユーザーは非画像表示領域30の幅が広くなるように設定することにより、額縁幅制御部が、非画像表示領域30の幅が広くなるように有効画面領域50の周辺の画素の表示状態を制御する。
【0052】
これにより、非画像表示領域30の幅が広くなり、画像表示装置1の視環境としては、幅広の額縁を備えた条件となる。
【0053】
この視環境においては、ユーザーは、画像表示部10に表示される画像と幅広の額縁部20とを同時に知覚し、幅広の額縁部20を有する画像を視認することとなる。例えば、図2Aでは、非画像表示領域30の4辺全ての幅が5cmとなるように制御されており、額縁部20の幅は11cmとなっている。
【0054】
一方、ユーザーが額縁部20の幅を狭くして画像を見ようとするときは、図2Bに示すように、ユーザーは画像表示装置1に対して非画像表示領域30の幅が狭くなるように設定することで、額縁幅制御部が、非画像表示領域30の幅が狭くなるように有効画面領域50の周辺の画素の表示状態を制御する。
【0055】
これにより、非画像表示領域30の幅が狭くなり、画像表示装置1の視環境としては、幅狭の額縁を備えた条件となる。
【0056】
この視環境においては、ユーザーは、画像表示部10に表示される画像と幅狭の額縁部20とを同時に知覚し、幅狭の額縁部20を有する画像を視認することとなる。例えば、図2Bでは、非画像表示領域30の4辺全ての幅が1cmとなるように制御されており、額縁部20の幅は7cmとなっている。
【0057】
このように、本実施の形態に係る画像表示装置1では、非画像表示領域30の幅が、ユーザーのそのときの好みや気分などに応じて自由に設定することができるように制御可能となっている。
【0058】
以上、本実施の形態に係る画像表示装置1によれば、額縁部20の幅が可変自在に制御可能に構成されている。具体的には、前述の額縁幅制御部によって非画像表示領域30の幅を自由に設定及び調整することで、額縁部20の幅を可変自在に制御することができる。したがって、ユーザーは、非画像表示領域30の幅を自由に設定及び調整することで額縁部20の幅を自由に変更することができる。これにより、ユーザーが好みの額縁部20の幅を設定することができるので、ユーザーの好みに合わせた画像の視環境を提供することが可能な画像表示装置を実現することができる。
【0059】
また、本実施の形態において、非画像表示領域30の幅は、ユーザーが画像を見る前に、予め所定の値に設定されていたり、その設定された値を変更したりすることができるほか、ユーザーが画像を見ている最中でも、同様の設定操作が可能なように構成されている。これにより、ユーザーは、好みの額縁部20の幅を随時自由に設定することができるので、ユーザーはいつでも好みや気分等に応じた視環境で画像を見ることができる。
【0060】
なお、非画像表示領域30の幅の制御は、額縁幅制御部によって行うことができ、例えば、ユーザーが画像表示装置1に設けられたスイッチを操作又はリモコンによる遠隔操作をすること等で実行することができる。
【0061】
<実施の形態3>
次に、本発明の一実施の形態である、実施の形態3に係る画像表示装置について説明する。
【0062】
本実施の形態は、本願発明者が行った、画像の視環境とユーザーの好みについて、画像のジャンル別に実験した結果に基づくものである。実験結果を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
この実験では、画像表示装置における額縁部の幅を広くした場合と狭くした場合との2種類の視環境条件を設定した。その上で、それぞれの視環境下で5種類のジャンルの画像をユーザーに見せ、その上で、どちらが好ましいかを実験した。
【0065】
なお、この実験では、画像表示装置1として60インチの液晶テレビを用い、視距離を3H(Hは、ディスプレイの画面の高さを示す)とした。
【0066】
そして、非画像表示領域30はフレーム部40とともに視覚的に一体化されるように非画像表示領域30の表示色をフレーム部40の色を略同色とした。
【0067】
また、表示する画像のジャンルとしては、ニュース、バラエティ、アニメ、紀行及び映画とした。
【0068】
以上の条件で実験した結果を表2に示しており、画像のジャンルごとに好ましい視環境について○印を付している。なお、表2には、一例として、額縁部20の幅が7.4cmの場合と0.4cmの場合とについて、ユーザー1、2の2名についてのみの結果を示している。
【0069】
表2から、ユーザー1は、ニュース、バラエティ及びアニメのジャンルについては、額縁部20の幅が広い視環境の方が好ましいとしているのに対して、紀行及び映画のジャンルについては、額縁部20の幅が狭い視環境の方が好ましいと評価している。
【0070】
一方、ユーザー2は、バラエティ及び映画のジャンルについては、額縁部20の幅が広い視環境の方が好ましいとしているのに対して、ニュース、アニメ及び紀行のジャンルについては、額縁部20の幅が狭い視環境の方が好ましいと評価している。
【0071】
以上の結果から、ユーザーごとに、画像のジャンルによって、好みの視環境、すなわち画像表示装置1における額縁部20の好みの幅が異なることが明らかになった。
【0072】
本実施の形態の形態に係る画像表示装置1は、上述した新たな知見に基づいてなされたものであり、額縁部20の幅は、画像表示部10に表示される画像のジャンルに対するユーザーの好みに応じて、指示により又は自動的に設定及び制御可能、つまり、可変自在に構成されている。
【0073】
すなわち、画像表示装置1に表示される画像を見るユーザーは、その画像のジャンルに応じて、予め設定しておいた非画像表示領域30の幅を選択したり、画面を見ながら随時、設定変更したりすることができる。なお、この非画像表示領域30の幅の設定及び制御は、前述の額縁幅制御部によって行うことができる。
【0074】
デジタルテレビでは、電子番組表(EPG:Electronic Program Guide)により、番組表や番組情報を閲覧できる仕組みになっており、画像はそのジャンルによって分類されている。そこで、ユーザーが、好みに応じて、予め画像のジャンルごとに好きな非画像表示領域30の幅を設定しておくと、番組が始まり画像表示装置1が番組情報を受信することにより、自動的に非画像表示領域30の幅が所定の値に設定され、もって額縁部20の幅が所定の値、すなわちユーザーの好みの幅に設定される。
【0075】
以上、本実施の形態に係る画像表示装置1によれば、ユーザーは、画像のジャンルに応じて非画像表示領域30の幅を自由に設定及び調整することで額縁部20の幅を可変自在とすることができ、結果、ユーザーは好みに応じた視環境での画像を楽しむことができる。
【0076】
<実施の形態4>
次に、本発明の一実施の形態である、実施の形態4に係る画像表示装置について、図5A、図5Bを用いて説明する。
【0077】
図5A、図5Bは、本発明の実施の形態4に係る画像表示装置1Aの画像表示部の動作状態を模式的に示す図であり、図5Aは、額縁部の幅が広い場合を示しており、図5Bは、額縁部の幅が狭い場合を示している。
【0078】
本実施の形態に係る画像表示装置1Aは、額縁部20の幅が画像のジャンルに応じて設定され、さらに特定の画像のジャンルの場合に額縁部20の幅を狭くする。
【0079】
以下、本実施の形態に関して、本願発明者が行った実験について説明する。
【0080】
本実施の形態では、画像の視環境が画像の印象に与える影響について、下記のような実験を行った。
【0081】
すなわち、画像の視環境として、画像表示装置において、額縁部20の幅を広くした条件と、額縁部の幅を狭くした条件との2種類の条件を設定した。これら2条件の画像表示装置について、5種類のジャンルの画像をユーザーに見せ、それぞれの画像から受ける印象について、評価項目にしたがって7点尺度でユーザーに評価してもらった。
【0082】
なお、表示する画像のジャンルとしては、ニュース、バラエティ、アニメ、紀行及び映画とした。
【0083】
また、実験では、画像表示装置1Aとして60インチの液晶テレビを用い、視距離を3Hとし、非画像表示領域30はフレーム部40とともに視覚的に一体化されるように非画像表示領域30の表示色をフレーム部40の色を略同一色とした。
【0084】
図3は、この実験結果の一例を示すグラフであり、画像のジャンルとフレームの幅とに応じてユーザーが受ける印象(立体感)の違いを示している。図3では、額縁部20の幅が7.4cm場合と0.4cmの場合とにおいて、評価項目「画像を立体的に感じるか」についての、ユーザー11名の平均の評価結果を示す。なお、図3の縦軸の1〜7の数値は評価を示しており、「7」は「非常に立体的に感じる」、「6」は「かなり立体的に感じる」、「5」は「やや立体的に感じる」、「4」は「どちらでもない」、「3」は「やや立体的に感じない」、「2」は「かなり立体的に感じない」、「1」は「非常に立体的に感じない」を示している。また、図3において、「ニュース」は「◇」、「バラエティ」は「○」、「アニメ」は「△」、「紀行」は「×」、「映画」は「□」として示している。
【0085】
図3に示すように、どのジャンルの画像においても、額縁部20の幅を狭くして画像を見た方が、額縁部20の幅を広くして画像を見るよりも、画像を立体的に感じたことが明らかになった。
【0086】
また、下の表3は、この実験結果を統計的検定(乱塊法)にかけた結果を示している。
【0087】
【表3】

【0088】
表3において○印は、5%水準で有意な差が見られたことを示している。表3に示すように、画像のジャンルがニュース、バラエティ、紀行及び映画である場合において、有意な差があり、アニメの場合には有意な差は見られなかった。つまり、画像のジャンルがニュース、バラエティ、紀行又は映画である場合には、幅が狭い額縁部20で見た方が、幅が広い額縁部20で見るよりも有意に立体的に感じていることが明らかになった。
【0089】
次に、本願発明者は、画像の視環境が画像の立体感に与える影響について、さらに実験を行った。この実験では、画像の視環境として、画像表示装置1Aにおいて、額縁部20の幅を、0.7cm、1.3cm、4.0cm、6.7cm、9.4cmの5種類に変更して条件を設定し、これら5種類の幅の画像表示装置で画像を見た場合において、どの額縁部20の幅以下のときから画像が立体的に感じるかについて、つまり、画像を立体的に感じるか感じないかの境目となる額縁部20の幅について、20名のユーザーに評価してもらった。なお、この実験では、画像表示装置1Aとして60インチの液晶テレビを用い、視距離を3Hとし、非画像表示領域30はフレーム部40とともに視覚的に一体化されるように非画像表示領域30の表示色をフレーム部40の色を略同一色とした。
【0090】
図4は、この実験結果を示すグラフであり、画像を立体的に感じる境目の額縁部20の幅についての結果を示している。
【0091】
図4に示すように、額縁部20の幅が4.0cmの場合に、画像が立体的に感じるか感じないかの境目であるとした評価者が最も多いことがわかった。ここで、この実験では、上述のとおり60インチの液晶テレビを使用していることから、有効画面領域50の横幅は133、7cmである。したがって、額縁部20の幅が4.0cmというのは、有効画面領域50の約3%に相当する。
【0092】
本実施の形態の形態に係る画像表示装置1Aは、表3及び図4の結果による新たな知見に基づいてなされたものであり、図1A及び図1Bに示す画像表示装置1において、表示される画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、又は紀行の場合には、額縁部20の幅が有効画面領域50の横幅の3%以下となるように設定するものである。なお、この設定及び制御は、前述の額縁幅制御部によって行うことができる。
【0093】
ここで、画像表示装置1Aでは、フレーム部40の幅は4辺の領域全てにおいて一定の2cmとしている。
【0094】
画像表示装置1Aが画像を画像表示部10に表示する場合、図5A及び図5Bに示すように、表示される画像の周辺における非画像表示領域30には所定の幅の額縁画像が表示される。なお、非画像表示領域30には、非画像表示領域30とフレーム部40と視覚的に一体化するように、フレーム部40と略同一色の画像が表示されている。
【0095】
本実施の形態では、上述のとおり、表示される画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、又は紀行の場合には、額縁部20の幅が有効画面領域50の横幅の3%以下となるように設定されている。ここで、デジタルテレビでは、電子番組表(EPG)により、番組表や番組情報を閲覧できる仕組みになっており、画像はそのジャンルによって分類されている。
【0096】
したがって、画像表示部10に表示される画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、又は紀行の場合には、図5Aに示すように、デジタル放送の信号を受信することにより、番組が始まると自動的に非画像表示領域30の幅が例えば0.5cmに設定され、額縁部20の幅が2.5cmとなる。一方、画像表示部10に表示される画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、及び紀行のいずれでもない場合(アニメの場合)には、図5Bに示すように、非画像表示領域30の幅は例えば4cmに設定され、額縁部20の幅は6cmとなる。
【0097】
以上、本実施の形態に係る画像表示装置1Aによれば、額縁幅制御部によって非画像表示領域30の幅を自由に設定及び調整することで、額縁部20の幅を可変自在に制御することができる。
【0098】
さらに、画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、又は紀行の場合には、額縁部20の幅が有効画面領域50の横幅の3%以下となるように設定される。このように額縁部20の幅が、表示される画像のジャンルに応じて、デジタル放送などの信号によって自動的に狭く設定されることから、ユーザーは、表示画像を立体的に感じて見ることができ、画像をより楽しむことができる。
【0099】
ここで、本実施の形態においては、非画像表示領域30は表示パネルにおける画素領域の一部として構成し、画素の表示状態を制御することで非画像表示領域30の幅を制御したが、これに限らない。
【0100】
なお、以上、説明した各実施の形態および変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態及び変形例における構成要素および機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
以上説明したように本発明によれば、ユーザーの好みに合わせた画像を提供することが可能な画像表示装置を実現する上で有用である。
【符号の説明】
【0102】
1、1A 画像表示装置
10 画像表示部
20 額縁部
30 非画像表示領域
40 フレーム部
50 有効画面領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示部と、前記画像表示部の周囲に配置された額縁部とを備え、
前記額縁部の幅を可変自在に制御可能とした、
画像表示装置。
【請求項2】
前記額縁部は、前記画像表示部を囲む非画像表示領域を含み、
前記非画像表示領域の幅を変えることで、前記額縁部の幅を可変自在とする、
請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記画像表示装置は、前記画像表示装置の最外周にフレーム部を備え、
前記額縁部は、前記フレーム部と前記非画像表示領域とを備える、
請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記非画像表示領域と前記フレーム部とは、略同一色である、
請求項3に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記額縁部の幅は、ユーザーが自由に設定可能である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記額縁部の幅は、予め自動的に設定されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記額縁部の幅は、前記画像表示部に表示される画像のジャンルに応じて自動的に設定される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像のジャンルが、ニュース、映画、バラエティ、又は紀行の場合には、前記額縁部の幅は、当該画像表示装置の有効画面領域の横幅の3%以下になるように設定される、
請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記画像表示部と前記非画像表示領域とを合わせた領域は、複数の画素からなる画素領域であり、
前記画素の表示状態を変えることで、前記非画像表示領域の幅を変える、
請求項2から4のいずれか1項に記載の画像表示装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【公開番号】特開2013−109239(P2013−109239A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255470(P2011−255470)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】