説明

画像表示装置

【課題】被写体の変化に応じて、エリアデータを取得する画素領域を変更すること。
【解決手段】カメラ100は、撮像素子からの出力データに基づいて、画像内における被写体を特定する被写体特定手段と、撮像素子の全画素領域のうち、被写体特定手段によって特定された被写体を含む一部の画素領域から出力されるデータをエリアデータとして取得するエリアデータ取得手段と、エリアデータ取得手段によって取得されたエリアデータの画像を拡大して表示する表示制御手段と、フレーム間での被写体の変化に応じて、エリアデータを取得する一部の画素領域の設定位置を変更する変更手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次のような撮像装置が知られている。この撮像装置は、撮像素子から間引き読み出ししたデータを拡大表示する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−17517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の撮像装置では、被写体位置に応じて読み出し領域を切り替える場合は、ユーザが拡大表示する領域の位置を変更する必要があり、不便であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による画像表示装置は、撮像素子からの出力データに基づいて、画像内における被写体を特定する被写体特定手段と、撮像素子の全画素領域のうち、被写体特定手段によって特定された被写体を含む一部の画素領域から出力されるデータをエリアデータとして取得するエリアデータ取得手段と、エリアデータ取得手段によって取得されたエリアデータの画像を拡大して表示する表示制御手段と、フレーム間での被写体の変化に応じて、エリアデータを取得する一部の画素領域の設定位置を変更する変更手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、被写体に応じて自動的にエリアデータの取得位置を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】カメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図2】スルー画表示時の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図3】窓読み駆動における読み出し領域の具体例を示す第1の図である。
【図4】窓読み駆動における読み出し領域の具体例を示す第2の図である。
【図5】窓読み駆動における読み出し領域の具体例を示す第3の図である。
【図6】窓読み駆動における読み出し領域の具体例を示す第4の図である。
【図7】窓読み駆動における読み出し領域の具体例を示す第5の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本実施の形態におけるカメラの一実施の形態の構成を示すブロック図である。カメラ100は、操作部材101と、レンズ102と、撮像素子103と、制御装置104と、メモリカードスロット105と、モニタ106とを備えている。操作部材101は、使用者によって操作される種々の入力部材、例えば電源ボタン、レリーズボタン、ズームボタン、十字キー、決定ボタン、再生ボタン、削除ボタンなどを含んでいる。
【0009】
レンズ102は、不図示のマウント部を介してカメラ100に着脱可能な構成となっていてもよいし、カメラ100と一体となっていてもよい。なお、レンズ102は、複数の光学レンズから構成されるが、図1では代表して1枚のレンズで表している。撮像素子103は、例えばCMOSなどのイメージセンサにより構成され、レンズ102を通過した光束による被写体像を光電変換してアナログ画像信号を生成し、生成したアナログ画像信号を制御装置104へ出力する。
【0010】
制御装置104は、CPU、メモリ、およびその他の周辺回路により構成され、カメラ100を制御する。なお、制御装置104を構成するメモリには、SDRAMやフラッシュメモリが含まれる。SDRAMは、揮発性のメモリであって、CPUがプログラム実行時にプログラムを展開するためのワークメモリとして使用されたり、データを一時的に記録するためのバッファメモリとして使用される。また、フラッシュメモリは、不揮発性のメモリであって、制御装置104が実行するプログラムのデータや、プログラム実行時に読み込まれる種々のパラメータなどが記録されている。
【0011】
制御装置104は、撮像素子103から入力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換し、種々の画像処理を施した後に所定の画像形式、例えばJPEG形式の本画像データを生成する。また、制御装置104は、生成した本画像データに基づいて、表示用画像データ、例えばサムネイル画像データを生成する。制御装置104は、本画像データとサムネイル画像データとを含み、さらにヘッダ情報を付加した画像ファイルを生成してメモリカードスロット105へ出力する。
【0012】
メモリカードスロット105は、記憶媒体としてのメモリカードを挿入するためのスロットであり、制御装置104から出力された画像ファイルをメモリカードに書き込んで記録する。また、メモリカードスロット105は、制御装置104からの指示に基づいて、メモリカード内に記憶されている画像ファイルを読み込む。
【0013】
モニタ106は、カメラ100の背面に搭載された液晶モニタ(背面モニタ)であり、当該モニタ106には、メモリカードに記憶されている画像やカメラ100を設定するための設定メニューなどが表示される。また、制御装置104は、使用者によってカメラ100のモードがライブビューモードに設定されると、撮像素子103から時系列で取得した画像の表示用画像データをモニタ106に出力する。これによってモニタ106にはスルー画が表示される。
【0014】
本実施の形態における撮像素子103では、撮像素子103の全画素領域のうちの一部の画素領域のみを撮像してアナログ画像信号を読み出す窓読み駆動が可能となっている。制御装置104は、使用者から被写体の拡大表示が指示された場合には、撮像素子103からの出力に基づいて、スルー画表示時に撮影範囲内に存在する被写体を特定し、撮影範囲内における被写体の位置に基づいて、窓読み駆動における撮像素子103の読み出し領域を決定する。そして、読み出し領域内の画像信号を読み出して、該読み出し領域内の画像をモニタ106に拡大表示する。これによって、モニタ106には被写体が拡大表示される。
【0015】
なお、このように撮像素子103の窓読み駆動によって読み出された読み出し領域内の画像を拡大するようにすれば、高精細な画像を維持しながらフレームレートを高めることができる。例えば、図3に示すように、撮像素子103の縦ラインが4000ラインあり、全ラインを読み出した場合のフレームレートが10fpsである場合について説明する。例えば、撮像素子103の全縦ラインを水平方向に400ラインごとに10分割して、各分割領域単位に窓読み駆動が可能であるとした場合、図3に示すように、そのうちの1つの分割領域2(400ライン)を読み出し領域として読み出すと、そのときのフレームレートは100fpsとなる。また、図4に示すように、2つの分割領域2と3(800ライン)とを読み出し領域として読み出すと、そのときのフレームレートは50fpsとなる。
【0016】
このように、読み出し駆動により読み出す分割領域の数が少ないほど、すなわち読み出す縦ラインのライン数が少ないほど、よりフレームレートを高めて、読み出し領域内の画像を拡大表示することが可能となる。
【0017】
図2は、本実施の形態におけるスルー画表示時の処理の流れを示すフローチャートである。図2に示す処理は、使用者によってカメラ100のモードがライブビューモードに設定されることにより、モニタ106へのスルー画の表示が開始されると起動するプログラムとして、制御装置104によって実行される。
【0018】
ステップS10において、制御装置104は、スルー画内に存在する被写体の中から注目する被写体を選択する。本実施の形態では、制御装置104は、例えば、公知の顔認識処理によって認識された人物の顔を注目する被写体として選択することとする。その後、ステップS20へ進み、被写体を拡大表示するか否かを判断する。本実施の形態では、スルー画表示時に被写体を拡大表示するか否かを使用者があらかじめ設定することができ、使用者によって拡大表示するように設定されている場合に、制御装置104は、ステップS20で肯定判断する。
【0019】
ステップS20で否定判断した場合には、後述するステップS90へ進む。これに対して、ステップS20で肯定判断した場合には、ステップS30へ進む。ステップS30では、制御装置104は、ステップS10で選択した被写体の撮影画面内における位置を特定し、被写体が図3や図4に示した分割領域のうちのどの領域に存在するかを特定することにより、被写体が存在する分割領域に関するデータ、すなわちエリアデータを取得する。その後、ステップS40へ進む。
【0020】
ステップS40では、制御装置104は、ステップS30で取得したエリアデータに基づいて、撮像素子103の読み出し領域を決定する。例えば、図3に示すように、被写体が分割領域2に存在している場合には、該分割領域2を読み出し領域として決定する。あるいは、図4に示すように、被写体が分割領域2と分割領域3とにまたがって存在している場合には、該分割領域2および3を読み出し領域として決定する。これにより、ステップS10で選択した被写体を含んだ分割領域を読み出し領域として決定することができる。
【0021】
その後、ステップS50へ進み、制御装置104は、撮像素子103の窓読み駆動によって、決定した読み出し領域内の画像信号を取得し、これを拡大表示することによって、被写体を拡大表示する。その後、ステップS60へ進む。
【0022】
ステップS60では、制御装置104は、スルー画の各フレームにおいて、撮影画面内における被写体位置を追跡することにより、注目する被写体がステップS40で決定した読み出し領域から外れたか否かを判断する。すなわち、撮影画面内で被写体が移動することにより、注目する被写体の位置が読み出し領域の外に移動したか否かを判断する。ステップS60で否定判断した場合には、後述するステップS80へ進む。これに対して、ステップS60で肯定判断した場合には、ステップS70へ進む。
【0023】
ステップS70では、制御装置104は、撮影画面内における被写体の移動状況に応じて、撮像素子103の読み出し駆動における読み出し領域を変更する。本実施の形態では、制御装置104は、前フレームでの被写体の移動状況に基づいて、現フレームにおける被写体の位置を推定し、被写体の推定位置を含んだ分割領域を読み出し領域とするように、読み出し領域の変更を行う。以下、読み出し領域の変更方法について、具体例を挙げながら説明する。
【0024】
例えば、前フレームにおける読み出し領域が、図4に示したように、分割領域2と3の800ラインだった場合に、被写体の移動状況に基づいて、被写体が撮影画面の縦方向に移動していることが検出されたとする。この場合、制御装置104は、撮影画面内における被写体の縦方向の位置、例えば、被写体を構成する任意の画素のy座標値に注目して、所定数の過去フレームの間に該y座標値がある閾値以上変化しているか否かを判断する。ここでは、閾値として、上記1つの分割領域の縦ライン数である400が設定されているものとする。
【0025】
制御装置104は、被写体のy座標値の変化量が該閾値未満であれば、被写体の移動速度はあまり速くなく、近くの分割領域までしか移動していない可能性が高いため、読み出し領域を被写体の移動方向に分割領域1つ分拡大する。例えば、図4に示したように、前フレームでの読み出し領域が分割領域2と3との800ラインである場合に、被写体が下に移動し、そのときの上記y座標値の変化量が上記閾値未満である場合には、制御装置104は、図5(a)に示すように、読み出し領域を分割領域2と3と4との1200ラインに変更する。この場合、スルー画のフレームレートは33fpsとなる。あるいは、制御装置104は、被写体は下に移動して分割領域2にはいない可能性が高いことを加味して、図5(b)に示すように、読み出し領域を分割領域を3と4との800ラインのみに変更してもよい。この場合、スルー画のフレームレートは50fpsとなる。
【0026】
これに対して、制御装置104は、被写体のy座標値の変化量が該閾値以上であれば、被写体は高速で移動しており、より遠くの分割領域まで移動している可能性が高いため、読み出し領域を被写体の移動方向に分割領域2つ分拡大する。例えば、図4に示したように、前フレームでの読み出し領域が分割領域2と3との800ラインである場合に、被写体が下に移動し、そのときの上記y座標値の変化量が上記閾値以上である場合には、制御装置104は、図6(a)に示すように、読み出し領域を分割領域2と3と4と5との1600ラインに変更する。この場合、スルー画のフレームレートは25fpsとなる。あるいは、制御装置104は、被写体は下に移動して分割領域2にはいない可能性が高いことを加味して、図6(b)に示すように、読み出し領域を分割領域を3と4と5との1200ラインのみに変更してもよい。この場合、スルー画のフレームレートは33fpsとなる。
【0027】
また、制御装置104は、図4に示したように、前フレームでの読み出し領域が分割領域2と3との800ラインである場合に、フレーム間での被写体の大きさが変化していることを検出した場合には、被写体がカメラ100に近づく方向、またはカメラ100から遠ざかる方向に移動していること判定する。そして、制御装置104は、被写体がカメラ100に近づく方向に移動していると判定した場合には、図7に示すように、読み出し領域を上下に拡大して、分割領域1と2と3と4との1600ラインに変更する。この場合、スルー画のフレームレートは25fpsとなる。
【0028】
その後、ステップS80へ進み、制御装置104は、使用者によって被写体の拡大表示の終了が指示されたか否かを判断する。ステップS80で否定判断した場合には、ステップS60へ戻って処理を繰り返す。これに対して、ステップS80で肯定判断した場合には、ステップS90へ進む。ステップS90では、制御装置104は、使用者によってライブビューの終了が指示されたか否かを判断する。ステップS90で否定判断した場合には、ステップS10へ戻って処理を繰り返す。これに対して、ステップS90で肯定判断した場合には、処理を終了する。
【0029】
以上説明した本実施の形態によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)制御装置104は、画像内における注目被写体を特定し、撮影画面内の被写体を含む分割領域に関するエリアデータを取得し、取得したエリアデータの画像を拡大して表示し、フレーム間での被写体の変化に応じて、エリアデータを取得する分割領域の設定位置を変更するようにした。これによって、被写体に応じて自動的にエリアデータの取得位置を変更することができる。
【0030】
(2)制御装置104は、撮像素子の全縦ラインを水平方向の複数ラインに分割し、被写体が存在する少なくとも1つのライン領域から出力されるデータをエリアデータとして取得するようにした。これによって、被写体が存在している領域を精度高くエリアデータとして取得することができる。
【0031】
(3)制御装置104は、過去に入力された複数フレーム間での被写体の位置の変化量に基づいて、エリアデータの設定位置を変更するようにした。これによって、被写体の移動速度に応じてエリアデータの設定位置を精度高く決定することができる。
【0032】
(4)制御装置104は、過去に入力された複数フレーム間での被写体の大きさの変化量に基づいて、エリアデータの設定位置を変更するようにした。これによって、被写体の大きさの変化に応じてエリアデータの設定位置を精度高く決定することができる。
【0033】
―変形例―
なお、上述した実施の形態のカメラは、以下のように変形することもできる。
(1)上述した実施の形態では、制御装置104は、公知の顔認認識処理によって認識された人物の顔を注目する被写体として選択することとした。しかしながら、使用者に注目する被写体の選択を促し、その結果指定された被写体を注目する被写体として選択するようにしてもよい。
【0034】
(2)上述した実施の形態では、制御装置104は、撮影画面内における被写体の移動状況に応じて、撮像素子103の読み出し駆動における読み出し領域を変更するようにし、これに伴ってスルー画のフレームレートが変化する例について説明した。しかしながら、制御装置104は、できるだけスルー画のフレームレートが変化しないように、読み出し領域を変更するようにしてもよい。
【0035】
(3)上述した実施の形態では、撮像素子103の縦ラインが4000ラインあり、撮像素子103の全縦ラインを400ラインごとに10分割して、各分割領域単位に窓読み駆動が可能である場合について説明した。しかしながら、撮像素子103の縦ラインの数や各分割領域のライン数はこれに限定されず、他のライン数の場合にも本発明は適用可能である。
【0036】
なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、本発明は、上述した実施の形態における構成に何ら限定されない。また、上述の実施の形態と複数の変形例を組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
100 カメラ、101 操作部材、102 レンズ、103 撮像素子、104 制御装置、105 メモリカードスロット、106 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子からの出力データに基づいて、画像内における被写体を特定する被写体特定手段と、
前記撮像素子の全画素領域のうち、前記被写体特定手段によって特定された前記被写体を含む一部の画素領域から出力されるデータをエリアデータとして取得するエリアデータ取得手段と、
前記エリアデータ取得手段によって取得された前記エリアデータの画像を拡大して表示する表示制御手段と、
フレーム間での前記被写体の変化に応じて、前記エリアデータを取得する前記一部の画素領域の設定位置を変更する変更手段とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記エリアデータ取得手段は、前記撮像素子の全画素領域を複数の水平方向のライン領域に分割し、前記被写体が存在する少なくとも1つのライン領域から出力されるデータを前記エリアデータとして取得することを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記変更手段は、過去に入力された複数フレーム間での被写体の位置の変化量に基づいて、前記エリアデータを取得する前記一部の画素領域の設定位置を変更することを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像表示装置において、
前記変更手段は、過去に入力された複数フレーム間での被写体の大きさの変化量に基づいて、前記エリアデータを取得する前記一部の画素領域の設定位置を変更することを特徴とする画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26882(P2013−26882A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160688(P2011−160688)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】