説明

画像表示装置

【課題】レイヤの間隔が広い場合でもシームレスな前後関係の表示が可能な画像表示装置を得る。
【解決手段】重複判定部105は、図形の奥行き情報と、複数のハーフミラー101a〜101cの奥行き方向の位置とに基づいて、複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する。重複補正部106は、重複判定部105で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する。アニメーション描画部107は、重複補正部106で補正された複数画面の画像データに対し、モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
映像やテキスト等の情報を表示するために、表示画面をハーフミラーにより反射させることにより、奥行き方向を有効に活用して多数の情報を表示する画像表示装置が存在する(例えば、特許文献1参照)。このような画像表示装置では、複数の情報を同時に提示する表現手段として、画面と画面の間に、物理的空間を持ったレイヤ構造を用いることにより、後方レイヤ部に表示されている情報を完全に隠すことなく、手前に情報を表示することが可能である。例えば、地図の上の写真や、テキストといった、お互いの関連性が高く、同一エリアに表示したいが、互いに重なり合い情報の隠れる部分を作りたくないといった場合等に有効である。
また、レイヤ表示内容の前後関係を入れ替える際、奥の情報は少し拡大しながら、また、手前の情報は少し縮小しながら入れ替えることにより、レイヤとレイヤの何も無い部分を補間し、よりシームレスな印象をユーザに与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−53539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般にレイヤとレイヤの間隔は広いため、大きさを変化させながらレイヤ表示内容の前後関係を入れ替えるだけでは、シームレスな表示は困難であった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、レイヤの間隔が広い場合でもシームレスな前後関係の表示が可能な画像表示装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る画像表示装置は、複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置において、図形の奥行き情報を含む図形データ情報と図形をアニメーション表示させるための時系列の動き情報であるモーションデータとを有するディスプレイリストと、複数の表示画面における図形の配置を示す画面レイアウト情報とに基づいて、表示画面毎に図形を所望の大きさと位置に配置した複数画面の画像データを生成するモデリング変換部と、図形の奥行き情報と、複数のハーフミラーの奥行き方向の位置とに基づいて、複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する重複判定部と、重複判定部で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する重複補正部と、重複補正部で補正された複数画面の画像データに対し、モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行うアニメーション描画部とを備え、アニメーション描画部の出力を複数の表示画面に表示する画像データとするようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の画像表示装置は、複数の表示画面に重複して表示される図形を判定し、その図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正するようにしたので、レイヤの間隔が広い場合でもシームレスな前後関係の表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による画像表示装置を示す構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1による画像表示装置の重複判定部と重複補正部の動作を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による画像表示装置を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態2による画像表示装置の視点補正を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態2による画像表示装置の自動車内の視点位置の違いによる視点補正を示す説明図である。
【図6】この発明の実施の形態2による画像表示装置の自動車における別の用途を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3による画像表示装置のディスプレイリストの構成要素を示す説明図である。
【図8】この発明の実施の形態3による画像表示装置におけるアニメーション描画を行う場合の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による画像表示装置を示す構成図である。
図1に示す画像表示装置は、LCDパネル100の表示画面を複数のハーフミラー101a,101b,101cに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置である。LCDパネル100は、複数の表示画面を構成する液晶ディスプレイであるが、表示画面として、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ、電子ペーパなどの表示装置を利用することが可能である。ハーフミラー101a〜101cは、それぞれ複数の表示画面を反射させて奥行き方向に情報を重畳表示するための、入射光の一部を反射し、一部を透過するミラーである。
【0010】
このような画像表示装置は、ディスプレイリストデータ102、画面レイアウト情報103、モデリング変換部104、重複判定部105、重複補正部106、アニメーション描画部107、フレームバッファ108a,108b,108cを備えている。ディスプレイリストデータ102は、図形の奥行き情報(Z値)を含む図形データ情報と、図形をアニメーション動作させるためのモーションデータから構成されるデータである。例えば、ベクタグラフィックスの場合には、図形データ情報は、頂点と曲線の制御点情報を含むパスデータや、色のグラデーション情報などから構成される。モーションデータは、パスデータを時系列に変化させながら描画するためのもので、フレーム毎のパスデータの位置、大きさ、色などの差分情報から構成される。画面レイアウト情報103は、ディスプレイリストデータ102で定義された個々の図形を、最終画面に配置するときに必要になる位置や大きさなどの値を示す情報である。
【0011】
モデリング変換部104は、ディスプレイリストデータ102と画面レイアウト情報103とから、図形を所望の大きさと位置に二次元変換する。例えば、二次元変換として以下の行列演算を行い、平行移動、拡大縮小、回転などを行う。

【0012】
重複判定部105は、図形の奥行き情報(Z値)と、レイヤの奥行き情報(ハーフミラー101a〜101cの位置情報)から、複数の表示画面をまたがる重複領域を判定する。重複補正部106は、図形が重複領域に位置する場合、図形を適切な透明度と大きさで2画面に対して描画を行うための、透明度と行列を生成する。アニメーション描画部107は、モーションデータに基づいて、図形や文字などを指定された表示画面へ、透明度を付加しながら描画を行う。このアニメーション描画部107としては、例えば、ベクタグラフィックスのラスタライザとアニメーション制御部などから構成される。フレームバッファ(A〜C)108a〜108cは、複数の表示画面に表示する画像データを格納するバッファであり、フレームバッファA108aにはA画面、フレームバッファB108bにはB画面、フレームバッファC108cにはC画面の画像データが格納される。なお、図示例では、画面数とフレームバッファが3つの場合を示しているが、画面数と各画面に対応するフレームバッファの数量は任意である。
【0013】
なお、画像表示装置はコンピュータを用いて実現され、モデリング変換部104〜アニメーション描画部107は、それぞれの機能に対応したソフトウェアとこれらのソフトウェアを実行するためのCPUやメモリといったハードウェアから構成されている。あるいは、モデリング変換部104〜アニメーション描画部107の一部を専用のハードウェアで構成するようにしてもよい。
【0014】
図2は、重複判定部105と重複補正部106の動作を説明するための図である。重複判定部105は、画面の境界付近を重複エリアとして定義し、図形のZ値から図形が重複エリアに含まれるかどうかを判断する。重複エリアは、外界の明るさや、ハーフミラー101a〜101cの特性(反射率、透過度)などから変化するパラメータである。
【0015】
重複補正部106は、図形が位置する画面と、その画面に近接するもう一方の画面に対して描画を行うための輝度補正や大きさ補正などのパラメータを算出する。図形位置から重複エリアの端点までの距離をX、Yとすると、B画面に対しては輝度係数Kb、C画面に対しては輝度係数Kcで輝度補正を行う。

【0016】
同様に、図形の大きさについては、大きさの補正係数を算出して行列の演算を行う。これにより、図形表示があるレイヤから別のレイヤへ画面が切り替わる際に、いきなり別の画面へ切り替わることなく、またがる2つの画面に同時に表示を行いながら、一方の画面は薄く表示し、もう一方の画面を濃く表示することができる。こうして、画面間で図形があたかもシームレスに移動しているかの表現効果を出すことが可能となる。
【0017】
以上説明したように、実施の形態1の画像表示装置によれば、複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置において、図形の奥行き情報を含む図形データ情報と図形をアニメーション表示させるための時系列の動き情報であるモーションデータとを有するディスプレイリストと、複数の表示画面における図形の配置を示す画面レイアウト情報とに基づいて、表示画面毎に図形を所望の大きさと位置に配置した複数画面の画像データを生成するモデリング変換部と、図形の奥行き情報と、複数のハーフミラーの奥行き方向の位置とに基づいて、複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する重複判定部と、重複判定部で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する重複補正部と、重複補正部で補正された複数画面の画像データに対し、モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行うアニメーション描画部とを備え、アニメーション描画部の出力を複数の表示画面に表示する画像データとするようにしたので、レイヤの間隔が広い場合でもシームレスな前後関係の表示を行うことができる。
【0018】
実施の形態2.
実施の形態1では、視点の位置が画像表示装置の正面の場合であるが、視点の位置が正面ではなく、少し斜め方向から見た場合、レイヤの表示内容が変形して見えてしまうという問題がある。また、レイヤ間の図形の位置関係も横方向にずれて見えてしまい、奥行き方向の情報表示の特性を十分に活用することができない。そこで、視点の位置が移動した場合でも視点の位置に応じて正しい図形の前後関係を表示するようにした例を実施の形態2として説明する。
【0019】
図3は、実施の形態2の画像表示装置を示す構成図である。
実施の形態2におけるLCDパネル300とハーフミラー301a〜301cの構成は、実施の形態1におけるLCDパネル100とハーフミラー101a〜101cの構成と同様であるが、視線方向が斜めである場合を示している。図中、視点300Aは視点の位置を示している。また、実施の形態2の画像表示装置は、ディスプレイリストデータ302、画面レイアウト情報303、モデリング変換部304、視点補正部305、重複判定部306、重複補正部307、アニメーション描画部308、フレームバッファ(A〜C)309a〜309cを備えている。
【0020】
ディスプレイリストデータ302は、奥行き情報(Z値)を含む図形データ情報と、図形をアニメーション動作させるためのモーションデータと、視点情報とから構成されるデータである。例えば、ベクタグラフィックスの場合には、図形データ情報は、頂点と曲線の制御点情報を含むパスデータや、色のグラデーション情報などから構成される。モーションデータは、パスデータを時系列に変化させながら描画するためのもので、フレーム毎のパスデータの位置、大きさ、色などの差分情報から構成される。視点情報は、ハーフミラー301a〜301cをのぞき込む視点300Aの位置や角度などの情報から構成される。画面レイアウト情報303は、ディスプレイリストデータ302で定義された個々の図形を、最終画面に配置するときに必要になる位置や大きさなど値を示す情報である。
【0021】
モデリング変換部304は、ディスプレイリストデータ302から、図形を所望の大きさと位置に三次元変換する。例えば、モデリング変換は、一般的な3次元グラフィックスのジオメトリ演算と同様に、オブジェクトの座標に対して以下の行列で指定される視界変換(オブジェクトをワールド座標系に配置)と射影変換(視点から見た座標へ変換)を行い、クリップ座標を算出する。次に、透視法除算により正規化デバイス座標を算出し、最後にビューポート変換により2次元デバイス上の座標へ変換する。

【0022】
視点補正部305は、視点300Aの位置と角度情報により、個々の図形の位置や大きさに変更を加える。重複判定部306は、図形の奥行き情報(Z値)と、レイヤの奥行き情報(ハーフミラー301a〜301cの位置情報)から、複数の表示画面をまたがる重複領域を判定する。重複補正部307は、図形が重複領域に位置する場合、図形を適切な透明度と大きさで2画面に対して描画を行うために透明度と行列を生成する。アニメーション描画部308は、モーションデータに基づいて、図形や文字などを指定された表示画面へ、透明度を付加しながら描画を行う。アニメーション描画部308としては、例えば、ベクタグラフィックスのラスタライザとアニメーション制御部などから構成される。フレームバッファ(A〜C)309a〜309cは、複数の表示画面に表示する画像データを格納するフレームバッファで、フレームバッファA309aにはA画面、フレームバッファB309bにはB画面、フレームバッファC309cにはC画面の画像データが格納される。実施の形態2においても、画面数と各画面に対応するフレームバッファの数量は任意である。
【0023】
図4は、図3の視点補正部305の動作を説明するための図で、表示装置全体を上方から見た配置を示している。通常、視線方向は視点(1)のようにハーフミラーに対して垂直方向にある。一方、視点(2)のように視点の位置を左右方向にずらした場合、視線方向はハーフミラーに対して斜め方向となる。このため、視点(2)では、図形を少し側面方向から見ることになり、図形が歪んで見えてしまう。さらに、画面間の図形の位置関係が視点(1)とは異なって見えてしまう。このため、視点(1)と視点(2)では、同一性の表示が困難となる。
【0024】
そこで、実施の形態2では、視点(1)と視点(2)で同一性表示を実現するため、A画面〜C画面における図形の位置、大きさ、向きの補正を行う。視点(1)では、図形400、401、402のように描画を行うが、視点(2)では、図形400a、401a、402aのように位置、大きさ、向きに変更を加えるために補正のための行列演算を行う。
このような処理を行うことにより、視点(2)でも図形400a、401a、402aが奥行きの一方向に並んで見え、大きさも視点(1)の場合と均等になり、視点(2)との同一性表示が可能となる。
【0025】
図5は、異なる視点の位置の例を示した図で、例えば、自動車の中において表示画面を以下の方向から見た場合などが考えられる。
・後部座席から見た場合
・運転席から見た場合
・助手席から見た場合
【0026】
このような場合も、図4で説明した処理と同様の処理を行うことにより、いずれの方向から見た場合でも、図形の同一性が保証されるため、観察者により認識の不一致が発生することがない。同時に複数の観察者が見る場合には、描画と表示を時分割に行いメガネなどを用いて、自分の表示と他の観察者の表示を排他的に制御する。
【0027】
図6は、自動車における別の用途を説明するための図で、フロントウインドウに設置されるHUD(Head Up Display)の実現例を示したものである。ダッシュボード600にLCDなどの表示パネル601を設置し、フロントウインドウの中に内蔵されるハーフミラー602を利用する。ハーフミラー602は、ウインドウに埋め込む位置により角度を調整して、A画面、B画面、C画面の表示がフロントウインドウで反射されて運転者の視点に結像するようにする。
これにより、図形表示がフロントウインドウの下面(地面側)から上面(天空側)へ移動するときに、奥から手前方向にシームレスな表現効果を実現することが可能となる。
【0028】
以上、自動車の車載表示装置を例に述べたが、アミューズメント、バーチャルリアリティ、医療表示装置、デジタルサイネージなど様々な用途に応用が可能である。
【0029】
以上説明したように、実施の形態2の画像表示装置によれば、複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置において、図形の奥行き情報を含む図形データ情報と図形をアニメーション表示させるための時系列の動き情報であるモーションデータと視点の位置を示す視点情報とを有するディスプレイリストと、複数の表示画面における図形の配置を示す画面レイアウト情報とに基づいて、表示画面毎に図形を所望の大きさと位置に配置した複数画面の画像データを生成するモデリング変換部と、モデリング変換部で配置された図形の大きさまたは位置のうち少なくとも一方を視点情報に基づいて補正する視点補正部と、図形の奥行き情報と、複数のハーフミラーの奥行き方向の位置とに基づいて、複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する重複判定部と、重複判定部で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する重複補正部と、重複補正部で補正された複数画面の画像データに対し、モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行うアニメーション描画部とを備え、アニメーション描画部の出力を複数の表示画面に表示する画像データとするようにしたので、実施の形態1の効果に加えて、視点の位置が移動した場合でも視点の位置に応じて正しい図形の前後関係を表示することができる。
【0030】
実施の形態3.
図7は、実施の形態1及び実施の形態2におけるディスプレイリストデータ102、302の構成要素を示した図である。ベクタ図形データ700は、ベクタグラフィックスで定義された図形データ群で、描画色、グラデーション設定、パスデータなどから構成される。テキストデータ701は、文字描画のためのデータ群で、フォントの種類、大きさ、文字列などから構成される。フォントデータは、予め外部メモリなどに格納されている必要がある。ビットマップデータ702は、ビットマップ画像の幅、高さ、ピクセルフォーマット、ビットデータなどから構成される。ビットマップデータは、ベクタ図形の一構成要素としてテクスチャマップする場合に参照されることもある。視点データ703は、視点の位置、視点の向き、視野角などから構成される。
【0031】
コンテナ704は、複数の部品(ベクタ図形、テキスト、ビットマップ、視点データ)をグルーピングするための箱で、部品番号、変換行列、色変換行列などから構成される。部品番号として別のコンテナの指定も可能である。
モーションデータ705は、部品またはコンテナに対してアニメーションさせる情報で、部品番号(またはコンテナ番号)、変換行列、色変換行列などから構成される。フレーム間の動き差分情報を保持する。なお、ベクタ図形データ700〜モーションデータ705のヘッダ情報には、データ種別のためのID、部品データのサイズ、要素数などが保存される。
【0032】
外部メモリ706は、部品データが格納されたメモリアドレスの一例を示したものである。部品管理テーブルには、部品データが格納される先頭アドレスが登録されており、部品番号から実際の部品データ格納番地を参照することができる。部品管理テーブルが格納される先頭番地は、部品管理テーブルベースアドレスレジスタで指し示される。
【0033】
アニメーション描画部107、308は、モーションデータのフレーム差分情報を元に次フレームの描画を行うため、前フレームの情報を格納するワーク領域が必要である。そのため、通常、外部メモリ706にモーションデータを格納する場合には、モーションデータの直後にワーク領域を確保する。なお、ワーク領域は専用エリアに確保しても構わない。
【0034】
図8は、画面の構成部品を木構造で定義して、アニメーション描画を実行させるときのモデリング変換部104、304とアニメーション描画部107、308の動作を示す説明図である。ベクタ図形(1)はボタン形状の部品で、文字列(2)〜(4)は文字列の部品群である。コンテナ(5)に、ベクタ図形(1)と文字列(2)を登録すると、ボタン再生の部品を作ることができる。同様に、コンテナ(6)、(7)は、ボタン停止、ボタン早送りの部品を作成することができる。このとき、ベクタ図形(1)は、コンテナ(5)〜(7)から共通に使用される部品となる。
【0035】
次に、モーションデータ(20)にコンテナ(5)を登録すると、コンテナ(5)に動き(モーション)を付加することができる。この場合、動きデータは予めモーションデータ(20)に登録されている必要がある。一方、コンテナ(9)には、ボタン群((20)、(6)、(7))とウインドウ背景のベクタ図形(8)が登録され、ウインドウ1が作成される。同様にして、コンテナ(15)で、ウインドウ2が作成される。
【0036】
最後に、画面コンテナ(17)に、ウインドウ1(コンテナ(9))、ウインドウ2(コンテナ(15))、背景のベクタ図形(16)を登録することにより、最終画面を作ることができる。
【0037】
このように、画像表示装置のCPUは、アニメーション表示させたい親部品ノードにモーションデータを追加することにより、容易にアニメーション描画を実行することができ、部品群の再利用、追加表示や、視点移動を簡単に設定できる。このため、必要最小限のデータを用いて効率の高いアニメーション表示が可能である。また、CPUは親部品コンテナの描画を指示するだけで、下位層の部品群が探索され自動的に描画が行われるため、CPUの処理負荷を大幅に軽減することが可能となる。
【0038】
以上説明したように、実施の形態3の画像表示装置によれば、図形データ情報として、少なくともベクタ図形情報とテキストデータとを含み、モデリング変換部は、ベクタ図形情報とテキストデータとを用いて部品を構成すると共に、部品をグルーピングする上位層のノードとして1層以上のコンテナを定義し、コンテナと部品とを木構造で定義して画像データを生成し、アニメーション描画部は、何れかの部品またはコンテナにモーションデータを適用してアニメーション描画を行うようにしたので、容易にアニメーション描画を実行することができると共に、描画時のCPUの処理負荷を軽減することができる。
【0039】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0040】
100,300 LCDパネル、101a〜101c,301a〜301c ハーフミラー、102,302 ディスプレイリストデータ、103,303 画面レイアウト情報、104,304 モデリング変換部、105,306 重複判定部、106,307 重複補正部、107,308 アニメーション描画部、108a〜108c,308a〜308c フレームバッファ、305 視点補正部、700 ベクタ図形データ、701 テキストデータ、702 ビットマップデータ、703 視点データ、704 コンテナ、705 モーションデータ、706 外部メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置において、
図形の奥行き情報を含む図形データ情報と前記図形をアニメーション表示させるための時系列の動き情報であるモーションデータとを有するディスプレイリストと、前記複数の表示画面における前記図形の配置を示す画面レイアウト情報とに基づいて、前記表示画面毎に前記図形を所望の大きさと位置に配置した前記複数画面の画像データを生成するモデリング変換部と、
前記図形の奥行き情報と、前記複数のハーフミラーの奥行き方向の位置とに基づいて、前記複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する重複判定部と、
前記重複判定部で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する重複補正部と、
前記重複補正部で補正された前記複数画面の画像データに対し、前記モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行うアニメーション描画部とを備え、
前記アニメーション描画部の出力を前記複数の表示画面に表示する画像データとすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
複数の表示画面を複数のハーフミラーに反射させて奥行き方向に重畳表示を行う画像表示装置において、
図形の奥行き情報を含む図形データ情報と前記図形をアニメーション表示させるための時系列の動き情報であるモーションデータと視点の位置を示す視点情報とを有するディスプレイリストと、前記複数の表示画面における前記図形の配置を示す画面レイアウト情報とに基づいて、前記表示画面毎に前記図形を所望の大きさと位置に配置した前記複数画面の画像データを生成するモデリング変換部と、
前記モデリング変換部で配置された前記図形の大きさまたは位置のうち少なくとも一方を前記視点情報に基づいて補正する視点補正部と、
前記図形の奥行き情報と、前記複数のハーフミラーの奥行き方向の位置とに基づいて、前記複数の表示画面に重複して表示される図形を判定する重複判定部と、
前記重複判定部で判定された図形の表示画面毎の透明度と大きさを補正する重複補正部と、
前記重複補正部で補正された前記複数画面の画像データに対し、前記モーションデータに基づいて、図形のアニメーション描画を行うアニメーション描画部とを備え、
前記アニメーション描画部の出力を前記複数の表示画面に表示する画像データとすることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
図形データ情報として、少なくともベクタ図形情報とテキストデータとを含み、
モデリング変換部は、前記ベクタ図形情報と前記テキストデータとを用いて部品を構成すると共に、当該部品をグルーピングする上位層のノードとして1層以上のコンテナを定義し、当該コンテナと前記部品とを木構造で定義して画像データを生成し、
アニメーション描画部は、何れかの部品またはコンテナにモーションデータを適用してアニメーション描画を行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−97129(P2013−97129A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238977(P2011−238977)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】