説明

画像補正システム及び画像補正方法

【課題】 運転者に対して視覚的違和感を与えること及び誤認により誤った運転操作を誘発することを抑制できる「画像補正システム及び画像補正方法」を提供する。
【解決手段】 撮像装置6を備え、車両走行時に交差点30を撮像する交通道路撮像手段と、表示部7を備え、交通道路撮像手段により撮像した交差点30を画像として表示する表示手段とを備えた画像補正システムであって、撮像した交差点30を再度走行する際に、表示部7に表示する交差点30の画像40Aを、復路において走行中の交通道路の車線34aからの撮像に基づく画像に近似した画像40Bに補正する画像補正手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両走行中に運転者に道路交通情報を提示する車両用走行誘導装置に関し、特に車両走行中に撮像した交通道路の画像を補正する画像補正システム及び画像補正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両が現在走行している位置情報を人工衛星から受信し、車両の位置情報を地図情報と共に表示部に表示し、運転者を誘導する車両用走行誘導装置が実用化されている。特許文献1では、車両が走行途中で通過した地点で収集した道路交通情報を利用し、再度同じ道路を走行するときに、路線確認に要する負担を軽減する技術が提案されている。また、特許文献2では、道路状況及び自車両の走行状態を画像データとして任意に記録すると共に、記録された所定の画像データを所定期間保存し且つ任意の時刻にそれらを再生することが可能な道路状況記録システムを提案している。
【特許文献1】特開平6−344832号公報
【特許文献2】特開平6−186047号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらの提案技術では、車両が通過した地点を再度走行する際、初めに走行した車線と別の車線を走行している場合には、表示される画像は、実際に走行している車線からの視線と異なる。そのため、運転者に対して視覚的違和感を与える。さらに、車両が通過した地点を再度走行する際、車両の進行方向が逆方向の場合には、反対車線で後方へ向けて記録した画像を表示する必要がある。そのため、運転者に対して多大な視覚的違和感を与え、誤認により誤った運転操作を誘発する虞がある。
従って、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、運転者に対して視覚的違和感を与えること及び誤認により誤った運転操作を誘発することを抑制できる画像補正システム及び画像補正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明は、撮像装置を備え、車両走行中の交通道路を撮像する交通道路撮像手段と、表示部を備え、前記交通道路撮像手段により撮像した前記交通道路を画像として表示する表示手段とを備えた画像補正システムであって、前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記表示部に表示する前記交通道路の画像を、走行中の交通道路の車線からの撮像に基づく画像に近似した画像に補正する画像補正手段を備えたことを特徴とする。本発明によれば、表示部に表示した画像により路線確認を行う際、運転者に対して視覚的違和感を与えることを抑制できる。
【0005】
また、本発明は、車両用走行誘導装置が有するGPS受信部4からの受信情報により、前記画像撮像時の第1車線位置データと、前記撮像した交通道路を再度走行する際の第2車線位置データとを取得し、車両用走行誘導装置が有するデータベースから交通道路幅のデータを取得し、前記画像補正手段は、前記第1車線位置データ及び前記第2車線位置データと、前記交通道路幅のデータとから決定する補正倍率により、撮像した前記画像を伸長または圧縮補正し、撮像した前記画像の車線位置を、前記第1車線位置データ及び前記第2車線位置データと対応付けすることにより特定し、撮像した前記画像の第2車線位置を、前記表示部の左右方向中央付近に表示するよう画像補正してもよい。本発明によれば、車両用走行誘導装置が有するGPS受信部4からの受信情報と、データベースとを利用して、走行中に撮像した画像を、撮像した交通道路を再度走行する際に、実際に走行している車線からの撮像に基づく画像に近似した画像に補正できる。
【0006】
また、本発明は、前記撮像装置が、車両前方へ向けた撮像装置であってもよい。これにより、撮像した交通道路を前回と同一の進行方向へ再度走行する際に、撮像した画像を実際に走行している車線からの撮像に基づく画像に近似した画像に補正できる。
【0007】
また、本発明は、前記撮像装置が、車両後方へ向けた撮像装置であってもよい。これにより、撮像した交通道路を前回と逆の進行方向へ再度走行する際に、撮像した画像を、実際に走行している車線からの撮像に基づく画像に近似した画像に補正できる。また、誤認により誤った運転操作を誘発することを抑制できる。
【0008】
また、本発明は、前記撮像装置が、連続的に前記交通道路を録画する撮像装置であり、前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記補正手段により補正した画像を連続的に再生してもよい。撮像装置を車両前方へ向けて撮像した場合において、撮像した画像を動画として表示部に再生することにより、運転者がより容易に路線を確認できる。
【0009】
また、本発明は、前記撮像装置が、連続的に前記交通道路を録画する撮像装置であり、前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記補正手段により補正した画像を連続的に逆再生してもよい。これにより、撮像装置を車両後方へ向けて撮像した場合において、走行中に撮像した画像を、撮像した交通道路を前回と逆の進行方向へ再度走行する際にも、運転者に違和感を与えることなく、動画として表示部に表示可能である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、運転者に対して視覚的違和感を与えること及び誤認により誤った運転操作を誘発することを抑制できる画像補正システム及び画像補正方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
【0012】
本発明に係る画像補正システムを備えるナビゲーション装置10の構成を、図1を用いて詳細に説明する。図1において、2点破線で囲まれた構成がナビゲーション装置10の構成である。また、図1において、2重線で示す構成が本発明に係る画像補正システムの構成である。図1において、読取り機構1は、地図データやその他の案内データを格納したCD(コンパクトディスク)−ROM(Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)−ROM等の記録媒体を読み込むため構成である。ただし、これに限定されず、たとえばハードディスクドライブなどの記憶装置も適用することができる。
【0013】
操作部2は、運転者などのユーザ(以下、運転者とする)が車載用ナビゲーション装置10に各種操作・設定を入力するための構成である。これは、リモートコントローラ装置やコントロールパネル等のように個別に構成されていても、後述する表示部7と一体に形成されたタッチパネル式の入力装置として構成されていても良い。更には、音声入力用のマイクロフォン等で構成されてもよい。
【0014】
VICS(道路交通情報通信システム)受信部3は、電波ビーコン又は光ビーコンから送信されてくるVICS情報を受信するための構成である。GPS(Global Positioning System)受信部4は、GPS衛星から送信されてくるGPS信号を受信して車両の現在位置の緯度及び経度を検出するための構成である。自立航法センサ5は、車両方位を検出するためのジャイロ等を含む角度センサ5aと、一定の走行距離毎にパルスを発生する距離センサ5bとを有して構成されており、車両の進行方向や速度を検出する。
【0015】
撮像装置6は、車両前方または後方に向けて備えられ、走行中の交通道路を制御部17の指令に基づき撮像するための構成である。この制御部17の指令は、運転者が操作部2を操作することにより発せられる。撮像装置6は、交通道路を静止画として撮像する装置、例えばデジタルカメラに相当するものであっても、交通道路を動画として撮像する装置、例えばデジタルビデオカメラに相当するものであってもよい。
【0016】
表示部7は、例えば液晶表示方式のディスプレイ装置等で構成され、ナビゲーション装置10から入力された、地図や誘導経路や車両の現在位置や建造物その他アイコン等の各種情報を表示するための構成である。また、表示部7は、撮像装置6で撮像した画像データを画像として表示するための構成でもある。スピーカ8は、同じくナビゲーション装置10から入力された音声案内情報等を出力するための構成である。尚、スピーカ8はその他、音響装置等から入力された音楽等も出力することができる。
【0017】
また、ナビゲーション装置10において、バッファメモリ11は、後述する制御部17からの制御の下に読取り機構1から入力された地図データ等を一時的に格納するための構成である。I/F(インタフェース)12,13,14,15は、それぞれ操作部2,VICS受信部3,GPS受信部4,自立航法センサ5と車載用ナビゲーション装置10における内部バスとを接続するための構成である。
【0018】
制御部17は、例えばマイクロコンピュータやCPU(中央演算処理装置)等の演算処理装置で構成される。この制御部17は、ナビゲーション用のプログラムを内蔵しており、このプログラムに従い、GPS受信部4及び自立航法センサ5から出力される信号に基づいて車両の現在位置を検出したり、表示させたい地図のデータ等を読取り機構1からバッファメモリ11に読み出したり、バッファメモリ11に読み出した地図データから誘導経路を探索したり、設定された探索条件に合う誘導経路をバッファメモリ11に読み出された地図データ等を用いて1つ以上探索する等のナビゲーションに係る種々の処理を実行する。但し、例えば上記のプログラムはCD−ROMやDVD−ROM等に記憶しておくことも可能である。この場合、制御部17は必要に応じてこれを読出し、実行する。
【0019】
また、制御部17は、ナビゲーション用のプログラムに従い、撮像装置6で撮像した画像データをメモリ16に記録する処理を実行する。但し、制御部17にナビゲーション用のプログラムとは別のプログラムを内蔵させて、撮像装置6に係る処理を実行させてもよい。同時に制御部17は、撮像を行った地点を、例えば地点登録情報としてメモリ16に記憶する処理を実行する。画像補正部25は、制御部17の指令に基づき、メモリ16に記録した画像データを補正して表示部7に表示する。この制御部17の指令は、撮像した交通道路を再度走行した際に、メモリ16に記憶した地点登録情報に基づき、発せられる。但し、運転者が操作部2を操作することにより発せられてもよい。
【0020】
地図描画部18は、バッファメモリ11に読み出された地図データを用いて地図イメージの描画処理を行うための構成である。表示情報生成部19は、動作状況に応じて各種メニュー画面(操作画面)やカーソル等の各種マークを生成するための構成である。誘導経路記憶部20は、出発地及び目的地やその他の探索条件に基づいて制御部17において探索された誘導経路の全てのノードに関するデータ及び探索中に変更された誘導経路のデータ(以下、これらを誘導経路データという)を格納しておくための構成である。誘導経路描画部21は、誘導経路記憶部20から誘導経路データを読み出して誘導経路を他の道路とは異なる表示態様(色や線幅を用いた強調表示等)で描画するための構成である。アイコン描画部22は、地図イメージ上に描画する建造物やスポットや自車または他車などのアイコンの描画処理を行うための構成である。音声出力部23は、例えばDSP(Digital Signal Processor)等を含んで構成され、制御部17からの信号に基づいて音声信号をスピーカ8に出力する。
【0021】
画像合成部24は、地図描画部18で描画された地図イメージに、誘導経路描画部21で描画された誘導経路や、表示情報生成部19で描画された操作画面及び各種マークや、アイコン描画部22で描画された各種アイコンや、制御部17から入力された画像等を適宜重ねて、表示部7に表示させるための構成である。
【0022】
次に、画像補正部25が行う撮像した画像の補正について詳述する。図2(a)は、車両が走行する交差点30を示す図である。矢印31aは、往路において交差点30を走行した車両の走行経路を示したものであり、矢印32aは、復路において交差点30を再度走行した車両の走行経路を示したものである。車両は、往路において、矢印31aで示すように、図中左から右へ向かって走行し、右折をして交差点30を通過し、車線33aを走行している。また、車両は、復路において、矢印32aで示すように、図中手前から奥へ向かって車線34aを走行し、左折をして交差点30を通過している。
【0023】
図2(b)は、車両後方へ向けて撮像装置6を備えた場合に、往路において、車線33aを走行中に撮像した交差点30の画像40Aを示す図である。車両が往路において交差点30を撮像した際には、ナビゲーション装置10は、画像40Aを撮像した地点を地点登録する。これにより、矢印32aに示すように、復路において車両が交差点30を通過する際、地点登録情報に基づき、撮像した画像を自動で表示部7に表示させることができる。同時に、ナビゲーション装置10は、撮像時の車両の進行方向を角度センサ5aで検出してメモリ16に記憶してもよい。これにより、車両前方及び後方へ向けて撮像装置を備えて撮像しても、再度撮像した地点を走行する際に、走行方向に合せて表示すべき画像を選択し、表示させることが可能になる。
【0024】
図2(b)に示すように、往路において撮像した交差点30の画像には、車線33bの道幅のほうが、車線34bの道幅よりも大きく映し出される。また、車線33bのほうが、車線34bよりも表示部の左右方向中央付近に映し出される。したがって、復路において表示部7に画像40Aを表示すると、実際の車両は、矢印32bに示す走行経路により車線34bを走行しているため、路線確認を行う際、運転者に対して視覚的違和感を与えることになる。
【0025】
そのため、本実施例では、GPS受信部4からの受信情報により、往路において画像を撮像した際に、車線33aの位置を第1車線位置データとして取得する。同様に、復路において地点登録した地点を再度走行する際に、車線34aの位置を第2車線位置データとして取得する。そして、画像補正部25は画像解析を行い、図2(b)に示す画像40Aにおいて車線33bの位置を判別し特定する。ここで、撮像装置6が常に一定の方向へ向けて固定されている限り、撮像時の走行車線位置は、撮像した画像において常に一定の位置である。このことから、特定した車線33bの位置が、撮像時の走行車線位置、すなわち第1車線位置データに該当しているかを判定できる。これにより、車線33bを撮像時に走行した車線であると特定し、第1車線位置データと対応付けする。
【0026】
同時に、画像補正部25は、画像40Aにおいて車線34bの位置を判別し特定する。ここで、撮像した地点の交通道路における第1車線位置データと第2車線位置データとの車線の位置関係は、ナビゲーション装置10が有するデータベースに基づいて特定可能である。したがって、この車線の位置関係により、画像40Aにおいて車線34bが、第1車線位置データと特定された車線33bを基準として、第2車線位置データに該当しているかを判定できる。これにより、車線34bを復路において再度走行している車線であると特定し、第2車線位置データと対応付けする。以上により、図2(b)に示すように、図中、画像40Aの横幅を割合1とした場合に、車線33bの位置は、画像40Aの手前側において、画像40Aの左端を基準として割合0.6の位置35に特定されたとする。同様に、車線34bの位置は、画像40Aの手前側において、画像40Aの左端を基準として割合0.3の位置36に特定されたとする。
【0027】
図2(c)は、画像補正部25が画像40Aを補正した結果である画像40Bを示す図である。画像補正部25は、画像40Aで特定した車線34bの位置を画像40Bにおいて例えば割合0.5の位置37に補正する画像処理を行う。同時に、画像補正部25は、所定の補正倍率で車線34bの道幅を車線34cの道幅に伸長補正する画像処理を行う。一方、画像補正部25は、車線34bの道幅の伸長補正に伴い、所定の補正倍率で車線33bの道幅を車線33cの道幅に圧縮補正する画像処理を行う。この車線33b及び車線34bの道幅は、画像補正部25が画像40Aの画像解析を行うことにより特定する。画像補正部25は、このような補正を、同様にして画像40Aの図中手前側から奥行き方向に向かって所定の補正倍率で行う。これによって、画像補正部25は、画像40Aを画像40Bに補正する。
【0028】
前述した所定の補正倍率は、往路で撮像した際の車線位置と、この地点での交通道路幅56と、復路で走行している車線位置に基づいて決定する。図3(a)は、片側1車線の交通道路を走行した場合の往路での撮像範囲と、復路での表示補正の関係を示す図である。図3(a)において、往路での車両51aは、車線54を走行し、撮像範囲52の撮像を行う。復路において車両51bは、車線55を走行している。この場合、画像補正部25は、往路で撮像した際の車線54の位置と、この地点での交通道路幅56と、復路で走行している車線55の位置とに基づき、表示補正53に示す補正となるような補正倍率を決定する。交通道路幅56は、例えばナビゲーション装置10が有するデータベースから撮像装置6が取得する。
【0029】
また、図3(b)は、片側2車線の交通道路を走行した場合の往路での撮像範囲と、復路での表示補正の関係を示す図である。図3(b)において、往路での車両61aは、車線64bを走行し、撮像範囲62の撮像を行う。復路において車両61bは、車線65bを走行している。この場合、画像補正部25は、往路で撮像した際の車線64bの位置と、この地点での交通道路幅66と、復路で走行している車線65bの位置とに基づき、表示補正63aに示す補正となるような補正倍率を決定する。また、同様にして、復路において車両61cが車線65aを走行している場合には、画像補正部25は、表示補正63bに示す補正となるような補正倍率を決定する。
【0030】
次に、本発明に係る画像補正システムが行う補正処理を、図4に示すフローチャートを用いて詳述する。図4において、まず、運転者がナビゲーション装置10の操作部2を操作することにより、往路において走行中の交通道路の撮像を行う(ステップ11)。制御部17は、撮像を行った地点を、地点登録情報としてメモリ16に記憶する処理を実行する(ステップ12)。同時に、制御部17は、GPS受信部4からの受信情報により、走行中の車線位置を第1車線位置データとして取得し、メモリ16に記録する(ステップ13)。次に、撮像に係る登録地点を走行する際に、制御部17は、往路時に撮像した画像を表示するかを表示部7に表示することにより、運転者に問い合わせる。但し、登録地点情報に基づき、登録地点走行の際に撮像した画像を自動的に表示して、運転者に問い合わせる表示をしないでもよい。運転者は、操作部2を操作し表示するかどうかを選択する(ステップ14)。「表示しない」を選択した場合には、表示部7は、例えばナビゲーション装置10の地図情報及び現在地情報を引き続き表示する。
【0031】
「表示する」を選択した場合には、制御部17の指令に基づき、画像補正部25は、第1画像解析処理として、登録地点で撮像した画像にセンターラインがあるかどうかの判別を行う(ステップ15)。センターラインがない場合には、通常、画像補正をせずに撮像した画像を表示したとしても、運転者に違和感を与えない程度の道幅である。そのため、ステップ15にて、センターラインがないと判定した場合には、画像補正が不要として、表示部7に画像を表示する(ステップ25)。
【0032】
次に、制御部17は、GPS受信部4からの受信情報により、復路において現在走行中の車線位置データを取得し、メモリ16に記録する(ステップ16)。但し、例えば復路においても交通道路の撮像を行い、画像補正部25の画像解析手段により現在走行中の車線位置を判別し、特定しても構わない。これは、撮像装置6が常に一定の方向へ向けて固定されている限り、撮像時の走行車線位置は、撮像した画像において常に一定の位置であることから、復路で撮像した画像において復路の車線位置を特定しようとするものである。これにより特定した復路の車線位置と、同様にして特定する往路時の車線位置とによって、登録地点での交通道路における往路及び復路の位置を把握することができる。または、ナビゲーション装置10が利用するデータベースに走行中の車線位置のデータがあればこれを用いてもよく、これらの組合せにより、登録地点での交通道路における車線位置を特定する手段の信頼性を向上しても構わない。
【0033】
次に、制御部17は、ナビゲーション装置10が有するデータベースから登録地点における交通道路幅のデータを取得し、メモリ16に記録する(ステップ17)。次に、画像補正部25は、第2画像解析処理として、登録地点で撮像した画像において、交通道路の車線位置を割り出す(ステップ18)。次に、撮像した画像において割り出した車線位置が、往路で撮像した際の車線位置及び復路で走行している車線位置であるかを判定し、対応付けする(ステップ19)。次に、画像補正部25は、第3画像解析処理として、往路での撮像時の道幅及び復路での走行時の道幅を特定する(ステップ20)。但し、道幅の判別は、ナビゲーション装置10が有するデータベースに走行中の車線幅のデータがあれば、これを用いてもよい。また、レーダー等のセンサにより道幅を検出してもよく、これらの組合せにより信頼性を向上しても構わない。
【0034】
一方、ステップ13、ステップ16及びステップ17で、メモリ16は、往路で撮像した際の車線位置データと、この地点での交通道路幅データと、復路で走行している車線位置データとを保有している。これに基づき、画像補正部25は、復路で走行している車線の伸長補正と、往路で走行している車線の圧縮補正との補正倍率を決定する(ステップ21)。画像補正部25は、第1画像処理として、撮像した画像において、復路で走行していることを特定した車線位置を、表示部の左右方向中央付近の位置に補正する画像処理を行う(ステップ22)。次に、画像補正部25は、第2画像処理として、撮像した画像を決定した補正倍率により補正する(ステップ23)。これにより、画像補正部25は、補正した画像を表示部7に表示する(ステップ24)。
【0035】
以上により、運転者に対して視覚的違和感を与えること及び誤認により誤った運転操作を誘発することを抑制できる画像補正システムが実現可能である。上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る画像補正システムを備えるナビゲーション装置10の構成図である。
【図2】本発明に係る画像補正システムによる画像補正の一例を示す図である。
【図3】本発明に係る画像補正システムによる画像補正の補正倍率の説明図である。
【図4】本発明に係る画像補正システムによる画像補正をフローチャートで示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 読取り機構
2 操作部
3 VICS受信部
4 GPS受信部
5 自立航法センサ
5a 角度センサ
5b 距離センサ
6 撮像装置
7 表示部
8 スピーカ
10 ナビゲーション装置
11 バッファメモリ
12、13、14、15 I/F
16 メモリ
17 制御部
18 地図描画部
19 表示情報生成部
20 誘導経路記憶部
21 誘導経路描画部
22 アイコン描画部
23 音声出力部
24 画像合成部
25 画像補正部
30 交差点
31a、31b、31c 往路の走行経路を示す矢印
32a、32b、32c 復路の走行経路を示す矢印
33a、33b、33c 往路時の走行車線
34a、34b、34c 復路時の走行車線
35 割合0.6の位置
36 割合0.3の位置
37 割合0.5の位置
40A 往路において撮像した交差点30の画像
40B 画像40Aを画像補正した画像
51a 往路の車両
51b 復路の車両
52 撮像範囲
53 表示補正
54、55 車線
56 交通道路幅
61a 往路の車両
61b、61c 復路の車両
62 撮像範囲
63 表示補正
64a、64b 往路の車線
65a、65b 復路の車線
66 交通道路幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置を備え、車両走行中の交通道路を撮像する交通道路撮像手段と、表示部を備え、前記交通道路撮像手段により撮像した前記交通道路を画像として表示する表示手段とを備えた画像補正システムであって、
前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記表示部に表示する前記交通道路の画像を、走行中の交通道路の車線からの撮像に基づく画像に近似した画像に補正する画像補正手段を備えたことを特徴とする画像補正システム。
【請求項2】
車両用走行誘導装置が有するGPS受信部4からの受信情報により、前記画像撮像時の第1車線位置データと、前記撮像した交通道路を再度走行する際の第2車線位置データとを取得し、
車両用走行誘導装置が有するデータベースから交通道路幅データを取得し、
前記画像補正手段は、前記第1車線位置データ及び前記第2車線位置データと、前記交通道路幅データとから決定する補正倍率により、撮像した前記画像を伸長及び圧縮補正し、
撮像した前記画像の車線位置を、前記第1車線位置データ及び前記第2車線位置データと対応付けすることにより特定し、
撮像した前記画像の第2車線位置を、前記表示部の左右方向中央付近に表示するよう画像補正する手段であることを特徴とする請求項1記載の画像補正システム。
【請求項3】
前記撮像装置が、車両前方へ向けた撮像装置であることを特徴とする請求項1または2記載の画像補正システム。
【請求項4】
前記撮像装置が、車両後方へ向けた撮像装置であることを特徴とする請求項1または2記載の画像補正システム。
【請求項5】
前記撮像装置が、連続的に前記交通道路を録画する撮像装置であり、前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記補正手段により補正した画像を連続的に再生することを特徴とする請求項3記載の画像補正システム。
【請求項6】
前記撮像装置が、連続的に前記交通道路を録画する撮像装置であり、前記撮像した交通道路を再度走行する際に、前記補正手段により補正した画像を連続的に逆再生することを特徴とする請求項4記載の画像補正システム。
【請求項7】
走行中の交通道路を撮像する撮像装置を備える車両が備える電子機器において、
撮像時の走行車線の位置データと、撮像した交通道路を再度走行する際の走行車線の位置データと、交通道路幅のデータとに基づき、撮像した画像の補正倍率を決定するステップと、
前記補正倍率により、撮像した前記画像を伸長及び圧縮補正するステップと
を実行することを特徴とする画像補正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−250533(P2006−250533A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63203(P2005−63203)
【出願日】平成17年3月7日(2005.3.7)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】