説明

画像記録体の作製装置、及び、ラミネート装置

【課題】騒音の発生が抑制された画像記録体の作製装置を提供すること。
【解決手段】例えば、画像記録体の作製装置は、画像形成装置(画像形成手段)10と、丁合い装置20(積層手段)と、クリーニング装置50と、ラミネート装置(ラミネート手段)30と、から構成し、ラミネート装置(ラミネート手段)として、無端ベルトの幅方向の動きを規制するフランジ35A(規制部材)を設けた一対の無端ベルト31で構成されるベルトニップ方式の装置を採用すると共に、一対の無端ベルト31は、当該無端ベルト31をその外周面と内周面とから挟持する板状の騒音抑制部材70(接触部材)を配設する。この騒音抑制部材70は、無端ベルト31の外周面のみ接触する部材であってもよいし、ロール状の部材であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録体の作製装置、及び、ラミネート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成技術の発達に伴って、凹版印刷、凸版印刷、平版印刷、グラビヤ印刷及びスクリーン印刷などの様々な印刷法により、同一品質の画像を、大量かつ安価に形成する手段が知られている。そして、この印刷法は、ICカード、磁気カード、光カード、あるいはこれらが組み合わさったカードなど、所定の情報を納め、外部装置と接触又は非接触に交信可能な情報媒体の表面印刷にも多く用いられている。
【0003】
例えば上記スクリーン印刷は、印刷しようとする画像の数に応じた印刷版が多数必要であり、カラー印刷の場合には、さらにその色の数だけ印刷版が必要となる。そのため、これら印刷方法は、個人の識別情報(顔写真、氏名、住所、生年月日、各種免許証など)に個々に対応し得ることから、現在もっとも主流となっている画像形成手段は、インクリボン等を用いた昇華型や溶融型の熱転写方式を採用したプリンタ等による画像形成方法である。
【0004】
ところで、電子写真方式による画像形成(印刷)は、像保持体表面を帯電させ、画像信号に応じて露光し、露光部分と非露光部分との電位差による静電潜像を形成させ、その後、前記帯電と反対(あるいは同一)の極性を持つトナーと呼ばれる色粉(画像形成材料)を静電現像させることにより、前記像保持体表面に可視画像(トナー画像)を形成させる方法で行われる。カラー画像の場合は、この工程を複数回繰り返すこと、あるいは画像形成器を複数並配置することによりカラーの可視画像を形成し、これらを画像記録体に転写、定着(固定化:主に熱による色粉の溶融と冷却による固化)することによりカラー画像を得る方法で行われる。
【0005】
電子写真方式では、像保持体表面の静電潜像を画像信号により電気的に形成するため、同じ画像を何度でも形成するだけでなく、異なる画像に対しても容易に対応でき画像形成することが可能である。また、像保持体表面のトナー画像が画像記録体表面に転移され、像保持体表面にわずかに残存するトナー画像も、樹脂ブレードやブラシ等により容易に除去するため、多品種少量生産に向けた印刷物を容易に作製することが可能である。
【0006】
また、上記トナーは、通常、熱溶融性樹脂及び顔料、並びに場合によっては帯電制御剤などの添加剤を溶融混合し、この混練物を粉砕、粒子化して形成される。さらに、前記電子写真方式における静電潜像は、上記粒子化されたトナーに比べてかなり高い解像度を持っており、前記スクリーン印刷やインクリボンの熱転写方式の解像度と比べても十分な解像度が期待される。
【0007】
カラー画像についても、カラートナーとしてシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの四原色を用い、これらを混合することにより、理論的に印刷と同様の色が再現される。また、上記カラートナーでは、トナー樹脂と顔料とが比較的自由に配合されるため、トナーによる画像隠蔽性を増加させることは容易である。
【0008】
前述の電子写真装置を使用した画像記録体(各種カード)の作製としては、既にいくつかの提案がなされている。具体的には、例えば、光透過性シートに個人識別情報を印字し、さらに、上記印字は鏡像で行うことが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
上記提案では、画像が印字(形成)された光透過性シートとコアシートとを積層し、これをラミネートして、画像記録体(各種カード)の作製している。そして、このラミネートに採用している装置としては、ベルトニップ方式のラミネート装置が採用されている。
一般的に、ベルトニップ方式のラミネート装置では、例えば、ベルトを張架する張架ロールの軸方向端部にストッパーと呼ばれる張架ロール径よりも大きいフランジ(規制部材)を設け、このフランジ(規制部材)にベルト側面が接触することにより、ベルトの幅方向の動きを規制し蛇行を抑制している。
【特許文献1】2005−28865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、インパルス騒音の発生が抑制された画像記録体の作製装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
コアシートと少なくとも片面に画像が形成された光透過性フィルムとを、前記光透過性フィルムの画像が形成された面が前記コアシートの面と対向するように積層する積層手段と、
前記コアシートと光透過性フィルムとの積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするためのラミネート手段と、
を備え、
前記ラミネート手段が、
互いに対向して配置される一対の無端ベルトと、
一対の無端ベルトを張架するための一対の張架ロールと、
一対の無端ベルトのうち少なくとも一方の無端ベルトの幅方向の動きを規制する規制部材と、
前記規制部材が設けられた無端ベルトの外周面と接触して配設される接触部材と、
を備える画像記録体の作製装置。
【0012】
請求項2に係る発明は、
前記接触部材が、前記無端ベルトの外周面から内周面に向かって当該無端ベルトを押圧する部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【0013】
請求項3に係る発明は、
前記接触部材が、一対の無端ベルト同士が対向する側とは反対の無端ベルトの外周面と接触して配設される請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【0014】
請求項4に係る発明は、
前記接触部材が、板状部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【0015】
請求項5に係る発明は、
前記接触部材が、ロール状部材である請求項1に記載の画像記録媒体の作製装置。
【0016】
請求項6に係る発明は、
前記接触部材が、前記無端ベルトをその外周面と内周面とから挟持する部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【0017】
請求項7に係る発明は、
前記一対の無端ベルトが、金属製の無端ベルトである請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【0018】
請求項8に係る発明は、
互いに対向して配置される一対の無端ベルトと、
一対の無端ベルトを張架するための一対の張架ロールと、
一対の無端ベルトのうち少なくとも一方の無端ベルトの幅方向の動きを規制する規制部材と、
前記規制部材が設けられた無端ベルトの外周面と接触して配設される接触部材と、
を備え、
前記一対の無端ベルトの間を被ラミネート体を通過させることでラミネートするラミネート装置。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に係る発明によれば、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、接触部材が無端ベルトを押圧しない場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、接触部材の配設位置を考慮しない場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、接触部材が他の形状の場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項5に係る発明によれば、接触部材が他の形状の場合に比べ、無端ベルトの回転抵抗を低減しつつ、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項6に係る発明によれば、接触部材が外周面のみに接触する場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項7に係る発明によれば、インパルス騒音が発生しやすい金属製の無端ベルトを適用した場合でも、インパルス騒音の発生が抑制される。
請求項8に係る発明によれば、インパルス騒音の発生が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面をしつつ詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能・作用を有する部材には、全図面を通して同じ符号を付与し、重複する説明は省略する場合がある。
【0021】
図1は、実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体を示す概略断面図である。図2は、実施形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。図3は、実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。図4は、実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【0022】
まず、本実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体(被ラミネート体)について説明する。当該画像記録体は、例えば、プラスチックシートで構成され、図1に示すように、コアシート1と画像2、4が形成された表面フィルム3及び裏面フィルム5(共に光透過性フィルム)とが、画像2、4が形成された側の面がコアシート1と各々と対向するように重ねられ、ラミネートされてなる。なお、本実施形態では、コアシートの両面に画像が形成された光透過性フィルムをラミネートした形態を説明するが、無論、コアシートの片面に画像が形成された光透過性フィルムをラミネートした形態であってもよい。ここで、「光透過性」とは、可視光領域(400nm以上700nm以下)の光の透過率が80%以上、望ましくは90%以上であることを示している。
【0023】
そして、この画像記録体を作製する装置が、実施形態に係る画像記録体の作製装置である。
【0024】
実施形態に係る画像記録体の作製装置は、図2に示すように、画像形成装置(画像形成手段)10と、丁合い装置20(積層手段)と、クリーニング装置50と、ラミネート装置(ラミネート手段)30と、から構成されている。
【0025】
画像形成装置10は、例えば、フィルム収納部11と、画像形成部12と、フィルム収納部11から画像形成部12へ光透過性フィルムを搬送する搬送路13と、画像形成部12から排出口14へ画像形成後の光透過性フィルムを搬送する搬送路15とから構成されている。その他の構成は省略する。
【0026】
画像形成部12は、図示しないが、例えば、潜像を形成する潜像保持体と、該潜像を少なくともトナーを含む現像剤を用いて現像し、トナー画像を得る現像器と、現像されたトナー画像を光透過性フィルムに転写する転写器、光透過性フィルムに転写されたトナー画像を加熱加圧して定着する定着器などを含む、公知の電子写真方式のカラー画像形成装置で構成されている。
【0027】
搬送路13、15は、例えば、駆動ローラ対を含む複数のローラ対やガイド(図示せず)から構成されている。搬送路15には、光透過性フィルムの搬送方向を180°反転させる反転路16が設けられている。搬送路15と反転路16との分岐部には、光透過性フィルムを案内方向を変更するカム17が設けられている。この反転路16で光透過性フィルムを往復させ、再び搬送路15に戻すと、光透過性フィルムの搬送方向が180°反転されると共に、光透過性フィルムの表裏が反転して搬送される。
【0028】
丁合い装置20は、例えば、コアシート収納部22と、丁合い受け(位置決め部)25、コアシート収納部22から丁合い受け25へコアシート1を供給する搬送路24と、画像形成装置10の排出口14から排出された光透過性フィルムを、丁合い受け25へ供給する搬送路21と、から構成されている。
【0029】
コアシート1を丁合い受け25へ供給する搬送路24の排出部と、光透過性フィルムを丁合い受け25へ供給する搬送路21の排出部は、高さ方向に並列して設けられている。
【0030】
上記搬送路21としては、例えば、板状部材と、その表面を光透過性フィルムを搬送させるための搬送ロールが設けられた構成であってもよく、また回転する無端ベルト状の搬送体で構成されていてもよい。そして光透過性フィルムが画像形成装置10から排出されるタイミングで搬送ロールや搬送ベルトが回転し、光透過性フィルム丁合い受け25に搬送する。
【0031】
コアシート収納部22には、例えば、通常の給紙装置に備えられているピックアップロールや給紙ロールが備えられており、丁合い受け25がコアシート収納部22の排出口の位置に移動した直後のタイミングで給紙ロール等が回転し、丁合い受け25にコアシートを搬送する。
【0032】
丁合い受け25は、例えば、搬送路24の排出部と搬送路21の排出部からコアシート及び光透過性フィルム(表面フィルム、裏面フィルム)がそれぞれ供給される位置に設置されており、積層されたコアシート及び光透過性フィルム(表面フィルム、裏面フィルム)の端部を揃えて、位置決めする手段(図示せず)が設けられている。
【0033】
また、丁合い受け25には、コアシートを介して2つの光透過性フィルムを積層した積層体を仮止めする仮止め装置26が設けられている。この仮止め装置26は、例えば、ヒータなどにより加熱されるよう金属からなる一対の突片で構成されており、この加熱された一対の突片により積層体の端部を挟むことで、積層体の端部が熱溶着されて仮止めされる。
【0034】
なお、上記仮止め装置26は、丁合い受け25からラミネート装置への積層体の搬送路上に設けられる場合には、仮止め装置26は、仮止め時のみ丁合い受け25の端部に配置され、それ以外のときは上記搬送路から退避する機構を備える。
【0035】
積層体のクリーニング装置50は、例えば、除電装置51とクリーニングロール52とで構成されており、丁合い装置20を通過した積層体の表面のゴミ、埃等を除去した後、次工程のラミネート装置30へと積層体を搬送する。
【0036】
ラミネート装置30は、図3及び図4に示すように、積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を光透過性フィルムでラミネートするラミネート装置である。
【0037】
ラミネート装置30は、互いに対向した一対の無端ベルト31から構成されるベルトニップ方式が採用され、容易にオンラインで画像記録体が作製される構成となっている。一対の無端ベルト31には、それぞれの内部(内周側)にインレットロール35とテンションロール32とが積層体搬送方向にこの順で配されている。
【0038】
一対の無端ベルト31は、テンションロール32とインレットロール35とにより張架された状態で、テンションロール32がテンションバネ36により引っ張られることで歪みを生じないように構成されている。一対のテンションロール32及び一対のインレットロール35はぞれぞれニップしないように設置されている。これにより、連続稼動により無端ベルト31が蛇行しても稼動させながら無端ベルトを所定の位置に戻る。つまり、一対のテンションロール32の軸方向両端部にぞれぞれ設置したテンションバネ36のバネ力をコントロールして無端ベルト31の蛇行を抑制している。
【0039】
なお、無端ベルト31を張架する、即ち、無端ベルト31の内周面側から張力を掛けつつ保持するための一対の張架ロールは、インレットロール35及びテンションロール32が相当する。また、無端ベルト31が一対(2つ)配設されている、この一対の張架ロール(インレットロール35及びテンションロール32)は2組配設されている。
【0040】
一対のインレットロール35には、その軸方向両端部にロール径よりも大きい円盤状のフランジ35A(規制部材)がそれぞれ配設されている。フランジ35Aは、蛇行したときに無端ベルト31の側面が接触することで、無端ベルト31の幅方向の移動を規制(無端ベルト31の幅方向の位置を規制)し、当該蛇行した無端ベルト31を特定の位置に復帰させる機能を持つ、所謂ストッパーと呼ばれる部材である。
なお、フランジ35A(規制部材)は、インレットロール35に限られず、テンションロール32に配設してもよい。フランジ35Aは規制部材(ストッパー)としての役割を担うが、形状は円盤状に限られず、角板状であってもよく、上記ロールとは独立して配設してもよい。
【0041】
一対の無端ベルト31は、当該無端ベルト31をその外周面と内周面とから挟持する板状の騒音抑制部材70(接触部材)が配設されている。騒音抑制部材70は、一対の無端ベルト31同士が対向する側とは反対の無端ベルトの反対側のインレットロール35及びテンションロール32間に位置する無端ベルト31領域を挟持すると共に、無端ベルト31の外周面から内周面に向かって押圧して配設されている。
【0042】
騒音抑制部材70は、その一端部がフランジ35A(規制部材)の配設位置近傍における無端ベルト31の外周面に接触して配設されている。配設位置近傍とは、フランジ35A(規制部材)による無端ベルトの幅方向の移動規制を阻害しない程度まで近づけた位置を示す。
【0043】
騒音抑制部材70は、無端ベルト31の幅(幅方向長さ)と同じ又は大きい幅を持ち、当該無端ベルト31の幅方向に全域にわたって接触して配設されている。これに限られず、騒音抑制部材70は、無端ベルト31の外周面の少なくとも一部と接触して配設されていればよい。
【0044】
騒音抑制部材70は、例えば、基材70A(例えば、ステンレス基材)と基材70A上に設けられたゴム層70B(例えば、シリコーンゴム層、フッ素ゴム層)とで構成される。騒音抑制部材70は、ゴム層70Bのみから構成してもよい。このゴム層70Bを無端ベルト31の外周面と内周面にそれぞれ接触させて、騒音抑制部材70を配設する。なお、無端ベルト31のインパルス音を抑制できれば、ゴム層70Bに限られず、他の層(例えば、樹脂層)であってもよい。
【0045】
騒音抑制部材70は、無端ベルト31を外周面と内周面とから挟持した形態に限られず、無端ベルト31を外周面のみに接触させる形態であってもよい。本形態の場合でも、無端ベルト31を外周面側から押圧して配設することが好適である。
【0046】
なお、騒音抑制部材70は、フランジ35A(規制部材)が設けられた側の無端ベルト31のみに配設すれば良く、積層体が通過する側には設置する必要はない。
【0047】
ここで、無端ベルト31の材料としては熱変形量の小さい金属材料(例えば、ステンレス)を用いている。無論、当該材料として、プラスチック材料でもガラスを混ぜる等の処方により熱変形を小さくした材料を用いても構わない。また、無端ベルト31が蛇行した際に所定の位置に戻すためになるインレットロール35、テンションロール32には摩擦係数にして0.3以下となる低摩擦材料(金属系、プラスチック系等どちらでも可)を用いることが望ましい。
【0048】
また、一対の無端ベルト31のそれぞれ内部(内周側)には、インレットロール35とテンションロール32との間に、加熱加圧ロール34と冷却板39と冷却ロール33とが積層体搬送方向にこの順で配されている。これらは、一対の無端ベルト31を介して、ニップ部を形成している。
【0049】
ラミネート装置30では、インレットロール35の後方(積層体搬送方向下流側)に配置された加熱加圧ロール34とにより積層体は加熱加圧される。この工程を経ることによって積層体は熱融着される。ここで、一対のインレットロール35がニップされていないことにより、積層体は一対の加熱加圧ロール34によるニップ部に突入する以前に一対の無端ベルト31のニップ力と加熱加圧ロール34からの予熱により仮ラミネートされながら加熱加圧ロール34によるニップ部へと搬送される。
【0050】
加熱加圧ロール34によるニップ部は積層体の接着工程であり、このニップ部を通過した積層体は冷却板39によるニップ部へと突入する。これにより、積層体は、冷却板39によるニップ部により平面性を維持したまま冷却される。この冷却板39はアルミ等の熱伝導率の高い材料で構成させており、無端ベルト31と接触する面には擦動性を良くするためテフロン(登録商標)テープ等が貼られている。また、一対の冷却板39は、それぞれ図示しないがバネ等の弾性部材により所望の荷重で無端ベルト31内周面に押圧され、ニップ部を形成している。
【0051】
ここで、無端ベルト31から伝達してくる熱を冷却するため冷却板39上に、当該冷却板39を冷却するための空気流を発生させる冷却ファン37(空気流発生手段)が設置されている。冷却ファン37は、一対の無端ベルト31のそれぞれの内部であって、加熱加圧ロール34の積層体搬送方向下流側、即ち加熱加圧ロール34と冷却ロール33との間に配されている。冷却ファン37により発生した空気流を冷却板39に吹き付けることで、冷却板39が冷却される。
【0052】
また、冷却ファン37は、その周囲を冷却板39と共に箱状部材46(遮断部材)により囲まれている。これにより、冷却ファン37から発生した空気流が、冷却板39以外には到達せず、即ち、加熱加圧ロール34へ到達しない。また、冷却ファン37を取り囲む箱状部材46には外部へと通じるダクト(不図示)が連結されており、外部から空気を取り込むように構成となっている。
【0053】
冷却板39を通過した積層体は冷却ロール33へ突入する。一対の冷却ロール33によるニップ力は冷却板39によるニップ圧力より高く設定されていると共に、冷却ロール33を通過する際に積層体の温度は光透過性フィルムのガラス転移温度(Tg)以下となるように、ラミネート装置30の温度プロファイルは設計されているため、これにより、積層体は平面性を維持したまま一対の冷却ロール33によるニップを通過することとなる。なお、連続稼動による無端ベルト31の汚れ等を除去するためクリーニング装置(図示せず)が設置されている。
【0054】
上記構成のラミネート装置30を経た(接着工程、冷却工程を経た)積層体は、平面性を維持したままラミネートされて、排出受け61に排出され、画像記録体が得られる。ここで、画像記録体に個別の画像が複数形成されている場合、この各画像毎に裁断し、所定のサイズの画像記録体を得る。また、例えば数枚分のカードのパターンとなっている場合は、1枚分ずつに裁断され表裏が光透過性フィルムでラミネートされたカード等となる。
【0055】
以上説明した本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、ラミネート装置30を構成する一対の無端ベルト31の幅方向の移動を規制するフランジ35A(規制部材)が配置されており、このフランジ35A(規制部材)と無端ベルト31の側面が接触することで、無端ベルト31の蛇行が抑制されつつ一対の無端ベルト31の回転駆動がなされ、その結果、ラミネート装置30の連続稼動がなされる。
【0056】
一方で、フランジ35A(規制部材)と無端ベルト31の側面との接触(擦れ合って接触)によるインパルス騒音の振動源となる無端ベルト31の振動を、騒音抑制部材70を無端ベルトの外周面に接触させて抑える。結果、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0057】
特に、本実施形態では、騒音抑制部材70をその一端部がフランジ35A(規制部材)の配設位置近傍における無端ベルト31の外周面に接触して配設されているので、無端ベルト31の振動が大きくなる前に騒音抑制部材70に振動が抑制され、騒音抑制部材70の配設位置を考慮しない場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。なお、本実施形態では、一対の無端ベルト31同士が対向する側とは反対側におけるインレットロール35及びテンションロール32の間の無端ベルト31全領域に、騒音抑制部材70を配設(但し、騒音抑制部材70はインレットロール35及びテンションロール32に非接触で配設)しているが、これに限られず、例えば、図5及び図6に示すように、フランジ35A(規制部材)の配設位置における無端ベルト31の外周面のみ接触するように偏在させて配設してもよい。
ここで、図5は、他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。図6は、他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【0058】
また、本実施形態では、騒音抑制部材70を無端ベルト31の外周面から内周面に向かって押圧して配設されている。騒音抑制部材70が張架された状態の無端ベルト31の外周面から内周面に向かって押圧することで、接触部材が無端ベルトを押圧しない場合に比べ、無端ベルト31の振動が抑えられ、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0059】
また、本実施形態では、騒音抑制部材70を、一対の無端ベルト31同士が対向する側とは反対側の無端ベルト31の外周面と接触して配設している。この無端ベルト31の領域は、他の部材との接触領域が少なく、振動が大きくなりやすい領域であり、この領域の無端ベルト31の外周面と接触して騒音抑制部材70を配設することで、騒音抑制部材70の配設位置を考慮しない場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0060】
また、本実施形態では、騒音抑制部材70を板状で構成しているので、ことから、他の形状に比べ、無端ベルト31との接触面積を大きく取れることから、より、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0061】
また、本実施形態では、騒音抑制部材70を、無端ベルト31の外周面のみならず内周面も接触するように無端ベルト31を挟持して配設している。このため、無端ベルト31の厚み方向のいずいれの振動も抑制されるので、騒音抑制部材70が外周面のみに接触する場合に比べ、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0062】
また、本実施形態では、無端ベルト31の材料としては金属材料を採用、即ち無端ベルト31を金属製の無端ベルトを採用している。この金属製の無端ベルトは、インパルス騒音が発生しやすい金属製の無端ベルトであるが、当該無端ベルトを適用した場合でも、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0063】
また、本実施形態では、板状の騒音抑制部材70を適用した形態を説明したが、これに限られず、ロール状の騒音抑制部材70を適用してもよい。
具体的には、図7及び図8に示すように、一対の無端ベルト31をその外周面と内周面とから挟持するロール状の騒音抑制部材70が配設させる。この形態では、無端ベルト31を挟持する一対のロール状の騒音抑制部材70を無端ベルト31毎に2組配設している。そして、無端ベルト31の内部に配設するロール状の騒音抑制部材70を、加熱加圧ロール34及び冷却ロール33がそれぞれ兼ねて配設されている。無論、当該無端ベルト31の内部に配設するロール状の騒音抑制部材70は、加熱加圧ロール34及び冷却ロール33とは独立して別途配設してもよい。
【0064】
ロール状の騒音抑制部材70は、例えば、シャフト70C(基材:例えば、ステンレス基材)とシャフト70C外周面に設けられたゴム層70B(例えば、シリコーンゴム層、フッ素ゴム層)とで構成される。このゴム層70Bを無端ベルト31の外周面と内周面にそれぞれ接触させて、ロール状の騒音抑制部材70を配設する。なお、無端ベルト31のインパルス騒音を抑制できれば、ゴム層70Bに限られず、他の層(例えば、樹脂層)であってもよい。
【0065】
ロール状の騒音抑制部材70を配設した形態では、ロール状の騒音抑制部材70が、無端ベルト31の振動を抑制すると共に無端ベルト31の回転に伴い回転する。このため、騒音抑制部材70が他の形状の場合に比べ、無端ベルトの回転抵抗を低減しつつ、インパルス騒音の発生が抑制される。
【0066】
ここで、図7は、他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。図8は、他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【0067】
また、本実施形態では、一枚のコアシートに画像が形成された光透過性フィルムをラミネートし、必要に応じて裁断する形態を説明したが、これに限られるものではない。例えば、一つ以上の窓穴を有するコアシート保持ホルダーを利用し、予め所定の大きさ(例えばカードサイズ)に作製されたコアシートを当該コアシートホルダーの窓穴に挿入して保持された状態で、当該コアシートホルダー(これに保持された状態のコアシート)と画像が形成された光透過性フィルムを積層した積層体をラミネートする形態であってもよい。以下、本形態について詳細に説明するが、これに限られるわけではない。
【0068】
この形態では、図9(A)に示すように、まず、丁合い受け25上に裏面フィルム5が供給される。次に、図9(B)に示すように、窓穴7Aにコアシート1を挿入(セット)したコアシート保持ホルダー7が、丁合い受け25へと供給され、裏面フィルム5に積層される。裏面フィルム5の画像4はコアシート保持ホルダー7の窓穴7A(コアシート1)と一致する位置となっている。次に、図9(C)に示すように、表面フィルム3が、丁合い受け25へと供給され、コアシート保持ホルダー7に積層される。このとき、表面フィルム3の画像2はコアシート保持ホルダー7の窓穴(コアシート1)と一致する位置となっている。このようにして丁合い受け25上で積層体が形成される。
【0069】
なお、本実施形態に係る画像記録体の作製装置では、光透過性フィルムをコアシートの両面にラミネートする形態を説明したが、これに限られず、得られる画像記録体の用途に応じて、光透過性フィルムをコアシートの片面にラミネートする形態であってもよい。
【0070】
また、本実施形態では、光透過性フィルムをラミネートする形態を説明したが、光透過性フィルムを例えば基材と画像保持層とで構成し、光透過性フィルムをラミネート後、基材を剥がす形態であってもよい。
【0071】
上記本実施形態に係る画像記録体の作製装置により得られる画像記録体(プラスチックシート)は、顔写真入りキャッシュカードや社員証、学生証、個人会員証、居住証、各種運転免許証、各種資格取得証明等の非接触式又は接触式個人情報画像情報入り情報媒体、さらに医療現場などで用いる本人照合用画像シートや画像表示板、表示ラベルなどに利用される。用途に応じて、コアシートには、ICチップ、アンテナ、磁気ストライプ、外部端子などが埋め込まれたり、磁気ストライプ、ホログラム等が印刷されたり、必要文字情報がエンボスされ得る。そして、光透過性フィルムには必要な画像が形成される。
【実施例】
【0072】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。
【0073】
(実施例A)
−ラミネート装置−
ラミネート装置としては上述したラミネート装置30と同じ構造のものを用いた。
【0074】
−無端ベルト−
無端ベルトとしてはステンレス製のベルト(厚み0.2mm、周長800mm、幅340mm)のものを使用した。
【0075】
−騒音抑制部材−
騒音抑制部材としては、幅360mm、長さ200mm、厚み1.2mmのステンレス製のベース部材に表面がテフロン(登録商標)コートされた厚み2mmのシリコンゴムを貼り付けて構成した。この騒音抑制部材がベルトを挟むように約50Nの力で上下とも押さえつけた。尚、テフロン(登録商標)コートされたシリコンゴムで構成したのは無端ベルトとの摺動抵抗を抑制するためである。
【0076】
−騒音測定方法−
騒音を測定するための騒音計としては小野測器製LA5110を用い、ラミネート装置30の正面から1m離れた位置を測定ポイントとして上記騒音計を設置した。
ラミネート装置30の測定状態としては加熱温度を135℃、加熱加圧ロール34間の荷重として1KN、無端ベルトの送り速度を5mm/sに設定して実施した。また、積層体は搬送させず、空回転の状態で測定を実施した。
【0077】
(実施例B)
以下に示す騒音抑制部材を用いた以外は、実施例Aと同様にして騒音を測定した。
−騒音抑制部材−
騒音抑制部材としては、幅360mm、長さ20mm、厚み1.2mmのステンレス製のベース部材に表面がテフロン(登録商標)コートされた厚み2mmのシリコンゴムを貼り付けて構成した。この騒音抑制部材がベルトを挟むように約100Nの力で上下とも押さえつけた。尚、ベルトを押えた箇所はインレットロールと加熱加圧ロールの間の1箇所のみである。
【0078】
(実施例C)
以下に示す騒音抑制部材を用いた以外は、実施例Aと同様にして騒音を測定した。
−騒音抑制部材−
騒音抑制部材としては、シャフト(ステンレス材)の外周面に5mmの厚みで設けられたシリコーンゴム層を有するロールを使用した。この騒音抑制部材を加熱加圧ロールと対向する位置にそれぞれ配置した。加熱加圧ロールへの押圧荷重はそれぞれ約100KNとした。
また、同様に上記騒音部材を冷却ロール側にもそれぞれ配置した。冷却ロールへの押圧荷重はそれぞれ約100KNとした。
【0079】
(比較例A)
実施例Aで使用したラミネート装置から、騒音抑制部材70を取り外して、実施例Aと同様にして騒音を測定した。
【0080】
(評価)
以上の各実施例、比較例により得られた騒音の測定結果を表1に示す。尚、表中の暗騒音は装置に電源が入っていない状態、定常状態は装置が稼動している状態、インパルス騒音はフランジとの接触・弾かれによりベルトから発生する音を示している。
騒音対策が何も施されていない場合には84dBのインパルス騒音が発生していたが、実施例A〜Cまで全て15dB以上のインパルス騒音を抑制する効果があった。また、実施例Aではベルトのほぼ全面を押さえ込むような構成としたため、抑制効果が最も良いという結果であった。
【0081】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施形態に係る画像記録体の作製装置により作製される画像記録体を示す概略断面図である。
【図2】実施形態に係る画像記録体の作製装置を示す概略構成図である。
【図3】実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。
【図4】実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【図5】他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。
【図6】他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【図7】他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略側面図である。
【図8】他の実施形態に係るラミネート装置を示す概略平面図である。
【図9】実施形態に係る丁合い装置(丁合い受け)における積層工程を示す工程図である
【符号の説明】
【0083】
1 コアシート
2 画像
3 表面フィルム
4 画像
5 裏面フィルム
6 両面テープ
7 コアシート保持ホルダー
7A 窓穴
10 画像形成装置
11 フィルム収納部
12 画像形成部
13 搬送路
14 排出口
15 搬送路
16 反転路
17 カム
20 丁合い装置
21 搬送路
22 コアシート収納部
24 搬送路
26 仮止め装置
30 ラミネート装置
31 無端ベルト
32 テンションロール
33 冷却ロール
34 加熱加圧ロール
35 インレットロール
35A フランジ
36 テンションバネ
37 冷却ファン
39 冷却板
46 箱状部材
50 クリーニング装置
51 除電装置
52 クリーニングロール
70 騒音抑制部材
70A 基材
70B ゴム層
70C シャフト


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアシートと少なくとも片面に画像が形成された光透過性フィルムとを、前記光透過性フィルムの画像が形成された面が前記コアシートの面と対向するように積層する積層手段と、
前記コアシートと光透過性フィルムとの積層体を加熱加圧することで、前記コアシートの表面を前記光透過性フィルムでラミネートするためのラミネート手段と、
を備え、
前記ラミネート手段が、
互いに対向して配置される一対の無端ベルトと、
一対の無端ベルトを張架するための一対の張架ロールと、
一対の無端ベルトのうち少なくとも一方の無端ベルトの幅方向の動きを規制する規制部材と、
前記規制部材が設けられた無端ベルトの外周面と接触して配設される接触部材と、
を備える画像記録体の作製装置。
【請求項2】
前記接触部材が、前記無端ベルトの外周面から内周面に向かって当該無端ベルトを押圧する部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項3】
前記接触部材が、一対の無端ベルト同士が対向する側とは反対の無端ベルトの外周面と接触して配設される請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項4】
前記接触部材が、板状部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項5】
前記接触部材が、ロール状部材である請求項1に記載の画像記録媒体の作製装置。
【請求項6】
前記接触部材が、前記無端ベルトをその外周面と内周面とから挟持する部材である請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項7】
前記一対の無端ベルトが、金属製の無端ベルトである請求項1に記載の画像記録体の作製装置。
【請求項8】
互いに対向して配置される一対の無端ベルトと、
一対の無端ベルトを張架するための一対の張架ロールと、
一対の無端ベルトのうち少なくとも一方の無端ベルトの幅方向の動きを規制する規制部材と、
前記規制部材が設けられた無端ベルトの外周面と接触して配設される接触部材と、
を備え、
前記一対の無端ベルトの間を被ラミネート体を通過させることでラミネートするラミネート装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−76153(P2010−76153A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244826(P2008−244826)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】