画像記録装置、画像記録方法および画像記録物
【課題】セキュリティ画像の意図しない視認を防止する。
【解決手段】画像記録装置1では、第1透明インク吐出機構32から紫外線可視性インクである第1透明インクが印刷媒体9の有色画像上に吐出されて透明なセキュリティ画像が記録され、第2透明インク吐出機構33から第2透明インクがセキュリティ画像上に吐出され、セキュリティ画像全体を被覆する透明なカムフラージュ画像が記録される。これにより、印刷物を傾けて見た場合等であっても、第1透明インクに含まれる樹脂粒子等によるセキュリティ画像の光沢(いわゆる、テカリ)が、カムフラージュ画像の光沢により打ち消されて判別不能となる。その結果、セキュリティ画像の光沢に起因するセキュリティ画像の意図しない視認を防止することができる。
【解決手段】画像記録装置1では、第1透明インク吐出機構32から紫外線可視性インクである第1透明インクが印刷媒体9の有色画像上に吐出されて透明なセキュリティ画像が記録され、第2透明インク吐出機構33から第2透明インクがセキュリティ画像上に吐出され、セキュリティ画像全体を被覆する透明なカムフラージュ画像が記録される。これにより、印刷物を傾けて見た場合等であっても、第1透明インクに含まれる樹脂粒子等によるセキュリティ画像の光沢(いわゆる、テカリ)が、カムフラージュ画像の光沢により打ち消されて判別不能となる。その結果、セキュリティ画像の光沢に起因するセキュリティ画像の意図しない視認を防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録する技術および画像記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙等の印刷媒体上に印刷された画像の摩耗や褪色を防止するために、透明な保護層を画像上に設けることが行われている。また、近年では、印刷された画像上に透明インクを重ねて塗布することにより、印刷物の表面に光沢性をもたせることも行われている。例えば、特許文献1では、印刷媒体上に着色インクにて記録された印字層の上に、クリアインクによるオーバーコート層を形成して光沢感を制御する技術が開示されている。
【0003】
一方、印刷物の偽造防止等、セキュリティを向上するために、印字層を重ねる技術が提案されている。例えば、特許文献2では、青色または緑色等の視覚感度が小さい色のインクにより真正の文字等を印刷した印刷部上に、赤色や黄色等の視覚感度が大きい色のインクにより他の文字等を印刷することにより、真正の文字等を通常では判読できなくする技術が開示されている。真正の文字等は、印刷物上に赤色フィルタを載置することにより、レリーフ状に浮き上がって見える。
【0004】
また、印刷物のセキュリティ向上のために、ホログラムや暗号画像(いわゆる、透かし)を印刷物上に形成することが行われている。例えば、特許文献3では、1つの記録媒体の表面上に、市場で見て認識できるオバート領域と、特別の器具を使わないと認識できないコバート領域とを設ける技術が開示されている。当該記録媒体上では、オバート領域とコバート領域とが重ね合わされてもよい。コバート領域には、蛍光インクや燐光インクのように紫外線を照射することで発光する透明インクによりパターンが印刷される。このような紫外線可視性インクにより印刷されたパターンは、太陽光や蛍光灯の光のような可視光の照射では発光しないため、可視光下ではほとんど読み取ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−314350号公報
【特許文献2】特開昭64−13581号公報
【特許文献3】国際公開第2003/053708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のように有色インクにて印刷された真正の文字等の上に、他の有色インクにて他の文字等を印刷した場合、印刷時に両方の有色インクが混じってしまい、フィルタを介して印刷物を見た場合であっても真正の文字等を明確に認識することができないおそれがある。
【0007】
また、特許文献3のように、透明な紫外線可視性インクによりコバート領域のパターンを印刷した場合であっても、紫外線可視性インクに含まれる接着樹脂や乾燥防止剤等により生じるパターンの光沢感により、印刷物を傾けて見るとコバート領域のパターンが認識されてしまう(テカって見えてしまう)ことがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光沢に起因するセキュリティ画像の意図しない視認を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像記録装置であって、透明な第1画像記録材料を記録媒体に付与する第1付与機構と、透明な第2画像記録材料を前記記録媒体に付与する第2付与機構と、前記記録媒体を前記第1付与機構および前記第2付与機構に対して相対的に移動する移動機構と、前記第1付与機構、前記第2付与機構および前記移動機構を制御することにより、前記第1画像記録材料にて前記記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録し、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を前記第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する制御部とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置であって、有色の第3画像記録材料を前記記録媒体に付与する第3付与機構をさらに備え、前記制御部により前記第3付与機構および前記移動機構が制御されることにより、前記記録媒体上に有色画像が記録され、前記セキュリティ画像および前記カムフラージュ画像は、前記有色画像上に配置される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置であって、前記セキュリティ画像の全体が、前記カムフラージュ画像により被覆される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像がベタ画像である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像が、ハーフトーン処理されたチント画像である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像が、前記セキュリティ画像のエッジの全周に接する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像記録装置であって、前記第1画像記録材料が、紫外線可視性材料である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像記録装置であって、前記第2画像記録材料が、前記第1画像記録材料とは発色が異なる紫外線可視性材料である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像記録装置であって、前記第1画像記録材料および前記第2画像記録材料がそれぞれ透明インクであり、前記第1付与機構および前記第2付与機構がそれぞれ、透明インクの微小液滴を前記記録媒体に向けて吐出する吐出機構である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、画像記録方法であって、a)第1画像記録材料にて記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録する工程と、b)前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する工程とを備える。
【0019】
請求項11に記載の発明は、画像記録物であって、記録媒体と、第1画像記録材料にて前記記録媒体上に記録された透明なセキュリティ画像と、第2画像記録材料にて、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接して、または、重なって前記記録媒体上に記録された透明なカムフラージュ画像とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、セキュリティ画像の意図しない視認を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一の実施の形態に係る画像記録装置の構成を示す図である。
【図2】印刷媒体を示す図である。
【図3】有色画像を示す図である。
【図4】セキュリティ画像を示す図である。
【図5】カムフラージュ画像を示す図である。
【図6】画像記録の流れを示す図である。
【図7】閾値マトリクスおよび元画像を抽象的に示す図である。
【図8】可視光下における印刷物を示す図である。
【図9】紫外線を照射した状態における印刷物を示す図である。
【図10】他のカムフラージュ画像を示す図である。
【図11】他のカムフラージュ画像を示す図である。
【図12】他のカムフラージュ画像およびセキュリティ画像を示す図である。
【図13】他のカムフラージュ画像およびセキュリティ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、複数の記録媒体である印刷媒体9に対してインクジェット方式にて順次カラー印刷を行う枚葉式の印刷装置である。
【0023】
図1に示すように、画像記録装置1は、複数の印刷媒体9を図1中の(+Y)方向である移動方向に移動する移動機構2、移動機構2による搬送途上の印刷媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出する吐出部3、移動機構2に印刷媒体9を供給する供給部51、印刷終了後の印刷媒体9を移動機構2から受け取る排出部52、並びに、これらの機構を制御する制御部4を備える。画像記録装置1では、吐出部3から吐出されて印刷媒体9に付与されるインクが、印刷媒体9上に画像を記録する画像記録材料である。
【0024】
移動機構2は、それぞれが1枚のシート状の印刷媒体9(本実施の形態では、印刷用紙)を吸着保持する複数のステージ21、複数のステージ21を案内する環状のガイド22、および、ガイド22内のベルトを図1中における反時計回りに移動させることにより、印刷媒体9を保持するステージ21を吐出部3の下方(すなわち、(−Z)側)において(+Y)方向に移動するベルト駆動機構(図示省略)を備える。
【0025】
吐出部3は、それぞれが複数の吐出口からインクの微小液滴を吐出する6つの吐出機構31a〜31d,32,33を備える。吐出機構31a〜31d,32,33は図1中のY方向に配列される。吐出部3において、図1中の最も(−Y)側に位置する吐出機構31aはK(ブラック)の有色インクを吐出し、吐出機構31aの(+Y)側の吐出機構31bはC(シアン)の有色インクを吐出し、吐出機構31bの(+Y)側の吐出機構31cはM(マゼンタ)の有色インクを吐出し、吐出機構31cの(+Y)側の吐出機構31dはY(イエロー)の有色インクを吐出する。なお、吐出部3では、他の色の有色インクを吐出する吐出機構が設けられてもよい。
【0026】
また、吐出機構31dの(+Y)側に位置する吐出機構32は透明インクを吐出し、吐出部3において、図1中の最も(+Y)側に位置する吐出機構33は、吐出機構32から吐出される透明インクとは異なる種類の透明インクを吐出する。以下の説明では、吐出機構32から吐出される透明インクを「第1透明インク」と呼び、吐出機構33から吐出される透明インクを「第2透明インク」と呼ぶ。また、吐出機構32を「第1透明インク吐出機構32」と呼び、吐出機構33を「第2透明インク吐出機構33」と呼ぶ。
【0027】
本実施の形態では、第1透明インクとして、可視光下では透明であり、かつ、紫外線が照射されることにより発光して可視化する不可視インク(すなわち、紫外線可視性インク)が利用される。また、第2透明インクとして、可視光下および紫外線照射時の双方において透明な(すなわち、可視光透過性および紫外線透過性を有する)不可視インクが利用される。第1透明インクおよび第2透明インクは、実質的に透明な樹脂粒子、例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸またはその誘導体の重合体や共重合体であるアクリル酸系ポリマーの粒子、ゴム系ポリマーの粒子、天然高分子化合物の粒子を、接着剤や乾燥防止剤等として含む。なお、第1透明インクおよび第2透明インクは、印刷媒体9上に定着した状態で透明になるのであれば、有色の粒子等を含んでいてもよい。
【0028】
ここで、第1透明インク、第2透明インクおよび有色インクをそれぞれ、第1画像記録材料、第2画像記録材料および第3画像記録材料とすると、第1透明インク吐出機構32は、紫外線可視性材料である透明な第1画像記録材料を印刷媒体9に付与する第1付与機構であり、第2透明インク吐出機構33は、透明な第2画像記録材料を印刷媒体9に付与する第2付与機構である。また、吐出機構31a〜31dは、有色の第3画像記録材料を印刷媒体9に付与する第3付与機構である。
【0029】
画像記録装置1では、印刷媒体9の移動方向(Y方向)に垂直なX方向に関して、吐出部3の吐出機構31a〜31d、第1透明インク吐出機構32および第2透明インク吐出機構33が印刷媒体9の幅全体に亘って(すなわち、X方向の全長に亘って)設けられており、印刷媒体9の(+Y)方向への1回の相対移動により、吐出機構31a〜31d、第1透明インク吐出機構32および第2透明インク吐出機構33が印刷媒体9上の各位置を1回だけ通過して印刷媒体9に対する印刷が完了する。すなわち、画像記録装置1では、印刷媒体9のX方向における往復移動を伴わない印刷(いわゆる、ワンパス印刷)が行われる。
【0030】
画像記録装置1にはコンピュータ7が接続されており、コンピュータ7から元画像のデータおよび網点形成用の閾値マトリクス(SPM(Screen Pattern Memory)データとも呼ばれる。)が画像記録装置1の制御部4に送られる。元画像のデータには、図2に示す印刷媒体9の(+Z)側の主面91に設定された有色画像記録領域92に描画される予定の多階調の有色画像のデータ、セキュリティ領域93に描画される予定の多階調のセキュリティ画像のデータ、および、カムフラージュ領域94に描画される予定の多階調のカムフラージュ画像のデータが含まれている。なお、図2では、有色画像記録領域92、セキュリティ領域93およびカムフラージュ領域94を破線にて示す。
【0031】
図2では、印刷媒体9の主面91上に、各1つの有色画像記録領域92およびカムフラージュ領域94が設定され、2つセキュリティ領域93が設定される。カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92とおよそ一致しており、2つのセキュリティ領域93は、有色画像記録領域92およびカムフラージュ領域94に含まれる。本実施の形態では、カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92の全体を含む。
【0032】
図3ないし図5はそれぞれ、有色画像95、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97の例を示す図である。有色画像95は、図3に示すようなイラストであってもよく、自然画像、人物画像等であってもよい。セキュリティ画像96は、図4に示すような企業のロゴや2次元コードであってもよく、印刷媒体9に係る警告や認証のメッセージ、紋様、暗号文字列、バーコード等であってもよい。セキュリティ画像とは、可視光下において肉眼では視認不能(または、視認困難)な透明画像であって、特殊な条件下(本実施の形態では、紫外線蛍光灯等により紫外線が照射されている状態)において視認可能となる画像であり、不可視画像ともいう。カムフラージュ画像97は、例えば、図5に示すように、カムフラージュ領域94の全体に設けられたベタ画像である。
【0033】
図6は、画像記録装置1による画像記録(すなわち、印刷)の流れを示す図である。画像記録装置1では、制御部4(図1参照)において、元画像のデータおよび閾値マトリクスに基づいて、有色画像95を表現する網点画像の信号(以下、「第1網点画像データ」という。)、セキュリティ画像96を表現する網点画像の信号(以下、「第2網点画像データ」という。)、および、カムフラージュ画像97を表現する網点画像の信号(以下、「第3網点画像データ」という。)が生成される(ステップS11)。第1網点画像データは、元画像に含まれる有色画像95のデータをK,C,M,Yの各色に分版し、分版された画像データを閾値マトリクスにより網点化することにより生成されたK,C,M,Yの各色の網点画像データを有する。
【0034】
元画像の網点化に際しては(すなわち、元画像を表現する網点画像を生成する際には)、図7に示すように元画像70を同一の大きさの多数の領域に分割して網点化の単位となる繰り返し領域71が設定される。制御部4のSPM(Screen Pattern Memory)は、一の繰り返し領域71に相当する記憶領域であるマトリクス空間(マトリクス領域)を有し、マトリクス空間の各アドレス(すなわち、繰り返し領域71の各画素に対応するマトリクス空間の座標(画素))に閾値が設定されることにより閾値マトリクス710が生成される。
【0035】
そして、概念的には元画像70の各繰り返し領域71と閾値マトリクス710とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の階調レベルと閾値マトリクス710の対応する閾値とが比較されることにより、網点記録媒体である印刷媒体9上のその画素の位置に描画を行うか否か(すなわち、インクの液滴を吐出するか否か)が決定される。したがって、仮に元画像70の階調レベルが一様である場合は、閾値マトリクス710においてその階調レベルよりも小さな閾値が設定されているアドレスの画素に描画が行われ、巨視的には一様な網点が生成されることとなる。実際には元画像70は濃淡(すなわち、様々な階調レベルの部位)を有するため、繰り返し領域71内において元画像70の濃淡に応じて網点の状態が変化することとなる。
【0036】
続いて、図1に示す印刷媒体9が供給部51からステージ21上に供給されて保持され、制御部4により制御される移動機構2により(+Y)方向に移動する。そして、第1網点画像データに基づいて、吐出部3の吐出機構31a〜31dが制御部4により制御されることにより、(+Y)方向に移動する印刷媒体9の有色画像記録領域92(図2参照)に向けてK,C,M,Yの有色インクが吐出されて有色画像95(図3参照)が記録される(ステップS12)。また、第2網点画像データに基づいて第1透明インク吐出機構32が制御されることにより、印刷媒体9のセキュリティ領域93に、透明なセキュリティ画像96(図4参照)が第1透明インクにて記録される(ステップS13)。さらに、第3網点画像データに基づいて第2透明インク吐出機構33が制御されることにより、印刷媒体9のカムフラージュ領域94に、透明なカムフラージュ画像97(図5参照)が第2透明インクにて記録される(ステップS14)。
【0037】
画像記録装置1では、印刷媒体9のY方向の各部位に対して有色画像95の記録(ステップS12)、セキュリティ画像96の記録(ステップS13)およびカムフラージュ画像97の記録(ステップS14)が順次行われることにより、印刷媒体9の全体に対する有色画像95、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97の記録(ステップS12〜S14)が、およそ並行して行われる。そして、主面91上に有色画像95が配置され、有色画像95上にセキュリティ画像96が配置され、セキュリティ画像96上にカムフラージュ画像97が配置された画像記録物である印刷物が形成され、排出部52により回収される。当該印刷物では、セキュリティ画像96が記録されるセキュリティ領域93が上述のようにカムフラージュ領域94に含まれており、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97により被覆される。当然、カムフラージュ画像97は、セキュリティ画像96のエッジに全周に亘って重なる。画像記録装置1では、複数の印刷媒体9に対する上述の印刷(すなわち、画像の記録)が順次行われる。
【0038】
図8は、画像記録装置1により記録媒体9に画像が記録された画像記録物である印刷物90を示す図である。図8に示すように、印刷物90は、可視光下では有色画像95のみが視認可能であり、透明なセキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97は視認されない。図8では、セキュリティ画像96の各文字および二次元コードが記録されるおよその位置、および、カムフラージュ画像97の輪郭を二点鎖線にて示す。印刷物90では、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97により被覆されるため、例えば、印刷物90を傾けて見た場合等であっても、第1透明インクに含まれる樹脂粒子等によるセキュリティ画像96の光沢(いわゆる、テカリ)が、カムフラージュ画像97の光沢により打ち消されて判別不能となる。換言すれば、セキュリティ画像96の光沢は、カムフラージュ画像97の層により阻害されて観察者に認識されない。その結果、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。
【0039】
一方、印刷物90では、紫外線を照射することによりセキュリティ画像96が発光し、図9に示すように、有色画像95上に重なるセキュリティ画像96を視認することができる。カムフラージュ画像97は紫外線を透過するため、観察者は、カムフラージュ画像97を介してセキュリティ画像96を明確に視認することができ、印刷物90が偽造品でないことを容易に確認することができる。
【0040】
上述のように、印刷物90のカムフラージュ画像97は、カムフラージュ領域94の全体に設けられたベタ画像である。このため、画像記録装置1において、カムフラージュ画像97を容易に記録することができる。また、カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92の全体を含むため、有色画像95全体が、透明インクで記録されたカムフラージュ画像97により被覆される。このように、有色画像95がカムフラージュ画像97によりオーバーコートされることにより、有色画像95の耐摩耗性が向上されるとともに褪色が抑制される。
【0041】
印刷物90では、第2透明インクが、第1透明インクとは発色が異なる紫外線可視性インクであってもよい。この場合、印刷物90に紫外線を照射すると、例えば、青色のカムフラージュ画像97の中に、赤色のセキュリティ画像96が浮かび上がるようにして見える。したがって、セキュリティ画像96を明確に視認することができる。
【0042】
画像記録装置1では、カムフラージュ画像97として必ずしもベタ画像が記録される必要はない。図10は、他のカムフラージュ画像97aを示す図である。カムフラージュ画像97aは、カムフラージュ領域94の全体に設けられるとともにハーフトーン処理されたチント画像である。カムフラージュ画像97aが設けられる印刷物においても、上述の印刷物90と同様に、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97aにより被覆されるため、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。また、カムフラージュ画像97aが、ハーフトーン処理されたチント画像であるため、ベタ画像であるカムフラージュ画像97を記録する場合と比較して、第2透明インクの使用量を低減することができる。
【0043】
なお、ドット単位で見れば、セキュリティ画像96を構成する多数のドットには、カムフラージュ画像97aを記録する第2透明インクにより被覆されていないドットも含まれる可能性はあるが、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97aにより実質的に被覆されるため、上述のように、セキュリティ画像96の意図しない視認は防止される。
【0044】
画像記録装置1では、また、図11に示すカムフラージュ画像97bが記録されてもよい。カムフラージュ画像97bは、第2透明インクが第2透明インク吐出機構33により吐出され、カムフラージュ領域94のうち第1透明インクが存在しない領域全体に付与されることにより記録される。換言すれば、カムフラージュ画像97bは、セキュリティ画像96(図4参照)のエッジの全周に接しており、セキュリティ画像96を反転させた画像である。また、カムフラージュ画像97bは、セキュリティ画像96を避けてカムフラージュ領域94の全体に記録されたベタ画像であるとも言える。
【0045】
カムフラージュ画像97bが設けられる印刷物では、セキュリティ画像96の光沢とカムフラージュ画像97bの光沢とが混じり合って判別不能となるため、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。また、カムフラージュ領域94全体に記録されたベタ画像であるカムフラージュ画像97と比較して、第2透明インクの使用量を低減することができる。
【0046】
このように、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像が設けられる印刷物では、カムフラージュ画像がセキュリティ画像96のエッジに接していれば、必ずしも、カムフラージュ画像はセキュリティ画像96およびそのエッジに重なっていなくとも、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。
【0047】
カムフラージュ画像97bが設けられる印刷物では、カムフラージュ画像97bの厚さ(すなわち、第2透明インクにより形成される層の厚さ)は、セキュリティ画像96の厚さ(すなわち、第1透明インクにより形成される層の厚さ)におよそ等しい。このため、セキュリティ画像96とカムフラージュ画像97とを合わせた透明画像の層の厚さがおよそ均一となり、その結果、セキュリティ画像96の意図しない視認をより一層防止することができる。一方、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97,97aにより被覆される印刷物では、カムフラージュ画像97,97aを容易に記録することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0049】
カムフラージュ画像は、上述の図5、図10および図11に示すものには限定されず、例えば、カムフラージュ領域94の一方から他方に向かうに従って濃度が漸次増大するグラディエーション画像であってもよい。
【0050】
図5および図10のカムフラージュ画像97,97aは、セキュリティ画像96の全体を被覆しているが、図12に示すように、矩形のカムフラージュ画像97cにより、凸型のセキュリティ画像96aの凸部のみが被覆され、セキュリティ画像96aの全体形状が認識されないようにしてもよい。あるいは、図13に示すように、凹状のカムフラージュ画像97dがセキュリティ画像96aの凸部に接するようにセキュリティ画像96aに隣接して設けられることにより、セキュリティ画像96aの全体形状が認識されないようにしてもよい。換言すれば、カムフラージュ画像は、セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に重なる、または、接する。これにより、セキュリティ画像96aの全体形状の意図しない視認(認識)を防止することができる。
【0051】
カムフラージュ画像が記録されるカムフラージュ領域94は、必ずしも、有色画像記録領域92全体を含む必要はない。例えば、有色画像記録領域92よりも小さいカムフラージュ領域94が有色画像記録領域92内に設定されてもよく、必要に応じて、複数のカムフラージュ領域94が設定されてもよい。また、セキュリティ画像96が有色画像記録領域92の外側に記録される場合等、カムフラージュ領域94は、有色画像記録領域92と重なっていなくてもよい。
【0052】
印刷媒体9上には、必ずしも有色画像95が設けられる必要はなく、印刷媒体9の主面91上に直接、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像が設けられてもよい。この場合、画像記録装置1の吐出部3から、吐出機構31a〜31dは省略されてもよい。また、画像記録装置1では、印刷媒体9が、所定の移動方向に吐出部3に対して相対的に移動されるのであれば、例えば、印刷媒体9が固定された状態で、吐出部3が当該移動方向に移動されてもよい。
【0053】
画像記録装置1の構造は、吐出部3が印刷媒体9の移動方向に垂直な方向に往復移動し、吐出部3の1回の移動毎に印刷媒体9が移動方向に所定距離だけ移動される(いわゆる、シャトル印刷を行う)印刷装置に適用されてもよい。また、画像記録装置1では、例えば、ロール紙等の長尺状の印刷媒体に対して画像記録が行われてもよい。
【0054】
画像記録装置1の構造は、有版印刷または無版印刷を行う様々な画像記録装置に利用されてよい。例えば、印刷媒体にトナーを付与して画像を記録する電子写真式の画像記録装置に、画像記録装置1の構造が適用されてもよい。この場合、印刷媒体に付与される第1画像記録材料および第2画像記録材料として透明トナーが利用される。
【0055】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0056】
1 画像記録装置
2 移動機構
4 制御部
9 印刷媒体
31a〜31d 吐出機構
32 第1透明インク吐出機構
33 第2透明インク吐出機構
90 印刷物
95 有色画像
96,96a セキュリティ画像
97,97a〜97d カムフラージュ画像
S11〜S14 ステップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を記録する技術および画像記録物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙等の印刷媒体上に印刷された画像の摩耗や褪色を防止するために、透明な保護層を画像上に設けることが行われている。また、近年では、印刷された画像上に透明インクを重ねて塗布することにより、印刷物の表面に光沢性をもたせることも行われている。例えば、特許文献1では、印刷媒体上に着色インクにて記録された印字層の上に、クリアインクによるオーバーコート層を形成して光沢感を制御する技術が開示されている。
【0003】
一方、印刷物の偽造防止等、セキュリティを向上するために、印字層を重ねる技術が提案されている。例えば、特許文献2では、青色または緑色等の視覚感度が小さい色のインクにより真正の文字等を印刷した印刷部上に、赤色や黄色等の視覚感度が大きい色のインクにより他の文字等を印刷することにより、真正の文字等を通常では判読できなくする技術が開示されている。真正の文字等は、印刷物上に赤色フィルタを載置することにより、レリーフ状に浮き上がって見える。
【0004】
また、印刷物のセキュリティ向上のために、ホログラムや暗号画像(いわゆる、透かし)を印刷物上に形成することが行われている。例えば、特許文献3では、1つの記録媒体の表面上に、市場で見て認識できるオバート領域と、特別の器具を使わないと認識できないコバート領域とを設ける技術が開示されている。当該記録媒体上では、オバート領域とコバート領域とが重ね合わされてもよい。コバート領域には、蛍光インクや燐光インクのように紫外線を照射することで発光する透明インクによりパターンが印刷される。このような紫外線可視性インクにより印刷されたパターンは、太陽光や蛍光灯の光のような可視光の照射では発光しないため、可視光下ではほとんど読み取ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−314350号公報
【特許文献2】特開昭64−13581号公報
【特許文献3】国際公開第2003/053708号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2のように有色インクにて印刷された真正の文字等の上に、他の有色インクにて他の文字等を印刷した場合、印刷時に両方の有色インクが混じってしまい、フィルタを介して印刷物を見た場合であっても真正の文字等を明確に認識することができないおそれがある。
【0007】
また、特許文献3のように、透明な紫外線可視性インクによりコバート領域のパターンを印刷した場合であっても、紫外線可視性インクに含まれる接着樹脂や乾燥防止剤等により生じるパターンの光沢感により、印刷物を傾けて見るとコバート領域のパターンが認識されてしまう(テカって見えてしまう)ことがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、光沢に起因するセキュリティ画像の意図しない視認を防止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、画像記録装置であって、透明な第1画像記録材料を記録媒体に付与する第1付与機構と、透明な第2画像記録材料を前記記録媒体に付与する第2付与機構と、前記記録媒体を前記第1付与機構および前記第2付与機構に対して相対的に移動する移動機構と、前記第1付与機構、前記第2付与機構および前記移動機構を制御することにより、前記第1画像記録材料にて前記記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録し、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を前記第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する制御部とを備える。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置であって、有色の第3画像記録材料を前記記録媒体に付与する第3付与機構をさらに備え、前記制御部により前記第3付与機構および前記移動機構が制御されることにより、前記記録媒体上に有色画像が記録され、前記セキュリティ画像および前記カムフラージュ画像は、前記有色画像上に配置される。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置であって、前記セキュリティ画像の全体が、前記カムフラージュ画像により被覆される。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像がベタ画像である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像が、ハーフトーン処理されたチント画像である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の画像記録装置であって、前記カムフラージュ画像が、前記セキュリティ画像のエッジの全周に接する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像記録装置であって、前記第1画像記録材料が、紫外線可視性材料である。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像記録装置であって、前記第2画像記録材料が、前記第1画像記録材料とは発色が異なる紫外線可視性材料である。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像記録装置であって、前記第1画像記録材料および前記第2画像記録材料がそれぞれ透明インクであり、前記第1付与機構および前記第2付与機構がそれぞれ、透明インクの微小液滴を前記記録媒体に向けて吐出する吐出機構である。
【0018】
請求項10に記載の発明は、画像記録方法であって、a)第1画像記録材料にて記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録する工程と、b)前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する工程とを備える。
【0019】
請求項11に記載の発明は、画像記録物であって、記録媒体と、第1画像記録材料にて前記記録媒体上に記録された透明なセキュリティ画像と、第2画像記録材料にて、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接して、または、重なって前記記録媒体上に記録された透明なカムフラージュ画像とを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、セキュリティ画像の意図しない視認を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一の実施の形態に係る画像記録装置の構成を示す図である。
【図2】印刷媒体を示す図である。
【図3】有色画像を示す図である。
【図4】セキュリティ画像を示す図である。
【図5】カムフラージュ画像を示す図である。
【図6】画像記録の流れを示す図である。
【図7】閾値マトリクスおよび元画像を抽象的に示す図である。
【図8】可視光下における印刷物を示す図である。
【図9】紫外線を照射した状態における印刷物を示す図である。
【図10】他のカムフラージュ画像を示す図である。
【図11】他のカムフラージュ画像を示す図である。
【図12】他のカムフラージュ画像およびセキュリティ画像を示す図である。
【図13】他のカムフラージュ画像およびセキュリティ画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る画像記録装置1の構成を示す図である。画像記録装置1は、複数の記録媒体である印刷媒体9に対してインクジェット方式にて順次カラー印刷を行う枚葉式の印刷装置である。
【0023】
図1に示すように、画像記録装置1は、複数の印刷媒体9を図1中の(+Y)方向である移動方向に移動する移動機構2、移動機構2による搬送途上の印刷媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出する吐出部3、移動機構2に印刷媒体9を供給する供給部51、印刷終了後の印刷媒体9を移動機構2から受け取る排出部52、並びに、これらの機構を制御する制御部4を備える。画像記録装置1では、吐出部3から吐出されて印刷媒体9に付与されるインクが、印刷媒体9上に画像を記録する画像記録材料である。
【0024】
移動機構2は、それぞれが1枚のシート状の印刷媒体9(本実施の形態では、印刷用紙)を吸着保持する複数のステージ21、複数のステージ21を案内する環状のガイド22、および、ガイド22内のベルトを図1中における反時計回りに移動させることにより、印刷媒体9を保持するステージ21を吐出部3の下方(すなわち、(−Z)側)において(+Y)方向に移動するベルト駆動機構(図示省略)を備える。
【0025】
吐出部3は、それぞれが複数の吐出口からインクの微小液滴を吐出する6つの吐出機構31a〜31d,32,33を備える。吐出機構31a〜31d,32,33は図1中のY方向に配列される。吐出部3において、図1中の最も(−Y)側に位置する吐出機構31aはK(ブラック)の有色インクを吐出し、吐出機構31aの(+Y)側の吐出機構31bはC(シアン)の有色インクを吐出し、吐出機構31bの(+Y)側の吐出機構31cはM(マゼンタ)の有色インクを吐出し、吐出機構31cの(+Y)側の吐出機構31dはY(イエロー)の有色インクを吐出する。なお、吐出部3では、他の色の有色インクを吐出する吐出機構が設けられてもよい。
【0026】
また、吐出機構31dの(+Y)側に位置する吐出機構32は透明インクを吐出し、吐出部3において、図1中の最も(+Y)側に位置する吐出機構33は、吐出機構32から吐出される透明インクとは異なる種類の透明インクを吐出する。以下の説明では、吐出機構32から吐出される透明インクを「第1透明インク」と呼び、吐出機構33から吐出される透明インクを「第2透明インク」と呼ぶ。また、吐出機構32を「第1透明インク吐出機構32」と呼び、吐出機構33を「第2透明インク吐出機構33」と呼ぶ。
【0027】
本実施の形態では、第1透明インクとして、可視光下では透明であり、かつ、紫外線が照射されることにより発光して可視化する不可視インク(すなわち、紫外線可視性インク)が利用される。また、第2透明インクとして、可視光下および紫外線照射時の双方において透明な(すなわち、可視光透過性および紫外線透過性を有する)不可視インクが利用される。第1透明インクおよび第2透明インクは、実質的に透明な樹脂粒子、例えば、アクリル酸若しくはメタクリル酸またはその誘導体の重合体や共重合体であるアクリル酸系ポリマーの粒子、ゴム系ポリマーの粒子、天然高分子化合物の粒子を、接着剤や乾燥防止剤等として含む。なお、第1透明インクおよび第2透明インクは、印刷媒体9上に定着した状態で透明になるのであれば、有色の粒子等を含んでいてもよい。
【0028】
ここで、第1透明インク、第2透明インクおよび有色インクをそれぞれ、第1画像記録材料、第2画像記録材料および第3画像記録材料とすると、第1透明インク吐出機構32は、紫外線可視性材料である透明な第1画像記録材料を印刷媒体9に付与する第1付与機構であり、第2透明インク吐出機構33は、透明な第2画像記録材料を印刷媒体9に付与する第2付与機構である。また、吐出機構31a〜31dは、有色の第3画像記録材料を印刷媒体9に付与する第3付与機構である。
【0029】
画像記録装置1では、印刷媒体9の移動方向(Y方向)に垂直なX方向に関して、吐出部3の吐出機構31a〜31d、第1透明インク吐出機構32および第2透明インク吐出機構33が印刷媒体9の幅全体に亘って(すなわち、X方向の全長に亘って)設けられており、印刷媒体9の(+Y)方向への1回の相対移動により、吐出機構31a〜31d、第1透明インク吐出機構32および第2透明インク吐出機構33が印刷媒体9上の各位置を1回だけ通過して印刷媒体9に対する印刷が完了する。すなわち、画像記録装置1では、印刷媒体9のX方向における往復移動を伴わない印刷(いわゆる、ワンパス印刷)が行われる。
【0030】
画像記録装置1にはコンピュータ7が接続されており、コンピュータ7から元画像のデータおよび網点形成用の閾値マトリクス(SPM(Screen Pattern Memory)データとも呼ばれる。)が画像記録装置1の制御部4に送られる。元画像のデータには、図2に示す印刷媒体9の(+Z)側の主面91に設定された有色画像記録領域92に描画される予定の多階調の有色画像のデータ、セキュリティ領域93に描画される予定の多階調のセキュリティ画像のデータ、および、カムフラージュ領域94に描画される予定の多階調のカムフラージュ画像のデータが含まれている。なお、図2では、有色画像記録領域92、セキュリティ領域93およびカムフラージュ領域94を破線にて示す。
【0031】
図2では、印刷媒体9の主面91上に、各1つの有色画像記録領域92およびカムフラージュ領域94が設定され、2つセキュリティ領域93が設定される。カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92とおよそ一致しており、2つのセキュリティ領域93は、有色画像記録領域92およびカムフラージュ領域94に含まれる。本実施の形態では、カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92の全体を含む。
【0032】
図3ないし図5はそれぞれ、有色画像95、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97の例を示す図である。有色画像95は、図3に示すようなイラストであってもよく、自然画像、人物画像等であってもよい。セキュリティ画像96は、図4に示すような企業のロゴや2次元コードであってもよく、印刷媒体9に係る警告や認証のメッセージ、紋様、暗号文字列、バーコード等であってもよい。セキュリティ画像とは、可視光下において肉眼では視認不能(または、視認困難)な透明画像であって、特殊な条件下(本実施の形態では、紫外線蛍光灯等により紫外線が照射されている状態)において視認可能となる画像であり、不可視画像ともいう。カムフラージュ画像97は、例えば、図5に示すように、カムフラージュ領域94の全体に設けられたベタ画像である。
【0033】
図6は、画像記録装置1による画像記録(すなわち、印刷)の流れを示す図である。画像記録装置1では、制御部4(図1参照)において、元画像のデータおよび閾値マトリクスに基づいて、有色画像95を表現する網点画像の信号(以下、「第1網点画像データ」という。)、セキュリティ画像96を表現する網点画像の信号(以下、「第2網点画像データ」という。)、および、カムフラージュ画像97を表現する網点画像の信号(以下、「第3網点画像データ」という。)が生成される(ステップS11)。第1網点画像データは、元画像に含まれる有色画像95のデータをK,C,M,Yの各色に分版し、分版された画像データを閾値マトリクスにより網点化することにより生成されたK,C,M,Yの各色の網点画像データを有する。
【0034】
元画像の網点化に際しては(すなわち、元画像を表現する網点画像を生成する際には)、図7に示すように元画像70を同一の大きさの多数の領域に分割して網点化の単位となる繰り返し領域71が設定される。制御部4のSPM(Screen Pattern Memory)は、一の繰り返し領域71に相当する記憶領域であるマトリクス空間(マトリクス領域)を有し、マトリクス空間の各アドレス(すなわち、繰り返し領域71の各画素に対応するマトリクス空間の座標(画素))に閾値が設定されることにより閾値マトリクス710が生成される。
【0035】
そして、概念的には元画像70の各繰り返し領域71と閾値マトリクス710とを重ね合わせ、繰り返し領域71の各画素の階調レベルと閾値マトリクス710の対応する閾値とが比較されることにより、網点記録媒体である印刷媒体9上のその画素の位置に描画を行うか否か(すなわち、インクの液滴を吐出するか否か)が決定される。したがって、仮に元画像70の階調レベルが一様である場合は、閾値マトリクス710においてその階調レベルよりも小さな閾値が設定されているアドレスの画素に描画が行われ、巨視的には一様な網点が生成されることとなる。実際には元画像70は濃淡(すなわち、様々な階調レベルの部位)を有するため、繰り返し領域71内において元画像70の濃淡に応じて網点の状態が変化することとなる。
【0036】
続いて、図1に示す印刷媒体9が供給部51からステージ21上に供給されて保持され、制御部4により制御される移動機構2により(+Y)方向に移動する。そして、第1網点画像データに基づいて、吐出部3の吐出機構31a〜31dが制御部4により制御されることにより、(+Y)方向に移動する印刷媒体9の有色画像記録領域92(図2参照)に向けてK,C,M,Yの有色インクが吐出されて有色画像95(図3参照)が記録される(ステップS12)。また、第2網点画像データに基づいて第1透明インク吐出機構32が制御されることにより、印刷媒体9のセキュリティ領域93に、透明なセキュリティ画像96(図4参照)が第1透明インクにて記録される(ステップS13)。さらに、第3網点画像データに基づいて第2透明インク吐出機構33が制御されることにより、印刷媒体9のカムフラージュ領域94に、透明なカムフラージュ画像97(図5参照)が第2透明インクにて記録される(ステップS14)。
【0037】
画像記録装置1では、印刷媒体9のY方向の各部位に対して有色画像95の記録(ステップS12)、セキュリティ画像96の記録(ステップS13)およびカムフラージュ画像97の記録(ステップS14)が順次行われることにより、印刷媒体9の全体に対する有色画像95、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97の記録(ステップS12〜S14)が、およそ並行して行われる。そして、主面91上に有色画像95が配置され、有色画像95上にセキュリティ画像96が配置され、セキュリティ画像96上にカムフラージュ画像97が配置された画像記録物である印刷物が形成され、排出部52により回収される。当該印刷物では、セキュリティ画像96が記録されるセキュリティ領域93が上述のようにカムフラージュ領域94に含まれており、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97により被覆される。当然、カムフラージュ画像97は、セキュリティ画像96のエッジに全周に亘って重なる。画像記録装置1では、複数の印刷媒体9に対する上述の印刷(すなわち、画像の記録)が順次行われる。
【0038】
図8は、画像記録装置1により記録媒体9に画像が記録された画像記録物である印刷物90を示す図である。図8に示すように、印刷物90は、可視光下では有色画像95のみが視認可能であり、透明なセキュリティ画像96およびカムフラージュ画像97は視認されない。図8では、セキュリティ画像96の各文字および二次元コードが記録されるおよその位置、および、カムフラージュ画像97の輪郭を二点鎖線にて示す。印刷物90では、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97により被覆されるため、例えば、印刷物90を傾けて見た場合等であっても、第1透明インクに含まれる樹脂粒子等によるセキュリティ画像96の光沢(いわゆる、テカリ)が、カムフラージュ画像97の光沢により打ち消されて判別不能となる。換言すれば、セキュリティ画像96の光沢は、カムフラージュ画像97の層により阻害されて観察者に認識されない。その結果、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。
【0039】
一方、印刷物90では、紫外線を照射することによりセキュリティ画像96が発光し、図9に示すように、有色画像95上に重なるセキュリティ画像96を視認することができる。カムフラージュ画像97は紫外線を透過するため、観察者は、カムフラージュ画像97を介してセキュリティ画像96を明確に視認することができ、印刷物90が偽造品でないことを容易に確認することができる。
【0040】
上述のように、印刷物90のカムフラージュ画像97は、カムフラージュ領域94の全体に設けられたベタ画像である。このため、画像記録装置1において、カムフラージュ画像97を容易に記録することができる。また、カムフラージュ領域94は有色画像記録領域92の全体を含むため、有色画像95全体が、透明インクで記録されたカムフラージュ画像97により被覆される。このように、有色画像95がカムフラージュ画像97によりオーバーコートされることにより、有色画像95の耐摩耗性が向上されるとともに褪色が抑制される。
【0041】
印刷物90では、第2透明インクが、第1透明インクとは発色が異なる紫外線可視性インクであってもよい。この場合、印刷物90に紫外線を照射すると、例えば、青色のカムフラージュ画像97の中に、赤色のセキュリティ画像96が浮かび上がるようにして見える。したがって、セキュリティ画像96を明確に視認することができる。
【0042】
画像記録装置1では、カムフラージュ画像97として必ずしもベタ画像が記録される必要はない。図10は、他のカムフラージュ画像97aを示す図である。カムフラージュ画像97aは、カムフラージュ領域94の全体に設けられるとともにハーフトーン処理されたチント画像である。カムフラージュ画像97aが設けられる印刷物においても、上述の印刷物90と同様に、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97aにより被覆されるため、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。また、カムフラージュ画像97aが、ハーフトーン処理されたチント画像であるため、ベタ画像であるカムフラージュ画像97を記録する場合と比較して、第2透明インクの使用量を低減することができる。
【0043】
なお、ドット単位で見れば、セキュリティ画像96を構成する多数のドットには、カムフラージュ画像97aを記録する第2透明インクにより被覆されていないドットも含まれる可能性はあるが、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97aにより実質的に被覆されるため、上述のように、セキュリティ画像96の意図しない視認は防止される。
【0044】
画像記録装置1では、また、図11に示すカムフラージュ画像97bが記録されてもよい。カムフラージュ画像97bは、第2透明インクが第2透明インク吐出機構33により吐出され、カムフラージュ領域94のうち第1透明インクが存在しない領域全体に付与されることにより記録される。換言すれば、カムフラージュ画像97bは、セキュリティ画像96(図4参照)のエッジの全周に接しており、セキュリティ画像96を反転させた画像である。また、カムフラージュ画像97bは、セキュリティ画像96を避けてカムフラージュ領域94の全体に記録されたベタ画像であるとも言える。
【0045】
カムフラージュ画像97bが設けられる印刷物では、セキュリティ画像96の光沢とカムフラージュ画像97bの光沢とが混じり合って判別不能となるため、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。また、カムフラージュ領域94全体に記録されたベタ画像であるカムフラージュ画像97と比較して、第2透明インクの使用量を低減することができる。
【0046】
このように、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像が設けられる印刷物では、カムフラージュ画像がセキュリティ画像96のエッジに接していれば、必ずしも、カムフラージュ画像はセキュリティ画像96およびそのエッジに重なっていなくとも、セキュリティ画像96の光沢に起因するセキュリティ画像96の意図しない視認を防止することができる。
【0047】
カムフラージュ画像97bが設けられる印刷物では、カムフラージュ画像97bの厚さ(すなわち、第2透明インクにより形成される層の厚さ)は、セキュリティ画像96の厚さ(すなわち、第1透明インクにより形成される層の厚さ)におよそ等しい。このため、セキュリティ画像96とカムフラージュ画像97とを合わせた透明画像の層の厚さがおよそ均一となり、その結果、セキュリティ画像96の意図しない視認をより一層防止することができる。一方、セキュリティ画像96の全体がカムフラージュ画像97,97aにより被覆される印刷物では、カムフラージュ画像97,97aを容易に記録することができる。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0049】
カムフラージュ画像は、上述の図5、図10および図11に示すものには限定されず、例えば、カムフラージュ領域94の一方から他方に向かうに従って濃度が漸次増大するグラディエーション画像であってもよい。
【0050】
図5および図10のカムフラージュ画像97,97aは、セキュリティ画像96の全体を被覆しているが、図12に示すように、矩形のカムフラージュ画像97cにより、凸型のセキュリティ画像96aの凸部のみが被覆され、セキュリティ画像96aの全体形状が認識されないようにしてもよい。あるいは、図13に示すように、凹状のカムフラージュ画像97dがセキュリティ画像96aの凸部に接するようにセキュリティ画像96aに隣接して設けられることにより、セキュリティ画像96aの全体形状が認識されないようにしてもよい。換言すれば、カムフラージュ画像は、セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に重なる、または、接する。これにより、セキュリティ画像96aの全体形状の意図しない視認(認識)を防止することができる。
【0051】
カムフラージュ画像が記録されるカムフラージュ領域94は、必ずしも、有色画像記録領域92全体を含む必要はない。例えば、有色画像記録領域92よりも小さいカムフラージュ領域94が有色画像記録領域92内に設定されてもよく、必要に応じて、複数のカムフラージュ領域94が設定されてもよい。また、セキュリティ画像96が有色画像記録領域92の外側に記録される場合等、カムフラージュ領域94は、有色画像記録領域92と重なっていなくてもよい。
【0052】
印刷媒体9上には、必ずしも有色画像95が設けられる必要はなく、印刷媒体9の主面91上に直接、セキュリティ画像96およびカムフラージュ画像が設けられてもよい。この場合、画像記録装置1の吐出部3から、吐出機構31a〜31dは省略されてもよい。また、画像記録装置1では、印刷媒体9が、所定の移動方向に吐出部3に対して相対的に移動されるのであれば、例えば、印刷媒体9が固定された状態で、吐出部3が当該移動方向に移動されてもよい。
【0053】
画像記録装置1の構造は、吐出部3が印刷媒体9の移動方向に垂直な方向に往復移動し、吐出部3の1回の移動毎に印刷媒体9が移動方向に所定距離だけ移動される(いわゆる、シャトル印刷を行う)印刷装置に適用されてもよい。また、画像記録装置1では、例えば、ロール紙等の長尺状の印刷媒体に対して画像記録が行われてもよい。
【0054】
画像記録装置1の構造は、有版印刷または無版印刷を行う様々な画像記録装置に利用されてよい。例えば、印刷媒体にトナーを付与して画像を記録する電子写真式の画像記録装置に、画像記録装置1の構造が適用されてもよい。この場合、印刷媒体に付与される第1画像記録材料および第2画像記録材料として透明トナーが利用される。
【0055】
上記実施形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0056】
1 画像記録装置
2 移動機構
4 制御部
9 印刷媒体
31a〜31d 吐出機構
32 第1透明インク吐出機構
33 第2透明インク吐出機構
90 印刷物
95 有色画像
96,96a セキュリティ画像
97,97a〜97d カムフラージュ画像
S11〜S14 ステップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録装置であって、
透明な第1画像記録材料を記録媒体に付与する第1付与機構と、
透明な第2画像記録材料を前記記録媒体に付与する第2付与機構と、
前記記録媒体を前記第1付与機構および前記第2付与機構に対して相対的に移動する移動機構と、
前記第1付与機構、前記第2付与機構および前記移動機構を制御することにより、前記第1画像記録材料にて前記記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録し、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を前記第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
有色の第3画像記録材料を前記記録媒体に付与する第3付与機構をさらに備え、
前記制御部により前記第3付与機構および前記移動機構が制御されることにより、前記記録媒体上に有色画像が記録され、
前記セキュリティ画像および前記カムフラージュ画像は、前記有色画像上に配置されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像記録装置であって、
前記セキュリティ画像の全体が、前記カムフラージュ画像により被覆されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像がベタ画像であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像が、ハーフトーン処理されたチント画像であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像が、前記セキュリティ画像のエッジの全周に接することを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記第1画像記録材料が、紫外線可視性材料であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像記録装置であって、
前記第2画像記録材料が、前記第1画像記録材料とは発色が異なる紫外線可視性材料であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記第1画像記録材料および前記第2画像記録材料がそれぞれ透明インクであり、
前記第1付与機構および前記第2付与機構がそれぞれ、透明インクの微小液滴を前記記録媒体に向けて吐出する吐出機構であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項10】
画像記録方法であって、
a)第1画像記録材料にて記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録する工程と、
b)前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する工程と、
を備えることを特徴とする画像記録方法。
【請求項11】
画像記録物であって、
記録媒体と、
第1画像記録材料にて前記記録媒体上に記録された透明なセキュリティ画像と、
第2画像記録材料にて、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接して、または、重なって前記記録媒体上に記録された透明なカムフラージュ画像と、
を備えることを特徴とする画像記録物。
【請求項1】
画像記録装置であって、
透明な第1画像記録材料を記録媒体に付与する第1付与機構と、
透明な第2画像記録材料を前記記録媒体に付与する第2付与機構と、
前記記録媒体を前記第1付与機構および前記第2付与機構に対して相対的に移動する移動機構と、
前記第1付与機構、前記第2付与機構および前記移動機構を制御することにより、前記第1画像記録材料にて前記記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録し、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を前記第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する制御部と、
を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
有色の第3画像記録材料を前記記録媒体に付与する第3付与機構をさらに備え、
前記制御部により前記第3付与機構および前記移動機構が制御されることにより、前記記録媒体上に有色画像が記録され、
前記セキュリティ画像および前記カムフラージュ画像は、前記有色画像上に配置されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像記録装置であって、
前記セキュリティ画像の全体が、前記カムフラージュ画像により被覆されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項4】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像がベタ画像であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項5】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像が、ハーフトーン処理されたチント画像であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項6】
請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記カムフラージュ画像が、前記セキュリティ画像のエッジの全周に接することを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記第1画像記録材料が、紫外線可視性材料であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像記録装置であって、
前記第2画像記録材料が、前記第1画像記録材料とは発色が異なる紫外線可視性材料であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の画像記録装置であって、
前記第1画像記録材料および前記第2画像記録材料がそれぞれ透明インクであり、
前記第1付与機構および前記第2付与機構がそれぞれ、透明インクの微小液滴を前記記録媒体に向けて吐出する吐出機構であることを特徴とする画像記録装置。
【請求項10】
画像記録方法であって、
a)第1画像記録材料にて記録媒体上に透明なセキュリティ画像を記録する工程と、
b)前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接する、または、重なる透明なカムフラージュ画像を第2画像記録材料にて前記記録媒体上に記録する工程と、
を備えることを特徴とする画像記録方法。
【請求項11】
画像記録物であって、
記録媒体と、
第1画像記録材料にて前記記録媒体上に記録された透明なセキュリティ画像と、
第2画像記録材料にて、前記セキュリティ画像のエッジの少なくとも一部に接して、または、重なって前記記録媒体上に記録された透明なカムフラージュ画像と、
を備えることを特徴とする画像記録物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−63611(P2013−63611A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204239(P2011−204239)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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