説明

画像記録装置及び消費電力低減方法

【課題】省電力化を図りながら、比較的短時間で撮影を開始できる画像記録装置及び消費電力低減方法を得る。
【解決手段】デジタルカメラ100が、再生モードにあり、かつスライドショーモード、動画再生モード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モードでないとき、撮影レンズ150は、第1省電力モードに移行して、撮影レンズ150がレンズ撮影モードにあるときの動作クロックよりも低い動作クロックで動作し、かつレンズ撮影モードにあるときの通信頻度よりも低い頻度でカメラ本体110と通信を行う。デジタルカメラ100が、スライドショーモード、動画再生モード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モードにあるとき、撮影レンズ150は、第2省電力モードに移行して、撮影レンズ150が有する全ての部材に電力を供給しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な撮影レンズを備える画像記録装置、及びその消費電力を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
操作が一定時間ないときは電源を落として省電力を図り、撮影に入るときは比較的短時間で立ち上がることができるデジタルカメラが知られている。このデジタルカメラは、電源スイッチとシャッタースイッチの状況から装置の動作状態を判定し、判定された動作状態が所定時間を超えて継続されるときにLCDのバックライトやCCD駆動回路など一部の回路の電源を落として消費電力を低減する(特許文献1)。特許文献1は、装置の動作状態として、再生モード、録画準備モード、録画待機モード、フォーカスロックモード、撮影モードを列挙する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−59675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の構成は、列挙するような動作状態になったとき、直ちに回路の電源を落としてしまう。特許文献1が列挙するような動作状態に基づいて回路の電源を落とすと、ユーザが撮影しようとするとき、撮影可能となるまでに時間がかかり、ユーザにストレスを感じさせたり、シャッターチャンスを逃したりする恐れが生じる。例えば、撮影したばかりの画像を再生モードで確認し、その画像を参考にして再度撮影を行うような場合、引用文献1に記載の構成において画像を所定時間以上観察すると、一部の回路が停止してしまい、撮影可能となるまでに多くの時間を必要とする。特に、消費電力が大きく、かつ撮影可能となるまでに多くの時間を必要とする回路の電源を落とした場合、撮影可能となるまでの時間が長くなる。
【0005】
本発明はこれらの問題に鑑みてなされたものであり、省電力化を図りながら、比較的短時間で撮影を開始できる画像記録装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願第1の発明による画像記録装置は、着脱可能な撮像レンズを介して被写体像を撮像する画像記録装置であって、複数の動作モードに応じて、画像記録装置の動作を制御する装置制御手段と、撮像レンズに供給する電力を制御するレンズ電源制御手段とを備え、動作モードが画像を再生する再生モードであるときに、所定期間以上撮像を行わない処理を装置制御手段が行うとき、撮像レンズに供給する電力をレンズ電源供給手段が切断することを特徴とする。
【0007】
画像記録装置は、画像を表示する画像表示手段をさらに備え、所定期間以上撮像を行わない処理は、画像表示手段が画像を所定の時間間隔で連続的に表示するスライドショーモードであってもよい。
【0008】
画像記録装置は、画像を表示する画像表示手段をさらに備え、所定期間以上撮像を行わない処理は、画像表示手段が動画を表示する動画再生モードであってもよい。
【0009】
画像記録装置は、画像を表示する画像表示手段と、画像表示手段に表示されている画像を編集する編集手段とをさらに備え、所定期間以上撮像を行わない処理は、画像を編集する画像編集モードであってもよい。
【0010】
画像記録装置は、画像を表示する画像表示手段と、画像表示手段に表示されている画像を次の画像又は前の画像に変更する変更手段とをさらに備え、所定期間以上撮像を行わない処理は、画像表示手段に表示されている画像を次の画像又は前の画像に変更する画像送り戻し再生モードであってもよい。
【0011】
本願第2の発明による消費電力低減方法は、着脱可能な撮像レンズを介して被写体像を撮像する画像記録装置において用いられる方法であって、画像記録装置の動作モードを、画像を再生する再生モードに移行するステップと、再生モードにおいて、所定期間以上撮像を行わない処理を実行するステップと、処理を行うとき、撮像レンズに供給する電力を切断するステップとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、省電力化を図りながら、比較的短時間で撮影を開始できる画像記録装置及び消費電力低減方法を得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像記録装置を概略的に示したブロック図である。
【図2】省電力処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明における画像記録装置の一実施形態であるデジタルカメラ100について添付図面を参照して説明する。まず、図1を用いてデジタルカメラ100の構成について説明する。
【0015】
デジタルカメラ100は、カメラ本体110及び撮影レンズ150を有する。撮影レンズ150は着脱自在にカメラ本体110と取り付けられる。
【0016】
カメラ本体110は、カメラプロセッサ111、バッテリ112、カメラ電源回路113、レンズ送電部114、モニタ115、SDカード116(登録商標)、スイッチ群117、DRAM118、及び撮像素子ユニット120を主に備える。
【0017】
カメラプロセッサ111は、カメラ本体110が備える各要素及び撮影レンズ150が備える各要素と電気的に接続され、カメラ本体110及び撮影レンズ150の動作を制御する。
【0018】
バッテリ112は、カメラプロセッサ111及びカメラ電源回路113に接続され、カメラプロセッサ111の制御のもとにカメラ電源回路113に電力を供給する。カメラ電源回路113は、バッテリ112から電力を受電して、電圧を調整し、デジタルカメラ100の各部に電力を供給する。レンズ送電部114は、カメラ電源回路113に接続され、カメラ電源回路113から受電した電力を電圧を調整しながら撮影レンズ150に送信する。
【0019】
モニタ115は、カメラプロセッサ111に接続される。撮影に必要な情報、画像の情報、及び画像等をカメラプロセッサ111がモニタ115に送信すると、モニタ115は、これらの情報や画像を表示する。
【0020】
SDカード116は、カメラプロセッサ111に接続される。カメラプロセッサ111が画像をSDカード116に送信すると、SDカード116が画像を保存する。
【0021】
スイッチ群117は、カメラプロセッサ111に接続される。ユーザは、スイッチ群117を操作して様々な情報や指示をカメラプロセッサ111に送信する。
【0022】
撮像素子ユニット120は、撮像素子121と手振れ補正部122とを備える。撮像素子121は、カメラプロセッサ111に接続され、カメラプロセッサ111の指示のもとに被写体像を撮像して、カメラプロセッサ111に画像を送信する。手振れ補正部122は、図示しないぶれ検知センサとぶれ補正モータとを備える。ぶれ検知センサは、デジタルカメラ100のぶれを検知してぶれ量をカメラプロセッサ111に送信する。カメラプロセッサ111は、ぶれ量に基づいてぶれ補正量を算出し、ぶれ補正モータに送信する。ぶれ補正モータは、撮像素子121に接続されており、ぶれ補正量に基づいて撮像素子121を駆動する。
【0023】
カメラプロセッサ111は、撮像素子121から画像を受信すると、画像に様々な処理を施して、モニタ115又はSDカード116に送信する。
【0024】
撮影レンズ150は、レンズ受電部151、レンズCPU152、モータドライバ154、シャッタモータ155、NDモータ156、絞りモータ157、AFモータ158と、ズームリング161、ズームレンズ群162、レンズシャッタ163、NDフィルタ164、絞り165と、フォーカスレンズ群166、フォーカスリング167、ズームセンサ171、レンズ位置センサ172、及びフォーカスリングセンサ173を主に備える。
【0025】
レンズ受電部151は、レンズ送信部に接続されて、撮影レンズ150が備える各部材に電力を供給する。
【0026】
レンズCPU152は、フラッシュROM153を備え、カメラプロセッサ111、モータドライバ154、ズームセンサ171、レンズ位置センサ172、及びフォーカスリングセンサ173に接続される。カメラプロセッサ111からの指示をレンズCPU152が受信すると、カメラプロセッサ111からの指示を受信して、受信した指示に応じて絞り開度の調整、ピント合わせといった様々な処理を実行する。
【0027】
モータドライバ154は、シャッタモータ155、NDモータ156、絞りモータ157、及びAFモータ158に接続され、レンズCPU152からの指示に応じて、これらのモータを駆動する。
【0028】
撮影レンズ150の光軸上に、ズームレンズ群162、レンズシャッタ163、NDフィルタ164、絞り165、及びフォーカスレンズ群166が設けられる。ズームレンズ群162にはズームリング161が取り付けられ、ユーザがズームリング161を回転させたときにズームレンズ群162が光軸方向に移動する。これにより、撮影レンズ150の焦点距離が変化する。レンズシャッタ163はシャッタモータ155に接続され、シャッタモータ155によって開閉される。これにより、撮像素子121に照射される光を通過、又は遮断する。NDフィルタ164はNDモータ156に接続され、NDモータ156によって光路上から進退する。光路上に位置するNDフィルタ164は、透過する光の光量を低下させる。絞り165は絞りモータ157に接続され、絞りモータ157によって絞り開度が調節される。これにより、絞り165を通過する光の光量が調節される。フォーカスレンズ群166は、AFモータ158に接続され、AFモータ158によって光軸方向に駆動される。これにより、ピント調節がなされ、撮像素子121に被写体像が結像する。フォーカスリング167はフォーカスレンズ群166に接続される。ユーザがフォーカスリング167を回転させたとき、フォーカスレンズ群166が光軸方向に移動する。これにより、ピント調節がなされる。
【0029】
ズームレンズ群162にズームセンサ171が取り付けられる。ズームセンサ171は、光軸方向におけるズームレンズ群162の位置を測定し、レンズCPU152に送信する。フォーカスレンズ群166にレンズ位置センサ172が取り付けられる。レンズ位置センサ172は、光軸方向におけるフォーカスレンズ群166の位置を測定し、レンズCPU152に送信する。フォーカスリング167にフォーカスリングセンサ173が取り付けられる。フォーカスリングセンサ173は、フォーカスリング167の回転角度を測定し、レンズCPU152に送信する。
【0030】
撮影レンズ150は、レンズ撮影モード、第1省電力モード、及び第2省電力モードを有する。レンズ撮影モードは被写体像を撮影するときの動作モードであって、撮影レンズ150の全ての部材に電力が供給され、撮影レンズ150は通常の動作クロックで動作し、カメラ本体110と通常の頻度で通信を行う。第1省電力モードでは、撮影レンズ150がレンズ撮影モードにあるときの動作クロックよりも低い動作クロックで動作し、かつレンズ撮影モードにあるときの通信頻度よりも低い頻度でカメラ本体110と通信を行う。デジタルカメラ100からの指示によって、後述する初期化動作を行うことなく撮影モードに移行することが可能である。第1省電力モードは、レンズ撮影モードよりも電力を消費しない。第2省電力モードは、撮影レンズ150が有する全ての部材に電力を供給しない動作モードである。デジタルカメラ100からの指示を受けると、初期化動作を行った後に撮影モードに移行する。第2省電力モードは、第1省電力モードよりも電力を消費しないが、レンズ撮影モードに移行するまでの時間は第1省電力モードよりも長い。
【0031】
次に、デジタルカメラ100の電源を入れる動作について説明する。スイッチ群117に含まれる電源スイッチをユーザが操作すると、カメラプロセッサ111に信号が送信される。信号を受信したカメラプロセッサ111はカメラ本体110各部及び撮影レンズ150へバッテリ112から電力を供給する。そして、電力を受電したカメラ本体110各部及び撮影レンズ150は、初期化動作を行う。
【0032】
撮影レンズ150の初期化動作について説明する。撮影レンズ150に電力が供給されると、シャッタモータ155、NDモータ156、絞りモータ157、及びAFモータ158を所定角度だけ回転させる命令をレンズCPU152がモータドライバ154に送信する。これによりシャッタモータ155、NDモータ156、絞りモータ157、及びAFモータ158が正確に動作するか否かを確認する。また、ズームセンサ171、レンズ位置センサ172、及びフォーカスリングセンサ173がズームレンズ群162、フォーカスレンズ群166、及びフォーカスリング167の位置を検知して、レンズCPU152に送信する。レンズCPU152は、各センサからの値に基づいて各モータを駆動して、レンズシャッタ163及び絞り165を解放し、フォーカスレンズ群166をフォーカス原点位置に移動し、NDフィルタ164の位置を初期位置に移動させる。このように、撮影レンズ150の初期化動作は時間と電力とを必要とする。
【0033】
カメラ本体110各部の初期化動作について説明する。撮像素子ユニット120は、電力を受電すると、ぶれ補正モータを駆動して、正常に動作するか否かを確認する。ぶれ補正モータが正常に動作する場合、ぶれ補正モータを駆動して撮像素子121を初期位置に移動させる。カメラプロセッサ111は、モニタ115、SDカード116、及びDRAM118に対して初期化信号を送信して、これらの部材を初期化する。カメラ本体110及び撮影レンズ150の初期化動作が完了すると、デジタルカメラ100は撮影モードで動作して、いつでも撮影可能な状態になる。
【0034】
デジタルカメラ100は、複数の動作モードを備える。動作モードは、撮影モード及び再生モードを含む。撮影モードでは、デジタルカメラ100は被写体像を撮影して静止画像又は動画像を作成し、SDカード116に静止画像又は動画像を記録する。
【0035】
再生モードは、SDカード116に記録されている静止画像又は動画像をモニタ115に表示する動作モードであって、スライドショーモード、静止画再生モード、動画再生モード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モードを有する。スイッチ群117に含まれる再生ボタンをユーザが操作すると、デジタルカメラ100が再生モードに移行し、デジタルカメラ100が再生モードであるときに再生ボタンを操作されると、デジタルカメラ100は撮影モードに移行する。
【0036】
スライドショーモードは、所定の時間間隔で連続的に静止画像をモニタ115に表示する。スイッチ群117に含まれる所定のスイッチをユーザが操作したとき、スライドショーモードにデジタルカメラ100が移行する。動画再生モードは、モニタ115に動画像を表示して再生する。スイッチ群117に含まれる所定のスイッチをユーザが操作したとき、動画再生モードにデジタルカメラ100が移行する。画像編集モードは、モニタ115に表示されている静止画像をユーザがスイッチ群117を用いて編集する動作モードである。スイッチ群117に含まれる所定のスイッチをユーザが操作したとき、画像編集モードにデジタルカメラ100が移行する。画像送り戻し再生モードは、ユーザによるスイッチ群117の操作に従って、モニタ115に表示されている静止画像をコマ送りする動作モードである。より詳しく説明すると、スイッチ群117に含まれる送りスイッチをユーザが操作したとき、現在表示されている静止画像が次の静止画像に変更され、スイッチ群117に含まれる戻しスイッチをユーザが操作したとき、現在表示されている静止画像が前の静止画像に変更される。スイッチ群117に含まれる送り又は戻しスイッチをユーザが操作して、静止画像を次の静止画像又は前の静止画像に変更したとき、デジタルカメラ100が画像送り戻し再生モードに移行する。静止画像の順番は、撮影時間順によって決められる。そして、以上の説明から解るように、デジタルカメラ100が再生モードにあるとき、撮影レンズ150は動作する必要が全くない。
【0037】
次に、図2を用いて省電力処理について説明する。省電力処理は、デジタルカメラ100の電源が投入されたときにカメラプロセッサ111によって実行され、デジタルカメラ100が所定の動作を行うときに撮影レンズ150への電力供給を遮断する。つまり、デジタルカメラ100は省電力処理を実行することによって、自らの消費電力を低減する。
【0038】
まず、ステップS21では、カメラプロセッサ111がレンズ送電部114から撮影レンズ150に電力を送電する。
【0039】
次のステップS22では、前述の初期化動作を撮影レンズ150が行う。これにより、レンズシャッタ163及び絞り165が解放され、フォーカスレンズ群166がフォーカス原点位置に移動され、NDフィルタ164の位置が初期位置に移動される。
【0040】
次のステップS23では、デジタルカメラ100が撮影処理を行う。撮影処理では、デジタルカメラ100が被写体像を撮影して画像を作成し、SDカード116に画像を記録する。
【0041】
次のステップS24では、再生ボタンが操作されたか否かを判断する。再生ボタンが操作された場合、処理はステップS25に進み、操作されない場合、処理はステップS23の撮影処理を反復する。
【0042】
ステップS25では、カメラ本体110は動作モードを再生モードに移行して再生処理を実行する。再生処理は、SDカード116に記録されている静止画像又は動画像をモニタ115に表示する処理である。
【0043】
次のステップS26では、撮影レンズ150が第1省電力モードに移行する。第1の省電力モードでは、撮影レンズ150がレンズ撮影モードにあるときの動作クロックよりも低い動作クロックで動作し、かつレンズ撮影モードにあるときの通信頻度よりも低い頻度でカメラ本体110と通信を行う。これにより、撮影レンズ150の消費電力を、レンズ撮影モードよりも抑えることが出来る。
【0044】
次のステップS27では、デジタルカメラ100が画像送り戻し再生モードにあるか否かを判断する。デジタルカメラ100が画像送り戻し再生モードである場合、処理はステップS34に進み、画像送り戻し再生モードでない場合、処理はステップS28に進む。
【0045】
次のステップS28では、デジタルカメラ100がスライドショーモードにあるか否かを判断する。デジタルカメラ100がスライドショーモードである場合、処理はステップS34に進み、スライドショーモードでない場合、処理はステップS29に進む。
【0046】
次のステップS29では、画像編集モードにあるか否かを判断する。デジタルカメラ100が画像編集モードである場合、処理はステップS34に進み、画像編集モードでない場合、処理はステップS30に進む。
【0047】
次のステップS30では、動画再生モードにあるか否かを判断する。デジタルカメラ100が動画再生モードである場合、処理はステップS34に進み、動画再生モードでない場合、処理はステップS31に進む。
【0048】
ステップS34では、撮影レンズ150が第2省電力モードに移行する。第2の省電力モードでは、撮影レンズ150が有する全ての部材に電力を供給しない。これにより、撮影レンズ150の消費電力を、レンズ撮影モード及び第1省電力モードよりも抑えることが出来る。
【0049】
次のステップS35では、再生ボタンが操作されたか、つまりONになったか否かを判断する。ONになっていない場合、処理はステップS36に進む。再生ボタンがONになった場合、処理はステップS21に戻って再度S21以降の処理を実行する。これにより、デジタルカメラ100は再生モードから撮影モードに移行し、撮影レンズ150は第2省電力モードからレンズ撮影モードに移行する。撮影レンズ150は、レンズ撮影モードに入るときに初期化動作を行う。そして、デジタルカメラ100は撮影準備を完了して撮影が可能な状態になる。
【0050】
ステップS36では、シャッターレリーズボタンが半押しされたか否かを判断する。半押しされていない場合、処理はステップS33に進む。半押しされた場合、処理はステップS21に戻って再度S21以降の処理を実行する。そして、カメラ本体110及び撮影レンズ150は、処理がステップS35からステップS21に移行したときと同様の動作を行う。
【0051】
ステップS30でデジタルカメラ100が動画再生モードでないと判断された場合、ステップS31において、再生ボタンが操作されたか、つまりONになったか否かを判断する。ONになっていない場合、処理はステップS32に進む。再生ボタンがONになった場合、処理はステップS23に戻って再度S23以降の処理を実行する。これにより、デジタルカメラ100は再生モードから撮影モードに移行し、撮影レンズ150は第1省電力モードからレンズ撮影モードに移行する。そして、デジタルカメラ100は撮影準備を完了して撮影が可能な状態になる。撮影レンズ150は、レンズ撮影モードに入るときに初期化動作を行わない。撮影レンズ150が初期化動作を行わないため、デジタルカメラ100が撮影準備を完了するまでの時間は、撮影レンズ150が第2省電力モードにあるときよりも短い。
【0052】
ステップS32では、シャッターレリーズボタンが半押しされたか否かを判断する。半押しされていない場合、処理はステップS33に進む。半押しされた場合、処理はステップS23に戻って再度S23以降の処理を実行する。そして、カメラ本体110及び撮影レンズ150は、処理がステップS31からステップS23に移行したときと同様の動作を行う。
【0053】
ステップS33では、スイッチ群117に含まれる電源スイッチがOFFにされたか否かを判断する。OFFにされた場合、処理は終了する。OFFにされていない場合、処理はステップS27に戻って再度S27以降の処理を実行する。これにより、デジタルカメラ100は再生モードで動作する。
【0054】
スライドショーモード、動画再生モード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モードのように、長時間撮影を行わないことが明らかな動作モードにおいて、撮影レンズ150を第2省電力モードに移行させて撮影レンズ150の電源を切断することによって、デジタルカメラ100の消費電力を低減できる。また、スライドショーモード、動画再生モード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モード以外の再生モード、すなわち間もなく撮影する可能性が高い再生モードでデジタルカメラ100が動作しているときに撮影レンズ150を第1省電力モードに移行させることによって、撮影レンズ150の消費電力をレンズ撮影モードにあるときよりも低減し、かつ撮影可能な状態に復帰するまでの時間を短縮できる。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、省電力モードから撮影モードに移行するまでの時間を短くし、これにより撮影開始までの時間を短縮してユーザを待たせることなく、デジタルカメラ100の消費電力を低減することができる。
【0056】
さらに本実施形態によれば、省電力モードへ移行する条件を制限して安易に省電力モードへ移行させない、すなわち、移行する条件に合えば直ぐに省電力モードに移行することができる。
【0057】
なお、スライドショーモード、画像編集モード、及び画像送り戻し再生モードにおいてモニタ115に表示する画像は静止画像でなくても良く、動画像に含まれる1フレームの静止画像であっても良い。
【0058】
また、画像送り戻し再生モードにおける静止画像の順番は撮影時間順でなくても良く、ユーザの意志によって定められた順番等であっても良い。
【0059】
第1省電力モードにおいて、レンズCPU152、レンズ位置センサ172、及びフォーカスリングセンサ173に電力を供給するが、モータドライバ154、シャッタモータ155、NDモータ156、絞りモータ157、及びAFモータ158には電力を供給しなくてもよい。また、第1省電力モードにおいて電源が供給されない部材は、前述の部材に限定されない。部材の消費電力及び初期化動作に必要な時間を按分して決定される。
【0060】
撮影レンズ150がカメラ本体110に沈胴可能に設けられる場合、第1省電力モードでは、ズームレンズ群162、レンズシャッタ163、NDフィルタ164、絞り165、及びフォーカスレンズ群166等の光軸上にある部材の全て又は一部がカメラ本体110沈胴しないように構成してもよい。
【0061】
また、ステップS26は、ステップS25とステップS27との間でなく、ステップS30でNOに進んだ後に実行されても良い。
【0062】
ステップS27からS30でYESが選択されたときが、レンズ交換が行われたときから所定期間内、又は所定のコマ数を撮影するまでの期間内であるとき、第2省電力モードに処理が移行しなくてもよい。レンズ交換が行われたときから所定期間内としたのは、ユーザは、レンズ交換を行ったときに撮影画像を確認しながら撮影を繰り返す可能性が高く、このとき第2省電力モードに移行すると撮影までの時間が長くなってしまうからである。また、所定のコマ数を撮影するまでの期間内としたのは、通常の撮影において、画像を確認しながら撮影する可能性が高く、このとき第2省電力モードに移行すると撮影までの時間が長くなってしまうからである。
【符号の説明】
【0063】
100 デジタルカメラ
110 カメラ本体
111 カメラプロセッサ
112 バッテリ
113 カメラ電源回路
114 レンズ送電部
115 モニタ
116 SDカード
117 スイッチ群
118 DRAM
120 撮像素子ユニット
121 撮像素子
122 手振れ補正部
150 撮影レンズ
151 レンズ受電部
152 レンズCPU
153 フラッシュROM
154 モータドライバ
155 シャッタモータ
156 NDモータ
157 絞りモータ
158 AFモータ
161 ズームリング
162 ズームレンズ群
163 レンズシャッタ
164 NDフィルタ
166 フォーカスレンズ群
167 フォーカスリング
171 ズームセンサ
172 レンズ位置センサ
173 フォーカスリングセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な撮像レンズを介して被写体像を撮像する画像記録装置であって、
複数の動作モードに応じて、前記画像記録装置の動作を制御する装置制御手段と、
前記撮像レンズに供給する電力を制御するレンズ電源制御手段とを備え、
前記動作モードが画像を再生する再生モードであるときに、所定期間以上撮像を行わない処理を前記装置制御手段が行うとき、前記撮像レンズに供給する電力を前記レンズ電源供給手段が切断する画像記録装置。
【請求項2】
画像を表示する画像表示手段をさらに備え、
前記処理は、前記画像表示手段が画像を所定の時間間隔で連続的に表示するスライドショーモードである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
画像を表示する画像表示手段をさらに備え、
前記処理は、前記画像表示手段が動画を表示する動画再生モードである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
画像を表示する画像表示手段と、前記画像表示手段に表示されている画像を編集する編集手段とをさらに備え、
前記処理は、画像を編集する画像編集モードである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
画像を表示する画像表示手段と、前記画像表示手段に表示されている画像を次の画像又は前の画像に変更する変更手段とをさらに備え、
前記処理は、前記画像表示手段に表示されている画像を次の画像又は前の画像に変更する画像送り戻し再生モードである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
着脱可能な撮像レンズを介して被写体像を撮像する画像記録装置において用いられる方法であって、
前記画像記録装置の動作モードを、画像を再生する再生モードに移行するステップと、
前記再生モードにおいて、所定期間以上撮像を行わない処理を実行するステップと、
前記処理を行うとき、撮像レンズに供給する電力を切断するステップとを備える消費電力低減方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−102390(P2013−102390A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245806(P2011−245806)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(311015207)ペンタックスリコーイメージング株式会社 (81)
【Fターム(参考)】