説明

画像記録装置及び画像記録方法

【課題】動画撮影モード時に行う静止画撮影において、有効な静止画像を撮影する確率を向上できるようにする。
【解決手段】画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出手段と、前記顔検出手段により検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出手段と、撮影モード動作中に、前記顔特定状態検出手段により特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録手段と、画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定手段と、前記特定状態自動記録機能を実行するために必要な前記構図安定判定手段による判定結果の条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御手段とを設け、動画モードで動画撮影のパンニング中やズーム中に自動記録機能により静止画像が記録されてしまう不都合を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像記録装置及び画像記録方法に関し、特に、動画像撮影中に静止画像も撮影するために用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、画像信号を基にデジタル演算処理する画像処理技術が急速に進んでおり、その例として、画像から人間の顔を検出する技術がある。例えば、顔画像中の2画素間の輝度差を特徴量として学習しておく。そして、その特徴量に基づいて入力画像中の所定領域が顔であるか否かを示す推定値を算出し、その1以上の推定値から領域内の画像が顔であるか否かを最終的に判別するようにした顔検出技術が実用化されている。
【0003】
このような顔検出技術は、デジタルスチルカメラなど、固体撮像素子で撮像を行うデジタル方式の撮像装置に搭載が進んでおり、最近ではさらに、検出された顔の表情を判別する技術なども実現されている。
【0004】
このような技術を応用し、被写体である人物が笑顔になった瞬間に、静止画を撮影する機能を有する撮像装置が存在する。さらに近年では、動画像撮影中にも笑顔を検出し、動画像撮影中に笑顔の静止画像を記録することが可能な動画像記録装置も開発されている。
また、自動的に撮像を行う方法として、音声解析により、自動記録を行う方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−219450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のような、静止画モードにおいて、自動記録機能を利用して静止画像を記録する場合は、利用者が適当な構図を取った上で被写体に対して、撮影の意思を伝えることが可能なため、自動撮影機能も比較的意図したタイミングで動作する。このため、静止画モードにおいては、ベストショットが撮れる可能性が高い。
【0007】
一方、従来の技術における動画像撮影中に静止画像を自動記録する場合は、動画モードで動画撮影のパンニング中やズーム中に自動記録機能により静止画像が記録されてしまうこともあり、必ずしも良い状態で静止画像を記録することができない問題点がある。
【0008】
さらに、動画像と静止画像の同時記録を行う場合は、記録メディアへの記録帯域が動画像記録に優先的に割り当てられていることにより、静止画像の記録時間が延びてしまう傾向にある。これにより、静止画像を撮影可能な間隔が延びてしまうため、ベストショットを逃す確率が高くなってしまうという問題がある。なお、ここで言う動画像と静止画像の同時記録とは、動画記録中に、必要に応じて動画記録を中断して、静止画記録に切り替え、再び動画記録に復帰する動作を指している。
本発明は前述の問題点に鑑み、動画撮影モード時に行う静止画撮影において、有効な静止画像を撮影する確率を向上できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像記録装置は、静止画像を記録する静止画撮影モードと動画像を記録する動画撮影モードとを有し、動画撮影モードにおいても静止画像を記録する機能を有する画像記録装置であって、画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出手段と、前記顔検出手段により検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出手段と、前記静止画撮影モードおよび前記動画撮影モードの動作中に、前記顔特定状態検出手段により特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録手段と、画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定手段と、前記特定状態自動記録機能を実行する条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記動画撮影モードの場合のみ、前記構図安定判定手段による判定結果が安定であることを条件に、前記特定状態自動記録機能を実行するよう前記静止画像記録手段の動作を制御するか、あるいは、前記動画撮影モードにおいて、前記構図安定判定手段が画像の構図が安定していると判断する閾値を、前記静止画撮影モードに比べ、厳しく設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、動画撮影中に自動記録機能を利用した静止画像記録においても、安定した構図の静止画像を撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1の実施形態を示し、ビデオカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】スマイル撮影処理手順の第1の例を説明するフローチャートである。
【図3】スマイル撮影処理の様子を説明する図である。
【図4】スマイル撮影処理手順の第2の例を説明するフローチャートである。
【図5】構図安定処理手順を説明するフローチャートである。
【図6】ビデオカメラがパンニング中か否かの判定例を説明する特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態として、図1を参照しながら、動画撮影モードにおいても静止画像を同時記録する機能を有する画像記録装置としてのビデオカメラ100について説明する。上述したように、同時記録とは、動画の撮影中に、必要に応じて動画の撮影を中断して静止画の撮影に切り替え、再び動画の撮影に復帰する動作を指している。
図1において、制御部101はビデオカメラ全体の動作制御を行う。また、シャッターボタン押下による静止画像の記録タイミング指示等、ユーザのカメラ操作の受付も行う。操作内容により、後述の各ブロックに対し、各種動作指示を行う。
【0013】
レンズ102は、焦点距離や絞りの状態を変更可能である。撮像素子103は、例えばCCD(Charge Coupled Device)のような撮像素子であり、レンズ102により結像した光を電気信号に変換する機能を有する。
【0014】
信号処理部104は、入力動画像信号に対してホワイトバランスやガンマ補正等の所定の信号処理を行い、画像データとして後述するメモリ114に一時記録する。H.264符号/復号化部105は、H.264方式により、メモリ114に一時記録された動画像データをH.264に符号化、またはH.264ストリームデータから動画像データを復号する機能を有する。
【0015】
JPEG符号/復号化部106は、メモリ114に一時記録された静止画像データをJPEGに符号化したり、またはJPEGデータから静止画像データを復号したりして、メモリ114に書き戻す機能を有する。
【0016】
マイク108は、音声を音声信号に変換する機能を有する。スピーカ109は、マイク108とは逆に、音声信号を音声に変換する機能を有する。音声信号(Audio)符号/復号化部110は、マイク108より入力された音声信号を所定の符号フォーマットに符号化してメモリ114に一時記録する機能を有する。また、メモリ114に保持された所定の符号化データから音声信号を復号する機能を有する。符号フォーマットとしては、本実施形態ではAC3(Audio Code Number 3)を用いる。
【0017】
ディスク制御部111は、記録媒体であるところのハードディスクドライブ112の動作を制御する。本実施形態では、ディスク制御部111として、ATA(AT Attachment)コントローラを使用する。ハードディスクドライブ112は、ATAに対応しており、ディスク制御部111とのATAコマンドやデータの通信、記録、読み出しを担うコントローラと、磁気記録ディスク、制御部101とのデータ通信の際に利用されるバッファメモリとで主に構成されている。
【0018】
メモリ114に保持された、H.264データ、音声データを多重化して、ストリームデータファイルとしてディスクに記録する。その逆に、ハードディスクドライブ112に記録されたストリームデータを読み出し、読み出したデータからH.264データ、音声データを分離し、メモリ114の所定の領域に書き出す。同様に、JPEGデータ、管理データファイルについてもディスクに記録することができる。
【0019】
フラッシュメモリ113は、制御部101で動作させるプログラムの格納および各種設定データの保存等に利用される。このフラッシュメモリ113に記録されたデータは、本実施形態のビデオカメラ100の電源が切られた状態でも保持されるため、電源断後も保持する必要のある管理データ等の保持にも利用される。
【0020】
メモリ114は、先に説明したようにH.264データバッファ、音声データバッファ、ワークメモリ等に使用される。表示部115は、復号された映像データの表示デバイスとしての利用、撮影時のビューファインダーとしての機能も有する。また、利用者が本装置を操作する場合の、操作画面としての機能も兼ね備える。
【0021】
データバス116は、制御部101から、各機能ブロックへのアクセス、およびメモリ114を介しての各機能ブロック間のデータ転送等に使用される。加速度センサ117は、直交する3軸方向に加わる加速度を検出する。この加速度センサ117により、ビデオカメラ100の移動方向も算出することができる。
【0022】
顔検出部118は、信号処理部104によりメモリ114に一時記録された撮影画像に対し、人物の顔領域が存在するか否かを判定する機能を有する。顔検出部118による判定結果は、顔の数、およびそれぞれの顔の位置(座標)、大きさ、回転角度、信頼度等のパラメータが出力される。
ユーザ操作部119は、ユーザ操作に応じて、ビデオカメラ100の各種設定を行い、後述する特定状態自動記録機能を有効にしたり、無効にしたりする設定を行う。
【0023】
本実施形態のビデオカメラ100は、笑顔検出機能を備えている。すなわち、顔検出部118により、人物の顔であると判定された領域に対し、制御部101のソフトウェア処理により、顔の状態が「笑顔」かどうかの判定を行う。さらに、静止画の記録タイミングに、前述の笑顔検出機能を利用し、笑顔の瞬間に静止画記録を自動的に行うスマイル撮影機能も備えている。
【0024】
次に、本実施形態のビデオカメラ100の動作モードについて説明する。
本実施形態のビデオカメラ100は、記録モード、再生モードにおいて、それぞれ動画モード、静止画モードがあり、計4つの動作モードを有する。記録モードにおいては、動画モード、静止画モードにより、撮像素子103の有効領域、読み出し画素数、画角、信号処理等が切り替えられる。また、動画モードにおいても、同時記録機能により、静止画の記録が可能である。再生モードにおいては、動画モード、静止画モードにより、それぞれ動画、静止画の一覧表示が行われ、ユーザが任意の画像を選択することで再生が可能となる。
【0025】
本実施形態のビデオカメラ100で、前述したスマイル撮影機能を使用する場合は、本体設定において、スマイル撮影機能を有効にしておく。無効の場合には、通常通り、ユーザがシャッターを押下することで、静止画の記録が行われる。スマイル撮影機能を有効にした場合には、下記のスマイル撮影処理に従って、静止画像の自動記録が行われる。
【0026】
次に、スマイル撮影処理について説明する。
本実施形態のビデオカメラ100では、動画撮影モード時の動画静止画同時記録時と、静止画撮影モード時の静止画撮影記録時で、スマイル撮影処理を変更する。それぞれのスマイル撮影処理のフローチャートを図2(a)、(b)に示す。また、スマイル撮影処理における各手順の実行タイミングについて、図3に示す。
【0027】
図2(a)は、動画撮影モードにおいて、スマイル撮影を有効にした場合の処理手順を説明するフローチャートである。
S201において、動画モードスマイル撮影を有効にした状態で、動画の撮影が開始されると、S202において、撮影している動画中に顔が含まれるか否かを検出する顔検出の判断を行う。この判断の結果、顔を検出していない場合には、顔検出が行われるまで待機する。また、顔を検出した場合にはS203に進む。
【0028】
S203においては、構図が安定したかどうか判断する。この判断の結果、構図が不安定の場合にはS202に戻る。また、S203の判断の結果、構図が安定した場合にはS204に進む。
【0029】
S204においては、笑顔を検出したかどうか判断する。この判断の結果、笑顔を検出していない場合にはS202に戻る。また、S204の判断の結果、笑顔を検出した場合にはS205に進み、動画撮影を中断して静止画撮影を行う。次に、S206に進み、S205で撮影した静止画を、ハードディスクドライブ112にJPEGファイルとして記録する静止画像記録を行う。その後、動画撮影に復帰してS202に戻り前述した処理を繰り返す。以上、説明したように、動画モードスマイル撮影においては、特定状態自動記録機能を実行する条件は、「顔検出」、「構図安定」、「笑顔検出」の3つとなる。
【0030】
ビデオカメラ100の場合、動画撮影モードにおいては、顔を検出した領域に対し、オートフォーカス(AF)や、自動露出(AE)を優先的に働かせられるように、顔検出画像301から顔検出を常時行っている。そして、顔検出画像301から顔を検出すると顔検出領域302を生成する。次に、顔検出画像301において構図が安定しているかどうかの判定が行い、構図安定画像303を得る。
【0031】
ここで、構図安定画像303を得る構図安定判定処理について、図5を用いて説明する。
S501で構図安定判定処理が開始されると、S502において、制御部101は入力されるユーザのズーム操作、その他各種のカメラ操作が、過去1秒間以上行われていないかどうかを確認する。
【0032】
この確認の結果、カメラ操作が、過去1秒間以上行われていない場合にはS503に進み、パンニング中か否かの確認を行う。この確認の結果、パンニング中でない場合には安定とする。すなわち、1秒間ユーザ操作が無く、かつ、パンニング中ではないと判定された場合は、構図安定判定処理は<安定>と判断する(S504)。
【0033】
一方、S502において、過去1秒間以内にカメラ操作が行われた判断された場合、或いはS503においてパンニング中であると判断された場合には、S505に進んで<不安定>と判定される。S503において、パンニング中か否かの判定は、加速度センサ117の出力値を積分し(1/30秒毎の出力値の積算)、速度を求めることで判定する。
【0034】
次に、図6を参照しながらビデオカメラ100がパンニング中か否かの判定を説明する。
図6(a)に示す特性図は、加速度センサ117の出力値履歴を示す(ここでは、便宜上加速度方向は1軸で表記する)。時間t0からt2の間(符号601)で正の加速度、時間t3とt5の間(符号602)で負の加速度が検知されており、それぞれパンニングの開始および終了による加速度の発生であるものとする。
【0035】
この加速度の出力値を制御部101で積分し、速度に変換したものが図6(b)の特性図になる。時間t0の加速度発生時点から速度が増し、しばらくの間速度を保ち(符号603)、その後、時間t3から減速し、t5で速度0(静止)となる。その間、時間t1からt4の間、速度閾値Vtを超えている期間があり、この間はパンニング中と判定することができる。このような、構図安定判断は、動画撮影モードで、スマイル撮影機能を有効にした場合のみに実施される特別な処理である。
【0036】
構図が安定であると判断されると、構図安定画像303が確保され、前述したようにS204において、制御部101により、顔検出領域302に存在する顔が笑顔であるか検出される。この検出により、顔検出領域302において笑顔検出画像304が検出されると、S205において、動画撮影を中断して、スマイル撮影として、静止画像が撮影(符号305)される。
【0037】
撮影された静止画は、前述したS206において、JPEG符号/復号化部106でJPEGデータに変換され、動画像データの記録と並行して、ハードディスクドライブ112にJPEGファイルとして記録される。ファイルの記録が完了すると、S202の処理に戻り、動画撮影に復帰してスマイル撮影処理が再開される。
【0038】
前述の通り、動画撮影モード時のスマイル撮影処理では、ユーザによるカメラ操作や、パンニング等が常時起こり得る。このため、本実施形態のように、S203の構図安定判断処理を加えることにより、より良い動画像と静止画像の同時記録が可能となる。
【0039】
図2(b)は、静止画撮影モードにおいて、スマイル撮影機能を有効にした場合の処理例を説明するフローチャートである。
本実施形態の場合、S207において、スマイルショットを有効にすると、動画モードと同様に、連続して生成された画像から顔検出が常時行われる(S208)。そして、S208において顔が検出されるとS209に進み、即その領域(図3の顔検出領域302)に対して、笑顔検出処理が行われる。
【0040】
S209の笑顔検出処理の結果、笑顔を検出するとS210に進み、スマイル撮影として、静止画像の撮影が行われる。次に、S211において、撮影された静止画像は、JPEG符号/復号化部106でJPEGデータに変換され、ハードディスクドライブ112にJPEGファイルとして記録する静止画像記録を行う。ファイルの記録が完了すると、S208の処理に戻り、スマイル撮影処理が再開される。以上、説明したように、静止画モードスマイル撮影においては、特定状態自動記録機能を実行する条件は、「顔検出」、「笑顔検出」の2つとなる。
【0041】
前述の通り、静止画撮影モード時のスマイル撮影処理では、静止画記録のみが目的であり、動画撮影時のように、スマイル撮影が有効になってから、パンニング等は発生しにくいため、構図安定の判定処理を省略して撮影を行う。また、ハードディスクドライブ112(HDD)への記録も静止画像のみなので、記録間隔が短く済み、繰り返しスマイル撮影が機能することで、有効なスマイル撮影が期待できる。
【0042】
本実施形態では、構図安定の判定として、ユーザ操作入力や、加速度センサの出力値を使用したが、信号処理部104で検出される顔領域の動きベクトルの利用等も考えられる。例えば、1/30秒毎に顔領域の動きベクトルを積算し、1秒間の積算値が所定値以下であれば、顔位置が安定していると判定し、その画像を構図安定画像303としてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、図3(a)に示したように、構図安定画像303の取得→笑顔検出画像304の取得の順で処理を行っている。しかし、図3(b)に示すように、これらの判定を同時に行い、どちらの判定もYesとなった場合に静止画を記録するようにしてもよい。
前述の通り、動画撮影モード、静止画撮影モードで、スマイル撮影処理を切り替えることで、どちらのモードでも有効なスマイル撮影記録が行える。
【0044】
(第2の実施形態)
本実施形態では、第1の実施形態のビデオカメラと同じ構成であるが、静止画モードのスマイル撮影処理を変更した例について説明する。その他については、第1の実施形態と同様であり、説明を省略する。
図4に、本実施形態のスマイル撮影処理のフローチャートを示す。なお、動画モード時におけるスマイル撮影処理は第1の実施形態(図2(a))と同じであるので処理手順の説明を省略する。
【0045】
本実施形態の静止画モードのスマイル撮影では、ユーザがシャッターボタンを全押しにすることで、スマイル撮影を開始する。このようにすると、第1の実施形態に較べて、ユーザはスマイル撮影の開始を明示的に指定できるため、より意図的な構図での記録が可能となる。
【0046】
図4は、静止画撮影モードにおいて、スマイル撮影を有効にした場合の処理である。第1の実施形態とは違い、本実施形態においては顔検出は常時行わない。
そして、S401においてスマイル撮影を有効にし、かつ、S402において、ユーザがシャッターを全押しにして初めてS403に進んで顔検出を開始する。すなわち、S402で行われる「シャッター全押し判定」は、ユーザによる「静止画記録指示」の有無を検出する処理である。
【0047】
S403の判断の結果、顔が検出された場合にはS404に進み、制御部101により、笑顔検出が行われ、前述した顔検出領域302が検出される。次に、S404において、S403の顔検出処理で検出された顔検出領域302に対し、笑顔であるか否かの判定が行われる。
【0048】
S404の判定の結果、顔検出領域302中の顔が笑顔であると判定するとS405に進み、スマイル撮影として、静止画像の撮影が行われる。前述のように、静止画撮影が行われるまで、顔検出、笑顔検出処理が繰り返される。S404で笑顔が検出され、S406で静止画記録を行った後は、S402に戻り、ユーザがシャッターの全押しを再度行うまで待機する。したがって、本実施形態においては、ユーザがシャッターの全押しをするまで顔検出、笑顔検出は行わないので、電力消費を抑える効果もある。
【0049】
前述した実施形態においては、撮影モード動作中に、顔特定状態検出を行う例として笑顔検出の例を示したが、他の特定の表情を検出したり、表情以外の状態を検出したりするようにしても構わない。例えば、この例の他に、真面目な顔や目つむりを検出したり、顔の向きが正面を向いたことを検出したりするようにしてもよい。また、前述した実施形態においては、動画撮影モード時の顔特定状態検出時にのみ、構図安定の判定を行ったが、これに限られるものではない。動画撮影モード時、静止画撮影モード時のいずれにおいても、顔特定状態検出時に構図安定の判定を行うものとし、動画撮影モード時に構図が安定であると判断する閾値を、静止画撮影モード時に比べ、厳しく設定するようにしても構わない。
【0050】
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0051】
101 制御部、102 レンズ、103 撮像素子、104 信号処理部、105 H.264符号/復号化部、106 JPEG符号/復号化部、108 マイク、109 スピーカ、110 音声信号符号/復号化部、111 ディスク制御部、112 ハードディスクドライブ、113 フラッシュメモリ、114 メモリ、115 表示部、116 データバス、117 加速度センサ、118 顔検出部、119 ユーザ操作部、302 顔検出領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止画像を記録する静止画撮影モードと動画像を記録する動画撮影モードとを有し、動画撮影モードにおいても静止画像を記録する機能を有する画像記録装置であって、
画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段により検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出手段と、
前記静止画撮影モードおよび前記動画撮影モードの動作中に、前記顔特定状態検出手段により特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録手段と、
画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定手段と、
前記特定状態自動記録機能を実行する条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記動画撮影モードの場合のみ、前記構図安定判定手段による判定結果が安定であることを条件に、前記特定状態自動記録機能を実行するよう前記静止画像記録手段の動作を制御することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
静止画像を記録する静止画撮影モードと動画像を記録する動画撮影モードとを有し、動画撮影モードにおいても静止画像を記録する機能を有する画像記録装置であって、
画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段により検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出手段と、
前記静止画撮影モードおよび前記動画撮影モードの動作中に、前記顔特定状態検出手段により特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録手段と、
画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定手段と、
前記特定状態自動記録機能を実行する条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記動画撮影モードにおいて、前記構図安定判定手段が画像の構図が安定していると判断する閾値を、前記静止画撮影モードに比べ、厳しく設定することを特徴とする画像記録装置。
【請求項3】
前記静止画像の記録タイミングを指示する記録タイミング指示手段を有し、
前記制御手段は、静止画撮影モードの場合のみ、前記記録タイミング指示手段により記録指示があったことを条件に、前記特定状態自動記録機能を実行するよう前記静止画像記録手段の動作を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記顔特定状態検出手段は、前記顔検出領域における前記特定の状態として、特定の表情、あるいは、顔の向きを検出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
静止画像を記録する静止画撮影モードと動画像を記録する動画撮影モードとを有し、動画撮影モードにおいても静止画像を記録する画像記録方法であって、
画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出工程と、
前記顔検出工程において検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出工程と、
前記静止画撮影モードおよび前記動画撮影モードの動作中に、前記顔特定状態検出工程において特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録工程と、
画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定工程と、
前記特定状態自動記録機能を実行する条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御工程とを有し、
前記制御工程では、前記動画撮影モードの場合のみ、前記構図安定判定工程による判定結果が安定であることを条件に、前記特定状態自動記録機能を実行するよう前記静止画像記録工程の動作を制御することを特徴とする画像記録方法。
【請求項6】
静止画像を記録する静止画撮影モードと動画像を記録する動画撮影モードとを有し、動画撮影モードにおいても静止画像を記録する画像記録方法であって、
画像に顔が含まれるか否かを検出する顔検出工程と、
前記顔検出工程において検出された顔検出領域において特定の状態を検出する顔特定状態検出工程と、
前記静止画撮影モードおよび前記動画撮影モードの動作中に、前記顔特定状態検出工程において特定状態が検出された際に、静止画像を自動的に記録する特定状態自動記録機能を有する静止画像記録工程と、
画像の構図が安定しているか否かを判定する構図安定判定工程と、
前記特定状態自動記録機能を実行する条件を、前記静止画撮影モードと前記動画撮影モードとで変更する制御工程とを有し、
前記制御工程では、前記動画撮影モードにおいて、前記構図安定判定工程で画像の構図が安定していると判断する閾値を、前記静止画撮影モードに比べ、厳しく設定することを特徴とする画像記録方法。
【請求項7】
請求項5または6に記載の画像記録方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶したことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−130378(P2011−130378A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289639(P2009−289639)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】