説明

画像記録装置

【課題】本発明は、商用電源が何者かに切断されても監視画像を途切れることなく記録し続ける画像記録システムを提供することを目的とする。
【解決手段】AC−DCコンバータ603からのAC電源入力が遮断されると、電源切換部604は自動的にPoEインターフェース部からのPoE電源入力に切り換わる。そして、PoE電源を画像記録装置6内に供給し、制御部605は、電源が切り換わると異常信号を外部に発報し、記録部606への画像の記録レートを通常時より高くする。これにより、何者かが重大な行為を行っている場面を漏れなく記録することができる。また、記録レートを高くするのみでなく、解像度を上げてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラにより撮像された画像を記録し、電源が遮断されても機能する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像監視システムは、ホテルやビル、コンビニエンスストア金融機関、ダムまたは道路等といった様々な公共施設等において、犯罪抑止や事故防止等の目的で設置されている。従来の一般的な画像監視システムでは、カメラ等で監視対象エリアを撮像し、撮像された画像を管理事務所や警備室等の監視センタに伝送し、監視者が、伝送されてくる画像により監視対象を監視し、目的や必要に応じて注意や警告をしたり、画像を記録・保存したりするものであった。
【0003】
近年、監視カメラの画像をデジタル化し、インターネットに代表されるネットワークを介して、画像を伝送し監視を行うネットワーク型の画像監視形態が普及してきている。特に金融機関や商店等においては、監視画像を記録しておき、記録画像を問題発生時に遡って観返すという監視形態が求められている。
【0004】
記録型監視には、例えば、人物がドアを通ったときだけ記録する、あるエリアで物体の動きがあったときだけ記録する、といったイベントが発生したときだけ記録するアラーム記録がある。
【0005】
従来の監視形態について、図1を用いて説明する。
図1は、画像監視システムの全体構成を示すブロック図である。1は監視対象エリアを撮像して画像信号を出力するカメラ、2はカメラからの画像信号やセンサからのアラーム信号をデジタル化しエンコードしてネットワークに配信するエンコーダ、3は例えばドアセンサや動体検知センサ、赤外線センサ、熱センサ等の監視対象エリアにおける変化や異常等のイベントがあった際にアラーム信号を出力するセンサ、4は機器から発信されたデータを伝送するネットワークケーブルや無線LAN(Local Area Network)、公衆回線等のネットワーク、5はネットワークI/Fと画像コーデック、画像表示機能を内蔵したPC、6はHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等を有し、ネットワークより伝送された画像等のデータを記録する画像記録装置である。
【0006】
ここで、本実例ではカメラとエンコーダを分離して記載するが、カメラとエンコーダが一体化したWEBカメラを用いても同様の効果を奏することができる。また、センサ3は、エンコーダ以外にも、ネットワークに直接接続されていても良いし、画像記録装置6に接続されていても良く、カメラ2やエンコーダ4、画像記録装置6の筺体に人物が押下するためのアラーム記録ボタンとして設けられても良い。また、ネットワーク4にはルータやハブ等のネットワーク機器も含まれることとし、ネットワーク4に接続された各装置は、このネットワークを介して互いに通信し合うことができるものとする。
【0007】
カメラ1は監視対象エリアを撮像して画像信号を出力し、エンコーダ2へ入力する。センサ3は監視対象エリアにおける変化や異常等を検知し、アラーム信号をエンコーダ2へ出力する。エンコーダ2は、画像信号やアラーム信号をデジタル化し、MPEG−4(Moving
Picture Experts Group phase 4)やMJPEG(Motion Joint Photographic Experts Group)等の規格を用いて画像圧縮してエンコードし、ネットワーク4へ出力する。PC5は、ネットワークから伝送された画像データを受信し、画像表示が可能な形式にデコードし、モニタに表示する。また、マウスやキーボード等の操作I/Fを用いて、GUI上で、ネットワーク4を通じて画像記録配信装置に対し再生や早送り、各種設定等の操作を行う。画像記録装置6は、ネットワークから伝送された画像データを受信し、記録する。
なお、特許文献1には、監視範囲内にいる被写体の数を計測し、計測した数が所定値を越えていれば記録のフレームレートを高く設定し、計測した数が所定値を越えていなければ記録のフレームレートを低く設定し、被写体の画像を、設定したフレームレートに変換して記録することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−251324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した従来の画像記録装置においては、何者かに電源供給元である商用電源(AC電源)を切断されると、電源の供給が停止してしまい、その後の画像の記録が不可能となってしまう。また、強制的に電源を遮断されるため、既に記録した画像や記録中の画像データが壊れてしまう可能性もあり、状況証拠を残すことができなくなってしまう虞がある。
【0010】
この様な課題を鑑み、本発明は、商用電源が何者かに切断されても監視画像を途切れることなく記録し続ける画像記録システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像記録装置は、通常時に電源を供給する商用電源と、ネットワークから画像データ等のデータ信号と電源とを入力するPoEインターフェース部と、前記画像データの記録を制御する制御部と、前記画像データを記録する記録部とを備える画像記録装置であって、前記商用電源とPoE電源とを切り換える電源切換部を有し、前記商用電源からの電源供給が停止すると、前記電源切換部は、PoE電源からの電源供給に切り換え、前記制御部は、前記画像データの記録レートを通常時の記録レートより高くすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、商用電源からの電源供給が停止するとPoEからの電源供給に切り換えて動作させるため、電源供給が停止することなく監視画像を記録し続けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】画像監視システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例の画像記録装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。上述した図1に示す構成は本発明でも同様なため、重複した説明は回避する。
【0015】
図2は、本発明の一実施例の画像記録装置の構成を示すブロック図である。601は通常時に画像記録装置6に電源を供給する商用電源プラグ(AC100V〜240V)、602はネットワーク4から画像データ等の通信データと電源(DC48V)を入力するPoE(Power
over Ethernet(登録商標))インターフェース部、603は商用電源601から供給されたAC電源を機器に対応するDC電源へ変換するAC−DCコンバータ、604はAC−DCコンバータ603からの電源供給とPoEインターフェース部602からの電源供給とを切り換える電源切換部、605は画像記録装置6内全体の制御を行う制御部、606は入力された画像データを記録する記録部である。なお、PoEは、IEEE802.3afに基づき規格化されており、LANケーブル等の信号線を介して通信データと電源を同時に授受することができるものである。
【0016】
画像データは、LANケーブル等の信号線を介してPoEインターフェース部602に入力され、電源と分離された後、制御部605を介して所定の記録レートで記録部606に記録される。
【0017】
商用電源プラグ601は、壁面などに設置されるプラグ受けに接続することで、画像記録装置6内に電源を供給する。供給された電源は、AC−DCコンバータ603によりAC電源から各機器に対応するDC電源へ変換され、電源切換部604を介して画像記録装置6内の各部に供給される。一方、LANケーブル等の信号線を介して入力されるPoE電源は、PoEインターフェース部602により画像データ等の通信データと分離され、各機器に対応する電圧に変換されて電源切換部604に入力される。このとき、PoE電源と商用電源とが同時に入力された場合、電源切換部604は、商用電源を優先的に選択して電源供給を行う様動作する。電源切換部604の詳細については後述する。
【0018】
ここで、何者かにより商用電源を切断された際の動作について説明する。
AC−DCコンバータ603からのAC電源入力が遮断されると、電源切換部604は自動的にPoEインターフェース部からのPoE電源入力に切り換わる。そして、PoE電源を画像記録装置6内に供給し、制御部605は、電源が切り換わると異常信号を外部に発報し、記録部606への画像の記録レートを通常時より高くする。これにより、何者かが重大な行為を行っている場面を漏れなく記録することができる。また、記録レートを高くするのみでなく、解像度を上げてもよい。
【0019】
ここで、電源切換部604について説明する。
611は電源障害が発生した際に電源供給ラインを切り換えるスイッチ、612は電源供給ラインの切り換え時に電源ラインと接地に一気に電流が流れて電気機器が破壊されるのを防止する電源短絡防止素子、613は電源供給ラインの切り換え時に電源供給が一瞬止まるのを防止するために、電力を一時的に充電しておき電源瞬断時に電力を供給する電源瞬断保護素子である。例えば、スイッチ611はFET(Field Effect Transistor)、特にパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等であり、電源短絡防止素子612はダイオード等であり、電源瞬断保護素子613は電解コンデンサ等である。
【0020】
スイッチ611で用いるパワーMOSFETの種類にはNチャネル型とPチャネル型があるが、特性上Pチャネル型の採用が望ましい。AC電源の直流電圧出力を制御ラインとしてPチャネル型パワーMOSFETのGateと接続し、電源供給元とソース端子を接続し、電源受給機器側にはドレイン端子を接続する。これにより、AC−DCコンバータ603から商用電源が供給されている場合にはFETのスイッチはOFFとなり、FETのソースからドレインには電圧が供給されない。つまりPoEインターフェース部602からのPoE電源の供給を受け付けない形となる。逆にAC−DCコンバータ603から商用電源の供給が停止した場合は、FETのスイッチはON状態となりソースからドレインに電圧が供給される。つまりPoEインターフェース部602からのPoE電源の供給を受け付ける形となり、商用電源に障害が発生した場合に商用電源からPoE電源へ電源供給を切り換えることができる。
【0021】
また、商用電源の出力及びPoE電源のスイッチ611を介した出力は、各電源受給機器に電源を供給する直前で電気回路的に繋がっているため、そのまま電源を切り換えると、停止している側の電源に逆電圧がかかり機器が破損する恐れがある。そのため、両方の電源出力に逆流防止用のダイオードを順方向にそれぞれ接続することで、逆電圧による機器の破損を防ぐ。
【0022】
また、電源瞬断保護素子613を各機器へ電源を供給する直前の位置に設置しておくことにより、電源を一時的に充電しておき電源瞬断時に電源を供給し、電源供給ラインの切り換え時に電源供給が一瞬停止すること(瞬断)を防止する。
【0023】
以上に説明した様に、本発明によれば、何らかの事象で商用電源が遮断された際にも、画像記録装置への電源の供給が遮断されることなく、画像データの記録を継続することができる。
【0024】
また、商用電源が切断されたということは何者かが犯罪の証拠隠滅目的で行ったと判断し、画像データの記録レートを高くすることで、重要な犯行資料を残すことができる。
【符号の説明】
【0025】
1:カメラ、2:エンコーダ、3:センサ、4:ネットワーク、5:PC、6:画像記録装置、601:商用電源プラグ、602:PoEインターフェース部、603:AC−DCコンバータ、604:電源切換部、605:制御部、606:記録部、611:スイッチ、612:電源短絡防止素子、613:電源瞬断保護素子。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常時に電源を供給する商用電源と、ネットワークから画像データ等のデータ信号と電源とを入力するPoEインターフェース部と、前記画像データの記録を制御する制御部と、前記画像データを記録する記録部とを備える画像記録装置であって、
前記商用電源とPoE電源とを切り換える電源切換部を有し、
前記商用電源からの電源供給が停止すると、前記電源切換部は、PoE電源からの電源供給に切り換え、前記制御部は、前記画像データの記録レートを通常時の記録レートより高くすることを特徴とする画像記録装置。


【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−182016(P2011−182016A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41575(P2010−41575)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】