説明

画像記録装置

【課題】プラテンからの浮き上がり防止のため、画像記録中の記録用紙を波形状に湾曲させる構成において、シートが形成する波の振幅のばらつきを少なくして、高精度の画像記録を行うことが可能な構成を提供する。
【解決手段】プリンタ部11は、搬送路65の上方から、記録用紙35にインクを吐出する記録部24と、画像記録中の記録用紙35を支持するプラテン42と、プラテン42の上方において、左右方向9に複数が離間されて設けられており、記録用紙35をプラテン42側へ押圧する押さえ部材90A〜90Iと、を備えている。記録用紙35は、記録用紙35の搬送向きに沿ってプラテン42に形成された複数のリブ85A〜85Tと、押さえ部材90A〜90Iとに上下から挟み込まれて波形状に湾曲される。リブ85A〜85Tの搬送向き上流端は、中央側のものほど上流側に位置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送路を搬送されるシートに画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を記録可能な画像記録装置の多くは、内部にシートの搬送路を備えている。画像記録装置は、シートをローラ対に挟持させることによって、シートを搬送路に沿って搬送させる。また、画像記録装置として、上方からシートにインクを吐出して画像を記録する記録部と、搬送路を挟んで記録部の下方に設けられており、シートを支持するプラテンとを備えたものがある。このような方式の画像記録装置として、インクジェットプリンタなどが知られている。
【0003】
画像記録中のシートの浮き上がりを防止するため、特許文献1では、搬送向きと直交する方向(以下、単に幅方向とする。)において、シートを波形状に湾曲させ、搬送向きにおけるコシを強くする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−71532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された発明では、シートは、リブ13及び凹部15を有したプラテン11と、突起16を有したシート材押え板12との間に挟み込まれることで湾曲される。突起16が幅方向に並んで配置されているため、シートは、搬送向きの下流端がシート材押え板12に達したタイミングにおいて、幅方向の全箇所でほぼ同時に湾曲される。このとき、幅方向におけるシートの中央周辺が湾曲されるためには、シートの両端側がそれぞれ中央へ寄せられる必要がある。しかしながら、シートの両端側が突起16によって押さえられた状態では、シートが中央へ寄せられるために大きな力が必要となる。したがって、幅方向におけるシートの中央周辺は、両端側よりも湾曲しにくく、形成される波の振幅が小さくなる。このように、従来の構成では、シートが形成する波の振幅が幅方向においてばらついてしまうなどの問題があった。通常、シートが形成する波の振幅のばらつきが少ない方が、画像記録の精度を高くすることができる。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートが形成する波の振幅のばらつきを少なくして、高精度の画像記録を行うことが可能な構成を提供することにある。
【0007】
(1) 本発明に係るインクジェット記録装置は、シートを搬送向きに沿って案内する搬送路の上方に設けられており、シートにインクを吐出して画像を記録するノズルを有した記録部と、上記搬送路を挟んで上記記録部の下方に設けられており、シートを支持し、且つ、上方へ向かって突出され上記搬送向きに沿って伸びる複数のリブが上記搬送向きと直交する幅方向に離間されて設けられたプラテンと、上記ノズルより上記搬送向きにおける上流側且つ上記プラテンの上方において、上記幅方向における上記リブの間に設けられており、シートの上面に当接して、シートを上記プラテン側へ向かって押圧する複数の押さえ部材と、を備えている。上記押さえ部材は、シートに当接可能な当接部を有しており、当該当接部の少なくとも一部が上記リブの上端よりも下方に位置されており、上記搬送向きにおける上記リブの上流端又は上記当接部の少なくとも一方は、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に位置されている。
【0008】
搬送路を搬送されるシートは、プラテンの周辺において、押さえ部材とプラテンとの間に挟み込まれた状態となる。押さえ部材の当接部は、少なくとも一部がリブの上端よりも下方に位置している。押さえ部材とプラテンとの間をシートが通過することで、シートは、押さえ部材とリブとの双方に互いに反対向きに押さえ付けられる。これにより、シートは湾曲される。
【0009】
上記リブの上流端又は上記当接部の少なくとも一方は、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に位置されている。つまり、シートが搬送される過程において、シートはまず、幅方向における中央側が押さえ部材(当接部)とプラテンとの間に挟み込まれた状態となり、外側ほど後になってから、押さえ部材とプラテンとの間に挟み込まれた状態となる。
【0010】
幅方向におけるシートの中央側が湾曲されるときには、シートの外側はまだ押さえ部材とプラテンとの間に挟み込まれてはいない。したがって、シートの外側が押さえ部材やプラテンから受ける摩擦力は小さく、シートを中央へ寄せやすい。つまり、シートの中央側を湾曲させやすい。このように、シートの中央側を十分に湾曲させることができるため、シートが形成する波形状の振幅のばらつきを少なくすることができる。
【0011】
なお、本発明において、「上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に位置されている」とは、外側から中央側に向かうほど、段階的に上流側に位置されていることを意味し、必ずしも全てのリブの上流端又は当接部が搬送向きの異なる位置にある必要はない。
【0012】
(2) 上記当接部は、上記プラテンに対向し、シートと当接可能な当接面を有していてもよい。上記当接面は、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流端が上流側に位置されていてもよい。
【0013】
面によってシートが押圧されることで、押さえ部材がシートと当接する範囲を搬送向きに長くとることができる。したがって、シートを効率的に湾曲状態とすることができ、また、波形状が解除されることを防止できる。
【0014】
(3) それぞれの上記当接面及び上記リブが上記搬送向きに占める範囲の一部が、全ての上記当接面及び上記リブにおいて互いに共通していてもよい。
【0015】
本構成によると、全ての当接部及びリブがシートに当接する搬送向きの位置が存在する。これにより、シートを効率的に湾曲状態とすることができ、また、波形状が解除されることを防止できる。
【0016】
(4) 全ての上記リブ又は全ての上記当接面は、上記搬送向きにおける下流端が上記搬送向きにおける同じ位置に位置されていてもよい。
【0017】
本構成によると、シートに対する押圧が幅方向において同時に解除されるため、波形状が部分的に解除されて、画像記録の精度が低下することを防止できる。
【0018】
(5) 上記押さえ部材は、上記当接部がそれぞれ上記プラテン側に弾性的に付勢されたものであってもよい。上記幅方向において、他の上記押さえ部材よりも中央側に位置された少なくとも1つの上記押さえ部材は、上記当接部が受ける付勢力が、他の上記押さえ部材の上記当接部が受ける付勢力よりも強い。
【0019】
シートの中央側を先に湾曲させる場合においても、シートの中央側を湾曲させるためにはシートの外側を湾曲させるよりも大きな力が必要である。本構成によると、シートの中央側が強く押さえられるため、シートの中央側を十分に湾曲させることができる。
【0020】
(6) 上記押さえ部材は、上記搬送路の上方に設けられた支持部材にそれぞれ取り付けられていてもよい、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に取り付けられていてもよい。
【0021】
支持部材に対する押さえ部材の取り付け位置を搬送向きにずらすことにより、中央側の当接部ほど上流側に位置される構成を容易に実現できる。
【0022】
(7) 上記リブは、上記搬送向きにおける上流端から下流側へ向かうほど上方に位置されるように傾斜された傾斜部を有していてもよい。
【0023】
本構成によると、搬送向きにおけるシートの下流端がリブの上流端に到達した際、シートの下流端は傾斜部に沿って上方へ案内される。つまり、シートの下流端がリブの上流端に衝突してシートの搬送が阻害されることを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、シートが形成する波形状の振幅のばらつきを少なくすることができるため、高精度の画像記録を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機10の斜視図である。
【図2】プリンタ部11の構成を示す模式図である。
【図3】記録部24の周辺を示す斜視図である。
【図4】図3のA−A切断線における断面斜視図である。なお、記録部24が省略されている。
【図5】押さえ部材90Dを示す図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図、(D)は右側面図、(E)は下面図、(F)は斜視図である。
【図6】押さえ部材90A〜90I及びリブ85A〜85Tの位置関係を示す模式図である。(A)は、本実施形態に係るものであり、(B)は、本発明の変形例1に係るものである。
【図7】押さえ部材90A〜90C及びリブ85A〜85Tによって記録用紙35が波形状にされる様子を示す図である。
【図8】押さえ部材90A〜90I及びリブ85A〜85Tの位置関係を示す模式図である。(A)は、本発明の変形例2に係るものであり、(B)は、本発明の変形例3に係るものである。
【図9】押さえ部材90A〜90I及びリブ85A〜85Tの位置関係を示す模式図であり、本発明の変形例4に係るものである。
【図10】本発明のその他の変形例において、リブ85Aの後端周辺を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7を定義し、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8を定義し、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9(本発明の幅方向の一例)を定義する。
【0027】
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にインクジェット記録方式のプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能や、記録用紙35(図2、本発明のシートの一例)に画像を記録するプリント機能などの各種の機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。プリンタ部11は、正面に開口13が形成されたケーシング(筐体)14を有し、各種サイズの記録用紙35を載置可能なトレイ20が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。つまり、トレイ20は、複合機10に装着及び脱抜可能である。
【0028】
[プリンタ部11の構成]
図2に示されるように、プリンタ部11は、トレイ20から記録用紙35をピックアップして給送する給紙部15と、トレイ20の上方に設けられており、給紙部15によって給紙された記録用紙35にインク滴を吐出して記録用紙35に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、ガイド板41などを備えている。
【0029】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、トレイ20の上方であって記録部24の下方に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26及び駆動伝達機構27を備えている。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって、給紙用モータ(不図示)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、記録用紙35を以下で説明する湾曲路65Aに供給する。
【0030】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙保持部79に至る搬送路65(本発明の搬送路の一例)が形成されている。搬送路65は、トレイ20の先端から記録部24に至る間に形成された湾曲路65Aと、記録部24から排紙保持部79に至る間に形成された排紙路65Bとに区分される。
【0031】
湾曲路65Aは、トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から記録部24に渡って延設された湾曲状の通路である。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。トレイ20から給送される記録用紙35は、湾曲路65Aを搬送方向(図2において一点鎖線で示される方向)に沿って第1搬送向き(図2において一点鎖線に付された矢印の向き、本発明の搬送向きの一例)に湾曲されて、記録部24の直下へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19によって区画されている。なお、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19、更に後述する各ガイド部材82、83は、いずれも、図2の紙面垂直方向(図1の左右方向9)へ延出されている。
【0032】
排紙路65Bは、記録部24の直下から排紙保持部79に渡って延設された直線状の通路である。記録用紙35は、排紙路65Bを第1搬送向きに案内される。排紙路65Bは、記録部24が設けられている箇所においては、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24及びプラテン42(本発明のプラテンの一例)によって形成されており、記録部24が設けられていない箇所においては、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83によって区画されている。
【0033】
[記録部24]
図2,3に示されるように、記録部24は、トレイ20(図2)の上方に配置されている。記録部24は、キャリッジ33、及びキャリッジ33に搭載された記録ヘッド34(図2)を有している。キャリッジ33は、第1ガイドレール71及び第2ガイドレール72の間に掛け渡されて支持されている。第1ガイドレール71及び第2ガイドレール72は、左右方向9を長手方向とする略平板形状を呈しており、上下方向7における同程度の高さ位置において、前後方向8に離間されて設けられている。キャリッジ33は、記録ヘッド34と共に、第1ガイドレール71及び第2ガイドレール72に沿って左右方向9に往復動する。
【0034】
記録部24の下方であって搬送路65を挟んで記録部24と対向する位置には、記録用紙35を水平に保持、つまり支持するためのプラテン42が設けられている。記録ヘッド34は、左右方向9への往復移動過程において、インクカートリッジ(不図示)から供給されたインクを、第1ガイドレール71及び第2ガイドレール72の間に設けられた複数のノズル39(図2、本発明のノズルの一例)から、プラテン42上を搬送される記録用紙35に吐出する。これにより、搬送路65において記録用紙35に画像が記録される。プラテン42及び第1ガイドレール71の詳細な構成について、後に詳細に説明する。
【0035】
[搬送ローラ45、60、62]
図2に示されるように、外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19の第1搬送向きの下流端と記録部24との間には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61よりなる第1ローラ対58が設けられている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第1搬送ローラ60のローラ面に圧接されている。第1ローラ対58は、湾曲路65Aを搬送してきた記録用紙35を狭持してプラテン42上へ送る。
【0036】
プラテン42と上側ガイド部材82及び下側ガイド部材83との間、つまりプラテン42よりも第1搬送向きの下流側には、第2搬送ローラ62及び拍車63よりなる第2ローラ対59が設けられている。拍車63は、第2搬送ローラ62の上方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ62のローラ面に圧接されている。第2ローラ対59は、ニップ位置をプラテン50に近接させて配置されている。第2搬送ローラ62及び拍車63は、記録部24で画像を記録された記録用紙35を狭持して第1搬送向きの下流側へ搬送する。
【0037】
各搬送ローラ60、62は、搬送用モータ(不図示)から駆動伝達機構(不図示)を介して回転駆動力が伝達されて回転される。前記の駆動伝達機構は、遊星ギヤなどから構成されており、搬送用モータが正回転及び逆回転方向のいずれに回転されても、各搬送ローラ60、62を一回転方向へ回転させる。これにより、記録用紙35は第1搬送向きへ搬送される。
【0038】
第2ローラ対59よりも第1搬送向きの下流側に、第3搬送ローラ45と拍車46よりなる第3ローラ対44が設けられている。拍車46は、第3搬送ローラ45の上方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第3搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。
【0039】
第3搬送ローラ45は、搬送用モータから駆動力が伝達されて、回転される。これにより、記録用紙35は第3搬送ローラ45及び拍車46に挟持されて搬送向きの下流側へ搬送され、排紙保持部79に排紙される。
【0040】
[プラテン42]
図2〜4に示されるように、プラテン42は、上述された第1ローラ対58の直下流側(前後方向8の前方)に設けられている。プラテン42は、記録部24に対向するように上方へ向けられた支持面84(図3)を有している。支持面84は、搬送路65(図2)に露出されて、搬送路65の下面の一部を区画している。支持面84から上方に向かって複数のリブ85A〜85T(図3,6(A),7、本発明のリブの一例)が突出されている。リブ85A〜85Tは、それぞれ前後方向8に沿って互いに平行に伸びた凸状である。
【0041】
図6(A)に示されるように、左右方向9において、隣接するリブ85Aとリブ85B,リブ85Eとリブ85F,リブ85Gとリブ85H,リブ85Iとリブ85J,リブ85Lとリブ85M,リブ85Oとリブ85P,及びリブ85Qとリブ85Rの間の距離が、他のリブ間よりも長く取られている。この間には、後述の押さえ部材90A〜90I(図3〜5、本発明の押さえ部材の一例)がそれぞれ配置されている。
【0042】
図には示されないが、リブ85A〜85Tの前端(第1搬送向きの下流端)は、最も前方にあるノズル39よりも前方に位置しており、全てのリブ85A〜85Tにおいて前後方向8の同じ位置にある。一方、図6(A)に示されるように、リブ85A〜85Tの後端(第1搬送向きの上流端)は、異なる位置P11〜P15に位置している。リブ85A〜85Tの後端の位置の詳細については後述する。なお、図3,4においては、リブ85A〜85Tの後端が異なる位置に位置する構成は省略されており、同じ位置に位置するように描かれている。
【0043】
[第1ガイドレール71]
図3に示されるように、前後方向8におけるプラテン42の後端付近において、搬送ローラ60の上方に所定の間隔を隔てて第1ガイドレール71が設けられている。第1ガイドレール71は、左右方向9を長辺とする概ね矩形の平板形状を呈しており、表裏面がそれぞれプラテン42の支持面84と略平行になるように設けられている。第1ガイドレール71は、搬送路65を左右方向9に亘って横断し、両端部を支持されている。第1ガイドレール71は、左右方向9に沿って、押さえ部材90A〜90Iをそれぞれ取り付けるための複数の取付部73A〜73Iを有している。各取付部73A〜73Iは、第1ガイドレール71の表裏面を上下方向7に貫通する4つの挿入孔74によって構成されている。各挿入孔74に押さえ部材90A〜90Iの挿入突起95(図3〜5)が挿入されて、押さえ部材90A〜90Iが第1ガイドレール71に取り付けられている。
【0044】
[押さえ部材90A〜90I]
押さえ部材90A〜90Iは、プラテン42のリブ85A〜85Tと協働し、搬送される記録用紙35を波形状にする部材である。図4,6(A)に示されるように、左右方向9におけるプラテン42の中央に1つの押さえ部材90Aが配置されている(図3においては、キャリッジ33により隠れている。)。押さえ部材90Aの左右方向9における両外側に押さえ部材90B〜90Iが所定距離ずつ離間されて配置されている。押さえ部材90Bと押さえ部材90C、押さえ部材90Dと押さえ部材90E、押さえ部材90Fと押さえ部材90G、及び押さえ部材90Hと押さえ部材90Iは、それぞれ押さえ部材90Aにおいて対称な位置に配置されている。これは、記録用紙35を、左右対称な波形状にするためである。
【0045】
図6に示されるように、左右方向9において、押さえ部材90Aはリブ85Aとリブ85Bとの間、押さえ部材90Bはリブ85Eとリブ85Fとの間、押さえ部材90Cはリブ85Gとリブ85Hとの間、押さえ部材90Dはリブ85Iとリブ85Jとの間、押さえ部材90Eはリブ85Lとリブ85Mとの間、押さえ部材90Fはリブ85Oとリブ85Pとの間、押さえ部材90Gはリブ85Qとリブ85Rとの間にそれぞれ配置されている。また、押さえ部材90Hはリブ85Sの左側、押さえ部材90Iはリブ85Tの右側にそれぞれ配置されている。
【0046】
以下、各図を参照して押さえ部材90A〜90Iについて説明する。以下の説明において、押さえ部材90Dを例に挙げているが、押さえ部材90A〜90Gにおいて、同様の構成となっている。また、押さえ部材90H,90Iは、押さえ部材90A〜90Gと形状が一部相違しているが、この相違点については後述する。なお、図5に示される上下方向7、前後方向8及び左右方向9は、押さえ部材90A〜90Iを第1ガイドレール71に取り付けた状態における方向である。
【0047】
図4,5に示されるように、押さえ部材90Dは、板状の基部91と、前後方向8における基部91の前面から湾曲して下方へ延びる湾曲片92と、湾曲片92の下端から水平面に対して若干傾斜して前方斜め下へ延出された押さえ片93(本発明の当接部の一例)と、を備えた樹脂成型品である。基部91の上面からは、補強用の複数の補強リブ94(図5)と、第1ガイドレール71の挿入孔74(図3)に挿入される4個の挿入突起95(図3〜5)とが上向きへ突出されている。4個の挿入突起95は、前後方向8及び左右方向9に2個づつ並ぶ位置に配置されている。
【0048】
挿入突起95の突出の先端部(上端部)には、第1ガイドレール71の上面に引っ掛かる前後一対の爪96,97(図5)が設けられている。爪96は、挿入突起95の突出の先端部(上端部)から前後方向8における前向きへ突出されている。爪97は、挿入突起95の突出の先端部(上端部)から前後方向8における後向へ突出されている。押さえ部材90Dの取り付け時において、挿入突起95は、第1ガイドレール71の下側から挿入孔74に挿入された後、左右方向9における左方へスライドされる。挿入孔74は左側が右側よりも内径が小さくされているため、爪96,97が挿入孔74に嵌合した状態となる。こうして、押さえ部材90Dが第1ガイドレール71に固定されている。
【0049】
湾曲片92は、円弧状に湾曲している。これは、湾曲片92が第1搬送ローラ60に接触することを回避するためである。湾曲片92は、撓まないように、補強リブ98により補強されている。
【0050】
湾曲片92の下端部には、第1ローラ対58のニップ位置の前後方向8における前側から前方斜め下へ向かって傾斜する傾斜面99が設けられている。傾斜面99には、複数のガイドリブ99A(図5)が、傾斜面99の傾斜する向き(前方斜め下向き)に沿って延びて設けられている。複数のガイドリブ99Aは、左右方向9へ離間されて配置されている。ガイドリブ99Aの突出の先端により、記録用紙35の第1搬送向きにおける下流端が押さえ片93へ案内される。
【0051】
押さえ片93の一部が、リブ85A〜85Tの上端よりも下方に位置している。押さえ片93は、前後方向8における前端が後端よりも下方に位置するように水平面に対して若干傾斜された板状に形成されている。前後方向8における押さえ片93の前端(第1搬送向き下流端)は、前後方向8における記録ヘッド34のノズル39の後側に位置しており、ノズル39に近接している。
【0052】
押さえ片93の一部が、リブ85A〜85Tの上端よりも下方に位置しているのは、記録用紙35を上下方向から逆向きに押圧して波形状とするためである。押さえ片93が傾斜されているのは、搬送される記録用紙35が押さえ片93とプラテン42の支持面84(図3,7)との間において詰まらないようにするためである。また、押さえ片93が板状にされているのは、小さくされた記録ヘッド34とプラテン42の支持面84との隙間に押さえ片93を配置するためである。前後方向8における押さえ片93の前端をノズル39に近接させるのは、ノズル39に近い位置において記録用紙35を押さえて画像記録の精度を良くするためである。ここで、記録用紙35を押さえる押さえ片93の下側面が本発明の当接面の一例である。
【0053】
押さえ片93は、上下方向7へ弾性変形し易いように、前後方向8における前方へ向かうにつれて左右方向9における両端が互いに近づくように傾斜する先細りの形状にされている。押さえ片93の前端部は、搬送される記録用紙35を波形状にする際に撓む。また、押さえ片93は、厚みが若干厚い記録用紙35が搬送されたり、複数枚の記録用紙35が重送されたときにも撓み、記録用紙35が押さえ片93とプラテン42との間において詰まることを抑制する。また、図6(A)に示されるように、押さえ部材90A〜90Iの押さえ片93の前端は、前後方向8において互いに同じ位置に位置している。
【0054】
図3,6(a)に示されるように、押さえ部材90H,90Iは、記録用紙35を押さえる部分の形状が押さえ部材90A〜90Gのものと相違している。詳細には、押さえ部材90H,90Iは、押さえ部材90A〜90Gの押さえ片93に相当する部分が先細り形状にはなっておらず、概ね矩形の形状を呈している。押さえ部材90H,90Iは、左右方向9の両外側において、記録用紙35の左右両端を押さえるものである。そのため、搬送中に記録用紙35の端部が左右方向9の内側に外れることを防止するため、押さえ片93に幅広な形状が採用されている。
【0055】
[リブ85A〜85Tの位置関係]
上述したように、リブ85A〜85Tの後端は、それぞれ前後方向8の異なる位置P11〜P15に位置している。以下、図6(A)を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
左右方向9において、押さえ部材90Aの両外側のリブ85A,85B、及びその更に両外側のリブ85C,85Dは、後端が位置P11に位置している。位置P11は、各押さえ部材90A〜90Iの後端よりも僅かに前方にある。
【0057】
左右方向9において、押さえ部材90Bの両外側のリブ85E,85F、及び押さえ部材90Cの両外側のリブ85G,85Hは、後端が位置P12に位置している。位置1P2は、位置P11よりも所定の距離だけ前方にある。
【0058】
左右方向9において、押さえ部材90Dの両外側のリブ85I,85Jとその更に左側のリブ85K、及び押さえ部材90Eの両外側のリブ85L,85Mとその更に右側のリブ85Nは、後端が位置P13に位置している。位置P13は、位置P12よりも所定の距離だけ前方にある。
【0059】
左右方向9において、押さえ部材90Fの両外側のリブ85O,85P、及び押さえ部材90Gの両外側のリブ85Q,85Rは、後端が位置P14に位置している。位置P14は、位置P13よりも所定の距離だけ前方にある。
【0060】
左右方向9において、押さえ部材90Hの内側のリブ85S、及び押さえ部材90Iの内側のリブ85Tは、後端が位置P15に位置している。位置P15は、位置P14よりも所定の距離だけ前方にあり、各押さえ片93の前端の位置P16よりも後方にある。
【0061】
以上より、リブ85A〜85Tの前端は、左右方向9の内側のものほど前後方向8の後方に位置している。ここで、位置P11〜P14間の距離は、当業者が任意に決定することができる。一例としては、隣接する位置P11〜P14間において5mmである。
【0062】
[記録用紙35の搬送]
記録用紙35は、搬送路65を搬送されて記録部24に供給される。搬送路65を搬送される過程において、記録用紙35は、第1ローラ対58の間に挟持された状態となる。記録用紙35が第1ローラ対58の間に挟持された後、記録用紙35の下流端(前後方向8の前端)は、プラテン42上に送られる。そして、記録用紙35の下流端がプラテン42のリブ85A〜85Tの後端に到達すると、記録用紙35は、プラテン42のリブ85A〜85Tと押さえ部材90A〜90Iの押さえ片93とに挟み込まれた状態となり、図7に示されるように、左右方向9に沿った波形状に湾曲される。
【0063】
記録用紙35の下流端が各押さえ片93を抜けた後も、上流側がリブ85A〜85Tと押さえ部材90A〜90Iの押さえ片93とに挟み込まれた状態にあるため、プラテン42の周辺においては記録用紙35の波形状が維持される。記録用紙35はその状態において、プラテン42上を搬送される。
【0064】
記録用紙35の一部が記録ヘッド34の下方を通過すると、そこには画像が記録される。記録用紙35の下流端は、記録ヘッド34の下方を通過した後、第2ローラ対59に挟持された状態となる。つまり、記録用紙35は、記録ヘッド34よりも上流側において、第1ローラ対58に挟持されており、記録ヘッド34よりも下流側において、第2ローラ対59に挟持されている。記録用紙35は、これらのローラの搬送力によって搬送される。
【0065】
続けて、記録用紙35の上流端が第1ローラ対58を通過すると、記録用紙35は、第2ローラ対59にのみ挟持された状態となる。記録用紙35は、第2搬送ローラ62の搬送力によって、上流端が押さえ部材90A〜90Iの下方をそれぞれ通過し、記録用紙35の波形状は解除される。記録用紙35の全ての部分が記録ヘッド34の下方を通過することで、画像の記録が完了する。プラテン42を通過した記録用紙35は、第3ローラ対44に向けて搬送される。
【0066】
ここで、リブ85A〜85Tの後端がそれぞれ上述されたような位置関係にあるため、記録用紙35の下流端がリブ85A〜85Tと押さえ部材90A〜90Iの押さえ片93とに挟み込まれた状態となるとき、記録用紙35は、左右方向9の中央側ほど先に湾曲され、外側が後に湾曲される。以下、図6(A)を参照しながら詳細に説明する。
【0067】
記録用紙35の下流端が位置P11に到達すると、記録用紙35は、押さえ部材90Aの押さえ片93とリブ85A〜85Dとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。これにより、記録用紙35における押さえ部材90Aの周辺が湾曲される。
【0068】
記録用紙35の下流端が位置P12に到達すると、記録用紙35は、押さえ部材90Bの押さえ片93とリブ85E,85Fとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。また、記録用紙35は、押さえ部材90Cの押さえ片93とリブ85G,85Hとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。これにより、記録用紙35における押さえ部材90B,90Cの周辺が湾曲される。
【0069】
記録用紙35の下流端が位置P13に到達すると、記録用紙35は、押さえ部材90Dの押さえ片93とリブ85I〜85Kとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。また、記録用紙35は、押さえ部材90Eの押さえ片93とリブ85L〜85Nとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。これにより、記録用紙35における押さえ部材90D,90Eの周辺が湾曲される。
【0070】
記録用紙35の下流端が位置P14に到達すると、記録用紙35は、押さえ部材90Fの押さえ片93とリブ85O,85Pとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。また、記録用紙35は、押さえ部材90Gの押さえ片93とリブ85Q,85Rとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。これにより、記録用紙35における押さえ部材90F,90Gの周辺が湾曲される。
【0071】
記録用紙35の下流端が位置P15に到達すると、記録用紙35は、押さえ部材90Hの押さえ片93とリブ85Sとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。また、記録用紙35は、押さえ部材90Iの押さえ片93とリブ85Tとによって挟み込まれて上下の異なる向きに押圧される。これにより、記録用紙35における押さえ部材90H,90Iの周辺が湾曲される。
【0072】
以上の流れによって、記録用紙35は、左右方向9に沿った波形状に湾曲される。なお、この波形状は、記録用紙35の上流端が各押さえ片93の前端を抜けるときに解除される。全ての押さえ部材90A〜90Iにおいて、押さえ片93の前端が前後方向8の同じ位置P16に位置しているため、記録用紙35の波形状は、左右方向9に亘ってほぼ同時に解除される。
【0073】
[実施形態の作用効果]
リブ85A〜85Tの後端が左右方向9に一列に並べられた従来の構成では、記録用紙35は、左右方向9の全範囲に亘ってほぼ同時に湾曲されて波形状とされる。その場合、記録用紙35が各押さえ片93及びリブ85A〜85Tから受ける摩擦力によって、記録用紙35を中央側に寄せるために大きな力が必要になる。従って、記録用紙35の中央側ほど湾曲しにくくなり、シートが形成する波形状の振幅にばらつきが生じてしまう。
【0074】
本実施形態によると、リブ85A〜85Tの後端は、左右方向9の中央側のものほど前後方向8の後方に位置している。したがって、左右方向9における記録用紙35の中央側が湾曲されるときには、外側はまだ押さえ片93とリブ85A〜85Tとの間に挟み込まれてはいない。したがって、記録用紙35の外側が受ける摩擦力は小さく、記録用紙35を中央へ寄せやすい。つまり、記録用紙35の中央側を湾曲させやすい。このように、記録用紙35の中央側を十分に湾曲させることができるため、記録用紙35が形成する波形状の振幅のばらつきを少なくすることができる。
【0075】
また、前後方向8において、リブ85S,85Tの後端(位置P15)から各押さえ片93の前端(位置P16)までの間では、記録用紙35は、全ての押さえ片93とリブ85A〜85Tとによって挟み込まれた状態にある。したがって、記録用紙35を効率的に湾曲させることができ、また、波形状が解除されることを防止できる。
【0076】
また、押さえ片93の下面によって記録用紙35が押圧されることで、押さえ片93が記録用紙35と当接する範囲を搬送向きに長くとることができる。したがって、記録用紙35を効率的に湾曲状態とすることができ、また、波形状が解除されることを防止できる。
【0077】
[変形例1]
上述した実施形態では、左右方向9における各押さえ部材90A〜90Iの間に2つ以上のリブ85A〜85Tが設けられていたが、図6(B)に示されるように、リブ85A〜85Hが、各押さえ部材90A〜90Iの間に1つずつ設けられていてもよい。
【0078】
前後方向8において、リブ85A,85Bの後端は位置P21、リブ85C,85Dの後端は位置P22、リブ85E,85Fの後端は位置P23、リブ85G,85Hの後端は位置P24にそれぞれ位置している。
【0079】
記録用紙35の下流端は、位置P21、位置P22、位置P23、及び位置P24を順に通過する。記録用紙35の下流端が位置P21〜P24をそれぞれ通過したとき、記録用紙35は、対応する各リブ85A〜85Hと、当該リブ85A〜85Hの両外側の押さえ片93とによって挟み込まれて湾曲される。つまり、本変形例においても、記録用紙35は中央側ほど先に湾曲される。
【0080】
[変形例2]
上述した実施形態は、前後方向8におけるリブ85A〜85Tの後端の位置が異なるものであったが、リブ85A〜85Tの後端は互いに同じ位置にあってもよい。その場合、図8(A)に示されるように、リブ85A〜85Tの後端に代わって、押さえ部材90A〜90Iが異なる位置に配置される。
【0081】
前後方向8において、押さえ部材90Aの押さえ片93の後端は位置P31、押さえ部材90B,90Cの押さえ片93の後端は位置P32、押さえ部材90D,90Eの押さえ片93の後端は位置P33、押さえ部材90F,90Gの押さえ片93の後端は位置P34、押さえ部材90H,90Iの押さえ片93の後端は位置P35にそれぞれ位置している。つまり、押さえ部材90A〜90Iは、中央側のものほど、後方に配置されている。また、前後方向8におけるリブ85A〜85Tの後端は、位置P31よりもさらに後方に位置している。
【0082】
記録用紙35の下流端は、位置P31、位置P32、位置P33、位置P34、及び位置P35を順に通過する。記録用紙35の下流端が位置P31〜P35をそれぞれ通過したとき、記録用紙35は、対応する押さえ部材90A〜90Iの押さえ片93と、当該押さえ部材90A〜90Iの両外側のリブ85A〜85Tとによって挟み込まれて湾曲される。つまり、本変形例においても、記録用紙35は中央側ほど先に湾曲される。
【0083】
図には示されないが、押さえ部材90A〜90Iを互いに異なる位置に配置するために、第1ガイドレール71の挿入口74が互いに異なる位置に設けられている。本構成によると、押さえ部材90A〜90G、及び押さえ部材90H,90Iにそれぞれ同じ形状の樹脂成型品が使用できるため、製造コストを削減できる。
【0084】
[変形例3]
図8(B)に示されるように、上述した変形例2において、押さえ片93の前端は全ての押さえ部材90A〜90Iにおいて、前後方向8の同じ位置P41に位置していてもよい。つまり、左右方向9の中央側の押さえ部材90A〜90Iほど、押さえ片93の寸法が前後方向8に長く取られている。
【0085】
本構成においても、記録用紙35は、中央側ほど先に湾曲されて波形状とされる。さらに、位置P41において、記録用紙35の上流端が押さえ片93の前端を通過する。このとき、左右方向9の全ての位置において、押さえ片93による上方からの記録用紙に対する押圧がほぼ同時に解除される。つまり、波形状が完全に解除される。これにより、波形状が部分的に解除されて、画像記録の精度が低下することを防止できる。
【0086】
[変形例4]
図9に示されるように、上述した変形例3において、リブ85A〜85Tの前端が、それぞれ、位置P41よりも後方の位置P51に位置していてもよい。つまり、リブ85A〜85Tの前端が押さえ片93の前端よりも後方に位置していてもよい。
【0087】
本構成においても、記録用紙35は、中央側ほど先に湾曲されて波形状とされる。さらに、位置P51において、記録用紙35の上流端が、リブ85A〜85Tの前端を通過する。このとき、左右方向9の全ての位置において、リブ85A〜85Tによる下方からの記録用紙に対する押圧がほぼ同時に解除される。つまり、波形状が完全に解除される。これにより、波形状が部分的に解除されて、画像記録の精度が低下することを防止できる。
【0088】
なお、図9では、変形例3の場合と同様に、全ての押さえ片93の前端が位置P41に位置している。しかし、押さえ片93の前端は、位置P51よりも前方にあれば、前後方向8の異なる位置に位置していてもよい。
【0089】
[その他の変形例]
図10に示されるように、リブ85A〜85Tは、前後方向8における後端から、前方に向かって傾斜部88を有していてもよい。、同図においてはリブ85Aを例に挙げているが、全てのリブ85A〜85Tにおいて、同様の構成となっている。傾斜部88は、上端が前方ほど上方に位置するように傾斜された部分である。また、傾斜部88よりも前方側には、上端がプラテン42の支持面84と並行に延出する直線部89が連続している。
【0090】
第1搬送向きに搬送される記録用紙35は、下流端がリブ85A〜85Tの後端に到達すると、傾斜部88に沿って搬送され、リブ85A〜85Tに乗り上がった状態になる。その後、記録用紙35は、リブ85A〜85Tにおける直線部89の上端を摺動しながらプラテン42上を搬送される。本構成によると、記録用紙35の下流端がリブ85A〜85Tの後端に衝突して記録用紙35の搬送が止められてしまうことを防止できる。
【0091】
また、上述した実施形態において、押さえ部材90B〜90Iの押さえ片93は、湾曲片92によってプラテン42の支持面84側に弾性付勢されていてもよい。その場合の付勢力は、押さえ部材90Aのものが最も大きくされていてもよい。記録用紙35の中央側を先に湾曲させる場合においても、の中央側を湾曲させるためには外側を湾曲させるよりも大きな力が必要である。本構成によると、記録用紙35の中央側が強く押さえられるため、記録用紙35の中央側を十分に湾曲させることができる。
【0092】
また、上述した実施形態において、9個の押さえ部材90B〜90I及び20個のリブ85A〜85Tが設けられていたが、押さえ部材及びリブの数は、左右方向9における搬送路65の幅や搬送される記録用紙35の寸法に応じて適宜変更される。
【0093】
また、上述した実施形態において、押さえ部材90A〜90Iは、それぞれ第1ガイドレール71に取り付けられたものであったが、押さえ部材90A〜90Iが一体の部材として構成されていてもよい。また、押さえ部材90A〜90Iは、第1ガイドレール71とは異なる部材に支持されて、搬送路65に配置されていてもよい。
【0094】
また、上述した実施形態において、左右方向9に隣接する各押さえ部材90A〜90Iの間に、場所によって複数のリブ85A〜85Tが設けられていたが、隣接する各押さえ部材90A〜90Iの間には、更に多くのリブが設けられていてもよいし、変形例1に示したように1のリブのみが設けられていてもよい。
【0095】
また、上述した実施形態において、押さえ部材90A〜90Iは、基部91と、湾曲片92と、押さえ片93とから構成されるものであったが、押さえ部材90A〜90Iの形状は、記録用紙35を押圧可能なものであれば上述した実施形態の形状に限定されるものではない。たとえば、押さえ部材90A〜90Iは、ローラや拍車として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0096】
24・・・記録部
35・・・記録用紙(シート)
39・・・ノズル
42・・・プラテン
65・・・搬送路
85A〜85T・・・リブ
90A〜90I・・・押さえ部材
93・・・押さえ片(当接部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送向きに沿って案内する搬送路の上方に設けられており、シートにインクを吐出して画像を記録するノズルを有した記録部と、
上記搬送路を挟んで上記記録部の下方に設けられており、シートを支持し、且つ、上方へ向かって突出され上記搬送向きに沿って伸びる複数のリブが上記搬送向きと直交する幅方向に離間されて設けられたプラテンと、
上記ノズルより上記搬送向きにおける上流側且つ上記プラテンの上方において、上記幅方向における上記リブの間に設けられており、シートの上面に当接して、シートを上記プラテン側へ向かって押圧する複数の押さえ部材と、を備え、
上記押さえ部材は、シートに当接可能な当接部を有しており、当該当接部の少なくとも一部が上記リブの上端よりも下方に位置されており、
上記搬送向きにおける上記リブの上流端又は上記当接部の少なくとも一方は、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に位置されている画像記録装置。
【請求項2】
上記当接部は、上記プラテンに対向し、シートと当接可能な当接面を有しており、
上記当接面は、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流端が上流側に位置されている請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記当接部は、上記プラテンに対向し、シートと当接可能な当接面を有しており、
それぞれの上記当接面及び上記リブが上記搬送向きに占める範囲の一部が、全ての上記当接面及び上記リブにおいて互いに共通している請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
全ての上記リブ又は全ての上記当接面は、上記搬送向きにおける下流端が上記搬送向きにおける同じ位置に位置されている請求項2又は3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記押さえ部材は、上記当接部がそれぞれ上記プラテン側に弾性的に付勢されたものであり、
上記幅方向において、他の上記押さえ部材よりも中央側に位置された少なくとも1つの上記押さえ部材は、上記当接部が受ける付勢力が、他の上記押さえ部材の上記当接部が受ける付勢力よりも強い請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記押さえ部材は、上記搬送路の上方に設けられた支持部材にそれぞれ取り付けられており、上記幅方向における中央側のものほど、上記搬送向きにおける上流側に取り付けられている請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記リブは、上記搬送向きにおける上流端から下流側へ向かうほど上方に位置されるように傾斜された傾斜部を有している請求項1又から6のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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