説明

画像記録装置

【課題】電源部を冷却する空気が記録媒体の搬送に悪影響を及ぼすことを防止する。
【解決手段】インクジェットプリンタ10は、インク吐出ヘッド14a〜14dと、第1収容部18と、排出部20と、第1搬送経路22と、第1搬送力付与手段24と、電源部26と、冷却空気流路30と、風力付与手段32と、筐体12と、増設収納ユニット34とを備え、筐体12の内部には、中継経路38が設けられ、電源部26および冷却空気流路30は、第1収容部18、第1搬送経路22およびインク吐出ヘッドに対して鉛直方向下方の領域に配置され、インク吐出ヘッドは、鉛直方向に関して第1収容部18以上の領域に配置され、電源部26は、鉛直方向から見た場合に第1収容部18と重なるように配置され、冷却空気流路30は、中継経路38と交わらない経路を通るように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体を搬送する搬送経路と、電源部を冷却する空気が流れる冷却空気流路とを備える、画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シートを搬送する搬送路と、電源装置を冷却する空気が流れる流路とを備える画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、送風ファンが回転されることによって、第1の空気取込口から画像形成装置本体に外気が取り込まれ、外気によって電源装置が冷却される。そして、当該外気がシート搬送ガイドに形成された多数の通気穴を通して排気ファンに吸引され、排気ファンの下流側に設けられた空気排出口から外部に排出される。一方、給紙カセットに収容されたシートが、搬送路に導かれて光書込み装置で画像の形成が行われる領域に搬送される。そして、画像が形成されたシートが、多数の通気穴を有するシート搬送ガイドに導かれて排出部に排出される。したがって、この画像形成装置では、シートの搬送路と空気の流路とがシート搬送ガイドが設けられた領域において交差し、当該流路を流れる空気がシートの搬送に悪影響を及ぼすおそれがあった。
【0003】
本願の発明者は、鋭意研究の結果、シートの通路と空気の流路とを互いに交差しないように配置することで上記課題を解決できるとの知見を得た。しかし、特許文献2に記載された画像形成装置のように、給紙トレイを収容した本体ケーシングの下部に他の給紙トレイが設けられた構成では、他の給紙トレイから本体ケーシングの内部に供給される用紙が水平面に対して直交する方向に搬送されるため、シートの通路と空気の流路とを互いに交差しないように配置することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−341374号公報
【特許文献2】特開2001−353899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電源部を冷却する空気が記録媒体の搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像記録装置は、所定の記録領域において記録媒体に画像を記録する記録部と、前記記録部により画像が記録される記録媒体を収容する第1収容部と、前記記録部により画像が記録された記録媒体が排出される排出部と、記録媒体を前記第1収容部から前記所定の記録領域を経由して前記排出部に搬送するための経路である第1搬送経路と、記録媒体を前記第1搬送経路で搬送させるための搬送力を記録媒体に付与する第1搬送力付与手段と、少なくとも前記第1搬送力付与手段に電力を供給する電源部と、前記電源部を冷却する空気が流れる冷却空気流路と、空気が前記冷却空気流路で流れるための風力を空気に付与する風力付与手段と、前記記録部、前記第1収容部、前記第1搬送経路、前記第1搬送力付与手段、前記電源部、前記冷却空気流路および前記風力付与手段を収容する筐体と、前記筐体の下部に装着され、且つ、前記筐体の鉛直方向下方に配置される増設収納ユニットとを備え、前記増設収納ユニットは、前記記録部により記録される記録媒体を収容する第2収容部と、前記第2収容部に収容された記録媒体を前記第1搬送経路へ搬送するための経路である第2搬送経路とを有し、前記筐体の内部には、一端が前記第2搬送経路の下流側端部に接続され、他端が前記第1搬送経路に合流される中継経路が設けられ、前記電源部および前記冷却空気流路は、前記第1収容部、前記第1搬送経路および前記記録部に対して鉛直方向下方の領域に配置され、前記記録部は、鉛直方向に関して前記第1収容部以上の領域に配置され、前記電源部は、鉛直方向から見た場合に前記第1収容部と重なるように配置され、前記冷却空気流路は、前記中継経路と交わらない経路を通るように構成される。
【0007】
この構成では、電源部および冷却空気流路が第1収容部、第1搬送経路および記録部の鉛直方向下方の領域に配置されており、冷却空気流路を流れる空気が第1搬送経路を通過する記録媒体に当たることがないので、当該空気が第1搬送経路における記録媒体の搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。また、冷却空気流路は、中継経路と交わらない経路を通るように構成されており、冷却空気流路を流れる空気が中継経路を通過する記録媒体に当たることがないので、当該空気が中継経路における記録媒体の搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。さらに、電源部は、鉛直方向から見た場合に第1収容部と重なるように配置されるので、記録部から漏れ出た印字媒体(インクおよびトナー等)や、第1搬送経路で発生した紙粉が電源部に降りかかることを第1収容部によって防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、上記の構成により、電源部を冷却する空気が記録媒体の搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す概念図である。
【図2】空気導入口から冷却空気流路に導入された空気の流れを示す図1におけるII−II線断面図である。
【図3】実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す斜視図である。
【図4】風力付与手段と排気口との鉛直方向における位置関係を示す拡大図である。
【図5】中継経路、冷却空気流路、排気口および風力付与手段を示す拡大図である。
【図6】増設収納ユニットが装着されていないインクジェットプリンタの構成を示す概念図である。
【図7】他の実施形態に係るインクジェットプリンタの構成を示す概念図である。
【図8】他の実施形態に係るインクジェットプリンタにおける図2に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明に係る画像記録装置の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は、実施形態に係るインクジェットプリンタ10の構成を示す概念図であり、図2は、空気導入口42から冷却空気流路30に導入された空気の流れを示す図1におけるII−II線断面図である。図3は、インクジェットプリンタ10の構成を示す斜視図であり、図4は、風力付与手段32と排気口54との鉛直方向における位置関係を示す拡大図である。図5は、中継経路38、冷却空気流路30、排気口54および風力付与手段32を示す拡大図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ10は、付属装置としての増設収納ユニット34を備えており、増設収納ユニット34を装着するか否かは、ユーザが用途に応じて適宜選択できるようになっている。なお、以下の説明において「上方」とは、鉛直方向の上方を意味し、「下方」とは、鉛直方向の下方を意味するものとする。また、前後左右の方向は、インクジェットプリンタ10を操作するユーザから見た方向を基準とし、「前」とは、ユーザから見て手前側を意味し、「後」とは、ユーザから見て奥側を意味するものとする。本実施例では、図1中の紙面手前側が「前」に対応している。
【0013】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、所定の記録領域Qにおいて用紙Pに画像を記録するものであり、筐体12と、インク吐出ヘッド14a〜14dと、インクを収容するインクタンク16a〜16dと、用紙Pを収容する第1収容部18と、インク吐出ヘッド14a〜14dにより画像が記録された用紙Pが排出される排出部20と、用紙Pを第1収容部18から所定の記録領域Qを経由して排出部20に搬送するための経路である第1搬送経路22と、用紙Pを第1搬送経路22で搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する第1搬送力付与手段24とを備えている。
【0014】
また、図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、少なくとも第1搬送力付与手段24に電力を供給する電源部26と、電源部26の熱を放散させるヒートシンク28と、電源部26を冷却する空気が流れる冷却空気流路30と、空気が冷却空気流路30で流れるための風力を空気に付与する風力付与手段32とを備えている。
【0015】
さらに、図1に示すように、インクジェットプリンタ10は、増設収納ユニット34と、第1搬送経路22と増設収納ユニット34の第2搬送経路36とを連通させる中継経路38と、用紙Pを中継経路38で搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する「搬送力付与手段」としての一対の搬送ローラ40と、各種の制御動作を実行する制御部48とを備えている。
【0016】
図3に示すように、筐体12は、上記の各部品を収容するハウジングであり、筐体左壁部50aと、筐体右壁部50bと、筐体底部50cと、筐体天井部50dと、筐体後壁部50eと、筐体前壁部50fとによって左右方向に長尺な略直方体形状に構成されている。図1に示すように、所定の記録領域Qにおいて、用紙Pは、左方から右方に向けて搬送される。したがって、図2に示すように、筐体左壁部50aおよび筐体右壁部50bは、鉛直方向に延在し、且つ、所定の記録領域Q(図1)における用紙Pの搬送方向に直交する方向(主走査方向)に延在している。また、筐体後壁部50eおよび筐体前壁部50fは、鉛直方向に延在し、且つ、所定の記録領域Q(図1)における用紙Pの搬送方向に平行な方向(副走査方向)に延在している。
【0017】
図3に示すように、筐体前壁部50fには、筐体12の外部の空気を冷却空気流路30に流入させるための空気導入口42が左右方向に延びて設けられており、筐体後壁部50eには、冷却空気流路30を流れる空気の排気口54が左右方向に延びて、且つ、前後方向において空気導入口42と対向して設けられている。
【0018】
図5に示すように、筐体底部50cには、中継経路38の入口部38aが前後方向(紙面に対して直交する方向)に延びて略スリット状に設けられており、入口部38aの内縁部には、中継経路38の一部を構成する2つの板状部52a,52bが上方に突出して、且つ、互いに対向して設けられている。そして、板状部52a,52bには、一対の搬送ローラ40が取り付けられている。中継経路38の入口部38aは、外部より用紙Pを筐体12内に導入するための「記録媒体導入口」であり、中継経路38の一端は入口部38aに接続されており、中継経路38の他端は第1搬送経路22(図1)に合流されている。したがって、筐体12に増設収納ユニット34を装着した状態(図1)では、中継経路38の一端は、入口部38aを介して第2搬送経路36の下流側端部に接続されている。
【0019】
図3に示すように、筐体天井部50dには、用紙Pを左方に向けて排出する用紙排出口60が設けられており、筐体12の上面における用紙排出口60より左方に位置する部分が、用紙Pが排出される排出部20となっている。
【0020】
図1に示すように、筐体12の内部における上下方向中央部よりも下方に位置する領域には、略四角形の平面視形状(図2)を有する第1収容部18が略水平に配置されており、筐体12の内部空間は、第1収容部18に対して上方の第1領域G1と、第1収容部18に対して下方の第2領域G2とに区画されている。そして、第1領域G1には、インク吐出ヘッド14a〜14dと、インクタンク16a〜16dと、第1搬送経路22と、第1搬送力付与手段24と、制御部48とが配置されており、第2領域G2には、電源部26と、ヒートシンク28と、冷却空気流路30と、風力付与手段32と、中継経路38と、一対の搬送ローラ40とが配置されている。
【0021】
図1に示すように、第1収容部18は、所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向と同じ方向に延びる長尺な形状を有する略トレイ状の容器であり、複数の用紙Pを重ねて収容する容器本体62と、容器本体62の内部において用紙Pを支持する支持プレート64と、支持プレート64の前部を押し上げるばね部材(図示省略)とを有している。そして、図3に示すように、筐体前壁部50fにおける第1収容部18に対応する部分には、挿込口66が設けられており、挿込口66から筐体12の内部に第1収容部18が着脱自在に挿し込まれる構成となっている。本実施形態において、挿込口66は、空気導入口42の上方に空気導入口42とは別に設けられているが、他の実施形態では、挿込口66と空気導入口42とが1つの開口部として一体に設けられてもよい。
【0022】
図1に示すように、第1搬送経路22は、所定の記録領域Qにおいて用紙Pを水平方向に搬送させるための水平経路22aと、第1収容部18に収容された用紙Pを水平経路22aに搬送させるための供給経路22bと、水平経路22aを通過した用紙Pを排出部20に搬送させるための排出経路22cとによって略S字状に構成されている。そして、第1搬送経路22に沿って、第1搬送力付与手段24を構成する各部品が配置されている。
【0023】
図1に示すように、第1搬送力付与手段24は、用紙Pを水平経路22aで搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する搬送装置24aと、搬送装置24aに用紙Pを所定のタイミングで供給する給紙ローラ24bと、用紙Pを供給経路22bで搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する搬送ローラ24c,24dと、用紙Pを排出経路22cで搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する搬送ローラ24e,24fと、第1収容部18の用紙Pを1枚ずつ取り出して供給経路22bに供給するピックアップローラ68とを有している。搬送装置24aは、駆動プーリ70と、従動プーリ72と、プーリ70,72間に掛け渡された無端ベルト74と、駆動プーリ70の回転軸70aにギアユニット76を介して接続された駆動モータ78とを有している。そして、搬送装置24aの駆動モータ78と、給紙ローラ24bの駆動モータ(図示省略)と、搬送ローラ24c,24d,24e,24fのそれぞれの駆動モータ(図示省略)と、ピックアップローラ68の駆動モータ(図示省略)とが、電源部26および制御部48に対して電気的に接続されている。
【0024】
図1において、駆動プーリ70および無端ベルト74の回転方向は時計回りであり、用紙Pは、所定の記録領域Qを左方から右方に向けて搬送される。つまり、所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向は、挿込口66(図3)から第1収容部18を挿し込む方向および空気導入口42(図3)から空気を導入する方向と直交している。図1に示すように、本実施形態では、水平経路22aにおける左右方向の略中央部が所定の記録領域Qに配置されており、インク吐出ヘッド14a〜14dは、所定の記録領域Qの上方に配置されている。したがって、所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向が「副走査方向」であり、当該搬送方向に対して直交する方向が「主走査方向」である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態のインクジェットプリンタ10は、ライン式のカラープリンタであり、インク吐出ヘッド14a〜14dのそれぞれは、主走査方向に延びる略直方体状のヘッドホルダ80(図2)と、ヘッドホルダ80の下面に主走査方向に延びて設けられたインク吐出ヘッド82とを有している。また、インク吐出ヘッド14a〜14dのそれぞれに対して、異なる色(マゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)のインクを収容するインクタンク16a〜16dが接続されている。インク吐出ヘッド82は、駆動電圧で駆動される一般的な圧電アクチュエータを備えている。図2に示すように、インク吐出ヘッド14a〜14dのそれぞれは、鉛直方向から見た場合に、第1収容部18と重なるように配置されており、インク吐出ヘッド14a〜14dから漏れ出たインクが、第1収容部18で受けられるようになっている。そして、インク吐出ヘッド14a〜14dのそれぞれのインク吐出ヘッド82が、電源部26および制御部48に対して電気的に接続されている。
【0026】
図2に示すように、電源部26は、各種の電気部品に電力を供給するものであり、基板(図示省略)と基板上に設けられた電源回路(図示省略)とを有している。本実施形態の電源部26は、略四角形の平面視形状を有しており、鉛直方向から見た場合に、第1収容部18と重なるように配置されている。そして、図1に示すように、電源部26に対して、第1搬送力付与手段24、インク吐出ヘッド14a〜14d、搬送ローラ40、風力付与手段32および制御部48等の電気部品が電気的に接続されている。
【0027】
図2に示すように、ヒートシンク28は、電源部26で発生した熱を放散させるものであり、アルミニウム等の金属によって略四角形の平面視形状を有する略板状に形成されている。そして、図1に示すように、筐体底部50cの上面にヒートシンク28が配置されており、ヒートシンク28の上面に電源部26が配置されている。
【0028】
図1に示すように、冷却空気流路30は、第1収容部18の下方において、電源部26を冷却するための空気を流す流路であり、水平面内において所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向に対して交わる方向に延在している。図2に示すように、冷却空気流路30は、筐体底部50cと、電源部26の左方に設けられた板状部92と、電源部26の右方に設けられた板状部94と、第1収容部18とによって、左右方向に長尺な略直方体形状に構成されている。そして、第1収容部18の左右方向略中央部であって、且つ、前後方向略中央部に電源部26が配置されている。
【0029】
図2に示すように、筐体前壁部50fにおける冷却空気流路30に対応する部分には、筐体12の外部の空気を冷却空気流路30に流入させるための空気導入口42が設けられている。また、図2に示すように、筐体後壁部50eにおける冷却空気流路30に対応する部分には、冷却空気流路30を流れる空気の排気口54が設けられている。さらに、図2に示すように、冷却空気流路30における電源部26の後方に位置する部分には、冷却空気流路30の空気を吸引して排気口54から排出させる風力付与手段32が配置されている。図2に示すように、空気導入口42および排気口54は、互いに対向して配置されており、空気導入口42および排気口54のそれぞれの左端は、電源部26の左端より左方に配置されており、空気導入口42および排気口54のそれぞれの右端は、電源部26の右端より右方に配置されている。
【0030】
図4に示すように、風力付与手段32は、空気が冷却空気流路30で流れるための風力を空気に付与するものであり、本実施形態の風力付与手段32は、排気口54に沿って左右方向に並んで配置された4つの送風ファン32a〜32dによって構成されている。なお、送風ファンの数は、特に限定されるものではなく、他の実施形態では、送風ファンが1つだけ設けられてもよい。
【0031】
図1に示すように、増設収納ユニット34は、筐体12の下部に装着され、且つ、筐体12の下方に配置される付属装置であり、増設筐体110と、インク吐出ヘッド14a〜14dにより画像が記録される用紙Pを収容する第2収容部112と、第2収容部112に収容された用紙Pを第1搬送経路22へ搬送するための経路である第2搬送経路36と、用紙Pを第2搬送経路36で搬送させるための搬送力を用紙Pに付与する第2搬送力付与手段114とを有している。
【0032】
図1に示すように、増設筐体110は、第2収容部112、第2搬送経路36および第2搬送力付与手段114等を収容するハウジングであり、筐体前壁部50aの下方に配置されるユニット左壁部116aと、筐体右壁部50bの下方に配置されるユニット右壁部116bと、筐体後壁部50eの下方に配置されるユニット後壁部116eと、筐体前壁部50f(図3)の下方に配置されるユニット前壁部116f(図3)と、ユニット底部116cと、ユニット天井部116dとによって左右方向に長尺な略直方体形状に構成されている。図5に示すように、ユニット天井部116dの下面には、第2搬送経路36を構成する2つの板状部118a,118bが互いに対向して形成されており、板状部118a,118bには、第2搬送力付与手段114を構成する一対の搬送ローラ86が取り付けられている。
【0033】
図1に示すように、第2収容部112は、所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向と同じ方向に延びる長尺な形状を有する略トレイ状の容器であり、複数の用紙Pを重ねて収容する容器本体120と、容器本体120の内部において用紙Pを支持する支持プレート122と、支持プレート122の前部を押し上げるばね部材(図示省略)とを有している。そして、第2収容部112の左部の上方には、第2搬送力付与手段114を構成するピックアップローラ84が配置されている。図3に示すように、ユニット前壁部116fにおける第2収容部112に対応する部分には、挿込口124が設けられており、挿込口124から増設筐体110の内部に第2収容部112が着脱自在に挿し込まれる構成となっている。
【0034】
図1に示すように、筐体12に対して増設収納ユニット34を装着すると、ピックアップローラ84および搬送ローラ86のそれぞれの駆動モータ(図示省略)が電源部26および制御部48に対して電気的に自動接続される。これにより、ピックアップローラ84および搬送ローラ86は、制御部48から供給される信号に基づいて動作可能な状態となる。
【0035】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10の電源スイッチ(図示省略)をONにすると、電源部26から供給される電力によって風力付与手段32が駆動される。すると、図2に示すように、空気導入口42から冷却空気流路30に空気が導入され、冷却空気流路30の空気が吸引されて排気口54から排出される。このとき、冷却空気流路30と中継経路38とが板状部92により分断されているので、冷却空気が中継経路38を通過することはない。なお、風力付与手段32は、電源部26の温度が高いときのみ駆動するように構成されていてもよい。
【0036】
図1に示すように、インクジェットプリンタ10の印刷動作が開始されると、ピックアップローラ68または84が所定のタイミングで駆動され、第1収容部18の用紙Pが第1搬送経路22に供給され、または、第2収容部112の用紙Pが第2搬送経路36および中継経路38を通して第1搬送経路22に供給される。そして、これらのいずれかの用紙Pが所定の記録領域Qに供給され、インク吐出ヘッド14a〜14dから吐出されるインクによって用紙Pの表面に画像が記録される。その後、画像が記録された用紙Pが第1搬送経路22の排出経路22cを経て用紙排出口60から排出部20に排出される。
【0037】
図6は、増設収納ユニット34が装着されていないインクジェットプリンタ10の構成を示す概念図である。図6に示すように、増設収納ユニット34を用いる必要がない場合には、ユーザは、増設収納ユニット34を筐体12から取り外すことができる。筐体12から増設収納ユニット34を取り外した状態では、第1収容部18に収容された用紙Pだけを用いて、上記と同様に画像を印刷することができる。
【0038】
[本実施形態の効果]
図1に示すように、本実施形態では、電源部26および冷却空気流路30が第1収容部18、第1搬送経路22およびインク吐出ヘッド14a〜14dの鉛直方向下方の第2領域G2に配置されており、冷却空気流路30を流れる空気が第1搬送経路22を通過する用紙Pに当たることがないので、当該空気が第1搬送経路22における用紙Pの搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。また、冷却空気流路30は、中継経路38と交わらない経路を通るように構成されており、冷却空気流路30を流れる空気が中継経路38を通過する用紙Pに当たることがないので、当該空気が中継経路38における用紙Pの搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0039】
図2に示すように、電源部26は、鉛直方向から見た場合に第1収容部18と重なるように配置されるので、インク吐出ヘッド14a〜14dから漏れ出たインクや、第1搬送経路22で発生した紙粉が電源部26に降りかかることを第1収容部18によって防止できる。
【0040】
図2に示すように、インク吐出ヘッド14a〜14dは、鉛直方向から見た場合に第1収容部18と重なるように配置されるので、装置全体の水平方向のサイズを小さくでき、且つ、インク吐出ヘッド14a〜14dから漏れ出たインクが電源部26に降りかかることを第1収容部18によって防止できる。
【0041】
図1に示すように、水平経路22aと供給経路22bと排出経路22cとを有する第1搬送経路22を略S字状にコンパクトに構成することができるので、装置全体を小型化することができる。また、略S字状の第1搬送経路22は、筐体12の内部の広い領域に配置されるが、冷却空気流路30は、第1収容部18および第1搬送経路22の下方における電源部26が配置された領域を含む第2領域G2に構成されているので、冷却空気流路30を流れる空気が第1搬送経路22を通過する用紙Pに当たることはない。
【0042】
図1に示すように、第1収容部18および第2収容部112は、所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向と同じ方向に長尺な形状を有し、冷却空気流路30は、水平面内において所定の記録領域Qにおける用紙Pの搬送方向に対して交わる方向に延在しているので、冷却空気流路30の断面積を大きくすることがきる。したがって、冷却空気流路30に設けられる送風ファン32a〜32dのサイズを大きくすることによって、或いは、送風ファンの数を多くすることによって、送風能力を簡単に大きくすることができる。
【0043】
図3に示すように、筐体前壁部50fには、第1収容部18が挿し込まれる挿込口66が設けられているので、筐体12に対して第1収容部18を着脱する作業を、筐体12の前方から簡単に行うことができる。また、筐体天井部50dに排出部20が設けられているので、排出部20に排出された用紙Pの取り出しを筐体12の前方から行うことができ、第1収容部18を筐体12の前方から着脱できることと相俟って、作業性を高めることができる。そして、図2に示すように、冷却空気流路30を流れる空気の排気口54が筐体後壁部50eに設けられているので、前方から作業するユーザに排気が当たることを防止できる。
【0044】
図3に示すように、風力付与手段32は、冷却空気流路30における電源部26が設けられた領域より空気の流れる方向の下流側に配置されているので、筐体12の内部の空気を吸引して排出することができ、電源部26の熱で加熱された空気が筐体12の内部に拡散されることを防止できる。
【0045】
[他の実施形態]
図1に示すように、上述の実施形態では、「記録部」としてのインク吐出ヘッド14a〜14dが、鉛直方向に関して第1収容部18より上方に配置されているが、図7に示すように、他の実施形態では、インク吐出ヘッド14が、鉛直方向に関して第1収容部18と同等の位置(すなわち略同じ高さ)に配置されてもよい。この場合でも、電源部26および冷却空気流路30が、第1収容部18、第1搬送経路130およびインク吐出ヘッド14の鉛直方向下方の第2領域G2に配置されており、冷却空気流路30を流れる空気が、第1搬送経路130を通過する用紙Pに当たることがないので、当該空気が用紙Pの搬送に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0046】
図2に示すように、上述の実施形態では、電源部26と板状部92,94とが離れて配置されているが、図8に示すように、他の実施形態では、電源部26と板状部92,94とが近接して配置されてもよい。この場合には、冷却空気流路30を流れる空気のうち、冷却空気流路30の表面に沿って流れる空気の割合を増大させることができるので、電源部26の冷却促進を図ることができる。電源部26と板状部92,94とを近接させる方法としては、図8に示すように、電源部26の左右方向長さを長くする方法が用いられてもよいし、図示していないが、板状部92,94間の間隔を短くする方法が用いられてもよい。
【0047】
図2に示すように、上述の実施形態では、前後方向に延びる板状部92,94によって、冷却空気流路30の左内側面および右内側面が構成されているが、他の実施形態では、搬送ローラ40を構成する板状部52bによって冷却空気流路30の左内側面が構成されてもよいし、また、筐体右壁部50bによって冷却空気流路30の右内側面が構成されてもよい。
【0048】
図1に示すように、上述の実施形態では、本発明を、インクを吐出するインクジェットプリンタ10に適用しているが、他の実施形態では、本発明を、複写装置またはファクシミリ装置等のようなプリンタ以外の画像記録装置に適用してもよいし、トナー等のようなインク以外の印字媒体を用いる画像記録装置に適用してもよい。また、他の実施形態では、2つ以上の増設収納ユニット34を層状に重ねて用いてもよい。
【符号の説明】
【0049】
P… 用紙(記録媒体)
Q… 所定の記録領域
10…インクジェットプリンタ(画像記録装置)
12… 筐体
14a〜14d… インク吐出ヘッド(記録部)
18… 第1収容部
20… 排出部
22… 第1搬送経路
24… 第1搬送力付与手段
26… 電源部
30… 冷却空気流路
32… 風力付与手段
34… 増設収納ユニット
38… 中継経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の記録領域において記録媒体に画像を記録する記録部と、
前記記録部により画像が記録される記録媒体を収容する第1収容部と、
前記記録部により画像が記録された記録媒体が排出される排出部と、
記録媒体を前記第1収容部から前記所定の記録領域を経由して前記排出部に搬送するための経路である第1搬送経路と、
記録媒体を前記第1搬送経路で搬送させるための搬送力を記録媒体に付与する第1搬送力付与手段と、
少なくとも前記第1搬送力付与手段に電力を供給する電源部と、
前記電源部を冷却する空気が流れる冷却空気流路と、
空気が前記冷却空気流路で流れるための風力を空気に付与する風力付与手段と、
前記記録部、前記第1収容部、前記第1搬送経路、前記第1搬送力付与手段、前記電源部、前記冷却空気流路および前記風力付与手段を収容する筐体と、
前記筐体の下部に装着され、且つ、前記筐体の鉛直方向下方に配置される増設収納ユニットとを備え、
前記増設収納ユニットは、前記記録部により記録される記録媒体を収容する第2収容部と、前記第2収容部に収容された記録媒体を前記第1搬送経路へ搬送するための経路である第2搬送経路とを有し、
前記筐体の内部には、一端が前記第2搬送経路の下流側端部に接続され、他端が前記第1搬送経路に合流される中継経路が設けられ、
前記電源部および前記冷却空気流路は、前記第1収容部、前記第1搬送経路および前記記録部に対して鉛直方向下方の領域に配置され、
前記記録部は、鉛直方向に関して前記第1収容部以上の領域に配置され、
前記電源部は、鉛直方向から見た場合に前記第1収容部と重なるように配置され、
前記冷却空気流路は、前記中継経路と交わらない経路を通るように構成される、画像記録装置。
【請求項2】
前記第1収容部および前記第2収容部は、前記記録領域における記録媒体の搬送方向と同じ方向に長尺な形状を有し、
前記冷却空気流路は、水平面内において前記所定の記録領域における記録媒体の搬送方向に対して交わる方向に延在する、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
鉛直方向に延在し、且つ、前記所定の記録領域における記録媒体の搬送方向に平行な方向に延在する前記筐体の2つの壁部のうち、一方の壁部を筐体前壁部とし、他方の壁部を筐体後壁部とし、前記筐体前壁部の鉛直方向下方に配置された前記増設収納ユニットの壁部をユニット前壁部とした場合に、
前記筐体前壁部には、前記第1収容部が挿し込まれる第1挿込口が設けられ、
前記ユニット前壁部には、前記第2収容部が挿し込まれる第2挿込口が設けられ、
前記筐体前壁部には、前記筐体の外部の空気を前記冷却空気流路に導入する空気導入口が設けられ、
前記筐体後壁部には、前記冷却空気流路を流れる空気の排気口が設けられる、請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記排出部は、前記筐体の鉛直方向上面に設けられ、
前記第1搬送経路は、前記所定の記録領域において記録媒体を水平方向に搬送させるための水平経路と、前記第1収容部に収容された記録媒体を前記水平経路に搬送させるための供給経路と、前記水平経路を通過した記録媒体を前記排出部に搬送させるための排出経路とを有する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記風力付与手段は、前記冷却空気流路における前記電源部が設けられた領域より空気の流れる方向の下流側に配置される、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項6】
所定の記録領域において記録媒体に画像を記録する記録部と、
前記記録部により画像が記録される記録媒体を収容する第1収容部と、
前記記録部により画像が記録された記録媒体が排出される排出部と、
記録媒体を前記第1収容部から前記所定の記録領域を経由して前記排出部に搬送するための経路である第1搬送経路と、
記録媒体を前記第1搬送経路で搬送させるための搬送力を記録媒体に付与する第1搬送力付与手段と、
少なくとも前記第1搬送力付与手段に電力を供給する電源部と、
前記電源部を冷却する空気が流れる冷却空気流路と、
空気が前記冷却空気流路で流れるための風力を空気に付与する風力付与手段と、
前記記録部、前記第1収容部、前記第1搬送経路、前記第1搬送力付与手段、前記電源部、前記冷却空気流路および前記風力付与手段を収容する筐体とを備え、
前記筐体の鉛直方向下面を構成する底部には、外部より記録媒体を前記筐体内に導入するための記録媒体導入口が設けられ、
前記筐体の内部には、一端が前記記録媒体導入口に接続され、他端が前記第1搬送経路に合流される中継経路が設けられ、
前記電源部および前記冷却空気流路は、前記第1収容部、前記第1搬送経路および前記記録部に対して鉛直方向下方の領域に配置され、
前記記録部は、鉛直方向に関して前記第1収容部以上の領域に配置され、
前記電源部は、鉛直方向から見た場合に前記第1収容部と重なるように配置され、
前記冷却空気流路は、前記中継経路と交わらない経路を通るように構成され、且つ、水平面内において前記所定の記録領域における記録媒体の搬送方向に対して交わる方向に延在する、画像記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−95042(P2013−95042A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239351(P2011−239351)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】